JP3869922B2 - 光学素子、光学素子を用いた偏向素子、光制御方法および光制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、光情報処理などの光エレクトロニクス(フォトニクス)の分野において有用な、光学素子、それを用いる偏向素子、光制御方法および光制御装置に関するものである。特に光学素子の屈折率の変化に基づいて、光(信号光)の偏向を行う光学素子、この光学素子を用いた偏向素子、光制御方法、光制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光を偏向する手段としては、次のような方法が一般に採られている。
【0003】
(1)機械的にミラーを振る。
【0004】
(2)機械的にポリゴンミラーを回転させる。
【0005】
(3)音響光学効果を用いる。
【0006】
(4)電気光学効果を用いる。
【0007】
しかしながら、機械的にミラーを振る偏向方法は安価であるが、精度が悪く、また高周波数まで応答できないという欠点を有する。ポリゴンミラーを用いる方法は、大変高価である。音響光学効果を用いる方法は、高価で、レンズなどを用いて集光しないと高周波数まで応答しないという欠点を有する。また、電気光学効果を用いる方法は、高価で、大きく、また偏向角が小さいという欠点を有する。
【0008】
係る事情に鑑み、温度により、媒体内に屈折率分布を生じさせ、光を変調する方法が、特開昭60−14221号公報に提案されている。この特開昭60−124221号公報に開示された手法は、発熱抵抗体で媒体に熱を与え、媒体内に屈折率分布を生じさせ、光を偏向している。そして、この偏向した光が遮光板で遮光されるか否かにより、光スポットを点滅させるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特開昭60−124221号公報に開示された手法は、発熱抵抗体で発熱させ、熱伝導で媒体を加熱することになるので、「熱の広がり」という問題を本来的に有する。つまり、熱の広がりにより、広い面積内で微細な熱勾配を与えることができず、所望の屈折率分布を得るのが困難である。更に、発熱抵抗体の微細加工は半導体集積回路で用いられているフォトリソグラフィ技術を採用しても、現実には極めて困難であり、一定の限界を有し、素子が大型化せざるを得ない。素子が大型化すれば、それに伴い光学系も複雑かつ大型化する。また、発熱抵抗体で発熱させ、熱伝導で媒体を加熱することになるので、応答が遅く、屈折率変化の周波数を上げることができないという不具合を本質的な問題として有している。
【0010】
上記問題点を鑑み、本発明は所定の領域にくさび形の屈折率分布を持たせ、この屈折率分布により、透過する光(信号光)を所望の偏向角に正確に偏向させることのできる光学素子を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、屈折率変化の周波数を上げ、この屈折率変化を用いた高速の偏向制御を可能とする光学素子を提供することである。
【0012】
本発明の更に他の目的は、できる限り低い光パワーで充分な偏向角の光偏向を可能とする光学素子を提供することである。
【0013】
本発明の更に他の目的は、安価でしかも精度の高い偏向素子を提供することである。
【0014】
本発明の更に他の目的は、高速の偏向制御を可能とする偏向素子を提供することである。
【0015】
本発明の更に他の目的は、できる限り低い光パワーで充分な偏向角の光偏向が可能な偏向素子を提供することである。
【0016】
本発明の更に他の目的は、簡単かつ正確に光を偏向させることができる光制御方法を提供することである。
【0017】
本発明の更に他の目的は、光学素子中の屈折率変化の周波数を上げ、この結果、高速の偏向制御を可能とする光制御方法を提供することである。
【0018】
本発明の更に他の目的は、できる限り低い光パワーで充分な偏向角の光偏向を行い、より省エネルギーかつ経済的な光制御方法を提供することである。
【0019】
本発明の更に他の目的は、装置構成が簡単で価格が安く、かつ正確に光を偏向させることができる光制御装置を提供することである。
【0020】
本発明の更に他の目的は、装置構成がコンパクトで、しかも高速の偏向制御が可能な光制御装置を提供することである。
【0021】
本発明の更に他の目的は、できる限り低い光パワーで充分な偏向角の光偏向が可能で、ランニングコストが低い光制御装置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴は、くさび形の光強度分布で光を照射されることにより、内部にくさび形の屈折率分布を形成すべく構成された光応答組成物からなる光学素子であることである。内部にくさび形の屈折率分布を形成するためには、光強度分布をくさび形にするための強度分布調整手段を光学素子の近傍等所定の位置関係で配置し、光学素子中にくさび形の温度分布を形成すれば良い。この光学素子に対して光学素子が吸収する波長のレーザ光等の制御光を選択して照射することは勿論である。そしてこの光学素子を用いて、信号光の偏向を行うためには、制御光とは異なる波長の信号光をくさび形の屈折率分布で偏向させ、信号光のみを取り出すようにすれば良い。例えば、強度分布調整手段は、四角あるいは長方形の窓を持ち、この窓を透過した光の強度分布がくさび形になる様にしたフィルターで構成すれば良い。光で光応答組成物の所定の部分を直接加熱しているので発熱体自身の昇温に要する時間遅れや、熱伝導に必要な時間遅れはないため高速に所望の温度分布が達成される。このため、極めて短時間で所望の屈折率分布が形成できる。そして光学素子中の光応答組成物に照射する制御光の強度を変える(例えば、光源からの出射光パワーを変える)ことにより、屈折率を変化させ偏向角を所定の範囲で自由に変えることが可能である。また、光応答組成物は、公知の技術により簡単に製造できるので、本発明の第1の特徴の光応答組成物からなる光学素子の価格は安い。
【0023】
本発明の第2の特徴は、光応答組成物からなる光学素子と、この光学素子にくさび形の光強度分布で光を照射するための強度分布調整手段とから少なくとも構成され、制御光により光学素子中に温度分布を形成しこの温度分布による屈折率分布により制御光とは異なる波長の信号光の偏向を行う偏向素子であることを特徴とする。本発明の第2の特徴の強度分布調整手段は、四角あるいは長方形の窓を持ち、この窓を透過した光の強度分布がくさび形になる様にしたフィルターで構成すれば良い。強度分布調整手段の窓に、光源から出た光(例えば半導体レーザ光)を照射し、この窓を透過した光を光学素子中の光応答組成物に結像することにより光学素子中に所定の熱エネルギー分布(温度分布)が形成され、この結果くさび形の屈折率分布が形成される。光で光応答組成物の所定の部分を直接加熱しているので短時間で所望の温度分布および屈折率分布が形成できる。このため偏向周波数は高く、10kHz程度は容易に達成できる。光応答組成物を選べば、1MHz程度の高い偏向周波数も可能である。そして光学素子中の光応答組成物に照射する制御光強度を変える(例えば、光源からの出射光パワーを変える)ことにより、屈折率を変化させ偏向角を変えることが可能である。光で光応答組成物の所定の部分を直接加熱しているので加熱効率は高く、低い光パワーで所定の範囲の偏向角を自由に変えられる。
【0024】
本発明の第3の特徴は、光応答組成物からなる光学素子にこの光学素子が吸収する波長の制御光をくさび形の光強度分布を持たせて照射するステップと、この制御光の照射により光学素子中にくさび形の屈折率分布を形成するステップと、くさび形の屈折率分布を有した光学素子に制御光とは異なる波長の信号光を照射し、信号光の偏向を行い、光を制御するステップとから少なくとも構成される光学素子を用いた光制御方法であることである。くさび形の光強度分布を持たせるためには、四角あるいは長方形の窓を持ち、この窓を透過した光の強度分布がくさび形になる様にしたフィルターを用いれば良い。このフィルターの窓に、光源から出た光を照射し、この窓を透過した光を光学素子中の光応答組成物に結像することにより光学素子中に所定の熱エネルギー分布(温度分布)が形成され、この結果くさび形の屈折率分布が形成される。光で光応答組成物の所定の部分を直接を加熱しているので高速に温度分布および屈折率分布が形成できる。このため偏向周波数は高く、10kHz程度は容易に達成できる。光応答組成物を選べば、1MHz程度の高い偏向周波数も可能である。そして光学素子中の光応答組成物に照射する制御光強度を変えることにより、屈折率を変化させ偏向角を高速に変えることが可能である。。光で光応答組成物の所定の部分を直接加熱しているのでエネルギー効率は高く、大きな偏向角が得られる。従って、低い光パワーで所定の範囲の偏向角が自由に変えられる。
【0025】
本発明の第4の特徴は、光応答組成物からなる光学素子と、光学素子にくさび形の光強度分布で光を照射するための強度分布調整手段とから少なくともなる偏向素子と;この光学素子が吸収する波長の光(制御光)を出力する第1の光源と;第1の光源とは異なる波長の光(信号光)を出力する第2の光源とから少なくとも構成され、第1の光源の光(制御光)により光学素子中に屈折率分布を発生させ、この屈折率分布により第2の光源の光(信号光)の偏向を制御する光学素子を用いた光制御装置であることである。本発明の第3の特徴における強度分布調整手段は、四角あるいは長方形の窓を持ち、この窓を透過した光の強度分布がくさび形になる様にしたフィルターで構成すれば良い。強度分布調整手段の窓に、光源から出た光(制御光)を照射し、この窓を透過した光を光学素子中の光応答組成物に結像することにより光学素子中に所定の熱エネルギー分布(温度分布)が形成され、この結果くさび形の屈折率分布が形成される。光で光応答組成物の所定の部分を直接を加熱しているので高速に温度分布および屈折率分布が形成できる。このため偏向周波数は高く、10kHz程度は容易に達成できる。更に、光応答組成物を選べば、1MHz程度の高い偏向周波数も可能である。そして光学素子中の光応答組成物に照射する制御光強度を変えることにより、偏向角を変えることが可能である。光で光応答組成物の所定の部分を直接加熱しているのでエネルギー効率は高く、装置の消費電力は小さい。そして、低い光パワーで、所定の範囲の偏向角を自由に変えられ、効率的である。本発明の第4の特徴において第1の光源の光(制御光)および第2の光源の光(信号光)をほぼ同じ光軸にして光学素子に入射させるためにはビームスプリッター等の光混合器を用いれば良い。また光学素子から出力される信号光と制御光とを分離するためには所定の波長選択フィルターを用いれば良い。その他、光学素子に定められた大きさのビーム径で効率良く制御光および信号光を入射させるためには公知のレンズ等を用いた光学系を用いれば良いことは勿論である。いずれにしても、簡単な装置構成で光制御装置ができるので、装置全体がコンパクトになり、その価格も安い。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る光制御装置の概略構成例を示す。本発明の第1の実施の形態に係る光制御装置は、図1に概要を例示するように制御光の光源(第1の光源)11、信号光の光源(第2の光源)12、光変調器3、シャッター4、レンズ群5、NDフィルター6、レンズ7、光混合器8、本発明の光学素子9、波長選択透過フィルター10から構成されている。
【0028】
制御光の光源11にはレーザ装置が好適である。本発明の第1の実施形態に係る光制御装置は制御光としてガスレーザや固体レーザを用いる場合の例である。その発振波長および出力は、本発明の光制御方法が対象とする信号光の波長および使用する光応答性組成物の応答特性に応じて適宜選択される。レーザ発振の方式については特に制限はなく、発振波長帯域、出力、および経済性などに応じて任意の形式のものを用いることができる。また。レーザ光源の光を非線形光学素子によって波長変換してから使用しても良い。具体的には例えば、アルゴンイオンレーザ(発振波長457.9ないし514.5nm)、ヘリウム・ネオンレーザ(633nm)などの気体レーザ、ルビーレーザやNd:YAGレーザなどの固体レーザ、色素レーザなどを好適に使用することができる。信号光の光源(第2の光源)12は制御光の光源(第1の光源)11とは異なる波長のレーザ装置を用いる。また、信号光の光源12にはレーザ光源からのコヒーレント光だけではなく非コヒーレント光を使用することもできる。また、レーザ装置の他に、発光ダイオード、ネオン放電管など、単色光を与える光源や、タングステン電球、メタルハライドランプ、キセノン放電管などからの連続スペクトル光を光フィルターやモノクロメーターで単色化して用いても良い。
【0029】
光変調器3は、偏向角を変えるために制御光強度を変化させるために用いる。例えば、AO変調器やEO変調器を用いれば良い。シャッター4は、制御光が必要でないときに遮光するために用いられるものであり、光変調器3で代用するときは用いる必要はない。シャッター4を使用する場合、その形式としては任意のものを使用することができ、例えば、オプティカルチョッパ、メカニカルシャッター、液晶シャッター、光カー効果シャッター、ポッケルセル、光音響素子などのうちから、シャッター自体の作動速度を勘案して適宜選択して使用することができる。
【0030】
レンズ群5は、制御光の光源11であるガスレーザや固体レーザの光を定められた大きさにして光学素子9に照射するために用いる。
【0031】
NDフィルター6は制御光の強度分布を図2に示すようにくさび形にするために用いる。図2において、制御光の光軸方向をx軸とし、y軸は図1で紙面に垂直方向であり、z軸は紙面内で制御光の光軸(x軸)に垂直な方向である。
【0032】
レーザ光の強度分布は、図3(a)に示すようにガウス分布している。レンズ口径がレーザ光よりも大きければ、レンズを通過したレーザ光もガウス分布している。このままではNDフィルター6に入射するレーザ光はガウス分布している。本発明の第1の実施形態の光制御装置においては、このガウス分布したレーザ光の一部分を、図3(b)に示すようなy−z平面において、レーザ光透過窓63を用いて抜き出す。図3(b)で、外周62は、同心円上のガウス分布においてレーザ光強度がほぼ0%と見なせる位置、即ちビーム径である。即ち、ガウス分布したレーザ光の一部分を抜き出すために、NDフィルター6の前あるいは光学素子9の前に、所定のレーザ光透過窓63を設置する。このレーザ光透過窓は、図3(b)に示すように、y軸方向の一方の辺(下辺)が、ガウス分布の最大強度(100%)の位置を通る線分、y軸方向の他方の辺(上辺)がガウス分布の中心強度の約30%の位置を通る線分、z軸方向の両方の辺(右辺および左辺)がガウス分布の約70%の位置を通る線分で構成されような矩形の窓である。このレーザ光透過窓は光学素子9上で大きさが約0.03mm角乃至0.1mm角である。この図1では省略したレーザ光透過窓63とNDフィルター6との組み合わせで本発明の強度分布調整手段を構成し、図2に示すようなz軸方向に屈折率が変化したくさび形の光強度分布にする。そして、この本発明の強度分布調整手段と光学素子9とで、本発明の偏向素子を構成している。
【0033】
光学素子9には、図2のようなくさび形の光強度分布を持った光が入射し、光を吸収した光学素子9は光吸収に起因する熱により屈折率変化をおこす。屈折率の変化は、入射光強度がある値以下では、ほぼ光の入射強度に比例する。よって一次元方向でくさび形の光を入射させると、z軸方向に屈折率が変化したくさび形の屈折率分布が生じる。この光学素子9に用いられる光応答組成物としては化合物半導体の単結晶等の公知の種々のものを用いれば良い。これらの光応答組成物の具体例については後述する。
【0034】
信号光を光混合器8を用いて制御光とほぼ同じ光軸にして光学素子9に入射させると、信号光はz軸方向に屈折率が変化したくさび形の屈折率分布によって偏向する。偏向する角度(偏向角)は、0゜ないし30゜の範囲で、制御光のパワーによって変えられる。制御光のパワーがゼロのときは、偏向はしない。制御光のパワーをゼロから上げるに従って偏向角が増大する。光で光応答組成物の所定の部分を直接加熱しているのでエネルギー効率は高く、例えばヘリウム・ネオンレーザ(633nm)を制御光とした場合には、20ないし130mW程度の低い光パワーで、所望の偏向角を(0゜ないし30゜の範囲で)自由に得ることができる。光混合器8は、光学素子に入射する制御光および信号光の光路を調節するために用いるものである。偏光ビームスプリッター、非偏光ビームスプリッター、又はダイクロイックミラーのいずれも使用することができる。
【0035】
波長選択フィルター10により、制御光をカットし、信号光のみを透過させ、信号光の偏向を行う。波長の異なる信号光と制御光とを分離するための手段としては他に、プリズム、回折格子、ダイクロイックミラーなどを使用することができる。波長選択透過フィルター10としては、制御光の波長帯域の光を完全に遮断し、一方、信号光の波長帯域の光を効率良く透過することのできるような波長選択透過フィルターであれば、公知の任意のものを使用することができる。例えば、色素で着色したプラスチックやガラス、表面に誘電体多層蒸着膜を設けたガラスなどを用いることができる。
【0036】
ここで、光学素子9に用いる光応答組成物の具体例について述べる。この光応答組成物は、制御光をくさび形の光強度分布を持たせて照射し、制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に屈折率の変化を生じさせような光吸収性の材料であれば良い。例えば、
(a)化合物半導体の単結晶、あるいはこの化合物半導体の微粒子をマトリックス材料中へ分散したもの。化合物半導体としては、例えば、GaAs、GaAsP、GaAlAs、InP、InAs、PbTe、InGaAsP、ZnSeなどを用いれば良い。
【0037】
(b)単元素半導体の単結晶薄膜、多結晶薄膜ないし多孔質薄膜、又はこの単元素半導体の微粒子をマトリックス材料中へ分散したもの。単元素半導体としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)などを用いれば良い。
【0038】
(c)異種金属イオンをドープした金属ハロゲン化物の単結晶、又は、この金属ハロゲン化物の微粒子をマトリックス材料中へ分散したもの。金属ハロゲン化物としては臭化カリウム、塩化ナトリウム、臭化銅、塩化銅、塩化コバルトなどを用いれば良い。
【0039】
(d)銅などの異種金属イオンをドープしたCdS、CdSe、CdSeS、CdSeTeなどのカドミウムカルコゲナイドの単結晶、又はこれらのカドミウムカルコゲナイドの微粒子をマトリックス材料中に分散したもの。
【0040】
(e)ルビー、アレキサンドライト、ガーネット、Nd:YAG、サファイア、Ti:サファイア、Nd:YLFなど、金属イオンをドープした宝石に相当する単結晶(いわゆるレーザ結晶);金属イオン(例えば、鉄イオン)をドープしたニオブ酸リチウム(LiNbO3 )、LiB3 O5 、LiTaO3 、KTiOPO4 、KH2 PO4 、KNbO3 、BaB2 O2 などの強誘電性結晶;金属イオン(例えば、ネオジウムイオン、エルビウムイオンなど)をドープした石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、その他のガラス。
【0041】
(f)マトリックス材料中に色素を溶解又は分散したもの。
【0042】
が挙げられる。
【0043】
これらの光応答組成物(光吸収性の材料)の中でも、(f)のマトリックス材料中に色素を溶解又は分散したものは、マトリックス材料および色素の選択範囲が広く、かつ薄膜光素子への加工も容易であるため、本発明で特に好適に用いることができる。本発明の第1の実施形態に係る光制御装置の偏向周波数は高く、10kHz程度は容易に達成できるが、特に上記の光応答組成物の内から適切な光吸収性の材料を選べば、100kHzないし1MHz程度の高い偏向周波数も可能である。
【0044】
本発明で用いることができる色素の具体例としては、例えば、ローダミンB、ローダミン6G、エオシン、フロキシンBなどのキサンテン系色素、アクリジンオレンジ、アクリジンレッドなどのアクリジン系色素、エチルレッド、メチルレッドなどのアゾ色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、3、3’−ジエチルチアカルボシアニンヨージド、3、3’−ジエチルオキサジカルボシアニンヨージドなどのシアニン色素、エチル・バイオレット、ビクトリア・ブルーRなどのトリアリールメタン系色素などを好適に使用することができる。
【0045】
本発明では、これらの色素を単独で、又は、2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
本発明で用いることのできるマトリックス材料は、
(1)本発明の光制御方法で用いられる光の波長領域で透過率が高いこと、
(2)本発明で用いられる色素又は種々の微粒子を安定性良溶解又は分散できること、
(3)必要に応じて自己形態保持性であること、
という条件を満足するものであれば任意のものを使用することができる。
【0047】
無機系のマトリックス材料としては、例えば金属ハロゲン化物の単結晶、金属酸化物の単結晶、金属カルコゲナイドの単結晶、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラスなどの他、いわゆるゾルゲル法で作成された低融点ガラス材料などを使用することができる。また、有機系のマトリックス材料としては、例えば種々の有機高分子材料を使用することができる。
【0048】
これらのマトリックス材料中へ色素を溶解又は分散させるには公知の方法を用いることができる。例えば、(イ)色素とマトリックス材料を共通の溶媒中へ溶解して混合した後、溶媒を蒸発させて除去する方法;(ロ)ゾルゲル法で製造する無機系マトリックス材料の原料溶液へ色素を溶解又は分散させてからマトリックス材料を形成する方法、(ハ)有機高分子系マトリックス材料のモノマー中へ、必要に応じて溶媒を用いて、色素を溶解又は分散させてからこのモノマーを重合ないし重縮合させてマトリックス材料を形成する方法;あるいは(ニ)色素と有機高分子系マトリックス材料を共通の溶媒中に溶解した溶液を、色素および熱可塑性の有機高分子系マトリックス材料の両方が不溶の溶剤中へ滴下し、生じた沈殿を濾別し乾燥してから加熱・溶融加工する方法などを好適に用いることができる。色素とマトリックス材料の組み合わせおよび加工方法の工夫で色素分子を凝集させ、「H会合体」や「J会合体」などと呼ばれる特殊な会合体を形成させられることが知られているが、マトリックス材料中の色素分子をこの様な凝集状態もしくは会合状態を形成する条件で使用しても良い。
【0049】
また、これらのマトリックス材料中へ上述した半導体や金属ハロゲン化物等の種々の微粒子を分散させるには公知の方法を用いることができる。例えば(イ)これらの微粒子をマトリックス材料の溶液、又は、マトリックス材料の前駆体の溶液に分散した後、溶媒を除去する方法;(ロ)有機高分子系マトリックス材料のモノマー中へ、必要に応じて溶媒を用いて、微粒子を分散させてからモノマーを重合ないし重縮合させてマトリックス材料を形成する方法;(ハ)微粒子の前駆体として、例えば過塩素酸カドミウムや塩化金などの金属塩を有機高分子系マトリックス材料中へ溶解又は分散した後、硫化水素ガスで処理して硫化カドミウムの微粒子を、又は、熱処理することで金の微粒子を、それぞれマトリックス材料中に析出させる方法;(ニ)あるいは化学的気相成長法(CVD)においてこれらの微粒子を含むドーパントガスを用いてマトリックス材料を成長する方法や、スパッタリング法においてこれらの微粒子を含むターゲットを用いてマトリックス材料を堆積する方法等を好適に用いることができる。
【0050】
なお、本発明の光学素子9で用いられる光応答組成物は、その機能に支障をきたさない範囲において、加工性を向上させたり、光学素子としての安定性・耐久性を向上させるため、添加物として公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、一重項酸素クエンチャー、分散助剤などを含有しても良い。
【0051】
[光学素子の作成方法]
本発明の光学素子9の作成方法は、光学素子9の構成および使用する材料の種類に応じて任意に選定され、公知の方法を用いることができる。例えば、
(A)光学素子中の光応答組成物に用いられる光吸収性の材料が、単結晶の場合は、単結晶の切削・研磨加工によって、光吸収層膜を作成することができる。
【0052】
(B)色素を含有したマトリックス材料からなる光吸収層膜と、光学ガラスを組み合わせて用いた薄膜状光学素子を作成する場合は、以下に列挙するような方法によって、光吸収層膜を作成することができる。
【0053】
(イ)色素およびマトリックス材料を溶解した溶液を、伝熱層膜として用いられる光学ガラス基板上に塗布法、ブレードコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法などの塗工法で塗工するか、あるいは、平版、凸版、凹版、孔版、スクリーン、転写などの印刷法で印刷して光吸収膜層を形成する方法。この場合、光吸収膜層の形成にゾルゲル法による無機系マトリックス材料作成方法を利用することもできる。
【0054】
(ロ)電着法、電解重合法、ミセル電解法(特開昭63−243298号公報)などの電気化学的成膜手法で光学ガラス基板上に堆積する方法。
【0055】
(ハ)水の上に形成させた単分子膜を光学ガラス基板上に移し取るラングミア・ブロジェット法。
【0056】
(ニ)光吸収層膜を形成する有機高分子系マトリックス材料が熱可塑性の場合、ホットプレス法(特開平4−99609号公報)や延伸法を用いても薄膜ないし厚膜状の模型光学素子を光学ガラス基板上に作成することができる。
【0057】
(ホ)原料モノマーの重合ないし重縮合反応を利用する方法として、例えば、モノマーが液体の場合、キャスティング法、リアクッション・インジェクション・モールド法、および、光重合法など手法で光学ガラス基板上に堆積する方法。更に、この液体を気化させればプラズマ重合法を用いることも可能である。
【0058】
(ヘ)昇華転写法、真空蒸着法、イオンビーム法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、有機分子線蒸着法(有機MBE法)などの方法で光学ガラス基板上に堆積する方法。
【0059】
(ト)2成分以上の有機系光学材料を溶液又は分散液状態で各成分毎に設けた噴霧ノズルから高真空容器内に噴霧して基板上に堆積させ、加熱処理することによる複合型光学薄膜の製造方法(特許第2599569号)を利用することもできる。
【0060】
(C)更に、これらの光学ガラスを組み合わせて用いた薄膜状光学素子以外にも、色素を溶液に溶解又は分散状態にし、薄いセルに入れた状態で使用することも可能である。
【0061】
(第2の実施の形態)
図4には本発明の第2の実施形態の光制御装置の概略構成例が示されている。第2の実施の形態は制御光として半導体レーザを用いる例である。図4に概要を例示するように、本発明の第2の実施形態に係る光制御装置は、制御光の光源(第1の光源)としての半導体レーザ21、信号光の光源(第2の光源)22、レンズ群5、NDフィルター6、レンズ7、光混合器8、本発明の光学素子9、波長選択透過フィルター10から構成される。
【0062】
半導体レーザ21はGaAs、InGaP、InGaAlP、InGaAlAs、GaAlAsSb、GaN系等の発振波長および出力に応じて適宜選択される。特に制御光の光源としての半導体レーザの波長は信号光の光源22の波長とは異なる波長となるように選ぶ。また光学素子9の光吸収特性を考慮して選ぶ。半導体レーザ21の光を非線形光学素子によって波長変換してから使用しても良い。
【0063】
図4に示す構成は基本的に図1に示す構成と共通する部分を有するが、図1に示した光変調器3やシャッター4は不用である。半導体レーザを駆動する電源を制御し、半導体レーザの出力を容易に変調したりオン・オフできるからである。信号光の光源22にも半導体レーザを用いることが好ましいが、半導体レーザ以外のガスレーザや固体レーザを用いることを妨げるものではない。またこれらのレーザ光源からのコヒーレント光だけではなく非コヒーレント光を使用することもできる。また、レーザ装置以外でも、発光ダイオード、ネオン放電管など、単色光を与える光源や、タングステン電球、メタルハライドランプ、キセノン放電管などからの連続スペクトル光を光フィルターやモノクロメーターで単色化して用いても良い。
【0064】
本発明の第2の実施の形態においては信号光の光源22として半導体レーザ(発振波長780nm、連続発振出力3mW)の出射光をほぼ平行光にして光学素子上に約50μmで照射して用い、一方、制御光の光源21として半導体レーザ(発振波長694nm、ビーム断面のエネルギー分布はガウス分布、出力最大50mW)を用いた場合について説明する。
【0065】
レンズ群5は、半導体レーザ21からの出力光を定められた大きさにして光学素子9に照射するために用いる。半導体レーザ21からの出力光のビーム広がり角は、一般に楕円状で活性層に垂直な方向では30度前後、活性層に水平な方向では10度前後である。この様な広がり角を持ったレーザ光の大きさを水平方向の広がりも垂直方向の広がりもほぼ同じにして光学素子9に照射するために、垂直方向にレンズ作用を持つ焦点距離が約10mmのシリンドリカルレンズ51と水平方向にレンズ作用を持つ焦点距離が約30mmのシリンドリカルレンズ52を用いた。
【0066】
NDフィルター6は制御光の強度分布を第1の実施の形態で説明した図2に示すようにくさび形にするために用いる。レーザ光の強度分布は、図3に示したようにガウス分布している。レンズ口径がレーザ光よりも大きければ、レンズを通過したレーザ光もガウス分布している。本発明の第2の実施形態の光制御装置においては、このガウス分布したレーザ光の一部分をレーザ光透過窓(図4では省略してある)を用いて抜き出す。即ち、ガウス分布したレーザ光の一部分を抜き出すために、NDフィルター6の前あるいは光学素子9の前に、所定のレーザ光透過窓を設置する。このレーザ光透過窓は、第1の実施の形態で説明したように、ガウス分布の中心強度の100%の位置を取り囲み、z軸方向に関し非対称に配置される矩形の窓である。この図4では図示を省略したレーザ光透過窓とNDフィルター6との組み合わせで本発明の強度分布調整手段を構成し、図2に示すような光強度分布にする。そして、この本発明の強度分布調整手段と光学素子9とで、本発明の偏向素子を構成している。光学素子9には、図2のようなくさび形の光強度分布を持った光が入射し、光を吸収した光学素子9は光吸収に起因する熱により屈折率変化をおこす。屈折率の変化は、入射光強度がある値以下では、ほぼ光の入射強度に比例する。よって一次元方向でくさび形の光を入射させると、くさび形の屈折率分布が生じる。この光学素子9としては第1の実施の形態において説明した半導体単結晶薄膜、金属ハロゲン化物単結晶薄膜、マトリックス材料中に色素を溶解(又は分散)したものなどの光応答組成物(光吸収性の材料)を用いれば良い(より具体的には第1の実施の形態を参照されたい)。
【0067】
本発明の第2の実施形態に係る光制御装置において、信号光を光混合器8を用いて制御光とほぼ同じ光軸にして光学素子9に入射させると、信号光は偏向する。偏向する角度は、制御光の半導体レーザ21のパワーによって変えられる。制御光のパワーがゼロのときは、偏向はしないが、制御光のパワーを上げるに従って偏向角が増大する。光混合器8は、光学素子9に入射する制御光および信号光の光路を調節するために用いるものである。偏光ビームスプリッター、非偏光ビームスプリッター、又はダイクロイックミラーのいずれも使用することができる。
【0068】
波長選択フィルター10により、制御光をカットし、信号光のみを透過させ、信号光の偏向を行う。波長の異なる信号光と制御光とを分離するための手段としては他に、プリズム、回折格子、ダイクロイックミラーなどを使用することができる。波長選択透過フィルター10としては、制御光の波長帯域の光を完全に遮断し、一方、信号光の波長帯域の光を効率良く透過することのできるような波長選択透過フィルターであれば、公知の任意のものを使用することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明によれば、素子内の屈折率分布により、素子を透過する光(信号光)を所望の偏向角に正確に偏向させることのできる光学素子を提供することができる。
【0070】
更に本発明によれば、光で加熱しているため光学素子の所望の領域のみを短時間で加熱でき、屈折率変化の周波数を上げることが容易である。従って、10kHzないし1MHz程度の高い偏向周波数での偏向制御を可能とする光学素子を提供することができる。またこれに必要な光パワーは20ないし130mW程度の低い光パワーで充分であり、0゜ないし30゜の範囲の偏向角を自由に変えられる。これらの値は、光学素子9上で大きさが約0.1mm角に光が照射された場合であり、光の照射面積を約0.03mm角にすれば、必要なパワーは2乃至13mW程度で十分となる。
【0071】
更に本発明によれば、安価でしかも精度の高い偏向素子を提供することができる。この偏光素子は10kHzないし1MHz程度の高い偏向周波数が可能である。
【0072】
更に本発明によれば、簡単かつ正確に、0゜ないし30゜の範囲の偏向角で光を偏向させることができる光制御方法を提供することができる。この光制御方法によれば10kHzないし1MHz程度の高い偏向周波数が可能であり、偏向制御に必要な光パワーは20ないし130mW程度の低い光パワーで充分であるため、より省エネルギーかつ経済的な光制御方法を提供することができる。
【0073】
更に本発明によれば、装置構成が簡単で価格が安く、かつ正確に光を偏向させることができる光制御装置を提供することができる。この光制御装置は10kHzないし1MHz程度の高い偏向周波数が可能であり、光通信や光情報処理に適用すれば大量の情報を処理することができる。また偏向制御に必要な光パワーは例えば、20ないし130mW程度の低い光パワーで充分であり、ランニングコストが低減できる。更に、この光制御装置は0゜ないし30゜の範囲の偏向角を自由に変えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスレーザ又は固体レーザを制御光として用いる場合の光制御装置の構成を例示した図である。
【図2】光学素子に入射する制御光の光強度を示す図である。
【図3】図3(a)は制御光としてのレーザ光の強度分布を示す図で、図3(b)は、このレーザ光の強度分布とレーザ光透過窓の位置関係を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザを制御光として用いる場合の光制御装置の構成を例示した図である。
【符号の説明】
3 光変調器
4 シャッター
5 レンズ群
6 NDフィルター
7 レンズ
8 光混合器
9 本発明の光学素子
10 波長選択フィルター
11 制御光の光源(ガスレーザ又は固体レーザ)
12 信号光の光源(ガスレーザ又は固体レーザ)
21 制御光の光源(半導体レーザ)
22 信号光の光源(半導体レーザ)
51,52 シリンドリカルレンズ
62 ビーム径
63 レーザ光透過窓
Claims (15)
- くさび形の光強度分布の制御光を照射されることにより、内部にくさび形の温度分布を形成し、該温度分布により前記くさび形の屈折率分布を形成し、前記制御光とは異なる波長の信号光を、前記制御光と同じ光軸にして照射し、前記屈折率分布により前記信号光の偏向を行うべく構成された光吸収性の材料からなる光学素子。
- 前記光吸収性の材料が、前記制御光及び前記信号光に対して透明なマトリックス材料に前記制御光に対して吸収性の物質を溶解又は微粒子として分散してなることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
- 前記制御光に対して吸収性の物質が、色素であることを特徴とする請求項2記載の光学素子。
- 光吸収性の材料からなる光学素子と、
該光学素子にくさび形の光強度分布で光を照射するための強度分布調整手段
とを備え、
制御光により前記光学素子中に前記くさび形の温度分布を形成し、該温度分布により前記くさび形の屈折率分布を形成し、前記制御光とは異なる波長の信号光を、前記制御光と同じ光軸にして照射し、前記屈折率分布により前記信号光の偏向を行うことを特徴とする偏向素子。 - 前記強度分布調整手段が、ガウス分布した前記制御光の光源の光の一部を抜き出すことにより、前記制御光の光強度分布を前記くさび形にすることを特徴とする請求項4記載の偏向素子。
- 前記光吸収性の材料が、前記制御光及び前記信号光に対して透明なマトリックス材料に前記制御光に対して吸収性の物質を溶解又は微粒子として分散してなることを特徴とする請求項4又は5記載の偏向素子。
- 前記制御光に対して吸収性の物質が、色素であることを特徴とする請求項6記載の偏向素子。
- 光吸収性の材料からなる光学素子に該光学素子が吸収する波長の制御光をくさび形の光強度分布を持たせて照射するステップと、
該照射により前記光学素子中に前記くさび形の温度分布を形成するステップと、
該温度分布により前記光学素子中に前記くさび形の屈折率分布を形成するステップと、
前記くさび形の屈折率分布を有した前記光学素子に前記制御光とは異なる波長の信号光を、前記制御光と同じ光軸にして照射し、前記信号光の偏向を行うことにより光を制御するステップ
とを含むことを特徴とする光制御方法。 - 前記制御光の強度を変えて、前記偏向の偏向角を変えることを特徴とする請求項8記載の光制御方法。
- 前記光吸収性の材料が、前記制御光及び前記信号光に対して透明なマトリックス材料に前記制御光に対して吸収性の物質を溶解又は微粒子として分散してなることを特徴とする請求項8又は9記載の光制御方法。
- 前記制御光に対して吸収性の物質が、色素であることを特徴とする請求項10記載の光 制御方法。
- 光吸収性の材料からなる光学素子と、該光学素子にくさび形の光強度分布で光を照射するための強度分布調整手段とを備える偏向素子と、
前記光学素子が吸収する波長の光を出力する第1の光源と、
該第1の光源とは異なる波長の光を出力する第2の光源と、
前記第1の光源の光の光軸と、前記第2の光源の光の光軸を揃え、前記光学素子中に入射させる光混合器
とを備え、
前記第1の光源の光により前記光学素子中に前記くさび形の温度分布を形成し、該温度分布により前記くさび形の屈折率分布を発生させ、前記くさび形の屈折率分布により前記第2の光源の光の偏向を制御することを特徴とする光制御装置。 - 前記強度分布調整手段が、ガウス分布した前記第1の光源の光の一部を抜き出すことにより、前記第1の光源の光を前記くさび形の光強度分布にすることを特徴とする請求項12記載の光制御装置。
- 前記光吸収性の材料が、前記制御光及び前記信号光に対して透明なマトリックス材料に前記制御光に対して吸収性の物質を溶解又は微粒子として分散してなることを特徴とする請求項12又は13記載の光制御装置。
- 前記制御光に対して吸収性の物質が、色素であることを特徴とする請求項14記載の光制御装置。
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