JP3975526B2 - カラオケ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラオケ曲を歌唱する歌唱音声信号を録音することができるカラオケ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のカラオケ装置には、歌唱者がカラオケ曲を歌唱するのみならず、この歌唱音声を録音できるようにしたものがある。たとえば、CD録音装置を備え、カラオケ曲の演奏と歌唱をCDシングル盤として録音できるようにしたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記CD録音装置では、録音はいわゆる一発録音であり録り直しができないという欠点があり、歌唱者が最良の歌唱を録音できるとは限らないことから、利用率が高くないという問題点があった。
【0004】
また、カラオケの歌唱者には、自分の歌唱を客観的に聞き直してみたいと考える者もいるが、CDシングルの録音には約1000円の料金が必要であるため、これを利用して自分の歌唱を聞きなおす利用者は少なかった。
【0005】
この発明は、カラオケ曲の歌唱を容易に聞きなおすことができ、再利用することができるカラオケ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この出願の請求項1の発明は、楽曲データに基づいてカラオケ曲の演奏を実行する手段と、前記カラオケ曲の歌唱区間を検出する歌唱区間検出手段と、前記カラオケ曲に合わせて入力される歌唱音声信号のみを、それぞれ歌唱区間データとして録音し、複数の歌唱区間データからなる録音データとして記録する録音手段と、を備え、前記録音手段は、録音データ毎に曲番号および録音日時を含む識別情報を記録し、前記歌唱区間検出手段が歌唱区間を検出したとき、その歌唱区間データのヘッダにカラオケ曲の演奏を開始してからの時間情報を書き込んで記録することを特徴とする。
【0008】
この出願の請求項2の発明は、前記歌唱区間検出手段は、前記楽曲データに基づいて歌唱区間を検出する手段であることを特徴とする。
【0009】
この出願の請求項3の発明は、前記歌唱区間検出手段は、前記マイクから入力される歌唱音声信号に基づいて歌唱区間を検出する手段であることを特徴とする。
【0010】
この出願の請求項4の発明は、前記録音手段で録音された歌唱音声信号を、前記カラオケ曲の新たな演奏と同期して再生する再生手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項1の発明では、カラオケ演奏に合わせて歌唱される歌唱音声信号のみを該カラオケ演奏の進行に対応づけて録音する。録音手法としては、たとえばハードディスクレコーディングを用いればよい。歌唱音声信号はマイクから入力されるため、このマイクの音声のみを録音すれば音源などから発生されるカラオケ演奏音を排除して歌唱音声信号のみを録音することができる。また、さらにマイクに回り込むカラオケ演奏音をリダクション回路で除去するようにしてもよい。歌唱音声信号のみを録音することにより、加工が容易であり無音区間が多いため圧縮率も高くすることができる。
【0012】
請求項2の発明では、カラオケ曲の演奏中における歌唱区間を検出して、この歌唱区間のみ録音する。これにより、録音時間を短縮してデータ量を少なくすることができる。また、この歌唱区間の検出は、楽曲データに基づいて行ってもよく(請求項3)、入力される歌唱音声信号に基づいて行ってもよい(請求項4)。
【0013】
請求項3の発明において、楽曲データには、ガイドメロディ、歌詞の色変えデータ、歌唱区間を指示するマーク、楽曲に付随した模範歌唱などの歌唱音声データのうち少なくとも1つは含まれているため、これを利用して歌唱区間を検出する。楽曲データに含まれている上記データに基づいて歌唱区間を検出すればカラオケ演奏の進行と一致した正確な検出が可能になる。
【0014】
請求項4の発明において、マイクから入力される歌唱音声信号は、歌唱者が実際に歌っている信号であるため、これに基づいて歌唱区間を検出することにより、曲の歌唱タイミングからずれていても歌唱者が実際に歌唱した部分のみを録音することができる。歌唱音声信号に基づく歌唱区間の検出は、そのレベルに基づいて行うのが一般的であるが、マイクから入力される信号にはカラオケ演奏音が若干回り込むため、回り込み信号をキャンセルするしきい値を設定し、これを超える信号が入力されたとき歌唱区間であると判断するようにすればよい。この場合において、音源が発生したカラオケ演奏音信号に基づいてマイクへの回り込みレベルを予測し、上記しきい値をアクティブに変化させるようにしてもよい。また、レベル検出の周波数帯を歌唱音声帯域に限定するようにしてもよい。
【0015】
さらに、請求項3の発明による歌唱区間の検出と請求項4の発明による歌唱区間の検出を併用してもよい。
【0016】
請求項5のカラオケ装置では、上記方式で録音された歌唱音声信号を前記カラオケ曲の新たな演奏と同期して再生する。前記歌唱音声信号の録音は、カラオケ曲の進行に対応づけて行われているため、カラオケ曲を演奏しながらその進行に対応させて再生することにより、生で歌っているのと同じようにカラオケ歌唱を再現することができる。これにより、たとえば、自分の歌唱を客観的に聞きなおすことができ、自分の歌唱とデュエットするなどの新たな歌唱形態が可能になる。また、再生する歌唱音声信号を加工しながら再生することにより、種々のバリエーションが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の実施形態であるカラオケ装置のブロック図である。図2は同カラオケ装置のカラオケ演奏部18のブロック図である。このカラオケ装置は、CDレコーダ9を備えており、利用者のカラオケ歌唱を録音することができる。この場合に、歌唱音声信号を一旦ハードディスク17に記録し、この歌唱がよかった場合にこれをCDレコーダ9に入力してシングルCDに書き込む。また、このハードディスク17に記録する信号はカラオケ曲の歌唱区間における歌唱音声信号のみであり、歌唱区間以外は録音せず、また、録音時にも歌唱音声信号のみを録音しカラオケ演奏音を録音しない。これにより、記憶容量を少なくするとともに、加工を容易にしている。
【0018】
図1において、カラオケ装置全体の動作を制御するCPU10には、バスを介してROM11,RAM12,ハードディスク17,通信制御部16,コマンダ受信部13,操作部14,表示部15,文字パターン展開部19,表示制御部20,カラオケ演奏部18およびインタフェース21,22,23が接続されている。インタフェース21には外付けのCD−ROMチェンジャ4が接続されている。インタフェース22にはCDレコーダ5が接続されている。また、インタフェース23には課金装置6が接続されている。
【0019】
ROM11には、起動プログラムが記憶されている。ハードディスク17には、システムプログラム、カラオケ演奏プログラム、ローダ、文字パターンデータ、および、約1万曲の楽曲データなどが記憶されているとともに、歌唱音声信号を録音する歌唱録音エリアが設定されている。システムプログラムは、この装置の基本動作を制御するプログラムである。カラオケ演奏プログラムは、楽曲データを読み出してカラオケ演奏を実行するプログラムである。これらのプログラムはカラオケ装置が起動すると前記起動プログラムによって読み出され、RAM12に常駐する。
【0020】
RAM12には、前記プログラムを記憶するプログラム記憶エリア、演奏するカラオケ曲の楽曲データをハードディスク記憶装置17から読み出して記憶する演奏楽曲データ記憶エリア、および、コマンダ2から入力された曲番号を順番に登録する予約リストなどが設定されている。
【0021】
通信制御部16は通信回線を介して配信センタと交信し、楽曲データなどをダウンロードするための制御部である。通信制御部16はDMA回路を内蔵しており、ダウンロードされた楽曲データをCPU10を介さずに直接ハードディスク記憶装置17に書き込むことができる。このダウンロード動作は前記ローダプログラムによって制御される。
【0022】
また、コマンダ2は、種々のキー群を備えており、このキー群を操作してカラオケ曲を指定する選曲番号を送信することができるとともに、カラオケ装置に対して録音モード,再生モードやCD記録モードなどのモードを設定/解除することができる。コマンダ受信部13は、コマンダ2から送信されてくる上記コマンド信号を受信してCPU10に入力する。
【0023】
操作部14はカラオケ装置のフロントパネルに設けられており、上記コマンダ2と同様のテンキーなどのキースイッチ群を備えている。表示部15もカラオケ装置のフロントパネルに設けられており、現在演奏中の曲番号や予約曲数などを表示するLEDマトリクス表示器を含んでいる。
【0024】
文字パターン展開部19は、楽曲データの歌詞トラックのデータに基づいて読み出された文字パターンをVRAM上に展開し、これを背景映像と同期した映像信号として出力する回路である。CD−ROMチェンジャ4は、CPU10から指定された背景映像を再生する。CPU10は楽曲データのヘッダに含まれるジャンルデータに基づいて背景映像を選択する。再生された映像信号は表示制御部20に出力される。表示制御部20は背景映像上に歌詞の文字パターンをスーパーインポーズで合成してモニタ7に表示する。
【0025】
CDレコーダ5および課金装置6は、カラオケ装置本体1やCD−ROMチェンジャ4などとともに縦積みのラックに収納されている。課金装置6はコインチェッカ44,クレジットカウンタ45および表示器46を有している。コインチェッカ44は投入されたコインが真貨であるか否かを判定し、真貨であればクレジットカウンタ45にカウントアップを指示する装置である。コインとしては、通常の貨幣、専用のコインなどを用いることができるが、シングルCDの録音機能は1000円程度の課金サービスとして提供されるためこの課金装置6が取り扱うコインは100円または500円硬貨が適当である。クレジットカウンタ45はコインチェッカ44からの指示に基づいてカウント値を加算し、カラオケ装置本体のCPU10からの指示に基づいてカウント値を減算または加算する。表示器46は現在のクレジット数を表示するためのものであり、2桁程度の7セグメント表示器で構成されている。
【0026】
図2に示すカラオケ演奏部18において、音源30は、楽曲データに含まれる楽音データに基づいて楽音信号を形成する。音声用DSP31は、楽曲データに含まれる音声データに基づいてバックコーラスなどの音声信号を再生する。音源30が形成した楽音信号および音声データ処理部31が再生した音声信号はミュージックエフェクタ38に入力される。ミュージックエフェクタ38は、これら楽音信号および音声信号に対してリバーブ,エコーなどの効果を付与する。このミュージックエフェクタ38はDSPで構成されており、これが付与する効果の種類や程度は、楽曲データに含まれている効果制御データに基づいて制御される。効果が付与されたカラオケ演奏の信号はスピーカアンプ40に入力される。
【0027】
一方、2本のマイク8a,8bから入力される歌唱音声信号は、A/Dコンバータ35a,35bを介してパッチベイ用DSP41に入力される。このパッチベイ用DSP41には、録音用DSP32,再生用DSP33,ボイスエフェクタ36,ハモリアンプ37およびスピーカアンプ40が接続されている。スピーカアンプ40はD/Aコンバータ39a,39bを介して接続されている。ボイスエフェクタ36はDSPで構成されており、入力された歌唱音声信号に対してエコーなどの効果を付与する。また、ハモリアンプ37もDSPで構成されており、入力された歌唱音声信号の周波数を変換してハーモニーパートの歌唱音声信号を生成する機能や正確な音程の歌唱音声信号を生成する機能を有している。パッチベイ用DSP41は、CPU10からの指示に基づいてこれらの機器を任意に接続することができる。
【0028】
図3にパッチベイ用DSP41の接続例を示す。同図(A)は通常動作時の接続形態を示している。同図(B)は録音時の接続形態を示している。同図(C)は再生時の接続形態を示している。同図(A)においてマイク1(8a)の信号はボイスエフェクタ36に入力され、効果が付与されたこの信号はハモリアンプ37に入力されている。ハモリアンプ37ではこの歌唱パートと同じ音高の歌唱信号を(ダブッて)生成しこれをD/A1(39a)に出力している。そして、マイク2(8b)の歌唱音声信号はボイスエフェクタ36を介してD/A2(39b)に出力されている。
【0029】
同図(B)において、マイク1の歌唱音声信号は、ボイスエフェクタ36およびハモリアンプ37を介してD/A1に出力されるとともに、生のまま録音用DSP32に出力される。これにより、通常と同じように効果が付与された歌唱音声がカラオケ演奏音と一緒にスピーカ3から出力されるとともに、何も効果が付与されていない生の歌唱音声信号がハードディスクレコーディングされる。
【0030】
同図(C)は、ハードディスクレコーディングされた歌唱音声信号とマイク1から入力される生の歌唱音声信号とでデュエットする場合の接続を示している。ハードディスクレコーディングされていた歌唱音声信号が再生用DSP33で伸長されてボイスエフェクタ36およびハモリアンプ37に入力される。同時にマイク1から入力される生の歌唱音声信号がボイスエフェクタ36に入力される。そして両歌唱音声信号ともD/A1,2を介してスピーカアンプ40に出力される。
【0031】
このように、パッチベイ用DSP41は全ての機器を任意に接続することができ、接続形態としては上記のほか、録音用DSP32と再生用DSP33を同時に使用した重ね録音や、ボイスエフェクタ36やハモリアンプ37を使用して効果を付与した歌唱音声信号を録音用DSP32に入力して効果を付与した歌唱音声信号を録音するなどの形態がある。なお、録音した歌唱音声信号をCDシングル盤に録音する場合には、同図(C)においてマイク1の入力をカットして録音された歌唱音声信号とカラオケ演奏音のみがスピーカアンプ40に入力されるようにするとともに、CDレコーダ5に対してスピーカアンプ40の信号を入力して記録するように指示する。
【0032】
なお、重ね録音などの複雑な接続をしない場合には録音用DSP32と再生用DSP33を1つで兼用することもできる。また、DSPが負荷に対して十分な余裕がある場合には音声用DSP31とも兼用することが可能である。
【0033】
図4は楽曲データの構成例を示す図である。同図(A)は楽曲データの全体構成を示す図である。同図(B)は楽曲データのトラックの構成を示す図である。楽曲データは、ヘッダ,楽音トラック,歌詞トラック,音声制御トラック,効果制御トラック,ガイドメロディトラック,制御マークトラックおよび音声データ部からなっている。ヘッダは、この楽曲データに関する種々のデータが書き込まれる部分であり、曲名,ジャンル,発売日,曲の演奏時間などのデータを含んでいる。
【0034】
楽音トラック,歌詞トラック,音声制御トラック,効果制御トラック,ガイドメロディトラック,制御マークトラックの各トラックは全てMIDIフォーマットで記述されている。MIDIフォーマットは、複数のイベントデータと各イベントデータ間の時間間隔を示すデュレーションデータΔtからなっている。シーケンスプログラムは、所定のテンポクロックでΔtをカウントし、Δtをカウントアップしたときこれに続くイベントデータを読み出して所定の処理部へ出力する。楽音トラック,ガイドメロディトラック以外のデータは楽音データではないが、インプリメンテーションの統一をとり、作業工程を容易にするためこのトラックもMIDIデータ形式のシステム・エクスクルーシブ・メッセージで記述されている。
【0035】
楽音トラックは、メロディトラック,リズムトラックを初めとして種々のパートのトラックを含んでいる。楽音トラックのイベントデータは楽音の発音や楽音の消音などを指示するノートオンイベントデータやノートオフイベントデータなどで構成されている。このデータはテンポクロックに基づいて読み出され、音源30に入力される。
【0036】
歌詞トラックは、モニタ7上に歌詞を表示するためのシーケンスデータを記憶したトラックである。イベントデータとしてはフレーズ単位で表示される歌詞の文字や表示位置を指定する文字列データ、曲の進行に応じて歌詞の色を変えていくための色変更データなどがある。これらのイベントデータはテンポクロックに基づいて読み出され、このデータに基づく文字パターンデータや色データなどが文字パターン展開部19に出力される。歌詞の色変えは歌唱区間の進行と並行しているため、このデータに基づいて歌唱区間を割り出すことが可能である。
【0037】
音声制御トラックは、音声データ部に記憶されている音声データの発生タイミングや再生ピッチなどを指定するシーケンストラックである。音声データ部には、音源30で合成しにくいバックコーラスやハーモニー歌唱などの人声が記憶されている。音声制御トラックのイベントデータはテンポクロックに基づいて読み出され、このイベントデータが指示する音声データを音声データ部から読み出して音声用DSP31に入力する。音声用DSP31はこれをデコードしてミュージックエフェクタ38に入力する。
【0038】
効果制御トラックには、ボイスエフェクタ36およびミュージックエフェクタ38の動作を制御するための効果制御データがデュレーションデータとともに書き込まれている。効果制御は、たとえば歌唱のサビの部分でエコーを大きくするなどの態様で行われる。
【0039】
ガイドメロディトラックは、この曲の歌唱メロディが書き込まれたトラックである。このメロディデータは歌唱ガイドのほか、ハモリアンプ37においてダブりパートやハーモニーパートの音声信号を生成するときに用いられる。すなわち、このガイドメロディトラックのメロディデータは歌唱区間を示しているため、これに基づいて歌唱区間を検出することができる。
【0040】
また、制御マークトラックには、歌唱区間(コーラス1,コーラス2など)を示すマークや間奏,エンディングなどを示すマークが記録されている。このマークはカラオケ曲の演奏を1番で終了する1コーラスカットなどに用いられるが、このマークを用いて歌唱区間を検出することができる。
【0041】
なお、上記音声データ部に模範歌唱データとして実際の歌唱音声をPCM化したデータを記録しておいてもよい。これをカラオケ演奏と並行して再生することにより、該カラオケ曲の模範的な演奏を再生することができる。また、この模範歌唱データのレベルを判定することによっても歌唱区間を検出することができる。
【0042】
図5はハードディスク17に設定される歌唱録音エリアの構成を示す図である。歌唱録音エリアのヘッダには、その曲の曲番号,録音年月日時分,歌唱者のID番号,採点結果(100点満点の得点)などが記録され、後にこれらの情報に基づいてこの歌唱音声信号を選択することができるようになっている。1曲の歌唱は一般的に複数の歌唱区間からなっており、歌唱録音エリアには歌唱区間毎に区間データが記録される。各区間データのヘッダには、その歌唱区間のスタートタイミングのクロックカウント数が書き込まれる。クロックカウント数は、曲がスタートしてからのテンポクロックのカウント数である。
【0043】
この歌唱録音エリアへの書き込みは以下のように行われる。カラオケ演奏がスタートするとき、歌唱録音エリアのヘッダにこの曲の曲番号,録音年月日時分,歌唱者のID番号などのデータが書き込まれる。そしてテンポクロックが起動し、このテンポクロックのカウント値に応じて各トラックのイベントデータが読み出されてゆく。そして、歌唱区間のスタートを検出すると(この歌唱区間の検出は、上記歌詞の色変更データ,ガイドメロディデータ,制御マークデータなどに基づいておこなわれる。)、そのときのテンポクロックのカウント値を区間データのヘッダとして書き込み、この区間のハードディスクレコーディングを開始する。ハードディスクレコーディングは、マイク8から入力される歌唱音声信号を録音用DSP32でディジタル変換し、このデータを圧縮して前記区間データのエリアに記録することで行われる。この録音はマイク8の入力のみについて行われるが、さらに、マイク8に回り込んで入力されるカラオケ演奏音をキャンセルするようにしてもよい。そして、コーラス1エンドマークが読み出されるまでこれを継続する。曲が終了するまで歌唱区間が検出される毎に上記動作を繰り返し行う。採点機能が動作している場合には、歌唱終了後、ヘッダに採点結果の得点を書き込む。
【0044】
歌唱録音エリアに記録された歌唱音声信号の再生は以下のように行われる。歌唱録音エリアが指定されると、ヘッダからこの曲の曲番号が読み出され、対応する楽曲データが選曲される。この楽曲データの演奏がスタートすると、この演奏のためのテンポクロックを監視し、区間データのスタートタイミングになると、この区間データを再生用DSP33に入力して歌唱を再生する。録音時の演奏テンポと再生時の演奏テンポが異なっている場合には、サンプリング周波数を変えるなどしてテンポを一致させる。
【0045】
図6,図7は同カラオケ装置の動作を示すフローチャートである。
図6はカラオケ演奏に並行して歌唱音声を録音するときの動作を示すフローチャートである。曲番号でカラオケ曲が選択されると(s1)、まず、この曲の歌唱音声信号を録音するための歌唱録音エリアを確保し(s2)、選択された楽曲データを読み出す(s3)。そして、歌唱記録エリアのヘッダに選曲された楽曲データの曲番号を書き込む(s4)。こののち、カラオケ曲の演奏をスタートする(s5)。演奏は楽曲データの各トラックのデータをタイミングデータに従って読み出して行くことで実行される。イベントデータが読み出されると(s6)、そのイベントデータが演奏データ(演奏トラックのデータ)であるかを判断し(s10)、演奏データの場合にはこのデータを音源30に出力して楽音を発生させる(s11)。演奏データ以外のイベントデータが読み出された場合には対応する他の処理(s12)を実行する。
【0046】
一方、歌唱区間の開始を検出した場合は(s7)、区間データのヘッダに曲がスタートしてからいままでのテンポクロックのカウント値(時間データ)を書き込み(s13)、録音をスタートする(s14)。一方、歌唱区間の終了が検出された場合には(s8)、現在実行している録音動作を終了する(s15)。なお、歌唱区間の検出は、歌詞トラックの歌詞色変更データ、ガイドメロディトラックのノートデータ、制御マークトラックのコーラススタート(エンド)マーク、模範歌唱データの音量レベルなどで検出することができるとともに、マイク8から入力される音声信号のレベルに基づいて判断することもできる。また、これらの検出方式を併用してもよい。以上の動作をカラオケ曲が終了するまで実行し(s16)、カラオケ曲が終了すれば動作を終了する。
【0047】
図7は、録音された歌唱音声信号を再生する動作を示すフローチャートである。ハードディスク17に複数の歌唱録音エリアが設定され、そのうち1つを指定して再生する場合の動作を示している。また、CD録音モードが設定されている場合には、この歌唱および並行して演奏されるカラオケ演奏をCDシングル盤に記録する。
【0048】
まず、録音データが指定されると(s20)、この録音データのヘッダをハードディスク17から読み出し(s21)、この録音がどの楽曲データの歌唱を録音したものであるかを割り出す。そして、この楽曲データをハードディスク17から読み出す(s22)。なお、ハードディスクレコーディングされている歌唱音声信号のデータは膨大であるため、RAM12には読みださず、逐次HDD17から読み出して再生するようにしている。そして、CD録音モードが選択されているかを判断する(s23)。選択されている場合にはCDレコーダ9を起動する(s24)。こののち、カラオケ曲の演奏を実行し(s25)、録音区間がくれば(s26)、録音データを再生する(s27)。これを曲が終了するまで実行する(s28)。
【0049】
上記歌唱音声信号の録音および再生は、利用者が録音モード,再生モードを指定したときに行うようにしてもよく、常時カラオケ歌唱をFIFOで録音しておき、利用者が再生を指定したとき再生するようにしてもよい。
【0050】
前記ハードディスク17には歌唱録音エリアを1つ設けても複数設けてもよい。複数設ける場合には、記憶装置の容量の許す限り格納するようにしてもよい。また、複数設ける場合には録音データを識別する必要があるが、曲番号のみで録音データを識別する場合には1の曲番号に対して録音データは1つのみ記録可能である。また、録音時刻や歌唱者のIDなどを識別情報として記録する場合には、識別情報が重複しないかぎり複数のデータを記録することができる。
【0051】
利用者が録音を指示しない場合でも、採点ゲームと連動して点数を基準に保存するかどうかを決定することもできる。この場合、基準点以上/以下の場合に保存する、曲毎の最高/最低点の場合に保存するなどの方式がある。
【0052】
上記実施形態では、歌唱区間を検出して、この区間のみ録音するようにしているが、全曲にわたって歌唱のみを録音しても加工性が損なわれることはない。また、無音区間が多いため、伴奏も一緒に録音する場合に比べて圧縮率も高くすることができる。また、上記のように歌唱区間を検出してこの歌唱区間のみを録音する場合には、実際に録音する区間は検出された歌唱区間よりも前後に若干余裕をもたせて歌唱がずれた場合でもカバーできるようにしておくことが好ましい。
【0053】
また、図2,図3に示すように、録音する歌唱は2本のマイクのうちいずれか一方のみであっても両方であってもよい。また、デュエット曲などで歌唱区間に応じて歌唱すべきマイクが指定されている場合には、その歌唱区間に対応したマイクの音声を切り換えながら録音すればよい。
【0054】
また、上記例では、録音時にはエフェクトやハモリをかけない生の音声を録音するようにし、再生時にエフェクトやハモリをかけるようにしているが、エフェクトやハモリをかけた後の音声を録音するようにしてもよい。また、マイク1,マイク2の両方から入力される音声を録音する場合、両マイクから入力される音声に対するエフェクトの有無、ハモリの有無をそれぞれ別に設定して録音できるようにしてもよい。上記パッチベイ用DSP41であればこれが可能である。
【0055】
また、上記実施形態では歌唱音声信号の再生は、カラオケ演奏と一緒に行うようにしているが、カラオケの演奏なしで歌唱のみを再生することもできる。
【0056】
また、この録音されたデータを再生するタイミングは、利用者が再生を指定したときに再生するようにしてもよく、カラオケ曲のリクエストがないとき、直前に録音した歌唱音声信号を歌唱つきのBGMとして再生するなどの方式がある。
【0057】
なお、録音された歌唱音声信号の再生に合わせてマイク8から新たな歌唱を入力してデュエットする場合、再生された歌唱音声信号を周波数変換して他パートの歌唱に変換し、マイク8から入力される歌唱音声信号とデュエットするようにしてもよい。また、この逆にマイク8から入力される歌唱音声信号を周波数変換して他のパートに変換するようにしてもよい。この場合において、最初に歌唱した(録音した)歌唱者と後で歌唱する歌唱者が同一である必要はない。
【0058】
また、同じ曲を複数回録音して編集できるようにしてもよい。すなわち、複数回同じ曲を録音し、各歌唱(テイク)の良かった部分をつなぎ合わせて1曲分の歌唱を作り上げるなどである。
【0059】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、歌唱音声信号のみをカラオケ曲の進行に合わせて記録するようにしたことにより、加工が容易で圧縮率の高い録音が可能になる。
【0060】
また、歌唱区間を検出して、この歌唱区間のみ録音するようにしたことにより、録音時間を短縮してデータ量を少なくすることができる。この歌唱区間の検出を、請求項2の発明のように、ガイドメロディ,歌詞の色変えデータ,制御マーク,楽曲に付随した模範歌唱などの歌唱音声データなどの楽曲データに含まれているデータに基づいて行うことにより、カラオケ演奏の進行と一致した正確な検出が可能になる。さらに、この歌唱区間の検出を請求項3の発明のように、マイクから入力される歌唱音声信号に基づいて判断することにより、歌唱者が実際に歌唱した部分のみを検出して録音することができる。
【0061】
請求項4のカラオケ装置によれば、前記カラオケ曲の進行に対応づけて録音された歌唱音声信号をカラオケ曲を演奏しながらその進行に対応させて再生することにより、同時に歌唱しているのと同じようにカラオケ曲を再生することができる。これにより、たとえば、自分の歌唱を客観的に聞きなおすことができ、自分の歌唱とデュエットするなどの新たな歌唱形態が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるカラオケ装置のブロック図
【図2】同カラオケ装置のカラオケ演奏部の構成を示す図
【図3】同カラオケ演奏部の接続形態の例を示す図
【図4】同カラオケ装置の楽曲データの構成を示す図
【図5】同カラオケ装置のハードディスクの歌唱記憶エリアの構成を示す図
【図6】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【図7】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
10…CPU、5…CDレコーダ、8(8a,8b)…マイク、
17…ハードディスク、18…カラオケ演奏部、
32…録音用DSP、33…再生用DSP、41…パッチベイ用DSP
Claims (4)
- 楽曲データに基づいてカラオケ曲の演奏を実行する手段と、
前記カラオケ曲の歌唱区間を検出する歌唱区間検出手段と、
前記カラオケ曲に合わせて入力される歌唱音声信号のみを、それぞれ歌唱区間データとして録音し、複数の歌唱区間データからなる録音データとして記録する録音手段と、を備え、
前記録音手段は、録音データ毎に曲番号および録音日時を含む識別情報を記録し、前記歌唱区間検出手段が歌唱区間を検出したとき、その歌唱区間データのヘッダにカラオケ曲の演奏を開始してからの時間情報を書き込んで記録することを特徴とするカラオケ装置。 - 前記歌唱区間検出手段は、前記楽曲データに基づいて歌唱区間を検出する手段である請求項1に記載のカラオケ装置。
- 前記歌唱区間検出手段は、前記マイクから入力される歌唱音声信号に基づいて歌唱区間を検出する手段である請求項1に記載のカラオケ装置。
- 前記録音手段で録音された歌唱音声信号を、前記カラオケ曲の新たな演奏と同期して再生する再生手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。
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