JP3969991B2 - 面実装電子部品 - Google Patents

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狭場  善昭
坂牧  亮
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線基板等に対して表面実装される面実装電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種電子機器に装備されるプリント配線基板に対して、リフローはんだ付け法等により表面実装される面実装電子部品は、例えば図3に示すような断面構成を有する。
【0003】
この面実装電子部品は、電子部品素子としての固体電解コンデンサ素子1と、該固体電解コンデンサ素子を外装するエポキシ樹脂層2と、一端が前記固体電解コンデンサ素子に接続されると共に他端が前記外装樹脂層の外側へ引き出された一対の折曲板状リードフレーム51、52とを備える。
【0004】
前記固体電解コンデンサ素子1は、タンタル粉末の焼結材からなる陽極体11の表面に、該表面を電解酸化させた誘電体皮膜層12、陰極電解質としての導電性ポリマー層13、グラファイト層及び銀ペースト層からなる陰極引出層14を順次形成したものである。前記陽極体11には、陽極側リードフレーム51との接続に供される陽極リードピン15が植立されている。前記陰極引出層14は、導電性接着材4を介して、陰極側リードフレーム52との接続に供される。
【0005】
前記リードフレーム51、52の一端511、521は、前述の如く前記固体電解コンデンサ素子に接続されており、他端512、522は、前記外装樹脂層の外側へ引き出されて折り曲げられ、プリント配線基板との接続(はんだ付け)に供される。
【0006】
プリント配線基板に対する電子部品のはんだ付けに関しては、近年、自然環境に対する配慮から、はんだの鉛フリー化が強く推進されており、各種代替はんだ材が提案或いは採用されつつあるが、その場合のはんだ付け温度は、従来の鉛−錫系はんだに比べて、約30℃以上高くなる方向である。
【0007】
面実装電子部品のリードフレームとしては、従来、鉄−ニッケル系合金からなるフレーム基材に、鉛−錫系はんだメッキを施したものが広く用いられてきたが、作業温度が250〜260℃となる鉛フリーのリフローはんだ付けにおいては、リードフレームのはんだメッキ層が熱溶融して外装樹脂層との間に隙間が生じ、気密性が損なわれて耐湿性などに問題が生じる。
【0008】
この対策として、リードフレームのメッキ材から錫(融点232 ℃)などの低融点金属を排し、高融点金属(融点400℃以上)のみを採用する動きが出ている。例えば、鉄−ニッケル系合金からなるフレーム基材に、ニッケルメッキ層(融点1450 ℃)及び金メッキ層(融点1064 ℃)を重ねて形成する技術が知られている。
【0009】
電気抵抗を引き下げるために、前記ニッケルメッキ層の下に厚さ数μmの銅メッキ層(融点1083 ℃)を形成したり、はんだ付け性を安定化するために、前記金メッキ層の下にパラジウムメッキ層(融点1550 ℃)を形成する技術も知られている。
【0010】
前記金メッキ層は、
[A]プリント配線基板に対するはんだ付け性を良好且つ安定なものとする効果、すなわち、所謂「はんだ濡れ時間」を短縮し、且つそのバラツキを小さくするという効果の他に、
[B]導電性接着材を介して電子部品素子に接続される箇所において、接続電気抵抗を小さく且つ安定化するという効果を奏する。
【0011】
本願発明者は、前記図3に示したような構成を有する面実装電子部品において、リードフレームに金メッキ層を形成することによる効果(特に上記[B]の効果)を実測確認した。
【0012】
すなわち、図3の構成におけるリードフレーム51、52として、42wt%ニッケル−鉄合金からなる板状フレーム基材の両面に、厚さ2μmの銅メッキ層、厚さ0.7μmのニッケルメッキ層及び厚さ0.1μmの金メッキ層を順次形成したものを用いた場合(従来例1)と、厚さ2μmの銅メッキ層、厚さ0.7μmのニッケルメッキ層及び厚さ0.1μmの錫メッキ層を順次形成したものを用いた場合(従来例2)について、面実装電子部品としての固体電解コンデンサを作製し、100kHzにおけるESR(等価直列抵抗)を測定した。その結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003969991
【0014】
表1を見ればわかるように、固体電解コンデンサ素子の陰極引出層に導電接着材を介して接続されるリードフレームの最外層に、金メッキを施した従来例1においては、錫メッキの従来例2に比べて、ESRの平均値が約6%小さく、標準偏差が約1/3となっている。
【0015】
これは、リードフレームの最外層に金メッキを施すことにより、固体電解コンデンサ素子の陰極引出層に対する接続電気抵抗が明らかに小さくなり、特にそのバラツキが著しく小さくなることを示している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リードフレームの最外層に金メッキを施すことによる上述のような効果([A][B])を十分に引き出しながら、該金メッキ層を形成する領域を必要最小限にとどめることにり、面実装電子部品の材料コスト及び製造コストを低減するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明による面実装電子部品は、電子部品素子と、該電子部品素子を外装する樹脂層と、一端が前記電子部品素子に接続されると共に他端が前記外装樹脂層の外側へ引き出された折曲板状のリードフレームとを備える面実装電子部品において、
前記リードフレームの一端には、前記電子部品素子に対する接続に供される第1の金メッキ層が形成され、
前記リードフレームの他端には、外部の配線基板に対する接続に供される第2の金メッキ層が形成され、
前記第1及び第2の金メッキ層は、前記リードフレームを構成する板状体の同一面側に形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
このようなリードフレームの構成によれば、電子部品素子に対する接続に供される箇所と、外部の配線基板に対する接続に供される箇所とに金メッキ層を形成することによる効果を確保しながら、金メッキ層形成領域をリードフレームの同一面側(すなわち片面側のみ)とするので、面実装電子部品の材料コスト及び製造コストを低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に相当する面実装電子部品は、図1に示すような断面構成を有する。
【0020】
この面実装電子部品は、電子部品素子としての固体電解コンデンサ素子1と、該固体電解コンデンサ素子を外装するエポキシ樹脂層2と、一端が前記固体電解コンデンサ素子に接続されると共に他端が前記外装樹脂層の外側へ引き出された一対の折曲板状リードフレーム31、32とを備える。
【0021】
前記固体電解コンデンサ素子1は、タンタル粉末の焼結材からなる陽極体11の表面に、該表面を電解酸化させた誘電体皮膜層12、陰極電解質としての導電性ポリマー層13、グラファイト層及び銀ペースト層からなる陰極引出層14を順次形成したものである。前記陽極体11には、陽極側リードフレーム31との接続に供される陽極リードピン15が植立されている。前記陰極引出層14は、導電性接着材4を介して、陰極側リードフレーム32との接続に供される。
【0022】
前記リードフレーム31、32は、42wt%ニッケル−鉄合金からなる板状フレーム基材の両面に、厚さ2μmの銅メッキ層及び厚さ0.7μmのニッケルメッキ層が順次形成され、片面のニッケルメッキ層上のみに、厚さ0.1μmの金メッキ層313、323が形成されている。
【0023】
前記リードフレーム31、32の一端311、321は、前述の如く前記固体電解コンデンサ素子に接続されており、他端312、322は、前記外装樹脂層の外側へ引き出されて折り曲げられ、プリント配線基板との接続(はんだ付け)に供される。
【0024】
製法上、陽極側及び陰極側のリードフレームは、図2に示すような穿孔リボン30の形で供給され、該リボン状リードフレーム部材の金メッキ層形成面上に固体電解コンデンサ素子1(簡略化のため、1個のみ図示)を載置して、陽極側リードフレーム片310と固体電解コンデンサ素子の陽極リードピンとを溶接すると共に、陰極側リードフレーム片320と固体電解コンデンサ素子の陰極引出層とを接着する。尚、陰極側リードフレーム片は、固体電解コンデンサ素子の外形に合わせて、符号324で示す箇所で予め折り曲げられている。
【0025】
その後、リボン状リードフレーム部材30に接続された固体電解コンデンサ素子1をエポキシ樹脂にて外装し、破線P1、P2に沿ってリボン状リードフレーム部材を切断することにより、固体電解コンデンサ素子に接続された陽極側リードフレーム片及び陰極側リードフレーム片をリボン状リードフレーム部材から切り離し、両リードフレーム片を、金メッキ層形成面を外側にして前記外装樹脂層の外周に沿って折り曲げ、図1に示すように、プリント配線基板との接続に供される端子部312,322を形成する。
【0026】
ここで、陰極側リードフレームの固体電解コンデンサ素子に対する接着面と、外装樹脂層の外周に沿った折り曲げの外側面との関係に注目すると、従来は、前記図3に示したように、両者が異なる面(裏表の関係)に配されていることが多かった。これに対して、本発明実施例においては、陰極側リードフレームの固体電解コンデンサ素子に対する接着面と、外装樹脂層の外周に沿った折り曲げの外側面とを、図1に示すように同じ側の面とする。
【0027】
図3(従来例)の折り曲げ構成では、リードフレームの両面に金メッキ層を形成しないと、従来技術の項で述べた金メッキ層の効果[A][B]を両立させることができないが、図1(本発明実施例)の折り曲げ構成であれば、リードフレームの片面に金メッキ層を形成するだけで、上記金メッキ層の効果[A][B]を両立させることができ、金メッキ層の形成に要するコストを大幅に低減することができる。
【0028】
尚、図1(本発明実施例)の折り曲げ構成では、符号39で示す箇所において、比較的薄い外装樹脂層を挟んでリードフレームがU字状に折り曲げられることになり、リードフレーム及び外装樹脂層の損傷が懸念されるが、外装樹脂層から引き出したリードフレームの根元部分を適当な工具で掴んで折り曲げれば、何の問題も生じないことを確認している。
【0029】
更に、前記リボン状リードフレーム部材において、金メッキ層を片面のみに形成するには、他方の面をマスクして金メッキ処理を施すことになるが、金メッキ層を形成する方の面においても、陽極側及び陰極側のリードフレーム片として切り離す部分以外(図2における破線P1、P2の外側)には、金メッキ層を形成する必要はないから、その部分も同時にマスクして金メッキ処理を施せば、金メッキ層を形成する面積(すなわち金の使用量)を、両面全体に金メッキ層を形成する場合の約30%に節減することができる。
【0030】
尚、両面に金メッキ層を形成する場合でも、リードフレーム片として切り離す部分以外は、金メッキ不要であるが、この場合には、金の節約とマスクの工数コストとが逆転して、実益につながらない。
【0031】
以上、電子部品素子として固体電解コンデンサ素子を用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明は、抵抗素子や半導体素子等、他の電子部品素子を用いる場合にも適用できる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、面実装電子部品のリードフレームにおいて、外部の配線基板に対する接続に供される箇所に金メッキ層を形成することにより、はんだ付け性を良好且つ安定なものとする効果と、電子部品素子に対する接続に供される箇所に金メッキ層を形成することにより、接続電気抵抗を小さく且つ安定化するという効果とを両立させながら、金メッキ層形成領域をリードフレームの同一面側(すなわち片面側のみ)とするので、面実装電子部品の材料コスト及び製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例に係る面実装電子部品の断面図である。
【図2】 リードフレーム部材の平面図である。
【図3】 従来例に係る面実装電子部品の断面図である。

Claims (3)

  1. 電子部品素子と、該電子部品素子を外装する樹脂層と、一端が前記電子部品素子に接続されると共に他端が前記外装樹脂層の外側へ引き出された折曲板状のリードフレームとを備える面実装電子部品において、
    前記リードフレームの一端には、前記電子部品素子に対する接続に供される第1の金メッキ層が形成され、
    前記リードフレームの他端には、外部の配線基板に対する接続に供される第2の金メッキ層が形成され、
    前記第1及び第2の金メッキ層は、前記リードフレームを構成する板状体の同一面側に形成されていることを特徴とする面実装電子部品。
  2. 前記リードフレームは、板状のフレーム基材が複数のメッキ層により被覆された構成を有し、
    前記フレーム基材及びメッキ層は、いずれも400℃以上の融点を有する金属からなることを特徴とする請求項1記載の面実装電子部品。
  3. 前記電子部品素子は、金属材からなる陽極体の表面に、誘電体皮膜層、固体電解質層及び陰極引出層を順次形成した固体電解コンデンサ素子からなることを特徴とする請求項1又は2記載の面実装電子部品。
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