JP3973542B2 - 構築物の補修方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、構築物の補修部の外側に網状補強体を固定し、その外側にモルタルを塗布して表面層を形成する外壁の補修方法に関するものであり、コンクリート製の壁面や床版などを補修する場合に使用される。
【0002】
【従来技術とその問題点】
この種の補修方法としては、特公平4-67546 号公報に開示のものが公知となっている。
この補修方法は、外壁面に無機質の又は合成樹脂を混入させたモルタルを塗着し、その上に網体を当接し、鏝圧を掛けつつモルタルの移動を促しながら網体を塗着面下に埋入させる構成を採用している。
【0003】
しかしながら、この方法では網体を押さえながら鏝作業を行わなければならないし、ロール巻きした網体を使用すると網体の反り返りによって鏝作業による埋入を困難にさせることになる。とりわけ、隅角部や役物、面木などの付属品を取り付けた箇所では、凹凸や段差が生じて下地が平坦となっていないため、モルタルの移動によっては網体の埋入が極めて困難となったり、場合によっては不可能となることがあった。
また、補強体などの配置を指定するために外壁上に墨だしが施されている場合には、網体を接着するためのモルタルが塗布されてしまうと、その塗布厚によっては隠蔽されてしまい、作業を円滑に進める上で不都合があった。
さらに、ピンを用いて網体を外壁に強固に固定するためには、モルタルが硬化した後に網体の網目を狙って孔を穿設することになるが、網体はすでに埋入させられていて網目の確認ができず、網体を切断して補強効果を低下させる不都合もある。
【0004】
【技術的課題】
本発明は、構築物の補修部の外側に網状補強体を固定し、その外側にモルタルを塗布して表面層を形成する補修方法において、補修部の形状に沿わせて網状補強体を確実に貼着できるようにすることを課題としたものである。
【0005】
【技術的手段】
この技術的課題を解決するための第一の技術的手段は、粘着剤層を設けた網状補強体を、粘着剤層を内側にして補修部の外側に向けて押圧し固定する、ことである。
【0006】
第二の技術的手段は、補修部の表面に下地層を形成した後網状補強体を固定することであり、第三の技術的手段は、補修部又は下地層の表面にプライマーを塗布した後網状補強体を固定することである。
【0007】
また、第四の技術的手段は網状補強体を固定する前又は後に、網目から構築物の躯体に達する孔を穿設し、係止部を備えたピンをこの孔に挿入固定すると共に補強体を係止部に係合させることであり、第五の技術的手段は、このピンとして筒状の中空体で形成したものを用い、孔に挿入したピンの後端部から躯体内に接着剤を注入することである。
【0008】
第一の技術的手段では、網状補強体には粘着剤層が設けられているから、補修部の外側に向けてその粘着剤層を内側にして押圧することによってこれを補修部上に固定することができる。
網状補強体上に形成された粘着剤は、直ちにその固着力を発揮するため、補修部に隅角、笠木、庇、水切りなどの段差や凹凸があっても、形状に沿って固定することが可能となる。なお、粘着剤は、網状補強体の一方の面に形成しておけば良い。
したがって、補修部の形状に沿わせて確実に網状補強体を貼着させられることになる。
なお、貼着前に墨だしをしておいて補強体を円滑且つ確実に貼着させることもできる。
【0009】
後工程においてモルタルが塗布されて表面層が形成されるが、このとき、モルタルで網状補強体を埋入させてしまってもよいし、一部を残して外観模様とすることもできる。モルタルは無機質のものであっても良いし、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの有機物を混入させたものであっても良い。
壁面上に凹部がある場合には、後工程でモルタルを塗布する際にその凹部を埋めることができるから、網体を凹部形状に従わせることなく壁面の外側に沿わせて固定すればよい。
補修部の外側に固定される網状補強体としては、ビニロン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維などから選択される強靱な繊維を二軸又は三軸方向に編組して形成されたネットやこれらの繊維からなる不織布を好適に使用することができる。
また、粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系など、公知の粘着剤を使用することができる。
【0010】
第二の技術的手段では、補修部の表面にあらかじめ下地層を形成し、その後外側に網状補強体を固定するようにしているから、網状補強体を貼着し易い貼着面を形成することができる。この下地層の形成は、細かい凹凸を修正したり、貼着面の形状を均したりすることができ、また、その材質によって粘着剤と相性の良い貼着面を形成することができる。なお、必要な墨だしは、この下地層が乾燥した段階で下地層の表面に対して行うことになる。
第三の技術的手段では、補修部又は上記の下地層の表面にプライマーを塗布した後網状補強体を固定するようにしているから、網状補強体を補修部や下地層と一層強固に固着させることができる。プライマーは粘着剤の種類に対応して選択すれば良い。このプライマーは薄膜状に塗布されるため、すでに描かれている墨だしを隠蔽してしまうこともない。
【0011】
第四の技術的手段では、網状補強体を補修部の外側に固定する前又は後に、網目から構築物の躯体に達する孔を穿設し、係止部を備えたピンをこの孔に挿入固定することによって網状補強体がピンの係止部に係合させられているから、補修部に対し網状補強体を物理的に固定することができる。
貼着前に墨だしをしておいて、ピンの挿入位置を確認しながら網状補強体を配置させることもできる。
補修部に固定するピンの数は、通常4本/m2 程度用いられているが、補強体の種類、ピンの強度や長さ、補強体の配置状況などを勘案して、間隔や本数を決定することが望ましい。
第五の技術的手段では、このピンとして筒状の中空体で形成したものを用い、孔に挿入したピンの後端部から躯体内に接着剤を注入させているが、この接着剤は、補修部に内在している浮陸内に到達して浮陸表面の剥離と浮陸の拡大を防止するため、確実な補強を行うことができる。
【0012】
【本発明の効果】
補修部の形状に沿わせて網状補強体を確実に貼着できる結果、網状補強体の貼着作業を極めて円滑に行うことができ、しかも確実な補強効果を発揮させることができる。
補強体を接着剤やモルタルで固定する場合には、接着剤やモルタルが硬化しなければ接着力を発揮させられず、トンネルや高速道路などの場合、補修部位によっては養生のために長時間にわたって交通規制が行われていた。しかしながら、本発明では、粘着剤を使用して補強体を補修部に固定できるため、交通規制時間を極力短く設定できる利点があり、例えば、トンネルや地下鉄の壁面を補強する場合に、夜間に補強体を固定させた状態で昼間に車両の通行を行わせることが可能となり、段階的に区切りを付けた補修工事を行える利点がある。
【0013】
【実施例】
次に、凸部を設けたコンクリート部材の表面に網状補強体としてのネットを固定する具体例について説明する。
ビニロン製繊維を三軸で製織させたネットであるトリネオTSS-1820(ユニチカ株式会社製)の一方の表面にエマルジョン型アクリル系粘着剤を100g/m2塗布して1日自然乾燥させ、粘着剤層を有する補強ネットを得た。
縦600mm ×横400mm ×厚さ60mmのコンクリート製U字溝蓋の縦方向中央部に、発泡ポリウレタン製の三角水切り(底辺40mm、他の二辺は28mm)の底辺を両面テープを用いて貼着し、凸部を形成した。コンクリートの側壁、表面及び水切りの表面に沿わせて上記補強ネットを貼着させたところ、コンクリートの側壁と表面との角部、コンクリート表面と水切りの屈曲部並びに水切りの頂部に沿って確実に固着していて、浮きや剥がれは観察されなかった。
Claims (5)
- 構築物の補修部の外側に網状補強体を固定し、その外側にモルタルを塗布して表面層を形成する構築物の補修方法において、粘着剤層を設けた網状補強体を粘着剤層を内側にして補修部に向けて押圧し固定する工程を含む構築物の補修方法。
- 補修部の表面に下地層を形成した後網状補強体を固定する請求項1に記載の構築物の補修方法。
- 補修部又は下地層の表面にプライマーを塗布した後網状補強体を固定する請求項1又は2に記載の構築物の補修方法。
- 網状補強体を固定する前又は後に、網目から構築物の躯体に達する孔を穿設し、係止部を備えたピンをこの孔に挿入固定すると共に補強体を係止部に係合させる請求項1、2又は3に記載の構築物の補修方法。
- ピンが筒状の中空体で形成してあって、孔に挿入したピンの後端部から躯体内に接着剤を注入する請求項4に記載の構築物の補修方法。
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