JP3978933B2 - 高周波信号切替装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波やミリ波等からなる高周波信号の伝送経路を切り替える高周波信号切替装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高周波信号を処理する各種システムにおいて、信号の発生・停止を制御したり、複数の信号を切り替えて処理するために、複数設定された伝送経路(チャンネル)の切替や導通,遮断を、電気的な制御によって行う高周波信号切替装置(例えば、特開平5−55804号公報等)が知られている。
【0003】
その一例として、図17に、一対の個別伝送線路101,102と、これら個別伝送線路101,102の一端が共通に接続された共通伝送線路103とを備え、各個別伝送線路101,102には、該個別伝送線路101,102を導通,遮断するスイッチSWa,SWbがそれぞれ設けられた2チャンネルの高周波信号切替装置100を示す。この高周波信号切替装置100は、例えば、各個別伝送線路101,102が人工衛星から垂直偏波,水平偏波を受信するアンテナANTに接続され、何れかの偏波信号を切り替えて出力するため等に使用されている。
【0004】
ところで、一般に、信号の伝送経路に設けられるこの種の装置は、低挿入損失であることが要求される。なお、上述の高周波信号切替装置100のように、複数の個別伝送線路101,102を有する場合には、挿入損失を増加させる主要な原因として、スイッチがオンされた個別伝送線路(以下、導通チャネルという;図17では個別伝送線路102)からの高周波信号と、スイッチがオフされた個別伝送線路(以下、遮断チャネルという;図17では個別伝送線路101)にて発生する反射波とが、両個別伝送線路101,102の分岐点Tにて起こす干渉がある。
【0005】
これに対して、各スイッチSWa,SWbから分岐点Tに至る線路長Li(i=1,2)を、λ/4(但し、λは目標周波数となる高周波信号の線路内波長)の偶数倍(Li=2n×λ/4,n=0,1,2,…)の長さに設定することにより、遮断チャネルのスイッチにて信号の反射が生じないようにすることが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように線路長Liを設定しても、実際には、製造上のばらつき等により、遮断チャネルからの反射波を完全に抑えることはできず、このような反射波が導通チャネルの伝送損失に影響を与えている。つまり、高周波信号切替装置のチャンネル数が増加するほど、遮断チャンネルの数、即ち分岐点Tにて干渉を起こす反射波の数も増加するため、導通チャネルの伝送損失が増大するという問題があった。
【0007】
また、高周波信号切替装置を、半導体チップ上に構成する場合、他のチップとの接続し易さを考慮して、通常、チップ外周部の一つの辺に入力端子を配置し、その対向辺に出力端子を揃えて配置することが行われる。この場合、形成するパターンが制約され、個別伝送線路が3本以上存在すると、全ての個別伝送線路を同じ形状且つ同じ長さにすることは不可能であり、その結果、チャネル毎に導通時の伝送損失、及び遮断時に生じる反射波の大きさが異なってしまう。
【0008】
つまり、導通チャネルが変わる毎に、導通チャネル自身が持つ伝送損失や、遮断チャネルにて発生する反射波が異なったものとなるため、高周波信号切替装置の挿入損失は、どのチャネルを導通させるかによってばらついてしまうという問題があった。
【0009】
具体的に、例えば3チャネルの高周波切替装置を自動車用ミリ波レーダの方位検出装置に適用し、3つの受信アンテナからの受信信号を、択一的に受信器に供給するために用いた場合、個別伝送線路の形状や長さが異なるチャネル間では、伝送損失が互いに異なったものとなるため、同じ強度のレーダ波を受信しても、受信信号の強度は互いに異なったものとなってしまい、検出距離を誤認識してしまうおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、どのチャネルを導通させても挿入損失が均一な高周波信号切替装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の高周波信号切替装置では、共通線から分岐した複数の個別線のいずれかを、各個別線に設けられたスイッチング手段を制御することにより択一的に導通させて、導通した個別線及び共通線を用いて高周波信号の伝送を行う。
【0012】
なお、スイッチング手段はトランジスタを含んで構成されており、このトランジスタのオン抵抗が、個別線間の伝送損失の相違を補償するよう個別に設定されている。但し、ここでは、トランジスタのゲート(入力)電圧Vgに対する出力ドレイン(出力)電流Isの比の逆数Vg/Isをオン抵抗Ronと呼ぶ。
【0013】
従って、本発明の高周波信号切替装置によれば、トランジスタのオン抵抗を適宜設定することにより、各チャネルの伝送損失を調整できるため、各チャンネルの経路差や分岐点での干渉によって生じる伝送損失差を相殺することができ、どのチャネルを導通させても挿入損失が均一となるようにすることができる。
【0014】
その結果、当該装置の異なったチャネルを通過した信号間に誤差を生じさせてしまうことがなく、当該装置を用いれば、信頼性が高く高性能な各種装置を構成することができる。
なお、スイッチング手段としては、一端が個別線に接続されたスタブ、及びスタブの個別線との接続端とは反対側に位置する制御端に接続されたトランジスタを備え、このトランジスタによりスタブの制御端の接続状態を開放或いは接地のいずれかに切り替えることにより、個別線の導通,遮断を制御するスタブ共振型スイッチを用いている。
【0015】
ここで、図13(a)はスタブ共振型スイッチ、図13(b)(c)はその等価回路を示すものである。そして、トランジスタのオン時の等価回路は、図13(b)に示すように、トランジスタのオン抵抗に等しい抵抗器を介してスタブの制御端を接地したもの、即ち疑似的なショートスタブとなり、一方、トランジスタのオフ時の等価回路は、図13(c)に示すように、トランジスタの持つ寄生容量分に等しいコンデンサを介してスタブの制御端を接地したもの、即ち疑似的なオープンスタブとなる。
【0016】
なお、目標周波数での線路内波長をλとして、スタブ長がλ/4に設定されたスタブ共振型スイッチを用いた場合、図14に示すように、ショートスタブ(トランジスタ:オン)の時に、目標周波数近傍の高周波信号に対して伝送損失が小さくなるためチャネルが導通状態となり、一方、オープンスタブ(トランジスタ:オフ)の時に、同じ高周波信号に対して伝送損失が大きくなるためチャネルが遮断状態となる。
【0017】
そして、スタブ共振型スイッチでは、トランジスタのオン抵抗Ronを小さくするほど、理想的なショートスタブに近づき、また、トランジスタの寄生容量Cに基づくリアクタンス分|1/jωC|を大きく(寄生容量Cを小さく)するほど、理想的なオープンスタブに近づく。即ち、スタブ長をλ/4に設定した場合、トランジスタのオン抵抗Ronの大きさを適宜設定することにより、導通チャネルでの伝送損失を所望のレベルに設定することができるのである。
【0018】
このように、スイッチング手段としてスタブ共振型スイッチを接続した個別伝送線路では、高周波信号を双方向に通過させることができるため、当該高周波信号切替装置を、マルチプレクサ及びデマルチプレクサのいずれとしても使用することができる。
また、本発明の高周波信号切替装置では、高周波信号線路を、共通線に対して線対称な形状に形成すると共に、その高周波信号線路が分岐する箇所ではT字分岐,或いは十字分岐を用いて、分岐した線路が直進方向,或いは垂直方向に分岐するよう形成している。
このため、本発明の高周波信号切替装置によれば、対称な位置に存在する一対の個別線は、その形状及び長さが等しく伝送損失が同一となるため、調整時に個別に設定すべきオン抵抗の種類を、ほぼ半減することができ、装置の設計,作製を容易化できる。
更に、本発明の高周波信号切替装置によれば、高周波信号としてミリ波帯の周波数を有するものを用いた場合に、分岐点での反射,損失を最小限に抑えることができ、当該装置の性能を向上させることができる。また、スイッチング手段を構成するトランジスタのオン抵抗を設定する際に、分岐点での反射,損失を考慮する必要がないため、設計の容易化を図ることができる。
即ち、ミリ波帯では、一般に、伝送基本モードとしてTEM( Transmission Electric Magnetic )波が用いられており、このTEM波は、伝搬方向に電気力線と磁力線のモードが存在しないため、垂直に交わる分岐点では損失なく伝搬されるが、斜めに交わる分岐点では、伝搬方向に電気力線と磁力線が混在するモードが発生してしまい、反射波を発生させる等して伝送損失を増大させてしまうことが知られている。従って、本発明のように、T字分岐,或いは十字分岐を用いて直進方向,或いは垂直方向に分岐するよう形成することで、分岐点での反射,損失を最小限に抑えることができるのである。
【0019】
ところで、トランジスタのオン抵抗を変化させるには、例えば、請求項2記載のように、スイッチング手段毎にトランジスタのゲート幅を変化させればよい。但し、図15に示すように、トランジスタに接続される伝送線路やスタブより、線路幅方向に突出させた状態でゲートを形成しても、この突出部分は、オン抵抗の低減に寄与しない。このため、具体的には、トランジスタのゲートを櫛歯形状に形成し、請求項3記載のように形成する櫛歯の本数、或いは請求項4記載のように形成する櫛歯の長さを変えることによって、ゲート幅を変化させることが望ましい。
【0020】
特に、トランジスタに接続される伝送線路やスタブがコプレナー線路にて形成されている場合、線路幅を変化させると伝送特性が変化してしまうが、櫛歯形状のゲートを用いることにより、トランジスタとの接続端での線路幅(即ち線路特性)を変化させてしまうことがなく、理想的なオープンスタブやショートスタブに近い特性を実現でき、優れたスイッチング特性を得ることができる。
【0021】
また、櫛歯形状のゲートを用いた場合、同じゲート幅を得るのであれば、櫛歯を多数形成することで、櫛歯1本当たりの長さ(ゲート幅)を短くできるため、ゲート端部(櫛歯の先端)への給電を遅延なく行うことができ、トランジスタのオン,オフ動作、ひいてはスイッチング手段による導通,遮断の切替動作を高速に行うことができる。
【0022】
ところで、近年、高速なスイッチング動作を可能とするトランジスタとして、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor) が注目されている。HEMTは、図16に示すように、キャップ層Hp,ゲートコンタクト層Hg,ドープ層Hd,チャネル層Hc等を有しており、ゲート電極KGに加える電圧により、ソース電極KS・ドレイン電極KD間のチャネル層Hcを流れる電流を制御する構造となっている。
【0023】
そして、ゲートコンタクト層Hgのゲート電極取付部分には、リセスRが形成されており、このリセスRにて、ゲートコンタクト層Hgの膜厚D等を制御することにより、ピンチオフ電圧の大きさを制御している。
このように構成されたHEMTのオン抵抗Ronは、(1)式に示すように、ゲート幅だけでなくリセスRの形状によっても変化する。但し、Wはゲート幅,Lはリセス長,Dはリセス形成部分のゲートコンタクト層Hgの残り膜厚,ρはチャネルシート抵抗である。
【0024】
Ron=ρ・W・L/D (1)従って、スイッチング手段を構成するトランジスタがHEMTである場合、そのオン抵抗を変化させるために、例えば、請求項5記載のようにトランジスタのリセス長L、或いは請求項6記載のようにトランジスタのリセス深さ(即ち、ゲートコンタクト層Hgの残り膜厚D)を変化させてもよい。
【0025】
特にリセス深さを変化させる場合には、例えば、請求項7記載のように、トランジスタのリセスRを段溝形状とし、形成する溝の段数を変化させれることにより簡単に実現できる。また更に、トランジスタのオン抵抗Ronを変化させるには、請求項8記載のように、スイッチング手段毎にトランジスタに印加するゲートバイアス電圧を変化させてもよい。
【0026】
この場合、ゲートバイアス電圧は、作製された高周波切替装置の挿入損失を実測した結果に基づいて設定できるため、製造時に生じるバラツキも含めて補償することができる。そして、ゲートバイアス電圧によりトランジスタのオン抵抗Ronを調整する場合には、請求項9記載のように、供給電圧を分圧する分圧回路を設け、この分圧回路により、ゲートバイアス電圧を生成することが望ましい。
【0027】
即ち、トランジスタのオン抵抗Ronは、ドレイン電流が流れ始めるピンチオフ電圧付近にて、ゲートバイアス電圧のわずかな変化に対して大きく変化する。従って、このピンチオフ電圧付近でトランジスタのオン抵抗Ronを制御するには、小さな電圧範囲内で細かく電圧レベルを制御しなければならない。そこで、供給電圧を1/nに分圧するように分圧回路を設定すれば、供給電圧の分解能のn倍の精度にて、ゲートバイアス電圧を調整することになり、高精度な調整を容易に行うことができるのである。
【0031】
次に、請求項10及び請求項11記載の高周波信号切替装置では、共通線から分岐した複数の個別線のいずれかを、各個別線に設けられたスイッチング手段を制御することにより択一的に導通させる。そして、請求項10記載の高周波信号切替装置では、増幅手段が、個別線に向けて伝送される高周波信号を増幅し、請求項11記載の高周波信号切替装置では、増幅手段が、個別線から伝送されてくる高周波信号を増幅する。但し、増幅手段は、増幅率の設定が可変なものを用いている。
また、請求項10記載の高周波信号切替装置では、スイッチング手段が、スタブ共振型スイッチからなり、 また、高周波信号線路を、共通線に対して線対称な形状に形成すると共に、該高周波信号線路が分岐する箇所ではT字分岐,或いは十字分岐を用いて、分岐した線路が直進方向,或いは垂直方向に分岐するよう形成している。
【0032】
従って、請求項10及び請求項11に記載の高周波信号切替装置によれば、個別線間の伝送損失の相違を補償するようスイッチング手段の動作に応じて増幅手段の増幅率の設定を変化させれば、各チャンネルの伝送経路差や分岐点での干渉等によって生じる伝送損失差が相殺され、どのチャネルを導通させても挿入損失が均一になるため、信号の通過方向が一方向に制限される以外は、請求項1記載の高周波信号切替装置と全く同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、本発明の高周波信号切替装置によれば、増幅手段にて伝送損失分が補われるため、伝送損失の大きい、より多分岐の高周波切替装置にも好適に適用することができる。
更に、本発明の高周波信号切替装置によれば、増幅手段の増幅率を各チャネルでの伝送損失を上回るように設定すれば、単に信号の切替を行うだけでなく、信号を増幅して出力することができ、高性能化を図ることができる。
【0034】
なお、増幅手段が、トランジスタを含んで構成されている場合、増幅手段の増幅率を変化させるには、請求項12記載のように、トランジスタのゲートバイアス電圧を変化させるか、又は請求項13記載のように、トランジスタのドレインバイアス電圧を変化させればよい。
【0035】
特に、ドレインバイアス電圧を変化させる場合には、請求項14記載のように、デプレション型のトランジスタを用いれば、ゲートバイアス電圧を接地電位に固定して用いることが可能となり、ゲートバイアス電圧用印加用の制御電極や信号線を省略できる。従って、MMIC化した場合には、チップ面積の縮小を図ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の高周波信号切替装置の概略構成図である。但し、本実施形態の高周波信号切替装置はMMIC化されたものであり、図1は、MMICチップ上における伝送線路の配線状態も示す。また、図面上では明示しないが、各伝送線路はコプレナー線路にて構成されている。
【0040】
図1に示すように、本実施形態の高周波信号切替装置2は、一端が電極パッドPS0に接続された共通線としての共通伝送線路10と、一端がそれぞれ電極パッドPS1〜PS4に接続された個別線としての個別伝送線路11〜14とを備えている。以下、共通伝送線路10及び個別伝送線路11〜14を総称して高周波信号線路と呼ぶ。
【0041】
そして、共通伝送線路10は、その電極パッド接続端とは反対側の端部(第1分岐点という)T1が2分岐しており、更に、その2分岐した各端部(第2分岐点という)T21,T22から、それぞれ一対の個別伝送線路11,12及び13,14が分岐している。
【0042】
また、共通伝送線路10及び個別伝送線路11が平行に配線され、しかも信号の伝送方向が変化する部位では直角に曲がるよう、第1及び第2分岐点T1,T21,T22では、交差部分が直角なT字分岐が用いられ、また、両外側の個別伝送線路11,14は、くの字状に直角に屈曲した部分を有している。
【0043】
しかも、高周波伝送線路の全体形状は、共通伝送線路10に対して線対称となるように形成されており、外側に位置する個別伝送線路11,14(以下、外側チャネルという)同士、また内側に位置する個別伝送線路12,13(以下、内側チャネルという)同士は、それぞれ線路長及び線路形状に基づく線路単体の伝送損失が等しくなるように構成されている。
【0044】
また、各個別伝送線路11〜14上には、それぞれ個別伝送線路11〜14を導通,遮断し、導通時には予め設定された目標周波数(本実施形態では77GHz)近傍の高周波信号のみを選択的に通過させるスイッチング手段としてのスイッチSW1〜SW4が設けられている。以下、スイッチSW1〜SW4が設けられた各個別伝送線路11〜14を、それぞれチャネルCH1〜CH4とも呼ぶ。
【0045】
更に、高周波信号切替装置2には、図示しないが、制御信号を印加するための制御用電極パッドと、各制御用電極パッドと各スイッチSW1〜SW4とを接続する制御信号線路とが設けられており、各スイッチSW1〜SW4は、制御用電極パッドに印加され、制御信号線路を介して供給される制御信号に従って駆動されるように構成されている。
【0046】
ここで、スイッチSWi(i=1,2,3,4)は、図13に示すように、一端が個別伝送線路に接続されたスタブ20と、個別伝送線路への接続端とは反対側に位置する制御端を接地,或いは開放状態とするトランジスタ22とからなり、いわゆるスタブ共振型スイッチにより構成されている。
【0047】
このうち、スタブ20は、高周波伝送線路と同様にコプレナー線路にて構成されており、目標周波数の高周波信号の線路内波長をλとして、長さ(スタブ長)がλ/4に設定されている。つまり、スイッチSWiが接続されたチャネルCHiは、擬似的なショートスタブが形成されるトランジスタ22のオン時に導通状態となり、一方、擬似的なオープンスタブが形成されるトランジスタ22のオフ時に遮断状態となる。
【0048】
一方、トランジスタ22は、InAlAs(ドープ層)/歪InGaAs(チャネル層)をエピ膜に用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)からなる(図16参照)。
但し、外側チャネルCH1,4を制御するスイッチSW1,4に設けられたトランジスタ22aは、図2(a)に示すように、一対のドレイン電極KD及び3個のソース電極KSが交互に配置されると共に、これら両電極間のそれぞれに配置された4本の突出部(櫛歯部分)を有する櫛歯形状のゲート電極KGが配線されている。なお、スタブ20の先端に接続されたドレイン電極KDは、スタブ20の線路幅より突出することなく、スタブ20の先端がコの字状となるよう形成されており、また、ソース電極KSは、図中では各電極が分離されているが、実際には、エアブリッジ配線により互いに接続されており、両外側の電極が、接地電位に固定されたグランド電極に接続されている。
【0049】
一方、内側チャネルCH2,3を制御するスイッチSW2,3に設けられたトランジスタ22bは、図2(b)に示すように、スタブ20の線路幅と同じ幅に形成されたドレイン電極KD、及びドレイン電極KDの幅方向両側に配置された一対のソース電極KSを備え、これら両電極間のそれぞれに配置された2本の突出部(櫛歯部分)を有する櫛歯形状のゲート電極KGが配線されている。なお、ソース電極KSは、いずれもグランド電極に接続されている。
【0050】
そして、いずれのトランジスタ22a,22bも、ゲート電極KGの櫛歯部分の長さは、50[μm]で一定に形成されており、従って、トランジスタ22aの総ゲート幅は200[μm]、トランジスタ22bの総ゲート幅は100[μm]に設定されている。
【0051】
ここで、図3のグラフは、トランジスタ22の総ゲート幅に対するオン抵抗の変化を測定した結果を示すものであり、総ゲート幅を増大させるほど、オン抵抗が低下する様子が表されている。
つまり、各トランジスタ22a,22bの総ゲート幅は、図3のグラフに基づき、外側チャネルCH1,4と内側チャネルCH2,3との間の伝送経路差等に基づく伝送損失差を相殺するような大きさに設定されている。
【0052】
例えば、外側チャネルCH1,4と内側チャネルCH2,3との伝送損失差が0.3[dB]である場合、総ゲート幅が100[μm]であるトランジスタ22bを用いて構成された内側チャネルのスイッチSW2,3による損失が1.8[dB]であれば、外側チャネルのスイッチSW1,4による損失が1.5[dB]となるように、トランジスタ22aの総ゲート幅を設定(ここでは200[μm])することにより、どのチャネルの伝送損失も1.8[dB]で均等になるのである。
【0053】
このように構成された本実施形態の高周波信号切替装置2では、制御用電極パッドに、いずれか一つのチャネルCHiのみを択一的に導通させるような制御信号を印加して使用する。そして、制御信号によりチャネルCHiを導通させた時には、個別電極パッドPSiに印加された高周波信号のみが、共通電極パッドPS0から出力され、逆に、共通電極パッドPS0に印加された高周波信号が、個別電極パッドPSiのみから出力される。つまり、マルチプレクサ或いはデマルチプレクサのいずれとしても動作する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の高周波信号切替装置2においては、各チャネルの導通,遮断を行うスイッチSW1〜4を、スタブ20及びトランジスタ22からなるスタブ共振型スイッチにて構成している。しかも、外側チャネルCH1又はCH4が導通チャネルである場合と、内側チャネルCH2又はCH3が導通チャネルである場合とで、互いに異なったものとなる挿入損失(導通チャネルの線路長差に基づく損失、及び各遮断チャネルからの反射波の干渉に基づく損失)の大きさに応じて、この挿入損失差を補償するように、各スイッチSW1〜SW4のトランジスタ22(22a,22b)のオン抵抗Ronを設定している。
【0055】
従って、本実施形態の高周波信号切替装置2によれば、どのチャネルCH1〜4を導通チャネルにしても、常に一定の挿入損失にて高周波信号を伝送することができ、例えば、各チャネルCH1〜4を介して得られる高周波信号を比較する測定器や、どのチャネルCH1〜4からも同じ強度の高周波信号を出力する必要のある装置等に好適に用いることができる。
【0056】
また、本実施形態の高周波信号切替装置2では、トランジスタ22を櫛歯形状のゲート電極を用いて構成し、櫛歯部分の本数を変えることにより、ゲート幅,ひいてはトランジスタ22のオン抵抗Ronを変化させている。従って、スタブ20の線路幅より広いゲート幅が必要であっても、スタブ20の制御端における線路幅を広げる必要がなく、コプレナー線路からなるスタブ20の特性を、トランジスタ22が接続される制御端においても均一に保持することができる。
【0057】
その結果、本実施形態の高周波信号切替装置2によれば、スタブ20の制御端にトランジスタ22が接続されているにも関わらず、理想的なオープンスタブ、或いはショートスタブに近い特性を実現でき、反射の少ない高性能なスイッチング特性を得ることができる。
【0058】
更に、本実施形態の高周波信号切替装置2では、トランジスタ22のゲート電極KGの櫛歯部分を複数設けているため、各櫛歯部分の長さ(個別ゲート幅)を短く抑えることができ、その結果、櫛歯部分の先端への給電が遅延なく行われるため、トランジスタのオン,オフ動作、ひいては各チャネルCH1〜4の導通,遮断の切替を高速に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、各個別伝送線路11〜14が分岐する分岐点T1,T21,T22の形状を直角に交わるT字分岐とし、また外側チャネルの個別伝送線路11,14の屈曲部分の角度も直角としているので、TEM波からなる高周波信号を、これら分岐点や屈曲部分にて反射することなく、効率よく伝送できる。
【0060】
また更に、本実施形態では、高周波伝送線路が共通伝送線路10に対して線対称な形状に形成され、外側チャネルCH1,4同士、内側チャネルCH2,3同士が、それぞれ同じ伝送特性を有するように構成されている。このため、各チャネル間の挿入損失差を補償するようトランジスタ22のオン抵抗Ronの設定を行う際に、外側チャネルCH1又はCH4を導通チャネルとした場合、及び、内側チャネルCH2又はCH3を導通チャネルとした場合の2つの場合のみを考慮すればよく、全てのチャネルCH1〜4を個々に検討する必要がないので、各チャネルの伝送損失を均一にする手間を半減することができる。
【0061】
ところで、本実施形態では、櫛歯形状に形成されたゲート電極KGの櫛歯部分の本数を変えることにより各トランジスタ22の総ゲート幅を変化させているが、更に各櫛歯部分の長さを個々に変化させて微妙な調整を行うことにより、各チャネル間の挿入損失差をより高精度に補償するようにしてもよい。また、いずれのトランジスタ22もゲート電極KGの櫛歯部分を同数に構成し、櫛歯部分の長さのみを変化させることにより、総ゲート幅を調整するようにしてもよい。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
【0062】
本実施形態では、スイッチSW1〜4を構成するトランジスタ22におけるオン抵抗を変化させるための構成以外は、第1実施形態と全く同様に構成されているので、この構成の相違部分を中心に説明する。
即ち、第1実施形態では、トランジスタ22のオン抵抗Ronの調整を、櫛歯形状に形成されたゲート電極KGの形状(櫛歯部分の本数や長さ)を変化させることにより総ゲート幅を変化させることにより行っているが、本実施形態では、トランジスタの製造時にゲート電極KGの取付部分に形成されるリセスRの形状を制御することにより行っている。
【0063】
ここで、トランジスタ(HEMT)22の作製プロセスについて簡単に示す(図16参照)。
まず、InP基板P上に、歪InGaAsチャネル層Hc,n−InAlAsドープ層Hd,i−InAlAsゲートコンタクト層Hg,n−InGaAsキャップ層Hpからなるエピ膜を形成する。
【0064】
そして、キャップ層Hpの上部に、ソース電極KS及びドレイン電極KDとなるTi/Pt/Auを合計630nmの膜厚で蒸着し、その後、ゲート電極KG直下のキャップ層Hpを取り除くリセスエッチング工程を行う。
このリセスエッチング工程により露出したゲートコンタクト層Hgの上部に、ゲート電極KGとなるTi/Pt/Auを合計350nmの膜厚で蒸着する。
【0065】
その後、保護膜の形成、及び基板上に形成された他の素子との配線等を行うことによりMMICを作製する。
なお、リセスエッチング工程では、ゲート電極KG直下のキャップ層Hpのみがリセスエッチング液にさらされるように、エッチングする必要がない部分をマスクする。
【0066】
このマスクは、ウェハ上にレジスト(感光剤)を塗布し、その後、エッチングすべき部分のレジストをウェハから除去するフォト工程を行うことにより形成される。そして、このフォト工程では、エッチングすべき部分を感光させるためガラスマスク(即ち、レジストを除去する以外の部分をマスクするためのもの)が用いられ、このガラスマスクの寸法を適宜設定することにより、リセスの平面的な形状を自由に設定できる。しかも、フォト工程では、ハーフミクロン程度の微細加工が可能である。
【0067】
そして、先に示した(1)式からわかるように、リセス長Lを長くするほど、トランジスタのオン抵抗Ronが増大する。
つまり、各トランジスタ22のリセス長Lは、外側チャネルCH1,4を導通チャネルにした場合と、内側チャネルCH2,3を導通チャネルにした場合とで、互いに異なったものとなる挿入損失に基づき、これらの挿入損失差を相殺するような大きさだけトランジスタ22のオン抵抗Ronが互いに異なるように設定されている。
【0068】
例えば、外側チャネルCH1,4と内側チャネルCH2,3との挿入損失差が0.3[dB]である場合、外側チャネルCH1,2のスイッチSW1,4による損失が、内側チャネルCH2,3のスイッチSW2,3による損失より、0.3[dB]だけ小さくなるように、スイッチSW1,4を構成するトランジスタ22aのリセス長(ここでは0.5[μm])、及びスイッチSW2,3を構成するトランジスタ22bのリセス長(ここでは1.0[μm])をそれぞれ設定することにより、どのチャネルCH1〜4を導通チャネルとしても、常に一定の挿入損失となる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、外側チャネルCH1又はCH4が導通チャネルである場合と、内側チャネルCH2又はCH3が導通チャネルである場合とで異なったものとなる挿入損失に基づき、これらの挿入損失差を補償するように、各スイッチSW1〜SW4のトランジスタ22(22a,22b)のオン抵抗Ronを設定している。
【0070】
従って、どのチャネルCH1〜4を導通チャネルにしても、常に一定の挿入損失にて高周波信号を通過させることができ、例えば、各チャネルCH1〜4を介して得られる高周波信号を比較する測定器や、どのチャネルCH1〜4からも同じ強度の高周波信号を出力する必要のある装置等に好適に用いることができる。
【0071】
また、本実施形態では、トランジスタ22を製造する際に、フォト工程におけるガラスマスクパタンを調整することにより、トランジスタ22のリセスRの形状(特に本実施形態ではリセス長さ)を変化させ、トランジスタ22のオン抵抗Ronを変化させているので、スタブ20のパタン等に全く影響を与えることなく、トランジスタ22のオン抵抗Ronのみを簡単に変化させることができる。
【0072】
ところで、本実施形態では、ガラスマスクパタンを調整することにより、リセス長Lを変化させているが、リセス深さ、ひいてはゲートコンタクト層の残り膜厚Dを変化させてもよい。
この場合、リセスを形成する際のエッチング時間を制御すればよい。なお、リセスエッチング液には、ゲートコンタクト層を、1[nm/min]の割合でエッチングできるものが実現されており、従って、このようなリセスエッチング液を用いてエッチング時間を制御すれば、ゲートコンタクト層の残り膜厚を、ナノメートルオーダにて精密に制御できる。
【0073】
ここで、図4は、ゲートコンタクト層の残り膜厚Dと基板抵抗との関係を測定した結果を表すグラフであり、ゲートコンタクト層残り膜厚Dが薄くなるほど基板抵抗、ひいてはトランジスタ22のオン抵抗Ronが増加する様子が示されている。
【0074】
このようにリセス深さを制御する場合でも、製造時にエッチング時間を制御するだけで、スタブ20のパタン等に全く影響を与えることなく、トランジスタ22のオン抵抗Ronのみを簡単に変化させることができる。
またリセスの断面形状が、図5(a)に示すように、単純な溝形状のもの(1段リセスという)と、図5(b)に示すように、2段構成の段溝形状のもの(2段リセスという)とを併用することで、2種類のオン抵抗Ronを実現するようにしてもよい。
【0075】
これら、1段及び2段リセスは、トランジスタの作製時に、まず幅広のリセスを形成するリセスエッチング用のガラスマスクを用いてフォト工程(工程1,2)を行った後、1回目のエッチングを実施(工程3;図にはレジスト除去後の状態を示す)し、次に、幅狭のリセスを形成するゲート電極形成用のガラスマスクを用いてフォト工程(工程4,5)を行った後、2回目のエッチングを実施(工程6;工程3と同様)することにより、同時に形成することができる。
【0076】
但し、リセスエッチング用のガラスマスクは、2段リセスにすべきトランジスタの部分にのみ、エッチング用の孔を形成するよう作製され、また、電極形成用のガラスマスクは、全てのトランジスタの部分にエッチング用の孔を形成するよう作製されており、特に、2段リセスにすべきトランジスタの部分では、1回目のエッチングにより形成された幅広のリセスの中に、エッチング用の孔を形成するように作製されている。
【0077】
このように、フォト工程に用いるガラスマスクにより、トランジスタのゲート電極形成部分のエッチング回数を調整するだけで、同一ウェハ上に1段リセス或いは2段リセスからなる2種類のトランジスタを同時に作製することができる。しかも、エッチング時間を1回目と2回目とで調節することで、2種類のトランジスタの各オン抵抗Ronも、それぞれ自由に設定することができる。
【0078】
なお、リセスRは、その断面形状が3段以上の段溝形状となるように構成してもよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0079】
本実施形態の高周波信号切替装置2は、第1実施形態とは、スイッチSW1〜SW4の構成が一部異なる以外は、全く同様に構成されているので、この構成の相違する部分についてのみ説明する。
即ち、本実施形態では、スイッチSW1〜SW4として、第1実施形態と同様に、スタブ20とトランジスタ22とからなるスタブ共振型スイッチが用いられている。但し、いずれのチャネルのスイッチSW1〜SW4でも、トランジスタ22の特性(オン抵抗Ron等)が等しくなるように構成されている点が第1実施形態とは異なっている。
【0080】
更に、本実施形態では、図6に示すように、トランジスタ22のゲートには、制御信号を分圧する分圧回路24が接続されており、この分圧回路24を構成する一対の抵抗24a,24bの各抵抗値の大きさの比は、9:1に設定されている。即ち、分圧回路24は、供給される制御信号の電圧値Vsを1/10の大きさに変換したものを、ゲートバイアス電圧Vgとして、トランジスタ22のゲートに印加するように構成されている。
【0081】
なお、トランジスタ22は、ゲートバイアス電圧が0Vの時でもドレイン電流が流れるデプレション型のHEMTからなる。図7は、このトランジスタ22の入力電圧(ゲートバイアス電圧)Vgに対する出力電流(ドレイン電流)Idの特性を示すグラフであり、図示されているように、ドレイン電流Idが流れ始めるゲートバイアス電圧(ピンチオフ電圧とよぶ)が約−0.6Vであり、−0.55V付近からピンチオフ電圧にかけて、除々にゲートバイアス電圧Vgを下げていくと、オン抵抗Ron(グラフの傾きの逆数)が急激に増加する。但し、図7は、ドレインバイアス電圧をVd=2Vで一定とした場合の特性である。
【0082】
このように構成された本実施形態の高周波信号切替装置2は、各トランジスタ22のオン抵抗Ronが、外側チャネルCH1,4と内側チャネルCH2,3との間の線路長差等に基づく伝送損失差を相殺するような大きさとなるように、ゲートバイアス電圧Vgを設定して使用する。
【0083】
そして、具体的に、本実施形態では、外側チャネルCH1,4のスイッチSW1,4に供給する制御信号の電圧値を−4.5Vに設定することにより、スイッチSW1,4を構成するトランジスタ22に−0.45Vのゲートバイアス電圧を印加し、また、内側チャネルCH2,3のスイッチSW2,3に供給する制御信号の電圧値を−5.5Vに設定することにより、スイッチSW2,3を構成するトランジスタ22に−0.55Vのゲートバイアス電圧を印加するように構成されている。
【0084】
以上説明したように、本実施形態の高周波信号切替装置2では、スイッチSW1〜SW4を構成するトランジスタ22のゲートバイアス電圧Vgを変化させることで、トランジスタ22のオン抵抗Ron、ひいては各チャネルCH1〜CH4の導通時の伝送特性を変化させている。そして、ゲートバイアス電圧Vgは、作製された当該装置2の伝送特性を実測し、その測定結果に従って設定することができるため、製造時に生じるのバラツキも含めて、各チャネルCH1〜CH4間の伝送損失のバラツキを補償することができ、どのチャネルを導通させても、挿入損失を均一なものとすることができる。
【0085】
また、本実施形態の高周波信号切替装置2では、分圧比が1/10に設定された分圧回路24を用いて、制御信号からゲートバイアス電圧Vgを生成するようにされており、制御信号の電圧値Vsの10倍の精度でゲートバイアス電圧Vgを調整できるため、トランジスタ22のオン抵抗Ronの調整を精度よく行うことができる。
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。
【0086】
本実施形態の高周波信号切替装置4は、第1実施形態とは一部構成が異なるだけであるため、その構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、図8に示すように、共通伝送線路10上に、個別伝送線路11〜14側から供給される高周波信号を増幅して電極パッドPS0に供給する増幅手段としての高周波増幅器30が設けられている点、及び各チャネルCH1〜4のスイッチSW1〜4が、いずれも同じ特性を有するように設定されている点以外は、第1実施例と全く同様に構成されている。
【0087】
そして、高周波増幅器30は、図9に示すように、トランジスタ31と、入力整合回路34と、出力整合回路37とを備えた周知のものである。
なお、入力整合回路34は、一対の伝送線路32,33からなり、直流分をカットするコンデンサ38を介して接地された伝送線路33の端部には、ゲートバイアス電圧印加用の電極パッドPCGに接続される第1制御端子Tc1が設けられている。また同様に、出力整合回路37は、一対の伝送線路35,36からなり、直流分をカットするコンデンサ39を介して接地された伝送線路36の端部には、ドレインバイアス印加用の電極パッドPCDに接続される第2制御端子Tc2が設けられている。
【0088】
このように構成された高周波増幅器30は、伝送線路32,33の接続点に設けられた入力端子Tiから入力される高周波信号をトランジスタ31にて増幅し、この増幅された高周波信号を、伝送線路35,36の接続点に設けられた出力端子Toから出力する。
【0089】
以上のように構成された高周波信号切替装置4は、電極パッドPCGを接地電位に固定し、各チャネルCH1〜4間の個別伝送線路の線路長や線路形状によって生じる伝送損失差を相殺するように、各チャネルのスイッチSW1〜4の電極パッドPCDに印加するドレインバイアス電圧Vdを変化させて使用する。
【0090】
具体的には、図10に示す、高周波増幅器30の利得Gain (即ち増幅率)を、第1制御端子Tc1を介して印加するゲートバイアス電圧Vg及び第2制御端子Tc2を介して印加するドレインバイアス電圧Vdを変化させて測定した測定結果のグラフに基づいて、以下のように制御する。但し、本実施形態では、トランジスタ31としてデプレション型のHEMTを用いており、また、周波数60GHzの高周波信号を用いて測定を行った。
【0091】
即ち、図示されているように、ゲートバイアス電圧をVg=0[V]に固定した場合、ドレインバイアス電圧Vd=0[V]の時に、利得Gain =−14[dB]、及びVd=2[V]の時にGain =3.1dBとなり、ドレインバイアス電圧Vdを2〜3[V]付近で変化させれば、高周波増幅器30の利得Gain を3〜4[dB]付近で変化させることができる。これを利用して、スイッチSW1〜4のオン,オフ状態に応じて、ドレインバイアス電圧Vd(即ち利得Gain )を切替ることにより、各チャネルCH1〜CH4の伝送損失が均一になるように制御するのである。
【0092】
以上説明したように、本実施形態の高周波信号切替装置4においては、共通伝送線路10上に高周波増幅器30が設けられ、電極パッドPCDを介して高周波増幅器30のドレインバイアス電圧Vd、ひいては利得Gain を任意に設定できるようにされている。
【0093】
従って、本実施形態の高周波信号切替装置4によれば、導通チャネルが変化する毎に、ドレインバイアス電圧Vdを適宜変化させることにより、どのチャネルCH1〜4を導通チャネルとした時でも、挿入損失が均一となるようにすることができる。
【0094】
また、本実施形態の高周波信号切替装置4によれば、高周波増幅器30の利得が各チャネルCH1〜4にて生じる伝送損失を上回るよう設定すれば、信号の切替だけでなく、信号の増幅をも行うことができ、装置の高性能化を図ることができる。
【0095】
なお、本実施形態では、ゲートバイアス電圧印加用の電極パッドPCGを設けたが、これを設けることなく、ゲートバイアス電圧印加用の第1制御端子Tc1を、接地電極に直接接続してもよい。この場合、電極パッドPCG及び電極パッドPCGにゲートバイアス電圧Vgを供給するための信号線を省略することができ、MMIC化した際に、より小型の装置を構成することができる。
【0096】
また、本実施形態では、高周波増幅器30の利得Gain を、ゲートバイアス電圧Vgを一定とし、ドレインバイアス電圧Vdにより調整するよう構成したが、逆に、ドレインバイアス電圧Vdを一定とし、ゲートバイアス電圧Vgにより調整するよう構成してもよい。
【0097】
具体的には、図10のグラフに基づき、ドレインバイアス電圧をVd=2[V]に固定した場合、ゲートバイアス電圧をVg=−0.5〜−0.2[V]の範囲で変化させれば、高周波増幅器30の利得をGain =0〜3[dB]の範囲で変化させることができる。これを利用して、スイッチSW1〜4のオン,オフ状態に応じて、ドレインバイアス電圧Vd(即ち利得Gain )を切替えることにより、各チャネルCH1〜CH4の伝送損失が均一になるように制御すればよい。
【0098】
更に、本実施形態では、高周波増幅器30により、個別伝送線路11〜14側から供給される高周波信号を増幅するように構成したが、図11に示す高周波信号切替装置4aのように、高周波増幅器30により、逆に、電極パッドPS0側から供給される高周波信号を増幅して、個別伝送線路11〜14側へ供給するように構成してもよい。
【0099】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な形態にて実施することができる。
例えば、上記第1〜4実施形態では、スイッチング手段としてスタブ共振型スイッチを用いているが、これに限らず、トランジスタを用いて構成され、そのオン抵抗Ronを変化させることにより、チャネルの伝送特性を変化させることが可能なスイッチであれば、どのようなものを用いてもよい。
【0100】
また、上記第1〜4実施形態では、4本の個別伝送線路11〜14を有する場合について説明したが、個別伝送線路は、2又は3本、或いは5本以上であってもよい。特に、個別伝送線路を奇数本とした場合には、図12に示すように(図には個別伝送線路が3本の場合を示す)、共通伝送線路10からみて最初の分岐点Tの形状を十字分岐とすれば、高周波伝送線路を、共通伝送線路に対して線対称な形状に形成することができ、当該装置の挿入損失を、導通チャネルによらず常に一定となるように設定するための手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の高周波信号切替装置の概略構成図である。
【図2】 トランジスタの電極の形状を表す説明図である。
【図3】 トランジスタのゲート幅に対するオン抵抗の特性を表すグラフである。
【図4】 ゲートコンタクト層残り膜厚に対する基板抵抗の特性を表すグラフである。
【図5】 1段及び2段リセスの製造工程を表す説明図である。
【図6】 第3実施形態の高周波信号切替装置におけるスイッチの構成を表す回路図である。
【図7】 トランジスタのゲートバイアス電圧に対するドレイン電流の特性を表すグラフである。
【図8】 第4実施形態の高周波信号切替装置の概略構成図である。
【図9】 高周波増幅器の詳細構成を表す回路図である。
【図10】 高周波増幅器のゲートバイアス電圧に対する利得の特性を表すグラフである。
【図11】 第4実施形態の変形例の概略構成図である。
【図12】 他の実施形態の概略構成図である。
【図13】 スタブ共振型スイッチの構成、及びその等価回路を表す説明図である。
【図14】 スタブ共振型スイッチの特性の概要を表す説明図である。
【図15】 トランジスタのゲート幅を増大させる際の問題点を示す説明図である。
【図16】 高電子移動度トランジスタ(HEMT)の物理的な構成を示す平面図、及びそのX−X断面図である。
【図17】 従来装置の概略構成図である。
【符号の説明】
2,4,4a…高周波信号切替装置 10…共通伝送線路
11〜14…個別伝送線路 20…スタブ 24…分圧回路
22(22a,22b),31…トランジスタ 24a,24b…抵抗
30…高周波増幅器 32,33,35,36…伝送線路
34…入力整合回路 37…出力整合回路 38,39…コンデンサ
PS0〜PS4,PCD,PCG…電極パッド SW1〜4…スイッチ
Hc…チャネル層 Hd…ドープ層 Hg…ゲートコンタクト層
Hp…キャップ層 KD…ドレイン電極 KG…ゲート電極
KS…ソース電極 R…リセス
Claims (14)
- 共通線及び該共通線から分岐する複数の個別線からなり、高周波信号を伝送する高周波信号線路と、
前記個別線毎に設けられ該個別線を導通,遮断するスイッチング手段と、
を備え、前記スイッチング手段により前記個別線のいずれかを択一的に導通させて高周波信号を伝送する高周波信号切替装置において、
前記スイッチング手段は、一端が前記個別線に接続されたスタブ、及び該スタブの前記個別線との接続端とは反対側に位置する制御端に接続されたトランジスタを備え、該トランジスタにより前記スタブの制御端の接続状態を開放或いは接地のいずれかに切り替えることにより、前記個別線の導通,遮断を制御するスタブ共振型スイッチからなり、
前記高周波信号線路を、前記共通線に対して線対称な形状に形成すると共に、該高周波信号線路が分岐する箇所ではT字分岐,或いは十字分岐を用いて、分岐した線路が直進方向,或いは垂直方向に分岐するよう形成し、
前記トランジスタのオン抵抗が、前記個別線間の伝送損失の相違を補償するよう個別に設定されていることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項1記載の高周波信号切替装置において、
前記スイッチング手段毎に、前記トランジスタのゲート幅を変化させることにより、該トランジスタのオン抵抗を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項2記載の高周波信号切替装置において、
前記トランジスタのゲートを櫛歯形状とし、形成する櫛歯の本数によってゲート幅を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項2記載の高周波信号切替装置において、
前記トランジスタのゲートを櫛歯形状とし、形成する櫛歯の長さによってゲート幅を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項1記載の高周波信号切替装置において、
前記トランジスタは、高電子移動度トランジスタからなり、
前記スイッチング手段毎に、前記トランジスタのリセス長を変化させることにより、該トランジスタのオン抵抗を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項1記載の高周波信号切替装置において、
前記トランジスタは、高電子移動度トランジスタからなり、
前記スイッチング手段毎に、前記トランジスタのリセス深さを変化させることにより、該トランジスタのオン抵抗を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項6記載の高周波信号切替装置において、
前記トランジスタのリセスを段溝形状とし、形成する溝の段数によってリセス深さを変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項1記載の高周波信号切替装置において、
前記スイッチング手段毎に、前記トランジスタに印加するゲートバイアス電圧を変化させることにより、該トランジスタのオン抵抗を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項8記載の高周波信号切替装置において、
供給電圧を分圧する分圧回路を設け、該分圧回路により、前記ゲートバイアス電圧を生成することを特徴とする高周波信号切替装置。 - 共通線及び該共通線から分岐する複数の個別線からなり、高周波信号を伝送する高周波信号線路と、
前記共通線上に設けられ、前記個別線に向けて伝送される高周波信号を増幅し且つ増幅率の設定が可変な増幅手段と、
前記個別線毎に設けられ、該個別線を導通,遮断するスイッチング手段と、
を備え、前記スイッチング手段により前記個別線のいずれかを択一的に導通させて高周波信号を伝送する高周波信号切替装置において、
前記スイッチング手段は、一端が前記個別線に接続されたスタブ、及び該スタブの前記 個別線との接続端とは反対側に位置する制御端に接続されたトランジスタを備え、該トランジスタにより前記スタブの制御端の接続状態を開放或いは接地のいずれかに切り替えることにより、前記個別線の導通,遮断を制御するスタブ共振型スイッチからなり、
前記高周波信号線路を、前記共通線に対して線対称な形状に形成すると共に、該高周波信号線路が分岐する箇所ではT字分岐,或いは十字分岐を用いて、分岐した線路が直進方向,或いは垂直方向に分岐するよう形成し、
前記個別線間の伝送損失の相違を補償するよう前記スイッチング手段の動作に応じて、前記増幅手段の増幅率の設定を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 共通線及び該共通線から分岐する複数の個別線からなり、高周波信号を伝送する高周波信号線路と、
前記共通線上に設けられ、前記個別線から伝送されてくる高周波信号を増幅し且つ増幅率の設定が可変な増幅手段と、
前記個別線毎に設けられ、該個別線を導通,遮断するスイッチング手段と、
を備え、前記スイッチング手段により前記個別線のいずれかを択一的に導通させて高周波信号を伝送する高周波信号切替装置において、
前記スイッチング手段は、一端が前記個別線に接続されたスタブ、及び該スタブの前記個別線との接続端とは反対側に位置する制御端に接続されたトランジスタを備え、該トランジスタにより前記スタブの制御端の接続状態を開放或いは接地のいずれかに切り替えることにより、前記個別線の導通,遮断を制御するスタブ共振型スイッチからなり、
前記高周波信号線路を、前記共通線に対して線対称な形状に形成すると共に、該高周波信号線路が分岐する箇所ではT字分岐,或いは十字分岐を用いて、分岐した線路が直進方向,或いは垂直方向に分岐するよう形成し、
前記個別線間の伝送損失の相違を補償するよう前記スイッチング手段の動作に応じて、前記増幅手段の増幅率の設定を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項10又は請求項11記載の高周波信号切替装置において、
前記増幅手段はトランジスタを含んで構成され、
該トランジスタのゲートバイアス電圧を変化させることにより、前記増幅率を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項10又は請求項11記載の高周波信号切替装置において、
前記増幅手段はトランジスタを含んで構成され、
該トランジスタのドレインバイアス電圧を変化させることにより、前記増幅率を変化させることを特徴とする高周波信号切替装置。 - 請求項13記載の高周波信号切替装置において、
前記増幅手段を構成するトランジスタは、デプレション型であり且つゲートバイアス電圧が接地電位に固定されていることを特徴とする高周波信号切替装置。
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