JP3978808B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、デジタル及びアナログ複写機、ファクシミリなどに利用される画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式では、種々の手段により静電荷の電気的潜像を形成し、該静電潜像を粉体からなる現像剤で現像し、必要に応じて紙あるいはフィルム等の基材上に粉体を転写した後、加圧、加熱等の方法により定着することが行われる。
近年、パーソナル化、省スペース化などの市場要求に伴い、複写機、プリンタ等の電子写真装置の小型化が促進される傾向にある。これらの装置の小型化を達成するためには、感光体ドラムおよび現像スリーブの小型化が必要となる。
【0003】
しかしながら、感光体ドラムおよび現像スリーブを小径化した場合には、感光体ドラムと現像スリーブ上に形成される現像剤の磁気穂との接触面積である現像ニップが狭くなり、現像量が少なくなるために高い画像濃度が得られにくくなる。
一般的に感光体ドラム径よりも現像スリーブ径の方が同等かもしくは小径化することが多く、現像スリーブ径は現像ニップに大きく寄与する。特に現像スリーブの曲率1/RS (ただし、RS は現像スリーブ径を表す)が0.04mm-1以上の小径スリーブであると、急激に現像ニップが狭くなり、現像性が悪くなって充分な画像濃度が得られない。現像性を向上させるには、装置側としては、感光体ドラムと現像スリーブとを接近させて現像ニップを稼ぐ方法や感光体ドラムとスリーブとの周速比Vs /VD (ただし、Vs は現像スリーブの周速、VD は感光体ドラムの周速を表す)を上げる方法が考えられる。
【0004】
しかし、前者は同時にドクターギャップ(現像剤供給量規制部材により規制された現像剤の現像穂厚み)を狭くする必要があるために現像剤にストレスがかかって劣化を促進し、後者は現像剤のトナー飛散やマシンへのトルク負荷が増大する問題があった。従って、装置の小型化を達成するための小径現像スリーブ採用には、ハード側では限界があり、現像剤での改良が求められていた。
【0005】
一方で、現像剤は現像剤中のトナー粒子の物性によっても様々な性能差が見られることが知られている。特に、小径現像スリーブとの関連においては、連続実写で画像濃度が低下し、かつカブリが増大する現象が頻発し、その改良が必要であったが、現像剤として最適な因子は何であるのかが明らかではなかったので解決が困難であった。
【0006】
以上のように、これらの課題に対する有効な対策としては、現状ではさほど効果的な提案は見あたらず、実用上十分に満足する画質が得られない状態にあった。従って、小径の現像スリーブとの組み合わせで画質を満足するような現像剤がないことが、現像スリーブ・感光体の小径化ひいては装置の小型化を行っていく上での制約となっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の現状に鑑み、その問題を解決すべくなれたものであって、装置の小型化が可能であり、かつ小型化によって引き起こされる画像品質劣化や特性劣化の問題がなく、具体的には、小径感光体ドラムに小径スリーブを用いて現像する画像形成方法であって、装置自体を小型化しても充分な画像濃度が得られ、連続実写においても画像濃度低下やカブリ増大等の問題がなく、またトナー飛散も少ない画像形成方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる目的を達成すべく、鋭意検討した結果、装置の小型化に寄与すべく曲率が大きな現像スリーブを用いた場合でも、使用する現像剤中のトナー粒子の形状係数をある範囲内に規定すれば、所期の目的が達成できることを知得し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、曲率1/RD(RDは感光体ドラムの直径)が0.03mm-1以上の感光体ドラム上に静電潜像を形成し、曲率1/Rs(Rsは現像スリーブの直径)が0.044mm-1以上の現像スリーブ上に二成分現像剤を供給し、感光体ドラムと現像スリーブとの回転方向を接触位置で逆方向にして現像を行う画像形成方法であって、前記二成分現像剤はトナーとキャリアの重量比が6〜12:100であって、当該トナーは球形化度が0.25〜0.4のトナー粒子を含有してなり、かつキャリアのD 50 (D 50 はキャリアの体積50%粒子径)が30〜75 μmであるものを使用することを特徴とする画像形成方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、小径の現像スリーブを用いる装置で生ずる不具合を解決し、良好な画像を得るものである。
本発明を構成する感光体ドラムとしては、たとえばセレン、ヒ素−セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン等の無機系のものやジアゾ化合物、色素等の有機系のものが挙げられる。
【0011】
本発明の画像形成方法は、小径の感光体ドラムとの組み合わせで特に有用であり、感光体ドラムとしては、曲率1/RD が0.02mm-1以上、好ましくは0.03mm-1以上、更に好ましくは0.04mm-1が望ましい。
本発明の現像スリーブは、曲率1/Rs (Rs は現像スリーブの直径)が0.044以上の小径スリーブが用いられる。好ましくは、0.047以上、更に好ましくは0.050以上の小径スリーブが用いられる。
【0012】
本発明によれば、上記した小径スリーブおよび小径ドラムの組み合わせの場合で、しかも上記した低周速比の場合でも良好な画像が得られるため、良好な性能の小型装置が実現可能である。
本発明に使用される感光体ドラムは、有機系の感光体ドラムが、製造のしやすさ、電気的および光学的な性能、コスト、安全性等の面で他のものに比べてメリットを有する。有機系の感光体ドラムの中でも、電荷発生層と電荷輸送層(表面層)とを有する積層型有機光導電性感光体ドラムであるのが特に好ましい。また、この表面層を構成するバインダ樹脂がポリカーボネート樹脂であれば、繰り返し使用による感光体の膜減りが少なく、従って感光体の電気特性の悪化が少ないので好適である。
【0013】
本発明現像剤は、現像が容易な二成分系現像剤である。二成分系現像剤のうち、トナーは溶融混練法、重合法その他の公知の方法で製造されるものを用いられるが、たとえば溶融混練法による場合、バインダ樹脂、着色剤、耐電制御剤、必要に応じて添加される無機微粒子粉、その他の物質等を溶融混練し、粉砕し、分級した微粉末であり、必要に応じて無機微粒子もしくは有機微粒子を外添したものが用いられる。
【0014】
バインダ樹脂としては、トナーに適した公知の種々のものが使用できる。例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル系共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル系共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単独重合体または共重合体)、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、キシレン樹脂並びにポリビニルブチラール樹脂等があるが、本発明に用いるのに特に好ましい樹脂としては、スチレン系樹脂、飽和もしくは不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂を挙げることができる。また、上記樹脂は単独で使用するに限らず、2種以上を併用することもできる。さらに、特公昭50−23354号公報、特開昭50−44836号公報等に記載される架橋系バインダ樹脂、あるいは特公昭55−6895号公報、特公昭63−32180号公報等に記載される非架橋系バインダ樹脂も使用できる。
【0015】
該バインダ樹脂の軟化点は、フローテスタ法で測定した値が100〜160℃であるのが好ましく、より好ましくは110〜150℃であるのが望ましい。軟化点が100℃未満の場合、定着での汚れ(いわゆる「ホットオフセット」現象)が発生し易く、160℃を越える場合は、定着強度が悪化する傾向にあるので好ましくない。また、バインダ樹脂のガラス転移温度は、示差熱分析装置で測定したときの転移温度(変曲点)が50℃以上であるのが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満の場合、長期保管時の熱安定性が悪く、トナーの凝集や固化を招き使用上問題がある。
【0016】
着色剤としては、従来から用いられているものが使用でき、特に制限されるものではなく、任意の適当な顔料や染料が使用できる。例えば、酸化チタン、亜鉛華、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、紺青、鉄黒、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、アントラキノン染料、モノアゾ及びビスアゾ系染顔料などを相当するトナーの色に合わせて単独または適宜混合して用いる。着色剤の含有量は、現像により可視像を形成することができるようにトナーを着色するのに十分な量であればよく、例えばバインダ樹脂100重量部に対して3〜20重量部とするのが好ましい。
【0017】
トナーの帯電極性については、使用するバインダ樹脂の組成により帯電制御する方法も考えられるが、通常は各種の帯電制御剤をトナー構成成分として添加することが行われる。
正帯電性トナーを得るための帯電制御剤としては、例えば、各種ニグロシン化合物、特公平1−54694号公報、特公平1−54695号公報、特公平1−54696号公報等に記載される4級アンモニウム塩化合物、特開昭51−455号公報、特公昭63−57787号公報、特公平2−501506号公報等に記載されるトリフェニルメタン化合物、特開平3−119364号公報、特開平3−202856号公報、特開平3−217851号公報等に記載されるイミダゾール誘導体やイミダゾール類の金属錯体等が挙げられる。中でも、ニグロシン化合物、4級アンモニウム塩化合物及びトリフェニルメタン化合物の中から選ばれる少なくとも1種の帯電制御剤を含有することが好ましい。
【0018】
一方、負帯電性トナーを得るための帯電制御剤としては、特公平3−37183号公報、特公平2−16916号公報等に記載の含金属アゾ染料や特公昭55−42752号公報等に記載のサリチル酸類金属錯体、特開昭63−163374号公報等に記載のサリチル酸金属塩、特開平5−119535号公報等に記載の金属元素を含有しないカリックスアレン化合物が挙げられる。この中でも、含金属アゾ染料やサリチル酸あるいはアルキルサリチル酸の金属化合物が好ましい。
【0019】
上記した帯電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法とがある。内添する場合、これら化合物の使用量は、前記バインダ樹脂100重量部に対して、通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で用いられる。また、外添する場合は、樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましい。また、2種以上を併用してもかまわない。帯電制御剤は樹脂中に混合して用いる他、トナー粒子表面に付着または固着させた形でも使用できる。
【0020】
この他、熱特性や物理特性を改良する目的でトナー中に内添しうる助剤としては、公知のものが使用可能であるが、たとえば、ポリアルキレンワックス、パラフィンワックス、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸等が挙げられる。その添加量は、バインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。トナーを溶融混練法で製造するときは、上記の各成分を混合した後、ニーダー等で混練し、冷却後、粉砕し、分級すればよい。トナーの平均粒径は5〜20μmが好適である。
【0021】
本発明において、そのトナー粒子は、その粒子形状の球状化の状態を球形化度(ワーデル球形化度)で表した場合、特定の数値範囲内である必要がある。具体的にはワーデル球形化度が0.25〜0.4であることを必須の要件とする。本発明でいうワーデル球形化度は次式で表される。
【0022】
【数1】
【0023】
なお、上式中、球形と仮定したときの比表面積は、たとえばコールタカウンタ(米Coulter社製)で測定した粒度分布からトナー粒子を真球状として仮定して得られる数値である。また、BET比表面積は、具体的にはフローソーブ2300型(島津製作所製)を用いて窒素吸着法により測定することができる。上記式にて得られるワーデル球形化度が0.25未満の場合、トナーの流動性が悪く、使用により画像濃度の低下やカブリの増大があり、好ましくない。一方、0.4を超える場合は、トナー流動性は良好だが、トナー消費量やトナー飛散が悪化する傾向を示すので好ましくない。
【0024】
本発明において、トナー粒子のワーデル球形化度を上記範囲に制御するには、従来知られていた各種形状制御技術が使用できるが、たとえば粉砕法によるトナー製造の場合には、粉砕工程での望ましい粉砕装置の選定およびその粉砕条件の設定により行うのがよい。具体的な例示としては、まず、ターボミル(ターボ工業社製)やクリプトロン(川崎重工社製)等の高速回転式微粉砕機等の機械式粉砕機を用いて行うのが好ましい。これらの機械式粉砕機は、高速回転するロータとケーシングとの微小間隙でのせん断作用および摩砕作用により粉砕を行うものであって、トナー粒子の形状として角張りが取れた形状が得られやすい。従って、たとえば特開平6−262095号公報や特開平6−262096号公報等に記載のようにロータおよびケーシングの形状や間隙距離等の各種条件を適宜選べば、前記の好ましいワーデル球形化度の範囲の粒子形状が得られる。別の方法としては、微粉砕機として流動層式ジェットミル等の流動層式粉砕機を採用する方法が好ましい。この方式のジェットミルは、従来多用される衝撃式ジェットミル(1式ジェットミル)が、衝突板と粒子との衝突による単純な衝撃作用で大部分の粉砕が行われるのに対し、流動層状態での被粉砕物粒子同士の衝撃と摩擦作用により粉砕が行われるので、適当な粉砕条件を選べば前記したワーデル球形化度の範囲の粒子形状が得られやすい。なお、以上の望ましい実施態様の粉砕機においては、必要に応じて温度調節された空気を粉砕室に供給するなどの各種の補助手段をとってもよい。
【0025】
上記したトナーには、さらに流動性改質等を目的として各種の外添剤を外添してもよく、この種の外添剤としては、公知のいずれのものであってもよい。たとえば、流動性向上を目的として、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物微粒子が添加しうる。これらの金属酸化物微粒子は平均一次粒子径が5〜100nmであるのがよく、各種の疎水化処理剤で疎水化処理されているものがよい。特には、ジメチルジクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーン化合物などで疎水化処理された酸化ケイ素微粒子であるのがより好ましい。これらの添加物微粒子の使用量は、トナー粒子100重量部に対し、0.01〜5重量部含有されるのが好ましい。2種以上併用する場合でも前記範囲内が望ましい。
【0026】
この他帯電調整等を目的とする外添剤としては、たとえば酸化鉄、酸化クロム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、導電性チタニア、酸化アンチモン、酸化錫、酸化セリウム、酸化バリウム、ハイドロタルサイト類化合物、アクリル樹脂ビーズ、シリコン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズなどの無機、有機微粒子(抵抗、疎水化、帯電性等を改質する目的でシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコンオイル、アミノ基を含有したスチレン系樹脂等で表面処理されてもよい)を適量添加してもよく、好ましくはトナー100重量部に対して0.05〜10重量部である。
【0027】
本発明に係わる現像剤は、以上述べたトナー粒子とキャリア物質とを混合して二成分現像剤として使用することが望ましい。現像剤の帯電極性は正負いずれであってもよい。
二成分現像剤で用いられるキャリアの種類としては、その表面を樹脂等により表面被覆されてもよい鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、等が使用できる。本発明におけるキャリアとしては、鉄粉であるのが好ましく、表面被覆された鉄粉が一層望ましい。キャリアの表面被覆を行うための樹脂としては、各種の変性樹脂を含んでもよい、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、その中でもフッ素系樹脂が特に好ましいが、本発明においては、キャリアの表面の少なくとも一部が、フッ素系樹脂を用いて表面被覆されていることが望ましい。
【0028】
また、キャリアの形状としては、球形、不定形等があるが、特に不定形が好ましい。トナーとキャリアとの混合重量比は6〜12:100の範囲がよい。トナーの混合重量比がこの範囲を下回る場合は、充分な画像濃度が得難い。また、上回る場合は、トナー飛散が激しくなるので好ましくない。キャリアのD50(体積50%径)は30〜75μmであるのが好ましい。D50が30μm未満の場合は、感光体ドラムへのキャリアの付着が発生して画像欠陥を引き起こす。一方、75μmを超える場合には、トナー飛散やカブリが発生しやすいので好ましくない。
【0029】
更に本発明現像のキャリアはD10が30μm以下で且つD90が75μm以上であることが望ましい。粒径分布D10,D90は、ドイツ SYMPATEC社製レーザー回折式粒度分布測定装置(型式HEROS&RODOS)を用いて、分散圧2bar、測定時間2秒で測定することができる。ここでD10とは体積10%粒子径、D90は体積90%粒子径を表す。
【0030】
なお、本画像形成方法としては、感光体ドラムの潜像の静電極性とトナーの荷電極性が異極性の場合の正規現像方法および同極性の反転現像方法が知られているが、いずれにも適用可能である。通常、正規現像方法は複写機等で、反転現像方法はレーザービームプリンター等で用いられる方式である。
図1に、本発明の画像形成方法の一例を示す。
感光体ドラム1に静電潜像が形成され、それを現像スリーブ2に保持させた現像剤3を現像剤規制部材5を通過させることにより感光体ドラム1の静電潜像に定量供給して現像を行う。繰り返し使用においては、トナー補給ローラ7を通して、トナー4を落下させて現像剤3への補給を行う。その際、現像剤撹拌部材6により、トナー4が現像剤3の中に混合される。
【0031】
本発明において、小径ドラムを使用する場合、カブリやトナー飛散等の課題を改良するためには、感光体ドラム1と現像剤3が供給された現像スリーブ2の回転方向とを接触位置で逆方向にして現像を行う、いわゆるアゲインスト現像を行うのが好ましい。
スリーブの周速VS と感光体ドラムの周速VD の比|VS /VD |は3.5以下であることが望ましい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されない。なお、下記実施例および比較例中、単に「部」とあるのは、いずれも「重量部」を意味する。
【0033】
実施例1
スチレン系樹脂 100部
(モノマー重量比:スチレン/n−ブチルアクリレート=82/18)
4級アンモニウム塩帯電制御剤 3部
(ボントロンP51、オリエント化学社製)
カーボンブラック 5部
(三菱カーボンブラック#40、三菱化学社製)
低分子量ポリプロピレン 2部
(ビスコール550P、三洋化成社製)
【0034】
上記の各成分をスーパーミキサ(カワタ社製)にて混合し、2軸押し出し機にて混練し、流動層ジェットミルにて粉砕し、分級して平均粒径約10μm、ワーデル球形化度0.29の黒色トナーを得た。
このトナー100部に対して、疎水化処理二酸化ケイ素(商品名アエロジルR972、日本アエロジル社製、平均一次粒子径約16nm)0.2部とをスーパーミキサにて外添処理した。
【0035】
得られたトナー10部とフッ素系樹脂で表面被覆された鉄粉キャリア(体積50%径約50μm)100部とを混合、撹拌し正帯電性の2成分現像剤を作製した。
次に、この現像剤を用い、マグネットを内包した曲率0.050mm-1の金属製現像スリーブを有し、感光体ドラムとして表面層の樹脂がポリカーボネート樹脂である曲率0.033mm-1の積層型有機光導電体を用いたアゲインスト現像の市販の複写機の改造機(周速比Vs /VD が2.9)を評価装置として実写テストを行った。実写テストに使用した補給用のトナーは、上記現像剤用に用いられたトナーと同一組成物のものである。実写環境は25℃、50%RHにて行った。
【0036】
なお、実写方法としては、通常のコピー用紙で10000枚の連続実写を行って耐久性を確認した。
その結果、10000枚後の画像濃度も十分高くほとんど初期の状態と遜色がなかった。また、カブリやトナー飛散は問題のないレベルであり、その他の画質も全く問題がなく、良好な耐久性を有することがわかった。
【0037】
比較例1
ワーデル球形化度が0.23のトナー粒子を用いる以外、実施例1と全く同様にしてトナーを得、現像剤を作成した。次いで、実施例1と全く同様の実写評価を行った。
その結果、約2000枚の実写後、画像濃度の低下とカブリの悪化が見られるようになり、実用上の問題があった。
【0038】
比較例2
ワーデル球形化度が0.43のトナー粒子を用いる以外、実施例1と全く同様にしてトナーを得、現像剤を作成した。次いで、実施例1と全く同様の実写評価を行った。
その結果、約5000枚の実写後、トナー飛散が甚だしく、また、そのときのトナー消費量も過剰であり、実用上の問題があった。
【0039】
実施例2
ワーデル球形化度が0.37のトナー粒子を用いる以外、実施例1と全く同様にしてトナーを得、現像剤を作成した。次いで、実施例1と全く同様の実写評価を行った。
その結果、10000枚の実写を通じて、実施例1と同様良好な画像が得られ、トナー飛散等の問題もなかった。
【0040】
実施例3
ポリエステル樹脂 100部
(ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物とテレフタル酸とトリメリト酸とから合成されたもの)
ニグロシン染料帯電制御剤 2部
(ボントロンNO4、オリエント化学社製)
カーボンブラック 7部
(三菱カーボンブラックMA600、三菱化学社製)
低分子量ポリエチレン 4部
(ヘキストワックスPE130、ヘキスト社製)
【0041】
上記の各成分をスーパーミキサ(カワタ社製)にて混合し、二軸押し出し機にて混練し、ターボミル(ターボ工業社製)にて粉砕し、分級して平均粒径約8μm、ワーデル球形化度0.33の黒色トナーを得た。
このトナー100部に対して、疎水化処理二酸化ケイ素(商品名アエロジルR812、日本アエロジル社製、平均一次粒子径約7nm)0.3部とをスーパーミキサにて外添処理した。
【0042】
得られたトナー8部とフッ素系樹脂で表面被覆された鉄粉キャリア(体積50%径約60μm)100部とを混合、撹拌し正帯電性の二成分現像剤を作製した。
次に、この現像剤を用い、マグネットを内包した曲率0.050mm-1の金属製現像スリーブを有し、感光体ドラムとして表面層の樹脂がポリカーボネート樹脂である曲率0.042mm-1の積層型有機光導電体を用いたアゲインスト現像の市販の複写機の改造機(周速比Vs /VD が2.7)を評価装置として実写テストを行った。実写テストに使用した補給用のトナーは、上記現像剤用に用いられたトナーと同一組成物のものである。実写環境は25℃、50%RHにて行った。
【0043】
なお、実写方法としては、通常のコピー用紙で10000枚の連続実写を行って耐久性を確認した。
その結果、10000枚後の画像濃度も十分高くほとんど初期の状態と遜色がなかった。また、カブリやトナー飛散は問題のないレベルであり、その他の画質も全く問題がなく、良好な耐久性を有することがわかった。
【0044】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法および静電潜像現像剤は、画質に起因する制約なしに装置の小型化、省スペース化が可能である。特に小径化した現像スリーブと感光体ドラムとを採用した装置で低周速比の場合に発生しやすい問題を容易に改良でき、具体的には以下の効果を有する耐久性の高い画像形成方法および2成分現像剤が得られるので工業的利用価値は大きい。
▲1▼ 画像濃度が高く、連続実写でも低下がない。
▲2▼ カブリが低い。
▲3▼ トナー飛散による機内汚染がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成方法を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 現像スリーブ
3 現像剤
4 トナー
5 現像剤規制部材
6 現像剤撹拌部材
7 トナー補給ローラ
Claims (4)
- 曲率1/RD(RDは感光体ドラムの直径)が0.03mm-1以上の感光体ドラム上に静電潜像を形成し、曲率1/Rs(Rsは現像スリーブの直径)が0.044mm-1以上の現像スリーブ上に二成分現像剤を供給し、感光体ドラムと現像スリーブとの回転方向を接触位置で逆方向にして現像を行う画像形成方法であって、前記二成分現像剤はトナーとキャリアの重量比が6〜12:100であって、当該トナーは球形化度が0.25〜0.4のトナー粒子を含有してなり、かつキャリアのD 50 (D 50 はキャリアの体積50%粒子径)が30〜75μmであるものを使用することを特徴とする画像形成方法。
- キャリアが、鉄の粉体である請求項1記載の画像形成方法。
- キャリアが、フッ素系樹脂被覆された鉄の粉体である請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 現像スリーブの周速Vsと感光体ドラムの周速の比|Vs/VD|が3.5以下である請求項1〜3いずれかに記載の画像形成方法。
Priority Applications (1)
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