JP3973173B2 - 壁当て材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、足場から壁面方向に作用する圧縮荷重を支持するための壁当て材に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅等の建物を構築する際には構造物の周囲に足場を組むが、構造物と足場の間を一定間隔に保つと同時に、足場の倒壊を防止するために、建物外壁部と足場を壁つなぎ材で接合している。一般に壁つなぎ材は引張力には強くても圧縮力には弱いため、壁面に当接する部分の面積を拡張して圧縮荷重を分散支持する構造の壁つなぎ材が提案されている。
【0003】
このように圧縮荷重を分散支持する従来の壁つなぎ材としては、例えば実公平1−7785号公報に記載されるような壁つなぎ材が知られている。この壁つなぎ材101は、図6に示すようにクランプ金具102にて足場支柱103に固定される支持筒104と、止着金具105にて構造物の壁面106に止着される調整ボルト107を備え、全体の長さ調整が可能な構成となっている。
【0004】
支持筒104の調整ボルト107側の端部には固定部材108が設けられており、支持筒104内に移動自在に挿入される調整ボルト107を任意の位置で固定することができる。又調整ボルト107の先端に設ける連結部109にはピン109aを介して連結ボルト109bが揺動自在に枢支されている。
【0005】
止着金具105は釘等の止着具105aを貫通する止着孔を設けた略椀形状の止着板105bの頂部にナット105cを固着する構成であって、止着板105bを止着具105aにて壁面106に固定した後、固着したナット105cに対して連結ボルト109bを捻じ込んで固定するものであった。
【0006】
この壁つなぎ材101は止着金具105を釘等の止着具105aで固定していたが、例えば特開平7−207924号公報に記載する壁つなぎ材201(図7参照)のように壁面206から突出する壁つなぎ受け金物205で固定するものもあった。壁つなぎ受け金物205は、壁面206に固着するナット205aにボルト205bを螺合するもので、ボルト205bの端部には雌ネジ部205cを備えていた。
【0007】
一方クランプ金具202を設ける支持筒204には連結ボルト209bがピン209aを介して揺動自在に枢支されており、この連結ボルト209bを壁つなぎ受け金物205の雌ネジ部205cに螺合していた。又、この壁つなぎ材201は連結ボルト209bを頂部に貫通する略椀形状の補強金物210を備えていた。
【0008】
このように従来の壁つなぎ材は、壁面に止着金具105や壁つなぎ受け金物205で固定する構成であり、足場から壁面方向に作用する荷重を略椀形状の止着板105bや補強金物210で分散支持する構成であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ユニット形式のシステム住宅のように外壁仕上材があらかじめ壁面に装着されている場合には、壁面に壁つなぎ材を固定すると仕上材を傷つけることになるので最後に補修しなければならなかった。又このような補修箇所はできるだけ少ない方が望ましいが、つなぎ箇所を少なくするほど荷重が集中することになるので設置箇所が限定されてしまう。即ち設置箇所は間柱等の柱部分に限定され、野地板等の一般部分には取付けられないという欠点があった。
【0010】
又、補修が不可能な場合には壁面に壁つなぎ材を固定できないので、このような場合には控え材で足場を支持せざるを得ないが、足場が建物側に倒れるのを防止できなかった。これを防止するために従来の壁つなぎ材を壁当て材として使用するケースも考えられるが、従来の壁つなぎ材101,201は、連結ボルト109b,209bを揺動自在に枢支する構成であったため、止着具105aやボルト205bを使用せずに止着板105bや補強金物210を壁面に押圧固定することは困難であった。
【0011】
又、当初押圧固定されていても振動等の外部荷重により足場と壁面の間隔が広がると、止着板105bや補強金物210は回動してしまい壁当て材としての機能を果たせなくなる欠点があった。
【0012】
この発明は上記課題を解決し、壁面に固定せずに設置することが可能で、補修等の後処理が不要となり、設置適用箇所が広く、容易に壁面に押圧固定することができ、しかも振動等が作用しても足場から壁面方向に作用する圧縮荷重を支持するという機能を発揮し得る壁当て材を提供することを目的としている。
【0013】
又請求項2記載の発明は、従来の壁つなぎ材を利用する場合であっても、上記機能を発揮できる壁当て材を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明の壁当て材は、一端に足場支柱連結用金具を備え他端にヒンジ部を介して揺動可能な連結ボルトを備える壁つなぎ材と、背面を壁面に当接し足場から壁面方向に作用する圧縮荷重を分散支持して壁面に伝達し得る板材と、板材の正面側にあって連結ボルトを螺合するナットと、このナットを内設すると共に少なくとも連結ボルトのヒンジ部を収納して揺動を抑制する円筒体を備えることを特徴としている。
【0017】
連結ボルトは円筒体に挿入して底部にあるナットに捻じ込む。連結ボルトのヒンジ部は円筒内で揺動が抑制されるため直線状に固定される。従って壁つなぎ材は壁面に対する垂直性を維持できる。又、円筒体が連結ボルトを保護するためコンクリートの付着等を防ぐこともできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次にこの発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は壁当て材の正面図である。壁当て材1は、支持筒2と、長さ調整ボルト3と、板材4を備える。支持筒2は一端にクランプ金具5を固設し、他端に固定部材6を設ける。固定部材6は長さ調整ボルト3のネジ山間に嵌合して長さ調整ボルト3を固定する螺旋状の押圧規制体6aと、これを内蔵する締付金具6b及び固定ボルト6cを有する。固定ボルト6cを捻じ込むことで押圧規制体6aがネジ山間に嵌合して長さ調整ボルト3の回転移動が阻止され、支持筒2に固定される。
【0019】
板材4は、円板4aに略椀形状のドーム材4bを固着し、その頂部に長さ調整ボルト3を固着する。円板4aには軟質ゴム等で作成する緩衝材4cを取付ける。この壁当て材1を使用する際には、足場支柱7にクランプ金具5を締結し、構造物の壁面8に板材4を押し当て支持筒2内に回転及び移動自在に挿入される長さ調整ボルト3を回転移動させながら固定部材6により固定する。
【0020】
このように壁当て材1は板材4を壁面8に押圧接触させるだけの構成であるため、足場から壁面方向に作用する圧縮荷重を分散支持することしかできず、いわゆる壁つなぎとしての機能はもたない。しかし、板材4と長さ調整ボルト3を固着一体化する簡易な構成であるため製作は容易である。
【0021】
又壁当て材はクランプ金具の代わりにくさび連結金具を用いるものでもよい。この実施形態を図2に示す。壁当て材11の支持筒2にはくさび連結金具15が固着し足場支柱17に突設する枠状の受金具17aに嵌着する。なお、図2において図1と同様な構成・作用を示す部材は同一符号を付して説明は省略する。
【0022】
次にいわゆる壁つなぎ材を利用する壁当て材の構成を図3に基づき説明する。図3の壁当て材21は、壁つなぎ材20と板材24からなる。壁つなぎ材20は、一端にクランプ金具5を備え他端にヒンジ部9を介して連結ボルト10を揺動可能に連結する。ヒンジ部9は長さ調整ボルト3の先端に固着する断面略U型の連結部材9aと、これを挿通するピン9bを有する。
【0023】
板材24は、略椀形状のドーム材4bの頂部にナット24dを固着し、これを内設する円筒体24eを備える。連結ボルト10は円筒体24eに挿入して底部にあるナット24dに捻じ込む。連結ボルト10のヒンジ部9は円筒体24e内で揺動が抑制されるため直線状に固定される。従って壁つなぎ材20は壁面8に対する垂直性を維持できる。又、円筒体24eが連結ボルト10を保護するためコンクリートの付着等を防ぐこともできる。なお、図3においても図1と同様な構成・作用を示す部材は同一符号を付して説明は省略する。
【0024】
又、壁つなぎ材はクランプ金具の代わりにくさび連結金具を用いるものでも同様に適用可能である。なお板材の形状は円板4aに略椀形状のドーム材4bを固着するものに限定されず、多角形状の角板を用いるものでもよい。又ドーム材を用いずに図4及び図5に示すように緩衝材34cを被覆する円板34aに直接ナット24d及び円筒体24eを固着するものでもよい。このように、ドーム材を使用しない構成の場合には部材厚が厚くなるが、金型等が不要となる利点がある。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の壁当て材は、板材に設けるナットを内設し連結ボルトのヒンジ部を収納して揺動を抑制する円筒体を備えるので、連結ボルトを直線状に固定することができる。従って壁つなぎ材の壁面に対する垂直性を維持でき振動等が作用しても回動することなく足場から壁面方向に作用する圧縮荷重を支持できる。このため一般に使用されている壁つなぎ材を利用することができ、外壁の仕上げができるまでは通常の壁つなぎとして使用し、仕上げ後は圧縮材として使用することも可能である。又、円筒体が連結ボルトを保護するためコンクリートの付着等を防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】壁当て材の正面図である。
【図2】くさび連結金具を用いる壁当て材の正面図である。
【図3】壁つなぎ材を利用する壁当て材の正面図である。
【図4】ドーム材を用いない板材の正面図である。
【図5】ドーム材を用いない板材の平面図である。
【図6】従来の壁つなぎの正面図である
【図7】従来の壁つなぎの正面図である。
【符号の説明】
1 壁当て材
2 支持筒
3 長さ調整ボルト
4 板材
5 クランプ金具
6 固定部材
7 足場支柱
8 壁面
Claims (1)
- 一端に足場支柱連結用金具を備え他端にヒンジ部を介して揺動可能な連結ボルトを備える壁つなぎ材と、背面を壁面に当接し足場から壁面方向に作用する圧縮荷重を分散支持して壁面に伝達し得る板材と、板材の正面側にあって連結ボルトを螺合するナットと、このナットを内設すると共に少なくとも連結ボルトのヒンジ部を収納して揺動を抑制する円筒体を備えることを特徴とする壁当て材。
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JP27825797A JP3973173B2 (ja) | 1997-09-25 | 1997-09-25 | 壁当て材 |
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JP27825797A JP3973173B2 (ja) | 1997-09-25 | 1997-09-25 | 壁当て材 |
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JP27825797A Expired - Lifetime JP3973173B2 (ja) | 1997-09-25 | 1997-09-25 | 壁当て材 |
Country Status (1)
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- 1997-09-25 JP JP27825797A patent/JP3973173B2/ja not_active Expired - Lifetime
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