JP3584639B2 - 画像形成方法および静電潜像現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、デジタルおよびアナログ複写機、ファクシミリなどに利用される電子写真方式を応用した画像形成方法および静電潜像現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式では、各種の光導電性物質を含有する光導電体をアルミニウム等の金属等の基体上に設けてなる静電潜像保持部材(通常は円筒状に加工された感光体ドラム)上に、種々の手段により静電荷の電気的潜像を形成し、該静電潜像を現像剤搬送部材に粉体からなる現像剤を供給して現像し、必要に応じて紙あるいはフィルム等の機材上に粉体を転写した後、加圧、加熱等の方法により定着することが行われる。
現像剤搬送部材は、マグネットを内包した金属製円筒状のものであり、供給される現像剤としては、一般にトナーとキャリアとの混合物からなる2成分系現像剤が多用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、パーソナル化、省スペース化などの市場要求に伴い、複写機、プリンター等の電子写真装置の小型化が促進される傾向にある。これらの装置の小型化を達成するためには、静電潜像保持部材(感光体ドラム)の小径化が望まれ、特に直径40mm以下の小径化が望まれている。
しかし、感光体ドラムを小径化していくにつれてドラムの曲率は大きくなるから、感光体ドラムと現像剤搬送部材上の現像剤との接触の巾、すなわち現像ニップを充分に取ることが難しくなる。従って、感光体ドラムへの現像量が不足しやすく、結果として充分な画像濃度が得られない傾向を示す。
【0004】
また、装置の小型化・パーソナル化を目指す上では、トナー飛散を防止する必要があり、その対策として静電潜像保持部材の回転方向と現像剤が供給された現像剤搬送部材の回転方向とを接触位置で逆方向にして現像を行う(アゲインスト現像)ことが行われるが、この場合は、感光体ドラムへの現像量の不足を招き、充分な画像濃度が得られない。
こうした現像量の不足を補うためには、現像剤搬送部材の回転数を上げて、相対的に現像剤搬送部材の周速を高めること、つまり、現像剤搬送部材上の現像剤と感光体ドラムとの接触回数を高めることで現像量を増やすことが有効な手段として考えられる。
しかし、上記した方法では、確かに充分な画像濃度は得られるようになるのだが、反面、現像剤への過度のストレスが発生しやすくなるので、画像へのカブリの増加や機内へのトナー飛散が目立つようになり、実用上問題となる。
【0005】
一方で、前記光導電体は、画像形成工程で繰り返し使用されるので、現像剤との摺擦による表面傷が発生することがあり、甚だしい場合は、画像欠陥として表れる。この現象は、感光体ドラムの径が小さくなるほど顕著となる。特に、有機光導電体は、有機物質や高分子物質で構成されるものであるから、現像剤との摺擦による表面傷が特に発生しやすい傾向にある。感光体としての優れた特性を有しているにも係わらず、小径の感光体ドラムで使用する際の上記課題が解決されないことは、こうした有機光導電体を使用する上での大きな問題になっていた。
さらに、現像剤の耐久性に関しても課題があり、長寿命の現像剤が求められるが、必ずしも現状では充分ではない。
【0006】
これらの課題に対する有効な対策としては、現状ではさほど効果的な提案は見あたらず、実用上充分に満足する画質が得られない状態にあった。従って、小径の感光体ドラムとの組み合わせで画質を満足するような現像剤がないことは、感光体ドラムの小径化ひいては装置の小型化を行っていく上での制約となっていた。
本発明は、上記した現状に鑑み、その問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、装置の小型化が可能であり、かつ小型化によって引き起こされる画質上の問題がなく、具体的には、特にアゲインスト現像を行う際に、周速比Cを過度に大きくしなくても充分な画像濃度の水準を維持し、カブリやトナー飛散の発生が少なく、しかも感光体ドラムの表面傷による画像欠陥のない高耐久性の画像形成方法および静電潜像現像剤を提供することにある。
なお、本発明において、周速比Cは以下のように定義される。
周速比C=(現像剤搬送部材の周速)/(静電潜像保持部材の周速)
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる目的を達成すべく、小径の感光体ドラムを採用する小型の装置において良好な画質が得られる画像形成方法および静電潜像現像剤を目指して鋭意検討した結果、周速比Cを4以下とした場合でも、特定の粒度を有するキャリアを使用すればよいことを見いだし本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、静電潜像を保持する直径40mm以下の円筒状の静電潜像保持部材に、マグネットを内包する円筒状の現像剤搬送部材により、現像剤搬送部材と静電潜像保持部材の周速比を4以下として、トナーおよびキャリアを含有する静電潜像現像剤を供給し、静電潜像を現像する画像形成方法であって、静電潜像保持部材の回転方向と現像剤搬送部材の回転方向とが接触位置で逆方向であり、前記キャリアが鉄粉であり、該キャリアの篩目開き38μm以下の量が30〜50重量%であることを特徴とする画像形成方法、および、静電潜像を保持する直径40mm以下の円筒状の静電潜像保持部材に、マグネットを内包する円筒状の現像剤搬送部材により、現像剤搬送部材と静電潜像保持部材の周速比を4以下として、トナーおよびキャリアを含有する静電潜像現像剤を供給し、静電潜像を現像する画像形成方法であって、静電潜像保持部材の回転方向と現像剤搬送部材の回転方向とが接触位置で逆方向であり、静電潜像保持部材がポリカーボネート樹脂を表面層に有する有機光導電体であり、前記キャリアの篩目開き38μm以下の量が30〜50重量%であることを特徴とする画像形成方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、小径の感光体ドラムを用いる装置で生ずる不具合を解決し、良好な画像を得るものである。
本発明では、直径40mm以下、好ましくは30mm以下の感光体ドラムが採用される。しかし、前述のように、従来の現像剤では感光体ドラムが小径の場合、画質が劣悪となり、装置自体は小型化を達成するものの画質面では満足すべき結果は得られない。その点、本発明によれば、小径の感光体ドラムの場合に良好な画像が得られるため、良好な性能の小型装置が実現可能である。
本発明に係わる感光体ドラムとしては、有機光導電体を有する有機光導電性感光体ドラムが、製造のしやすさ、電気的および光学的な性能、コスト、安全性等の面で他のものに比べてメリットを有する。有機光導電性感光体ドラムの中でも、電荷発生層と電荷輸送層(表面層)とを有する積層型有機光導電性感光体ドラムであるのが特に好ましい。また、この表面層を構成するバインダ樹脂がポリカーボネート樹脂であれば、繰り返し使用による光導電体の膜減りが少なく、従って感光体ドラムの電気特性の悪化が少ないので好適である。
【0010】
一方、トナーはバインダ樹脂、着色剤、帯電制御剤、必要に応じて添加される磁性粉、その他の物質等を溶融混練し、粉砕し、分級した微粉末である。
前記トナー構成成分のうち、バインダ樹脂としては、トナーに適した公知の種々のものが使用できる。例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単独重合体または共重合体)、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、キシレン樹脂並びにポリビニルブチラール樹脂等があるが、本発明に用いるのに特に好ましい樹脂としては、スチレン系樹脂、飽和もしくは不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂を挙げることができる。また、上記樹脂は単独で使用するに限らず、2種以上を併用することもできる。さらに、特公昭50−23354号公報、特開昭50−44836号公報等に記載される架橋系バインダ樹脂、あるいは特公昭55−6895号公報、特公昭63−32180号公報等に記載される非架橋系バインダ樹脂も使用できる。
【0011】
トナーのガラス転移温度は、示差熱分析装置で測定したときの転移温度(変曲点)が50℃以上であるのが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満の場合、長期保管時の熱安定性が悪く、トナーの凝集や固化を招き使用上問題がある。
【0012】
着色剤としては、従来から用いられるものであれば、特に制限されるものではなく、任意の適当な顔料や染料が使用できる。例えば、酸化チタン、亜鉛華、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、紺青、鉄黒、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、アントラキノン系染料、モノアゾ及びジスアゾ系染顔料などを相当するトナーの色に合わせて単独または適宜混合して用いる。着色剤の含有量は、現像により可視像を形成することができるようトナーを着色するに充分な量であればよく、例えばバインダ樹脂100重量部に対して3〜20重量部とするのが好ましい。
【0013】
トナーの帯電極性に関し、使用するバインダ樹脂の組成により帯電制御する方策も考えられるが、通常は各種公知の帯電制御剤をトナー構成成分として添加することが行われる。
正帯電性トナーを得るための帯電制御剤としては、例えば各種ニグロシン化合物、特公平1−54694号公報、特公平1−54695号公報、特公平1−54696号公報等に記載される4級アンモニウム塩化合物、特開昭51−455号公報、特公昭63−57787号公報、特公平2−501506号公報等に記載されるトリフェニルメタン化合物、特開平3−119364号公報、特開平3−202856号公報、特開平3−217851号公報等に記載されるイミダゾール誘導体やイミダゾール類の金属錯体等が挙げられる。
【0014】
本発明では、中でも、ニグロシン化合物、4級アンモニウム塩化合物及びトリフェニルメタン化合物の中から選ばれる少なくとも1種の帯電制御剤を含有する正帯電性トナーを含む正帯電性の現像剤であるのが好適である。上記した帯電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナーに内添する方法と外添する方法とがある。内添する場合、これら化合物の使用量は、前記バインダ樹脂100重量部に対して、通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で用いられる。また、外添する場合は、樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましい。上記添加範囲内で、帯電制御剤の内添と外添を組み合わせて行ってもよい。
【0015】
この他、熱特性や物理特性を改良する目的でトナー中に内添しうる助剤としては、公知のものが使用可能であるが、例えば、ポリアルキレンワックス、パラフィンワックス、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸等が挙げられる。その添加量は、バインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
トナーの製造方法としては、上記の各成分を混合した後、ニーダー等で混練し、冷却後、粉砕し、分級すればよい。トナーの平均粒径は5〜20μmが好適である。
【0016】
外添剤としては、公知のいずれのものであってもよいが、例えば、流動性向上剤としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物微粒子が挙げられる。これらの金属酸化物微粒子は平均一次粒子径が5〜100nmであるのがよく、各種の疎水化処理剤で疎水化処理されているのがよい。特には、ジメチルジクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーン化合物などで疎水化処理された酸化ケイ素微粒子であるのがより好ましい。また、研磨剤としては、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム等の微粒子がよく、さらに帯電性向上剤として各種ハイドロタルサイト類、表面処理されてもよい樹脂ビーズ類等が挙げられる。上記した各種外添剤は、各々単独で使用するに限らず、任意に併用することが可能である。
これらの外添剤の使用量は、トナー100重量部に対し、0.01〜5重量部含有されるのが好ましい。2種以上併用する場合でも前記範囲内が望ましい。
【0017】
本発明に係わる現像剤は、以上述べたトナーとキャリアとを混合した、いわゆる正帯電性の2成分系現像剤として用いられるのが最適である。
2成分系現像剤で用いられるキャリアとしては、篩目開き38μm以下の量が全キャリア中の30〜50重量%であれば、それ以外特に制限はない。篩目開き38μm以下の量が30重量%を下回る場合は、カブリやトナー飛散が激しくなる傾向を示し、50重量%を上回る場合は、画像濃度が出にくい傾向を示すので、好ましくない。本発明において、キャリアの篩目開き38μm以下の量の測定は、JIS Z−8801(試験用篩い)に示される目開き38μmの篩いを用いて、JIS H−2601(鉄粉)に示される方法に準じて測定される。
【0018】
キャリアの種類としては、その表面を樹脂等により表面被覆されてもよい鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉等が使用できる。本発明におけるキャリアとしては、鉄粉であるのが好ましく、表面被覆された鉄粉が一層望ましい。キャリアの表面被覆を行うための樹脂としては、各種の変性樹脂を含んでもよい、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、その中でもフッ素系樹脂が特に好ましいが、本発明においては、キャリアの表面の少なくとも一部が、フッ素系樹脂を用いて表面被覆されていることが望ましい。また、キャリアの形状としては、球形、不定形等があるが、特に不定形が好ましい。トナーとキャリアとの混合重量比は8〜12:92〜88の範囲がよい。トナーの混合重量比が8を下回る場合は、充分な画像濃度が得られない。また、12を超える場合は、トナー飛散が激しくなるので好ましくない。かくして得られる本発明に係わる現像剤の見掛け密度はJIS Z−2504(金属粉の見掛け密度試験法)に記載の方法で測定した場合、1.90g/cm3 以下であるのが好ましく、1.60〜1.80g/cm3 の範囲であるのが一層好ましい。現像剤の見掛け密度が1.90g/cm3 を超える場合には、連続実写でのカブリの上昇が見られたり、感光体ドラムへの傷が発生しやすくなる傾向を示すので好ましくない。
【0019】
なお、本発明の画像形成方法としては、感光体ドラムの静電潜像の極性とトナーの帯電極性が異極性の場合の正規現像方法および同極性の反転現像方法が知られているが、いずれにも適用可能である。通常、正規現像方法は複写機等で、反転現像方法はレーザービームプリンター等で用いられる方式である。
【0020】
図1に、本発明の画像形成方法の一例を示す。
静電潜像保持部材1に静電潜像が形成され、それを現像剤搬送部材2に保持される現像剤3を現像剤規制部材5を通過させることにより静電潜像保持部材1の静電潜像に定量供給して現像を行う。繰り返し使用においては、トナー補給ローラ7を通して、トナー4を落下させて現像剤3への補給を行う。その際、現像剤攪拌部材6により、トナー4が現像剤3の中に混合される。
【0021】
本発明において、小径の感光体ドラムを使用する場合、カブリやトナー飛散等の課題を改良するためには、アゲインスト現像を行うのが好ましい。また、周速比Cは4以下とするのがよく、3.5以下にするのがより好ましい。しかし、一般にアゲインスト現像で周速比Cを小さくすると、画像濃度が低いという解決すべき課題が従来あった。
本発明が、上記した各種課題を有効に解決できる理由は以下のように推定できる。
【0022】
すなわち、相対的に画像濃度が出にくい周速比である場合、現像剤側の改良手段として、現像剤中のトナーの混合比率を高めて感光体ドラムへの現像量をアップさせることが考えられる。しかし、通常のキャリア粒度では、トナーの混合許容量が低く、カブリやトナー飛散を誘発しやすい。本発明では、キャリアの篩目開き38μm以下の量を30〜50重量%と増やすことによって、トナー混合許容量を飛躍的に高めることが可能となり、カブリやトナー飛散等の悪影響を回避しながら画像濃度を維持できるものと推定される。また、好ましい実施様態として不定形鉄粉とその表面被覆剤としてフッ素系樹脂を採用することにより、現像剤の見掛け密度を低く、嵩高くすることができるので、トナーが補給された場合でも速やかに現像剤への混合が進み、トナーの混合不良によるカブリやトナー飛散の問題が発生しないものと推定される。さらに、このような現像剤は、有機光導電性感光体ドラムとの接触を繰り返した場合でも、感光体ドラムへのストレスを与えにくいから、接触による傷の発生がないものと推定できる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
なお、下記実施例および比較例中、単に「部」とあるのは、いずれも「重量部」を意味するものとする。
【0024】
実施例1
スチレン系樹脂 100部
(モノマー重量比:スチレン/n−ブチルアクリレート=82/18)
ニグロシン化合物帯電制御剤 1部
(ポントロンN04、オリエント化学社製)
カーボンブラック 5部
(三菱カーボンブラック#40、三菱化学社製)
低分子量ポリプロピレン 2部
(ビスコール550P、三洋化成社製)
【0025】
上記の各成分を混合、混練、粉砕し、分級して平均11μmの正帯電性の黒色トナーを得た。
このトナー100部に対して、平均粒径約0.5μmのマグネタイト微粒子を2部と疎水化処理酸化ケイ素微粒子(商品名アエロジルR972、日本アエロジル社製、平均一次粒子径約16nm)0.2部とをスーパーミキサにて外添処理した。
得られたトナー10部とフッ素系樹脂で表面被覆された篩目開き38μm以下の量が約33重量%の鉄粉キャリア90部とを混合、攪拌し正帯電性の2成分系現像剤を作製した。
【0026】
次に、この現像剤を用い、感光体ドラムとして表面層のバインダ樹脂がポリカーボネート樹脂である直径30mmの積層型有機光導電性感光体ドラムを用いたアゲインスト現像の市販の複写機の改造機(周速比Cは3.3)を評価装置として実写テストを行った。実写テストに使用した補給用のトナーは、上記現像剤用に用いられたトナーと同一組成のものである。実写環境は25℃、50%RHにて行った。
なお、実写方法としては、通常のコピー用紙で10000枚の連続実写を行って耐久性を確認した。
その結果、10000枚後の画像濃度も充分高く、ほとんど初期の状態と遜色がなかった。また、カブリやトナー飛散は問題のないレベルであり、その他の画質も全く問題がなく、良好な耐久性を有することがわかった。
【0027】
比較例1
実施例1で使用した鉄粉キャリアを篩目開き38μm以下の量が約27重量%の鉄粉キャリアに変更した以外は、実施例1と全く同様にして現像剤を作製し、実写評価を行った。
その結果、画像濃度に関しては問題はなかったが、初期からカブリが高く、また約4000枚ではトナー飛散が甚だしく、コピー画像を汚染して実用上の問題があった。
【0028】
実施例2
実施例1で使用した鉄粉キャリアを篩目開き38μm以下の量が約45重量%の鉄粉キャリアに変更した以外は、実施例1と全く同様にして現像剤を作製し、実写評価を行った。
その結果、10000枚後の画像濃度も充分高く、ほとんど初期の状態と遜色がなかった。また、カブリやトナー飛散は問題のないレベルであり、その他の画質も全く問題がなく、良好な耐久性を有することがわかった。
【0029】
実施例3
実施例1で、周速比Cを3.0に変更する以外は、実施例1と全く同様にして実写評価を行った。
その結果、10000枚後の画像濃度も充分高く、ほとんど初期の状態と遜色がなかった。また、カブリやトナー飛散は問題のないレベルであり、その他の画質も全く問題がなく、良好な耐久性を有することがわかった。
【0030】
比較例2
実施例1で、周速比Cを4.2に変更する以外は、実施例1と全く同様にして実写評価を行った。
その結果、画像濃度は問題なく良好であったが、カブリが甚だしく、またトナー飛散も多く、実用に耐えなかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法および静電潜像現像剤は、画質に起因する制約なしに装置の小型化、省スペース化が可能である。特に小径化した感光体ドラムを採用した装置で発生しやすい問題を容易に改良でき、具体的には以下の効果を有するのでその工業的利用価値は大きい。
▲1▼ 画像濃度が高く、連続実写でも低下がない。
▲2▼ カブリが低い。
▲3▼ トナー飛散による機内汚染がない。
▲4▼ 有機光導電体表面への傷の発生がない。
▲5▼ 現像剤としての耐久性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法に関する説明図。
【符号の説明】
1 静電潜像保持部材
2 現像剤搬送部材
3 現像剤
4 トナー
5 現像剤規制部材
6 現像剤攪拌部材
7 トナー補給ローラ
Claims (3)
- 静電潜像を保持する直径40mm以下の円筒状の静電潜像保持部材に、マグネットを内包する円筒状の現像剤搬送部材により、現像剤搬送部材と静電潜像保持部材の周速比を4以下として、トナーおよびキャリアを含有する静電潜像現像剤を供給し、静電潜像を現像する画像形成方法であって、静電潜像保持部材の回転方向と現像剤搬送部材の回転方向とが接触位置で逆方向であり、前記キャリアが鉄粉であり、該キャリアの篩目開き38μm以下の量が30〜50重量%であることを特徴とする画像形成方法。
- 静電潜像を保持する直径40mm以下の円筒状の静電潜像保持部材に、マグネットを内包する円筒状の現像剤搬送部材により、現像剤搬送部材と静電潜像保持部材の周速比を4以下として、トナーおよびキャリアを含有する静電潜像現像剤を供給し、静電潜像を現像する画像形成方法であって、静電潜像保持部材の回転方向と現像剤搬送部材の回転方向とが接触位置で逆方向であり、静電潜像保持部材がポリカーボネート樹脂を表面層に有する有機光導電体であり、前記キャリアの篩目開き38μm以下の量が30〜50重量%であることを特徴とする画像形成方法。
- 前記キャリアが不定形鉄粉であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
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