JP3969368B2 - Sawチップの製造方法およびsawチップ並びにsawデバイス - Google Patents

Sawチップの製造方法およびsawチップ並びにsawデバイス Download PDF

Info

Publication number
JP3969368B2
JP3969368B2 JP2003294565A JP2003294565A JP3969368B2 JP 3969368 B2 JP3969368 B2 JP 3969368B2 JP 2003294565 A JP2003294565 A JP 2003294565A JP 2003294565 A JP2003294565 A JP 2003294565A JP 3969368 B2 JP3969368 B2 JP 3969368B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
saw
insulating film
film
saw chip
resonance frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003294565A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005065042A (ja
Inventor
宏 中谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2003294565A priority Critical patent/JP3969368B2/ja
Publication of JP2005065042A publication Critical patent/JP2005065042A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3969368B2 publication Critical patent/JP3969368B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Surface Acoustic Wave Elements And Circuit Networks Thereof (AREA)

Description

本発明は、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)を利用したSAWチップの製造方法に係り、特にSAWチップの周波数調整に好適なSAWチップの製造方法、およびその製造方法により製造したSAWチップ並びにSAWデバイスに関する。
通信機器、コンピュータ、時計等の様々な電子機器において、共振子、フィルタなどの電子部品としてSAWチップを用いたSAWデバイスが使用されている。SAWチップは、水晶やタンタル酸リチウム(LiTaO)などの圧電材料から形成されている。特に、近年は、電子機器の高性能化に伴って高精度なSAWデバイスが要求され、温度特性に優れ、エッチングや機械加工等の形状加工を容易に行なうことができる水晶が、SAWチップを形成する圧電材料として使用されている。
SAWチップは、周知のように水晶などの圧電基板の表面に金属からなる櫛型のIDT(Interdigital Transducer)電極を有している。このIDT電極は、圧電基板の表面にスパッタリングやCVDによってアルミニウムなどの金属薄膜を形成したのち、金属薄膜をフォトエッチングして形成する。また、SAWチップのIDT電極を構成している電極指のピッチと共振周波数との間に一定の関係があるが、電極の厚み、幅が変化すると、共振周波数も変化する。そして、圧電材料のウエハに形成したSAW素子は、形成した金属薄膜の膜厚のばらつき、IDT電極の形成誤差などにより、共振周波数が目標とする共振周波数からずれるのが一般的である。このため、SAWチップを製造する場合、各SAWチップの共振周波数を調整する必要がある。そこで、従来は、特許文献1に記載されているように、圧電材料のウエハに形成したSAW素子のIDT電極をエッチングし、共振周波数の調整を行なっていた。
すなわち、特許文献1に記載の共振周波数の調整方法は、圧電基板(ウエハ)に目標膜厚よりも厚く金属膜を成膜し、これをエッチングして圧電基板に複数のSAW素子のIDT電極を形成する。その後、SAW素子の共振周波数を測定し、測定共振周波数と目標とする共振周波数との差から電極のエッチング厚みを求め、IDT電極をエッチングして求めた厚み分薄くし、SAW素子の共振周波数を高くして目標共振周波数となるように調整する。
特開平10−13178号公報
ところが、特許文献1に記載のように、IDT電極をエッチングして共振周波数を調整する場合、エッチング量にばらつきを生じ、SAW素子の共振周波数を目標共振周波数に調整することが容易でない。すなわち、アルミニウムからなる電極を塩素(Cl)などのガスを用いてエッチングする場合、図9に示したように、エッチング処理の開始当初は、電極の表面が酸化されて酸化物が形成され、その後、エッチングされるようになる。この酸化物の形成は、電極の表面状態によって異なり、図9の曲線A、B、Cに示したように、電極の表面状態によってエッチングの開始時点が異なってくる。このため、エッチング処理の開始から経過した時間が同じであったとしても、エッチング量がばらつき、周波数調整後の共振周波数のばらつきが大きくなってしまう。
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、同一のウエハから製造されるSAWチップ間の共振周波数のばらつきを小さくできるようにすることを目的としている。
また、本発明は、電極間の短絡を防止できるようにすることを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明に係るSAWチップの製造方法は、圧電基板の表面にアルミニウムまたはアルミニウム系合金からなる金属膜を成膜する金属膜形成工程と、前記金属膜の表面に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、前記絶縁膜と前記金属膜とをエッチングしてIDT電極パターンを形成する電極パターン形成工程と、形成した前記IDT電極パターンによる共振周波数を測定して目標共振周波数との偏差を求める偏差演算工程と、前記IDT電極パターンの側面を陽極酸化し、前記偏差演算工程において求めた前記偏差に応じた陽極酸化膜を形成する周波数調整工程と、を有することを特徴としている。
アルミニウムまたはアルミニウム系合金からなるIDT電極は、側面を陽極酸化すると、酸素が取り込まれて電極が重くなるとともに、電極の幅が大きくなる。このため、SAWチップのIDT電極をアルミニウムまたはアルミニウム系合金によって形成し、IDT電極の側面を陽極酸化すると、SAWチップの共振周波数が低下する。しかも、陽極酸化によって形成される酸化膜(陽極酸化膜)の膜厚は、陽極酸化をするときの電圧に依存し、酸化膜の膜厚を高い精度で制御することができる。
そこで、IDT電極を形成する場合、予め電極側面に形成する陽極酸化膜の膜厚、すなわち陽極酸化処理をする電圧と共振周波数の変動量(シフト量)との関係を予め求めておき、SAWチップの共振周波数が目標共振周波数より高くなるように、金属膜と絶縁膜とからなるIDT電極パターンを形成する。その後、形成したIDT電極パターンによる共振周波数を測定して測定共振周波数と目標共振周波数との偏差を求め、この偏差に応じた厚みの陽極酸化膜をIDT電極パターンの側面に形成し、SAWチップの共振周波数を低下させる。これにより、SAWチップ間における共振周波数のばらつきを小さくすることができる。しかも、陽極酸化は、IDT電極パターンの表面積に占める割合が16〜32%である側面だけを行なうため、電極表面全面を陽極酸化する場合に比べ、陽極酸化による陽極酸化膜の総量を少なくすることができ、SAWチップ間における共振周波数のばらつきをより小さくすることができる。また、IDT電極は、表面が絶縁膜と絶縁体である陽極酸化膜とによって覆われるため、金属粒子などの異物がIDT電極に付着したとしても、電極間における短絡を防止することができる。
絶縁膜は、物理蒸着または化学蒸着により成膜したケイ素系絶縁膜であってよい。絶縁膜を例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などのケイ素系絶縁膜によって形成すると、絶縁性が高いために薄い膜でよく、絶縁膜の膜厚のばらつきによる影響を小さくすることができ、共振周波数の調整を容易に行なうことができる。しかも、共振周波数を調整する陽極酸化の影響を受けることがない。
また、絶縁膜は、金属膜を陽極酸化して形成した第1陽極酸化膜であってもよい。陽極酸化膜は、膜厚が前記したように陽極酸化電圧によって定まるため、所定の厚みを有する絶縁膜を容易に形成でき、共振周波数の調整を容易に行なうことができる。絶縁層を第1陽極酸化膜として形成する場合、この第1陽極酸化膜を形成するための第1陽極酸化は、IDT電極パターンの側面を陽極酸化(第2陽極酸化)する電圧以上の電圧で行なうことが望ましい。陽極酸化は、陽極酸化電圧が高いほど形成される陽極酸化膜の膜厚が厚くなる。したがって、第1陽極酸化の陽極酸化電圧を第2陽極酸化の電圧以上とすることにより、第1陽極酸化膜がさらに厚くなることを防ぐことができ、共振周波数を調整するためにIDT電極パターンの側面に形成する陽極酸化膜の膜厚を求めることが容易になるとともに、高精度の周波数調整を行なうことができる。
そして、周波数調整工程は、ウエハに形成した複数のSAW素子に対して行なうとよい。共振周波数の調整を行なう場合、SAW素子をウエハから分割してSAWチップにする前に行なえば、多数のSAW素子の周波数調整を1度に行なうことができる。しかも、同一ウエハ内のSAW素子は、IDT電極の膜厚、電極幅が近似しているため、同一の陽極酸化の条件で共振周波数の調整を行なうことにより、高精度な周波数調整が可能で、個々のSAWチップの周波数調整を行なう必要がない。また、高精度のSAWデバイスを形成する場合であっても、ウエハに形成したSAW素子間における共振周波数のばらつきが小さいため、SAWデバイスにおける共振周波数の調整を容易に行なえるとともに、歩留まりを向上することができる。
そして、本発明に係るSAWチップは、すだれ状IDT電極を有するSAWチップであって、前記IDT電極の上面に設けた第1絶縁膜と、前記IDT電極の側面に設けた第2絶縁膜とを有することを特徴としている。このようになっている本発明は、IDT電極を形成するときに、金属膜の表面に第1絶縁膜を形成し、これをエッチングしてIDT電極パターンにし、その後、面積の小さなIDT電極の側面に第2絶縁膜を設けて共振周波数を調整することにより、周波数調整用の第2絶縁膜のばらつきを小さくすることができ、高精度な周波数調整を行なうことができる。
第1絶縁膜は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などのケイ素系絶縁膜により形成できる。そして、第2絶縁膜は、アルミニウムまたはアルミニウム系合金からなる電極本体を陽極酸化して形成した陽極酸化膜とすることができる。ケイ素系絶縁膜は、絶縁性に優れているため、膜厚を100オングストローム以下と薄くでき、膜厚のばらつきによる影響を小さくすることが可能である。このため、IDT電極の側面に陽極酸化膜を形成して共振周波数の調整を行なう場合に、高精度の周波数調整が可能となる。
さらに、本発明に係るSAWデバイスは、上記のSAWチップを有することを特徴としている。これにより、上記の作用効果が得られる。
本発明に係るSAWチップの製造方法およびSAWチップ並びにSAWデバイスの好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るSAWチップの一例を示す説明図であって、(1)は平面図であり、(2)は(1)のA−A線に沿った一部断面図である。図1(1)に示したように、SAWチップ10は、水晶などの圧電基板12の上面中央部にIDT電極14が形成してある。IDT電極14は、一対の櫛型電極16(16a、16b)から構成してあって、一方の櫛型電極16aの各電極指18a間に、他方の櫛型電極16bの電極指18bが挿入され、すだれ状に形成してある。また、SAWチップ10は、IDT電極14の長手方向両側にすだれ状に形成した反射器20(20a、20b)を備えている。そして、各櫛型電極16は、配線パターン22(22a、22b)を介して各反射器20の外側に設けた接続パッド部24(24a、24b)に接続してある。
また、実施形態のSAWチップ10は、図1(2)に示したように、IDT電極14がアルミニウムまたはアルミニウム−銅(Al−Cu)、アルミニウム−ケイ素(Al−Si)などのアルミニウム系合金からなる電極本体25と、電極本体25の上面に形成した第1絶縁膜26と、電極本体25の側面に形成した第2絶縁膜28とからなっている。第1絶縁膜26は、IDT電極14に金属粒子などの異物が付着することによる電極間の短絡を防止するために設けたもので、シリコン酸化膜や窒化シリコンなどのケイ素系絶縁膜からなっている。そして、第2絶縁膜28は、陽極酸化膜からなっている。この第2絶縁膜を構成している陽極酸化膜は、IDT電極14による共振周波数を調整するため、アルミニウムまたはアルミニウム系合金からなる電極本体25を陽極酸化して形成してある。これは、次の理由による。
SAWチップ10は、例えばSAW共振子などのSAWデバイスに使用され、櫛型電極16a、16b間に所定周波数の電圧を印加することにより、IDT電極14の長手方向(電極指18に直交した方向)に弾性表面波が伝播する。各反射器20は、伝播してくる表面波を反射し、振動エネルギーを閉じ込めて共振させる。そして、SAWチップ10の共振周波数は、基本的にIDT電極14の電極指18のピッチによって定まる。しかし、共振周波数は、周知のように、IDT電極14の電極指18の厚み(高さ)、幅によって変動する。そして、圧電基板12に対する電極本体25を形成するための金属膜の成膜のばらつき、電極本体25の形成誤差などによってSAWチップ10の共振周波数が目標共振周波数からずれることがある。そこで、実施形態においては、詳細を後述するように、IDT電極14の側面に第2絶縁膜28である陽極酸化膜を形成して共振周波数の調整を行なっている。なお、第1絶縁膜26は、電極本体25の陽極酸化される面積を少なくする役割もなしている。また、接続パッド部24は、上面の第1絶縁膜26が除去してある。これは、SAWチップ10の特性の測定、検査をするために、測定装置のプローブを接続パッド部24に接触させるためである。
図2は本発明の実施の形態に係るSAWチップの製造方法を示すフローチャートであり、図3はその概略工程図である。SAWチップ10を製造する場合、まず、図2のステップ30の金属膜形成工程を行ない、図3(1)に示すように、水晶などの圧電基板からなるウエハ50の表面に電極用の金属膜52を成膜する。この金属膜52は、IDT電極14や反射器20などを形成するためのもので、実施形態の場合、アルミニウムまたはアルミニウム−銅(Al−Cu)、アルミニウム−ケイ素(Al−Si)などのアルミニウム系合金からなっている。そして、金属膜52は、スパッタリングなどの物理蒸着、CVDなどの化学蒸着によって形成してある。
次に、図2のステップ32に示したように、第1絶縁膜26を形成する絶縁膜形成工程を行なう。すなわち、図3(1)に示してあるように、金属膜52の表面に第1絶縁膜26を形成する。この第1絶縁膜26は、スパッタリングなどの物理蒸着、またはCVDなどの化学蒸着によって形成したシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などのケイ素系絶縁膜であってよい。また、第1絶縁膜26は、アルミニウムまたはアルミニウム系合金からなる金属膜52を、リン酸アンモニウムなどの電解液を用いて陽極酸化(第1陽極酸化)して形成した陽極酸化膜(第1陽極酸化膜)であってもよい。
第1絶縁膜26は、後述する共振周波数を調整するための陽極酸化を行なう面積を小さくするとともに、IDT電極14に金属粒子などの異物が付着したときに、電極間における短絡を防止する目的で設けている。このため、第1絶縁膜をシリコン酸化膜や窒化シリコンなどのケイ素系絶縁膜によって形成した場合、陽極酸化されることがなく、絶縁性も大きいため、100オングストローム程度以下の厚さがあればよい。したがって、第1絶縁膜26をケイ素系絶縁膜によって形成した場合、膜厚を薄くできるために膜厚のばらつきの影響が小さく、後述の周波数調整を高精度に行なうことができる。しかも、陽極酸化による影響を受けることがない。
また、第1絶縁膜26を第1陽極酸化膜によって形成する場合、第1陽極酸化の電圧は、後述の共振周波数を調整するために行なう陽極酸化(第2陽極酸化)の電圧以上の電圧で行なうことが望ましい。陽極酸化によって形成される陽極酸化膜の膜厚は、陽極酸化電圧に比例しており、電圧が高いほど膜厚が厚くなる。したがって、第1陽極酸化を形成する陽極酸化電圧を第2陽極酸化の電圧以上の電圧によって行なうことにより、共振周波数を調整するための第2陽極酸化をしたときに、第1陽極酸化膜がさらに厚くなるなどの影響をなくすことができ、周波数調整を高精度で行なうことができる。
次に、図2のステップ34および図3(2)に示したように、第1絶縁膜26の上にフォトレジストを塗布し、乾燥させてレジスト膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ法を用いてレジスト膜を露光、現像、ベーキングして所定の形状54にパターニングする。その後、所定形状のレジスト膜54をマスクにして、第1絶縁膜26と金属膜52とをエッチングしてIDT電極パターンを形成する電極パターン形成工程を行なう(図2ステップ36、図3(3))。これにより、アルミニウムまたはアルミニウム系合金からなる電極本体25が形成される。
第1絶縁膜26のエッチングは、第1絶縁膜26がケイ素系絶縁膜によって形成されている場合、四フッ化炭素(CF)ガスなどを用いたドライエッチング、またはフッ酸溶液などを用いたウエットエッチングを行なうことができる。また、第1絶縁膜26がアルミニウムまたはアルミニウム系合金の陽極酸化膜である場合、塩素ガス(Cl)や塩化ホウ素(BCl)などのエッチングガスを用いてドライエッチングすることができる。そして、実施形態の場合、金属膜52は、アルミニウムまたはアルミニウム系合金であるため、塩素ガス(Cl)や塩化ホウ素(BCl)などのエッチングガスを用いてエッチングすることができる。このエッチングによる電極パターン形成工程を行なうことにより、反射器20や配線パターン22、接続パッド部24などが同時に形成される。
さらに、IDT電極パターンや反射器20などの上に残存しているレジスト膜54を除去する(図3(4)参照)。これにより、ウエハ50に多数のSAW素子が形成される。次に、ウエハ50の上に接続パッド部24を露出させたマスク(レジスト膜)を形成する。そして、次の工程における周波数測定を可能にするため、図2のステップ38に示したように、接続パッド部24の上に形成されている第1絶縁膜26をエッチングして除去する。その後、図2のステップ40に示したように、偏差演算工程を行なう。この偏差演算工程は、ウエハ50に形成したSAW素子のIDT電極パターンによる共振周波数を測定し、測定した共振周波数と目標共振周波数との偏差を求める。SAW素子の共振周波数の測定は、ウエハ50に形成した多数のSAW素子から複数位置のSAW素子を適宜に選択し、選択したSAW素子の接続パッド部24に周波数測定器のプローブを接触させて行なう。そして、例えば複数の測定共振周波数の平均値と目標共振周波数との偏差を求めたら、この偏差を零にするための陽極酸化膜の膜厚を演算する(図2ステップ42)。
陽極酸化膜の膜厚は、陽極酸化の条件によって定まっており、例えばリン酸アンモニウム系電解液を用い、ある一定の電圧でアルミニウムなどの金属に対して陽極酸化処理を行なった場合、図4に示したように、陽極酸化膜の膜厚が処理時間とともに増加し、最終的に陽極酸化電圧で定まる一定の限界膜厚になる。この陽極酸化膜の限界膜厚は、陽極酸化電圧との間に一定の関係があり、アルミニウムの場合、陽極酸化電圧をVとすると、約14オングストローム/Vである。したがって、図5に示したように、陽極酸化電圧が高くなるのにしたがって、形成される陽極酸化膜の膜厚が厚くなる。
一方、SAW素子においては、共振周波数がIDT電極の電極指のピッチによって定まるため、高周波になるほど電極指の幅が狭くなる。このため、共振周波数の異なるSAW素子のIDT電極に同じ膜厚の陽極酸化膜を形成した場合であっても、共振周波数によって周波数の変動量(シフト量)が変化する。図6は、その一例を示したものである。この図6は、横軸が陽極酸化膜の膜厚をオングストロームによって示しており、縦軸が電極本体25の表面全体を陽極酸化したときの共振周波数のシフト量をMHzで示している。また、図6において実線は共振周波数が200MHzのSAW素子の場合であり、破線が共振周波数300MHz、一点鎖線が共振周波数400MHzのSAW素子の場合を示している。図6から明らかなように、陽極酸化膜の膜厚を大きくすると、共振周波数のシフト量が大きくなる。また、共振周波数が高いほど周波数のシフト量が大きくなることがわかる。
そこで、実施形態においては、電極本体25の側面を陽極酸化したときの、SAW素子の共振周波数に対する陽極酸化膜の膜厚と周波数シフト量との関係を実験などによって予め求めておく。そして、図2のステップ40において求めた測定共振周波数と目標共振周波数との偏差に基づいて、共振周波数を考慮して偏差を零にするための陽極酸化膜の膜厚を演算する(ステップ42)。さらに、この膜厚を得るための陽極酸化電圧を求め、図2のステップ44に示したように、リン酸アンモニウムなどの電解液により、電極本体25の側面を陽極酸化して周波数調整工程を行なう。これにより、IDT電極14は、図3(5)に示したように、電極本体25の側面が所定の膜厚を有する第2絶縁膜28である陽極酸化膜(第2陽極酸化膜)によって覆われる。なお、この共振周波数を調整する電極本体25の側面の第2陽極酸化は、第1絶縁膜26が第1陽極酸化膜によって形成されている場合、第1陽極酸化膜を形成したときの陽極酸化電圧以下の電圧で行なう。これにより、周波数調整の第2陽極酸化をしたときに、電極本体25の上部がさらに陽極酸化されて第1陽極酸化膜が厚くなるのを防止することができる。
このようにして、電極本体25の側面を陽極酸化して共振周波数の調整を行なうと、高精度の周波数調整が可能となる。すなわち、IDT電極14の電極指18を形成している電極本体25は、側面の占める面積の割合が一般に全表面積の約16〜32%である。したがって、実施形態のように電極本体25の側面のみを陽極酸化する場合、電極本体25の全表面のような広い面積を陽極酸化する場合に比較して、陽極酸化膜厚のばらつきを小さくすることができ、均一な厚さの陽極酸化膜を形成することができる。このため、測定共振周波数と目標共振周波数との偏差を零にする膜厚を有する陽極酸化膜を高精度に形成することができ、ウエハ50に形成した各SAW素子の共振周波数を目標共振周波数に調整することが容易となり、図7に示したように、共振周波数のばらつきも小さくなる。
図7は、実施形態により共振周波数の調整を行なった結果と、従来のIDT電極をエッチングして共振周波数の調整を行なった結果とを比較したものである。この図7は、同一のウエハ内に形成した多数のSAW素子間における、周波数調整後の共振周波数のばらつき状態を示しており、(1)が電極指18の電極本体25の側面を陽極酸化して周波数調整した実施形態の結果を示し、(2)が電極指をエッチングして周波数調整した従来の結果を示している。図7に示されているように、実施形態の陽極酸化による周波数調整は、共振周波数のばらつきを従来のエッチングによる周波数調整に比較して1/5程度にすることができる。これは、陽極酸化膜の膜厚が陽極酸化電圧に依存し、所望の厚さの陽極酸化膜を容易に形成できること、また周波数調整するための陽極酸化する面積が小さいことによる。そして、実施形態のIDT電極14は、上面が第1絶縁膜26によって覆われており、側面が第2絶縁膜28である陽極酸化膜によって覆われているため、IDT電極14の表面に金属粒子などの異物が付着したとしても、電極指18a、18b間における短絡を防止することができる。
なお、電極本体25の側面を陽極酸化する場合、図1に示した接続パッド部24の部分をフォトレジストによって覆い、接続パッド部24の表面が陽極酸化されないようにする。これにより、SAW素子の特性の測定、検査をするときに、測定器のプローブを接触させる接続パッド部24の陽極酸化膜を除去する工程を省くことができる。
上記のようにしてSAW素子が形成されたウエハ50は、図2のステップ46に示したように、ダイシングされて各SAW素子が図1に示したSAWチップ10にされる。そして、このようにして得た各SAWチップ10は、上記したように共振周波数が目標共振周波数の近傍となっているため、個々に周波数調整をする必要がなく、歩留まりを大幅に向上することができる。
上記のようにして製造したSAWチップ10は、図8(1)に示したベース60に収容してSAWデバイスであるSAW共振子にされる。ベース60は、例えばセラミックシートを複数積層して形成してあり、SAWチップ10を収容するキャビティ62を有する箱状をなしている。SAWチップ10は、同図(2)に示したように、IDT電極14が形成されていない下面を接着剤64によってベース60の底面に接合される。その後、SAWチップ10は、同図(3)に示したように、接続パッド部24がアルミニウムや金からなるワイヤ66を介して、ベース60に設けた電極パターンに電気的に接続される。さらに、SAWチップ10を収容したベース60は、真空または窒素雰囲気中に搬入され、図8(4)に示したように、上端に例えば金属製の蓋体68が配置される。この蓋体68は、ベース60の上面にシーム溶接などにより接合される。これにより、SAWチップ10を収容したベース60の内部が真空または窒素雰囲気に封止され、SAW共振子70が完成する。なお、図8(3)に示したワイヤボンディングをした段階において、必要に応じてSAWチップ10にプラズマを照射し、IDT電極14または、圧電基板12をプラズマエッチングにして周波数調整をし、より高精度のSAW共振子とすることができる。
上記のSAW共振子70は、携帯電話機や各種測定器、コンピュータ、通信機器などの電子機器に使用することができる。また、前記実施形態においては、共振型について説明したが、トランスバーサル型であってもよいし、共振子でなくフィルタであってもよい。
実施の形態に係るSAWチップの説明図である。 実施の形態に係るSAWチップの製造方法のフローチャートである。 実施の形態に係るSAWチップの製造工程図の概略説明図である。 陽極酸化の処理時間と陽極酸化膜厚との関係を示す模式図である。 陽極酸化電圧と陽極酸化膜厚との関係を示す図である。 共振周波数に対する陽極酸化膜厚と周波数シフトとの関係を示す図である。 実施形態と従来との周波数調整後における周波数のばらつきの比較図である。 実施の形態に係るSAW共振子の製造工程の概略説明図である。 従来のエッチングによる周波数調整のばらつきを説明する図である。
符号の説明
10………SAWチップ、12………圧電基板、14………IDT電極、18a、18b………電極指、20a、20b………反射器、24a、24b………接続パッド部、25………電極本体、26………第1絶縁膜、28………第2絶縁膜、50………圧電基板(ウエハ)、52………金属膜、60………ベース、68………蓋体、70………SAWデバイス(SAW共振子)。

Claims (7)

  1. 圧電基板の表面にアルミニウムまたはアルミニウム系合金からなる金属膜を成膜する金属膜形成工程と、
    前記金属膜の表面に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
    前記絶縁膜と前記金属膜とをエッチングしてIDT電極パターンを形成する電極パターン形成工程と、
    形成した前記IDT電極パターンによる共振周波数を測定して目標共振周波数との偏差を求める偏差演算工程と、
    前記IDT電極パターンの側面を陽極酸化し、前記偏差演算工程において求めた前記偏差に応じた陽極酸化膜を形成する周波数調整工程と、
    を有することを特徴とするSAWチップの製造方法。
  2. 請求項1に記載のSAWチップの製造方法において、
    前記絶縁膜は、物理蒸着または化学蒸着により成膜したケイ素系絶縁膜からなることを特徴とするSAWチップの製造方法。
  3. 請求項1に記載のSAWチップの製造方法において、
    前記絶縁膜は、前記金属膜を陽極酸化して形成した第1陽極酸化膜であることを特徴とするSAWチップの製造方法。
  4. 請求項3に記載のSAWチップの製造方法において、
    前記第1陽極酸化膜を形成する第1陽極酸化は、前記IDT電極パターンの側面を陽極酸化する電圧以上の電圧で行なうことを特徴とするSAWチップの製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のSAWチップの製造方法において、
    前記周波数調整工程は、ウエハに形成した複数のSAW素子に対して行なうことを特徴とするSAWチップの製造方法。
  6. すだれ状IDT電極を有するSAWチップであって、
    前記IDT電極の上面に設けたケイ素系絶縁膜からなる第1絶縁膜と、
    前記IDT電極の側面に設けたアルミニウムまたはアルミニウム系合金からなる電極本体を陽極酸化して形成した陽極酸化膜からなる第2絶縁膜と、
    を有することを特徴とするSAWチップ。
  7. 請求項6に記載のSAWチップを有することを特徴とするSAWデバイス。
JP2003294565A 2003-08-18 2003-08-18 Sawチップの製造方法およびsawチップ並びにsawデバイス Expired - Fee Related JP3969368B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003294565A JP3969368B2 (ja) 2003-08-18 2003-08-18 Sawチップの製造方法およびsawチップ並びにsawデバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003294565A JP3969368B2 (ja) 2003-08-18 2003-08-18 Sawチップの製造方法およびsawチップ並びにsawデバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005065042A JP2005065042A (ja) 2005-03-10
JP3969368B2 true JP3969368B2 (ja) 2007-09-05

Family

ID=34371096

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003294565A Expired - Fee Related JP3969368B2 (ja) 2003-08-18 2003-08-18 Sawチップの製造方法およびsawチップ並びにsawデバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3969368B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5141856B2 (ja) * 2006-04-04 2013-02-13 セイコーエプソン株式会社 弾性表面波装置の製造方法、及び弾性表面波装置
JP4968510B2 (ja) * 2006-04-27 2012-07-04 セイコーエプソン株式会社 弾性表面波素子片の周波数温度特性調整方法、及び弾性表面波素子片、並びに弾性表面波デバイス
JP5104057B2 (ja) * 2007-06-21 2012-12-19 セイコーエプソン株式会社 半導体装置の製造方法
JP5233530B2 (ja) * 2008-09-09 2013-07-10 セイコーエプソン株式会社 弾性表面波素子用ウェハ、および弾性表面波デバイスの製造方法
JP4766121B2 (ja) 2009-02-10 2011-09-07 株式会社デンソー 弾性表面波素子、その製造方法およびその共振周波数調整方法
JP5136594B2 (ja) 2010-05-21 2013-02-06 株式会社デンソー 弾性表面波発振器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005065042A (ja) 2005-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9231184B2 (en) Piezoelectric resonator element and piezoelectric resonator
KR100802865B1 (ko) 압전 진동편 및 압전 장치
US20100156237A1 (en) Tuning-Fork Type Piezoelectric Vibrating Piece and Piezoelectric Device
JP4968510B2 (ja) 弾性表面波素子片の周波数温度特性調整方法、及び弾性表面波素子片、並びに弾性表面波デバイス
JP4569447B2 (ja) 弾性表面波素子片および弾性表面波デバイス
JP2010050960A (ja) 圧電振動片および圧電デバイス
JP3969368B2 (ja) Sawチップの製造方法およびsawチップ並びにsawデバイス
JP2010004456A (ja) 圧電振動片および圧電デバイス
US20110241790A1 (en) Tuning-Fork Type Crystal Vibrating Piece Device and Manufacturing the Same
JP2013162265A (ja) 振動素子、振動子、電子デバイス、発振器、及び電子機器
JP2005057666A (ja) Sawチップの製造方法およびその製造方法により製造したsawチップ並びにsawデバイス
JP4680449B2 (ja) 圧電デバイスとその製造方法
JP4600140B2 (ja) 圧電振動片の製造方法
JP2001144581A (ja) 圧電振動子およびその製造方法
JP3543786B2 (ja) 圧電振動片及び圧電振動子の製造方法
US20030020367A1 (en) Surface acoustic wave device and its manufacturing method
JP3140767B2 (ja) 弾性表面波素子の製造方法
JP4297252B2 (ja) 振動型ジャイロスコープ
JP2001251154A (ja) 圧電振動片の製造方法
JP4072673B2 (ja) 弾性表面波素子片の製造方法
US20240088864A1 (en) Piezoelectric bulk wave device and manufacturing method thereof
JP4341340B2 (ja) 圧電振動デバイスの製造方法および製造装置
JP5233530B2 (ja) 弾性表面波素子用ウェハ、および弾性表面波デバイスの製造方法
JP2002271157A (ja) 弾性表面波装置の製造方法
JPH10107569A (ja) 表面弾性波装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070515

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070528

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees