JP3972360B2 - 圧電デバイス用パッケージとその製造方法、及びこのパッケージを利用した圧電デバイス、並びにこの圧電デバイスを利用した電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電デバイス用パッケージとその製造方法、及びこのパッケージを利用した圧電デバイス、並びにこの圧電デバイスを利用した電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
図19は、圧電デバイスとしての例えば圧電振動子100を長手方向に切断した場合の概略縦断面図である。
この図において、圧電振動子100は、例えば水晶基板を矩形状に形成した所謂ATカット振動片や、音叉型に形成した所謂音叉型圧電振動片120を、パッケージ110内に収容している。
【0003】
パッケージ110は、図に示されるように、底部となる底部基板103に、枠状に形成された枠状基板106を積層して形成されている。
この枠状基板106は、その内側に所定の孔を形成することで、底部基板103に積層した場合に、所定の内部空間Sを形成するようにされている。この内部空間Sは圧電振動片120を収容するための空間である。また、パッケージ110の開放された上端にある開放端面には、例えば、ロウ材134を介して、蓋体136が接合されることにより、気密封止されている。
【0004】
パッケージ110の底部基板103の内部空間S内の図において左端部付近には、電極130が設けられている。電極130は、外部と接続されて、駆動電圧を供給するものである。この電極130の上には、導電性接着剤132が塗布されており、この導電性接着剤132の上に圧電振動片120の基端部122が載置されて、導電性接着剤132が硬化されることにより、圧電振動片120が接合されている。
【0005】
また、底部基板103は、第1の基板102に第2の基板104を積層して形成されている。そして、第1の基板102および第2の基板104のそれぞれに貫通孔112,114を形成することにより、外部に開口した貫通孔116が設けられている。この2つの貫通孔のうち、パッケージ110内部に開口する貫通孔114に対して、外側の孔である貫通孔112は、より大きな内径を備えている。これにより、貫通孔116は、段部118を備える段つき開口とされ、この段部118の表面には、金属膜138が形成されている。
この貫通孔116は、圧電振動子100の製造過程において、導電性接着剤132やロウ材134等を加熱することで発生したガスを、内部空間S内から排気するための孔であり、パッケージ110内を真空引きした後は、封止材140で封止されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
図20は、この貫通孔116を封止する際の図である。図示されているように、貫通孔112の内径と貫通孔114の内径との差により生じた段部118に半田ボール140aを配置する。そして、半田ボール140aにレーザLを照射して溶融し、溶融した半田ボール140aを金属膜138に濡れ拡がらせて、貫通孔116を封止するようになっている。
【0007】
このように、パッケージ110の貫通孔116を利用することで、内部空間Sを真空引きして、ガスが圧電振動片120に付着することを防止し、圧電振動片120の振動周波数が変化しないようにしている。
また、この貫通孔116を封止する際には、底部基板103を構成する複数の基板102,104に内径の異なる貫通孔112,114を設けることで形成された段部118に、半田ボール140aを配置している。これにより、半田ボール140aが、内部空間S内に入り込んだり、貫通孔116からズレて配置されることを防止して、確実に貫通孔116を封止するようにしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−106515号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、上述のような情報機器や移動体通信機器などの様々な電子機器については、小型薄型化がめざましく、それらに用いられる圧電デバイスも小型薄型化が要求されている。
しかし、従来は、貫通孔116を封止する際、上述のように、複数の基板102,104に内径の異なる貫通孔112,114を設けることで形成した段部118に半田ボール140aを配置する手法を採用している。
このため、パッケージ110の底部基板103は、複数の基板102,104を積層して形成することになり、このためパッケージ110の厚みは大きくなり、上述した圧電デバイスの小型薄型化の要求を満たすことができない。
【0010】
また、基板102,104自体の厚みを薄くすることで、パッケージ110の厚みを薄くすることも可能ではあるが、基板102,104の厚みを薄くするにも限界がある。特に極めて薄型化されたICカードや携帯電話装置に圧電デバイスを組み込む場合、パッケージ110の基板102,104の厚みを薄くしても、基板が2層に形成されている限り、ICカードなどの薄型化に対応した圧電デバイスを形成することができない。
さらに、パッケージ110が多層構造であると、一層増やすごとにコストが高くなるという問題も生じる。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、パッケージ内の空気を排気する貫通孔を確実に封止できると共に、小型かつ安価な圧電デバイス用パッケージと圧電デバイス及びその製造方法、並びに圧電デバイスを利用した電子機器を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、第1の発明によれば、底部となる底部基板に枠状基板が積層されることにより、この枠状基板の内側に圧電振動片を収容するための内部空間が形成されており、かつ、前記底部基板に前記内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔が設けられた圧電デバイス用パッケージであって、前記底部基板は、一層の基板から形成され、前記貫通孔は、溶融前の前記封止材の外形より大きな内周を有するようにして形成され、内周面に、溶融前の前記封止材が前記内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段が設けられている圧電デバイス用パッケージにより達成される。
【0017】
第1の発明の構成によれば、圧電デバイス用パッケージは、底部となる底部基板に枠状基板が積層されることにより、この枠状基板の内側に圧電振動片を収容するための内部空間が形成されており、かつ、底部基板に内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔が設けられている。このため、底部基板に設けられた貫通孔を利用して、圧電振動片を収容する内部空間内のガス等を排気した後、この貫通孔を封止できる。
また、底部基板は、一層の基板から形成されている。したがって、底部基板を複数の基板から形成した従来と比べて、パッケージの厚みを薄くできる。そして、このように底部基板を一層の基板から形成しても、貫通孔は、溶融前の封止材の外形より大きな内周を有するようにして形成され、内周面に、溶融前の封止材が内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段が設けられている。これにより、溶融前の封止材を貫通孔に入れても、封止材は、進入防止手段の位置で止まり、内部空間内に落下したり、貫通孔からズレて配置されることを防止できる。
【0018】
第2の発明によれば、第1の発明の構成において、前記進入防止手段は、前記貫通孔の内周面に金属ペーストを付着させることにより形成されていることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、進入防止手段は、貫通孔の内周面に金属ペーストを付着させることにより形成されているため、貫通孔内に金属ペーストを塗布等するだけで、容易に進入防止手段を形成できる。
【0019】
第3の発明によれば、第2の発明の構成において、前記進入防止手段を形成する金属ペーストは第1の金属ペーストであり、この第1の金属ペーストより低い粘度を有する第2の金属ペーストから形成された金属層が、前記進入防止手段を覆うようにしていることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、進入防止手段を形成する第1の金属ペーストより低い粘度を有する第2の金属ペーストから形成された金属層が、進入防止手段を覆うようにしている。これにより、もし、第1の金属ペーストが上手く付着せずに、進入防止手段が所望の厚みより薄く形成されてしまっていても、第2の金属ペーストから形成された金属層が、溶融前の封止材の内部空間内への進入を確実に防止できる。また、第2の金属ペーストは、第1の金属ペーストより低い粘度を有するため、第1の金属ペーストに比べて薄く付着され、金属層が貫通孔を塞いでしまうことを防止できる。
【0021】
また、上記目的は、第4の発明によれば、圧電振動片と、底部となる底部基板に枠状基板が積層されることにより、この枠状基板の内側に前記圧電振動片を収容するための内部空間が形成されており、かつ、前記底部基板に前記内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔が設けられたパッケージとを備える圧電デバイスであって、前記底部基板は、一層の基板から形成され、前記貫通孔は、溶融前の前記封止材の外形より大きな内周を有するようにして形成され、内周面に、溶融前の前記封止材が前記内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段が設けられている圧電デバイスにより達成される。
第4の発明の構成によれば、圧電デバイスは、第1の発明と同様に、貫通孔を利用して、圧電振動片を収容する内部空間内のガス等を排気した後、この貫通孔を封止できる。さらに、第1の発明と同様に、底部基板を複数の基板から形成した従来と比べて、薄型かつ安価なパッケージを形成できるので、圧電デバイスを小型かつ安価にすることができる。そして、溶融前の封止材を貫通孔に配置しても、貫通孔には進入防止手段が設けられているため、封止材をこの進入防止手段の位置で止め、封止材の内部空間内への落下等を防止できる。したがって、優れた振動特性を備える圧電デバイスを得ることができる。
【0023】
また、上記目的は、第5の発明によれば、圧電振動片と、底部となる底部基板に枠状基板が積層されることにより、この枠状基板の内側に前記圧電振動片を収容するための内部空間が形成されており、かつ、前記底部基板に前記内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔が設けられたパッケージとを備える圧電デバイスを利用した電子機器であって、前記パッケージの底部基板は、一層の基板から形成され、前記貫通孔は、溶融前の前記封止材の外形より大きな内周を有するようにして形成され、内周面に、溶融前の前記封止材が前記内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段が設けられている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした電子機器により達成される。
【0027】
また、上記目的は、第6の発明によれば、底部となる底部基板に枠状基板を積層して、この枠状基板の内側に圧電振動片を収容するための内部空間を形成し、かつ、前記底部基板に、前記内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔を設ける圧電デバイス用パッケージの製造方法であって、前記底部基板に前記枠状基板を積層する前に、溶融前の前記封止材の外形より大きな内周を有するようにして、一層の基板に前記貫通孔を形成し、次いで、この貫通孔を設けたことで形成された一方の開口部を覆うようにして、所定の粘度を有する金属ペーストを塗布し、次いで、この金属ペーストを、他方の開口部から吸引して、前記貫通孔の内周面に付着させることにより、溶融前の前記封止材が前記内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段を形成する圧電デバイスの製造方法により達成できる。
【0028】
第6の発明の構成によれば、貫通孔を利用して、圧電振動片を収容する内部空間内のガス等を排気した後、封止材により貫通孔を封止できるパッケージを形成できると共に、薄型かつ安価なパッケージを形成できる。
また、第6の発明の構成では、溶融前の封止材の外形より大きな内周を有するようにした貫通孔を設けただけなので、貫通孔の形状が簡単であり、貫通孔を容易に形成できる。
そして、貫通孔を設けたことで形成された一方の開口部を覆うようにして金属ペーストを塗布し、次いで、この金属ペーストを、他方の開口部から吸引して、貫通孔の内周面に付着させている。この際、金属ペーストは、所定の粘度を有している。この所定の粘度とは、金属ペーストを吸引した場合に、貫通孔の内周面全面に一様の厚みをもって塗布されない程度の粘度を意味する。このため、金属ペーストは、貫通孔の内周面に一様の厚みをもって付着せず、所定の塊を有して内壁に付着する。これにより、溶融前の封止材が内部空間内に入り込むことを防止する金属ペーストの塊からなる進入防止手段を形成できる。このように、金属ペーストの粘性をコントロールするだけで、溶融前の封止材が内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段を形成できる。
【0029】
第7の発明によれば、第6の発明の構成において、前記進入防止手段を形成する前記金属ペーストは第1の金属ペーストであり、この第1の金属ペーストを前記貫通孔の内周面に付着した後、さらに、前記第1の金属ペーストより低い粘度を有する第2の金属ペーストを、前記第1の金属ペーストを覆うように付着させることを特徴とする。
第7の発明の構成によれば、貫通孔の内周面には、第1の金属ペーストを覆うようにして第2の金属ペーストを付着させる。このため、もし、第1の金属ペーストが上手く付着せずに、進入防止手段が所望の厚みより薄く形成されてしまっても、進入防止手段の厚みを調整し直して、封止材が内部空間内に入り込むことを防止する形状を確実に形成できる。また、第2の金属ペーストは、第1の金属ペーストより低い粘度を有する。したがって、第1の金属ペーストに比べて薄く付着させることができ、第2の金属ペーストで貫通孔を塞いでしまうことを防止できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる圧電デバイスの概略平面図であり、図2は、図1のA−A線概略切断断面図である。
これらの図において、圧電デバイスは、圧電振動子10を構成した例を示しており、圧電振動子10は、パッケージ30内に圧電振動片20を収容している。
パッケージ30は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成型して形成される複数の基板31,32を積層した後に、焼結して形成されている。すなわち、図2に示されるように、この実施形態では、パッケージ30は、底部基板31に枠状基板32を積層して形成されている。
【0032】
枠状基板32は、図2に示されるように、その内側に所定の孔32aを形成することで、図1に示されるように枠状に形成され、底部基板31に積層した場合に、パッケージ30の内側に圧電振動片20を収容する内部空間S1を形成するようにされている。
また、枠状基板32の上端にある開放端面32bには、例えば、低融点ガラス等のロウ材43を介して、蓋体34が接合されることにより、封止されている。蓋体34は、パッケージ30に封止固定した後で、図2に示すように、外部からレーザ光LBを圧電振動片20の金属被覆部もしくは励振電極の一部(図示せず)に照射して、質量削減方式により周波数調整を行うために、光を透過する材料、特に薄板ガラスにより形成されている。
【0033】
底部基板31は、パッケージ30の底部となる基板であり、一層の基板だけから形成されている。この底部基板31の内部空間S1内の図において左端部付近には、例えば、金または金合金で形成した電極部40,40が設けられている。この電極部40,40の上に導電性接着剤42,42が塗布され、この導電性接着剤42,42の上に圧電振動片20の基部20aが載置されて、導電性接着剤42,42が硬化し、圧電振動片20が電極部40,40に固着されるようになっている。なお、導電性接着剤42,42としては、接合力を発揮する接着成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、エポキシ系またはポリイミド系、またはシリコーン系導電性接着剤等を利用することができる。
【0034】
圧電振動片20は、例えば水晶で形成されており、水晶以外にもタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。本実施形態の場合、圧電振動片20は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図示する形状とされている。すなわち、圧電振動片20は、パッケージ30と固定される基部20aと、この基部20aを基端として、図において右方に向けて、二股に別れて平行に延びる1対の振動腕24,26を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂音叉型圧電振動片が利用されている。
【0035】
基部20aは、各振動腕24,26の基端部近傍に、基部20aの幅を縮幅するようにして設けたくびれ部、若しくは切欠き部28,28を備えている。これにより、各振動腕24,26からの振動の基部20a側への漏れ込みが抑制されるようになっている。また、基部20aの端部(図1では左端部)の幅方向両端付近には、パッケージ30の電極部40,40と接続するための引出し電極36,36が形成されている。この引出し電極36,36は、互いに異極となるようになっている。
【0036】
各振動腕24,26は、それぞれ長さ方向に延びる長溝21,21を有している。この長溝21,21は、図1のB−B線切断端面図である図3に示すように、振動腕24,26の上面および下面に設けられている。これら4つの長溝21と各振動腕24,26の両側面には、図3に示すように励振電極37a,37bが設けられており、励振電極37aと励振電極37bとは、互いに異極となるように引出し電極36,36と接続されている。これにより、振動腕24,26内の電界をE方向に沿って効率よく発生させ、圧電振動片20のクリスタルインピーダンス値を低く抑えることができる。
【0037】
ここで、上述した一層の基板から形成された底部基板31の底面ほぼ中央付近には、内部空間S1とパッケージ30の外部とを連通する貫通孔50が形成されている。この貫通孔50は、後述する圧電振動子10の製造工程で説明するように、内部空間S内のガスを排気するための孔であり、パッケージ30内を真空引きして、溶融した封止材46で封止されるようになっている。
具体的には、貫通孔50は、後述する圧電振動子10の製造工程において、貫通孔50を封止するための溶融前の封止材46a(図9参照)の外形より、大きな内周を有すると共に、この大きな内周よりも内側(内部空間S側)に、溶融前の封止材46aの外形より小さな内周を有する。本実施形態では、貫通孔50は、パッケージ30の内側に向かって、除々に内周が小さくなるように形成されている。
この貫通孔50については、後で詳細に説明する。
【0038】
また、貫通孔50の内周面には、金属被覆部52が設けられており、この金属被覆部52に溶融した封止材46が濡れ拡がって、封止されている。本実施形態では、金属被覆部52は、例えば、タングステン(W)を用いてメタライズし、その表面にニッケル(Ni)及び金(Au)をメッキして形成されている。また、封止材46には、例えば金(Au)と錫(Sn)、或いは金(Au)とゲルマニウム(Ge)の合金等からなる低融点金属が用いられている。
【0039】
次に、圧電振動子10の製造方法について説明する。
図4は、圧電振動子10の製造方法の一例を示す図である。また、図5および図6は、図4の一部の製造工程に対応した斜視図である。
この製造方法においては、先ず、パッケージ30を構成するセラミックベースと、圧電振動片20と、蓋体34とを別々に形成してから、これを完成させて、接合固定する。
ここで、パッケージ30に関しては、圧電振動片20と蓋体34を除く、上述した構造を所定の工程により形成して、セラミックベースを完成させる。
また、蓋体34と、圧電振動片20は、すでに説明したとおりの構成を、それぞれ別々の工程で完成させる。
【0040】
この際、パッケージ30に関しては、図5(a)に示すように、例えば、セラミックパウダにバインダを添加してシート状に成形して得た、所謂グリーンシートを、一方向に長いテープ状に形成し(ST1)、これを図5(b)に示すように、作業単位毎の長さに対応するようにカットして板状にする(ST2)。このようにして形成された板状のベース材料31aは、上述したパッケージ30の底部を構成する底部基板31に対応する材料となる。
次に、図5(c)に示すように、ベース材料31aに、貫通孔50を形成する。この場合、一枚のベース材料31aからは、複数の底部基板31が形成されるため、この底部基板31の数に応じた数だけ貫通孔50を形成する(ST3)。
【0041】
図7は、この貫通孔50をベース材料31aに形成する際の図である。この図に示されるように、貫通孔50は、一層のベース材料31aを、治具80により穿孔して形成する。治具80には、先端側に向かって除々に外径を縮径させた穿孔部80aが設けられている。この穿孔部80aは、根元側の外形が、溶融前の封止材46a(図9参照)の外形より大きな外形を有し、この大きな外形から先端に向かって、除々に、溶融前の封止材46aの外形より小さな外形を有するようにして形成されている。そして、この治具80を、ベース材料31aの下面(パッケージ30の外面に対応した面)から穿孔し、穿孔部80aの先端が、上面(パッケージ30の内側に対応する面)まで到達するようにする。
これにより、一層のベース材料31aに、内方へ向かって縮径したテーパ状の貫通孔50が形成される。この貫通孔50は、溶融前の封止材46a(図9参照)の外形より、大きな内周を有すると共に、この大きな内周よりも上面側(パッケージ30の内側に対応する面側)に、溶融前の封止材46aの外形より小さな内周を有する貫通孔50である。
【0042】
次に、図5(d)に示すように、ベース材料31aに形成した貫通孔50の内周面に、金属被覆部52を設けるための金属ペースト52aを塗布する(ST4)。
図8は、この金属ペースト52aを、貫通孔50の内周面に塗布する際の説明図である。この図に示されるように、貫通孔50を設けたことによりベース材料31aに形成された開口部のいずれか一方、好ましくは、内部空間S1側に面した開口部を覆うようにして、例えばタングステン(W)からなる金属ペースト52aをスクリーン印刷する。そして、上記開口部のいずれか他方から、金属ペースト52aを吸引して、印刷した金属ペースト52aを貫通孔50の内周面に導いて塗布する。
【0043】
次に、図5(e)に示すように、ベース材料31aに、電極部40(図1および図2参照)を、必要な数だけ形成する。また、図5(a)及び(b)と同様に形成した板状のベース材料32cに、圧電振動片20を収容するための孔32aを形成する(ST5)。このベース材料32cが、上述した枠状基板32に対応する材料となる。
【0044】
そして、図6(f)に示すように、貫通孔50と電極部40を有するベース材料31aの上に、圧電振動片20を収容するための孔32aを有するベース材料32cを積層して固定する(ST6)。
次に、図6(g)に示すように、ベース材料31a,32cの厚み方向に、製品の単位の大きさにハーフカットして切り込みを入れた後、後で適当な作業単位となるように縦横に切断し(ST7)、図6(h)に示すように、セラミック材料であるこれらの板材を焼成する(ST8)。
このようにして、上述のST4で貫通孔50の内周面に塗布した金属ペースト52aを高温処理してメタライズし、さらにその表面に、例えばニッケル(Ni)及び金(Au)をメッキして金属被覆部52を形成する(ST9)。次いで、例えば窒素雰囲気中で、パッケージ30の上端に、例えば低融点ガラス等のロウ材43(図2参照)を塗布する。そして、上述した切り込みを利用して製品単位に切断して、図6(i)に示すパッケージ30を完成する(ST10)。
【0045】
その後、上述のST5にて形成した電極部40の上に、導電性接着剤42(図1および図2参照)を塗布し、この導電性接着剤42の上に、引出し電極36(図2参照)、及び励振電極37a,37b(図3参照)を形成した(ST1−1)圧電振動片20を載置する。そして、導電性接着剤42を加熱して硬化させ、圧電振動片20をパッケージ30に固定する(マウント:ST11)。
【0046】
そして、上述したロウ材43の上に蓋体34(図2参照)を載置して、ロウ材43を加熱して硬化させることにより、蓋体34による封止を行なう(ST12)。
この際、上述した導電性接着剤42やロウ材43などを加熱することで、有害なガスが発生するが、さらに、パッケージ30及び圧電振動片20全体を加熱することでガスを発生させる。そして、パッケージ30の内部空間S1内にあるガスを、貫通孔50から真空引きする(アニール処理:ST13)。
【0047】
その後、貫通孔50を封止する際の図である図9に示すように、真空雰囲気としたチャンバー内に、所定の治具などに保持したパッケージ30を載置し(図示せず)、溶融前の封止材46aを、貫通孔50に配置する。本実施形態では、溶融前の封止材46aには、金(Au)と錫(Sn)、或いは金(Au)とゲルマニウム(Ge)の合金等からなる低融点金属を、球形に形成したものを用いている。
この際、貫通孔50は、上述の治具80により形成したので、溶融前の封止材46aの外形より大きな内周を有すると共に、この大きな内周よりも内側に、溶融前の封止材46aの外形より小さな内周を有する。このため、溶融前の封止材46aを貫通孔50に配置しても、封止材46aはこの小さな内周の位置で止まり、貫通孔50を通過して内部空間S1内に落下したり、貫通孔50からズレて配置されることを防止できる。
【0048】
そして、貫通孔50に封止材46aを配置した状態で、封止材46aに、例えばレーザ光L1を照射するなどして溶融させ、貫通孔50を封止する(ST14)。この際、貫通孔50の内周面には金属被覆部52が形成されている。したがって、封止材46aは、溶融すると貫通孔50の内周面に設けた金属被覆部52に濡れ広がる(図2参照)。このため、溶融した封止材46が、それ以上パッケージ30内に進入しないようにすることができ、圧電振動片20等に付着して、振動性能を阻害する等の不都合を有効に防止することができる。
【0049】
次いで、外部からレーザ光LBを、蓋体34を透過させて圧電振動片20の金属被覆部もしくは励振電極の一部(図示せず)に照射して、質量削減方式により周波数調整を行い(ST15)、所定の検査を行い(ST16)、圧電振動子10を完成させる。
【0050】
本発明の第1の実施形態は以上のように構成され、このため、貫通孔を複数の基板に形成した従来と比べて、底部基板31(ベース部材31a)を一層の基板にした分、パッケージ30を薄型化でき、かつ安価にすることができる。そして、このように底部基板31を一層の基板により形成したとしても、溶融前の封止材46aが、貫通孔50を通過して内部空間S1内に落下したり、貫通孔50からズレて配置することを防止できる。
【0051】
図10は、本発明の第1の実施形態の変形例であって、圧電振動子10の製造方法について特徴のある部分である。
この図において、図1ないし図9の圧電振動子10と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
この圧電振動子10の製造方法において、第1の実施形態と異なるのは、底部基板31を形成するためのベース材料31aに貫通孔50を形成するにあたって、第1の実施形態で用いた治具80とは異なる治具81を用いた点のみであり、その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0052】
すなわち、第1の実施形態の変形例における治具81は、穿孔部80aからさらに先端側に向かって同じ外形で延びる突出部82を有している。例えば、図10において、治具81は、第1の実施形態と同様に、根元側が溶融前の封止材46aの外形より大きな外形を有し、この大きな外形から先端側に向かって、除々に溶融前の封止材46aの外形より小さな外形を有するように狭まった穿孔部80aを有している。そして、この穿孔部80aの最も縮径した箇所である先端80bにおける外形と同一の外形を有するようにして、穿孔部80aの先端80bから治具81の先端(図10において上方)に向かって、突出部82が延びている。
そして、この治具81の穿孔部80aの先端80bが、ベース材料31aの上面(パッケージ30の内面に対応した面)まで穿孔するようにして、ベース材料31aを穿孔する。
【0053】
本発明の第1の実施形態の変形例は以上のように構成され、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する。さらに、例えば、ベース材料31aの厚みを製品毎に均一に揃えることが困難なため、ベース材料31aの厚みが大きくなってしまい、穿孔部80aの先端80bが、ベース材料31aの上面に到達できない場合が生じても、突出部82がベース材料31aを確実に貫いて貫通孔50を形成できる。また、突出部82は、穿孔部80aの先端80bと同じ外形を有しているため、溶融前の封止材46aより小さな内周を有する貫通孔50を形成することができる。
なお、突出部82は、溶融前の封止材46aよりも小さな外形を有すれば、穿孔部80aの先端80bにおける外形と同じ外形でなくてもよい。
【0054】
図11および図12は、本発明の第2の実施形態であって、圧電振動子60の概略縦断面図であり、図12は、溶融前の封止材46aの大きさと比較した貫通孔54及びその周辺の形状を説明するための図である。
この図において、図1ないし図9の圧電振動子10と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0055】
この圧電振動子60において、第1の実施形態と異なるのは、貫通孔54及びその周辺の形状等が異なっている点である。
すなわち、図11において、パッケージ30の底部となる底部基板31に設けた貫通孔54は、その内周の全てが、溶融前の封止材46a(図9参照)の外形より大きな内周を有するようにして、底部基板31の平面方向に対して垂直な孔により形成されている。
ここで、溶融前の封止材46aの外形より大きな内周を有する貫通孔54の内周面には、進入防止手段56が設けられている。この進入防止手段56は、溶融前の封止材46aが、内部空間S1内に入り込むことを防止するための手段である。すなわち、進入防止手段56は、図12に示されるように、貫通孔54の内周面に付着するようにして形成され、この付着した進入防止手段56に挟まれた空間の幅W1が、溶融前の封止材46aの外形よりも小さくなるように形成されている。また、進入防止手段56は、貫通孔54の内面の内部空間S側にのみ付着して、段部56cを形成するようになっている。
【0056】
圧電振動子60は以上のように構成されている。次に、圧電振動子60の製造工程について説明する。
図13は、圧電振動子60の製造方法の一例を示す図である。また、図14および図15は、圧電振動子60の製造工程について、第1の実施形態と比べて特徴のある部分であり、図14は、ベース材料31aに貫通孔54を形成する図、図15(a)は、貫通孔54の上面に金属ペーストを塗布した図、図15(b)は、金属ペーストを吸引した図である。
これらの図において、図1ないし図9の圧電振動子10の製造方法と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0057】
この圧電振動子60の製造工程において、第1の実施形態と主に異なるのは、貫通孔54を形成する方法(ST3−1)が相違する点、貫通孔54の内面に粘性の高い金属ペーストを塗布する工程(ST3−2)を設けた点である。
すなわち、先ず、第1の実施形態と同様に、セラミック材料からなる板状のベース材料31a(第1の基板31に対応する材料)を形成する(ST1およびST2)。
【0058】
次に、図14に示されるように、ベース材料31aに、治具82を用いて貫通孔54を形成する(ST3−1)。ここで、治具82は、ベース材料31aを穿孔する部分が、溶融前の封止材46aの外形より大きな外形を有している。このため、溶融前の封止材46aより大きな内周を有する貫通孔54が形成される。
【0059】
次いで、図15に示されるように、貫通孔54の内周面に、後の焼成(ST8)を経て形成される進入防止手段56となる金属ペースト56aを塗布する(ST3−2)。すなわち、図15(a)に示されるように、ベース材料31aの一方の面(図15(a)の上面)に、貫通孔54を設けたことで形成された開口部を覆うようにして、金属ペースト56aを例えばスクリーン印刷する。ここで、金属ペースト56aは、溶剤に、ベース材料31aと接合力がある例えばタングステン(W)や有機バインダ等を添加したものであって、溶剤に対する例えばタングステン(W)等の混合割合を多くするなどして、所定の粘度となるように調整したものを用いる。この所定の粘度とは、後述するように金属ペースト56aを吸引した場合に、貫通孔54の内周面に一様の厚みをもって付着しない程度の粘度を意味する。本実施形態においては、金属ペースト56aの粘度は、貫通孔54の内周面に一様の厚みをもって膜状に塗布される場合の粘度に対して、およそ2倍程度の高い粘度を有するようにしており、例えば600cp程度としている。
【0060】
そして、図15(b)に示すように、ベース材料31aの他方の面(図15(b)における下面)の開口部から、金属ペースト56aを、例えば真空度を10-2hPaとし、吸引速度を1mm/sとして真空で吸引する。そうすると、金属ペースト56aは、上述のように所定の粘度を有しているので、貫通孔54の内周面に塊をもって付着する。
【0061】
次に、第1の実施形態と同様に、焼成(ST8)等の製造工程を経て、進入防止手段56が設けられたパッケージ30を完成させ(ST5〜ST10)、圧電振動片20をパッケージ30に固定してから(ST11)、蓋体34による封止を行ない(ST12)、有害なガスを貫通孔54から排出する(ST13)。
【0062】
次いで、溶融前の封止材46aを、貫通孔54に配置し、この封止材46aにレーザ光を照射するなどして溶融させ、貫通孔54を封止する(ST14)。
この際、貫通孔54の内周面には、上述のST3−2で形成した進入防止手段56が設けられている。したがって、図12に示されるように、溶融前の封止材46aを貫通孔54に入れても、この封止材46aは、進入防止手段56の位置で止まって、貫通孔54を通過して内部空間S1内に落下したり、貫通孔54からズレて配置されることを防止できる。
【0063】
次いで、外部からレーザ光を、蓋体34を透過させて圧電振動片20の金属被覆部もしくは励振電極の一部(図示せず)に照射して、質量削減方式により周波数調整を行い(ST15)、所定の検査を行い(ST16)、圧電振動子60を完成させる。
【0064】
本発明の第2の実施形態は以上のように構成され、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮し、さらに、第1の実施形態と比べると、貫通孔54は、例えば内径の変化がない孔により形成されている。これにより、単に基板31に孔を開ければよいため、貫通孔54を容易に形成することができる。
しかも、金属ペースト56aの粘度をコントロールするだけで、容易に、封止材46aの位置決めをするための進入防止手段56を形成することができる。
【0065】
図16は、本発明の第2の実施形態の変形例であって、圧電振動子70の概略縦断面図である。
この図において、図11ないし図15の圧電振動子60と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
この圧電振動子70が、第2の実施形態と異なるのは、進入防止手段56の上に、第2の金属ペーストが付着している点であり、その他の点は、第2の実施形態と同様である。
【0066】
すなわち、圧電振動子70は、金属ペースト56a(図15参照)である第1の金属ペースト56aを付着することにより形成された進入防止手段56を覆うようにして、第2の金属ペースト58から形成された金属層が設けられている。この第2の金属ペースト58から形成された金属層は、進入防止手段56の厚みを調整し直す金属層であり、進入防止手段56の厚みD1よりも薄い厚みD2を有し、また、貫通孔54の内周面であって、進入防止手段56が設けられていない内周面にも設けられている。
【0067】
このような第2の金属ペースト58は、次のような方法で、進入防止手段56の表面に付着させている。
図17(a)は、第2の金属ペースト58をベース材料31aの一方の面に塗布した図であり、図17(b)は、第2の金属ペースト58を、ベース材料31aの他方の面から吸引した図である。
すなわち、第2の金属ペースト58は、図17(a)に示されるように、貫通孔54の内周面に進入防止手段56を形成した後、ベース材料31aの一方の面(図17(a)の上面)に、貫通孔54を設けたことで形成された開口部を覆うようにして、スクリーン印刷する。この第2の金属ペースト58は、第1の金属ペースト56aと同様に、タングステン(W)等からなるが、第1の金属ペースト56aに比べて、4分の1程度の低い粘度を有し、この変形例においては、150cp程度の粘度を有している。
【0068】
そして、図17(b)に示すように、ベース材料31aの他方の面(図17(b)における下面)の開口部から、第2の金属ペースト58を、例えば真空度を10-2hPaとし、吸引速度を1mm/sとして真空で吸引する。これにより、第2の金属ペースト58は、第1の金属ペースト56aよりも低い粘度を有しているので、進入防止手段56、及び貫通孔54の進入防止手段56が設けられていない内周面に、一様の厚みをもって薄膜状に塗布される。なお、この第2の金属ペースト58も第1の金属ペースト56aと同様に高温処理するようにされている。
【0069】
本第2の実施形態の変形例は、以上のように構成されており、このため、第2の実施形態と同様の作用効果を発揮する。さらに、もし、第1の金属ペースト56aが上手く付着せずに、進入防止手段56が所望する厚みより薄く形成されてしまっても、第2の金属ペースト58が、進入防止手段56の厚みを調整し直して、溶融前の封止材46aが内部空間S1内に入り込むことを防止する形状を、貫通孔54の内面に確実に形成できる。また、第2の金属ペースト58は、第1の金属ペースト56aより低い粘度を有する。したがって、第1の金属ペースト56aに比べて薄く付着させることができ、第2の金属ペースト58が貫通孔54を塞いでしまうことを防止することができる。
なお、第2の金属ペースト58は、貫通孔54を塞がないようにして、進入防止手段56の厚みを調整するために、何度でも塗布してよい。
【0070】
図18は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図である。
図において、送信者の音声を受信するマイクロフォン308及び受信内容を音声出力とするためのスピーカ309を備えており、さらに、送受信信号の変調及び復調部に接続された制御部としての集積回路等でなるCPU(CentralProcessing Unit)301を備えている。
CPU301は、送受信信号の変調及び復調の他に画像表示部としてのLCDや情報入力のための操作キー等でなる情報の入出力部302や、RAM、ROM等でなる情報記憶手段303の制御を行うようになっている。このため、CPU301には、圧電デバイスとして例えば圧電振動子10が取り付けられて、その出力周波数をCPU301に内蔵された所定の分周回路(図示せず)等により、制御内容に適合したクロック信号として利用するようにされている。このCPU301に取付けられる圧電振動子10は、圧電振動子10等単体でなくても、圧電振動子10等と、所定の分周回路等とを組み合わせた発振器であってもよい。
【0071】
CPU301は、さらに、温度補償水晶発振器(TCXO)305と接続され、温度補償水晶発振器305は、送信部307と受信部306に接続されている。これにより、CPU301からの基本クロックが、環境温度が変化した場合に変動しても、温度補償水晶発振器305により修正されて、送信部307及び受信部306に与えられるようになっている。
【0072】
このように、制御部を備えたデジタル式携帯電話装置300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧電振動子10,60,70を利用することにより、圧電振動片を収容する内部空間を確実に真空雰囲気にできるので、正確なクロック信号を生成すると共に、デジタル式携帯電話装置300全体の小型化及び低価格化に寄与することができる。
【0073】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜相互に組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。例えば、パッケージ内に圧電振動子を含むものであれば、圧電発信器、フィルタ等その名称を問わずに適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態にかかる圧電デバイスの概略平面図。
【図2】 図1のA−A線概略切断断面図。
【図3】 図1のB−B線切断端面図。
【図4】 圧電振動子の製造方法の一例を示す図。
【図5】 図4の一部の製造工程に対応した斜視図。
【図6】 図4の一部の製造工程に対応した斜視図。
【図7】 貫通孔をベース材料に形成する際の図。
【図8】 金属被覆部を貫通孔の内周面に形成する際の説明図。
【図9】 貫通孔を封止する際の図。
【図10】 本発明の第1の実施形態の第1の変形例であって、圧電振動子の製造方法について特徴のある部分の図。
【図11】 本発明の第2の実施形態であって、圧電振動子の概略縦断面図。
【図12】 溶融前の封止材の大きさと比較した貫通孔及びその周辺の形状を説明するための図。
【図13】 圧電振動子の製造方法の一例を示す図。
【図14】 ベース材料に貫通孔を形成する際の図。
【図15】 図15(a)は、貫通孔の上面に金属ペーストを塗布した図、図15(b)は、貫通孔を吸引した図。
【図16】 本発明の第2の実施形態の第1の変形例であって、圧電振動子の概略縦断面図。
【図17】 図17(a)は、第2の金属ペーストをベース材料の一方の面に塗布した図であり、図17(b)は、第2の金属ペーストを、ベース材料の他方の面から吸引した図。
【図18】 圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図19】 圧電デバイスとしての例えば圧電振動子を長手方向に切断した場合の概略縦断面図。
【図20】 貫通孔を封止する際の図。
【符号の説明】
20・・・圧電振動片、30・・・パッケージ、31・・・第1の基板、32・・・第2の基板、40・・・電極部、42・・・導電性接着剤、46・・・溶融後の封止材、46a・・・溶融前の封止材、50,54・・・貫通孔、52・・・金属被覆部、56・・・進入防止手段、56a・・・第1の金属ペースト、58・・・第2の金属ペースト、10,60,70・・・圧電振動子。
Claims (7)
- 底部となる底部基板に枠状基板が積層されることにより、この枠状基板の内側に圧電振動片を収容するための内部空間が形成されており、かつ、前記底部基板に前記内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔が設けられた圧電デバイス用パッケージであって、
前記底部基板は、一層の基板から形成され、
前記貫通孔は、溶融前の前記封止材の外形より大きな内周を有するようにして形成され、内周面に、溶融前の前記封止材が前記内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段が設けられている
ことを特徴とする圧電デバイス用パッケージ。 - 前記進入防止手段は、前記貫通孔の内周面に金属ペーストを付着させることにより形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の圧電デバイス用パッケージ。
- 前記進入防止手段を形成する金属ペーストは第1の金属ペーストであり、この第1の金属ペーストより低い粘度を有する第2の金属ペーストから形成された金属層が、前記進入防止手段を覆うようにしていることを特徴とする、請求項2に記載の圧電デバイス用パッケージ。
- 圧電振動片と、底部となる底部基板に枠状基板が積層されることにより、この枠状基板の内側に前記圧電振動片を収容するための内部空間が形成されており、かつ、前記底部基板に前記内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔が設けられたパッケージとを備える圧電デバイスであって、
前記底部基板は、一層の基板から形成され、
前記貫通孔は、溶融前の前記封止材の外形より大きな内周を有するようにして形成され、内周面に、溶融前の前記封止材が前記内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段が設けられている
ことを特徴とする圧電デバイス。 - 圧電振動片と、底部となる底部基板に枠状基板が積層されることにより、この枠状基板の内側に前記圧電振動片を収容するための内部空間が形成されており、かつ、前記底部基板に前記内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔が設けられたパッケージとを備える圧電デバイスを利用した電子機器であって、
前記パッケージの底部基板は、一層の基板から形成され、前記貫通孔は、溶融前の前記封止材の外形より大きな内周を有するようにして形成され、内周面に、溶融前の前記封止材が前記内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段が設けられている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした
ことを特徴とする電子機器。 - 底部となる底部基板に枠状基板を積層して、この枠状基板の内側に圧電振動片を収容するための内部空間を形成し、かつ、前記底部基板に、前記内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔を設ける圧電デバイス用パッケージの製造方法であって、
前記底部基板に前記枠状基板を積層する前に、溶融前の前記封止材の外形より大きな内周を有するようにして、一層の基板に前記貫通孔を形成し、
次いで、この貫通孔を設けたことで形成された一方の開口部を覆うようにして、所定の粘度を有する金属ペーストを塗布し、
次いで、この金属ペーストを、他方の開口部から吸引して、前記貫通孔の内周面に付着させることにより、溶融前の前記封止材が前記内部空間内に入り込むことを防止する進入防止手段を形成する
ことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。 - 前記進入防止手段を形成する前記金属ペーストは第1の金属ペーストであり、この第1の金属ペーストを前記貫通孔の内周面に付着した後、さらに、前記第1の金属ペーストより低い粘度を有する第2の金属ペーストを、前記第1の金属ペーストを覆うように付着させることを特徴とする、請求項6に記載の圧電デバイスの製造方法。
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