JP3976551B2 - 電子地図データおよび経路探索装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子地図データを利用した経路探索技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カーナビゲーションシステムが普及しており、利用者は、現在位置や目的地を設定することにより、所望の目的地までの推奨経路を探索することができる。このようなカーナビゲーションシステムでは、例えば、空港や駅、デパート等といった施設への経路案内時には、それぞれ登録された正面玄関や出入口、あるいは代表的な駐車場を案内していた。その施設について、代表する出入口や駐車場が登録されていない場合には、最も近くに存在する道路上の地点が案内されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような施設には、複数の出入口や駐車場が備えられていることが通常である。そのため、従来の技術では、複数の出入口のうち、案内された出入口が、施設内の目標地点から遠距離となってしまう場合があった。例えば、利用者が施設北側にある施設内の店舗に行きたい場合に、実際には北側に出入口があったとしても、登録された南側の出入口が案内されてしまうといった場合である。駐車場についても同様のことが言え、施設内の目標地点から近い駐車場があったとしても、遠距離にある代表的な駐車場が案内されてしまうといった場合があった。このような経路が案内された場合、利用者は、遠回りをして目的地まで移動せざるを得ず、高齢者や車椅子利用者等の歩行に困難を伴う利用者にとっては大変な負担となっていた。このような課題は、車用のナビゲーションシステムだけではなく、近年提案されている人用のナビゲーションシステムでも同様に生じ得る課題である。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、施設の出入口や駐車場の位置を考慮した経路探索を実現する技術の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するため、以下の構成を採用した。すなわち、
経路の探索を行う経路探索装置であって、
電子地図データを参照する地図データ参照部と、
経路探索における出発地および目的地を入力する条件入力部と、
前記出発地と目的地との間の経路を、前記電子地図データを用いて探索する経路探索部と、を備えており、
前記電子地図データは、
ノードとリンクとにより通行路のつながり状態を記憶したデータであり、
該ノードには、少なくとも2以上の出入口を有する施設内に存在し、前記経路探索において目的地又は出発地として設定可能な地点を表す施設内ノードと、前記出入口をそれぞれ表す2以上の出入口ノードとが含まれ、
前記リンクには、前記施設内において前記出入口ノードから前記施設内ノードに至る通行路を与える複数の施設内リンクが含まれており、
前記経路探索部は、前記入力した目的地又は出発地が前記施設内ノードである場合に、前記2以上の出入口ノードおよび施設内リンクを含め、前記ノードとリンクとを用いて、前記出発地と目的地との間の経路を探索することを要旨とする。
【0006】
このような構成の経路探索装置によれば、条件入力部から出発地および目的地が入力されると、経路探索部は電子地図データを用いて出発地から目的地までの経路を探索する。電子地図データは、通行路のつながり状態を記憶したノードやリンクと呼ばれるデータを有している。このうち、ノードには、少なくとも2以上の出入口を有する施設内に存在し、経路探索において目的地として設定可能な地点を表す施設内ノードと、出入口を表す出入口ノードとが含まれ、リンクには施設内において出入口ノードから施設内ノードに至る通行路を与える複数の施設内リンクが含まれている。
【0007】
経路探索部は、出発地が施設外であり目的地が施設内である場合や、出発地が施設内であり目的地が施設外である場合、あるいは出発地と目的地が別の施設の中にある場合に、通常のノードやリンクと併せて、施設内のノードやリンクを用いて経路探索を行う。このとき、その施設の出入口ノードを経由した経路を探索することとなるため、利用者に最適な出入口を案内することができる。
【0008】
なお、上記条件入力部による出発地の入力は手動で行ってもよいし、GPSアンテナ等を利用して現在位置の検出が可能な位置検出部等を設けることにより、自動的に入力することとしてもよい。このように自動入力とすれば、出発地が現在地である場合に、特に有効である。また、施設とは、少なくとも2以上の出入口を有していればよく、デパートやスーパーマーケット、空港、駅、映画館等の様々な施設が考えられる。上記経路探索部における経路の探索は、周知のダイクストラ法等を利用することができる。
【0009】
また、本発明は次の構成とすることもできる。
経路の探索を行う経路探索装置であって、
少なくとも2以上の出入口を有する施設内のいずれかの地点を表す施設内ノードと、前記出入口を表す出入口ノードとを含むノードとリンクによって通行路のつながり状態を記録した電子地図データを参照する地図データ参照部と、
経路探索における出発地および目的地を入力する条件入力部と、
前記入力した目的地又は出発地が前記施設内ノードである場合に、所定の基準に基づいて前記複数ある出入口ノードから一つを選択し、該選択された出入口ノードへの経路探索結果を出力する経路探索部と、
を備える経路探索装置。
【0010】
このような構成によれば、条件入力部から出発地および目的地が入力されると、経路探索部は少なくとも2以上の出入口を有する施設内のいずれかの地点を表す施設内ノードと、出入口を表す出入口ノードとを含むノードとリンクによって通行路のつながり状態を記録した電子地図データを参照しつつ、経路を探索する。そして、入力した目的地あるいは出発地が施設内ノードである場合、経路探索部は、複数の出入口ノードから一つの出入口ノードを所定の基準に基づいて選択することにより最適な出入口を利用者に案内することができる。かかる基準としては、例えば、スロープ、階段、自動扉の有無、音声案内の有無、点字案内の有無、車椅子通行可否等の属性を出入口ノードに持たせ、利用者の歩行能力に応じて選択するものとしてもよい。こうすることで、車椅子利用者にはスロープ付の出入口ノードを案内すること等が可能となる。
【0011】
また、別の基準として、前記経路探索部は、前記出発地または目的地からの距離に基づいて前記出入口ノードを選択することとしてもよい。
【0012】
このような構成であれば、例えば、出発地からの距離が最短の出入口を案内することができる。また、施設内に存在する目的地からの距離が最短の出入口を案内することもできる。距離は、直線距離を測定することとしてもよいし、経路に沿った道のりでもよい。また、橋や歩道橋等の主要な経由点を通る折れ線の距離など種々の値を利用できる。
【0013】
また、前記経路探索部は、
前記各出入口ノードを目的地とした複数経路の探索を行うパラメトリック経路探索部と、
前記複数の経路から最も有利と判断される経路を選択する選択部とを備えていてもよい。
【0014】
パラメトリック経路探索部は、出入口ノードを一つ選択し、これを目的地として経路探索を行う。次に、別の出入口ノードを選択し、同様に経路探索を行う。選択部は、このように順次経路探索を行った経路のうち、最も有利であると判断される経路を一つ選択する。例えば、各出入口ノードまでの経路をダイクストラ法等のアルゴリズムを用いて算出した場合には、最もコストが小さくなる経路を選択することができる。コストが距離に基づいて設定されている場合には、出発地からの距離が最も短くなる経路が選択されることとなる。こうすることにより、最適な出入口を利用者に案内することができる。
【0015】
また、前記電子地図データは、
前記施設内ノードに対し、前記出発地の緯度、経路に応じて前記複数の出入口ノードのいずれか一つを与える対応関係を予め記憶する記憶部を備え、
前記経路探索部は、
前記対応関係に基づき前記出発地に対応した出入口ノードを選択する選択部を備えていてもよい。
【0016】
このような構成であれば、入力した出発地の緯度、経度に応じて、最適な出入口を案内することができる。例えば、A町に出発地がある場合は出入口A、B町に出発地がある場合は出入口Bといった案内が容易に可能となる。
【0017】
また、本発明は次の構成とすることもできる。
経路の探索を行う経路探索装置であって、
施設内のいずれかの地点を表す施設内ノードと、該施設の出入口を表し、かつ該施設への移動手段と関連付けされた出入口ノードとを記録した電子地図データを参照する地図データ参照部と、
経路探索における出発地および目的地ならびに利用する移動手段を入力する条件入力部と、
前記入力された移動手段に応じて前記出発地から目的地までの経路を、前記電子地図データを用いて探索する経路探索部と、
を備える経路探索装置。
【0018】
通常、人は、徒歩のほか、車椅子(ベビーカーを含む)や自動車、バイク、自転車、バス、電車等の移動手段を利用している。これらの移動手段を利用して施設外から施設内、あるいは施設内から施設外へ移動する際には、車椅子を利用する場合には階段を避けてスロープを、自動車を利用する場合には一旦施設近くの駐車場を、また、バイクや自転車を利用するときは駐輪場を、バスの場合はバス停を、電車の場合は駅を経由して目的地に到達することになる。したがって、複数の出入口を有する広大な施設等においては、利用する移動手段に応じて経由する地点が異なるため、利便性の高い出入口も自ずと異なることとなる。本発明では、これらの実状を考慮し、条件入力部から出発地および目的地ならびに利用する移動手段を入力することにより、経路探索部において移動手段に応じた経路を探索する。これにより、多様な移動手段に適した出入口を案内することができる。
【0019】
このような経路探索装置において、上記経路探索部は、前記入力された移動手段に応じて、前記出入口ノードのうち少なくとも一つの出入口ノードを経由地として選択し、前記出発地から目的地までの経路の探索を行うこととしてもよい。
【0020】
電子地図データには出入口ノードと移動手段とが関連付けられて記録されているため、こうすることにより、入力された移動手段から容易に最適な出入口ノードを選択して経由地とすることができる。
【0021】
また、本発明は、
電子的な経路探索に用いられ、ノードとリンクとにより通行路のつながり状態を記憶した電子地図データであって、
少なくとも2以上の出入口を有する施設内に存在し、前記経路探索において目的地として設定可能な地点を表す施設内ノードと、
前記出入口を表し、前記施設内ノードと関連付けられた出入口ノードと、
を記録した電子地図データとして構成することもできる。
【0022】
このような電子地図データを利用すれば、施設外のノードやリンクに加え、施設内ノードと出入口ノードとを利用した経路の探索を行うことができる。したがって、施設外と施設内のノードとリンクとを利用したシームレスな経路探索が可能となる。
【0023】
また、本発明は、上述の種々の経路探索装置の機能を実現するためのプログラムとして構成してもよい。このようなプログラムや上述の電子地図データは各種記録媒体に記録していてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD、MO、ICカード、ROMカートリッジ、ハードディスク等が利用可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ次の順序で説明する。
A.第1実施例:
(A1)経路探索装置構成:
(A2)電子地図データ構成:
(A3)経路探索処理:
B.第2実施例:
(B1)第2実施例の変形例1:
(B2)第2実施例の変形例2:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
【0025】
A.第1実施例:
(A1)経路探索装置構成:
図1は、本実施例における経路探索装置の概略構成図である。経路探索装置100は、地図やメニューなどを表示するための表示部101と操作部102とを備えており、内部には制御部103を備えている。操作部102は、その操作によって、地図上に表示されたカーソルの移動、地図の表示スケールの変更・スクロール、経路探索の出発点、目的地の入力等といった各種コマンドの入力を行うことができる。
【0026】
上記コマンド入力は、操作部102による入力に限られることはない。表示部101をタッチパネル方式の表示部とすることにより、指あるいはタッチペン112等を用いて表示部101に直接触れて入力することとしてもよい。
【0027】
制御部103は、主としてCPUとRAM、ROMにより構成されている(図示省略)。ROMには、図示する各機能部を実現するためのプログラムが記録されており、CPUは、RAMをワークエリアとして用い、該プログラムを実行する。
【0028】
電子地図データ入力部104は、メモリカードやCD−ROM、DVD等の各種記録媒体から電子地図データを入力する。また、GPSアンテナや無線ネットワーク、赤外線通信等を用いることにより外部のサーバ等から入力してもよい。
【0029】
電子地図データ入力部104により入力した電子地図データは、電子地図データ記憶部105に記憶される。記憶された電子地図データは、電子地図データ参照部106を介し、主制御部107から参照される。なお、電子地図データが記録された媒体を直接電子地図データ参照部106により参照する場合には、電子地図データ記憶部105を省いてもよい。
【0030】
主制御部107は、コマンド入力部108を介して操作部102から入力された各種コマンドに従い経路探索部109を用いて経路探索を行う。経路探索における出発地は、位置検出部110により入力することとしてもよい。この場合、GPSアンテナや赤外線通信等の各種無線手段により現在位置を入力することができる。経路探索部109は、例えば周知の経路探索アルゴリズムであるダイクストラ法等を用いて経路の探索を行う。
【0031】
主制御部107と経路探索部109とにより経路探索を行った結果は、表示制御部111により表示部101に表示される。利用者は表示部101に表示された探索結果を利用して所望の目的地まで到達することができる。
【0032】
(A2)電子地図データ構成:
次に、経路探索装置100が電子地図データ入力部104によって入力する電子地図データについて説明する。図2は、電子地図データの概略構成を示す図である。電子地図データは、主に、表示部101に表示を行うための表示用データと、制御部103により経路を探索するため探索用データとにより構成されている。表示用データは、緯度・経度情報を基に通行路や施設等の図形を詳細に表している。図形には一連の図形番号が割り振られ、緯度経度情報を基にしたポリゴンデータとして図形を表示する。探索用データは、ノードテーブルとリンクテーブルとを保持しており、それぞれのテーブルに記録したノードとリンクとにより通行路のつながり状態を表している。ノードとは、通行路同士の交差点や通行路の端点等を表すデータであり、一連のノード番号が付与され、その位置が緯度・経度により設定されている。また、ノードの種類を表すノード種別や、そのノードが施設等に含まれる場合に、どの施設に含まれるかを示す帰属情報が設定されている。ノード種別としては、例えば、交差点、出入口、端点等の種別がある。帰属情報としては、デパートBや施設Aといった施設名やその施設を示す識別子などが設定される。一方、リンクは、通行路を表すデータであり、その始点と終点とが、前記ノード番号により指定されている。また、リンクの種類を表すリンク種別や、そのリンクが施設などに含まれる場合に、どの施設に含まれるかを示す帰属情報が設定されている。その他、通行路の長さや幅員、スロープや階段であるかどうか、自動扉の有無や車椅子通行の可否等の情報を基に設定されたリンクコストが記録されている。リンクコストは、経路探索時におけるリンクの選ばれやすさを示すパラメータであり、値が小さい程選ばれやすいリンクとなる。
【0033】
図3は、上記表示用データの一例を示す図である。図示するように、本実施例における電子地図データは、施設内の構造についても図形化している。図4は、図3の表示用データに対応した探索用データを表す図である。表示用データと同様、探索用データにおいても施設内の通行路のつながり状態がノードとリンクとにより表されている。本図においては、施設の出入口を表す出入口ノードを四角マーク「□」で示し、施設内の店舗等を表す施設内ノードを星マーク「★」で示した。また、交差点を表すノードを丸マーク「●」で示している。各ノードを結ぶ線分はリンクを表している。
【0034】
(A3)経路探索処理:
図5は、上記電子地図データを用いた経路探索処理のフローチャートである。まず、経路探索装置100は、操作部102を介してユーザから、目的地の入力を受ける(ステップS10)。目的地の入力は、メニューの中から選択するなど種々の方法が考えられる。例えば、表示部101に表示された地図上の任意の点をタッチペン112など触れることにより入力した場合は、その入力した点に最も近いノードあるいはリンクを目的地とする。次に、経路探索装置100は、位置検出部110から現在位置を取得し、取得した現在位置に最も近いノードあるいはリンクを出発地に設定する(ステップS11)。次に、経路探索装置100は、目的地が特定の施設内に存在し、かつ出発地がその施設外に存在するかどうかを判断する(ステップS12)。この判断は、図2で示した帰属パラメータを参照することにより行う。目的地が施設内に存在する場合には、帰属パラメータに、その施設名や識別子が設定されているからである。また、帰属パラメータに特になにも設定されていない場合は施設外のノードあるいはリンクであることを示す。判別した結果、目的地および出発地が共に前記条件を満たす場合は、さらに、その施設の内部の通行路を含めた経路を探索するかどうかの選択をユーザに要求する(ステップS13)。問い合わせた結果、施設内を含めない旨の選択があった場合は、通常の経路探索(ステップS14)を行う。通常の探索とは、目的地を含む施設に最も近い施設外のノードを仮想的な目的地として経路探索を行う等といった従来技術による探索である。なお、ステップS12において、目的地と出発地とが共に施設外である場合も同様に通常の探索を行う。説明をステップS13に戻し、施設内を含めて経路を探索する旨の選択があった場合は、施設内のノードや出入口ノードを含めて経路を探索する(ステップS15)。最後に、経路探索装置100は、ステップS14やS15で探索した経路を表示部に表示することにより経路を案内し(ステップS16)、処理を終了する。なお、前記ステップS14やステップS15における経路探索は、周知の経路探索アルゴリズムであるダイクストラ法を用いて行うことができる。
【0035】
このように、電子地図データに記録された施設内ノードや施設内リンク、出入口ノードを利用することにより、目的地が施設内にあっても、通常の施設外の経路探索と同様のアルゴリズムを用いてシームレスに経路探索を行うことができる。上記経路探索処理によって探索された経路には、経由地として出入口ノードが含まれるため、利用者は、どの出入口を利用すれば施設内の目的地まで効率よくたどり着くかを明確に知ることができる。なお、上記説明では、出発地が施設外かつ目的地が施設内の場合の経路探索について説明したが、出発地を施設内、目的地を施設外とした経路探索においても、ステップS12の判断をそのように変更し、同様の処理で経路を探索することができる。この場合、ステップS13における判断を省略してもよい。その他、出発地と目的地が、別々の施設内に存在する場合における経路も、両者の施設の出入口ノードを含めて探索することにより、容易に行うことができる。
【0036】
上記経路探索処理では、ステップS13において施設内の案内をしない選択を行った場合に、通常の経路探索を行うこととしたが、ステップS15による経路探索を行ってもよい。この場合、ステップS16において、出入口までの経路を表示し、施設の中の経路まで表示しないこととすればよい。
【0037】
B.第2実施例:
第2実施例では、施設内の詳細なノードやリンクが設定されていない電子地図データを用いて、ユーザに最適な経路を案内する技術について説明する。ただし、電子地図データには、施設の代表地点を表す施設代表ノードと、出入口ノードとは含まれているものとする。図6、図7はこのような電子地図データによって表される表示用データと探索用データである。図7で示すように、施設代表ノードは星マーク「★」で表し、出入口ノードは四角マーク「□」で表した。また、通常の交差点ノードは丸マーク「●」で表している。なお、本実施例においても、経路探索装置のハードウェア構成は、第1実施例と同様のものを用いことができる。
【0038】
図8は、上記電子地図データを用いた経路探索処理のフローチャートである。まず、経路探索装置100は、図5のステップS10、S11と同様に目的地の入力と出発地の設定をする(ステップS20)。次に、入力した目的地が特定の施設代表ノードかどうかを判断する(ステップS21)。この判断は、目的地として設定したノードの帰属パラメータに、特定の施設の代表ノードを表す設定があるかどうかにより判断する。施設代表ノードでない場合は、通常の経路探索を行う(ステップS22)。施設代表ノードである場合には、その施設に対応付けられた出入口ノードを抽出する(ステップS23)。この抽出処理は、「出入口」種別を持つノードの帰属パラメータを参照し、目的地とした施設を表す情報が記録されているかどうかを検出すればよい。また、施設代表ノードと出入口ノードとがリンクで結ばれている場合は、目的地とした施設代表ノードに接続されている出入口ノードをリンクテーブルから検出することにより抽出可能である。次に、経路探索装置100は、抽出されたすべての出入口ノードについて出発地からの直線距離を算出する(ステップS24)。距離の算出は、各ノードが保持する緯度、経度情報を元に行う。続いて、経路探索装置100は、算出した距離が最も短い出入口ノードを仮想的な目的地として設定する(ステップS25)。最後に、経路探索装置100は、設定した仮想的な目的地までの経路を探索し(ステップS26)、探索した経路を表示部101に表示することにより経路の案内を行い(ステップS27)、処理を終了する。
【0039】
このような処理により、出発地から直線距離で最短の距離にある出入口までの経路を案内することができる。出発地から出入口までの距離は、単純な直線距離の演算で求めることとしたため、経路探索装置100にかかる負荷を軽減することができる。
【0040】
(B1)第2実施例の変形例1:
上記経路探索処理では、目的地となる出入口を単純な直線距離に基づく演算により選択したが、実際には、このように選択された出入口に到達するために適当な道が存在せず遠回りしなければならない場合があり得る。図9はこのような状況を表した図である。本図では、出発地と、目的地である施設との間に国道が存在し、施設までは歩道橋Aか歩道橋Bのどちらかを通らざるを得ない状況を表している。出発地から出入口A、出入口Bまでの直線距離を算出すると、出入口Bまでの距離が短いことは図より明らかである。そのため、上記経路探索処理によれば、この出入口Bが案内されることとなる。しかし、実際には、出入口Bまでの経路は、離れたところにある歩道橋Bを経由しなければならず、却って全体の経路が出入口Aを利用するよりも長くなってしまう。このような状況を避けるために、上記ステップS24、S25で行った直線距離に基づく出入口の選択を、ダイクストラ法に基づく出入口の選択とすることができる。この場合、経路探索装置100は、まず、出入口を一つ選択し、これを目的地としてダイクストラ法による経路探索を行う。次に、別の出入口を選択し、同様に経路探索を行う。経路探索装置100は、このように順次各出入口ノードまでの経路探索を行った経路のうち、コストが最小となる経路を選択する。こうすることにより、目的地に到達するために最適な出入口を利用者に案内することができる。コストが距離に基づいて設定されている場合には、出発地からの距離が最短となる経路が選択されることとなる。しかし、単純な直線距離の演算に比べ、経路探索装置100にかかる負荷が増すため、処理に時間がかかる場合がある。従って、どちらの方法により経路を探索するかは、ユーザの設定事項として、状況に応じて柔軟に使い分けることとすれば好適である。
【0041】
(B2)第2実施例の変形例2:
上記以外にも、最適な出入口を案内する手段として、出発地の緯度・経度に応じて予め設定した出入口までの経路を案内することとしてもよい。次にその手段の一例を説明する。図10は、施設を中心とした市街地図を簡略化して表した図である。図示するように、ここでは市街図を、点線内の領域Aと一点鎖線内の領域Bとの2つに区分した。これらの区分をそれぞれ出入口A、出入口Bに対応付け、電子地図データにこのような対応関係を定義したデータを予め記録しておく。この対応付けは、出発地ごとに施設周辺の通路を考慮して、より到達しやすいと思われる出入口を割り当てればよい。そして、上記ステップS23、S24、S25にかわり、出発地の緯度・経度情報に基づき、予め設定した出入口を仮想的な目的地として選択するステップを付加する。こうすることにより、出発地が領域A内に存在する場合には出入口Aまで、領域B内に存在する場合には出入口Bまでの経路を探索することが可能となる。
【0042】
C.第3実施例:
第3実施例では、ユーザの移動手段によって案内する目的地を置き換える技術について説明する。本実施例における電子地図データには、通常のノード、リンクに加え、駐車場ノードが記録されている。また、施設内の代表地点をあらわす施設代表ノード、およびその出入口を表す出入口ノードも記録されている。図11と図12は、このような電子地図データの表示用データと探索用データを表した図である。図12で示すように、本実施例の電子地図データには、駐車場ノード「◆」と施設代表ノード「★」および出入口ノード「□」が設定されている。なお、本実施例における経路探索装置のハードウェア構成は、第1実施例の経路探索装置と同様である。
【0043】
図13は、このような電子地図データを用いた経路探索処理のフローチャートである。まず、経路探索装置100は、操作部102を介してユーザから目的地と移動手段の入力を受けるとともに、位置検出部110から現在位置を取得し出発地を設定する(ステップS30)。次に、経路探索装置100は、目的地が施設であるかを判別し(ステップS31)、施設でない場合は通常の経路探索を行う(ステップS32)。目的地が施設である場合は、移動手段が車か徒歩かによって目的地を置き換える。車の場合には、施設ノード近隣に位置する駐車場に目的地を置き換え(ステップS33、S34)、徒歩の場合には、施設ノードに対応付けられた出入口に目的地を置き換える(ステップS35、S36)。最後に、経路探索装置100は、置き換えた目的地までの経路を探索(ステップS37)し、経路を表示部101に表示することにより探索した経路を案内する(ステップS38)。なお、ステップS33、S34において、移動手段が車でも徒歩でもない場合は、ステップS32によって通常の経路探索を行う。
【0044】
このように、移動手段に応じて目的地を駐車場や出入口に置き換えることにより、最適な経路を案内することができる。上記ステップS34における駐車場ノードへの目的地の置き換えは、施設から一定距離に位置する駐車場に置き換えることとしてもよいし、施設と駐車場とを予め対応付けたテーブルから所定の駐車場を選択して置き換えることとしてもよい。複数の駐車場が存在する場合は、出発地あるいは目的地からの距離等に基づいて選択した駐車場に置き換えることとしてもよい。また、上記ステップS36における出入口の置き換えは、第2実施例と同様の各種手段により複数の出入口から一つの出入口を選択して置き換えることとしてもよい。
【0045】
D.第4実施例:
次に、移動手段に応じた経路の探索を行う例について説明する。出発地から目的地に移動するに当たり、通常、人は、徒歩のほか、自動車や自転車、バイク、電車、車椅子等の移動手段を利用する。これらの移動手段を利用して施設へ移動する際には、それぞれ、駐車場や駐輪場、駅、スロープなどを経由して移動を行う。図14は、各種移動手段に応じた経由地点を示す図である。本図では、バス停、駐車場、駅を示した。これらの経由地点は、図示するように通常同じ地点に存在することはないため、複数の出入口を有する施設内に目的地がある場合は、利用する出入口も異なることとなる。例えば、車を利用する場合には駐車場を経由するため出入口A、バスを利用する場合にはバス停を経由するため出入口B、電車を利用する場合には駅を経由するため出入口Cが経路上最適な出入口となる。
【0046】
このように、各種移動手段を利用する経路探索を行う場合、経路探索装置100の経路探索部109は、移動手段に応じた経由地を設定して全体の経路の探索を行う。移動手段に応じた経由地を設定するためには、まず、電子地図データに記録されたノードデータのうち、ノード種別として「出入口」と設定されたノードに、「自動車」や「電車」といった移動手段を示す情報を予め関連付けておく。そして、ユーザから目的地の入力を受ける際に、利用する移動手段の入力も同時に受ける。こうすることにより、経路探索部109は、入力された移動手段に関連付けられた出入口を電子地図データから選択して経由地として設定することができる。その後、施設内および施設外のノード・リンクデータと、経由地として設定した出入口ノードを用いて全体の経路を探索することにより、移動手段に応じた最適な経路をユーザに案内することができる。
【0047】
上記説明では、施設外から施設内への経路を探索する例を示したが、施設内から施設外への経路についても同様に行うことができる。また、出発地と目的地が、異なる施設内にあっても利用する移動手段に応じた経由地をそれぞれ設定することにより、最適な経路を探索することができる。なお、駐車場やバス停、駅、スロープなどの属性を持たせたノードデータを用意することにより、移動手段に応じてこれらの地点を自動的に第2の経由地として設定してもよい。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。また、上記説明において、ハードウェアを用いて行った処理はソフトウェアを用いて行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】経路探索装置の概略構成図である。
【図2】電子地図データの概略構成を示す図である。
【図3】表示用データの一例を示す図である。
【図4】探索用データを表す図である。
【図5】経路探索処理のフローチャートである。
【図6】第2実施例における表示用データを表した図である。
【図7】第2実施例における探索用データを表した図である。
【図8】第2実施例における経路探索処理のフローチャートである。
【図9】出発地から出入口に到達するために適当な道が存在せず遠回りしなければならない状況を表した図である。
【図10】施設を中心とした市街地図を簡略化して表した図である。
【図11】第3実施例における表示用データを表す図である。
【図12】第3実施例における探索用データを表す図である。
【図13】第3実施例における経路探索処理のフローチャートである。
【図14】各種移動手段に応じた経由地点を示す図である
【符号の説明】
100…経路探索装置
101…表示部
102…操作部
103…制御部
104…電子地図データ入力部
105…電子地図データ記憶部
106…電子地図データ参照部
107…主制御部
108…コマンド入力部
109…経路探索部
110…位置検出部
111…表示制御部
112…タッチペン
Claims (5)
- 経路の探索を行う経路探索装置であって、
少なくとも2以上の出入口を有する施設内のいずれかの地点を表す施設内ノードと、前記出入口を表す出入口ノードとを含むノードとリンクによって通行路のつながり状態を記録した電子地図データを参照する地図データ参照部と、
経路探索における出発地および目的地を入力する条件入力部と、
前記入力した目的地又は出発地が前記施設内ノードである場合に、所定の基準に基づいて前記複数ある出入口ノードから一つを選択し、該選択された出入口ノードへの経路探索を行う経路探索部とを備え、
前記電子地図データには、前記施設内ノードに対し、前記出発地の緯度、経度に応じて前記複数の出入口ノードのいずれか一つを与える対応関係が予め記録され、
前記経路探索部は、前記対応関係に基づき前記出発地に対応した出入口ノードを選択する
経路探索装置。 - 経路探索処理をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
少なくとも2以上の出入口を有する施設内のいずれかの地点を表す施設内ノードと、前記出入口を表す出入口ノードとを含むノードとリンクによって通行路のつながり状態を記録した電子地図データを参照する地図データ参照機能と、
経路探索における出発地および目的地を入力する条件入力機能と、
前記入力した目的地又は出発地が前記施設内ノードである場合に、所定の基準に基づいて前記複数ある出入口ノードから一つを選択し、該選択された出入口ノードへの経路探索を行う経路探索機能と、をコンピュータに実現させるプログラムであり、
前記電子地図データには、前記施設内ノードに対し、前記出発地の緯度、経度に応じて前記複数の出入口ノードのいずれか一つを与える対応関係が予め記録され、
前記経路探索機能は、前記対応関係に基づき前記出発地に対応した出入口ノードを選択する
プログラム。 - 請求項2に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- コンピュータによる電子的な経路探索に用いられる電子地図データであって、
少なくとも2以上の出入口を有する施設内のいずれかの地点を表す施設内ノードと、前記出入口を表す出入口ノードとを含むノードとリンクによって通行路のつながり状態が記録されるとともに、
前記施設内ノードに対し、前記経路探索における出発地の緯度、経度に応じて前記複数の出入口ノードのいずれか一つを与える対応関係が予め記録され、
前記コンピュータは、目的地および出発地を入力し、該入力した目的地又は出発地が前記施設内ノードである場合に、前記対応関係に基づき前記出発地に対応した出入口ノードを選択し、該選択された出入口ノードへの経路を探索する
電子地図データ。 - 請求項4に記載の電子地図データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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