JP3978220B2 - 陰極線管 - Google Patents
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Description
このような影響を避けるため、略中空角錐台形をした内部磁気シールドが電子ビームの通過領域を取り囲むように設けられる(例えば、特許文献1を参照。)。
当該水平分力Fxは次式で表される。
Fx=e(By・Vz−Bz・Vy) … (1)
上式(1)において、e:電子の電荷量、By:Y軸方向(垂直方向)の磁束密度、Bz:Z軸方向(管軸方向)の磁束密度、Vz:電子ビームのZ軸方向の速度、Vy:電子ビームのY軸方向の速度である。
ここで、陰極線管が管軸方向を南北に向けて設置されたような場合に、内部磁気シールドによって遮蔽しきれなかった地磁気によるBzが最大になると共に、もともとBzに比してByは小さいため、Fxが最も大きくなり、生じる色ずれも最大となる。
このような調整を磁気シールドの形状の工夫によって行うべく、従来、種々の試みがなされている。
図1は、その一例を示している。図1に示すように、内部磁気シールド200は、垂直方向に対向する一対の長辺側板202,204と水平方向に対向する一対の短辺側板206,208とが接合されて略中空角錐台形をしてなるものである。そして、短辺側板206、208は、電子銃側となる部分に逆台形状に切り込まれた切込部210を有している。
上記した課題に鑑み、本発明は、画面のコーナー付近のみならず画面中央上下端部付近の色ずれも低減できる陰極線管を提供することを目的とする。
さらに、前記小径開口部の縁辺の前記平面からの前記管軸方向の高さが、前記頂部から前記谷底部に向かって漸減するように前記内部磁気シールドを構成することもできる。
また、前記両短縁辺と前記両長縁辺が、各々の端部において連続するように前記内部磁気シールドを構成することもできる。
また、前記両短縁辺が逆台形、U字、V字、円弧の内のいずれか一の形状の谷状をしていると共に、前記両長縁辺が鈍角二等辺三角形の山状をするように前記内部磁気シールドを構成することもできる。
図2は、実施の形態に係るカラー陰極線管装置2の概略構成を示す断面図である。なお、カラー受像管装置2は、アスペクト比が4:3で対角サイズが29インチのカラー陰極線管装置である。
図2に示すように、カラー陰極線管装置2は、カラー陰極線管4と偏向ヨーク6とを備えている。
カラー陰極線管4は、略長方形をしたガラスパネル(以下、単に「パネル」と言う。)8とガラスファンネル(以下、単に「ファンネル」と言う。)10とが接合されてなるガラスバルブ12を有する。
パネル8の内面には、赤・緑・青の蛍光体が縦縞状(ストライプ状)に塗布されてなる(配列された)蛍光体スクリーン22が形成されている。
図示はしていないが、ファンネル10外周に、上下に対向させて一対の消磁コイルが設けられている。当該消磁コイルに減衰交番電流を通電して減衰交番磁界を発生させることにより、後述する磁気シールド構体に外部磁界(地磁気)の影響を軽減するような磁化を起こさせることができる(デガウス処理)。
上記電子ビーム18の通過領域を取り囲むように配された内部磁気シールド28が前記フレーム24に支持され、ガラスバルブ12内に収納されている。
図3に、磁気シールド構体30の斜視図を示す。なお、煩雑さを避けるため、図3においてシャドウマスク26はその輪郭のみで表している。
上記のように略中空角錐台形をした内部磁気シールド28の、大径の開口部側にはスカート40,42,44,46,…が延設されている。内部磁気シールド28は、当該スカート40,…においてフレーム24とスポット溶接によって接合されている。また、内部磁気シールド28の水平方向両端部部分とフレーム24とで挟持するように、短冊状をしたエレクトロンシールド板48,50が設けられている。エレクトロンシールド板48,50は、水平方向両端部側にオーバースキャンされた電子ビームを遮蔽するものである。
一方、長辺側板32,34の電子銃20側縁辺(以下、「長縁辺」と言う。)56,58は、鈍角二等辺三角形状に張り出した山状に形成されている。
また、短縁辺52,54と長縁辺56,58は、その連接部60,62,64,66において、段差を生じることなく連続して連なっている。これに加えて、パネル8内面と管軸との交点を含み当該管軸に直交する仮想平面(X−Y平面)からの管軸方向の高さが、長縁辺56,58の頂部56a,58aが最も高く(両頂部56a,58aは同じ高さ)、次いで、前記連接部60,62,64,66(連接部は全て同じ高さ)、短縁辺52,54の谷底部52a,54b(両谷底部52a,54bは同じ高さ)の順となる関係を有している。さらに、小径の開口部における縁辺の前記仮想平面からの管軸方向の高さが、前記頂部56a,58aから前記谷底部52a,54bに向かって漸減している。
カラー陰極線管をその管軸が南北を向くように設置すると、内部磁気シールド内に進入する地磁気による磁束が最大となる。また、地磁気中に置かれた内部磁気シールドは磁化し、この場合には、N極、S極の磁極の内、一方の磁極は、内部磁気シールドの小径の開口端部縁辺およびその近傍に現れる。また、前記したデガウス処理を行うことにより、内部磁気シールドは、前記磁極がより強められたかたちで、地磁気を打ち消すように磁化される。図3および図1において、当該磁極の現れる領域に薄墨を付した。
このとき、磁力線は管軸方向に流入するのであるから、当該管軸方向に受ける磁極の影響が長ければ長いほど(長距離になるほど)、積分効果により、一層大きく曲げられることとなる。
このことを、言葉を変えて説明すると以下のようになる。
一方、長縁辺216の中央付近における磁束218は、当該長縁辺216近傍に現れる磁極によって、垂直方向上方へ曲げられるものの、影響をうける管軸方向の距離は短いので、Bz0がByに変換される割合(Byの積分値)は小さい。したがって、画面中央部上下端部付近における色ずれはあまり低減されない。なお、当該磁束218は、前記斜辺210Aからは、遠く離れているので、当該斜辺210A近傍の磁極の影響はあまり受けない。
図3において、長縁辺56の中央付近に進入する磁束は、当該長縁辺56に現れる磁極によって、垂直方向上方へ曲げられる。しかも、当該長縁辺56は、電子銃20側に張り出した二等辺三角形状に形成されている。したがって、当該磁束は、管軸方向において当該二等辺三角形のほぼ高さに相当する長さに渡って当該磁極の影響を受ける。その結果、従来の内部磁気シールドよりも、Bz0がByに変換される割合(Byの積分値)が大きくなって、画面中央部上下端部付近における色ずれがより低減されることとなる。
測定に供した内部磁気シールドをモデル化したものを図4と図5にそれぞれ示す。
図4は、図3に示す実施の形態に係る内部磁気シールド28をモデル化した図であり、(a)は正面図を(b)は下面図を示している。図4に示す諸寸法は、L1=120mm、L2=170mm、W1=236mm、h1=150mm、h2=30mmである。
両内部磁気シールド共、軟鉄製とし、シャドウマスク(テンションマスク)が取り付けられたフレームに接合して磁気シールド構体とした上で、測定に供した。なお、両内部磁気シールドに対して用いたフレームとシャドウマスクは同じものである。また、測定に先立ち、前記したデガウス処理を行った。
当該グラフを図6に示す。
横軸は、シャドウマスクを基準に、当該マスク面から電子ビームの偏向中心までの距離を100%とした場合の、マスク面(0%)から電子銃側に向かう管軸方向の距離をパーセンテージで示している。なお、磁気シールド構体で取り囲まれるのは、0〜80%の範囲である
図6から、従来のものも実施の形態のものも、内部磁気シールドの入り口手前20%(グラフ上100%の位置)付近から急激に、Byが負側に大きくなっている。これは、磁極の影響が現れた結果である。しかし、その程度は、実施の形態に係る内部磁気シールド28の方が大きい。
測定位置は、図7に示すように、画面コーナ部(以下、単に「コーナ部」と言う。)、画面中央上下端部(以下、「NS部」と言う。)、コーナ部とNS部の中間部(以下、「NNE部」と言う。)である。
図8から明らかなように、NS部はもちろんのこと、NNE部とコーナ部でも色ずれが低減されることがわかる。
また、カラー陰極線管に対し、水平方向(X軸方向)に外部磁界をかけたときのコーナ部における水平方向の位置ずれ量についても測定を行った。測定結果は、従来の内部磁気シールド200を用いた場合も、実施の形態の内部磁気シールド28を用いた場合も共に、20μmであった。
すなわち、地磁気による電子ビームのミスランディングを小さく抑えることができるので、ブラックマトリックスによるガードバンド幅を縮小して、輝度コントラストを向上させることができる。
当該変形例を図9〜図15に示す。いずれの図においても(a)は、内部磁気シールドの正面図を、(b)は下面図をそれぞれ示しており、図4と同様な表現とした図である。
(2)図10に示す内部磁気シールド120は、短縁辺122をパネル側に落ち込んだ「U」字状(又は、弓状)とし、長縁辺124を電子銃側に張り出した弧状としたものである。
(4)図12に示す内部磁気シールド140は、短縁辺142をパネル側に落ち込んだ逆台形状とし、長縁辺144を電子銃側に張り出した階段状としたものである。
(6)図14に示す内部磁気シールド160は、短縁辺162をパネル側に落ち込んだ逆台形状とし、長縁辺164を電子銃側に張り出した二重三角山状としたものである。すなわち、長縁辺164は、図14に示すように、鈍角二等辺三角形の頂部近傍を底辺に平行に切除し、当該切除部分に、前記鈍角三角形よりも頂角の小さい(きつい)二等辺三角形を継ぎ足した形状に形成されている。
(8)短縁辺と長縁辺の形状の組合せは、ここまで説明してきたものに限らず、内部磁気シールド28、110、120.130、140、150、160、170の相互間で任意に組み替えても構わない。例えば、長縁辺を図2に示すような鈍角二等辺三角形の山状とし、短縁辺は、U字(図10)またはV字(図11)の形状をした谷状とすることとしても構わない。また、長縁辺を鈍角二等辺三角形の山状とし、図示はしないが、短縁辺を円弧の形状に落ち込んだ谷状としても良い。
また、上記実施の形態の内部磁気シールド28と同様に、変形例に係る内部磁気シールド110、120.130、140、150、160、170のいずれにおいても、小径の開口部における縁辺の前記仮想平面(X−Y平面)からの管軸方向の高さが、山状をした長縁辺の頂部から谷状をした短縁辺の谷底部に向かって漸減している。ここで、「高さが〜漸減している。」とは、頂部から谷底部に向かう途中で少なくとも高さが増加することの無いことを意味するものであり、途中に平坦な区間(高さが一定のまま推移する区間)を含んでもよい趣旨である。したがって、「高さが〜漸減している。」といえば、例えば、図12に示すように、長縁辺が階段状に形成されている構成も含むのである。要は、長縁辺がその全長に渡り全体的に山状をしており、短縁辺がその全長に渡り全体的に谷状をしていればよいのである。
10 ファンネル
12 ガラスバルブ
14 ネック部
20 インライン型電子銃
22 蛍光体スクリーン
24 フレーム
26 シャドウマスク
28、110、120、130、140、150、160、170 内部磁気シールド
52、54、112、122、132、142、152、162、172 短縁
56、58、114、124、134、144、154、164、174 長縁
176 スリット
Claims (8)
- 電子銃を収納したネック部を有するファンネルと、略長方形をしたパネルとが接合されてなるガラスバルブと、
長方形断面を有する略中空角錐台形状をし、前記ガラスバルブ内に、小径の開口部側を電子銃側に向けて収納された内部磁気シールドとを有し、
前記内部磁気シールドは、
小径開口部において対向する第1の短縁辺と第2の短縁辺とがその全長に渡り全体的にパネル側に落ち込んだ谷状をしていると共に、前記小径開口部において対向する第1の長縁辺と第2の長縁辺とがその全長に渡り全体的に電子銃側に張り出した山状をしていることを特徴とする陰極線管。 - 前記パネルの内面と前記陰極線管の管軸との交点を含み当該管軸に直交する平面からの前記管軸方向の高さが、前記山状をした前記両長縁辺の頂部が最も高く、次いで、前記両長縁辺と前記両短縁辺の連接部、前記両短縁辺の谷底部の順となる関係になるように前記内部磁気シールドが構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の陰極線管。
- 前記小径開口部の縁辺の前記平面からの前記管軸方向の高さが、前記頂部から前記谷底部に向かって漸減していることを特徴とする請求の範囲第2項記載の陰極線管。
- 前記両短縁辺の前記谷状と前記両長縁辺の前記山状は、各々の縁辺の中心に対して対称形を成していることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の陰極線管。
- 前記両短縁辺と前記両長縁辺は、各々の端部において連続していることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の陰極線管。
- 前記両短縁辺は逆台形、U字、V字、円弧の内のいずれか一の形状の谷状をしていると共に、前記両長縁辺は鈍角二等辺三角形の山状をしていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の陰極線管。
- 前記略中空角錐台形状は、前記第1の長縁辺を含む第1の長辺側板と前記第2の長縁辺を含む第2の長辺側板とが対向して配され、前記第1の短縁辺を含む第1の短辺側板と前記第2の短縁辺を含む第2の短辺側板とが対向して配されて形成されており、
前記第1の長辺側板と前記第2の長辺側板は、それぞれの長縁辺の中心部から前記パネル側に切れ込んだスリットを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の陰極線管。 - 前記内部磁気シールドを、大径側端部で支持する方形フレームと、
前記方形フレームに支持されるテンションマスクとを有し、
前記パネル内面には赤・緑・青の蛍光体が縦縞状に配列されてなる蛍光体スクリーンが形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第7項のいずれか1項に記載の陰極線管。
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