JP3977354B2 - 正極活物質の製造方法、負極活物質の製造方法及びリチウムを利用する二次電池の製造方法 - Google Patents

正極活物質の製造方法、負極活物質の製造方法及びリチウムを利用する二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムを利用する二次電池に関する。より詳細には、充放電を繰り返しによって発生するリチウムのデンドライとを抑え得るリチウム二次電池の製造方法に関する。
最近、大気中に含まれるCO2 ガス量が増加しつつあり、CO2 ガスの温室効果により地球の温暖化が生じると予測されている。このため、CO2 ガスを多量に排出する火力発電所、(該火力発電所は石油や石炭のような化石燃料を燃焼してそのエネルギーを電気エネルギーに変換している)は、新たに建設することが難しくなってきている。
また、火力発電による発電を最も効率よく行うためには、一定の条件で運転することが好ましい。発電量を急激に変化させることは難しいという理由もあり、発電量は工場なども一般に稼動する電力消費量の多い昼間に合わせて調整される。そのため、使用電力が低下する夜間においては、発電された電力を無駄にしているのが現状である。そこで、火力発電所などの発電機にて作られた電力の有効利用として、夜間電力を一般家庭などに設置した二次電池に蓄えて、これを電力消費量の多い昼間に使用して負荷を平準化する、いわゆるロードレベリングが提案されそれに使用し得る二次電池が熱望されている。
また、運転に伴って、炭素酸化物(COX )、窒素酸化物(NOX )、炭化水素化物(CH)及びパーティクルなどの大気を汚染するといわれる物質を排出しない電気自動車用途では、実用性の確保という点からもより高エネルギー密度の二次電池の開発が期待されている。
さらに、ブック型パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、ビデオカメラ及び携帯電話などのポータブル機器の電源用途では、より一層小型・軽量で高性能な二次電池の開発が急務になっている。
上記小型・軽量で高性能の二次電池としては、リチウム−グラファイト層間化合物を二次電池の負極に応用する例が非特許文献1に報告されて以来、例えばカーボンを負極物質に、リチウムイオンを層間化合物に導入したものを正極活物質に用い、カーボンの層間に充電反応でリチウムを挿入して蓄えるロッキングチェアー型二次電池、いわゆる"リチウムイオン電池"の開発が進み、一部実用化されつつある。このリチウムイオン電池では、リチウムをゲストとして層間にインターカレートするホスト材料のカーボンを負極に用いることによって、充電時のリチウムのデンドライト成長を抑えて、充放電サイクルにおいて長寿命を達成している。
このように長寿命の二次電池が達成できることから、負極に各種のカーボンを応用する提案及び研究も盛んに行われている。特許文献1では、水素/炭素の原子比が0.15未満、(002)面の面間隔が0.33ナノメートル以上、c軸の結晶子の大きさが15ナノメートル以下、である炭素材料を負極に用いたリチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを利用した二次電池が提案されている。また、特許文献2では、(002)面の面間隔が0.370ナノメートル以上、真密度1.70g/cm3 未満、かつ空気気流中における示差熱分析で700℃以上に発熱ピークを有しない、炭素材料を負極に用いた二次電池が提案されている。
また、各種のカーボンの電池負極への応用する研究例として、非特許文献2では炭素繊維、非特許文献3ではメソフェース微小球体、非特許文献4では天然グラファイト、非特許文献5ではグラファイトウィスカー、非特許文献6ではフルフリルアルコール樹脂の焼成体を負極として利用する研究が報告されている。
しかし、カーボンをリチウムを貯蔵する負極活物質として用いるリチウムイオン電池では、充放電の繰り返しにも安定して取り出せる放電容量が、炭素原子6個に1個のリチウム原子を蓄えるグラファイト層間化合物の理論容量を越えるものはまだ得られていない。したがって、カーボンを負極活物質としているリチウムイオン電池は、サイクル寿命は長いが、金属リチウムそのものを負極活物質に使用するリチウム電池の電池のエネルギー密度には及んでいない。
リチウム金属を負極に用いる高容量のリチウム蓄電池が実用化することが難しいのは、充放電の繰り返しによって発生し、短絡の主原因になるリチウムのデンドライトの発生を抑えることが難しいためである。リチウムのデンドライトが成長して、負極と正極が短絡状態になった場合、電池のもつエネルギーがその短絡部分で短時間で消費されることによって発熱し、電解液の溶媒が分解しガスを発生することによって内圧が高まり、電池の損傷を招いてしまう。この対策として、リチウムの反応性を抑えるため、負極にリチウム−アルミニウムなどのリチウム合金を用いる方法も提案されているが、サイクル寿命が充分満足されるものでなく広範囲な実用化には至っていない。
一方、非特許文献7には、リチウム一次電池よりエネルギー密度が劣るが、表面がエッチングされたアルミニウム箔を負極として用いた高エネルギー密度のリチウム二次電池の報告が掲載されている。しかし、充放電サイクルの実用域まで繰り返した場合、アルミニウム箔が膨張収縮を繰り返し、亀裂が入ってしまい、集電性が低下すると共にデンドライトの成長が起こり、実用レベルで使用可能なサイクル寿命を有する二次電池は得られない。
したがって、長寿命で、現在実用化しているカーボン負極より高エネルギー密度の負極材料の開発が熱望されている。
さらに、高エネルギー密度の二次電池を実現するには、正極材料の開発も必須である。現状では、正極活物質としてリチウムイオンを層間化合物に挿入(インターカレート)したリチウム−遷移金属酸化物が主に使用されているが、理論容量の40〜60%の放電容量しか達成されていない。
リチウムイオンをゲストとして充放電反応に利用する、"リチウムイオン電池"も含めたリチウム二次電池では、実用域のサイクル寿命を備え、かつ現在実用化しているカーボン負極及び遷移金属酸化物正極よりさらなる高容量な負極及び正極の開発が強く望まれている。
米国特許4,702,977号(特開昭62−122066号公報) 米国特許4,959,281号(特開平2−66856号公報) JOURNAL OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY 117, 222 (1970) 電気化学、Vol. 57, p614 (1989) 第34回電池討論会講演要旨集、p77 (1993) 第33回電池討論会講演要旨集、p217 (1992) 第34回電池討論会講演要旨集、p79 (1993) 電気化学協会第58回大会講演要旨集、p15(1991) JOURNAL OF APPLIED ELECTROCHEMISTRY 22 (1992) 620-627
本発明は、以下に示すようなリチウムを利用した二次電池を提供できる、正極活物質の製造方法、負極活物質の製造方法及びリチウムを利用する二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、リチウムイオンをゲストとして充放電反応に利用する、リチウムを利用した二次電池において、エネルギー密度が高く、かつ、サイクル寿命が長いリチウムを利用した二次電池を提供することを目的とする。
また、本発明は充放電効率が高く、エネルギー密度の高いリチウムを利用した二次電池を提供することを目的とする。
さらに本発明は、充放電に伴う電気化学反応より低い、電流密度でスムーズに行うことができるリチウムを利用した二次電池を提供することを目的とする。
加えて本発明は、デンドライトの発生がないか極めて少なく、高寿命で性能安定性の高いリチウムを利用した二次電池を提供することを目的とする。
また、本発明は少なくとも負極、正極、該負極と該正極との間に配置されたセパレータ及び電解質を有するリチウムを利用する二次電池であって、該負極または該正極の少なくともいずれか一方が多孔質中空構造を有する活物質を有するリチウムを利用する二次電池を提供することを目的とする。
前記目的は以下の手段によって達成される。
(1)水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得る工程を有することを特徴とする正極活物質の製造方法。
(2)少なくとも負極、正極、該負極と該正極との間に配置されたセパレータ及び電解質とを有するリチウムを利用する二次電池の製造方法であって、水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得ることによって正極活物質を製造する工程を有することを特徴とするリチウムを利用する二次電池の製造方法。
(3)二重円筒ノズルの中心に空気または高分子に親和性のない液体を通し、外側の円筒ノズルに溶融した高分子材または溶解した高分子材を通過させて紡糸し高分子の中空糸を作製した後、焼成し粉砕することにより多孔質中空構造のカーボンを得る工程を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
(4)植物を炭化した後、酸化処理とアルカリエッチング処理し、焼成粉砕することにより多孔質中空構造のカーボンを得る工程を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
(5)水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得る工程を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
(6)水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得る工程と、該工程で得られた多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を水素ガスの還元雰囲気で熱処理するか水素プラズマ中にさらして、還元することにより多孔質中空構造の金属粒子を得る工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
(7)前記金属粒子の表面に、酸化処理、ハロゲン化処理、窒化処理のいずれかの処理を施す工程をさらに有する前記(6)に記載の負極活物質の製造方法。
(8)有機高分子の微粒子を無電解メッキ液中に分散させ、還元反応で、有機高分子の微粒子表面に金属膜を形成した後、得られた金属膜で被覆された有機高分子粒子を溶媒中に分散させて有機高分子を溶解除去することにより多孔質中空構造の金属粒子を得る工程を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
(9)少なくとも負極、正極、該負極と該正極との間に配置されたセパレータ及び電解質とを有するリチウムを利用する二次電池の製造方法であって、前記(3)〜(8)の何れか一項に記載の方法で負極活物質を製造する工程を有することを特徴とするリチウムを利用する二次電池の製造方法。
本発明によれば、リチウムイオンの挿入脱離反応を利用したリチウムを利用した二次電池において、実質的な比表面積を高めた正極または負極を作製できるため、充放電に伴う電化化学反応をより低い電流密度でスムーズに行うことができる。その結果、サイクル寿命が長く、充放電率が高く、かつ、エネルギー密度の高い、リチウムを利用した二次電池を提供することが可能になる。
また、デンドライトの発生がないか極めて少なく性能安定性に優れた高寿命のリチウムを利用した二次電池を提供することができる。
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は少なくとも負極、正極、該負極と該正極との間に配されたセパレータ及び電解質を有するリチウム二次電池の電極(負極または正極)を多孔質中空構造としている。
このように本発明では、リチウム二次電池の正極または負極が多孔質中空構造を有した活物質から構成することで、電解液との接触面積が大きくなりリチウムイオンの電気化学反応にと伴う移動が容易になる、かつリチウムが挿入されるときの活物質の体積膨張で発生する歪みを抑えることができる。その結果、充放電による電気化学反応が効率的に進み、大電流も容易に流せ、電池容量を増大でき、充放電の繰り返しによる電極の破壊も抑制できる。したがって、急速充電が可能で高容量・長寿命のリチウム電池が実現できる。
また、本発明では、正極または負極の多孔質中空構造を有した活物質の中空部に、導電体を有する場合、集電能をさらに増すことができる。その結果、より大電流が流せ、充放電効率も向上できる。したがって、急速充電可能な高容量の二次電池の実現が可能となる。
さらに、本発明では、負極の多孔質中空構造を有した活物質が少なくともカーボンもしくは金属酸化物からなる場合には、充電時に析出するリチウムが電解液と直接接触しないので、リチウムのデンドライト成長が抑えられ、サイクル寿命を延ばすことができる。本発明で、負極の多孔質中空構造を有した活物質が少なくとも金属からなる場合にはリチウム析出時に金属表面にリチウムが析出するかその金属と合金化するため、負極の単位体積当たりに多量のリチウムを収納できるため、高容量が達成できる。
また、本発明では、負極の多孔質中空構造を有した活物質に、IUPACの無機化学命名法の元素の周期表の13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、17族元素から選択される元素を含有するカーボンを用いると、リチウムを多く挿入でき、加えて、不純物との反応性を低下させることができるので寿命を延ばすことができる。特に、元素の周期表の13族元素であるほう素、14族元素である珪素、15族元素である窒素やリンによる炭素の置換は、カーボンの結晶格子を延ばし、リチウムの収納空間を広げることができ、かつリチウム挿入時の体積膨張が少なくなるため膨張収縮による疲労劣化を抑えることができるので好ましい。元素の周期表の16族元素である酸素、17族元素であるフッ素や塩素の負極のカーボンの一部に結合させることによって、電解液中の不純物などとの反応性を低下させることができるので好ましい。これによって、さらに高容量・長寿命の負極を実現できる。
このようにリチウムイオンを挿入脱離できるホスト材料である多孔質中空構造の活物質を正極または負極に用いたリチウム二次電池では、高い電気容量とエネルギー密度を達成することができる。
なお、本発明では、リチウムを脱離もしくは挿入した物質で、かつリチウムを電気化学反応で可逆的に脱離挿入できる物質を、リチウム二次電池の活物質と呼ぶ。
以下、本発明を必要に応じて図面を用いてさらに詳細に説明する。
図1(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の二次電池を用いた、リチウムイオンのホスト材料となる正極活物質または負極活物質となる多孔質中空活物質の概念的断面を示す概略断面図である。
また、図2は図1(a)〜(c)に示されている球状形状構造の活物質の、図7は管状構造の活物質の概念的斜視図である。
図1(a)乃至(c)図2及び図7において、100は活物質構成材料、101は細孔、102は中空部、103は表皮層、104は中空部に設けた導電体である。
図1(a)及び図2に示される活物質は細孔101を有する活物質構成材料100で中空部102を形作るような構造とされている。図7では中空部102は円筒形とされている。
図1(b)に示される活物質は図1(a)の活物質構成材料100の外側表面に表皮層103が設けられている例である。表皮層103は空気中での活物質構成材料100の酸化安定性を向上するための表面酸化層や電解液との活物質構成材料100との反応性を抑制するためのハロゲン化物層のような反応抑制層を挙げることができる。
図1(c)に示されている活物質は、図1(a)の中空部102内に導電体104を設けた場合の例を示している。
上記中空構造を有する活物質の直径は、その調製方法と粉砕工程によって異なってくるが、電池の容量を高めるためには粒径が小さい方が充填密度を高めることができるため好ましい。
しかしながら、粒径が小さくなり過ぎるとその取り扱いが容易でなくなるので、上記中空活物質の粒の直径は0.01ミクロン〜100ミクロンとすることが好ましく、0.1ミクロン〜10ミクロンとするのがより好ましい。また、細孔の大きさは活物質粒の直径の1/10程度以下とすることが好ましい。
図3は本発明の二次電池に用いた正極または負極の構造の一例を説明するための概念図で、正極または負極の一面側部分の概略的断面図である。したがって、集電体200の両面側に活物質層203を設けることも可能である。正極または負極204は、集電体200上に図1(a)乃至(c)で説明したような断面形状の正極活物質または負極活物質である多孔質中空活物質201を結着剤202で結着され形成された活物質層203が設けられた構造とされている。図3では図示していないが、実際の電池では正極または負極の活物質層203に電解質が接触している。また、図3では図示していないが、多孔質の中空の活物質201の導電率が低い場合には、結着剤にさらに導電補助剤を加えて活物質層203を形成することが好ましい。また、活物質層内の活物質の占める割合は、電池の容量を高く保持するという点から、50wt%以上とすることが好ましく、70wt%以上とすることがより好ましい。
正極活物質剤にリチウム−遷移金属酸化物を採用する場合の多孔質中空構造の正極活物質粒子の調整方法としては、界面反応を利用する方法が一例として挙げられる。
より具体的には、本発明の各製造方法のうちの一つの製造方法に従い、水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得ることができる。さらに、中空部に導電体を設けた多孔質中空構造の正極活物質粒子の調製方法としては、上記エマルジョンを調製時に金属微粉末などの導電体粉を分散させた遷移金属塩水溶液を用いることによって容易に得ることができる。
負極活物質粒子も、正極活物質粒子と同様の方法で調製することができる。
次に多孔質中空構造の金属粒子の調製方法の好適な一例について説明する。
多孔質中空構造の金属粒子の好適な調製方法としては、本発明の各製造方法のうちの一つの製造方法に従い、前記正極活物質粒子の構成方法と同様の方法で調製した金属酸化物粒子を、水素ガスの還元雰囲気で熱処理するか水素プラズマ中にさらして、還元し調製する方法が採用できる。このようにして調製される金属粒子は比表面積が大きいために空気中では酸素と急激に反応しやすい、そのため取り扱いによっては作製される電池の安定性や特性に影響を及ぼす場合があるので、この金属表面を液中もしくは減圧下で酸素と反応させ、ゆっくり酸化して表面に酸化膜を形成するが、フッ化水素酸などを作用させて、表面ハロゲン化物膜を形成して、反応に対する耐性を増すのが好ましい。また、ハロゲン化炭化水素や窒素ガスのプラズマ処理も耐酸化処理として有効である。上記酸化処理、ハロゲン化処理及び窒化処理は充放電時に電解液中の有機溶媒もしくは不純物との副反応を抑制する効果もある。
多孔質中空構造の金属粒子の別の好適な調製方法としては、本発明の各製造方法のうちの一つの製造方法に従い、有機高分子の微粒子を無電解メッキ(化学メッキ)液中に分散させ、還元反応で、有機高分子の微粒子表面に金属膜を形成した後、得られた金属膜で被覆された有機高分子粒子を溶媒中に分散させて有機高分子を溶解除去して調製する方法が挙げられる。
金属粒子の負極活物質粒子もまた、同様な方法により調製することができる。
次に、負極活物質としてカーボンを使用した場合の多孔質中空構造の形成方法の好適な一例について説明する。
多孔質中空構造のカーボンの調製方法としては、本発明の各製造方法のうちの一つの製造方法に従い、二重円筒ノズルの中心に空気または高分子に親和性のない液体を通し、外側の円筒ノズルに溶融した高分子材または溶解した高分子材を通過させて紡糸し高分子の中空糸を作製した後、焼成し粉砕して調製する方法が好適な方法としても挙げられる。
多孔質中空構造のカーボンの他の好適な調製方法としては、本発明の各製造方法のうちの一つの製造方法に従い、植物の導管・仮導管を炭化する方法が挙げられる。この方法では、例えば植物を炭化した後、好ましくは酸化処理とアルカリエッチング処理し、焼成粉砕して調製される。なお、炭化は、負活性ガスまたは窒素ガス雰囲気下で600〜1000℃で処理を行うのが好ましい。酸化処理を施す場合は空気中250〜400℃で処理を行うのが好ましい。
多孔質中空構造のカーボンのさらに他の好適な調製方法として、水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン系界面活性剤と有機高分子材を溶解し、有機高分子材を溶解しない溶媒、水、もしくは無機化合物を溶解した水溶液を混合して、エマルジョンを調製した後、その有機高分子材が溶解しない溶媒に滴下して、有機高分子材を沈殿させ、乾燥焼成して調製する方法も挙げられる。
上記カーボンの原料となる有機高分子材に好適なものの例としては、ポリビニルアルコール、ポリフルフリルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレン、ポリジチエニルポリエン、ポリビニルナフタレン、ポリ塩化ビニル、ポリアニリン、ポリピロール、フラン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
上記カーボン材を得るための焼成は、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気下で600〜3000℃で行うのが好ましい。焼成温度が高いとよりグラファイトの結晶が成長し易くなる。
上記カーボンの炭素原子を元素の周期表の13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、17族元素から選択される少なくとも一種の元素で少なくとも一部を置き換えることによって、結晶軸を広げ充電時のリチウムの挿入量を増し挿入時の歪みを低減することができ、電解液との反応も低減することができる。これによってより高容量で長寿命のリチウム二次電池用負極を形成できる。
上記元素を含有した多孔質中空カーボンの好適な調製方法としては、カーボンの原料である高分子に元素の周期表の13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、17族元素から選択される少なくとも一種の元素を含有する高分子を使用して調製する方法が挙げられる。
また、別の好適な調製方法としては、原料の高分子材に、焼成時に分解し易い上記元素を含む物質を混合した後、焼成して調製する方法が挙げられる。
電気容量を増した負極を得るための、上記添加する元素量は、焼成して得られる多孔質中空カーボン材の1〜20原子%が好適である。添加する元素としては13族元素ではほう素、14族元素では珪素、15族元素では窒素やリン、16族元素ではイオウ、17族元素ではフッ素や塩素が好適である。特には、ほう素元素の添加が好適である。焼成前の原料となる高分子材に混同するほう素化合物の好適な例としては、トリフェニルほう素、トリ−p−トリルほう素などのトリアリールほう素、ボラン−4−メチルモルホリン錯体、ボラン−4−フェニルモルホリン錯体、ボラン−ビペラジン錯体、ボラン−ビペリジン錯体、ボラン−ポリビニルピリジン錯体、ボラン−ピリジン錯体、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−トリエチルアミン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体、ボラン−メチルサルファイド錯体、ボラン−メチル1,4−オキサチアン錯体などのボラン錯体テトラフェニルほう酸ナトリウムなどのテトラフェニルほう酸塩が好適に挙げられる。
続いて、本発明の二次電池の概念的構成を図4を用いて説明する。
図4において、301は負極(電極)、302は正極(電極)、303は電解質、304はセパレータ、305は負極端子、306は正極端子、307はハウジングである。
図4に示されるように、負極301と正極302はセパレーター304を介して対向してハウジング3、7中に保持された電解質303中に配されている。セパレータ304は負極301と正極302とが接して短絡するのを防ぐために設けられる。
負極301と正極302は図3に示されるような構造を有しており、正極端子306や負極端子305はそれぞれの電極の集電電極に電気的に接続される。但し、正極端子306や負極端子305は各電極の集電電極であってもよいし、正極端子306や負極端子305あるいは集電電極の少なくとも一部がハウジングの少なくとも一部を構成していてもよい。
次に、電池の各構成部材について詳述する。
正極物質の材質としては、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウム−遷移金属酸化物、またはリチウム−遷移金属硫化物が好適に用いられる。遷移金属酸化物や遷移金属硫化物の構成元素となる遷移金属元素としては、例えば、部分的にd殻あるいはf殻を有する元素であるところの、Sc,Y,ランタノイド、アクチノイド、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auからなる群から選択される少なくとも一種が好ましい元素として挙げられる。特に第一遷移系列金属であるTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuからなる群から選択される少なくとも一種の元素が好適に用いられる。
負極活物質の材料としては、カーボン、金属、金属酸化物が適している。カーボン材料としては、リチウムを層間に取り込めるグラファイト層を有しているものが好ましい。金属材料の好適なものとしては、Cu,Ni,Al,Ti,Sn,Pb,Zn,Cr,Fe,Pt,Pdからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい元素として挙げられる。金属酸化物として好適なものとしては、タングステン、モリブデン、チタン、パナジウム、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、クロムからなる群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物が好適に挙げられる。
特に、多孔質中空構造の活物質粒子としては、金属酸化物粒子、金属粒子、カーボン等が好適に挙げられる。
多孔質中空構造の活物質粒子としての金属酸化物粒子の調製方法の好適な一例について正極活物質粒子を例にとって説明する。
<正極>
本発明における正極としては、前述したように例えば、少なくとも前述の多孔質中空正極活物質、結着剤、及び集電体と必要に応じて導電補助材から構成されているものが挙げられる。
以下では、正極の作製方法の好適な一例について説明する。
まず多孔質中空正極活物質、結着剤及び必要に応じて導電補助材を混合し、溶媒を添加して粘度を調整して、ペーストを調製する。
次に上記ペーストを集電体上に塗布し、乾燥して正極を形成する。
上記の塗布方法としては、例えば、コーター塗布方法、スクリーン印刷法が好適に適用できる。
正極に使用可能な導電補助材としては、粉末状または繊維状のアセチレンブラックやケッチェンブラックなどのカーボンブラックに代表される非晶質炭素、黒鉛、電池反応に不活性な金属が好適なものとして挙げられる。
正極に使用可能な結着剤としては例えば、電解液が非水溶媒系の場合には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、またはポリフッ化ビニリデンやテトラフルオロエチレンポリマーのようなフッ素樹脂が好ましいものとして挙げられる。
本発明における正極の集電体は、充電時に電極反応で消費する電流を効率よく供給する、あるいは放電時に発生する電流を効率よく集電する役目を担っている。したがって正極の集電体を形成する材料としては、電導度が高く、かつ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好ましい材質としては、ニッケル、チタニウム、銅、アルミニウム、ステンレススチール、白金、パラジウム、金、亜鉛、各種合金、及び上記材料の二種以上の複合金属が挙げられる。なお、銅や亜鉛を使用する場合には充放電により銅や亜鉛が溶解、析出し易いことを考慮して、より不活性な金属であるニッケルやチタニウムにより被覆して使用するのが望ましい。集電体の形状としては、例えば、板状、箔状、メッシュ状、スポンジ状、繊維状、パンチングメタル、エキスバンドメタルなどの形状が採用できる。
<負極>
本発明の負極の好適な一例としては、例えば、少なくとも前述の多孔質中空負極活物質、結着剤、集電体及び必要に応じて導電補助体から構成されているものが挙げられる。
以下では、負極の作製方法の好適な一例について説明する。
まず、多孔質中空負極活物質、結着剤を混合し、溶媒を添加して粘度を調整して、ペーストを調製する。
次に上記ペーストを集電体上に塗布し、乾燥して負極を形成する。
上記負極活物質の導電率が低い場合には、上記ペーストを調整する際に適宜正極作製に用いる導電補助剤と同様なものを添加して、集電能を高めるのが好ましい。上記結着剤としては前記正極作製に使用する結着剤と同様のものが使用できる。また、集電体の材質や形状も前記正極において説明した集電体と同様のものが採用できる。
上記のペーストの塗布方法としては、例えば、コーター塗布方法、スクリーン印刷法が適用できる。
<セパレータ>
本発明におけるセパレータは、負極と正極の短絡を防ぐ役割がある。また、電解液を保持する役割を有する場合もある。
セパレータは、少なくともリチウムイオンが移動できる細孔を有し、かつ電解液に不溶で安定である必要がある。したがって、セパレータとしては、例えば、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンなどポリオレフィン、フッ素樹脂、などの材料を用いた不織布あるいはミクロボア構造の材料が好適に用いられる。また、微細孔を有する金属酸化物フィルム、または、金属酸化物を複合化した樹脂フィルムも使用できる。特に、多層化した構造を有する金属酸化物フィルムを使用した場合には、デンドライトが貫通しにくいため、短絡防止に効果がある。難燃材であるフッ素樹脂フィルム、または不燃材であるガラス、もしくは金属酸化物フィルムを用いた場合には、より安全性を高めることができる。
<電解質>
本発明における電界質の使用法としては、次の3通りが挙げられる。
(1)そのままの状態で用いる方法。
(2)溶媒に溶解した溶液として用いる方法。
(3)溶液にポリマーなどのゲル化剤を添加することによって、固定化したものとして用いる方法。
一般的には、溶媒に電解質を溶かした電解液を、多孔性のセパレーターに保液させて使用する。
電解質の導電率は、25℃における値として、好ましくは1×10-3s/cm以上、より好ましくは5×10-3s/cm以上であることが必要である。
リチウム電池では、以下に示す電解質とその溶媒が、好適に用いられる。
電解質としては、例えば、H2 SO4 、HCl,HNO3 などの酸、リチウムイオン(Li+ )とルイス酸イオン(BF4 -,PF6 -,ClO4 -,AsF6 -,CF3 SO3 -,BPh4 -(Ph:フェニル基)とからなる塩、及び、これらの混合塩、が好適に挙げられる。また、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、などの陽イオンとルイス酸イオンとからなる塩も使用できる。上記塩は、減圧下で加熱したりして、充分な脱水と脱酸素を行っておくことが望ましい。
電解質の溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボーネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、クロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサルオキシド、ギ酸メチル、3−メチル−2−オキダゾリジノン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−プロピルシドノン、二酸化イオウ、塩化ホスホリル、塩化チオニル、塩化スルフリル、またはこれらの混合液が好適に使用できる。
上記溶媒は、例えば、活性アルミナ、モレキュラーシープ、五酸化リン、塩化カリシウムなどで脱水するか、溶媒によっては、不活性ガス中でアルカリ金属共存下で蒸留して不純物除去と脱水をも行うのが好ましい。
電解液の漏洩を防止するために、ゲル化することが好ましい。ゲル化剤としては電解液の溶媒を吸収して膨潤するようなポリマーを用いるのが望ましい。このようなポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどが好適に用いられる。
<電池の形状と構造>
また、本発明における電池の形状としては、例えば、扁平形、円筒形、直方体形、シート形などがある。また、電池の構造としては、例えば、単層式、多層式、スパイラル式などがある。その中でも、スパイラル式円筒形の電池は、負極と正極の間にセパレータを挟んで巻くことによって、電極面積を大きくすることができ、充放電時に大電流を流すことができるという特徴を有するので好ましい。また、直方体形の電池は、二次電池を収納する機器の収納スペースを有効に利用することができる特徴を有するので好ましい。
以下では、図5と図6を参照して、電池の形状と構造の一例についてより詳細な説明を行う。図5では単層式扁平形電池の概略断面図であり、図6はスパイラル式円筒形電池の概略的断面図を表している。
図5と図6において、400は負極集電体、401は負極活物質層、402は負極、403は正極活物質層、404は正極集電体、405は負極端子(負極キャップ)、406は正極缶、407はセパレータ、408は正極、410は絶縁パッキング、411は絶縁板である。
図5及び図6に示される電池の構成を組み立て方法の一例を説明する。
まず、負極活物質層401と成形した正極活物質層403との間にセパレータ407を挟んで、正極缶406に組み込む。このとき、図6に示される電池ではセパレータ407を間にして負極に活物質層401と正極活物質層403とを対向させて巻上げられる。
次に、電解質を正極缶中に注入した後、負極キャップ405を絶縁パッキング410介して正極缶に配置する。
続いて、上記正極缶及び/または負極キャップの少なくとも一部をかしめることによって、電池は完成する。
なお、上述したリチウム電池の材料調製、及び電池の組み立ては、水分が充分除去された乾燥空気中、または乾燥不活性ガス中で行うのが望ましい。
<絶縁パッキング>
本発明における絶縁パッキング410の材料としては、例えば、ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、各種ゴムが使用できる。なお、電池の封口方法としては、図示されるような絶縁パッキングなどのガスケットを用いた「かしめ」以外にも、ガラス封管、接着剤、溶接、半田付けなどの方法を用いることもできる。
また、図6に示される絶縁板411の材料としては、電解質や電池の使用環境(例えば温度など)に対して化学的に安定な各種有機樹脂材料やセラミックスが好適に用いられる。
図5及び図6における外缶(ハウジング)は、電池の正極缶406及び負極キャップ405が相当する。外缶の材料としては、ステンレススチールが好適に用いられる。中でもと特にチタンクラッドステンレス板や銅クラッドステンレス板、ニッケルメッキ鋼板などが好適である。
図5と図6では正極缶406や負極キャップ405が電池ケース(ハウジング)を兼ねているため、充分強度を持たせるという点から上記したようなステンレススチールが好ましい。但し、正極缶や負極キャップが電池ケースを兼用しない場合、つまり強度をそれほど要求されない場合には、電池ケースの材質としてはステンレススチール以外にも亜鉛などの各種金属または合金、ポリプロピレンなどのプラスチック、または金属もしくはガラス繊維とプラスチックの複合材が挙げられる。
なお、電池には、通常電池の内圧が高まったときの安全策として、安全弁が備えられている。安全弁としては、例えば、ゴムやスプリングあるいは金属ボールや破裂箔などが使用できる。また、電池の一部の強度を落しておき、内圧が異常に高まったときにそこが先に破損される内圧が逃がされるようにしてもよい。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
本発明では、図5に示した構造のリチウム二次電池を作製した。負極にはアルミニウム箔を正極には多孔質中空の正極活物質を用いた。
以下では、図5を参照して、電池の各構成部の作製手順と、電池の組み立てについて説明する。
(1)負極の作製手順
アルミニウム箔の表面の自然酸化膜4wt(重量)%水酸化ナトリウム水溶液でエッチング除去した後、20wt%硝酸水溶液で中和し水洗し、150℃で減圧乾燥し負極を作製した。
(2)正極の作製手順
まず酢酸マンガン2M(mol/1)水溶液に、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタントリオレート)20g/lヘキサン溶液と容積比1対2に混合し、乳化機を用いて4000回転し1分間乳化し、エマルジョンを調製し、このエマルジョンに1Mのクエン酸リチウム水溶液を30分かけて滴下反応させた。
次に上記において調製した溶液を遠心分離機によって油層を分離除去した後、スプレードライヤーで乾燥し、次いで空気中400℃で焼成して、多孔質リチウム−マンガン酸化物粉を調製した。
続いて上記で得られた多孔質リチウム−マンガン酸化物粉に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%をポリフッ化ビニリデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
さらに上記で得られたペーストを、アルミニウム箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して正極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、上記で得られたリチウム−マンガン酸化物粉には多数の細孔と中空構造が観察された。
(3)電解液の作製手順
まず充分に水分を除去したエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、等量混合した溶媒を調製した。
次に上記で得られた溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム塩を1M(mol/l)溶解したものを電解液として用いた。
(4)セパレータ
ポリエチレンの微孔性フィルムをセパレータに用いた。
(5)電池の組み立て
まず負極と正極の間に電解液を保液したセパレータを挟み、チタンクラッドのステンレススチール材を正極缶に挿入した。
続いてポリプロピレンの絶縁パッキングを配置した後チタンクラッドのステンレススチール材の負極キャップをかぶせ正極缶と負極キャップとをかしめてリチウム二次電池を作製した。なお、作製された電池は充電によって使用可能となる。
以下では、作製した電池の性能評価について説明する。性能評価は、充放電サイクル試験において得られる、電池の単位体積当たりのエネルギー密度と、サイクル寿命について行った。
サイクル試験の条件は、正極活物質から計算される電気容量を基準として、1C(容量/時間の1倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとした。電池の充放電試験は、北斗電工製HJ−106Mを使用した。なお、充放電試験は、充電より開始し、電池容量は3サイクル目の放電量とし、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数とした。また、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.5Vに設定した。
比較例1
本例では以下に説明するように正極物質を実施例1とは異なる方法で調製した以外は、実施例1と同様にして二次電池を作製した。
正極の作製手順
まず酢酸マンガン2M(mol/l)水溶液に、1Mノクエン酸リチウム水溶液を30分かけて滴下反応させた。
次に上記工程において調製した溶液をスプレードライヤーで乾燥し、次いで空中400℃で焼成して、リチウム−マンガン酸化物粉を調製した。
さらに上記工程で得られたリチウム−マンガン酸化物粉に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%をポリフッ化ビニリデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
続いて上記工程で得られたペーストを、アルミニウム箔を乾燥した後、150℃で減圧乾燥して正極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、得られたリチウム−マンガン酸化物粉には中空構造は観察されなかった。
他の点は実施例1と同様にした。
表1は、実施例1と比較例1で作製したリチウム二次電池の性能評価についてまとめたものである。但し、サイクル寿命、充電電気量に対する放電電気量の比である充放電効率と電池の単位体積当たりのエネルギー密度(放電容量)に関する評価結果は、実施例1の値を、比較例1の値を1.0として規格化して記載した。
Figure 0003977354
表1からわかるように、実施例1に示されるように多孔質中空構造を利用した正極活物質を二次電池に採用することによって、サイクル寿命が長く、充放電効率も高まり、かつ、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が得られることがわかった。
実施例2
本実施例も同様に図5に示した構造のリチウム二次電池を作製した。中空多孔質活物質の中空部に導電体を設けた多孔質活物質を用いて作製した正極を用いた点が実施例1とは異なる。
以下では、正極の作製手順について説明する。
正極の作製手順
まずニッケル微粉末を分散させて酢酸マンガン2M(mol/1)水溶液に、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタントリオレート)20g/lヘキサン溶液と容積比1対2に混合し、乳化機を用いて4000回転で1分間乳化し、エマルジョンを調製し、このエマルジョンに1Mに水酸化リチウム水溶液を30分かけて滴下反応させた。
次に上記工程において調製した溶液を遠心分離機によって油層を分離除去した後、スプレードライヤーで水層と沈澱層を一緒に乾燥し、次いで空気中400℃で焼成して、多孔質リチウム−マンガン酸化物粉を調製した。
続いて上記工程で得られた多孔質リチウム−マンガン酸化物粉に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビリニデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロロドンを添加してペーストを調製した。
さらに上記工程で得られたペーストを、アルミニウム箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して正極を作製した。
他の点は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
比較例2
本比較例では正極物質の調製方法のみを以下のように実施例2と異ならせた。
まずニッケル微粉末を分離させた酢酸マンガン2M(mol/l)水溶液に、1Mの水酸化リチウム水溶液を30分かけて滴下反応させた。
次に上記工程において調製した溶液をスプレードライヤーで乾燥し、次いで空気中400℃で焼成して、リチウム−マンガン酸化物粉を調製した。
続いて上記工程で得られたリチウムーマンガン酸化物に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビニリデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
さらに上記工程で得られたペーストを、アルミニウム箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して正極を作製した。
他の点は実施例2と同様にして二次電池を作製した。
表2は、実施例2と比較例2で作製したリチウム二次電池の性能評価についてまとめたものである。但し、サイクル寿命、充放電効率と電池の単位体積当たりのエネルギー密度(放電容量)に関する評価結果は、実施例1の値を、比較例2の値を1.0として規格化して記載した、なお、試験方法は実施例1に倣った。
Figure 0003977354
以上のように、実施例2に示されるように多孔質中空構造を利用した正極活物質を二次電池に採用することによって、サイクル寿命が長く、充放電効率も高まり、かつ、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が得られることがわかった。
参考例1
本参考例においても、図5に示した構造のリチウム二次電池を作製した。負極活物質に多孔質中空カーボンを用いた点が実施例1及び実施例2と大きく異なる。負極と正極以外は実施例1と同様にした。
以下では、電池の負極と正極の作製手順についてのみ説明する。
(1)負極の作製手順
まずポリフルフリルアルコールのテトラヒドロフラン溶液にソルビタンモノウレート30g/lを添加し、水とポリフルフリルアルコールの炭素原子に対して20原子%のテトラフェニルほう酸ナトリウムをさらに混合して、乳化機を用いて3000回転で1分間乳化し、エマルジョンを調製した。
次に上記工程で得られたエマルジョンをエタノールに滴下し、沈澱物を乾燥の後、アルゴンガス下で800℃で焼成してカーボン粉を調製した。
続いて上記工程で得られたカーボン粉にポリフッ化ビニリデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
さらに上記工程で得られたペーストを、銅箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、上記工程で得られたカーボン粉には多数の細孔と中空構造が観察された。また、元素分析の結果、上記工程で得られたカーボン粉はほう素を含有していることが判明した。
(2)正極の作製手順
まず電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを1:0.4のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウム−マンガン酸化物を調製した。
次に上記工程において調製したリチウム−マンガン酸化物に、アセチレンブラックの炭素粉を3wt(重量)%とポリフッ化ビニリデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
続いて上記工程で得られたペーストを、アルミニウム箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して正極を作製した。
他の点は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
比較例3
本例では負極活物質の調製方法のみを参考例1と異ならせ二次電池を作製した。
まず天然黒鉛微粉末に、ポリフッ化ビリニデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
次に上記工程で得られたペーストを、銅箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、上記天然黒鉛粉には中空構造は観察されなかった。
他の点は参考例1と同様にした。
表3は、参考例1と比較例3で作製したリチウム二次電池の性能評価についてまとめたものである。但し、サイクル寿命、充放電効率と電池の単位体積当たりのエネルギー密度(放電容量)に関する評価結果は、参考例1の値を、比較例3の値を1.0として規格化して記載した。
Figure 0003977354
以上のように、参考例1に示されるように多孔質中空構造を利用した負極活物質を二次電池に採用することによって、サイクル寿命が長く、充放電効率も高まり、かつ、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が得られることがわかった。
実施例3
本実施例においても、図5に示した構造のリチウム二次電池を作製した。参考例1とは別の調製方法で調製した多孔質中空カーボンを用いて作製した負極を用いた点が、参考例1とは異なる。
以下では、負極の作製手順について説明する。
(1)負極の作製手順
まず木炭を空気中300℃で酸化処理した後、水酸化カリウム水溶液に浸してエッチング処理を行い、減圧乾燥した。窒素ガス雰囲気下で2000℃で焼成した後、粉砕してカーボン粉を調製した。
次に、上記工程で得られたカーボン粉にポリフッ化ビニリデン5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
続いて、上記工程で得られたペーストを、銅箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、上記工程で得られたカーボン粉には多数の細孔と中空の管状構造が観察された。
他の点は参考例1と同様にして二次電池を作製した。
表4は、実施例3と比較例3で作製したリチウム二次電池の性能評価についてまとめたものである。但し、サイクル寿命、充放電効率と電池の単位体積当たりのエネルギー密度(放電容量)に関する評価結果は、実施例3の値を、比較例3の値を1.0として規格化して記載した。
Figure 0003977354
以上のように、実施例3に示されるように多孔質中空構造を利用した負極活物質を二次電池に採用することによって、サイクル寿命が長く、充放電効率も高まり、かつ、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が得られることがわかった。
実施例4
本実施例においても図5に示した構造のリチウム二次電池を作製した。本実施例では多孔質中空の正極活物質を利用して作製した正極と多孔質中空カーボンを利用して作製した負極を用いた。
以下では、負極と正極の作製手順について説明する。
(1)負極の作製手順
まずポリフルフリルアルコールのテトラヒドロフラン溶液にソルビタンモノウレート30g/1と水を添加して乳化機を用いて3000回転で1分間乳化し、エマルジョンを調製した。
次に、上記工程で得られたエマルジョンをエタノールに滴下し、沈澱物を乾燥の後アルゴンガス下で700℃で焼成してカーボン粉を調製した。
続いて上記工程で得られたカーボン粉にポリフッ化ビニリデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
さらに上記工程で得られたペーストを、銅箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、上記工程で得られたカーボン粉には多数の細孔と中空構造が観察された。
(2)正極の作製手順
まず酢酸ニッケル2M(mol/l)水溶液に、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタントリオレート)20g/lヘキサン溶液と容積比1対1に混合し、乳化機を用いて4000回転で1分間乳化し、エマルジョンを調製し、このエマルジョンに1Mのクエン酸リチウム水溶液を30分かけて滴下反応させた。
次に上記工程において調製した溶液を遠心分離機によって油層を分離除去した後、スプレードライヤーで乾燥し、次いで空気中650℃で焼成して、多孔質リチウム−ニッケル酸化物粉を調製した。
続いて上記工程で得られた多孔質リチウム−ニッケル酸化物粉に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビリニデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
さらに上記工程で得られたペーストを、アルミニウム箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して正極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、上記工程で得られたリチウム−ニッケル酸化粉には多数の細孔と中空構造が観察された。
他の点は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
比較例4
本例では実施例4と異なる方法で正極活物質を調製して正極を作製した。また、負極には比較例3と同じ負極を使用した。
正極の作製手順
まず炭酸ニッケルと硝酸リチウムを1:1のモル比で混合した後、650℃で熱処理して、リチウムーニッケル酸化物を調製した。
次に上記工程において調製したリチウム−ニッケル酸化物に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビリニデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加した。
続いて上記工程で得られたペーストを、アルミニウム箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して正極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、上記工程で得られたリチウム−ニッケル酸化物粉には中空構造は観察されなかった。
他の点は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
表5は、実施例5と比較例4で作製したリチウム二次電池の性能評価についてまとめたものである。但し、サイクル寿命、充放電効率と電池の単位体積当たりのエネルギー密度(放電容量)に関する評価結果は、実施例4の値を、比較例4の値を1.0として規格化して記載した。
Figure 0003977354
以上のように、実施例4に示されるように多孔質中空構造を利用した正極活物質と多孔質中空構造を利用した負極活物質を二次電池に採用することによって、サイクル寿命が長く、充放電効率も高まり、かつ、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が得られることがわかった。
参考例2
本参考例においても図5に示した構造のリチウム二次電池を作製した。負極には多孔質中空の金属粉を利用して作製した負極を用いた。正極には比較例4で説明したのと同じ正極を用いた。
負極の作製手順
まず硝酸銅3M(mol/l)水溶液に、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタントリオレート)30g/1ヘキサン溶液と容積比1対2に混合し、乳化機を用いて4000回転で1分間乳化し、エマルジョンを調製し、このエマルジョンに1Mの水酸化ナトリウム水溶液を30分かけて滴下反応させた。
次に上記工程において調製した溶液を遠心分離機によって油層を分離除去し、デカンテーションによって水洗した後、スプレードライヤーで水層と沈澱層ごと乾燥し、次いで350℃で焼成して、多孔質の銅酸化物粉を調製した。
続いて上記工程で得られた多孔質の銅酸化物粉を水素ガス雰囲気下400℃で還元して多孔質中空の銅粉を調製した後、微量酸素を導入して表面をわずか酸化して表面皮膜を形成した。
さらに上記工程で得られた多孔質中空の銅粉に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビニリデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
次に上記工程で得られたペーストを、銅箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極を作製した。
走査電子顕微鏡からの観察では、上記工程で得られた銅粉には多数の細孔と中空構造が観察された。
他の点は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
比較例5
本例では参考例2と異なる方法で負極を作製した。正極には比較例4で使用したのと同じ正極を使用した。
負極の製作手順
まず銅粉に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ピリニデン粉5wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
次に上記工程で得られたペーストを、銅箔に塗布乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極を作製した。他の点は参考例2と同様にして二次電池を作製した。
表6は、参考例2と比較例5で作製したリチウム二次電池の性能評価についてまとめたものである。但し、サイクル寿命、充放電効率と電池の単位体積当たりのエネルギー密度(放電容量)に関する評価結果は、参考例2の値を、比較例5の値を1.0として規格化して記載した。
Figure 0003977354
以上のように、参考例2に示されるように多孔質中空構造を利用した負極活物質を二次電池に採用することによって、サイクル寿命が長く、充放電効率も高まり、かつ、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が得られることがわかった。
なお、上記実施例1〜4では、正極活物質として、負極の性能を評価するために、リチウム−マンガン酸化物もしくはリチウム−ニッケル酸化物を使用した。しかし、本発明はこれに限定されるものでなく、リチウム−コバルト酸化物、リチウム−バナジウム酸化物、など上述した各種の正極活物質も採用できる。
また、電解液に関しても、実施例1〜実施例4まで1種類のものを使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。
さらに本発明は上述した電池形状などに限定されるものでもない。
つまり、本発明は本発明の主旨の範囲において、適宜変形、組み合わせ可能である。
図1(a)〜(c)はそれぞれ多孔質中空構造の活物質の概念的概略断面図である。 図1(a)〜(c)に示される球状形状構造の活物質の概念的斜視図である。 多孔質中空構造の活物質を利用した電極構成の好適な一例を説明するための概略的な断面図である。 図3に示される電極を利用した電池の基本構成を説明するための概略構成図である。 単層式扁平形電池の一例を説明するための模式的部分断面図である。 スパイラル式円筒型電池の一例を説明する模式的部分断面図である。 管状構造の活物質の概念的斜視図である。
符号の説明
100 活物質構成材料
101 細孔
102 中空部
103 表皮層
104 中空部に設けた導電体
200 集電体
201 多孔質中空活物質
202 結着剤
203 活物質層
204 正極または負極
301,402 負極
302,408 正極
303 電解質
304 セパレータ
305 負極端子
306 正極端子
307 電池ケース
401 負極活物質
402 負極
403 正極活物質
404 正極集電体
405 負極キャップ(負極端子)
406 正極缶(正極端子)
407 電解液を保持したセパレータ
408 正極
410 絶縁パッキング
411 絶縁板

Claims (9)

  1. 水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得る工程を有することを特徴とする正極活物質の製造方法。
  2. 少なくとも負極、正極、該負極と該正極との間に配置されたセパレータ及び電解質とを有するリチウムを利用する二次電池の製造方法であって、水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得ることによって正極活物質を製造する工程を有することを特徴とするリチウムを利用する二次電池の製造方法。
  3. 二重円筒ノズルの中心に空気または高分子に親和性のない液体を通し、外側の円筒ノズルに溶融した高分子材または溶解した高分子材を通過させて紡糸し高分子の中空糸を作製した後、焼成し粉砕することにより多孔質中空構造のカーボンを得る工程を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
  4. 植物を炭化した後、酸化処理とアルカリエッチング処理し、焼成粉砕することにより多孔質中空構造のカーボンを得る工程を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
  5. 水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得る工程を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
  6. 水に難溶性もしくは不溶性の有機溶媒に非イオン界面活性剤を溶解し、遷移金属塩水溶液を混合してエマルジョンを調製した後、Li塩もしくはLiOH水溶液を反応させ、乾燥焼成することで多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を得る工程と、該工程で得られた多孔質中空構造のリチウム−遷移金属酸化物を水素ガスの還元雰囲気で熱処理するか水素プラズマ中にさらして、還元することにより多孔質中空構造の金属粒子を得る工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
  7. 前記金属粒子の表面に、酸化処理、ハロゲン化処理、窒化処理のいずれかの処理を施す工程をさらに有する請求項6に記載の負極活物質の製造方法。
  8. 有機高分子の微粒子を無電解メッキ液中に分散させ、還元反応で、有機高分子の微粒子表面に金属膜を形成した後、得られた金属膜で被覆された有機高分子粒子を溶媒中に分散させて有機高分子を溶解除去することにより多孔質中空構造の金属粒子を得る工程を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
  9. 少なくとも負極、正極、該負極と該正極との間に配置されたセパレータ及び電解質とを有するリチウムを利用する二次電池の製造方法であって、請求項3〜8の何れか一項に記載の方法で負極活物質を製造する工程を有することを特徴とするリチウムを利用する二次電池の製造方法。
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