JP3975424B2 - 自動車のフレーム構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のフレーム構造に関し、詳しくは、中央部フレームの後端部に後部フレームの前端部を被せて互いに溶着してシャーシフレームを形成した自動車のフレーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、中央部フレームの後端部に後部フレームの前端部を被せて互いに溶着してシャーシフレームを成すようにした自動車のフレーム構造がある。
図12は、このような自動車のフレーム構造の要部を拡大して示すものである。
同図において、自動車のシャーシフレーム1は、別々のフレーム部材を用いて形成された前部フレーム(図示せず)と中央部フレーム2と後部フレーム3とから成り、これらのフレームをそれぞれ互いに溶着して構成されている。
【0003】
ここで、シャーシフレーム1は、車体の重量を支えるメインフレームであり、曲げやねじり等の種々の荷重を受けるものである。シャーシフレーム1を構成する前部フレームや中央部フレーム2や後部フレーム3はそれぞれ角パイプ状に形成されており、後部フレーム3の前端部3aは、中央部フレーム2の後端部2a、詳しくは、その上面部2bの後方部2cと開口部4の一部を覆うように溶着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のフレーム構造では、図12より明らかなように、後部フレーム3の底面部3bの前方端3cと中央部フレーム2の底面部2dの後方端2eとの間に隙間5を設け、該隙間を通じて中央部フレーム2内に溜まった水を外部に排出するようにしていた。
【0005】
しかしながら、このような隙間5を中央部フレーム2の後端部2aの開口4に残したため、該中央部フレームは、図13に示すように、ねじれ易く、その剛性を低下させる一因となっていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、シャーシフレームの水抜き性能を維持しつつその剛性を高めることができる自動車のフレーム構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、中央部フレームの後端部に後部フレームの前端部を被せて互いに溶着してシャーシフレームを形成した自動車のフレーム構造において、上記後部フレームの底面部の前方端を上記中央部フレームの底面部にまで延設して溶着し、上記中央部フレームの底面部の後方端の角を落として、該中央部フレームの底面部と上記後部フレームの底面部との間に水抜き穴を形成した構成としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る自動車のフレーム構造の一実施形態について、図1〜図8を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は、本発明を図1に示した自動車のシャーシフレーム11に適用したものである。シャーシフレーム11は、別々の角型のフレーム部材を用いて形成された前部フレーム12と中央部フレーム13と後部フレーム14とから成り、これらのフレームをそれぞれ互いに溶着して構成されている(図2参照)。後部フレーム14は、自動車の後方に向かって上昇し、一定の高さのところで水平に延びるように形成され、その前端部14aで中央部フレーム13の後端部13aを覆っている(図2および図3参照)。
【0009】
ここで、中央部フレーム13は、上面部13bと、両側壁部13c,13cと、底面部13dとを備え、さらに、その後端部13aに開口部15を備えている。後部フレーム14は、上面部14bと、両側壁部14c,14cと、底面部14dとを備えている(図3および図4参照)。後部フレーム14の上面部14bの前方端14eは、中央部フレーム13の上面部13bの後方部13eを覆い、該後方部に溶着されている。後部フレーム14の両側壁部14cは、中央部フレーム13の両側壁部13c,13cまで延長されており、その両側壁部14cの後方部14fは、中央部フレーム13の底面部13dまで延長されている(図3および図4参照)。
【0010】
後部フレーム14の両側壁部14cの後方部14f,14fには、下端が開口する溝状の水抜き穴16,16がそれぞれ形成されている(図3、図5および図6参照参照)。水抜き穴16,16は、例えば、水平断面が湾曲状の略上下方向に延設したビードによって形成するか、あるいは、両後方部14f,14fの内側に溝を刻設して形成してもよい(図5および図6参照)。後部フレーム14の両側壁部14cは、その縁に沿って、中央部フレーム13の両側壁部13c,13cにそれぞれ溶着されている(図6および図7参照)。
【0011】
後部フレーム14の底面部14dは、中央部フレーム13の開口部15を完全に覆い、その前方端14gが、中央部フレーム13の開口部15の下辺を成す底面部13dに直接溶着されている。また、後部フレーム14の底面部14dは、その前方端14gから後方側に向けて、中央部フレーム13の後端部13aの開口部15端縁から徐々に離され、該後部フレームの底面部14dと中央部フレーム13の後端部13aとの間に隙間17が形成されるようになっている(図8参照)。
【0012】
本実施形態では、後部フレーム14の底面部14dの前方端14gを、中央部フレーム13の開口部15の底面部13dに溶着し、該開口部を閉じたので、図13に示したようなねじりに対するシャーシフレーム11自体の剛性が高まる。また、後部フレーム14の両側壁部14cに水抜き穴16,16を形成したことにより、中央部フレーム13内に溜まった水は、後部フレーム14の底面部14dと中央部フレーム13の後端部13aとの間の隙間17および水抜き穴16,16を通じて外部に排出される。
【0013】
図9は、本実施形態の水抜き穴16の他の例を示すものである。この例では、後部フレーム14の底面部14dの前方端14gに、下方に開口し、略水平断面湾曲状の略上下方向に延びるビードを形成し、該ビードにより、中央部フレーム13の底面部13dとの間に水抜き穴16を形成するようにしたものである。
この例においても、後部フレーム14の底面部14dの前方端14gを中央部フレーム13の底面部13dに直接溶着しているので、シャーシフレーム11自体の剛性が高められると同時に、中央部フレーム13内に溜まった水を上記水抜き穴16を通じて外部に排出させることができる。
【0014】
図10および図11は、本実施形態の水抜き穴16のさらに他の例を示すものである。この例では、中央部フレーム13の底面部13dの後方端13eの両角を落として、該中央部フレームの底面部13dと後部フレーム14の底面部14dとの間に水抜き穴16,16を形成するようにしたものである。
この例においても、後部フレーム14の底面部14dの前方端14gを中央部フレーム13の底面部13dに直接溶着しているので、シャーシフレーム11自体の剛性が高められると同時に、中央部フレーム13内に溜まった水を上記水抜き穴16,16を通じて外部に排出させることができる。
【0015】
なお、上記実施形態では、中央部フレーム13内に溜まった水を、後部フレーム14の底面部14dと中央部フレーム13の後端部13aとの間の隙間17や水抜き穴16を通じて外部に排出させるようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、中央部フレーム13の底面部13dや後部フレーム14の底面部14dに直接水抜き穴を形成するようにしても良い。要は、後部フレーム14の底面部14dの前方端14gを中央部フレーム13の底面部13dに直接溶着して、シャーシフレーム11自体の剛性を高めつつ、中央部フレーム13内に溜まった水を外部に排出させることができれば良く、水抜き穴をどのように形成しても良い。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る自動車のフレーム構造によれば、中央部フレームの後端部に後部フレームの前端部を被せて互いに溶着してシャーシフレームを形成した自動車のフレーム構造において、上記後部フレームの底面部の前方端を上記中央部フレームの底面部にまで延設して溶着した構成としているので、シャーシフレームのねじれに対する剛性を高めることができる。
【0017】
また、本発明では、上記中央部フレームの後端部と上記後部フレームの前端部との少なくとも一方に、水抜き穴を形成することにより、シャーシフレームのねじれに対する剛性を高めつつ、上記中央部フレーム内に溜まった水を外部に排出させることができる。
【0018】
さらに、本発明では、上記後部フレームの底面部を、その前方端から後方側に向けて、上記中央部フレームの後端部の切断口端縁から徐々に離していく構成とすることにより、中央部フレーム内に溜まった水の外部への排出をより確実に行なわせることができるとともに、部品の追加なしに実施できる。しかも、上記後部フレームの底面部は、各部品の加工時に、特別な工程を追加することなしに成形することができる。
【0019】
さらにまた、本発明では、上記後部フレームの底面部の一部を膨出させて、該後部フレームの底面部と上記中央部フレームの底面部との間に水抜き穴を設けた構成とすることにより、水抜き穴の成形が容易になる。また、このときには、上記したような後部フレームの底面部を湾曲に成形する必要はなくなる。
【0020】
加えて、本発明では、上記中央部フレームの底面部の後方端の角を落として、該中央部フレームの底面部と上記後部フレームの底面部との間に水抜き穴を形成した構成とすることにより、上記例と同様に、水抜き穴の成形が容易になる。また、このときにも、上記したような後部フレームの底面部を湾曲に成形する必要はなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した自動車のシャーシフレームを示す斜視図である。
【図2】本発明を適用した自動車のシャーシフレームを拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明に係る自動車のフレーム構造の要部を示すもので、特に図1に矢印Aで示す円で囲んだ部分を拡大して示す斜視図である。
【図4】本発明に係る自動車のフレーム構造の要部を拡大して示す斜視図である。
【図5】図3におけるB−B線断面図である。
【図6】本発明に係る自動車のフレーム構造の要部を拡大して示す斜視図である。
【図7】本発明に係る自動車のフレーム構造の後部フレームを示す斜視図である。
【図8】図3におけるC−C線断面図である。
【図9】本発明を適用した自動車のシャーシフレームの他の例の要部を示す斜視図である。
【図10】本発明を適用した自動車のシャーシフレームのさらに他の例の中央部フレームを示す斜視図である。
【図11】本発明を適用した自動車のシャーシフレームのさらに他の例の要部を示す斜視図である。
【図12】従来の自動車のフレーム構造の要部を拡大して示す斜視図である。
【図13】フレームがねじられている様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 シャーシフレーム
12 前部フレーム
13 中央部フレーム
13a 後端部
13b 上面部
13c 側壁部
13d 底面部
13e 後方部
14 後部フレーム
14a 前端部
14b 上面部
14c 側壁部
14d 底面部
14e 後方部
14f 後方部
14g 前方端
15 開口部
16 水抜き穴
17 隙間

Claims (1)

  1. 中央部フレームの後端部に後部フレームの前端部を被せて互いに溶着してシャーシフレームを形成した自動車のフレーム構造において、上記後部フレームの底面部の前方端を上記中央部フレームの底面部にまで延設して溶着し、上記中央部フレームの底面部の後方端の角を落として、該中央部フレームの底面部と上記後部フレームの底面部との間に水抜き穴を形成したことを特徴とする自動車のフレーム構造。
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