JP3972066B2 - 光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法 - Google Patents

光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法 Download PDF

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Description

本発明は光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法に関する。更に詳しくは、企業のオフィス、工場、病院、一般家庭などにおいて、高精細画像データおよび高精細動画データなどの大容量デジタルデータを、サーバーから複数のクライアントの特定の1箇所へ、高速に配信するための光パケット通信方式の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法に関する。

パーソナルコンピューターおよびその周辺機器の著しい進歩の結果、高精細静止画像や動画画像などをデジタル化して記録した大容量デジタルデータを取り扱うことが日常化している。例えば、従来のカラーテレビジョン放送を一般家庭において、デジタル化してパーソナルコンピューターのハードディスク型記憶装置やDVDなどの光記録媒体に記録した場合、放映時間1時間当たり数GBもの大容量デジタルデータを取り扱うことになる。また、診断用医療機器の高度化にともない画素数1600×1200を越える超高精細静止画像やデジタルハイビジョン画像が、例えばガンの早期発見のために用いられている。一例として、画素数1600×1200の人体断層画像を1000枚組み合わせてディスプレイ上に「3次元」表示することで、1mm未満の早期ガンの発見も可能ともいわれている。

近年、ハードディスク型記憶装置の容量が増大したため、このような高精細静止画像および動画の記録に関しては特に問題はない。しかしながら、離れた場所(病院内の別の部屋、大学病院の教室;遠隔治療のための別の場所)へ迅速に画像データを転送・送信するには「1Gbps」の高速LANを用いても数分ないし数十分の時間を要する。そこで、大容量デジタルデータを一旦、DVDなどの光記録媒体に記録して移動させることも行われているが、その場合には、記録および記録媒体の運搬に多大の時間を要することになる。また、医療用途では「電磁波障害対策」も必須であり、高速デジタルデータの送受信および伝送路切替に伴う電磁波の発生を極小化し、更に、外部からの電磁波からの干渉を受けなくするため、充分に電磁波シールドが施された送信側装置から光信号に変換された大容量デジタルデータを、途中で電気信号を一切用いず、光信号のまま、充分に電磁波シールドが施された受信側装置へ配信することが望まれる。

現在、データ通信速度10ないし40Gbps程度の「光トランシーバー」が大量生産されつつあるため、光ファイバーを活用したデータ配信装置の送信側と受信側についても技術的な課題は少ない。現在、光信号を用いるデータ配信分野において、最も開発が望まれている技術課題として、データ配信装置(サーバー)から複数のクライアント装置の特定の1箇所以上を選択して高速に配信するための、電気信号を経由しない光路切替装置(光スイッチ)、すなわち、光−光直接スイッチが求められている。

光ファイバー、光導波路、あるいは、空間を伝搬する光の進む道筋、すなわち、光路を切り替える装置・方法としては、例えば、光導波路内または光導波路間で光路を切り替える空間分割型、多重化された複数の波長の光を波長に応じた光路へ分割して切り替える波長分割多重型、一定時間毎に時分割多重化された光の光路を切り替える時分割多重型、空間を伝搬する光の光路を鏡やシャッターなどを用いて空間的に分割・合成するフリースペース型などの方式が知られている。これらの方式は、各々多重化することも複数を組み合わせて使用することもできる。

空間分割型光スイッチには、方向性結合器を利用するもの、光分岐器で光信号のコピーを作り、ゲート素子により光をオン・オフするもの、交差またはY分岐の交差部分で導波路の屈折率を変化させることで、導波路を伝搬してきた光を透過させたり反射させたりするものなどが提案されているが、まだ研究開発段階である。マッハツェンダー干渉計型光導波路スイッチの導波路の屈折率を変化させるために、電気ヒーター加熱による熱光学効果を用いるものが実用化に近づいているといわれているが、応答速度が1ミリ秒程度と遅いだけでなく、光スイッチを動作させるために電気信号を用いなければならない、という欠点を有する。

フリースペース型光スイッチには、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(Micro Electro Mechanical System;MEMSと略記される。)、励起子吸収・反射スイッチ(Exciton Absorption Reflection Switch;EARSスイッチと略記される)、多段ビームシフタ型光スイッチ、ホログラム型光スイッチ、液晶スイッチなどが検討されている。これらは、機械的可動部分がある、偏波依存性があるなどの課題があり、まだ充分実用段階にあるとはいえない。

一方、光学素子に光を照射することで引き起こされる透過率変化や屈折率変化を利用し、直接、光で光の強度や周波数を変調する、全光型光学素子や光制御方式の研究が盛んに行われている。本発明者らは、全光型光素子等による新たな情報処理技術の開発を目指して、有機色素凝集体をポリマーマトリックスに分散した有機ナノパーティクル光熱レンズ形成素子(非特許文献1参照)を用いて、光制御方式の研究を行って来た。現在、制御光(633nm)により信号光(780nm)の変調を行う方式で、制御光と信号光を同軸・同焦点入射させることを特徴とし、制御光の吸収により過渡的に形成される熱レンズにより信号光が屈折されるという動作原理の素子を開発しており、約20ナノ秒の高速応答が達成されている。光応答性組成物からなる光学素子に制御光を照射し、制御光とは異なる波長帯域にある信号光の透過率および/または屈折率を可逆的に変化させることにより前記光学素子を透過する前記信号光の強度変調および/または光束密度変調を行う光制御方法であって、前記制御光および前記信号光を各々収束させて前記光学素子へ照射し、かつ、前記制御光および前記信号光のそれぞれの焦点の近傍(ビームウエスト)の光子密度が最も高い領域が前記光学素子中において互いに重なり合うように前記制御光および前記信号光の光路を調整することを特徴とする光制御方法が開示されている(特許文献1から特許文献7参照)。光応答性組成物からなる光学素子に、互いに波長の異なる制御光および信号光を照射し、前記制御光の波長は前記光応答性組成物が吸収する波長帯域から選ばれるものとし、前記光応答性組成物が前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に発生する温度上昇に起因する密度変化の分布に基づいた熱レンズを可逆的に形成させ、前記熱レンズを透過する信号光の強度変調および/または光束密度変調を行う光制御方法が開示されている(特許文献8参照)。そして、上記光学素子として例えば色素/樹脂膜や色素溶液膜が用いられ、制御光のパワー2ないし25mWにおける制御光照射に対する信号光の応答時間は、2マイクロ秒未満と記載されている(特許文献8参照)。

ここで熱レンズ効果とは、光吸収の中心部分において光を吸収した分子などが光を熱に変換し、この熱が周囲に伝搬されることにより温度分布が生じ、その結果、光透過媒体の屈折率が光吸収中心から外部へ向けて球状に変化して光吸収中心の屈折率が低く外部へ向けて屈折率が高くなる分布を生じ、これが凹レンズのように機能するような光の屈折効果を示す。熱レンズ効果は分光分析の分野で古くから利用されており、現在では分子1個による光吸収をも検出するような超高感度分光分析も可能になっている(非特許文献2および非特許文献3参照)。

熱レンズ効果ないし熱による屈折率変化を用いて光路を偏向させる方式として、発熱抵抗体で媒体に熱を与え、媒体内に屈折率分布を生じさせ、光を偏向する方法が開示されている(特許文献9参照)。しかしながら、上述の手法は、発熱抵抗体で発熱させ、熱伝導で媒体を加熱することになるので、「熱の拡がり」という問題を本来的に有する。つまり、熱の拡がりにより、広い面積内で微細な熱勾配を与えることができず、所望の屈折率分布を得るのが困難である。更に、発熱抵抗体の微細加工は半導体集積回路で用いられているフォトリソグラフィ技術を採用しても、現実には一定の限界を有し、素子が大型化せざるを得ない。素子が大型化すれば、それにともない光学系も複雑かつ大型化する。また、発熱抵抗体で発熱させ、熱伝導で媒体を加熱することになるので、応答が遅く、屈折率変化の周波数を上げることができないという不具合を本質的な問題として有している。

また、光応答組成物からなる光学素子と、該光学素子にくさび形の光強度分布で光を照射するための強度分布調整手段とから少なくとも構成され、制御光により前記光学素子中に屈折率分布を形成し、該屈折率分布により前記制御光とは異なる波長の信号光の偏向を行うことを特徴とする光学素子を用いた偏向素子が開示されている(特許文献10参照)。この方式は、光で光を制御する点では優れたものであるが、偏向角度が30度以内という制約があり、光路切替方向を自由に設定することができないという問題がある。

そこで本発明者らは、偏波依存性のない、光路切替の角度および方向を自由に設定可能な、信号光の光強度減衰が少なく多重連結使用が可能な光路切替装置および光路切替方法を提供するため、少なくとも光吸収層膜を含む熱レンズ形成素子中の光吸収層膜に、前記光吸収層膜が吸収する波長帯域から選ばれる波長の制御光、および、前記光吸収層膜が吸収しない波長帯域から選ばれる波長の信号光を各々収束させて照射し、少なくとも前記制御光が前記光吸収層膜内において焦点を結ぶように配置を調整し、前記光吸収層膜が前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、制御光が照射されず熱レンズが形成されない場合は前記収束された信号光が通常の開き角度で前記熱レンズ形成素子から出射する状態と、制御光が照射されて熱レンズが形成される場合は前記収束された信号光が通常の開き角度よりも大きい開き角度で前記熱レンズ形成素子から出射する状態とを、前記制御光の照射の有無に対応させて実現させ、制御光が照射されず熱レンズが形成されない場合は、通常の開き角度で前記熱レンズ形成素子から出射する前記信号光をそのまま、または、受光レンズによって前記通常の開き角度を変更させた後、前記信号光が通過する穴を設けた鏡の穴を通して直進させ、一方、制御光が照射されて熱レンズが形成される場合は、通常よりも大きい開き角度で前記熱レンズ形成素子から拡がりながら出射する前記信号光をそのまま、あるいは、受光レンズによって前記拡がりの開き角度を変更させた後、前記穴付ミラーを用いて反射することによって光路を変更させる光路切替装置および光路切替方法を出願した(特許文献11および12参照)。

特開平8−286220号公報 特開平8−320535号公報 特開平8−320536号公報 特開平9−329816号公報 特開平10−90733号公報 特開平10−90734号公報 特開平10−148852号公報 特開平10−148853号公報 特開昭60−14221号公報 特開平11−194373号公報 特願2002−275713号 特願2004−44991号 平賀隆、田中教雄、早水紀久子、守谷哲郎著、色素会合体・凝集体の作成・構造評価・光物性、「電子技術総合研究所彙報」、通商産業省工業技術院電子技術総合研究所発行、第59巻、第2号、29−49頁(1994年) 藤原祺多夫、不破敬一郎、小林孝嘉著、レーザー誘起熱レンズ効果とその比色法への応用、「化学」、化学同人発行、第36巻、第6号、432−438頁(1981年) 北森武彦、澤田嗣郎著、光熱変換分光分析法、「ぶんせき」、日本分析化学会発行、1994年3月号、178−187頁

本発明は、機械的可動部分を用いずに故障のない、高速で作動し、耐久性の高い、偏波依存性のない、電磁波障害を起こさず電磁波の影響を受けない、光パケット通信方式に係る光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法を提供することを目的とする。

上記の目的を達成するため、本発明の光制御式光路切替型データ配信装置は、複数のクライアント装置の中から選択された1つ以上の特定のクライアント装置にデータサーバー装置からデータを提供するデータ配信装置であって、
少なくともデータサーバー装置、データ通信部、および、クライアント装置からなり、
前記データ通信部は、少なくとも、光スイッチ、光信号路、光信号送信部、光信号受信部、および、データ送受信制御部からなり、
前記光信号送信部は、少なくとも
1種類以上の波長の信号光を照射する信号光光源と、
前記データ送受信制御部からの制御信号に応じて、前記信号光とは異なる種類以上の波長の制御光を照射する制御光光源とを有し、
前記光スイッチは、少なくとも
前記信号光は透過し、前記制御光の特定の1種類の波長のみを各々選択的に吸収する1つ以上の光吸収層膜と、
前記光吸収層膜の1つ1つに前記制御光と前記信号光とを各々収束させて照射する手段と、
前記光吸収層膜を含み、前記光吸収層膜が前記特定の1種類の波長の制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じ、前記収束された信号光を収束させたまま出射する、信号光の開き角度を拡大させて出射する、または、通常の開き角で出射する1つ以上の熱レンズ形成素子と、
前記各熱レンズ形成素子の各々後方に設けられた、穴と反射手段とを有する鏡であって、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じて、前記熱レンズ形成素子を出射した信号光を前記穴に通過させ、または、前記反射手段により反射させることによって光路を変化させる鏡と、
を備えることを特徴とする。

また、本発明の他の光制御式光路切替型データ配信装置は、上記装置において、前記データ通信部は、少なくとも、任意の大きさのデジタル情報を固定長ないし可変長の光デジタル信号の集まりとしての光パケットに分割して前記信号光として照射・送信し、
前記光パケットの照射に同期させて、前記光パケット毎に送信先クライアント装置についての識別情報を表す光タグを前記制御光として照射して前記光スイッチを作動させることを特徴とする。

上記の目的を達成するため、また、本発明の光制御式光路切替型データ配信方法は、光信号に変換されたデータを搬送する1種類以上の波長の信号光と、
データの搬送先に対応して制御光光源から照射される、前記信号光とは異なる種類以上の波長の制御光とを、実質的に同軸かつ同方向に進行させ、
前記信号光は透過し、前記制御光の特定の1種類の波長のみを各々選択的に吸収する1つ以上の光吸収層膜の1つ1つに前記制御光と前記信号光とを各々収束させて照射し、
前記光吸収層膜を含む1つ以上の熱レンズ形成素子の個々において、前記光吸収層膜が前記特定の1種類の波長の制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じ、前記収束された信号光を収束させたまま出射させ、信号光の開き角度を拡大させて出射させ、または、通常の開き角で出射させ、
反射面を有する穴付ミラーを用い、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じて、前記熱レンズ形成素子から出射した信号光を前記穴から通過直進させ、または、反射面で反射させることによって光路を変更させて、
複数のクライアント装置の中から選択された1つ以上の特定のクライアント装置にデータを配信することを特徴とする。

また、本発明の他の光制御式光路切替型データ配信方法は、上記配信方法において、前記信号光は、任意の大きさのデジタル情報が固定長ないし可変長のデジタル信号の集まりとして分割されたパケットを光パケットとして搬送し、
前記制御光は、前記光パケット毎に送信先クライアント装置についての識別情報を表す光タグとして前記光パケットの照射に同期させて照射され、前記光パケットの光路を変更することを特徴とする。

また、本発明の他の光制御式光路切替型データ配信装置は、上記装置において、複数のクライアント装置の中から選択された1つ以上の特定のクライアント装置にデータサーバー装置からデータとしてデジタル静止画像または動画像を配信することを特徴とする。

また、本発明の他の光制御式光路切替型データ配信装置は、上記装置において、複数のクライアント装置の中から選択された1つ以上の特定のクライアント装置にデータサーバー装置からデータとして医療用デジタル静止画像または動画像を配信することを特徴とする。

本発明によれば、機械的可動部分を用いずに故障のない、高速で作動し、耐久性の高い、偏波依存性のない、電磁波障害を起こさず電磁波の影響を受けない、光パケット通信方式に係る光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法を提供することができる。

[光パケット通信の原理]
電気通信の分野におけるパケット通信方式では、任意の大きさのデジタル情報(データ)を固定長ないし可変長のデジタル信号の集まりとしてのパケット(packet;小包)に分割し、パケット毎に送信先および再構成の順序についての識別情報を表すタグ(tag;荷札)を付加して送信し、通信経路上の通信経路制御装置はタグの識別情報に基づいて送信先を特定してパケットを送り届け、受信側ではタグの識別情報に基づいて、パケットに分割された細切れの情報の順位(順序)を揃えて再構成して元の情報を復元・受理している。

本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法は、このような電気信号のパケットおよびタグを光に置き換えるものである。すなわち、任意の大きさのデジタル情報(データ)を固定長ないし可変長の光信号の集まりとしての光パケットに分割して信号光として送受信し、光パケット毎に送信先についての識別情報を表す「光宛先タグ」、および、再構成の順序についての識別情報を表す「光順位タグ」を付加して送信し、通信経路上の光制御式光スイッチは光宛先タグの識別情報に基づいて送信先を特定して光パケットを送り届けるために作用し、受信側では光順位タグの識別情報に基づいて光パケットに分割されて送信された細切れの情報を再構成して元のデジタル情報を得ようとするものである。ここで、光パケット毎に送信先を表す光宛先タグとしては、信号光とは波長の異なる制御光が用いられ、一方、光パケットの再構成の順序についての識別情報を表す光順位タグについては光パケットそのものに付加されて信号光として送信されるものとする。

例えば、図1および図2において、データサーバー装置1000からクライアント装置1201、1202、および、1203へ各々送信されるデータ12010、12020、および、12030などは、データ通信部1100において、データ送受信制御部1140によって、まず、電気信号パケットに分割され、個々の電気信号パケットには電気信号の順位タグが付加された後、光信号送信部1120にて光パケット12011、12021、12031、12012、12013などに変換されて送信され、光信号路1110を通じて光スイッチ1101において、各々の光パケットに同期して光信号送信部1120から照射される光宛先タグ12111、12121、12131、12112、12113などの作用によって光信号路1111、1112、および、1113に光路切替される。これらの光信号路の末端には各々、光信号受信部1131、1132、および、1133が設けられ、ここで受光された光パケットは電気信号パケットに変換され、データ送受信制御部1141、1142、および、1143において電気信号パケット中の順位タグに記録された再構成の順序についての識別情報に基づいて、元のデータ12010、12020、12030などに再構成され、各々、クライアント装置1201、1202、および、1203に電気信号として配信される。図2に示すように、例えば、元のデータ12010は、光パケットの情報部分12311、12312、および、12313に分割されて、光パケットとして光スイッチによって光路切替されて配信された後、光順位タグ12211、12212、および、12213として配信されたデータ再構成の順序についての識別情報に基づいて復元され、クライアント装置1201へ配信される。

[光パケットと光宛先タグの同期]
光パケットと光宛先タグの同期は、例えば以下のようにして実施される。

データ送信側のデータ送受信制御部1140が発生する基準クロックパルスは、例えば図3に示すように、ON状態13000、13002、13004、13006などとOFF状態13001、13003、13005などが交互に同一のパルス時間幅tp(例えば125ミリ秒)で並んでいるものとする。光パケット12000、12001などは基準クロックパルスのON状態とOFF状態の双方に対応して発信され、いずれの場合も、基準クロックパルスの立ち上がりおよび立ち下がりから、予め設定された遅延時間Δtに相当する時間だけ遅れて発信されるものとする。この遅延時間Δtは、実施例にて詳細に説明するように、本発明で用いられる光スイッチにおける光路切替に要する時間に応じて設定される(例えば、パルス時間幅tp125ミリ秒に対して、遅延時間Δt1ミリ秒)。一方、波長の異なる1つ以上の制御光光源から発信される波長(1)、(2)、(3)などの光宛先タグは、基準クロックパルスに同期して発信される。図3に示す例においては、例えば、基準クロックパルスON状態13002に対応して波長(1)の光宛先タグ12111と光パケット12011が、同OFF状態13003に対応して波長(2)の光宛先タグ12121と光パケット12021が、同ON状態13004に対応して波長(3)の光宛先タグ12131と光パケット12031が、それぞれ同期して発信される。また、例えば、光宛先タグ12112と12113が連続して照射・発信された場合は、対応する光パケット12012と12013は対応する同一クライアント装置(この場合、1201)へ連続して配信される。

[光制御式光路切替型データ配信装置を構成する要素]
本発明の光制御式光路切替型データ配信装置を構成する要素を図1に示す。以下、これらの要素について順を追って説明する。

[データサーバー装置]
データサーバー装置1000は、少なくともデータ収集部1050と送信データ記憶部1010を持ち、更に、通常のコンピューターと同様に入出力制御部1040、補助記憶部、外部記憶部、電源部などからなる。

データ収集部1050は公知の任意のデータ入力装置からなり、必要に応じて一時記憶装置(バッファメモリ)などの補助記憶部を有しても良い。データ入力装置の具体例としては、例えば、RS−232C、IEEE1394、USB2.0、SCSIなどのデジタルデータ通信規格に準拠した入力インターフェース、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、磁気テープ装置、各種半導体メモリー読み取り装置などの記録媒体読み取り装置、テレビジョン画像のデジタルインターフェースボードなどを挙げることができる。

送信データ記憶部1010は、公知の任意のデジタルデータ記憶・記録装置からなり、必要に応じて高速に動作する一時記憶装置(バッファメモリ)などの補助記憶部を有しても良い。デジタルデータ記憶・記録装置としては、例えば、ハードディスクドライブ装置、書き込み式DVDドライブ、磁気テープ装置、DVDオートチェンジャーなどの大容量記憶装置を用いることができる。

[データ通信部]
データ通信部1100は、データサーバー装置1000に直結したデータ送信側部分、データ送信側と受信側を結ぶ光信号路および光スイッチ、および、クライアント装置1201などに直結したデータ受信側部分からなる。

データサーバー装置1000に直結したデータ送信側部分は、少なくともデータ送受信制御部1140および光信号送信部1120からなり、必要に応じて、クライアント装置側からの応答信号やデータ送信依頼信号を受信するための光信号受信部1130を設けても良い。なお、クライアント装置からデータサーバー装置への光信号送信は、経由する光スイッチが作動しているタイミングに合わせて行うことができる。

データ送信側のデータ送受信制御部1140は、送信されるデジタル情報(データ12010など)の電気信号パケットへの分割、個々の電気信号パケット再構成の順序についての識別情報を表す電気信号による順位タグの当該電気信号パケットへの付加、個々の電気信号パケットの一時記憶、個々の光パケットの送信先を表す電気信号による宛先タグが制御光に変換されてなる光宛先タグの送信制御(対応する光パケットとの同期発信)、および、光パケットの送信制御(対応する光宛先タグとの同期発信)を行うものである。また、必要に応じて、データ送信側のデータ送受信制御部は、クライアント装置からデータサーバー装置への応答信号やデータ送信依頼信号の受信を、光スイッチの動作状況に応じて制御する。

データ送信側の光信号送信部1120の一部分として、光学要素の構成を図4などに示す。図4などにおいて、光信号送信部1120の電子回路は省略されている。

データ送信側の光信号送信部は、第1に、前記電気信号による順位タグを含む電気信号パケットを信号光120の強弱または断続に変換するために、信号光光源20の発振状態を電気信号パケットのON・OFF信号に対応させて制御し、光パケット12011などとして送信するものであり、第2に、前記光パケットの送信タイミングに合わせて、光信号送信部の1つ以上の制御光光源21、22、23などの発振状態を電気信号による宛先タグに対応させて制御し、光宛先タグ12111などとして送信するものである。データ送信側の光信号送信部としては公知の任意の方式のレーザー発振制御装置およびレーザー光源を用いることができる。光信号送信部のその他の光学要素については実施例に記載する。

データ送信側と受信側を結ぶ光信号路1110としては、自由空間、光ファイバー、および、光導波路の1つ以上を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、光信号送信部から光スイッチまでは光ファイバーを、光スイッチ内部では空間を、更に、光信号受信部の内部では光導波路を用いることができる。光ファイバーとしては、マルチモードまたは単一モードの石英ガラス光ファイバーやプラスチック光ファイバーなどを、使用する制御光および信号光の波長における伝送損失特性および伝送距離を考慮して選定し使用することができる。例えば、単一モード石英ガラス光ファイバーの伝送損失は、波長600nmから1.6μmの範囲において5dB/km未満であり、伝送距離が100ないし200m程度であれば、特に伝送損失を意識しないで使用することができる。

クライアント装置に直結したデータ受信側部分は、少なくとも、データ受信側のデータ送受信制御部1141などおよび光信号受信部1131などからなり、必要に応じて、クライアント装置側からの応答信号やデータ送信依頼信号をデータサーバー装置へ送信するための光信号送信部1121などを設けても良い。

データ受信側のデータ送受信制御部1141、1142、1143などは、受信されて電気信号に変換されたパケット全ての一時記憶、個々のパケットに付加された順位タグ中の送信先を表す部分の確認と誤受信パケットの廃棄、個々のパケット再構成の順序についての識別情報を表す順位タグの確認と一時記憶、および、順位タグの情報に基づくデジタル情報(データ)の再構築を司るものである。また、必要に応じて、データ受信側のデータ送受信制御部は、クライアント装置からデータサーバー装置への応答信号やデータ送信依頼信号の送信を、光スイッチの作動状況に対応させて制御する。

データ受信側の光信号受信部は光パケット12011などを受光し、これを電気信号パケットに変換する部分である。ここで、受光された光信号の強弱ないし断続を、ノイズ成分と分離して電気信号にすることが好ましい。

データ受信側の光信号受信部およびデータ送受信制御部としては、公知の任意の光通信受信機(光トランシーバー)を、使用する信号光の波長帯域およびデータ転送速度(ビットレート)に応じて選択して用いることができる。

[クライアント装置]
クライアント装置は、少なくとも、受信データ記憶部1211などまたはデータ表示部1261などを持ち、更に、通常のコンピューターと同様に入出力制御部、補助記憶部、外部記憶部、電源部などからなる。受信データ記憶部は、公知の任意のデジタルデータ記憶・記録装置からなり、必要に応じて高速動作可能な一時記憶装置(バッファメモリ)などの補助記憶部を有しても良い。デジタルデータ記憶・記録装置としては、例えば、ハードディスクドライブ装置、書き込み式DVDドライブなどの大容量記憶装置を好適に用いることができる。

以上記載してきた本発明の光制御式光路切替型データ配信装置を構成する要素については、光スイッチを除き、公知のものを公知の方法で使用することで本発明の実施に給することができる。

[光スイッチ]
本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法に用いられる光スイッチの最少構成要素からなる光路切替機構91を図5に示す。3つの光路切替機構91、92、および、93を空間的に3段構成で接続した光スイッチ1101の概略構成を図4aに例示する(実施例1参照)。また、本発明で用いられる光スイッチの動作原理を説明するための原理図を図11、図12、図13、および、図14に示す。

本発明で用いられる光スイッチ1101は、少なくとも前記信号光(光パケット)120、110、111、112などは透過し、前記制御光(光宛先タグ)121、122、123などの特定の1種類の波長のみを各々選択的に吸収する1つ以上の光吸収層膜兼熱レンズ形成層502などを含む熱レンズ形成素子1などと、前記光吸収層膜の1つ1つに前記制御光と前記信号光とを各々収束させて照射する手段(例えば、集光レンズ31、32、33など)と、前記光吸収層膜を含み、前記光吸収層膜が前記特定の1種類の波長の制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズ50または60を用いることによって、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じ、図12(b)に示すように前記収束された信号光を収束させたまま出射する、図12(a)に示すように信号光の開き角度を拡大させて出射する、または、図11(a)または図11(b)に示すように信号光を通常の開き角度で出射する1つ以上の熱レンズ形成素子1、2、3などと、前記各熱レンズ形成素子の各々後方に設けられた、穴161と反射手段とを有する穴付ミラー61であって、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じて、前記熱レンズ形成素子を出射した信号光を前記穴161に通過させ、または、前記反射手段により反射させることによって光路を変化させる鏡61とを備えることを特徴とするものである。

以下に、本発明で用いられる光スイッチの構成要素について詳細に説明する。

[制御光と信号光とを各々収束させて照射する手段]
本発明で用いられる熱レンズ効果を利用した光スイッチを作動させるに当たり、光吸収層膜兼熱レンズ形成層502の同一領域に制御光と信号光とを各々収束させて照射する手段として、集光レンズあるいは凹面鏡が用いられる。集光レンズとしては通常の凸レンズ31など、非球面凸レンズ、屈折率分布型集光レンズ、複数のレンズからなる顕微鏡用対物レンズ、写真機用レンズ、などを好適に用いることができる。信号光と制御光の波長の相違に応じてレンズ材質の屈折率が異なることに起因する「色収差」を補正するための、屈折率の異なる凸レンズと凹レンズを組み合わせた色収差補正レンズを用いても良い。信号光と制御光を損失なしに光吸収層膜に入射させるためには、集光レンズまたは凹面鏡の有効口径が平行ビームとしての信号光および制御光のビーム径よりも大きくなければならない。また、集光レンズまたは凹面鏡の焦点距離および作動距離(ワーキングディスタンス)に基づいて光吸収層膜との位置関係が設定される。具体例については実施例に記載する。

[受光レンズ]
受光レンズは、制御光が照射されずに収束された信号光が通常の開き角度で熱レンズ形成素子から出射する場合と制御光が照射されて信号光が通常の開き角度よりも拡大された開き角度で熱レンズ形成素子から出射するよう設定された場合に、これらの出射信号光を無駄なく受光し、かつ、平行ビームに戻す手段として用いられる。受光レンズとしては、集光レンズの場合と同様のものを用いることができる。ここで「受光レンズ」という表現を用いたが、凹面鏡を用いることもできる。また、ここで、受光レンズの開口数(以下、「NA」と呼ぶ。)は、集光レンズのNAよりも大きくなるよう設定することが推奨される。具体的には、受光レンズのNAを、集光レンズのNAの2倍以上に設定することによって、信号光が通常の開き角度よりも拡大された開き角度で出射する場合であっても損失なしに受光することが可能となる。

一方、制御光が照射されたときに収束された信号光が収束されたまま熱レンズ形成素子から出射するよう設定されている場合、出射光のビーム径が細いままであると、後段で再び光スイッチの熱レンズ形成素子へ収束照射する場合や光ファイバーに集光入射させる場合に、光の回析作用によって、充分に収束させることが困難となる。このような場合は収束されたまま出射した信号光をビームエキスパンドしてビーム径を拡大することが推奨される。ビームエキスパンドの手段としては、公知のもの、例えば2枚の凸レンズからなるケプラー型の光学系を用いることができる。

[波長選択透過フィルター]
本発明で用いられる光スイッチ中の熱レンズ形成素子における制御光の透過率が0%でない限り、透過率に相当する分の制御光も熱レンズ形成素子を透過し、出射して来る。この制御光が後段の熱レンズ形成素子等に入射して誤動作ないしクロストークを起こすことを避けるため、熱レンズ形成素子1、2、3などにおける各々の制御光の透過率を0%に限りなく近づける必要がある。更に、熱レンズ形成素子の後方に波長選択透過フィルター(図4において81,82,および83)を、設けることが好ましい。これらの波長選択透過フィルターとしては、個々の制御光の波長帯域の光を完全に遮断し、一方、信号光および後段の光スイッチのための制御光の波長帯域の光を効率良く透過することのできるような波長選択透過フィルターであれば、公知の任意のものを使用することができる。例えば、色素で着色したプラスチックやガラス、表面に誘電体多層膜を設けたガラスなどを用いることができる。このような波長選択透過フィルター用材料からなる薄膜を受光レンズ(図4において41,42,および43)の表面に塗工法、スパッタリング法などの手法で形成し、前記波長選択透過フィルターとしての機能を発揮させても良い。

[熱レンズ形成素子]
本発明において、熱レンズ形成素子としては例えば積層膜型構造を有するものを好適に用いることができ、その積層膜の構成としては例えば以下のような組み合わせを挙げることができる。

(1)光吸収層膜単独。ただし、光吸収層膜は、文字通り「光吸収膜」単独の単層膜、あるいは、「光吸収膜/熱レンズ形成層」という2層構造、または、「光吸収膜/熱レンズ形成層/光吸収膜」という3層構造の積層型薄膜のいずれであっても良い。なお、以下の(2)から(10)の「光吸収層膜」も上記同様の構造を含むものとする。

(2)光吸収層膜/保温層膜

(3)保温層膜/光吸収層膜/保温層膜

(4)光吸収層膜/伝熱層膜

(5)伝熱層膜/光吸収層膜/伝熱層膜

(6)光吸収層膜/保温層膜/伝熱層膜

(7)伝熱層膜/光吸収層膜/保温層膜

(8)伝熱層膜/光吸収層膜/保温層膜/伝熱層膜

(9)伝熱層膜/保温層膜/光吸収層膜/保温層膜

(10)伝熱層膜/保温層膜/光吸収層膜/保温層膜/伝熱層膜

(11)屈折率分布型レンズ/(光透過層/)上記(1)ないし(10)の熱レンズ形成素子

(12)屈折率分布型レンズ/(光透過層/)上記(1)ないし(10)の熱レンズ形成素子/(光透過層/)屈折率分布型レンズ

なお、上記「(光透過層/)」とは、必要に応じて光透過層を設けることを意味する。更に、必要に応じて光の入射面および出射面に反射防止膜(ARコート膜)を設けても良い。

熱レンズ形成素子構成の一例を例示した断面図を図11、図12などに示す。図11に例示するように、熱レンズ形成素子1は、制御光121および信号光110の入射側から、例えば、伝熱層膜501/光吸収層膜兼熱レンズ形成層502/伝熱層膜503の順に積層されてなる。

また、色素溶液充填式熱レンズ形成素子を例示した模式図を図15に示す。図15に例示するように、色素溶液充填式熱レンズ形成素子800は、伝熱層膜として作用する入射・出射面ガラス801および802、側面ガラス803および804、底面ガラス805に囲まれた光学セル809の色素溶液充填部808へ、導入管806の導入口807から光吸収層膜兼熱レンズ形成層として作用する色素溶液を充填し、導入口807を封じたものである。すなわち、伝熱層膜/光吸収層膜兼熱レンズ形成層/伝熱層膜という素子構成のものである。

光吸収層膜、熱レンズ形成層、保温層膜、伝熱層膜、光透過層、および屈折率分布型レンズの材料、作成方法、各々の膜厚などについて、以下に、順を追って説明する。

なお、本発明で用いられる光吸収層膜、熱レンズ形成層、保温層膜、伝熱層膜、光透過層、および屈折率分布型レンズの材料は、その機能に支障をきたさない範囲において、加工性を向上させたり、光学素子としての安定性・耐久性を向上させたりするため、添加物として公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、一重項酸素クエンチャー、分散助剤などを含有しても良い。

[光吸収層膜の材料]
本発明で用いられる熱レンズ形成素子中の光吸収層膜に用いられる光吸収性の材料としては、公知の種々のものを使用することができる。

本発明で用いられる熱レンズ形成素子中の光吸収層膜に用いられる光吸収性材料の例を具体的に挙げるならば、例えば、GaAs、GaAsP、GaAlAs、InP、InSb、InAs、PbTe、InGaAsP、ZnSeなどの化合物半導体の単結晶、前記化合物半導体の微粒子をマトリックス材料中へ分散したもの、異種金属イオンをドープした金属ハロゲン化物(例えば、臭化カリウム、塩化ナトリウムなど)の単結晶、前記金属ハロゲン化物(例えば、臭化銅、塩化銅、塩化コバルトなど)の微粒子をマトリックス材料中へ分散したもの、銅などの異種金属イオンをドープしたCdS、CdSe、CdSeS、CdSeTeなどのカドミウムカルコゲナイドの単結晶、前記カドミウムカルコゲナイドの微粒子をマトリックス材料中に分散したもの、シリコン、ゲルマニウム、セレン、テルルなどの半導体単結晶薄膜、多結晶薄膜ないし多孔質薄膜、シリコン、ゲルマニウム、セレン、テルルなどの半導体微粒子をマトリックス材料中へ分散したもの、ルビー、アレキサンドライト、ガーネット、Nd:YAG、サファイア、Ti:サファイア、Nd:YLFなど、金属イオンをドープした宝石に相当する単結晶(いわゆるレーザー結晶)、金属イオン(例えば、鉄イオン)をドープしたニオブ酸リチウム(LiNbO3)、LiB35、LiTaO3、KTiOPO4、KH2PO4、KNbO3、BaB22などの強誘電性結晶、金属イオン(例えば、ネオジウムイオン、エルビウムイオンなど)をドープした石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、その他のガラスなどのほか、マトリックス材料中に色素を溶解または分散したもの、および、非晶質の色素凝集体を好適に使用することができる。

これらの中でも、マトリックス材料中に色素を溶解または分散したものは、マトリックス材料および色素の選択範囲が広く、かつ熱レンズ形成素子への加工も容易であるため、特に好適に用いることができる。

本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法で用いることができる色素の具体例としては、例えば、ローダミンB、ローダミン6G、エオシン、フロキシンBなどのキサンテン系色素、アクリジンオレンジ、アクリジンレッドなどのアクリジン系色素、エチルレッド、メチルレッドなどのアゾ色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、3,3’−ジエチルチアカルボシアニンヨージド、3,3’−ジエチルオキサジカルボシアニンヨージドなどのシアニン色素、エチル・バイオレット、ビクトリア・ブルーRなどのトリアリールメタン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系色素、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド系色素などを好適に使用することができる。

本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法では、これらの色素を単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。

本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法で用いることのできるマトリックス材料は、
(1)本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法で用いられる光の波長領域で透過率が高いこと、
(2)本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法で用いられる色素または種々の微粒子を安定性良く溶解または分散できること、
という条件を満足するものであれば任意のものを使用することができる。

無機系固体状のマトリックス材料としては、例えば金属ハロゲン化物の単結晶、金属酸化物の単結晶、金属カルコゲナイドの単結晶、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラスなどの他、いわゆるゾルゲル法で作成された低融点ガラス材料などを使用することができる。

無機系液体状のマトリックス材料としては、水、水ガラス(アルカリケイ酸塩の濃厚水溶液)、塩酸、硫酸、硝酸、王水、クロルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、などを使用することができる。

また、有機系液体状のマトリックス材料として、例えば種々の有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソプロピルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、カルビトールなどのエーテル類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキソラン、などの環状エーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン、1、1、2−トリクロロエタン、トリクレン、ブロモホルム、ジブロモメタン、ジヨードメタン、などのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニソール、α−クロロナフタレンなどの芳香族炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドンなどの環状アミド類、テトラメチル尿素、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの尿素誘導体類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの炭酸エステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ピリジン、キノリンなどの含窒素複素環化合物類、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノアルコール、アニリンなどのアミン類、クロル酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、酢酸などの有機酸の他、ニトロメタン、二硫化炭素、スルホランなどの溶剤を用いることができる。これらの溶剤は、また、複数の種類のものを混合して用いても良い。

更に、有機系のマトリックス材料として、液体状、固体状、ガラス状またはゴム状の有機高分子材料を使用することができる。その具体例としては、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリインデン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリビニルピリジン、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルベンジルエーテル、ポリビニルメチルケトン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸ベンジル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アミド、ポリメタクリロニトリル、ポリアセトアルデヒド、ポリクロラール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート類(ビスフェノール類+炭酸)、ポリ(ジエチレングリコール・ビスアリルカーボネイト)類、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、6,12−ナイロン、ポリアスパラギン酸エチル、ポリグルタミン酸エチル、ポリリジン、ポリプロリン、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アセチルセルロース、セルローストリアセテート、セルローストリブチレート、アルキド樹脂(無水フタル酸+グリセリン)、脂肪酸変性アルキド樹脂(脂肪酸+無水フタル酸+グリセリン)、不飽和ポリエステル樹脂(無水マレイン酸+無水フタル酸+プロピレングリコール)、エポキシ樹脂(ビスフェノール類+エピクロルヒドリン)、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂などの樹脂、ポリ(フェニルメチルシラン)などの有機ポリシラン、有機ポリゲルマンおよびこれらの共重合・共重縮合体が挙げられる。また、二硫化炭素、四フッ化炭素、エチルベンゼン、パーフルオロベンゼン、パーフルオロシクロヘキサンまたはトリメチルクロロシラン等、通常では重合性のない化合物をプラズマ重合して得た高分子化合物などを使用することができる。更に、これらの有機高分子化合物に色素の残基をモノマー単位の側鎖として、もしくは架橋基として、共重合モノマー単位として、または重合開始末端として結合させたものをマトリックス材料として使用することもできる。更に、前記の色素残基とマトリックス材料が化学結合を形成していても良い。

これらのマトリックス材料中へ色素を溶解または分散させるには公知の方法を用いることができる。例えば、色素とマトリックス材料を共通の溶媒中へ溶解して混合した後、溶媒を蒸発させて除去する方法、ゾルゲル法で製造する無機系マトリックス材料の原料溶液へ色素を溶解または分散させてからマトリックス材料を形成する方法、有機高分子系マトリックス材料のモノマー中へ、必要に応じて溶媒を用いて、色素を溶解または分散させてから該モノマーを重合ないし重縮合させてマトリックス材料を形成する方法、色素と有機高分子系マトリックス材料を共通の溶媒中に溶解した溶液を、色素および熱可塑性の有機高分子系マトリックス材料の両方が不溶の溶剤中へ滴下し、生じた沈殿を濾別し乾燥してから加熱・溶融加工する方法などを好適に用いることができる。色素とマトリックス材料の組み合わせおよび加工方法を工夫することで、色素分子を凝集させ、「H会合体」や「J会合体」などと呼ばれる特殊な会合体を形成させられることが知られているが、マトリックス材料中の色素分子をこのような凝集状態もしくは会合状態を形成する条件で使用しても良い。

また、これらのマトリックス材料中へ前記の種々の微粒子を分散させるには公知の方法を用いることができる。例えば、前記微粒子をマトリックス材料の溶液、または、マトリックス材料の前駆体の溶液に分散した後、溶媒を除去する方法、有機高分子系マトリックス材料のモノマー中へ、必要に応じて溶媒を用いて、前記微粒子を分散させてから該モノマーを重合ないし重縮合させてマトリックス材料を形成する方法、微粒子の前駆体として、例えば過塩素酸カドミウムや塩化金などの金属塩を有機高分子系マトリックス材料中へ溶解または分散した後、硫化水素ガスで処理して硫化カドミウムの微粒子を、または、熱処理することで金の微粒子を、それぞれマトリックス材料中に析出させる方法、化学的気相成長法、スパッタリング法などを好適に用いることができる。

色素を単独で、光散乱の少ない非晶質状態(アモルファス)の薄膜として存在させることができる場合は、マトリックス材料を用いずに、非晶質色素膜を光吸収層膜として用いることもできる。

また、色素を単独で、光散乱を起こさない微結晶凝集体として存在させることができる場合は、マトリックス材料を用いずに、色素の微結晶凝集体を光吸収層膜として用いることもできる。本発明で用いられる熱レンズ形成素子におけるように、光吸収層膜としての色素微結晶凝集体が、熱レンズ形成層(樹脂など)、伝熱層膜(ガラスなど)および/または保温層膜(樹脂など)と積層されて存在する場合、前記色素微小結晶の粒子径が前記信号光の波長と制御光の波長を比べて短い方の波長の1/5を超えない大きさであれば、実質的に光散乱を起こさない。

[光吸収層膜の材料、信号光の波長帯域、および、制御光の波長帯域の組み合わせと順序]
本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法で使用される光吸収層膜の材料、信号光の波長帯域、および制御光の波長帯域は、これらの組み合わせとして、使用目的に応じて適切な組み合わせを選定し用いることができる。

具体的な設定手順としては、例えば、まず、使用目的に応じて信号光の波長ないし波長帯域を決定し、これを制御するのに最適な光吸収層膜の材料と制御光の波長の組み合わせを選定すれば良い。または、使用目的に応じて信号光と制御光の波長の組み合わせを決定してから、この組み合わせに適した光吸収層膜の材料を選定すれば良い。

このような選定手順の具体例として、信号光としてギガヘルツオーダーで超高速変調可能な半導体レーザーから発振する波長850nm、1350nmあるいは1550nmなどの近赤外線を用い、これを、複数の可視光線波長帯域の制御光で光路切替するケースを以下に例示する。制御光の光源としてはサブミリ秒以下の応答速度で断続可能な連続(CW)発振方式のレーザーを好適に用いることができる。例えば、短波長側から、405ないし445nmの青紫ないし青色半導体レーザー、半導体励起Nd:YAGレーザーの波長1064nmを2次非線形光学素子で532nmの緑色に変換したもの、635ないし670nmの赤色半導体レーザー、および、780ないし800nmの近赤外線レーザーを選定し、好適に使用することができる。これらの制御光波長帯域に吸収を示し、850nmないし1550nmの近赤外線を吸収しない色素として、例えば、N,N’−ビス(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレンジカルボキシイミド(N,N'-Bis(2,5-di-tert-butylphenyl)-3,4,9,10-perylenedicarboximide)〔1〕、
銅(II)2,9,16,23−テトラ−tert−ブチル−29H,31H−フタロシアニン(Copper(II)2,9,16,23-tetra-tert-butyl-29H,31H-phthalocyanine)〔2〕、
バナジル2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン(Vanadyl 2,11,20,29-tetra-tert-butyl-2,3-naphthalocyanine)〔3〕、
などを1つ以上選定して、各々好適に使用することができる。これらの色素はいずれも耐光性および耐熱性が高く、本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法において熱レンズ形成のための光吸収層膜用の色素として特に好適である。色素〔1〕、〔2〕および〔3〕のテトラヒドロフラン溶液の透過率スペクトルを図16に各々実線、鎖線および一点鎖線で示す。図16には示していないが、これらの色素溶液は900ないし1550nmの近赤外線領域においても98%以上の透過率を示す。

前記制御光レーザーの発振波長と、これら色素の透過率スペクトルとの関係を表1に示す。

表1から判るように、色素〔1〕は波長445ないし532nmの制御光を吸収して熱レンズを形成するような熱レンズ形成素子の光吸収層膜の材料として好適である。同様に色素〔2〕は波長635ないし670nmに対応する光吸収層膜の材料として、また、色素〔3〕は波長780ないし800nmに対応する光吸収層膜の材料として好適である。これらの色素は前記溶剤に溶解させて光学セルへ充填し、または有機高分子材料中に溶解させて伝熱層膜に挟んで、あるいは、伝熱層膜上にスピンコート膜または蒸着膜として成膜して、使用することができる。

これらの色素を2種類以上選択して使用する場合、各々の色素の吸収波長帯域に対応する熱レンズ形成素子を含む光路切替機構を、吸収波長帯域の短い方から順に連結して使用することが好ましい。すなわち、例えば、第1段目の光路切替機構に色素〔1〕、第2段目に色素〔2〕または〔3〕の2段構成、第1段目に色素〔1〕、第2段目に色素〔2〕、第3段目に色素〔3〕の3段構成として使用することで、各色素の吸収帯域と非吸収帯域を無駄なく重ねて利用することが可能である。

[光吸収層膜の材料の組成、光吸収層膜中の光吸収層膜の膜厚、および熱レンズ形成層の膜厚]
本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法で用いられる熱レンズ形成素子において、光吸収層膜は、「光吸収膜」単独の単層膜、あるいは、「光吸収膜/熱レンズ形成層」という2層構造、または、「光吸収膜/熱レンズ形成層/光吸収膜」という3層構造の積層型薄膜のいずれであっても良く、光吸収層膜全体の厚さは、収束された前記制御光の共焦点距離の2倍を超えないことが好ましい。更に、一層高速な応答速度を目指す場合は、前記積層型薄膜からなる光吸収層膜の厚さは、収束された前記制御光の共焦点距離の1倍を超えないことが好ましい。

このような条件の中で、本発明で用いられる光吸収層膜の材料の組成および光吸収層膜中の光吸収膜の膜厚については、これらの組み合わせとして、光吸収層膜を透過する制御光および信号光の透過率を基準にして設定することができる。例えば、まず、光吸収層膜の材料の組成の内、少なくとも制御光あるいは信号光を吸収する成分の濃度を決定し、次いで、熱レンズ形成素子を透過する制御光および信号光の透過率が特定の値になるよう光吸収層膜中の光吸収膜の膜厚を設定することができる。または、まず、例えば装置設計上の必要に応じて、光吸収層膜中の光吸収膜の膜厚を特定の値に設定した後、熱レンズ形成素子を透過する制御光および信号光の透過率が特定の値になるよう光吸収層膜の材料の組成を調整することができる。

本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法で用いられる熱レンズ形成素子から、できる限り低い光パワーで充分な大きさおよび高速度の熱レンズ効果を引き出すために最適な、光吸収層膜を透過する制御光および信号光の透過率の値は、それぞれ、次に示す通りである。

本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法で用いられる熱レンズ形成素子においては、熱レンズ形成素子中の光吸収層膜を伝播する制御光の透過率が90%ないし0%になるよう光吸収層膜中の光吸収成分の濃度および存在状態の制御、光吸収層膜中の光吸収膜の膜厚設定を行うことが推奨される。

一方、制御光を照射しない状態において、熱レンズ形成素子中の光吸収層膜を伝播する信号光の透過率が下限として10%以上、また、上限としては100%に限りなく近づくよう光吸収層膜中の光吸収成分の濃度および存在状態の制御、光吸収層膜中の光吸収膜の膜厚設定を行うことが推奨される。

光吸収層膜中の熱レンズ形成層膜厚の下限は、以下に記載するように、熱レンズ形成層の材料に応じて選定される。

[光吸収層膜中の熱レンズ形成層の材料および熱レンズ形成層の膜厚]
単層の光吸収膜そのものを、熱レンズ形成層として作用させても良いが、光吸収と熱レンズ形成の機能を別々の材料に分担させて、各々選択された最適の材料を積層して使用することもできる。

光吸収層膜中の熱レンズ形成層の材料としては液体、液晶、および、固体の材料を用いることができる。特に、熱レンズ形成層が、非晶質の有機化合物、有機化合物液体、および液晶からなる群から選ばれる有機化合物からなると好適である。なお、熱レンズ形成層の材質が液晶および液体の場合、例えば、光吸収膜および/または伝熱層膜を自己形態保持性の材質で作成し、熱レンズ形成層の厚さに相当する空乏を設け、そこへ流動状態の熱レンズ形成層材料を注入することで、熱レンズ形成層を作成することができる。一方、熱レンズ形成層の材質が固体の場合は、熱レンズ形成層の片面または両面に光吸収膜を積層させて作成すれば良い。

熱レンズ形成層の材質は単一でなくとも良く、例えば、複数種類の固体の積層膜であっても良く、また、固体と液体を積層させたものであっても良い。

熱レンズ形成層の厚さは、用いる材料の種類にもよるが、数ナノメートルから1mmの範囲の厚さであれば良く、数十ナノメートルから数百μmの範囲であれば特に好適である。

前述のように、熱レンズ形成層と1または2枚の光吸収膜を積層してなる光吸収層膜の合計の厚さは、収束された前記制御光の共焦点距離の2倍を超えないことが好ましい。

光吸収層膜中の熱レンズ形成層の材料としては液体、液晶、および、固体の材料を用いることができるが、いずれの場合も屈折率の温度依存性が大きい材料が好ましい。

代表的な有機化合物液体および水の屈折率温度依存性の物性値は文献[D.Solimini:J.Appl.Phys.,vol.37,3314(1966)]に記載されている。波長633nmの光に対する屈折率の温度変化[単位:1/K]は、水(0.8×10-4)よりもメタノール(3.9×10-4)などのアルコールが大きく、更に、シクロペンタン(5.7×10-4)、クロロホルム(5.8×10-4)、ベンゼン(6.4×10-4)、二硫化炭素(7.7×10-4)などの非水素結合性有機溶剤が大きい。

光吸収層膜中の熱レンズ形成層の材料として液晶を用いる場合、液晶としては、公知の任意のものを使用することができる。具体的には、種々のコレステロール誘導体、4’−n−ブトキシベンジリデン−4−シアノアニリン、4’−n−ヘキシルベンジリデン−4−シアノアニリンなどの4’−アルコキシベンジリデン−4−シアノアニリン類、4’−エトキシベンジリデン−4−n−ブチルアニリン、4’−メトキシベンジリデンアミノアゾベンゼン、4−(4’−メトキシベンジリデン)アミノビフェニル、4−(4’−メトキシベンジリデン)アミノスチルベンなどの4’−アルコキシベンジリデンアニリン類、4’−シアノベンジリデン−4−n−ブチトキシアニリン、4’−シアノベンジリデン−4−n−ヘキシルオキシアニリンなどの4’−シアノベンジリデン−4−アルコキシアニリン類、4’−n−ブトキシカルボニルオキシベンジリデン−4−メトキシアニリン、p−カルボキシフェニル・n−アミルカーボネイト、n−ヘプチル・4−(4’−エトキシフェノキシカルボニル)フェニルカーボネイトなどの炭酸エステル類、4−n−ブチル安息香酸・4’−エトキシフェニル、4−n−ブチル安息香酸・4’−オクチルオキシフェニル、4−n−ペンチル安息香酸・4’−ヘキシルオキシフェニルなどの4−アルキル安息香酸・4’−アルコキシフェニルエステル類、4,4’−ジ−n−アミルオキシアゾキシベンゼン、4,4’−ジ−n−ノニルオキシアゾキシベンゼンなどのアゾキシベンゼン誘導体、4−シアノ−4’−n−オクチルビフェニル、4−シアノ−4’−n−ドデシルビフェニルなどの4−シアノ−4’−アルキルビフェニル類などの液晶、および(2S,3S)−3−メチル−2−クロロペンタノイック酸・4’,4”−オクチルオキシビフェニル、4’−(2−メチルブチル)ビフェニル−4−カルボン酸・4−ヘキシルオキシフェニル、4’−オクチルビフェニル−4−カルボン酸・4−(2−メチルブチル)フェニルなどの強誘電性液晶を使用することができる。

光吸収層膜中の熱レンズ形成層の材料として固体の材料を用いる場合は、光散乱が小さく屈折率の温度依存性の大きな、非晶質の有機化合物が特に好適である。具体的には、前記マトリックス材料と同様に、種々の有機高分子材料の中から光学用樹脂として公知のものを選定して使用することができる。文献[技術情報協会編、「最新光学用樹脂の開発、特性と高精度部品の設計、成形技術」、技術情報協会(1993)、P.35]に記載されている光学用樹脂の屈折率の温度変化[単位:1/K]は、例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)が1.2×10-4、ポリカーボネートが1.4×10-4、ポリスチレンが1.5×10-4である。これらの樹脂を光吸収層膜中の熱レンズ形成層の材料として好適に使用することができる。

前記有機溶剤の屈折率温度依存性は前記光学用樹脂の場合よりも大きいというメリットがある反面、制御光照射による温度上昇が有機溶剤の沸点に到達すると沸騰してしまうという問題がある(高沸点の溶剤を用いる場合は問題ない)。これに対して、揮発性不純物を徹底的に除去した光学用樹脂は、例えばポリカーボネートの場合、制御光照射による温度上昇が250℃を超えるような過酷な条件においても使用可能である。

[保温層膜]
保温層膜として気体を用いる場合は、空気の他、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの不活性ガスを好適に用いることができる。

保温層膜として液体を用いる場合は、熱伝導率が光吸収層膜と同等か光吸収層膜よりも小さい材質であって、かつ、制御光および信号光を透過し、光吸収層膜の材質を溶解または腐食しないものであれば、任意の液体を用いることができる。例えば、光吸収層膜がシアニン色素を含有したポリメタクリル酸メチルからなる場合、流動性パラフィンを用いることができる。

保温層膜として固体を用いる場合は、熱伝導率が光吸収層膜(光吸収膜および熱レンズ形成層)と同等か光吸収層膜よりも小さい材質であって、かつ、制御光および信号光を透過し、光吸収層膜や伝熱層膜の材質と反応しないものであれば、任意の固体を用いることができる。例えば、光吸収膜がシアニン色素を含有したポリメタクリル酸メチルからなる場合、色素を含まないポリメタクリル酸メチル[300Kにおける熱伝導率0.15Wm-1-1]を保温層膜として用いることができる。

[伝熱層膜の材料]
伝熱層膜としては、熱伝導率が光吸収層膜よりも大きい材質が好ましく、制御光および信号光を透過し、光吸収層膜や保温層膜の材質と反応しないものであれば、任意のものを用いることができる。熱伝導率が高く、かつ、可視光線の波長帯域における光吸収が小さい材質として、例えば、ダイアモンド[300Kにおける熱伝導率900Wm-1-1]、サファイア[同46Wm-1-1]、石英単結晶[c軸に平行方向で同10.4Wm-1-1]、石英ガラス[同1.38Wm-1-1]、硬質ガラス[同1.10Wm-1-1]などを伝熱層膜として好適に用いることができる。

[光透過層の材料]
本発明で用いられる熱レンズ形成素子は、前記制御光の収束手段としての屈折率分布型レンズが、光透過層を介して前記制御光の入射側に積層されて設けられていても良いが、光透過層の材質としては、固体の保温層膜および/または伝熱層膜の材質と同様のものを使用することができる。光透過層は、文字通り、前記制御光および信号光を効率良く透過させるだけでなく、屈折率分布型レンズを熱レンズ形成素子構成要素として接着するためのものである。いわゆる紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂の内、前記制御光および信号光の波長帯域の光透過率の高いものを特に好適に用いることができる。

[熱レンズ形成素子の作成方法]
本発明で用いられる熱レンズ形成素子の作成方法は、熱レンズ形成素子の構成および使用する材料の種類に応じて任意に選定され、公知の方法を用いることができる。

例えば、熱レンズ形成素子中の光吸収膜に用いられる光吸収性の材料が、前述のような単結晶の場合、単結晶の切削・研磨加工によって、光吸収膜を作成することができる。

例えば、色素を含有したマトリックス材料からなる光吸収膜、光学用樹脂からなる熱レンズ形成層、および光学ガラスを伝熱層膜として組み合わせて用いた「伝熱層膜/光吸収膜/熱レンズ形成層/光吸収膜/伝熱層膜」という構成の熱レンズ形成素子を作成する場合、以下に列挙するような方法によって、まず、伝熱層膜上に光吸収膜を作成することができる。

色素およびマトリックス材料を溶解した溶液を、伝熱層膜として用いられるガラス板上に塗布法、ブレードコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法などの塗工法で塗工するか、あるいは、平版、凸版、凹版、孔版、スクリーン、転写などの印刷法で印刷して光吸収膜を形成する方法を用いても良い。この場合、光吸収膜の形成にゾルゲル法による無機系マトリックス材料作成方法を利用することもできる。

電着法、電解重合法、ミセル電解法(特開昭63−243298号公報)などの電気化学的成膜手法を用いることができる。

更に、水の上に形成させた単分子膜を移し取るラングミア・ブロジェット法を用いることができる。

原料モノマーの重合ないし重縮合反応を利用する方法として、例えば、モノマーが液体の場合、キャスティング法、リアクション・インジェクション・モールド法、プラズマ重合法、および、光重合法などが挙げられる。

昇華転写法、蒸着法、真空蒸着法、イオンビーム法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、有機分子線蒸着法、などの方法を用いることもできる。

2成分以上の有機系光学材料を溶液または分散液状態で各成分毎に設けた噴霧ノズルから高真空容器内に噴霧して基板上に堆積させ、加熱処理することを特徴とする複合型光学薄膜の製造方法(特許公報第2599569号)を利用することもできる。

以上のような固体の光吸収膜の作成方法は、例えば、固体の有機高分子材料からなる保温層膜を作成する場合にも、好適に使用することができる。

次いで、熱可塑性の光学用樹脂を用いて熱レンズ形成層を作成する場合、真空ホットプレス法(特開平4−99609号公報)を用いて「伝熱層膜/光吸収膜/熱レンズ形成層/光吸収膜/伝熱層膜」という構成の熱レンズ形成素子を作成することができる。すなわち、熱可塑性光学用樹脂の粉末またはシートを、上記の方法で表面に光吸収膜を形成した2枚の伝熱層膜(ガラス板)で挟み、高真空下、加熱・プレスすることによって、上記構成の積層型薄膜素子を作成することができる。

[光学セル]
色素溶液充填式熱レンズ形成素子で用いられる光学セルは、色素溶液を保持する機能、および色素溶液に実効的に形態を付与し、光吸収層膜兼熱レンズ形成層として作用させる機能を有し、更に、収束されて照射される信号光および制御光を受光して前記光応答性組成物へ前記信号光および前記制御光を伝搬させる機能、および前記光応答性組成物を透過した後、発散していく前記信号光を伝搬させて出射する機能を有するものである。

色素溶液充填式熱レンズ形成素子で用いられる光学セルの形態は外部形態と内部形態に大別される。

光学セルの外部形態は、本発明の光制御式光路切替型データ配信装置の構成に応じて、板状、直方体状、円柱状、半円柱状、四角柱状、三角柱状、などの形状のものが用いられる。

光学セルの内部形態とは、すなわち、色素溶液充填部の形態であり、色素溶液に、実効的に形態を付与するものである。本発明の光制御式光路切替型データ配信装置の構成に応じて、光学セルの内部形態は、具体的には、例えば、薄膜、厚膜、板状、直方体状、円柱状、半円柱状、四角柱状、三角柱状、凸レンズ状、凹レンズ状、などの中から適宜選択することができる。

光学セルの構成および材質は、下記の要件を満たすものであれば任意のものを使用することができる。

(1)上記のような外部形態および内部形態を、使用条件において精密に維持できること。

(2)色素溶液に対して不活性であること。

(3)色素溶液を構成する諸成分の放散・透過・浸透による組成変化を防止できること。

(4)色素溶液が、酸素や水など使用環境に存在する気体あるいは液体と接触することによって劣化することを妨げることができること。

光学セルの材質としては、具体的には、色素溶液の種類によらずソーダガラス、ホウケイ酸ガラスなどの種々の光学ガラス、石英ガラス、サファイアなどを好適に使用することができる。また、色素溶液の溶剤が水やアルコール系である場合、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリスチレン、ポリカーボネートなどのプラスチックを用いることもできる。

なお、上記要件の内、色素溶液の組成変化や劣化を防止する機能は、熱レンズ形成素子としての設計寿命の範囲内に限り発揮できれば良い。

本発明で用いられる他の光学要素、すなわち、集光レンズ、受光レンズ、波長選択透過フィルターなどを前記光学セルに組み込んだ一体構造の光学セルを用いることができる。

[ビームウエスト直径の計算]
本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法において熱レンズ効果を有効に利用するためには、焦点(集光点)近傍の光子密度が最も高い領域、すなわち「ビームウエスト」における前記信号光のビーム断面積が、ビームウエストにおける前記制御光のビーム断面積を超えないように前記信号光および前記制御光のビーム断面の形状および大きさをそれぞれ設定することが好ましい。

以下、進行方向ビーム断面の電場の振幅分布、すなわち光束のエネルギー分布がガウス分布となっているガウスビームの場合について述べる。なお、以下の説明では、ビーム収束手段として集光レンズ(屈折率分布型レンズ)を用いる場合について説明するが、収束手段が凹面鏡や屈折率分散型レンズであっても同様である。

ガウスビームを、図4などの集光レンズ31などで、開き角2θで収束させたときの焦点301近傍における光線束および波面300の様子を図17に示す。ここで、波長λのガウスビームの直径2ωが最小になる位置301を「ビームウエスト」という。以下、ビームウエスト直径を2ω0で表すものとする。光の回折作用のため、2ω0はゼロにはならず、有限の値を持つ。なお、ビーム半径ωやω0の定義は、ガウスビームのビーム中心部分のエネルギーを基準として、エネルギーが1/e2(eは自然対数の底)になる位置をビーム中心から測ったときの距離であり、ビーム直径は2ωまたは2ω0で表される。いうまでもなく、ビームウエストの中心において、光子密度は最も高い。

ガウスビームの場合、ビームウエストから充分に遠方でのビーム拡がり角θは波長λおよびビームウエスト径ω0と、次の式〔4〕で関係付けられる。

(数1)
π・θ・ω0 ≒ λ …〔4〕
ここで、πは円周率である。

「ビームウエストから充分に遠方」という条件を満たす場合に限りこの式を用いて、集光レンズに入射するビーム半径ω、集光レンズの開口数および焦点距離から、集光レンズで集光されたビームウエスト径ω0を計算することができる。

更に一般的に、有効開口半径aおよび開口数NAの集光レンズで、ビーム半径ωの平行ガウスビーム(波長λ)を収束させた場合のビームウエスト直径2ω0は、次の式〔5〕で表すことができる。

(数2)
2ω0 ≒ k・λ/NA …〔5〕

ここで、係数kは代数的に解くことができないため、レンズ結像面での光強度分布についての数値解析計算を行うことによって決定することができる。

集光レンズに入射するビーム半径ωと集光レンズの有効開口半径aの比率を変えて、数値解析計算を行うと、式〔5〕の係数kの値は以下のように求まる。

(数3)
a/ω = 1 のとき k ≒ 0.92
a/ω = 2 のとき k ≒ 1.3
a/ω = 3 のとき k ≒ 1.9
a/ω = 4 のとき k ≒ 3

すなわち、集光レンズの有効開口半径aよりもビーム半径ωが小さければ小さい程、ビームウエスト径ω0は大きくなる。

例えば、集光レンズとして開口数0.25、有効開口半径約5mmのレンズを用い、波長780nmの信号光を収束したとき、集光レンズに入射するビーム半径ωが5mmであればa/ωは約1で、ビームウエストの半径ω0は1.4μm、ωが1.25mmであればa/ωは約4でω0は4.7μmと計算される。同様にして波長633nmの制御光を収束したとき、ビーム半径ωが5mmであればa/ωは約1で、ビームウエストの半径ω0は1.2μm、ωが1.25mmであればa/ωは約4でω0は3.8μmと計算される。

この計算例から明らかなように、集光レンズの焦点近傍の光子密度が最も高い領域、すなわちビームウエストにおける光ビームの断面積を最小にするには、集光レンズに入射する光ビームの強度分布が平面波に近くなるまで、ビーム直径を拡大(ビームエキスパンド)すれば良い。また、集光レンズへ入射するビーム直径が同一の場合、光の波長が短い程、ビームウエスト径は小さくなることも判る。

前述のように、本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法において熱レンズ効果を有効に利用するためには、ビームウエスト近傍の光子密度が最も高い領域における前記信号光のビーム断面積が、ビームウエストにおける前記制御光のビーム断面積を超えないように前記信号光および前記制御光のビーム断面の形状および大きさをそれぞれ設定することが好ましい。信号光および制御光ともにガウスビームを用いる場合であれば、以上の説明および計算式にしたがって、集光レンズなどの収束手段で収束する前の平行ビームの状態で、波長に応じて、信号光および制御光のビーム直径を、必要に応じてビームエキスパンドするなどして、調節することによって、ビームウエスト近傍の光子密度が最も高い領域における前記信号光のビーム断面積が、ビームウエストにおける前記制御光のビーム断面積を超えないようにすることができる。前述のようにビームエキスパンドの手段としては、公知のもの、例えば2枚の凸レンズからなるケプラー型の光学系を用いることができる。

[共焦点距離Zcの計算]
一般に、ガウスビームの場合、凸レンズなどの収束手段で収束された光束のビームウエスト近傍、すなわち、焦点を挟んで共焦点距離Zcの区間においては、収束ビームはほぼ平行光と見なすことができ、共焦点距離Zcは、円周率π、ビームウエスト半径ω0および波長λを用いた式〔6〕で表すことができる。

(数4)
Zc = πω0 2/λ …〔6〕

式〔6〕のω0に式〔5〕を代入すると、式〔7〕が得られる。

(数5)
Zc ≒ π(k/NA)2λ/4 …〔7〕

例えば、集光レンズとして開口数0.25、有効開口半径約5mmのレンズを用い、波長780nmの信号光を収束したとき、集光レンズに入射するビーム半径ωが5mmであればa/ωは約1で、ビームウエストの半径ω0は1.4μm、共焦点距離Zcは8.3μm、ωが1.25mmであればa/ωは約4でω0は4.7μm、共焦点距離Zcは88μmと計算される。同様にして波長633nmの制御光を収束したとき、ビーム半径ωが5mmであればa/ωは約1で、ビームウエストの半径ω0は1.2μm、共焦点距離Zcは6.7μm、ωが1.25mmであればa/ωは約4でω0は3.8μm、共焦点距離Zcは71μmと計算される。

[光吸収層膜の最適膜厚]
光吸収層膜を構成する1または2枚の光吸収膜の厚さを変えず、熱レンズ形成層の厚さを変えて試料を作製し、光学濃度一定で膜厚の異なる複数の熱レンズ形成素子について実験した結果、上記のようにして計算される共焦点距離Zcの2倍を光吸収層膜の膜厚の上限としたとき、熱レンズ効果の光応答速度が充分高速になることが判った。

光吸収層膜の膜厚の下限については、熱レンズ効果が発揮できる限りにおいて、薄ければ薄いほど好ましい。

[保温層膜の膜厚]
保温層膜の膜厚には、光応答の大きさおよび/または速度を最大にするような最適値(下限値および上限値)が存在する。その値は熱レンズ形成素子の構成、光吸収層膜の材質および厚さ、保温層膜の材質、伝熱層膜の材質および厚さなどに応じて、実験的に決定することができる。例えば、伝熱層膜として通常のホウケイ酸ガラス、保温層膜および熱レンズ形成層の材質としてポリカーボネート、光吸収膜としてプラチナフタロシアニンの蒸着膜を用い、ガラス(伝熱層膜、膜厚150μm)/ポリカーボネート樹脂層(保温層)/プラチナフタロシアニン蒸着膜(光吸収膜、膜厚0.2μm)/ポリカーボネート樹脂層(熱レンズ形成層、膜厚20μm)/プラチナフタロシアニン蒸着膜(光吸収膜、膜厚0.2μm)/ポリカーボネート樹脂層(保温層)/ガラス(伝熱層膜、膜厚150μm)という構成の熱レンズ形成素子を作成した場合、保温層膜の膜厚は好ましくは5nmから5μmであり、更に好ましくは50nmから500nmである。

[伝熱層膜の膜厚]
伝熱層膜の膜厚にも、光応答の大きさおよび/または速度を最大にするような最適値(この場合は下限値)が存在する。その値は熱レンズ形成素子の構成、光吸収層膜の材質および厚さ、保温層の材質および厚さ、伝熱層膜の材質などに応じて、実験的に決定することができる。例えば、伝熱層膜として通常のホウケイ酸ガラス、保温層膜および熱レンズ形成層の材質としてポリカーボネート、光吸収膜としてプラチナフタロシアニンの蒸着膜を用い、ガラス(伝熱層膜、膜厚150μm)/ポリカーボネート樹脂層(保温層)/プラチナフタロシアニン蒸着膜(光吸収膜、膜厚0.2μm)/ポリカーボネート樹脂層(熱レンズ形成層、膜厚20μm)/プラチナフタロシアニン蒸着膜(光吸収膜、膜厚0.2μm)/ポリカーボネート樹脂層(保温層)/ガラス(伝熱層膜、膜厚150μm)という構成の熱レンズ形成素子を作成した場合、伝熱層膜の厚さの下限は、好ましくは10μm、更に好ましくは100μmである。なお、伝熱層膜の膜厚の上限については光応答の大きさおよび/または速度からの制約はないが、用いられる集光レンズおよび受光レンズの方式、焦点距離および作動距離(ワーキングディスタンス)と整合させて設計する必要がある。

[熱レンズ効果による光路切替機構の動作原理と態様]
本発明で用いられる光スイッチを構成する最小単位としての光路切替機構91の動作原理を説明するための原理図を図11、図12、図13、および、図14に示す。これらの図において、熱レンズ形成素子1は「伝熱層膜501/光吸収層膜兼熱レンズ形成層502/伝熱層膜503」という積層構造であるとする。また、制御光として用いられるレーザー光のビーム断面の光強度分布がガウス分布である「ガウスビーム」を用いるものとする。ガウスビームを凸レンズなどの集光レンズで収束させると、ビームウエスト(集光点;焦点)での光強度分布も、ガウス分布となる。

図11に示すように、コリメートされた平行光ビーム110(信号光または制御光)が集光レンズ31によって収束されて熱レンズ形成素子1の光吸収層膜兼熱レンズ形成層502に照射された場合、平行光ビーム110として収束・照射された制御光は光吸収層膜に吸収されて光エネルギーが熱エネルギーに変換され、光吸収の起きた光吸収層膜の近傍および隣接する熱レンズ形成層の温度が上昇、熱膨張し、屈折率は低下する。上記のようにビーム断面の光強度分布がガウス分布となった光を照射すると、光強度の強いガウス分布の中心部分が収束されて照射されたところが「光吸収の中心」となり、その部分の温度が最も高く、かつ、屈折率が一番小さくなる。光吸収の中心部分から外周へ向けての光吸収も熱に変わり、更に周囲に伝搬される熱により熱レンズ形成層を含む光吸収層膜の屈折率が光吸収中心から外部へ向けて球状に変化して、光吸収中心の屈折率が最も低く外部へ向けて屈折率が高くなる分布を生じ、局部的には凹レンズのように機能する。実際には、制御光は集光レンズ31などによって集光されて熱レンズ形成層を含む光吸収層膜中に照射され、光吸収が収束光の進行方向に多重に起こり、多重に形成された熱レンズによって、進行する制御光自身の光束も変形されるため、観測される熱レンズ効果は、以下に述べるように単一の凹レンズによるものとは異なる。

光吸収層膜の吸収帯域にある波長の制御光と透過帯域の波長である信号光とを、図11(a)に示すように熱レンズ形成素子1の光吸収層膜の入射面に近い位置5にビームウエスト(焦点)が位置するように同時に照射すると、図12(a)に示すように制御光により入射面に近い位置に形成された熱レンズ50により、信号光は断面がリング状に拡がるように拡散された出射信号光201として通常の出射信号光200よりも大きい開き角度で出射する。熱レンズ形成素子1を出射した出射信号光201または200を約50cm遠方に設置した半透明スクリーンに投射し、背面から撮影した信号光ビーム断面の写真をそれぞれ図18(a)および図18(b)に示す。図18(b)に示すように熱レンズ形成素子1から通常の開き角で出射した信号光200の断面は、前記スクリーン上で直径d2の円形である。これに対して、信号光と制御光を熱レンズ形成素子1の光吸収層膜の入射面に近い位置5において焦点を結ぶように同時に照射したとき制御光により入射面に近い位置に形成された熱レンズ50により断面がリング状に拡がるように拡散された出射信号光201の断面は、図18(a)に示すように、外径d3かつ内径d4のリングとして前記スクリーンに投射される。図18において明らかなように、外径d3かつ内径d4は、ともに制御光が照射されない場合の信号光・円形ビーム直径d2よりも大きい。

一方、図11(b)に示すように熱レンズ形成素子の光吸収層膜の出射面に近い位置6において焦点を結ぶように同時に照射すると、図12(b)に示すように制御光により出射面に近い位置に形成された熱レンズ60により、信号光は収束されたまま出射する信号光119として出射する。熱レンズ形成素子1を出射した出射信号光119を前記半透明スクリーンに投射し、背面から撮影した信号光ビーム断面の写真を図18(c)に示す。信号光と制御光を熱レンズ形成素子1の光吸収層膜の出射面に近い位置6において焦点を結ぶように同時に照射したとき制御光により出射面に近い位置に形成された熱レンズ60により収束されたまま出射する信号光119の断面は、図18(c)に示すように、外径d0の円形として前記スクリーンに投射される。図18において明らかなように、外径d0は、制御光が照射されない場合の信号光・円形ビーム直径d2よりも小さい。なお、収束出射信号光119の輝度は非常に高いため、前記スクリーンへ投射して写真撮影する際、前記スクリーンの手前に減光フィルターを設置してハレーションが起こることを防いだ。

図11(a)および図11(b)のいずれの場合も、制御光を照射しないと、図12(a)および図12(b)に点線で示すように信号光は熱レンズ50または60の影響を受けることなく、信号光のみが通常の開き角度の出射光200として出射する。

また、熱レンズ効果の有無と熱レンズ形成素子の光吸収層膜におけるビームウエスト(集光点;焦点)位置の相違(入射側か出射側か)に対応した信号光ビーム断面における光強度分布の相違の測定を以下のように行うことができる。すなわち、図4、図13または図14に概要を示す装置において、受光レンズ41の開口数0.55、集光レンズ31の開口数0.25とし、穴付ミラー61の代わりに図19に概要を示すような光強度分布測定器700を設置し、熱レンズ形成素子1を透過した信号光ビームの全てを受光レンズ41で受光し、平行光線として前記光強度分布測定器の受光部701(有効直径20mm)へ入射させ、信号光ビーム断面の光強度分布を測定した。測定結果を図20、図21、および、図22に示す。ここで、光強度分布測定器は、図19に示すように、受光部701(有効直径20mm)に対して幅1mmの第一のスリット702を設け、第一のスリットの長さ方向、すなわち図19において点710から点720の向きに、幅25μmの第二のスリット703を一定速度で移動させて、2枚のスリットが作る1mm×25μmの長方形の窓を通過した光の強度を、前記窓の移動位置に対応させて測定する装置である。前記窓の移動位置に対応させて光強度を測定するには、例えば、第二のスリット703の移動速度に同期させたストレージオシロスコープ上に、前記窓を通過した光を受光した検出器の出力を記録すれば良い。図20〜図22は、以上のようにして、ストレージオシロスコープ上に記録された信号光の光ビーム断面についての光強度分布を示すものであり、横軸(光ビーム断面内の位置)は受光部701の中心を0として、図19の点710を負方向、点720を正方向と座標を定めて表した位置に対応し、縦軸は光強度を表す。

図20は、図11(a)および図13(a)の場合に対応し、熱レンズ形成素子1に制御光が入射せず、信号光のみが入射した場合の前記信号光ビーム断面の光強度分布である。この場合の光強度分布は、中心部分の強度が強く、周辺にいくにしたがって強度が弱まる分布(おおむね「ガウス分布」)である。したがって、この場合に充分な大きさの穴161を有する穴付ミラー61が図13(a)のように設置されていると、信号光ビーム111の全てが穴付ミラーの穴161を通過することができる。ここで、平行光として集光レンズ31(焦点距離f1)へ入射する信号光のビーム直径をd1、受光レンズ41(焦点距離f2)によって平行光とされた信号光ビーム111のビーム直径をd2とすると、
(数6)
1:f2=d1:d2 …〔8〕
であるから、d2は次の式によって求めることができる。

(数7)
2=(f2/f1)×d1 …〔9〕

穴付ミラー61は、例えば、信号光の光軸と45度の角度を持って設置されているものとする。また、穴161を通過する信号光の断面は円形である。したがって、穴161の形状は短径D1、長径D2の楕円である必要があり、D1とD2は次の式〔10〕の関係にある。

(数8)
2=D1×√2 …〔10〕

ここで、穴付ミラー61の楕円形穴161の短径D1は、式〔9〕から求められる信号光ビーム111のビーム直径d2よりも大きければ良い。ただし、D1が大きすぎると制御光の照射によってリング状に拡大された信号光の一部も通過してしまう。すなわち、D1の最適値はd2の1.01倍ないし1.2倍であり、より好ましくは1.02倍ないし1.1倍である。

図21は、図11(a)、図12(a)および図13に示すような光学配置の場合に対応し、ビームウエスト(集光点;焦点)を熱レンズ形成素子1の集光レンズ31に近い位置5(光の入射側)に設定し、制御光を照射したときの信号光ビーム断面の光強度分布である。この場合の光強度分布は、中心部分の光強度が弱く、周辺でリング状に光強度が増大する分布になっている。信号光ビーム断面の中心部の光強度は、制御光強度および熱レンズ形成素子1と焦点の位置関係に依存して減少し、制御光強度が増すにしたがって、ゼロに近づいていく。また、信号光強度の極大位置は、元のビーム直径よりも大きな値(直径約15mm)であった。

図22は、図11(b)、図12(b)および図14に示すような光学配置の場合に対応し、ビームウエスト(集光点;焦点)を熱レンズ形成素子1の受光レンズ41に近い位置6(光の出射側)に設定し、制御光を照射したときの信号光ビーム断面の光強度分布である。この場合は、中心部分の光強度が、制御光を照射しない場合の中心部分の光強度(図21)より強くなっている。この場合、信号光ビーム断面の中心部の光強度は、制御光強度および熱レンズ形成素子1と焦点6との位置関係に依存するが、制御光非照射時の数倍にも達する。

したがって、この場合に穴付ミラー61が設置されていると、信号光ビームの大部分が穴付ミラーの穴161を通過する。ここで、穴付ミラー61(および62,63)の穴161の大きさが最適化されていると、穴付ミラー61によって反射される信号光を事実上ゼロにすることができる。しかしながら、穴付ミラー61の穴161の大きさを最適化しても、制御光を照射しない場合、図14(a)に示す信号光111の中心部分が穴161を漏れ信号光118として通過してしまい、クロストークが発生することは防げない。

しかるに、熱レンズ形成素子へ入射する信号光ビーム断面の光強度分布を変更することによって、このような漏れ信号光を事実上ゼロにすることができる。すなわち、図6に示すように、光信号路1110から出射した信号光110をコリメートレンズ30を用いて整形した後、円錐プリズム型レンズなどからなるビーム断面リング化レンズ群321によって、信号光ビーム断面の光強度分布を図18(a)および図21に相当するようなリング状の分布にすることが容易にできる。このような断面光強度分布の信号光110を集光レンズ31にて焦点位置6(図14(a))を通過するように収束して熱レンズ形成素子1を透過させた後、受光レンズ41で平行光線に戻すと、その光ビーム断面の光強度分布は図21に相当するように周辺部分で強く、中心部分が事実上ゼロの「リング状」となるため、穴付ミラー61を設置した場合、その穴161を通過する信号光のモレを事実上、なくすことができる。信号光ビーム断面の光強度分布がこのように「リング状」であっても、図14(b)のように制御光を照射して熱レンズ60を過渡的に形成させた場合には、信号光ビーム断面の光強度分布は鋭いビーム状の収束直進信号光119として穴付ミラー61の穴161を通過していく。

以上、まとめると、図13の光学配置において、制御光照射の有無に対応して、熱レンズ形成素子を通過した信号光のビーム断面の光強度分布が図21のリング状分布(制御光照射の場合)と図20のガウス分布(制御光非照射の場合)の間で切り替えられ、これを、信号光ビーム断面の光強度分布の形状に適合した穴付ミラーによって、それぞれ別個に取り出すことによって、信号光の光路の切替が可能となる。

一方、図14に例示するような光学配置において、制御光および信号光の焦点が熱レンズ形成素子の出射側に近い位置6になるよう調整し、更に信号光ビーム断面の光強度分布をリング状にすることによって、制御光非照射のとき、信号光本来の進行方向から90度、光路を切り替えて信号光を出射させること、また、制御光照射時に信号光を直進させることができる。

[複数の光路切替機構の組み合わせ方法]
熱レンズ入射光の集光レンズ(31など)、熱レンズ形成素子(1など)、熱レンズ出射光の受光レンズ(41など)、波長選択透過フィルター(81など)および穴付ミラー(61など)からなる光路切替機構(91など)を2つ以上、空間結合方式で連結させて使用する場合、出射信号光が通常の開き角度よりも拡大されて出射する動作態様と、収束されたまま出射する動作態様の組み合わせとして、以下の3通りを用いることができる。

(1)出射信号光が通常の開き角度よりも拡大されて出射する動作態様だけの組み合わせ。

(2)出射信号光が収束されたまま出射する動作態様だけの組み合わせ。

(3)出射信号光が通常の開き角度よりも拡大されて出射する動作態様の後段に出射信号光が収束されたまま出射する動作態様を用いる組み合わせ。

3番目の組み合わせとして、1段目の光路切替機構が制御光と信号光とを、図11(a)に示すように熱レンズ形成素子1の光吸収層膜の入射面に近い位置5にビームウエスト(焦点)が位置するように同時に照射して、出射する信号光が熱レンズ効果によって、通常の開き角よりも拡大されてリング状断面で出射する動作態様の場合、リング状断面の信号光を穴付ミラー61で反射させて光路切替した後に、2段目の光路切替機構として、制御光と信号光とを、図11(b)に示すように熱レンズ形成素子1の光吸収層膜からの出射面に近い位置6にビームウエスト(焦点)が位置するように同時に照射して、出射する信号光が熱レンズ効果によって、収束されたままの小さい断面で出射する動作態様を採用することで、前記ビーム断面リング化レンズ群321を用いることなく、効率良く、2つの光路切替機構を組み合わせることが可能となる。この組み合わせの詳細については実施例4に記載する。

[穴付ミラー]
穴付ミラー61は、例えば、信号光の光軸と45度の角度を持って設置されている。穴付ミラー61のミラー面は、ガラス面上に誘電体多層膜をスパッタリング法で作成し、信号光の波長で反射率が極大になるよう調整したものを用いた。穴付ミラー61の穴161の部分は、ガラスに楕円状の穴を、45度傾けて開けて作成した。穴を開ける替わりに、楕円状に反射膜を付けなくても良いが、ガラス面には反射が数%あって信号光の減衰かつクロストークが起こるので、穴を開ける方が好ましい。穴の内面は光散乱などによる迷光を防ぐため、平滑で、無反射処理されていることが好ましい。また、反射膜は、誘電体多層膜に限らず、用いる制御光および信号光を反射する材料であれば良く、金、銀等でも良い。

[時間分割型「多:1」双方向光通信]
本発明の光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法は、使用している光スイッチの動作原理から、当該光スイッチの作動期間のみ、データサーバー装置側と特定のクライアント装置側の光通信経路が双方に「開」となるものである。したがって、特定のクライアント装置側から随時、サーバー側へデータ送信依頼を当該光通信経路を通じて送信できるようにするためには、データサーバー装置側から一定時間毎に繰り返し、個々のクライアント装置へ向けて順番に、少なくとも制御光・光宛先タグを一定時間、送信し続ける必要がある。さもなければ、クライアント装置からデータサーバー装置へ、例えば、別の光通信路を用いての光通信または従来型ローカルエリアネットワークを用いての電気通信を行わなければならない。

複数のクライアント装置とデータサーバー装置の間の光信号路を一定時間毎に順番に開くことは、すなわち、時間分割型「多:1」双方向光通信である。

時間分割の間隔、光パケットのデータ量、光スイッチのON/OFF応答速度、および、クライアント数は相互に関係している。例えば、光スイッチのON/OFF応答速度が充分に早い場合は、時間分割の間隔を短くして、クライアント数を増やしても光パケットのデータ量が不足することはないが、光スイッチのON/OFF応答に時間を要する場合、充分なデータ量を提供可能なクライアント数は制限される。

実施例に記載の通り、本発明で用いる光スイッチは1ミリ秒で充分なON/OFFが可能であるため、例えば、8クライアントに対して、各々1秒間に124ミリ秒ずつ、光信号路を時間分割して提供することができる。したがって、データサーバー装置側光信号送信部1120の変調速度が10Gbpsであれば、光順位タグの部分を含め、光パケットのデータ量を1.24Gビット(155MB)とすることができる。これは画素数2272×1704で1画素についてのカラー情報32ビットの高精細静止カラー画像百枚強を、各々8クライアントに1秒間で送信可能なデータ通信量に相当する。すなわち、例えばモノクロ高精細画像の1000枚積層表示による人体3次元画像を1秒間に8箇所に配信することも可能である。また、デジタルハイビジョンのカラー動画画像を圧縮処理することなく、1秒間に8箇所に配信することも充分可能である。光信号送信部の変調速度を40Gbpsとすることで、更に4倍のデータ量を配信することもできる。

なお、クライアント数の上限は、光スイッチの多段使用による信号光の減衰によって規定され、通常2〜8クライアントまで特に問題なく利用可能であり、更に使用する光ファイバーの伝送ロスなどの条件にもよるが、16ないし32クライアントまで利用可能である。32クライアントの場合、光パケットの有効時間幅は(1000/32−1=)30.25ミリ秒となるが、光信号送信部1120の変調速度を40Gbpsとすることで、光パケットのデータ量として1.21Gビットを確保することができる。

時間分割型「多:1」双方向光通信であることから、データサーバー装置1000から光信号送信部1120までの電気信号路1400のデータ転送速度Dsは、クライアント装置側の電気信号路1401などのデータ転送速度Dcと、クライアント装置の台数をNcとすると、式〔11〕の関係にあれば良い。

(数9)
Ds ≦ Dc × Nc …〔11〕

仮にDsが10Gbpsで、クライアント装置が4台であり、クライアント装置側の光信号受信部1131などにて受信した光パケットの情報を電気信号に変換した後、一時記憶してから電気信号として送出するようにすれば、クライアント装置側の電気信号路1401などのデータ転送速度Dcは2.5Gbps以上であれば良い。ただし、クライアント装置側の光信号受信部1131,1132,1133などの光信号受信速度はDsと同等以上である必要がある。すなわち、本発明の光制御式光路切替型データ配信装置においては、クライアント装置が2台以上ある場合、クライアント装置側の電気信号路のデータ転送速度に関してはデータサーバー装置側よりも1/2以下に低減することが可能であり、全てを高速なデータ転送速度の部品で結ぶ場合に比べ、装置価格を安くすることができる。

以下、本発明の実施形態について、実施例を参照しながら詳細に説明する。

[実施例1]
図4aには、実施例1の光制御式光路切替型データ配信装置における光学部品要素について概略構成が示されている。図4aに示す光学部品要素に加えて、本実施例1の光制御式光路切替型データ配信装置は、データサーバー装置、データ通信部の電子回路および電源、クライアント装置、データサーバー装置とデータ通信部を結ぶ電気信号路、データ通信部とクライアント装置を結ぶ電気信号路、および、電源からなる。

図4aには光制御式光路切替型データ配信装置の部分概略構成として、光信号送信部1120の一部分、光スイッチ1101の詳細、および、光信号路1110,1111,1112,1113が図示されている。

データサーバー装置としては、市販の通常のコンピューターであって、入出力制御部1040などを制御する中央演算処理装置の動作周波数3GHz、送信データ記憶部1010として動作する半導体メモリー素子の容量2GB、および、ハードディスク記憶装置容量800GBのものを1台用いた。

クライアント装置としては、市販の通常のコンピューターであって、入出力制御部1241などを制御する中央演算処理装置の動作周波数2.8GHz、受信データ記憶部1211として動作する半導体メモリーの容量1GB、および、ハードディスク記憶装置容量250GBのものを4台用いた。

データ通信部・データサーバー装置側の電子回路および電源としては、データ送受信制御部1140、光信号送信部1120の制御電子回路、光信号受信部1130および1131などの受光素子および制御電子回路、および、これらの電源を含む。データサーバー装置側のこれらの電子回路としては赤外線レーザーを用いる市販のデータ通信速度10Gbpsの光トランシーバー装置の送信部と受信部を転用して用いた。これらの電源としては、必要とする電圧および電流容量を満足する定電圧電源を用いた。

データ通信部・クライアント装置側の電子回路および電源としては、データ送受信制御部1141、1142,1143など、光信号送信部1121などの制御電子回路、光信号受信部1131,1131,1133などの受光素子および制御電子回路、および、これらの電源を含む。クライアント装置側のこれらの電子回路としては赤外線レーザーを用いる市販のデータ通信速度10Gbpsの光トランシーバー装置の送信部と受信部を転用して用い、光パケットの情報を電気信号に変換した後、一時記憶してから電気信号として送出するようにした。これらの電源としては、必要とする電圧および電流容量を満足する定電圧電源を用いた。

制御光光源の制御電子回路としては、使用するレーザーダイオードに適合した定電圧電源と光トランシーバー装置の送信部を組み合わせて用いた。

データサーバー装置とデータ通信部を結ぶ電気信号路1400としてはデータ転送速度10Gbpsの電気通信規格に準拠したものを、前記10Gbps光トランシーバーの電気信号入出力部と組み合わせて用いた。一方、データサーバー装置側からの1本の光信号路を4台のクライアント装置で時間分割して兼用するため、データ通信部とクライアント装置を結ぶ電気信号路1401,1402,1403などとしては、データサーバー装置側のデータ転送速度10Gbpsを確保する必要はなく、この場合、10/4=2.5Gbpsで充分である。そこで、転送速度3Gbps電気通信規格に準拠したものを、前記10Gbps光トランシーバーの電気信号入出力部と組み合わせて用いた。

光信号送信部1120を構成する光学部品要素とは、1つの信号光光源20と、信号光120とは波長が異なる、3つの互いに波長の異なる制御光光源21,22,23と、信号光120と3つの制御光121,122,123の全ての光軸を揃えて同軸で同方向に伝搬させるためのダイクロイックミラー51,52,53と、信号光120と3つの制御光121,122,123を合わせて、光ファイバー1110へ入射させるための集光レンズ10である。

信号光120および3つの制御光121,122,123を合わせて伝送する光信号路1110としては単一モードの石英ガラス光ファイバー(長さ10m)を用いた。

本実施例1の光スイッチは、光ファイバー1110から出射する信号光120および3つの制御光121,122,123を実質的に平行ビームに戻すためのコリメートレンズ30と、「熱レンズ入射光の集光レンズ(31,32,33)、熱レンズ形成素子(1,2,3)、熱レンズ出射光の受光レンズ(41,42,43)、波長選択透過フィルター(81,82,83)および穴付ミラー(61,62,63)」からなる光路切替機構91,92,93を3段直列に連結した場合を例示したものである。光路切替機構91および92から出射する直進信号光111および112は、空間的に結合されて、各々後段の光路切替機構92および93の熱レンズ入射光集光レンズ32および33へ入射し、3段目の光路切替機構93から出射する直進信号光113は直進出射信号光の集光レンズ401によって集光され、直進出射信号光として光信号路1114へ入射する。また、光路切替機構91,92,93から光路が切替られて出射する信号光211,212,213は、各々光路切替後の出射信号光集光レンズ71,72,73によって集光され、光路切替後の出射信号光として光信号路1111,1112,1113へ入射する。

出射側の光信号路1111,1112,1113,11114として、通常の単一モード石英ガラス光ファイバー(長さ100m)を用いた。なお、単一モード石英ガラス光ファイバーの代わりにマルチモード石英ガラス光ファイバー、SI型プラスチック光ファイバー、GI型プラスチック光ファイバーなどを、制御光および信号光の透過率/伝送損失特性に応じて選択し、使用することができる。

光路切替機構の連結数は、互いに波長の異なる信号光光源の数に対応する。ただし、光路切替機構1段当たりの信号光の透過率、光制御式光路切替型データ配信装置に入射する信号光の初期強度、および、最終的に必要な信号光強度から連結可能な段数が計算される。例えば、光路切替機構1段当たりの透過率が85%(信号強度として0.7dB減衰)であれば、4段直列連結の場合の総合透過率は52.2%(同2.8dB減衰)となる。

以下、図4aに示す3段直列構成を例にして、詳細に説明する。なお、図4aにおける集光レンズ31および熱レンズ形成素子1の部分を抜き出した部分図を図11および図12に、更に受光レンズ41および穴付ミラー61などを加えた部分図を図13および図14に示す。また、光路切替機構を3個以上設けた装置の構成図が複雑になることを避けるため、図4aに示すように光路切替機構91,92,93を空間結合型で連結させる場合、空間結合型の光路切替機構の概略構成図(図5の左図)を一部記号化して、図5の右図のように表示することとする。すなわち、例えば、図4aの光制御式光路切替型データ配信装置は図4bのように一部記号化された概略構成図で表示される。図4aと図4bは表記方法が異なる以外は同一内容の概略構成図であることから、以下、図4aと図4bを区別する必要がない場合、単に「図4」と呼ぶこととする。

また、2つ以上の光路切替機構を光ファイバー結合型で連結させることもできるが、この場合、光ファイバー結合型の光路切替機構の概略構成図を省略して、図9のように表示することとする。

なお、図4a、図5、図6、図9、および図11ないし図14において、熱レンズ形成素子1を「伝熱層膜501/光吸収層膜兼熱レンズ形成層502/伝熱層膜503」という3層構造として図示するが、熱レンズ形成素子の構成はこれに限定されない。

本実施例1では、熱レンズ形成素子1,2および3として、各々前述の色素〔1〕、〔2〕および〔3〕の溶液を充填した色素溶液充填式熱レンズ形成素子800(図15)を用いた。前記色素を溶解させる溶剤としては徹底的に脱水および脱気したo-ジクロロベンゼンを用いた。光学セル809は熱レンズ形成素子1,2および3について同一形状のものを用い、その色素溶液充填部808の厚さ、すなわち、入射・出射面ガラス801と802の内部における間隔は例えば200μmとした。光学セル809の入射・出射面ガラス801と802の外面にはARコートを施した。また、光学セル809の導入口807は、色素溶液の充填および脱気処理を行った後、溶融・封印した。色素溶液の濃度は0.2ないし2重量%の間で調節し、色素〔1〕、〔2〕および〔3〕について、各々532nm、670nmおよび800nmの透過率が0.0ないし0.2%、信号光850nmの透過率が85ないし99%になるよう調整した。

本実施例1では、光信号路1110からの入射信号光110をコリメートレンズ30でビーム半径5.0mmのほぼ平行光線になるようにしている。

本実施例1では、信号光120の光源20として、10Gbpsでデータ送信可能な発振波長850nmの面発光型半導体レーザーを用いた光トランシーバー送信部を用いている。発振波長1350nm、1550nmの超高速変調可能な半導体レーザー光を用いても良い。また、これら複数の波長の信号光を同時に用いても良い。複数の波長の信号光光源を用いる場合、1つの光パケットは複数の波長の信号光が重ね合わされたものとなり、光信号受信部において波長別に受信される。本実施例1では、熱レンズ形成素子1,2および3に各々熱レンズを形成させるための制御光121,122および123を照射する制御光光源21,22および23として、各々、発振波長532nmの半導体励起Nd:YAGレーザーの2次高調波、670nmおよび800nmの半導体レーザーを用い、制御光の断続によって信号光光路の切替を行っている。制御光121,122および123は、いずれもビーム半径4.5mmの平行光線になるように、ビーム成形して用いている。制御光光源のレーザーパワーは、集光レンズ31,32または33のいずれの手前においても2ないし10mWとしている。

制御光121,122および123、および、信号光110,111および112を共通の集光レンズ31,32および33で各々収束させて熱レンズ形成素子1,2および3へそれぞれ照射している。制御光および信号光の各々のビームウエストが、熱レンズ形成素子中において互いに重なり合うように、光信号路1110へ入射させる前に、信号光と制御光をダイクロイックミラー51,52および53を用いて同一光軸、かつ、信号光と制御光が互いに平行になるように調整している。このようにすることによって、制御光ビームウエスト位置における光吸収によって形成された熱レンズ効果を、効率良く信号光の進行方向変更に利用することが可能になる。

本実施例1では、熱レンズ形成素子1,2および3の光吸収層膜内の入射面近傍に信号光および制御光のビームウエストが配置されるよう集光レンズ31,32および33と熱レンズ形成素子1,2および3の位置関係をそれぞれ調整し、収束されて熱レンズ形成素子1,2および3へ入射した信号光は、制御光の照射がない場合は、通常の開き角で信号光111,112および113として出射し、一方、制御光が照射された場合は、熱レンズ効果によって通常の開き角よりも大きな角度で断面がリング状の信号光として出射するよう設定した。ここで、熱レンズ形成素子1,2および3を通過した信号光を受光レンズ41,42および43でほぼ平行光にコリメートしている。この受光レンズの開口数(以下、「NA」と呼ぶ。)は、集光レンズのNAよりも大きくなるよう設定している。本実施例1では、集光レンズのNAは0.25、受光レンズのNAは0.55を用いている。受光レンズのNAは、集光レンズのNAの2倍以上が好ましい。この関係が満足されれば、集光レンズとコリメートレンズのNAの組み合わせは、この実施例に限らない。受光レンズのNAを、集光レンズのNAの2倍以上とすることによって、信号光のビーム直径が熱レンズ形成素子へ入射する際の2倍以上まで拡大されても、損失なしに受光することが可能となる。なお、本実施例1では集光レンズと受光レンズの焦点距離は同一とし、集光レンズの有効直径は約10mmのものを用いた。

受光レンズ41,42および43でコリメートした信号光を穴付ミラー61,62および63に入射させている。既に説明したように、この穴付ミラーを設けることで信号光の光路を切り替えることが可能となる。

本実施例1において、集光レンズ31の焦点距離f1と受光レンズ41の焦点距離f2は同一とした。したがって、集光レンズ31に入射する信号光110のビーム直径d1と受光レンズによって平行光とされた信号光111のビーム直径d2は同一であり、前述のように10mmである。したがって、本実施例1における穴付ミラー61の楕円形穴161の短径D1は10.1mmないし12mmが好ましく、より好ましくは10.2mmないし11mmであり、実際には10.5mmとした。D2は式〔7〕から14.8mmである。また、ミラーのサイズは、直径30mmのビームを45度反射可能な大きさ(50mm角)のものを用いた。

光路切替によって、図4に示すように、信号光本来の進行方向から90度方向変換して取り出した信号光(スイッチ信号光)211,212および213は、集光レンズ71,72および73で集光して光信号路1111,1112および1113の光ファイバーに入射させている。

制御光の光源21,22および23の全てが消灯している場合、信号光は熱レンズ効果を受けず、信号光111,112、次いで113として出射する。出射信号光113を集光レンズ401によって集光して光信号路1114の光ファイバーに入射させている。

本実施例1では、熱レンズ形成素子1,2および3の後ろに波長選択透過フィルター81,82および83を、設けた。それぞれ、波長532nm、670nmおよび800nmの制御光を100%吸収し、それよりも長い、後段の制御光および波長850nmの信号光は99.5%以上透過するものを用いた。

本実施例1の光制御式光路切替型データ配信装置は、「集光レンズ、熱レンズ形成素子、受光レンズ、および穴付ミラー」からなる光路切替機構を3段直列に連結したものである。したがって、制御光を全て消灯している場合は信号光は直進して光信号路1114の光ファイバーへ入射するのに対し、制御光21を点灯した場合は信号光211が光信号路1111の光ファイバーへ、制御光21を消灯し制御光22を点灯した場合は信号光212が光信号路1112の光ファイバーへ、更に、制御光21および22を消灯し制御光23を点灯した場合は信号光213が光信号路1113の光ファイバーへ、光路が切り替えられて出射する。なお、複数の制御光を同時に点灯するケースについては後の実施例で説明する。

光信号路1111,1112,1113および1114の光ファイバーに入射した信号光は各々受信側の光信号受信部にて受信され、電気信号に変換され、それぞれ、クライアント装置1201,1202,1203および1204へ配信される。

本実施例1の光制御式光路切替型データ配信装置において、第1段目の光路切替機構の光応答速度を測定するため、信号光を連続光とし、一方、制御光121を周波数数Hzから100kHzで、デューティ比1:1の矩形波断続光線として照射し、光路切替された信号光の強度振幅の大小を比較した。

図4に示す制御光光源21からの制御光121を光検出器に導いてオシロスコープ上で測定した制御光の波形6210および制御光121の明滅に対応して光路切替された信号光211を光検出器に導いてオシロスコープ上で測定した信号光の波形6220を図23および図24に示す。なお、図24の縦軸は図23の場合の3倍に拡大されている。また、制御光121を断続する矩形波の周波数を200Hzないし100kHzに設定し、そのときの信号光の断続に対応する信号光の波形6220の振幅Lを測定した結果を図25に示す。

図23において制御光121(図4)を断続する矩形波の周波数500Hzであり、このときの信号光の断続に対応する信号光の波形6220の振幅Lを基準の1とすると、制御光121(図4)を断続する矩形波の周波数範囲0.2から2kHzにおいて、振幅Lは、ほぼ1であった。すなわち、500マイクロ秒で完全な光路切替が可能であることが確認された。これは、電気ヒーターを用いた熱光学効果を用いた光スイッチ(応答速度はミリ秒オーダー)に比べ、2倍以上の高速応答である。

更に周波数を高めた場合の例として、周波数20kHzにおける信号光の波形6220を図25に示す。図25から判るように熱レンズ効果による光路切替が完了しない内に制御光を消灯すると、信号光の波形はのこぎりの刃状になり、振幅Lは小さくなっていく。すなわち、熱レンズ効果の応答速度を超えると光路の切替は不完全になり、信号光の一部は光路切替されずに直進する。

以上のような第1段目の光路切替機構において行った光応答速度測定のと同様の測定を、第2段目および第3段目の光路切替機構において、各々信号光122および123を断続させて実施したところ、第1段目と同等の高速応答を示した。

本実施例1の光制御式光路切替型データ配信装置の耐久性を測定するため、信号光を連続光とし、一方、制御光121,122および123を各々、周波数1kHzで、デューティ比1:1の矩形波断続光線として照射し、光路切替された信号光の強度振幅の時間を比較した。その結果、各々連続1万時間経過しても、信号光の強度振幅は減衰しなかった。

本実施例1の光制御式光路切替型データ配信装置の偏波依存性を検証するため、信号光および制御光に1枚の偏光素子を挿入し、偏光角を種々変化させる実験を行ったが、偏波依存性は全く認められなかった。

本実施例1の光制御式光路切替型データ配信装置の出射直進光と光路切替光とのクロストーク特性を調べるため、制御光全て消灯、制御光光源21のみ点灯、制御光光源22のみ点灯、および、制御光光源23のみ点灯の各々の場合について、光信号路の光ファイバー1111,1112,1113,1114からの出射光強度を比較したところ、目的とする出射光強度に対するモレ光(クロストーク)強度は2000ないし8000:1(−33ないし39dB)と微弱であった。

本実施例1の光制御式光路切替型データ配信装置は、1台のデータサーバー装置から4台のクライアント装置へデータ配信するものであり、制御光のONおよびOFFに対応した光路切替に要する時間は、ともに0.5ミリ秒である。したがって、図3に示すような基準クロックパルスのON・OFFに対する光パケットの遅延時間Δtは1ミリ秒である。したがって、1クライアントへ配分できるデータ配信可能時間は最大(1000/4−1=)249ミリ秒である。そこで、光パケットの時間幅を最大249ミリ秒、データサイズを(10Gbps×0.249s=)2.49Gbit、すなわち最大311MBとすることが可能である。

画像データの配信実験として、画素数2272×1704で1画素についてのカラー情報32ビットの高精細静止カラー画像(画像1枚当たり1.2ないし1.5MB)200枚からなるデータ240ないし300MBを4ユーザーに各々配信する試験を実施したところ、1秒(光パケット1×4個相当)でデータ配信を完了することができた。

また、カラー動画画像を記録した1000MBのファイル4種類を4ユーザーに各々配信する試験を実施したところ、4秒(光パケット4×4個相当)でデータ配信を完了することができた。

[比較例1]
実施例1で用いたデータサーバー装置とクライアント装置4台に各々、伝送速度規格値1Gbpsのイーサネット(登録商標)カードを取り付け、データサーバー装置と同1GbpsのスイッチングHUB装置を長さ10mのLANケーブル、および、各クライアント装置と前記スイッチングHUB装置を長さ10mのLANケーブルで接続してデータ転送速度を測定したところ、実施例1で用いたのと同一の1000MBの動画画像ファイルを各クライアント装置へ同時に配信するのに58秒を要した。また、クライアント装置のイーサネット(登録商標)カードを伝送速度規格値100Mbpsのものに変更して、同様の測定を行ったところ、123秒を要した。

[実施例2]
本実施例2の光制御式光路切替型データ配信装置は、実施例1(図4)における光路切替機構91,92,93を図6に例示されるような光路切替機構191に全て置き換えたものであって、信号光および制御光のビームウエスト(焦点)を熱レンズ形成素子1の受光レンズ41に近い位置6(光の出射側)に設定し、穴付ミラー61の穴161を実施例1の場合よりも小さく、直径2mmとしたものである。その他の構成要素については実施例1の場合と全く同様である。この場合、信号光および制御光のビームウエスト(焦点)を熱レンズ形成素子1の受光レンズ41に近い位置6(光の出射側)に設定するため、熱レンズ形成素子の光吸収層膜における制御光の透過率は、1ないし5%であることが好ましい。光路切替機構191に入射する信号光110のビーム断面光強度分布がガウス分布ないしガウス分布に類似であって、リング状でない場合、円錐プリズム型レンズなどからなるビーム断面リング化レンズ群321によって、信号光ビーム断面の光強度分布をリング状にすることが好ましい。また、信号光と制御光が同時に照射された場合、制御光の光吸収によって形成された熱レンズ60を出射する収束直進信号光119は、ビーム径が小さいため、後段で集光する場合、前述のようにビームウエストが大きめになってしまう。これを避けるため、収束直進信号光119をビームエキスパンダー331によって、入射信号光110と同等の半径5mmまで拡大させた信号光111として出射させることが好ましい。

本実施例2の光制御式光路切替型データ配信装置の制御光121,122,123の点灯の組み合わせと光路切替の関係は次の通りである。少なくとも制御光121を消灯した場合、信号光110は穴付ミラー61の反射面によって反射され、光路切替信号光211として出射し、集光レンズ71によって集光され、光ファイバー1111へ入射する。制御光121を点灯した場合、信号光110は収束直進信号光119として穴付ミラー61の穴161を通過した後、ビームエキスパンダー331によって入射信号光110と同じビーム径まで拡大されて第2段目の光路切替機構192(図7)に入射する。制御光121が点灯し、制御光122が消灯されている場合、信号光111は光路切替光212として出射し、光ファイバー1112に入射する。制御光121と122が同時に点灯している場合、信号光は直進し、信号光112として第3段目の光路切替機構193(図7)に入射し、制御光121と122が同時に点灯し、かつ、制御光123が消灯している場合、光路切替光213として光ファイバー1113へ入射する。制御光121,122,123が全て点灯している場合、信号光110は最終的に直進信号光113として出射し、集光レンズ401によって集光され、光ファイバー1114へ入射する。

本実施例2の光制御式光路切替型データ配信装置の光応答速度を測定するため、信号光を連続光とし、一方、制御光121を周波数数Hzから100kHzで、デューティ比1:1の矩形波断続光線として照射し、光路切替された信号光の強度振幅の大小を比較した。その結果、1Hzのときの信号光の強度振幅を基準として、2kHzまで、強度振幅は変化せず、更に周波数を高めた場合、強度振幅は徐々に減衰し、10kHzのとき半減した。すなわち、500マイクロ秒で完全な光路切替が可能であることが確認された。これは、電気ヒーターを用いた熱光学効果を用いた光スイッチに比べ、2倍以上の高速応答である。制御光122および123を同様に断続しても、121を断続した場合と同等の応答速度が観測された。

本実施例2の光制御式光路切替型データ配信装置の耐久性を測定するため、信号光を連続光とし、一方、制御光121,122,123を各々周波数1kHzで、デューティ比1:1の矩形波断続光線として照射し、光路切替された信号光の強度振幅の時間を比較した。その結果、各々連続1万時間経過しても、信号光の強度振幅は減衰しなかった。

本実施例2の光制御式光路切替型データ配信装置の出射直進光と光路切替光とのクロストーク特性を調べるため、制御光全て消灯、制御光121のみ点灯、制御光121および122のみ点灯、および、制御光121,122,123全て点灯の各々の場合について、光ファイバー101,11,12,13からの出射光強度を比較したところ、目的とする出射光強度に対するモレ光(クロストーク)強度は1000ないし2000:1(−30ないし33dB)と微弱であった。

画像データの配信実験として、画素数2272×1704で1画素についてのカラー情報32ビットの高精細静止カラー画像(画像1枚当たり1.2ないし1.5MB)200枚からなるデータ240ないし300MBを4ユーザーに各々配信する試験を実施したところ、1秒でデータ配信を完了することができた。

[実施例3]
実施例1における穴付ミラー61の設置角度(信号光110の光軸に対して45度)を変更し、楕円状穴161の形状(短径に対する長径の長さ)を設置角度に基づいて三角関数を用いて計算して決定することによって、信号光110の光軸に対する光路切替の角度を、おおよそ5度から175度の範囲で自由に変更することができる。第2段目以降の穴付ミラー62および63の設置角度を同様に変更可能である。

また、信号光110の光軸を回転軸として、穴付ミラー61の設置位置を回転し、集光レンズ71等の位置を移動することによっても、信号光110の光軸に対する光路切替の方向を、0から360度の範囲で自由に変更することができる。第2段目以降の穴付ミラー62および63の設置位置を同様に変更することもできる。

[実施例4]
図8には、実施例4の光制御式光路切替型データ配信装置の部分概略構成が示されている。図8において信号光光源20、制御光光源21,22,23、ダイクロイックミラー51,52,53,集光レンズ10、光ファイバー100、および、コリメートレンズ30は実施例1の場合と同一である。

図8の光制御式光路切替型データ配信装置は、実施例1の第2段目の光路切替機構92に1つ、更に、第1段目の光路切替機構91の後段に3つの光路切替機構を空間結合型で追加、連結し、合計7つの光路切替機構によって、また、3種類の制御光の同時点灯の組み合わせによって、信号光120の出射先を光ファイバー5101,5102,5103,5104,5013,5014,5015,および5016の8方向へ光路切替して8つのクライアント装置へデータ配信するものである。すなわち、原理的には一般に、nを2以上の整数として、n種類の制御光の点灯状況の組み合わせによって、2のn乗方向の光路切替が、2のn乗引く1個の光路切替機構を連結することによって可能になる。実際には光路切替機構1段当たりの信号光の透過率の組み合わせによって、実用的な組み合わせ段数が決まる。光路切替機構で光路が切り替わらない「直進信号光」の透過率を85%(信号強度として0.7dB減衰)、光路が切り替えられた「切替信号光」の減衰率を80%(同1.0dB減衰)と仮定すると、全て直進した場合の総合透過率は61.4%(同2.1dB減衰)、3段とも切り替えられた場合の総合透過率は51.2%(同2.9dB減衰)である。表2に3種類の制御光121,122,123の同時点灯の組み合わせと信号光出射先をまとめて示す。

第1段目の光路切替機構91の熱レンズ形成素子としては、実施例1の場合と同様に波長532nmの信号光121を吸収する色素〔1〕の溶液を充填した色素溶液充填式熱レンズ形成素子を用いた。波長透過率特性も実施例1の場合と同一とした。

第2段目の光路切替機構92(光路切替機構91からの直進光111と空間的に結合)と95(光路切替機構91からの切替光211と空間的に結合)の熱レンズ形成素子としては、いずれの場合も、実施例1の場合と同様に波長670nmの信号光122を吸収する色素〔2〕の溶液を充填した色素溶液充填式熱レンズ形成素子を用いた。波長透過率特性については後で説明する。

第3段目の光路切替機構93(光路切替機構92からの直進光112と空間的に結合),94(同92からの切替光212と空間的に結合),96(同95からの切替光215と空間的に結合),97(光路切替機構95からの直進光115と空間的に結合)の熱レンズ形成素子としては、いずれの場合も、実施例1の場合と同様に波長800nmの信号光123を吸収する色素〔3〕の溶液を充填した色素溶液充填式熱レンズ形成素子を用いた。波長透過率特性については後で説明する。

ここで、前段の光路切替機構からの直進光と結合する後段の光路切替機構92,93,97においては、実施例1における光路切替機構の場合と同様に、集光レンズ31などによって信号光および制御光を図11(a)および図13の位置5に相当する位置、すなわち、熱レンズ素子の光吸収層膜の入射面に近い位置において焦点を結ぶように調整し、更に、穴付ミラー61などの穴161などの大きさも、実施例1の場合と同一とした。このようにすることで、前段の光路切替機構からの直進光を効率良く、後段の光路切替機構で直進または切替することが可能になる。光路切替機構92,93,97においては、各々の制御光の透過率が0.0ないし0.2%、信号光850nmの透過率が85ないし99%になるよう調節した。

一方、前段の光路切替機構からの光路切替光(リング状断面の光)と結合する後段の光路切替機構94,95,96においては、実施例2における光路切替機構191の場合と同様に、集光レンズ31などによって信号光および制御光を図11(b)および図14の位置6に相当する位置、すなわち、熱レンズ素子の光吸収層膜の出射面に近い位置において焦点を結ぶように調整し、更に、穴付ミラー61などの穴161などの大きさも、実施例2の場合と同一とした。ただし、光路切替機構94,95,96には、前段の光路切替機構から、光路が切り替えられたリング状の信号光212,211,215が各々空間結合されて、リング状のまま入射するため、光路切替機構191におけるビーム断面リング化レンズ群321(図6)は設けなかった。一方、収束直進信号光119のビーム径を拡大するためのビームエキスパンダー331(図6)は、光路切替機構94,95,96の各々に設けた。

このようにすることで、前段の光路切替機構からのリング状断面の光路切替光を効率良く、後段の光路切替機構で直進または切替することが可能になる。光路切替機構94,95,96においては、各々の制御光の透過率が1.0ないし5.0%、信号光850nmの透過率が85ないし99%になるよう調節した。

第3段(最終段)の光路切替機構から出射する直進光113,114,116,117については、各々、集光レンズ401,402,403,404によって集光され、出射信号光光ファイバー5101,5102,5103,5104へ入射する。同じく出射する光路切替光213,214,216,217については、各々、集光レンズ73,74,75,76によって集光され、出射信号光光ファイバー5013,5014,5015,5016へ入射する。これら光ファイバーの仕様は、実施例1の場合と同様である。

本実施例4の光制御式光路切替型データ配信装置において、第1ないし3段目の光路切替機構の光応答速度を実施例1の場合と同様にして測定したところ、同様な結果が得られた。

本実施例4の光制御式光路切替型データ配信装置の耐久性を実施例1の場合と同様にして測定したところ、各光路切替機構とも、各々連続1万時間経過しても、信号光の強度振幅は減衰せず、高い耐久性を確認することができた。

本実施例4の光制御式光路切替型データ配信装置の偏波依存性を検証するため、信号光および制御光に1枚の偏光素子を挿入し、偏光角を種々変化させる実験を行ったが、偏波依存性は全く認められなかった。

本実施例4の光制御式光路切替型データ配信装置の8本の出射信号光間のクロストーク特性を調べるため、表2に示す制御光点灯の組み合わせ8通りの各々の場合について、光ファイバー5013,5014,5015,5016,5101,5102,5103,5104からの出射光強度を比較したところ、目的とする出射光強度に対するモレ光(クロストーク)強度は1000ないし8000:1(−30ないし39dB)と微弱であった。

本実施例4の光制御式光路切替型データ配信装置は、1台のデータサーバー装置から8台のクライアント装置へデータ配信するものであり、制御光のONおよびOFFに対応した光路切替に要する時間は、ともに0.5ミリ秒である。したがって、図3に示すような基準クロックパルスのON・OFFに対する光パケットの遅延時間Δtは1ミリ秒である。したがって、1クライアントへ配分できるデータ配信可能時間は最大(1000/8−1=)124ミリ秒である。そこで、光パケットの時間幅を最大124ミリ秒、データサイズを(10Gbps×0.124s=)1.24Gbit、すなわち最大155MBとすることが可能である。

画像データの配信実験として、画素数2272×1704で1画素についてのカラー情報32ビットの高精細静止カラー画像(画像1枚当たり1.2ないし1.5MB)100枚からなるデータ120ないし150MBを8ユーザーに各々配信する試験を実施したところ、1秒でデータ配信を完了することができた。

[実施例5]
図10には、実施例5の光制御式光路切替型データ配信装置の概略構成が示されている。本実施例5は、実施例4の光制御式光路切替型データ配信装置における空間結合型光路切替機構91,92,93,94,95,96,97(図5または図6に相当する)を光ファイバー結合型光路切替機構910,920,930,940,950,960,970(全て図9に相当)に置き換えたものである。前記光ファイバー結合型光路切替機構の全てにおいて、実施例1における光路切替機構の場合と同様に、集光レンズ31などによって信号光および制御光を図11(a)および図13の位置5に相当する位置、すなわち、熱レンズ素子の光吸収層膜の入射面に近い位置において焦点を結ぶように調整し、更に、穴付ミラー61などの穴161などの大きさも、実施例1の場合と同一とした。また、前記光ファイバー結合型光路切替機構の全てにおいて、熱レンズ形成素子の構成、材料、および、透過率特性は実施例1の場合と同一とした。個々の光ファイバー結合型光路切替機構を接続する光ファイバーとしては単一モード石英ガラス光ファイバーを使用し、その長さは、一般家庭内、病院内、オフィス内などの用途を想定し、10ないし100mとした。

光ファイバー結合に基づく制御光のロスを補うために制御光光源21,22,23の出力を高めることによって、全段の光路切替機構において、熱レンズ形成素子に入射する制御光のパワーが2ないし5mWになるよう調整した。また、信号光光源の出力も、8つの出射信号光が各々充分なパワーになるよう調節した。

第3段目の光路切替機構930、940,960,970の直進出射信号光は、光ファイバーとコリメートレンズを経由して各々受光器3013,3014,3016,3017へ入射させ、光路切替された信号光は、光ファイバーとコリメートレンズを経由して各々受光器4013,4014,4016,4017へ入射させた。

表3に本実施例5における3種類の制御光121,122,123の同時点灯の組み合わせと信号光出射先受光器の対応関係をまとめて示す。

本実施例5の光制御式光路切替型データ配信装置の光応答速度、耐久性、偏波依存性、および、クロストークについて実施例4の場合と同様に測定し、同等ないし同等以上の結果を得た。

本実施例5の光制御式光路切替型データ配信装置は、1台のデータサーバー装置から8台のクライアント装置へデータ配信するものであり、制御光のONおよびOFFに対応した光路切替に要する時間は、ともに0.5ミリ秒である。したがって、図3に示すような基準クロックパルスのON・OFFに対する光パケットの遅延時間Δtは1ミリ秒である。したがって、1クライアントへ配分できるデータ配信可能時間は最大124ミリ秒である。そこで、光パケットの時間幅を最大124ミリ秒、データサイズを1.24Gbit、すなわち最大155MBとすることが可能である。

画像データの配信実験として、画素数2272×1704で1画素についてのカラー情報32ビットの高精細静止カラー画像(画像1枚当たり1.2ないし1.5MB)100枚からなるデータ120ないし150MBを8ユーザーに各々配信する試験を実施したところ、1秒でデータ配信を完了することができた。

光制御式光路切替型データ配信装置および配信方法は、例えば、企業のオフィス、工場、病院、一般家庭などにおいて、高精細画像データおよび高精細動画データなどの大容量デジタル情報を、サーバーから、複数のクライアントの中から選択された特定の1箇所以上へ、高速に配信するシステムにおいて好適に使用される。

光制御式光路切替型データ配信装置の概略構成図である。 データサーバー装置からデータ通信部を経由して特定のクライアント装置まで、光パケット、光順位タグ、および、光宛先タグを用いてデータを配信するデータの流れを表す図である。 光パケット、光宛先タグ、および、基準クロックパルスの同期を表す図である。 実施例1の光路切替機構を省略せずに表記した光制御式光路切替型データ配信装置の部分概略構成図である。 実施例1の光路切替機構を記号化して簡略表記した光制御式光路切替型データ配信装置の部分概略構成図である。 空間結合型の光路切替機構の概略構成図を記号化して簡略表記することを示した図である。 空間結合型の光路切替機構の概略構成図を記号化して簡略表記することを示した図である。 実施例2の光制御式光路切替型データ配信装置の概略構成図を記号化して簡略表示した図である。 実施例4の光制御式光路切替型データ配信装置の概略構成図を記号化して簡略表示した図である。 光ファイバー結合型の光路切替機構の概略構成図を記号化して簡略表記することを示した図である。 実施例5の光制御式光路切替型データ配信装置の概略構成図を記号化して簡略表示した図である。 熱レンズが形成されない場合の光の進み方を示した図である。 ビームウエストの位置を光吸収層膜のビーム入射側近傍(a)または出射側近傍(b)に調整した場合において熱レンズが形成された場合の光の進み方を示した図である。 ビームウエストの位置を光吸収層膜のビーム入射側近傍に調整した場合における光路切替の原理を示した模式図である。 ビームウエストの位置を光吸収層膜のビーム出射側近傍に調整した場合における光路切替の原理を示した模式図である。 色素溶液充填式熱レンズ形成素子を例示した模式図である。 色素〔1〕、〔2〕および〔3〕の溶液の透過率スペクトルを各々実線、鎖線および一点鎖線で表した図である。 集光レンズなどで収束されたガウスビームの焦点近傍における様子を表した模式図である。 出射信号光ビームを半透明スクリーンへ投射して背面から撮影した写真であって、ビームウエストの位置を光吸収層膜のビーム入射側近傍に調整して制御光と同時照射した場合(a)、制御光なしに信号光のみを収束照射した場合(b)、および、ビームウエストの位置を光吸収層膜のビーム出射側近傍に調整した場合(c)の出射信号光ビーム断面を表す図である。 信号光ビーム断面の光強度分布測定に用いたスリットと光ビームとの関係を示す図である。 信号光のビーム断面の光強度分布を表した図である。 信号光のビーム断面の光強度分布を表した図である。 信号光のビーム断面の光強度分布を表した図である。 オシロスコープで観察した制御光および信号光の波形を表した図である。 オシロスコープで観察した制御光および信号光の波形を表した図である。 制御光を断続する周波数と光路切替された信号光の強度(振幅)の関係を表した図である。

符号の説明

1,2,3 熱レンズ形成素子、5,6 ビームウエスト(焦光点)、10 信号光および制御光を光ファイバーへ入射させるための集光レンズ、20 信号光光源、21,22,23 制御光光源、30 コリメートレンズ、31,32,33 集光レンズ、41,42,43 受光レンズ、50 入射側熱レンズ、51,52,53 ダイクロイックミラー、60 出射側熱レンズ、61,62,63 穴付ミラー、71,72,73,74,75,76 リング状出射信号光用集光レンズ、81,82,83 波長選択透過フィルター、91,92,93,94,95,96,97 空間結合型光路切替機構、110 コリメートされた入射信号光および入射制御光、111,112,113,114,115,116,117 直進信号光、118 漏れ信号光、119 収束直進信号光、120 信号光、121,122,123 制御光、161 穴付ミラーの穴、191,192,193 空間結合型光路切替機構、200 通常の開き角度の出射信号光、201 リング状に拡がる出射信号光、211,212,213,214,215,216,217 光路切替後の出射信号光、300 波面、301 ビームウエスト(焦点;集光点)、310 直進出射信号光の集光レンズ、311 コリメートレンズ、321 ビーム断面リング化レンズ群、331 ビームエキスパンダー、401,402,403,404 直進出射信号光の集光レンズ、501 伝熱層膜、502 光吸収層膜兼熱レンズ形成層、503 伝熱層膜、700 光強度分布測定器、701 受光部、702 第一のスリット、703 第二のスリット、710 点、711 コリメートレンズ、720 点、800 色素溶液充填式熱レンズ形成素子、801,802 入射・出射面ガラス、803,804 側面ガラス、805 底面ガラス、806 導入管、807 導入口、808 色素溶液充填部、809 光学セル、910,920,930,940,950,960,970 光ファイバー結合系を含む光路切替機構、1000 データサーバー装置、1010 送信データ記憶部、1040 入出力制御部、1050 データ収集部、1100 データ通信部、1101 光スイッチ、1110,1111,1112,1113,1114 光信号路、1120,1121,1122,1123 光信号送信部、1130,1131,1132,1133 光信号受信部、1140,1141,1142,1143 データ送受信制御部、1201,1202,1203 クライアント装置、1211,1212,1213 受信データ記憶部、1241,1242,1243 入出力制御部、1261,1262,1263 データ表示部、1400,1401,1402,1403 電気信号路、3013,3014,3016,3017 受光器、3110,3120,3130,3140,3150,3160,3170 コリメートされた光ファイバー出射光、4013,4014,4016,4017 受光器、4110,4120,4130,4140,4150,4160,4170 コリメートされた光ファイバー出射光、5013,5014,5015,5016 光信号路、5101,5102,5103,5104 光信号路、6210 制御光の波形、6220 信号光の波形、12000,12001,12002,12003,12004,12005 光パケット、12010,12020,12030 データ、12011,12012,12013,12021,12031 光パケット、12111,12112,12113、12121,12131 光宛先タグ、12211,12212,12213,12221,12231 光順位タグ、12311,12312,12313,12321,12331 光パケットの情報部分、13000,13002,13004,13006,13008,13010 基準クロックパルスのON状態、13001、13003,13005,13007、13009 基準クロックパルスのOFF状態。

Claims (6)

  1. 複数のクライアント装置の中から選択された1つ以上の特定のクライアント装置にデータサーバー装置からデータを提供するデータ配信装置であって、
    少なくともデータサーバー装置、データ通信部、および、クライアント装置からなり、
    前記データ通信部は、少なくとも、光スイッチ、光信号路、光信号送信部、光信号受信部、および、データ送受信制御部からなり、
    前記光信号送信部は、少なくとも
    1種類以上の波長の信号光を照射する信号光光源と、
    前記データ送受信制御部からの制御信号に応じて、前記信号光とは異なる種類以上の波長の制御光を照射する制御光光源とを有し、
    前記光スイッチは、少なくとも
    前記信号光は透過し、前記制御光の特定の1種類の波長のみを各々選択的に吸収する1つ以上の光吸収層膜と、
    前記光吸収層膜の1つ1つに前記制御光と前記信号光とを各々収束させて照射する手段と、
    前記光吸収層膜を含み、前記光吸収層膜が前記特定の1種類の波長の制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じ、前記収束された信号光を収束させたまま出射する、信号光の開き角度を拡大させて出射する、または、通常の開き角で出射する1つ以上の熱レンズ形成素子と、
    前記各熱レンズ形成素子の各々後方に設けられた、穴と反射手段とを有する鏡であって、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じて、前記熱レンズ形成素子を出射した信号光を前記穴に通過させ、または、前記反射手段により反射させることによって光路を変化させる鏡と、
    を備えることを特徴とする光制御式光路切替型データ配信装置。
  2. 前記データ通信部は、少なくとも、任意の大きさのデジタル情報を固定長ないし可変長の光デジタル信号の集まりとしての光パケットに分割して前記信号光として照射・送信し、
    前記光パケットの照射に同期させて、前記光パケット毎に送信先クライアント装置についての識別情報を表す光タグを前記制御光として照射して前記光スイッチを作動させることを特徴とする請求項1に記載の光制御式光路切替型データ配信装置。
  3. 光信号に変換されたデータを搬送する1種類以上の波長の信号光と、
    データの搬送先に対応して制御光光源から照射される、前記信号光とは異なる種類以上の波長の制御光とを、実質的に同軸かつ同方向に進行させ、
    前記信号光は透過し、前記制御光の特定の1種類の波長のみを各々選択的に吸収する1つ以上の光吸収層膜の1つ1つに前記制御光と前記信号光とを各々収束させて照射し、
    前記光吸収層膜を含む1つ以上の熱レンズ形成素子の個々において、前記光吸収層膜が前記特定の1種類の波長の制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じ、前記収束された信号光を収束させたまま出射させ、信号光の開き角度を拡大させて出射させ、または、通常の開き角で出射させ、
    反射面を有する穴付ミラーを用い、前記特定の1種類の波長の制御光の照射の有無に応じて、前記熱レンズ形成素子から出射した信号光を前記穴から通過直進させ、または、反射面で反射させることによって光路を変更させて、
    複数のクライアント装置の中から選択された1つ以上の特定のクライアント装置にデータを配信することを特徴とする光制御式光路切替型データ配信方法。
  4. 前記信号光は、任意の大きさのデジタル情報が固定長ないし可変長のデジタル信号の集まりとして分割されたパケットを光パケットとして搬送し、
    前記制御光は、前記光パケット毎に送信先クライアント装置についての識別情報を表す光タグとして前記光パケットの照射に同期させて照射され、前記光パケットの光路を変更することを特徴とする請求項3に記載の光制御式光路切替型データ配信方法。
  5. 複数のクライアント装置の中から選択された1つ以上の特定のクライアント装置にデータサーバー装置からデータとしてデジタル静止画像または動画像を配信することを特徴とする請求項1に記載の光制御式光路切替型データ配信装置。
  6. 複数のクライアント装置の中から選択された1つ以上の特定のクライアント装置にデータサーバー装置からデータとして医療用デジタル静止画像または動画像を配信することを特徴とする請求項1に記載の光制御式光路切替型データ配信装置。
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