JP3970077B2 - 電気音響変換器 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピーカやレシーバ等の電気音響変換器、さらに詳しくはその外部接続端子の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年電子機器の小型化に伴い、電子部品を回路基板に表面実装する技術が開発され、各種電子部品に応用されている。また、この実装に当たってはなるべく半田付けをしないで電気的導通をとる半田レスの要求がある。携帯電話やボイスメモ等に用いられているスピーカやレシーバ等の電気音響変換器もこのような電子部品の一つである。このような従来の電気音響変換の一例を図面により説明する。図10は従来の電気音響変換の一つであるスピーカの三面図である、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
【0003】
まず、このスピーカの構成について説明する。図10において、50はスピーカである。51は外周の一部に膨出部51aを持つ樹脂フレームであり、52はフレーム51中央に固定された磁性体から成る皿形のヨークである。ヨーク52の底面中央には上下に磁極を持つ円柱形の永久磁石が固定されている。永久磁石の他方の磁極側の面には円板型のトッププレートが固定されている。永久磁石によりヨーク52上端部とトッププレート周縁部との間の間隙を通って磁気回路が形成されている。
【0004】
プラスチック材料で一体成形された略球面状の振動板の周縁部は平面を成し、フレーム51の外周段部に接着固定されている。エナメル被覆された銅線であるコイル巻線を断面長方形に整列巻きし塗料で固めた環状の空芯コイルであるボイスコイルの上面は振動板の下面に接着固定されている。ボイスコイルはトッププレート周縁部とヨーク52上端部との間の間隙にコイル丈の略半分の深さに嵌入している。59は放音孔を持つカバーであり、外周段部51cに固定されている。
【0005】
図11は、図10の側面図(b)の左側の断面である、図10下面図(c)のC−C断面を示している拡大断面図である。57はフレーム51にインサートモールドで埋設されたボイスコイルの巻線端末と外部接続端子とを接続するための一対のリードフレームであり、その一端はフレーム51の膨出部51aに形成された一対の挿入孔51d内に露出している。ボイスコイルの巻線端末56aは端部57bの上側において半田付けされている。58は挿入孔51dに挿入された外部接続端子としての圧縮コイルバネであり、上端58aが端部57bの孔に挿入され半田付けされている。
【0006】
図12はスピーカ50を電子機器の回路基板へ搭載する模様を示す要部断面図である。図12において、81は回路基板であり、コイルバネ58は圧縮されて下端が回路基板81の配線パターン上に接触し電気的接続が図られる。コイルバネ58を通してスピーカ50のボイスコイルに音声信号が入力されると、ボイスコイルに電磁力がはたらいて振動板が駆動され、上下に振動して音を発する。
【0007】
図13は従来の他のスピーカの外部接続端子を示す(a)は側面図、(b)は下面図である。図13において、60はスピーカ本体であり、61はその樹脂フレームである。62は断面「く」の字型の板バネであり、その図示しない端部がフレーム61にインサートモールドされたリードフレームに半田付けされている。82は回路基板である。スピーカ本体60が回路基板82に搭載されるときは、板バネ62がDに示す位置までたわんで凸部62aが回路基板82上の回路パターンに接触して電気的接続が図られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこのようなスピーカ構造では、バネ加圧時にバネの位置が安定せず、回路基板の配線パターン寸法を大きくしないと接触不良を起こす可能性があった。従ってバネのストロークを長くすることができず、いずれもバネの接触位置までガイドを設けてやらないと、電話機等の落下試験等の衝撃試験において外部接続端子の電気的接続不良を発生させてしまった。また、量産において、コイルバネや板バネの組込時に、高精度な半田付け治具を必要とした。更に、作業中にコイルバネや板バネの変形が発生し易いため、工数も多くかかっていた。また、コイルバネや板バネのストロークが短いために、回路基板位置等の精度が必要であった。
【0009】
上記発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、信頼性が高く多くの組立工数を要しない外部接続端子構造を持つ電気音響変換器を提供することである。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】前記課題を解決するための手段は、永久磁石と、ヨークと、コイルと、前記永久磁石と前記コイルの電磁力により駆動される振動板とから成り、前記コイルは巻線端末から外部へ接続する外部接続端子を備えた電気音響変換器において、前記外部接続端子は板バネ材をコイル状に巻き込んでタケノコ状に形成したバネ部を両端に有しているタケノコバネから成ることを特徴とする。
【0011】
また、前記タケノコバネは前記コイルの巻線端末が接続されている金属平板部材に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
また、永久磁石と、該永久磁石の一方の磁極側に固定したヨークと、他方の磁極側に固定したトッププレートと、前記ヨークを固定したフレームと、該フレームに固定した振動板と、該振動板に固定したボイスコイルと、該ボイスコイルの巻き線端末から外部へ接続する外部接続端子とを備えた電気音響変換器において、前記フレームに埋設されたリードフレームの一部を前記フレームに形成した挿入孔内に露出させると共に、前記挿入孔内に板バネ材をコイル状に巻き込んでタケノコ状に形成したバネ部を両端に有しているタケノコバネが挿入され、該タケノコバネと前記リードフレームとが電気的に接続されていることを特徴とする
【0014】
また、前記タケノコバネの外周から連続して略直角方向に曲折してタブが設けられており、該タブが前記フレームの前記挿入孔から放射方向に設けられたスリットに挿入されると共に、前記タケノコバネ本体は前記バネ挿入孔に挿入されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記タブには凸部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記コイル端末は前記タケノコバネに半田又は溶接で電気的に接続されていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の第一の実施の形態であるスピーカの(a)は上面図、(b)は部分断面側面図、(c)は下面図である。図2は図1(c)の一部を拡大した部分拡大下面図であり、図3は図2のA−A断面を示す部分拡大側面図である。
【0019】
まず、このスピーカの構成について説明する。スピーカとしての基本構成は従来技術で説明したものと同様であるから、同じ構成要素には同じ名称を用いて詳細な説明は省略する。図1において、1はスピーカ、2はこのスピーカ1の土台である略円環状のフレームであり、膨出部2aを有している。フレーム2の中央穴2bにはヨーク3が埋設され、永久磁石、トッププレートがヨーク3に順次積層固着されている。フレーム2の外周にはボイスコイルを固定した振動板が接着されている。8はフレーム2の外周に固定された放音孔を持つカバーである。図2に示すように、膨出部2aには一対の貫通孔であるバネ挿入孔2dが形成されている。挿入孔2dから放射方向にスリット2eが形成されている。9はフレーム2にインサートモールドされたボイスコイル端末と後述の外部接続端子とを接続する金属平板部材の一対のリードフレームであり、両挿入孔2d内の上端付近にその一部が露出している。
【0020】
10は、図3にも示すように、挿入孔2dに圧入された外部接続端子であり、本発明の第一の実施の形態であるタケノコバネである。図4はタケノコバネ10の詳細を示す(a)は側面図、(b)は図4(a)のB−B断面を示す断面図である。図4(a)に示すように、タケノコバネ10には、両端にバネ部10cを有しており、最外周の一部が径方向に曲げられて形成されたタブ10aを有している。図4(b)に示すように、タブ10aには、タブ10面から突出する凸部である、タブ10面の一部が切り起こされたリブ10bが形成されている。
【0021】
次に、図2により、タケノコバネ10を挿入孔2dへ組み込む方法について説明する。挿入孔2dの内径はタケノコバネ10の外径よりやや大きく、下方の口元には面取り又は丸め加工が施されている。タケノコバネ10をフレーム2に組み込む際には、タブ10aの位置をスリット2eに合わせて、バネ本体をバネ挿入孔2dに挿入してバネ部10cの先端部が挿入孔2dの上端のリードフレーム9に当接するまで圧入すればよい。このときにリブ10bのバネ力がスリット2eにはたらいてタケノコバネ10がバネ挿入孔2dに係止される。
【0022】
次に、本発明の第一の実施の形態であるタケノコバネ10の製造方法を図面を用いて説明する。図5はタケノコバネ10の展開図であり、図示の都合上長さ方向より幅方向の尺度を極端に大きく表してある。図5において、11はバネ材料から成る略Y字形の板バネ材である。板バネ材11の一端には既にリブ10bが加工されており、他端側は両バネ部10cとなるように二股に分かれている。板バネ材11を矢印で示した方向に向かって心棒に巻き付けて行き、最後にタブ10aとなる部分を直角に曲げて形を整えてから、歪み取り焼鈍をする。タケノコバネ10には金メッキが施され、酸化・腐食防止がなされる。
【0023】
次に、タケノコバネ10の作用について図面を用いて説明する。図6はタケノコバネ10を組み込んだスピーカ1を電話機等の回路基板へ実装したところを示す部分拡大断面図である。図6において、12は電話機等の回路基板である。タケノコバネ10の両バネ部10cが、リードフレーム9と回路基板12との間に挟まれて各々に圧接するので、双方の電気的接続が確実になる。なおリードフレーム9側において圧接の代わりに、半田付け、溶接、かしめ、動電性接着剤等で固着し電気的に接続するようにしてもよいことは勿論である。
【0024】
次に、本発明の第一の実施の形態であるタケノコバネ10の効果について説明する。外部接続端子としてタケノコバネ10を用いたので、バネを加圧したときバネ端部の位置がバネ挿入孔2dの中心寄りにあるので、接触位置のバラツキが小さく、携帯電話等客先回路基板の配線パターンとの間に安定した接触が確保できる。また、タケノコバネ10は回路基板へ実装された場合に、スピーカ1の厚みの中へほぼ収納されてしまうので、携帯電話等の薄型化へ適応できる。両バネ部10cを有するタケノコバネ10を使用するので、リードフレームとの接続においても、半田レスの接続が可能である。更に、タケノコバネ10にタブ10aを設けたので、バネ挿入孔2dのスリット2eにタブ10aを挿入することによって、タケノコバネ10の係止が確実になる。更にタブ10aにリブ10bを設けることによって、スリット2e内でのリブ10aの係止がより一層確実になる。
【0025】
次に、本発明の第二の実施形態としての外部接続端子について図面を用いて説明する。図7は本発明の第二の実施形態としての外部接続端子の側面図である。図7において、20はタケノコバネであり、タケノコバネ10と異なる構成はリブを持たないことのみで、その他の構成はタケノコバネ10と同様であるから、タケノコバネ20の作用、製法等もタケノコバネ10の場合と同じであり詳細な説明は省く。なお、タケノコバネ20をバネ挿入孔2dに組み込むには、バネ挿入孔2dの内径をタケノコバネ20の外径より僅かに小さく設定しておけば、バネ挿入孔2dへ軽圧入してタケノコバネ20を係止させるころができる。従ってバネ挿入孔2dには必ずしもスリット2eは必要ではなくなる。
【0026】
次に、本実施の形態の効果について説明する。タケノコバネ20にはタブを持たず、簡単な形状のバネなので、第一の実施の形態の場合と同様の効果に加えて、更に外部接続端子のコストが削減できる。
【0027】
次に、本発明の第三、第四の実施の形態である外部接続端子について説明する。図8(a)は第三の実施の形態において使用する外部接続端子の側面図、図8(b)は同じく第四の実施の形態において使用する外部接続端子の側面図である。図9は今まで説明したスピーカ1と同じスピーカの部分拡大断面図である。図8(a)において、30はタケノコバネであり、バネ部30cを一方にしか持っていない。また、図8(b)において、31は、タブを持たないタケノコバネであり、タブが無くてもよいことは第一の実施の形態の図7で説明したことと同様である。そしてタケノコバネ30又は31をスピーカに組み込む場合に、リードフレーム側にはバネ部を持たないので圧接による接続の他、第一の実施の形態の場合に説明したように、半田付け、溶接、かしめ、動電性接着剤等で固着し電気的に接続するようにしてもよい。
【0028】
図9は、タケノコバネをリードフレームへ接続するその他の方法を示す電気音響変換器の部分拡大断面図である。図9(a)において、19はコイルの巻線端末が接続されている金属平板部材のリードフレームであり、その一部を切り起こした押さえバネ部19aを用いて、タケノコバネ30又は31の壁面をバネ挿入孔2dの内壁に押さえ込んで係止したものである。図9(b)において、29はやはり金属平板部材のリードフレームであり、タケノコバネ32のタブ32aから延在している延長部32cが、リードフレーム29の貫通孔から上面に突出したところを、半田付け、又は溶接等の方法で電気的に接続したものである。なお、タケノコバネがリードフレームを介さずに、コイルの巻線端末に直接電気的に接続されていてもよい。
【0029】
なお、以上の各実施の形態において、スピーカを例にして説明してきたが、これに限定するものではなく、電磁発音体をも含む電気音響機器一般に広く適用できることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電気音響変換器において、外部接続端子としてタケノコバネを採用し、フレームに埋設されたリードフレームの一部を前記フレームに形成したバネ挿入孔内に露出させると共に、前記バネ挿入孔内に前記タケノコバネが挿入され、該タケノコバネと前記リードフレームとが電気的に接続されるようにしたので、外部接続端子の組み込みの容易化が図られ、リードフレームとの接続において半田付け作業を省略でき鉛フリー化と工数削減が計られる。そして、タケノコバネの優れた耐衝撃性のために信頼性が向上する。また、高精度な治具を用いる必要がないので設備費の低減にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であるスピーカの三面図である。
【図2】本発明の実施の形態である外部接続端子部の部分拡大下面図である。
【図3】図2のA−A断面を示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態である外部接続端子を示す側面図及び部分断面図である。
【図5】本発明の実施の形態である外部接続端子の展開図である。
【図6】回路基板へ実装した本発明の実施の形態の外部接続端子を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態の外部接続端子を示す側面図である。
【図8】本発明の第三及び第四の実施の形態の外部接続端子を示す側面図である。
【図9】本発明の外部接続端子を挿入孔に係止する他の実施の形態を示す部分拡大断面図である。
【図10】従来の電気音響変換器であるスピーカを示す三面図である。
【図11】従来のスピーカの外部接続端子を示す部分拡大断面図である。
【図12】従来のスピーカの外部接続端子を回路基板へ実装した状態を示す部分拡大断面図である。
【図13】他の従来の電気音響変換器であるスピーカを示す(a)は側面図であり、(b)は下面図である。
【符号の説明】
1 スピーカ(電気音響変換器)
2 フレーム
2d 挿入孔
2e スリット
3 ヨーク
9、19、29 リードフレーム(金属平板部材)
10、20、30、31、32 タケノコバネ(外部接続端子)
10a、30a、32a タブ
10b リブ(凸部)
10c、30c、31c バネ部
11 板バネ材

Claims (6)

  1. 永久磁石と、ヨークと、コイルと、前記永久磁石と前記コイルの電磁力により駆動される振動板とから成り、前記コイルは巻線端末から外部へ接続する外部接続端子を備えた電気音響変換器において、前記外部接続端子は板バネ材をコイル状に巻き込んでタケノコ状に形成したバネ部を両端に有しているタケノコバネから成ることを特徴とする電気音響変換器。
  2. 前記タケノコバネは前記コイルの巻線端末が接続されている金属平板部材に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  3. 永久磁石と、該永久磁石の一方の磁極側に固定したヨークと、他方の磁極側に固定したトッププレートと、前記ヨークを固定したフレームと、該フレームに固定した振動板と、該振動板に固定したボイスコイルと、該ボイスコイルの巻き線端末から外部へ接続する外部接続端子とを備えた電気音響変換器において、前記フレームに埋設されたリードフレームの一部を前記フレームに形成した挿入孔内に露出させると共に、前記挿入孔内に板バネ材をコイル状に巻き込んでタケノコ状に形成したバネ部を両端に有しているタケノコバネが挿入され、該タケノコバネと前記リードフレームとが電気的に接続されていることを特徴とする電気音響変換器。
  4. 前記タケノコバネの外周から連続して略直角方向に曲折してタブが設けられており、該タブが前記フレームの前記挿入孔から放射方向に設けられたスリットに挿入されると共に、前記タケノコバネ本体は前記バネ挿入孔に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電気音響変換器。
  5. 前記タブには凸部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の電気音響変換器。
  6. 前記コイル端末は前記タケノコバネに半田又は溶接で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電気音響変換器。
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