JP3504422B2 - トリアリールメタン系色素を含有する光応答性組成物から成る光学素子を用いることを特徴とする光制御方法 - Google Patents

トリアリールメタン系色素を含有する光応答性組成物から成る光学素子を用いることを特徴とする光制御方法

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JP3504422B2
JP3504422B2 JP05455196A JP5455196A JP3504422B2 JP 3504422 B2 JP3504422 B2 JP 3504422B2 JP 05455196 A JP05455196 A JP 05455196A JP 5455196 A JP5455196 A JP 5455196A JP 3504422 B2 JP3504422 B2 JP 3504422B2
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    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/29Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the position or the direction of light beams, i.e. deflection
    • G02F1/293Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the position or the direction of light beams, i.e. deflection by another light beam, i.e. opto-optical deflection

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信、光情報処
理などの光エレクトロニクスおよびフォトニクスの分野
において有用な光応答性組成物およびそれを用いる光学
素子および光制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超高速情報伝達・処理を目的として、光
の多重性、高密度性に着目した光エレクトロニクスおよ
びフォトニクスの分野において、光学材料または光学組
成物を加工して作成した光学素子に光を照射することで
引き起こされる透過率や屈折率の変化を利用して、電子
回路技術を用いずに、光の強度(振幅)または周波数
(波長)を変調しようとする光・光制御方法の研究開発
が盛んに進められている。また、光の特徴を活かして、
並列光論理演算や画像処理を行おうとする場合、光ビー
ムの断面に光強度分布変化など、何等かの変調を行うた
めの「空間光変調器」が極めて重要であり、ここへも光
・光制御方法の適用が期待される。
【0003】光・光制御方法への応用が期待される現象
としては可飽和吸収、非線形屈折、フォトリフラクティ
ブ効果などの非線形光学効果、およびフォトクロミック
現象が広く注目を集めている。
【0004】一方、第一の波長帯域の光で励起された分
子が、分子構造の変化を伴わずに第一の波長帯域とは異
なる第二の波長帯域において新たに光吸収を起こす現象
も知られており、これを「励起状態吸収」もしくは「誘
導吸収」、または「過渡吸収」と呼ぶことができる。
【0005】励起状態吸収の応用を試みた例としては、
次のようなものがある。例えば、特開昭53−1378
84号公報にはポルフィリン系化合物と電子受容体を含
んだ溶液または固体に対して波長の異なる少なくとも二
種類の光線を照射し、この照射により一方の波長の光線
が有する情報を他方の光線の波長に移すような光変換方
法が記載されている。
【0006】特開昭55−100503号公報および特
開昭55−108603号公報には、ポルフィリン誘導
体などの有機化合物の基底状態と励起状態の間の分光ス
ペクトルの差を利用し、励起光の時間的な変化に対応し
て伝搬光を選択するような機能性の液体コア型光ファイ
バーが記載されている。
【0007】特開昭63−89805号公報には、光に
よって励起された三重項状態から更に上位の三重項状態
への遷移に対応する吸収を有するポルフィリン誘導体な
どの有機化合物をコア中に含有しているプラスチック光
ファイバーが記載されている。
【0008】特開昭63−236013号公報には、ク
リプトシアニンなどのシアニン色素の結晶に第一の波長
の光を照射して分子を光励起した後、第一の波長とは異
なる第二の波長の光を前記分子に照射し、第一の波長の
光による光励起状態によって第二の波長の光の透過また
は反射をスイッチングするような光機能素子が記載され
ている。
【0009】特開昭64−73326号公報にはポルフ
ィリン誘導体などの光誘起電子移動物質をマトリックス
材料中に分散した光変調媒体に第一および第二の波長の
光を照射して、分子の励起状態と基底状態の間の吸収ス
ペクトルの差を利用して光変調するような光信号変調媒
体が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような従来技術は、実用に足りる大きさの透過率変化ま
たは屈折率変化を引き起こすためには非常に高密度の光
パワーを必要としたり、光照射に対する応答が遅かった
りするため、いずれも実用化されていないというのが現
状である。
【0011】本発明は以上のような課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、上記従来技術の欠点を解消
し、可能な限り低い光パワーで、充分な大きさと速度の
光応答を示す光応答性組成物、それを用いる光学素子お
よび光制御方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願の請求項1記載の発明に係る光制御方法は、光
応答性組成物から成る光学素子に、前記光応答性組成物
が感応する波長の制御光を照射し、制御光とは異なる波
長帯域にある信号光の透過率および/または屈折率を可
逆的に変化させることにより前記光学素子を透過する前
記信号光の強調変調および/または光束密度変調を行う
光制御方法であって、前記制御光および前記信号光を各
々収束させて前記光学素子へ照射し、かつ、前記制御光
および前記信号光を前記光学素子中において実質的に同
一光路で伝搬させるように、また、前記制御光および前
記信号光の光路をそれぞれ配置し、更に前記光学素子中
の前記光応答性組成物を透過した後、発散していく信号
光光線束を、凸レンズまたは凹面鏡で受光することによ
って、前記強度変調および/または光束密度変調を強く
受けた領域の信号光光線束を分別して取り出すことを特
徴とする光制御方法であって、特定の波長の光に感応し
て他の波長の光の透過率および/または屈折率を可逆的
に変化させる光応答性組成物であって、色素として下記
の一般式〔I〕で表されるトリアリールメタン系色素を
含有する光応答組成物から成る光学素子を用いること
を特徴とする。
【0013】 [φ1 φ2 φ3 C]+ - …〔I〕 ここで、φ1 、φ2 およびφ3 は、炭素原子で中心炭素
原子に結合している1価または2価の芳香族炭化水素残
基または芳香族複素環残基を表し、これらの残基は置換
基を有しても良い。
【0014】X- は、上記トリアリールメチルカチオン
に対して化学的に不活性なカウンターアニオンを表す。
「化学的に不活性な」とは、上記トリアリールメチルカ
チオンに化学反応せず、それに対して単なるイオン種と
して静電的に相互作用することをいう。X- としては、
例えば、塩素イオン(Cl- )、臭素イオン(B
-)、ヨウ素イオン(I- )、パークロラートイオン
(ClO4 - )、テトラフルオロボラートイオン(BF
4 - )、ヘキサフルオロホスフォラートイオン(PF6
- )、硫酸イオン(SO4 2-)、硫酸水素イオン(HS
4 - )、p-トルエンスルホナートイオン(CH3 6
4 SO3 - )、ベンゼンスルホナートイオン(C6
5 SO3 - )、メタンスルホナートイオン(CH3 SO
3 - )、トリフルオロメタンスルホナートイオン(CF
3 SO3 - )、酢酸イオン(CH3 COO- )、トリク
ロロ酢酸イオン(CCl3 COO- )、またはトリフル
オロ酢酸イオン(CF3 COO- )などのアニオンを挙
げることができる。
【0015】 また、上記目的を達成するために、本願
の請求項2記載の発明に係る光制御方法は、光応答性組
成物から成る光学素子に、前記光応答性組成物が感応す
る波長の制御光を照射し、制御光とは異なる波長帯域に
ある信号光の透過率および/または屈折率を可逆的に変
化させることにより前記光学素子を透過する前記信号光
の強調変調および/または光束密度変調を行う光制御方
法であって、前記制御光および前記信号光を各々収束さ
せて前記光学素子へ照射し、かつ、前記制御光および前
記信号光を前記光学素子中において実質的に同一光路で
伝搬させるように、また、前記制御光および前記信号光
の光路をそれぞれ配置し、更に前記光学素子中の前記光
応答性組成物を透過した後、発散していく信号光光線束
、凸レンズまたは凹面鏡で受光することによって、前
記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領
域の信号光光線束を分別して取り出すことを特徴とする
光制御方法であって、特定の波長の光に感応して他の光
の透過率を可逆的に増減させる光応答性組成物であっ
て、色素として下記の一般式〔II〕で表されるトリア
リールメタン系色素を含有する光応答組成物から成る
光学素子を用いることを特徴とする。
【0016】 φ4 φ5 C=φ6 =O …〔II〕 ここで、φ4 およびφ5 は、炭素原子で中心炭素原子に
結合している1価の芳香族炭化水素残基または芳香族複
素環残基を表し、これらの残基は置換基を有しても良
い。
【0017】φ6 は、2個の炭素原子で中心炭素原子お
よび酸素原子に各々二重結合で結合しているキノイド型
の芳香族炭化水素残基または芳香族複素環残基を表し、
この残基は置換基を有しても良い。
【0018】本願の請求項3記載の発明は、請求項1ま
たは2記載のトリアリールメタン系色素をマトリックス
材料中に溶解または分散させて成る光学素子である。
【0019】本願の請求項4記載の発明に係る光制御方
法は、請求項3記載の光学素子が感応する波長の光を制
御光とし、該制御光とは異なる波長帯域にある光を信号
光とし、前記制御光を前記光学素子に照射することによ
って該光学素子に対する前記信号光の透過率および/ま
たは屈折率を可逆的に変化させて該光学素子を透過する
信号光の強度変調および/または光束密度変調を行う光
制御方法において、前記制御光および前記信号光を各々
収束させて前記光学素子へ照射し、かつ、前記制御光お
よび前記信号光のそれぞれの焦点の近傍の光子密度が最
も高い領域が前記光学素子中において互いに重なり合う
ように前記制御光および前記信号光の光路をそれぞれ配
置することを特徴とする。
【0020】本願の請求項5記載の発明に係る光制御方
法は、請求項4記載の光制御方法において、前記制御光
および前記信号光を前記光学素子中において実質的に同
一光路で伝播させることを特徴とする。
【0021】本願の請求項6記載の発明に係る光制御方
法は、請求項4または5記載の光制御方法において、前
記制御光および前記信号光のそれぞれの焦点位置と前記
光学素子との位置関係を変化させること、および/また
は、前記光学素子を透過した前記信号光の光束を受光す
る範囲を変化させることにより、前記制御光の照射によ
って、前記光学素子を透過した前記信号光強度が減少す
る方向の光応答と前記信号光の光束密度が増減する光応
答との、両方、またはどちらか一方を選択して取り出す
ことを特徴とする。
【0022】[トリアリールメタン系色素]本発明で用
いられる前記の一般式〔I〕または〔II〕で表される
トリアリールメタン系色素としては、公知のものを使用
することができる。
【0023】前記トリアリールメタン系色素の具体的な
構造を図1から図20に例示する。なお、これらの化学
式は例示色素を表示する極限構造式の一つを代表として
記載したものである。例えば、下記の色素(慣用名ブリ
リアントグリーン)の場合は、その下に例示するような
複数の極限構造式を記述することができる。
【0024】
【化1】
【化2】 これらの色素は、アニオン部分が塩素イオン(Cl-
の場合を例示しているが、塩素イオンを臭素イオン(B
- )、ヨウ化物イオン(I- )、パークロラートイオ
ン(ClO4 - )、テトラフルオロボラートイオン(B
4 - )、ヘキサフルオロホスフォラートイオン(PF
6 - )、硫酸イオン(SO4 2-)、硫酸水素イオン(H
SO4 - )、p-トルエンスルホナートイオン(CH3
6 4 SO3 - )、ベンゼンスルホナートイオン(C6
5 SO3 - )、メタンスルホナートイオン(CH3
3 - )、トリフルオロメタンスルホナートイオン(C
3 SO3 - )、酢酸イオン(CH3 COO- )、トリ
クロロ酢酸イオン(CCl3 COO- )、または、トリ
フルオロ酢酸イオン(CF3 COO- )などに置き換え
たものでも良い。
【0025】また、複数種類のアニオンが混在していて
も良く、塩化亜鉛(ZnCl2 )などの金属塩と複塩を
形成していても、クロムなどの多価金属塩と錯塩を形成
していても良い。
【0026】さらにまた、アニオン部分がカルボン酸残
基やスルホン酸残基の形で、置換基としてトリアリール
メタン系色素に結合して分子内塩を形成していても、高
分子マトリックス材料に結合していても良い。
【0027】本発明では、これらの色素を単独もしくは
2種類以上混合して使用することができる。
【0028】[マトリックス材料]本発明の光学素子を
構成するのに用いることのできるマトリックス材料は、
(1)本発明の光制御方式で用いられる光の波長領域で
透過率が高いこと、(2)本発明で用いられる色素を安
定性良く溶解または分散できること、(3)光学素子と
しての形態を安定性良く保つことができること、という
条件を満足するものであれば任意のものを使用すること
ができる。
【0029】無機系マトリックス材料としては、いわゆ
るゾルゲル法で作成される低融点ガラス材料などを使用
することができる。
【0030】例えば有機系マトリックス材料としては、
種々の有機高分子材料を使用することができる。その具
体例としては、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレ
ン)、ポリインデン、ポリ(4−メチル−1−ペンテ
ン)、ポリビニルピリジン、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸
ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニ
ルエチルエーテル、ポリビニルベンジルエーテル、ポリ
ビニルメチルケトン、ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリアクリル酸
メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリ
アクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタ
クリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタク
リル酸ベンジル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポ
リメタクリル酸、ポリメタクリル酸アミド、ポリメタク
リロニトリル、ポリアセトアルデヒド、ポリクロラー
ル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリカーボネイト類(ビスフェノール類+炭
酸)、ポリ(ジエチレングリコール・ビスアリルカーボ
ネイト)類、6−ナイロン、6、6−ナイロン、12−
ナイロン、6、12−ナイロン、ポリアスパラギン酸エ
チル、ポリグルタミン酸エチル、ポリリジン、ポリプロ
リン、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)、メチ
ルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、アセチルセルロース、セルローストリアセ
テート、セルローストリブチレート、アルキド樹脂(無
水フタル酸+グリセリン)、脂肪酸変性アルキド樹脂
(脂肪酸+無水フタル酸+グリセリン)、不飽和ポリエ
ステル樹脂(無水マレイン酸+無水フタル酸+プロピレ
ングリコール)、エポキシ樹脂(ビスフェノール類+エ
ピクロルヒドリン)、ポリウレタン樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン
樹脂、グアナミン樹脂などの樹脂、ポリ(フェニルメチ
ルシラン)などの有機ポリシラン、有機ポリゲルマンお
よびこれらの共重合・共重縮合体が挙げられる。また、
二硫化炭素、四フッ化炭素、エチルベンゼン、パーフル
オロベンゼン、パーフルオロシクロヘキサンまたはトリ
メチルクロロシラン等、通常では重合性のない化合物を
プラズマ重合して得た高分子化合物などを使用すること
ができる。
【0031】更に、これらの有機高分子化合物に前記色
素の残基をモノマー単位の側鎖として、もしくは架橋基
として、共重合モノマー単位として、または重合開始末
端として結合させたものをマトリックス材料として使用
することもできる。
【0032】[マトリックッス材料中への色素の溶解ま
たは分散]これらのマトリックッス材料中へ前記色素を
溶解または分散させるためには、公知の方法が使用可能
である。例えば、(1)色素とマトリックス材料を共通
の溶媒中へ溶解して混合した後、溶媒を蒸発させて除去
する方法、(2)ゾルゲル法で製造する無機系マトリッ
クス材料の原料溶液へ色素を溶解または分散させてから
マトリックス材料を形成する方法、(3)有機高分子系
マトリックス材料のモノマー中へ、必要に応じて溶媒を
用いて、色素を溶解または分散させてから該モノマーを
重合ないし重縮合させてマトリックス材料を形成する方
法、あるいは(4)色素と有機高分子系マトリックス材
料を共通の溶媒中に溶解した溶液を、色素および熱可塑
性の有機高分子系マトリックス材料の両方が不溶の溶剤
中へ滴下し、生じた沈殿を濾別し乾燥してから加熱・溶
融加工する方法などを適宜使用することができる。
【0033】色素とマトリックス材料の組合せおよび加
工方法を工夫することで、色素分子を凝集させ、「H会
合体」や「J会合体」などと呼ばれる特殊な会合体を形
成させることができることが知られているが、マトリッ
クス材料中の色素分子をこのような凝集状態もしくは会
合状態を形成する条件で使用しても良い。
【0034】マトリックス材料が親水性樹脂の場合に
は、先に例示した色素をスルホン化して水に可溶化した
ものを使用することもできる。
【0035】本発明で用いられる光応答性組成物は、そ
の機能に支障をきたさない範囲において、加工性を向上
させたり、光学素子としての安定性・耐久性を向上させ
るため、副成分として公知の酸化防止剤、紫外線吸収
剤、一重項酸素クエンチャーもしくは分散助剤などを含
有しても良い。
【0036】[光応答性組成物、信号光および制御光の
設定]本発明の光制御方法で利用される光応答性組成
物、信号光の波長帯域、および制御光の波長帯域は、使
用目的に応じて適切な組合せを選定し、用いることがで
きる。具体的な設定手順としては、例えば、まず使用目
的に応じて信号光の波長もしくは波長帯域を決定し、こ
れを制御するのに最適な光応答性組成物と制御光の波長
の組合せを選定する方法がある。この方法とは逆に、使
用目的に応じて信号光と制御光の波長の組合せを決定し
てから、この組合わせに適した光応答性組成物を選定す
る方法もある。
【0037】本発明で用いられる光応答性組成物の組
成、および、前記光応答性組成物から成る光学素子中を
伝播する信号光および制御光の光路長については、これ
らの組合わせを、光学素子を透過する制御光および信号
光の透過率を基準にして設定することができる。例え
ば、光応答性組成物の組成の内、制御光および/または
信号光を吸収する成分の濃度を最初に決定してから、光
学素子を透過する制御光および信号光の透過率が特定の
値になるよう光学素子中を伝播する信号光および制御光
の光路長を設定することができる。これとは逆に、装置
設計上の必要に応じて光路長を特定の値に設定した後、
光学素子を透過する制御光および信号光の透過率が特定
の値になるよう光応答性組成物の組成を調整することも
できる。
【0038】[透過率]本発明は、可能な限り低い光パ
ワーで充分な大きさおよび速度の光応答を光応答性の光
学素子から引出すような光制御方法を提供することを目
的の一つとしているが、この目的を達成するために最適
な、光学素子を透過する制御光および信号光の透過率の
値は、それぞれ、次に示す通りである。
【0039】本発明に係る光応答性組成物、光学素子、
および光制御方法では、光学素子を伝播する制御光の透
過率が90%以下、好ましくは60%以下、更に好まし
くは40%以下になるよう光応答性組成物中の光吸収成
分の濃度および存在状態の制御および/または光路長の
設定を行うことが推奨される。
【0040】本発明に係る光応答性組成物、光学素子、
および光制御方法では、制御光の照射によって信号光の
透過率が減少する方向の光応答を利用しようとする場
合、制御光を照射しない状態において、光学素子を伝播
する信号光の透過率が10%以上、好ましくは40%以
上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは90%
以上になるよう光応答性組成物中の光吸収成分の濃度お
よび存在状態の制御および/または光路長の設定を行う
ことが推奨される。
【0041】本発明に係る光応答性組成物、光学素子、
および光制御方法では、制御光の照射によって信号光の
透過率が増大する方向の光応答を利用しようとする場
合、制御光を照射しない状態において、光学素子を伝播
する信号光の透過率が90%以下、好ましくは70%以
下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは40%
以下になるよう光応答性組成物中の光吸収成分の濃度お
よび存在状態の制御および/または光路長の設定を行う
ことが推奨される。
【0042】[光学素子の形態および作成]本発明の光
学素子の形態は薄膜、厚膜、板状、ブロック状、円柱
状、半円柱状、四角柱状、三角柱状、凸レンズ状、凹レ
ンズ状、マイクロレンズアレイ状、ファイバー状、マイ
クロチャンネルアレイ状、および光導波路型などの中か
ら適宜選択することができる。
【0043】本発明の光学素子の作成方法は、光学素子
の形態および使用する光応答組成物の種類に応じて任意
に選定され、公知の方法を用いることができる。
【0044】例えば、薄膜状の光学素子を作成する場合
は、色素およびマトリックス材料を溶解した溶液を例え
ばガラス板上に塗布法、ブレードコート法、ロールコー
ト法、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法な
どの塗工法で塗工するか、あるいは、平版、凸版、凹
版、孔版、スクリーン、転写などの印刷法で印刷すれば
良い。この場合、ゾルゲル法による無機系マトリックス
材料作成方法を利用することもできる。
【0045】有機高分子系マトリックス材料が熱可塑性
の場合、ホットプレス法(特開平4−99609号公
報)や延伸法を用いても薄膜状もしくは厚膜状の膜型光
学素子を作成することができる。
【0046】板状、ブロック状、円柱状、半円柱状、四
角柱状、三角柱状、凸レンズ状、凹レンズ状、マイクロ
レンズアレイ状の光学素子を作成する場合は、例えば有
機高分子系マトリックス材料の原料モノマーに色素を溶
解または分散させたものを用いてキャスティング法やリ
アクション・インジェクション・モールド法で成型する
ことができる。また、熱可塑性の有機高分子系マトリッ
クス材料を用いる場合には、色素を溶解または分散した
ペレットまたは粉末を加熱溶融させてから射出成形法で
加工しても良い。
【0047】ファイバー状の光学素子は、例えば、
(1)ガラスキャピラリー管の中に有機高分子系マトリ
ックス材料の原料モノマーに色素を溶解もしくは分散さ
せたものを流し込むか、または、毛管現象で吸い上げた
ものを重合させる方法、(2)色素を溶解もしくは分散
させた熱可塑性の有機高分子系マトリックス材料の円柱
(いわゆるプリフォーム)をガラス転移温度よりも高い
温度まで加熱し、糸状に延伸してから冷却する方法など
で作成することができる。
【0048】上記のようにして作成したファイバー状の
光学素子を多数束ねて熱処理してから薄片状もしくは板
状にスライスすることにより、マイクロチャンネルアレ
イ型の光学素子を作成することもできる。
【0049】導波路型の光学素子は、基板上に作成した
溝の中に有機高分子系マトリックス材料の原料モノマー
に色素を溶解または分散させたものを流し込んでから重
合させる方法、または、基板上に形成した薄膜状光学素
子をエッチングして「コア」パターンを形成し、次い
で、色素を含まないマトリックス材料で「クラッド」を
形成する方法によって作成することができる。
【0050】[本発明に係る光学素子を利用した光学装
置]本発明の光制御方法は、前記光応答性組成物から成
る光学素子に制御光を照射し、前記制御光とは異なる波
長帯域にある信号光の透過率および/または屈折率を可
逆的に変化させることにより前記光学素子を透過する前
記信号光の強度変調および/または光束密度変調を行う
光制御方法において、前記制御光および前記信号光を各
々収束させて前記光学素子へ照射し、かつ、前記制御光
および前記信号光のそれぞれの焦点の近傍の光子密度が
最も高い領域が前記光学素子中において互いに重なり合
うように前記制御光および前記信号光の光路をそれぞれ
配置すること、または、前記制御光および前記信号光を
前記光学素子中において実質的に同一光路で伝播させる
ことを特徴とする。従って、本発明に係る光学素子を利
用した光学装置は、この特徴を十分に発揮できるような
構成となっていなければならない。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明の光学素子を利用するため
の光学装置の構成としては、例えば次のような構成を挙
げることができる。
【0052】(1)図21あるいは図22に示されるよ
うに、光学素子へ入射する前に制御光および信号光の2
本の光ビームの光軸を揃え、同一光路を通るように調節
してから光学素子へ入射させる装置構成。これは、光学
素子の形態に依存しない構成である。
【0053】(2)図22に示されるように、信号光お
よび制御光を1本の光ファイバー型光学素子へ入射させ
る装置構成。
【0054】(3)図23に示されるように、薄膜、厚
膜、板状、ブロック状、円柱状、半円柱状、四角柱状、
三角柱状、凸レンズ状、凹レンズ状、マイクロレンズア
レイ状などの形態の光学素子に照射された制御光および
信号光の光路が光学素子内部で交差するように調節する
装置構成。
【0055】(4)図24に示されるように、信号光が
通過する平面光導波路型光学素子へ垂直方向から制御光
を入射させる装置構成。
【0056】(5)信号光および制御光が各々伝播する
2本の光路が、途中で1本に混合されるY字型構成の光
導波路型光学素子を用いる装置構成。
【0057】(6)鏡面に挟まれた膜型光学素子へ、制
御光および信号光を、膜内を多重反射するように各々入
射させるような装置構成。
【0058】上記装置の内、本発明に係る光制御方法を
実施する際に用いることのできる光学装置構成として
は、図21または図22に例示する装置が特に好適であ
る。
【0059】図21にブロック図として例示された光学
装置は、制御光の光源1、信号光の光源2、NDフィル
ター3、シャッター4、半透過鏡5、光混合器6、集光
レンズ7、膜型光学素子8、受光レンズ9、波長選択透
過フィルター20、光検知器11および22、並びにオ
シロスコープ100を構成要素とする。これらの光学素
子あるいは光学部品の内、制御光の光源1、信号光の光
源2、光混合器6、集光レンズ7、膜型光学素子8、受
光レンズ9、および波長選択透過フィルター20は、本
発明の光制御方法を実施するために必須の装置構成要素
である。
【0060】なお、NDフィルター3、シャッター4お
よび半透過鏡5は必要に応じて設けるものである。ま
た、光検知器11および22並びにオシロスコープ10
0は、本発明の光制御方法を実施するためには必要ない
が光制御の動作を確認するための電子装置として、必要
に応じて用いられる。
【0061】図22のブロック図に機能構成が例示され
た装置構成は、図21の膜型光学素子8の代りに用いた
ファイバー型光学素子12以外は、図21の光学装置と
同様の構成要素からなる。
【0062】次に、個々の構成要素の特徴ならびに動作
について説明すると、まず、制御光の光源1にはレーザ
ー装置が好適に用いられる。その発振波長および出力
は、本発明の光制御方法が対象とする信号光の波長およ
び使用する光応答性組成物の応答特性に応じて適宜選択
される。レーザー発振の方式については特に制限はな
く、発振波長帯域、出力、および経済性などに応じて任
意の形式のものを用いることができる。また、レーザー
光源の光を非線形光学素子によって波長変換してから使
用しても良い。具体的には、例えばアルゴンイオンレー
ザー(発振波長457.9ないし514.5nm)、ヘ
リウム・ネオンレーザー(633nm)などの気体レー
ザー、ルビーレーザーやNd:YAGレーザーなどの固
体レーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどを好適
に使用することができる。
【0063】信号光の光源2には、レーザー光源からの
コヒーレント光だけではなく、非コヒーレント光を使用
することもできる。また、レーザー装置、発光ダイオー
ド、ネオン放電管などの単色光を与える光源の他、タン
グステン電球、メタルハライドランプ、キセノン放電管
などからの連続スペクトル光を光フィルターやモノクロ
メーターで単色化して用いても良い。
【0064】先に述べたように、本発明の光制御方法で
利用される光応答性組成物、信号光の波長帯域、および
制御光の波長帯域は、これらの組合わせとして、使用目
的に応じて適切な組合わせが選定され、用いられる。例
えば、図28に示すような透過率スペクトルの光応答性
組成物から成る光学素子について、信号光の光源2とし
て発振波長694nmの半導体レーザー、および制御光
の光源1として発振波長633nmのヘリウム・ネオン
レーザーを選択し、これらを組合わせて用いることがで
きる。
【0065】NDフィルター3は必ずしも必要ではない
が、装置を構成する光学部品や光学素子へ必要以上に高
いパワーのレーザー光が入射することを避けるため、あ
るいは、本発明の光学素子の光応答性能を試験するにあ
たり制御光の光強度を増減するために有用である。
【0066】シャッター4は、制御光として連続発振レ
ーザーを用いた場合に、これをパルス状に明滅させるた
めに用いられるものであり、本発明の光制御方法を実施
する上で必須の装置構成要素ではない。すなわち、制御
光の光源1がパルス発振するレーザーであり、そのパル
ス幅および発振間隔を制御できる形式の光源である場合
や、適当な手段で予めパルス変調されたレーザー光を光
源1として用いる場合は、シャッター4を設けなくても
良い。
【0067】シャッター4を使用する場合、その形式と
しては任意のものを使用することができ、例えば、オプ
ティカルチョッパ、メカニカルシャッター、液晶シャッ
ター、光カー効果シャッター、ポッケルセルなどを、シ
ャッター自体の作動速度を勘案して適時選択して使用す
ることができる。
【0068】半透過鏡5は、本発明の光学素子の特性や
光制御方法の作用を試験する際、制御光の光強度を常時
見積もるために用いるものであり、光分割比は任意に設
定可能である。
【0069】光検出器11および22は、本発明の光学
素子および光制御方法による光強度の変化の様子を電気
的に検出して検証するため、また、本発明の光学素子の
機能を試験するために用いられる。光検出器11および
22の形式は任意であり、検出器自体の応答速度を勘案
して適宜選択して使用することができ、例えば光電子増
倍管やフォトダイオード、フォトトランジスターなどを
使用することができる。
【0070】前記光検出器11および22の受光信号は
オシロスコープ100などの他、AD変換器とコンピュ
ーターの組合せ(図示せず)によってもモニターするこ
とができる。
【0071】光混合器6は、前記光学素子中を伝播して
行く光路が制御光と信号光とで同一になるように調節す
るために用いるものであり、本発明の光制御方法を図2
1のような装置構成で実施するために重要な装置構成要
素の一つである。光混合器6としては、偏光ビームスプ
リッター、非偏光ビームスプリッター、または、ダイク
ロイックミラーのいずれも使用することができ、光分割
比については任意に設定可能である。
【0072】集光レンズ7は、信号光および制御光に共
通の収束手段として、光路が同一になるように調節され
た信号光および制御光を収束させて前記光学素子へ照射
するためのものであり、本発明の光制御方法を図21の
ような装置構成で実施する際に重要な装置構成要素の一
つである。集光レンズの焦点距離、開口数、F値、レン
ズ構成、レンズ表面コートなどの仕様については任意の
ものを適宜使用することができる。
【0073】受光レンズ9は、収束されて光学素子8へ
照射され、透過してきた信号光および制御光を平行ビー
ムまたは収束ビームに戻すための手段であり、この目的
に適合するものであれば、任意の仕様のレンズを用いる
ことができる。また、この目的を達するためにはレンズ
の代りに凹面鏡を使用することもできる。
【0074】波長選択透過フィルター20は、本発明の
光制御方法を図21のような装置構成で実施するために
必須の装置構成要素の一つであり、前記光学素子中の同
一の光路を伝播してきた信号光と制御光とから信号光の
みを取り出すための手段の一つとして用いられる。
【0075】波長の異なる信号光と制御光とを分離する
ための手段としては他に、プリズムや回折格子などを使
用することができる。
【0076】図21の装置構成で用いられる波長選択透
過フィルター20としては、制御光の波長帯域の光を完
全に遮断し、一方、信号光の波長帯域の光を効率良く透
過することのできるような波長選択透過フィルターであ
れば、公知の任意のものを使用することができる。例え
ば、色素で着色したプラスチックやガラス、表面に誘電
体多層蒸着膜を設けたガラスなどを用いることができ
る。
【0077】以上のような構成要素から成る図21の光
学装置において、光源1から出射された制御光の光ビー
ムは、透過率を加減することによって透過光強度を調節
するためのNDフィルター3を通過し、次いで制御光を
パルス状に明滅するためのシャッター4を通過して、半
透過鏡5によって分割される。
【0078】半透過鏡5によって分割・透過された制御
光は光検出器11によって受光される。ここで、光源2
を消灯、光源1を点灯し、シャッター4を開放した状態
において光学素子8への光ビーム照射位置における光強
度と光検出器11の信号強度との関係を予め測定して検
量線を作成しておけば、光検出器11の信号強度から、
光学素子8に入射する制御光の光強度を常時見積ること
が可能になる。
【0079】半透過鏡5で反射した制御光は、光混合器
6および集光レンズ7を通って、光学素子8に集光照射
される。膜型光学素子8を通過した制御光の光ビーム
は、受光レンズ9を通過した後、波長選択透過フィルタ
ー20によって遮断される。
【0080】光源2から出射された信号光の光ビーム
は、前記の光混合器6によって、制御光と同一光路を伝
播するよう混合され、集光レンズ7を経由して、膜型光
学素子8に収束・照射され、素子を通過した光は受光レ
ンズ9および波長選択透過フィルター20を透過した
後、光検出器22にて受光される。
【0081】次に、薄膜、厚膜、板状、ブロック状、円
柱状、半円柱状、四角柱状、三角柱状、凸レンズ状、凹
レンズ状、マイクロレンズアレイ状など形態の光学素子
に照射された制御光および信号光の光路が、光学素子内
部で交差するように調節する装置構成において、膜型光
学素子8を用いた場合について図23に例示する。
【0082】ここで、光源1から出射された制御光の光
ビームは、NDフィルタ−3およびシャッター4を通過
した後、凹面鏡14で反射および集光されて膜型光学素
子8へ照射され、一方、光源2から出射された信号光の
光ビームは集光レンズ7にて集光されて膜型光学素子8
へ照射され、これら2本の光ビームは膜型光学素子8内
部の交点15において交差するように調節される。更に
交点15において、凹面鏡14で反射および集光された
制御光の焦点と、集光レンズ7にて集光された信号光の
焦点とが一致するように調節することによって、前記制
御光および前記信号光のそれぞれの焦点の近傍の光子密
度が最も高い領域が前記光学素子中において互いに重な
り合うようにすることができる。
【0083】制御光の光ビームは膜型光学素子8を透過
した後、受光レンズ19および波長選択透過フィルター
10を通過してから光検出器11によって受光される。
波長選択透過フィルター10は、光学素子8から散乱し
てくる信号光を完全に遮蔽する一方で、制御光を効率良
く透過させるような波長選択透過特性のフィルターであ
る。これによって、光学素子8を透過してきた制御光の
光強度を常時測定することができる。
【0084】信号光の光ビームは膜型光学素子8を透過
した後、受光レンズ9および波長選択透過フィルター2
0を透過した後、光検出器22にて受光される。波長選
択透過フィルター20は、光学素子8から散乱してくる
制御光を完全に遮蔽する一方で、信号光を効率良く透過
させるような波長選択透過特性のフィルターである。
【0085】次に、信号光が通過する平面光導波路型光
学素子17へ垂直方向から制御光を入射させる装置の機
能構成を図24に例示する。
【0086】図24において、光源2から出射された信
号光の光ビームは集光レンズ7にて集光されてプリズム
13へ照射され、平面導波路型光学素子17へ導かれ
る。一方、光源1から出射された制御光の光ビームは、
NDフィルタ−3およびシャッター4を通過した後、凹
面鏡14で反射および集光されて平面光導波路型光学素
子17の光透過部分へ照射される。信号光および制御光
の2本の光ビームは、光導波路型光学素子17内部の交
点15において交差するように調節される。更に交点1
5と凹面鏡14で反射および集光された制御光の焦点と
が一致するよう調節される。
【0087】制御光の光ビームは光学素子17を垂直方
向に透過した後、受光レンズ19および波長選択透過フ
ィルター10を通過してから光検出器11によって受光
される。波長選択透過フィルター10は、光学素子17
から散乱してくる信号光を完全に遮蔽する一方で、制御
光を効率良く透過するような波長選択透過特性のフィル
ターである。これによって、光学素子17を透過した制
御光の光強度を常時測定することができる。
【0088】信号光の光ビームは光導波路型光学素子1
7を通過した後、プリズム18および受光レンズ9およ
び波長選択透過フィルター20を透過してから、光検出
器22にて受光される。波長選択透過フィルター20
は、光学素子17から散乱によって出射してくる制御光
を完全に遮蔽する一方で、信号光を効率良く透過するよ
うな波長選択透過特性のフィルターである。
【0089】本発明の光応答性組成物および光学素子で
用いられる前記の一般式〔I〕または〔II〕で表され
るトリアリールメタン系色素は、励起状態吸収を利用し
た光制御方法に特に適した光吸収特性を発揮する。
【0090】従って、本発明の光制御方法では、制御光
および信号光を収束させ、かつ、収束された制御光およ
び信号光が光学素子中の同一光路を伝播するようにさせ
ることにより、光応答性組成物から成る光学素子中の励
起状態の前記色素分子と制御光および信号光の光子の相
互作用効率を著しく向上させることが可能となり、その
結果、従来に比べ低い光パワーで充分な大きさおよび速
度の光応答を光応答性の光学素子から引出すことが可能
になる。
【0091】
【実施例】以下、実施例を示し、更に詳しく本発明につ
いて説明する。
【0092】〔実施例1〕下記の化学式で表される化学
構造の色素
【化3】 (慣用名ブリリアント・グリーン):3.97mgおよ
びポリメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル:199
6.03mgをアセトン:200mlに溶解し、n−ヘ
キサン:800ml中へかき混ぜながら加えて析出した
沈殿(色素およびポリマーの混合物)を濾別し、n−ヘ
キサンで洗浄してから減圧下乾燥し、粉砕した。
【0093】得られた色素およびポリマーの混合粉末を
10-5Pa未満の超高真空下、100℃で2日間加熱を
続け、残留溶媒等の揮発成分を完全に除去して、光応答
性組成物の粉末を得た。この粉末20mgをスライドガ
ラス(25mm×76mm×厚さ1.150mm)およ
びカバーガラス(18mm×18mm×厚さ0.150
mm)の間に挟み、真空下150℃に加熱し、2枚のガ
ラス板を圧着する方法(真空ホットプレス法)を用いて
スライドガラス/カバーガラス間に色素/ポリマーの膜
(膜厚120μm)を作成した。なお、色素/ポリマー
膜中の色素濃度は、色素/ポリマー混合物の密度を1.
06として計算すると、5.0×10-3mol/lであ
る。
【0094】以上のようにして作成した膜型光学素子の
透過率スペクトルを図26に示す。
【0095】この膜の透過率は制御光の波長(633n
m)で0.12%、信号光の波長(694nm)で7
7.9%であった。
【0096】この膜型光学素子を図21に例示した構成
の光学装置の集光レンズ7の焦点位置に、前記色素/ポ
リマー膜の中心が来るよう調節して装着した。制御光の
光源1としてHe−Neレーザー(発振波長633n
m、ビーム直径1mmのガウスビーム)および信号光の
光源2として半導体レーザー(発振波長694nm、連
続発振出力3mW、光学的にビーム形状を整形した後の
ビーム直径8mmのガウスビーム)を用いた。なお、こ
の実施例では、NDフィルター3によって、膜型光学素
子8へ入射する制御光のパワーを2.5mWないし25
mWの範囲で調節した。シャッター4として機械式シャ
ッター(作動時間80ミリ秒)またはポッケルスセル
(作動時間2マイクロ秒)を用いた。集光レンズ7およ
び受光レンズ9として、焦点距離5mm、開口数0.6
5の顕微鏡用対物レンズを用いた。
【0097】図21の光学装置を用いて光制御の実験を
行い、図25に示すような光強度変化を観測した。その
詳細は以下に述べる通りである。
【0098】まず、制御光の光ビームと信号光の光ビー
ムとが、膜型光学素子8内部の同一領域で焦点を結ぶよ
うに、それぞれの光源からの光路、光混合器6、および
集光レンズ7を調節した。次いで、波長選択フィルター
20の機能を点検するため、光源2を消灯した状態で、
光源1を点灯し、シャッター4を開閉して光検出器22
に応答が全く生じないことを確認した。
【0099】シャッター4を閉じた状態で制御光の光源
1を点灯し、次いで、時刻t1 において光源2を点灯し
光学素子8へ信号光を照射すると、光検出器22の信号
強度はレベルCからレベルAへ増加した。
【0100】時刻t2 においてシャッター4を開放し、
光学素子8内部の信号光が伝播しているのと同一の光路
へ制御光を照射すると光検出器22の信号強度はレベル
AからレベルBへ減少した。この変化の応答時間は2.
5マイクロ秒未満であった。
【0101】時刻t3 においてシャッター4を閉じ、光
学素子への制御光照射を止めると光検出器22の信号強
度はレベルBからレベルAへ復帰した。この変化の応答
時間は3.5マイクロ秒未満であった。
【0102】時刻t4 においてシャッター4を開放し、
次いで時刻t5 において閉じると、光検出器22の信号
強度はレベルAからレベルBへ減少し、次いでレベルA
へ復帰した。
【0103】時刻t6 において光源2を消灯すると光検
出器22の出力は低下し、レベルCへ戻った。
【0104】以上まとめると、膜型光学素子8へ、入射
パワー2.5mWないし25mWの制御光を図25の1
11に示すような波形で表される光強度の時間変化を与
えて照射したところ、信号光の光強度をモニターして示
す光検出器22の出力波形は図25の222に示すよう
に、制御光の光強度の時間変化に対応して可逆的に変化
した。すなわち、制御光の光強度の増減または断続によ
り信号光の透過を制御すること、言い換えれば、光で光
を制御すること(光・光制御)、または、光で光を変調
すること(光・光変調)ができるということが確認され
た。
【0105】なお、制御の光の断続に対応する信号光の
光強度の変化の程度は、前記の光検出器22の出力レベ
ルA、BおよびCを用いて次に定義される値ΔT[単位
%]によって定量的に比較することができる。
【0106】
【数1】ΔT=100[(A−B)/(A−C)] ここで、Aは制御光を遮断した状態で信号光の光源2を
点灯した場合の光検出器22の出力レベル、Bは信号光
と制御光を同時に照射した場合の光検出器22の出力レ
ベル、Cは信号光の光源2を消灯した状態の光検出器2
2の出力レベルである。例えば、光応答が最大の場合、
レベルBはレベルCと同一になり、ΔTは最大値100
%になる。一方、光応答が検出されない場合、レベルB
はレベルAと同一となり、ΔTは最小値0%となる。
【0107】膜型光学素子8への制御光入射パワーを
2.5mWから25mWの範囲で変化させて光応答ΔT
の大小を比較したところ、表1に掲げるような結果が得
られた。
【0108】
【表1】 すなわち、光源1から光学素子への入射パワーが5.0
mWという比較的小さい値のときでも、ΔT=36.9
%という比較的大きな光応答を与えることが判った。
【0109】〔比較例1〕色素を用いずにポリメタクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピルのみを用いた他は、実施例
1と同様にしてマトリックス材料単独の薄膜(膜厚20
μm)を作成した。
【0110】この薄膜について実施例1と同様にして光
応答の評価試験を行ったが、制御光の波長帯域(633
nm)の光を断続しても信号光の波長帯域(694n
m)の光強度は全く変化しなかった。すなわち、マトリ
ックス材料単独では光応答は全く観測されない。
【0111】この比較例から明らかなように実施例1で
観察された光応答は、前記の色素の存在に起因するもの
であることは明らかである。
【0112】〔実施例2〕実施例1に記載の色素の代り
に下記構造式の色素
【化4】 (慣用名ビクトリア・ブルーB)を用いた他は、実施例
1と同様にして実施例2の膜型光学素子(色素/樹脂部
分の膜厚140μm)を製造した。なお、色素/ポリマ
ー膜中の色素濃度は、色素/ポリマー混合物の密度を
1.06として計算すると、4.16×10-3mol/
lである。
【0113】この膜型光学素子の透過率スペクトルを図
27に示す。
【0114】この膜の透過率は制御光の波長(633n
m)で0.41%、信号光の波長(694nm)で6
0.8%、同780nmで91.6%であった。
【0115】次いで、図21に例示するような光学装置
の配置を用い、信号光の光源2として発振波長694n
m、出力2mWの半導体レーザーと発振波長780n
m、出力5mWの半導体レーザーを交換して、それぞれ
用いた他は実施例1と同様にして、実施例2の膜型光学
素子の光応答を試験した。
【0116】その結果、制御光(633nm)の光入射
パワー10mWのとき、信号光の波長694nmおよび
780nmにおける光応答の大きさΔTは、それぞれ5
3%および77%であった。また、応答速度はいずれの
場合も2マイクロ秒未満であった。
【0117】〔実施例3〕特開平5−275789号公
報に記載されている方法を参考にして、プラスチック光
ファイバー型の光学素子を次のようにして製造した。す
なわち、内径10mm、肉厚1mm、長さ36mmのパ
イレックスガラス製重合管へ窒素雰囲気下、メタクリル
酸メチル:27g、過酸化ベンゾイル:135mgおよ
びn−ブチルメルカプタン:54mgを仕込み、管を密
封してから重合管回転装置を内蔵した加熱装置へ、重合
管の中心軸(回転軸)を水平にして取り付けた。この重
合管を毎分約2000回転で回転させながら70℃で2
4時間加熱し、前記モノマーを管内壁に沿って中空状に
重合固化させた。次いで、この中空部分に窒素雰囲気
下、メタクリル酸メチル:10g、重合開始剤(パーヘ
キサ3M):62.5mg、n−ブチルメルカプタン:
19mg、フタル酸ベンジルn−ブチル:2.5gおよ
び下記化学式の色素
【化5】 (慣用名エチル・バイオレット):0.730mgを仕
込み、管を密封してから重合管回転装置を内蔵した加熱
装置へ、重合管の中心軸(回転軸)を水平にして取り付
けた。
【0118】この重合管を毎分約50回転でゆっくり回
転させながら95℃で20時間加熱し、回転を止めてか
ら110℃の乾燥機へ移し、24時間熱処理を行った。
重合管を割って得られたプリフォームを取り出し、13
3Pa以下の減圧下、110℃で30時間、熱処理を行
った。このプリフォームをガラス転移温度以上に加熱
し、熱延伸して直径500μmのプラスチック光ファイ
バーを製造し、これを長さ10mmに切出し端面を研磨
して、ファイバー型光学素子を作成した。
【0119】このファイバー型光学素子(長さ10m
m)の透過率スペクトルは図28に示す通りであり、透
過率は制御光の波長(633nm)で0.83%、信号
光の波長(694nm)で89.5%であった。
【0120】この光学素子を図22に記載したような構
成の光学装置へ取り付け、以下、実施例1の場合と同様
な操作を行って光応答の評価実験を行った。
【0121】試験結果は、制御光のパワー5.5mWの
とき、信号光の光応答の大きさΔTは53%であり、そ
のときの応答速度は2マイクロ秒未満という優れた値で
あった。
【0122】〔実施例4〕下記構造式の色素
【化6】 (慣用名ビクトリア・ブルーR):0.259mgおよ
びポリビニルアルコール(重合度2000):10.0
gをジメチルスルホキシドに溶解した溶液を、光学研磨
したガラス基板16(直径30mm、厚さ4mm)の表
面へスピンコート法によって塗工し、真空乾燥機にて
0.01Paの減圧下、80℃で4日間、加熱乾燥およ
び熱処理し、平面導波路型の光学素子17を製造した。
【0123】得られた塗工薄膜部分の膜厚は40μmで
あった。そして、ライトガイド式分光光度計とプリズム
カップリングの手法を用いて、この平面光導波路型光学
素子の光導波路長を10mmとした場合の透過率スペク
トルを測定した。この結果を図29に示す。
【0124】この薄膜へ図24に示すように、プリズム
カップリングの手法によって、信号光として発振波長7
80nmで出力5mWの半導体レーザーを照射し、出射
光を検出器22で検出した。ここで、信号光が透過して
いる光導波路部分に垂直な方向から制御光としてヘリウ
ム・ネオンレーザーを、シャッター4を通して照射し、
実施例1の場合と同様に試験し、光応答が得られること
を確認した。
【0125】〔実施例5〕実施例1の膜型光学素子を図
23に例示するような構成の光学装置に取り付け、制御
光の光源1としてヘリウム・ネオンレーザーを、信号光
の光源2として発振波長694nmで出力2mWの半導
体レーザーを、集光レンズ7および受光レンズ9として
焦点距離5mmで開口数0.65の顕微鏡用対物レンズ
をそれぞれ用い、膜型光学素子8の中を収束されて透過
していく信号光および制御光のそれぞれの焦点が、交点
15において重なり合うように、制御光の光ビームを凹
面鏡14で収束させて照射するよう装置構成要素を調節
した。なお、実施例1におけるように制御光と信号光の
光路を一致させてから共通の集光レンズで収束させる方
法に比べ、この実施例のように制御光と信号光とを別の
方向から収束・照射して焦点位置を一致するように調整
する方法の場合、使用する装置構成要素・部品について
極めて高い精度が要求される。
【0126】以下、実施例1の場合と同様にして膜型光
学素子の光応答を試験し、実施例1の場合と同等な結果
を得た。
【0127】〔実施例6〕本発明の光制御光法において
光応答を大きくするためには前記制御光および前記信号
光を各々収束させて前記光学素子へ照射し、かつ、前記
制御光および前記信号光のそれぞれの焦点の近傍の光子
密度が最も高い領域が前記光学素子中において互いに重
なり合うように前記制御光および前記信号光の光路をそ
れぞれ配置すれば良いが、そのためには信号光および制
御光を実質的に同一光路で伝播させることが好ましい。
なお、前記制御光および前記信号光の電場の振幅分布が
ガウス分布となっているガウスビームの場合、集光レン
ズ7などで、開き角2θで収束させたときの焦点Fc 近
傍におけるビームおよび波面30の様子を図30に示
す。ここで、波長λのガウスビームの直径2ω0 が最小
になる位置、すなわちビームウエストの半径ω0 は次の
式で表される。
【0128】
【数2】ω0 = λ/(π・θ) 例えば、実施例1で用いた集光レンズ(焦点距離5m
m、開口数0.65)で波長633nm、ビーム直径1
mmの制御光を収束したときのビームウエストの半径は
2.02μm、同様にして波長694nm、ビーム直径
8mmの信号光を収束したときのビームウエストの半径
は0.327μm(ほぼ回折限界)と計算される。
【0129】図31に示すように、信号光および制御光
が「実質的に同一光路」と看做すことができるのは次の
ような場合である: 1)制御光と信号光の光軸が互いに平行であって、制御
光の光路、例えば断面L02(半径r2 )の中に信号光の
光路、例えば断面L+1、L01、またはL-1(半径r1
1 ≦r2 )が重なって伝搬する場合、 2)制御光と信号光の光軸が互いに平行であって、信号
光の光路、例えば断面L02(半径r2 )の中に制御光の
光路、例えば断面L+1、L01、またはL-1(半径r1
1 ≦r2 )が重なって伝搬する場合、 3)制御光と信号光の光軸が互いに平行(光軸間の距離
+1、l-1、またはl+1+l-1)であって、制御光の光
路が断面L+1、L01、またはL-1のいずれか、信号光の
光路も断面L+1、L01、またはL-1のいずれかである場
合。
【0130】次に示す表2のデータは、一例として、実
施例1の装置において、信号光の光路を断面L02(直径
8mm)に固定し、断面L+1、L01、またはL-1(直径
1mm)の制御光の光路(光軸)を光軸間の距離l+1
たはl-1として0.9ないし1.2mm平行移動した場
合の、信号光・光応答の大きさΔTの変化を示したもの
である。
【0131】
【表2】 この表2に示されるように、信号光および制御光の光軸
が完全に一致している場合の光応答が最大であるが、光
軸間の距離l+1またはl-1が±0.6mm程度ずれて
も、光応答の大きさΔTは6ないし7ポイントほど変化
するにすぎない。すなわち、収束された信号光および制
御光のそれぞれの焦点の近傍の光子密度が最も高い領域
(ビームウエスト)が前記光学素子中において互いに重
なり合うように前記制御光および前記信号光の光路がそ
れぞれ配置され、これらの領域の重なりあいが最大にな
ったとき、すなわち、前記制御光および前記信号光の光
軸が完全に一致したとき前記光応答は最大になること、
前記制御光および前記信号光の光路が実質的に同一のと
き、充分大きな光応答が得られることが判った。
【0132】〔実施例7〕実施例1の装置配置(図2
1)においては膜型光学素子8を透過した信号光のビー
ムを受光レンズ9で平行ビームまたは収束ビームに戻し
て、信号光の光束のすべてが光検出器22へ入射するよ
う調節している。このような装置・光学部品配置におい
ては前述のように、前記光学素子を透過した前記信号光
強度が減少する方向の光応答222が観察される。
【0133】ここで、光応答性光学素子を透過した信号
光の光束の一部分、例えば、光束の中心部分(ビーム半
径の数割程度)のみを検出器22へ入射するように装置
を調整すると、以下に述べるように、前記制御光による
前記信号光の光束密度変調、特に、信号光の照射に対応
して信号光のみかけの強度が増大する方向の光応答22
3を取り出すことが可能になる。
【0134】光検出器22への入射光量を制限し、信号
光の一部分、例えば中心部分だけが入射するようにする
ためには、図32に示すように、次のような方法があ
る: 1)集光レンズ7と光応答性薄膜8の距離d78を変化さ
せる。
【0135】2)受光レンズ9と光応答性薄膜8の距離
89を変化させる。
【0136】3)絞り23を用いる。
【0137】制御光の照射によって、信号光の屈折率が
変化して、ビーム中心部分の光束密度が高まれば、検出
器22の信号強度は増大する。すなわち、制御光の照射
によって、「みかけの透過率」が増大する方向の光応答
が観測される。
【0138】例えば、実施例1の装置配置および諸条件
において、まず、受光レンズ9と膜型光学素子8との距
離d89を変えて、膜型光学素子8を透過した信号光の光
束の中心部分(ビーム半径の約30%)のみが光検出器
22へ入射するよう調節した。次いで、集光レンズ7お
よび受光レンズ9の間隔を固定したまま、膜型光学素子
8と集光レンズ7の距離d78を変化させ、同一の光路で
収束された制御光および信号光の焦点位置と膜型光学素
子8との位置関係を変化させたところ、膜型光学素子8
を、上記の透過率低下方向の光応答性が最も大きく観測
される位置を基準として、集光レンズ7側へ0.1mm
近づけた位置、および集光レンズ7側から1.2mm遠
ざけた位置で、信号光の強度が増大する方向の光応答が
観測された。なお、ここでは前記膜型光学素子8のカバ
ーガラス側から信号光および制御光が入射し、スライド
ガラス基板側から出射するような向きに光学素子を配置
した。
【0139】更にここで、同一の光路で収束された制御
光と信号光の焦点位置と光学素子の位置関係を変化させ
る方法としては、例えば精密ねじによる微動機構を設け
た架台、圧電素子アクチュエータを設けた架台、または
超音波アクチュエータを設けた架台などの上に膜型光学
素子8を取り付けて上記のように移動させる他、集光レ
ンズ7の材質に非線形屈折率効果の大きいものを用いて
制御光パルスのパワー密度を変えて焦点位置を変化させ
る方法、集光レンズ7の材質に熱膨張係数の大きいもの
を用いて加熱装置で温度を変えて焦点位置を変化させる
方法などを用いることができる。
【0140】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光応答性
組成物、光学素子および光制御方法によれば、例えば、
可視領域にあるレーザー光を制御光として、近赤外線領
域にある信号光を効率良く変調することが、電子回路な
どを一切用いることなく、極めて単純な光学装置によっ
て実用上充分な応答速度で実現可能になる。
【0141】本発明の光応答性組成物、光学素子および
光制御方法を用いた可視光線レーザーによる近赤外線レ
ーザーの直接変調は、例えば、ポリメチルメタクリレー
ト系プラスチック光ファイバー中を伝搬させるのに適し
た可視光線レーザーによって、空気中を伝搬させるのに
適した近赤外線レーザーを直接変調するような用途にお
いて極めて有用である。
【0142】本発明の光応答性組成物、光学素子および
光制御方法は、例えば光コンピューティングの分野にお
いて新しい光演算方式を開発する上で役立つことが期待
できる。
【0143】本発明の光応答性組成物、光学素子および
光制御方法によれば、前記光学素子に用いられる材料の
選択範囲を広げ、かつ光学素子への加工を容易にするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図2】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図3】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図4】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図5】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図6】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図7】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図8】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図9】本発明に用いられるトリアリールメタン系色素
の構造を例示した図である。
【図10】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図11】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図12】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図13】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図14】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図15】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図16】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図17】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図18】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図19】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図20】本発明に用いられるトリアリールメタン系色
素の構造を例示した図である。
【図21】本発明の実施に好適な光学装置の機能構成を
示すブロック図である。
【図22】本発明の実施に好適な光学装置の機能構成を
示すブロック図である。
【図23】本発明の実施に好適な光学装置の機能構成を
示すブロック図である。
【図24】本発明の実施に好適な光学装置の機能構成を
示すブロック図である。
【図25】制御光および信号光の光強度時間変化を例示
した図である。
【図26】実施例1の膜型光学素子の透過率スペクトル
を示す図である。
【図27】実施例2の膜型光学素子の透過率スペクトル
を示す図である。
【図28】実施例3のファイバー型光学素子の透過率ス
ペクトルを示す図である。
【図29】実施例4の平面導波路型光学素子の透過率ス
ペクトルを示す図である。
【図30】集光レンズなどで収束されたガウスビームの
焦点近傍における様子を表した模式図である。
【図31】制御光および信号光の光路(および光軸)の
関係を例示した図である。
【図32】本発明の実施に好適な光学装置の機能構成を
示すブロック図である。
【符号の説明】
1 制御光の光源、 2 信号光の光源、 3 NDフ
ィルター、 4 シャッター、 5 半透過鏡、 6
光混合器、 7 集光レンズ、 8 本発明の光学素子
(膜型)、 9 受光レンズ、 10 波長選択透過フ
ィルター(信号光遮断用)、 11 光検知器(制御光
の光強度検出用)、 12 本発明の光学素子(ファイ
バー型)、 13 プリズム、 14 凹面鏡、 15
制御光および信号光の光ビーム交点、 16 基板、
17 本発明の光学素子(平面光導波路型)、 18
プリズム、 19 受光レンズ、 20 波長選択透
過フィルター(制御光遮断用)、 22 光検知器(信
号光の光強度検出用)、23 絞り、 30 波面、
100 オシロスコープ、 111 光検出器11から
の信号(制御光の光強度時間変化曲線)、 222およ
び223 光検出器22からの信号(信号光の光強度時
間変化曲線)、 A 制御光を遮断した状態で信号光の
光源を点灯した場合の光検出器22の出力レベル、 B
信号光の光源を点灯した状態で制御光を照射した場合
の光検出器22の出力レベル、 C信号光を消灯した状
態の光検出器22の出力レベル、 d78 集光レンズ7
と光制御素子8の距離、 d89 光制御素子8と受光レ
ンズ9の距離、 Fc 焦点、 L01、L+1、L-1およ
びL02 信号光または制御光の光ビーム断面、 l+1
よびl-1 信号光または制御光の光軸の平行移動距離、
1 信号光または制御光の光ビーム断面L01、L+1
またはL-1の半径、 r2 信号光または制御光の光ビ
ーム断面L02の半径、 t1 信号光の光源を点灯した
時刻、 t2制御光を遮断していたシャッターを開放し
た時刻、 t3 制御光をシャッターで再び遮断した時
刻、 t4 制御光を遮断していたシャッターを開放し
た時刻、 t5 制御光をシャッターで再び遮断した時
刻、 t6 信号光の光源を消灯した時刻、 θ 集光
レンズで収束させた光ビームの外周部が光軸となす角
度、 ω0 集光レンズで収束させたガウスビームのビ
ームウエスト(焦点位置におけるビーム半径)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 甲斐 正勝 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12 番地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 上野 一郎 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12 番地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 田中 教雄 東京都足立区堀之内1丁目9番4号 大 日精化工業株式会社 東京製造事業所内 (72)発明者 宝田 茂 東京都足立区堀之内1丁目9番4号 大 日精化工業株式会社 東京製造事業所内 (56)参考文献 特開 平6−118459(JP,A) 特開 昭61−129621(JP,A) Springer Ser.Che m.Phys.,1990年,Vol.53, 504−506 Applied Spectrosc opy,1994年,Vol.48,No. 12,1506−1512 Pure Appl.Opt.,1994 年,Vol.3,No.3,339−351 Wuli Xuebao,1995年,V ol.44,No.3,419−426 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/35 G02F 1/19 G02F 1/17 CA(STN) JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光応答性組成物から成る光学素子に、前
    記光応答性組成物が感応する波長の制御光を照射し、制
    御光とは異なる波長帯域にある信号光の透過率および/
    または屈折率を可逆的に変化させることにより前記光学
    素子を透過する前記信号光の強調変調および/または光
    束密度変調を行う光制御方法であって、前記制御光およ
    び前記信号光を各々収束させて前記光学素子へ照射し、
    かつ、前記制御光および前記信号光を前記光学素子中に
    おいて実質的に同一光路で伝搬させるように、また、前
    記制御光および前記信号光の光路をそれぞれ配置し、 更に前記光学素子中の前記光応答性組成物を透過した
    後、発散していく信号光光線束を、凸レンズまたは凹面
    鏡で受光することによって、 前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた
    領域の信号光光線束を分別して取り出すことを特徴とす
    る光制御方法であって、 特定の波長の光に感応して他の波長の光の透過率および
    /または屈折率を可逆的に変化させる光応答性組成物で
    あって、色素として下記の一般式〔I〕で表されるトリ
    アリールメタン系色素を含有することを特徴とする光応
    答性組成物から成る光学素子を用いることを特徴とする
    光制御方法。 [φ1 φ2 φ3 C]+ X- …〔I〕 ここで、φ1 、φ2 およびφ3 は、炭素原子で中心炭素
    原子に結合している1価または2価の芳香族炭化水素残
    基または芳香族複素環残基を表し、これらの残基は置換
    基を有しても良く、X- は、上記トリアリールメチルカ
    チオンに対して化学的に不活性なカウンターアニオンを
    表す。
  2. 【請求項2】 光応答性組成物から成る光学素子に、前
    記光応答性組成物が感応する波長の制御光を照射し、制
    御光とは異なる波長帯域にある信号光の透過率および/
    または屈折率を可逆的に変化させることにより前記光学
    素子を透過する前記信号光の強調変調および/または光
    束密度変調を行う光制御方法であって、前記制御光およ
    び前記信号光を各々収束させて前記光学素子へ照射し、
    かつ、前記制御光および前記信号光を前記光学素子中に
    おいて実質的に同一光路で伝搬させるように、また、前
    記制御光および前記信号光の光路をそれぞれ配置し、 更に前記光学素子中の前記光応答性組成物を透過した
    後、発散していく信号光光線束を、凸レンズまたは凹面
    鏡で受光することによって、 前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた
    領域の信号光光線束を分別して取り出すことを特徴とす
    る光制御方法であって、 特定の波長の光に感応して他の波長の光の透過率および
    /または屈折率を可逆的に増減させる光応答性組成物で
    あって、色素として下記の一般式〔II〕で表されるト
    リアリールメタン系色素を含有することを特徴とする光
    応答性組成物から成る光学素子を用いることを特徴とす
    る光制御方法。 φ4 φ5 C=φ6 =O …〔II〕 ここで、φ4 およびφ5 は、炭素原子で中心炭素原子に
    結合している1価の芳香族炭化水素残基または芳香族複
    素環残基を表し、これらの残基は置換基を有しても良
    い。φ6は、2個の炭素原子で中心炭素原子および酸素
    原子に各々二重結合で結合しているキノイド型の芳香族
    炭化水素残基または芳香族複素環残基を表し、この残基
    は置換基を有しても良い。
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