JP4680449B2 - 圧電デバイスとその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本出願は、テレビなど民生品や、コンピュータなどのクロックや、光通信やギガビットインサーネットなど高速、大容量通信などの周波数発生源や、物質を感知したり、圧力や加速度などを感知するセンサーなど圧電性を利用する圧電デバイスに関するものである。特に100MHz以上の基本波で発振する板厚の薄い水晶振動子や圧力や加速度などの検知に利用される圧電デバイスにおいて、加工の再現性よく、加工精度のばらつきが主振動へ影響しないようした圧電デバイスとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水晶振動子は、通信機器にとり基準周波数を供給する重要な部品である。近年高速、大容量通信用機器の登場により各機器の高周波化が進み、同時に共振周波数を直接高くし、ジッタなどノイズを軽減する水晶振動子をより多く供給することが問われている(ELECTRONIC DESIGN March6 2000 p112)。一般的にPLL回路による倍で高周波化を実現するより水晶振動子の基本波周波数も高くするのがノイズを抑制しやすい。ATカットなどの水晶振動子の共振周波数を高くし、VHF帯で取り扱うには、圧電体が主振動を励振する励振部分の板厚を薄くするほど共振周波数が高くなるため薄板化が課題となる。
【0003】
高周波化を進めるにあたり、特に電気的特性の安定性が問われる周波数発生源として利用する場合、基本波振動の共振周波数が100MHz以上にもなる水晶板の板厚は約17μm以下の薄板となり、加速度や衝撃など外的衝撃の影響で共振周波数が変動する。また、薄いと製造時のハンドリングが悪いなど、薄板の弊害を生じる。一般的な水晶振動子は平板形でありフラットな水晶片を使用する。フラットとは、一方の主面と他方の主面がほぼ並行で、全面わたり一定の板厚である板状の形状の水晶片をいう。薄板の弊害の対策として薄板部の外周に薄板部より板厚の厚い枠部を配する断面で見て凹形状の水晶片を利用する、凹形水晶振動子が考案された。初期の丸形をはじめ、四角形のものなど1970年代から内外で発表されている(米国特許公報 第3,694,677号)。また、凹形水晶振動子の振動モードなども中澤らにより研究されてきた(信学技報 US76−16,7 昭和51年)さらに、Q値を向上するために方形状凹形水晶振動子の表面にコンベックス形状を形成し、周波数温度特性について研究している(電気学会論文誌 昭和57−2 p59)。ただし、外的衝撃の影響を受けるこの薄板の弊害を利用すると、低周波で板厚の厚い圧電振動子より敏感に電極表面の重量変化を感じることからガス検知用など微量変化を検出する高性能センサーとして使用する用途もある。
【0004】
凹形水晶振動子は平坦な主面を凹形状に加工する。凹形状への加工は、フッ化水素酸やフッ化アンモニウムを含むエッチング用液を利用して水晶を溶解して加工するウエットエッチングや、CF4やCHF3やC2H6など反応性のガスを利用して水晶を加工するドライエッチングなどの化学的加工方法や、レーザーや超音波やサンドブラストなどを利用して衝撃などで加工する物理的加工方法などがある。ドライエッチングは薄板部の主面の表面粗さを荒らさず加工できるが500nm/分程度とエッチングレートが遅く加工に時間がかかる。物理的加工方法は個々に加工したり物理的衝撃による亀裂や、加工層が電気的特性の劣化を招く。ウエットエッチングとは、液体を使用して、水晶を溶解し加工する方法である。大量の水晶片やウエハーを同時に加工でき生産性に優れ、エッチング速度もATカットの切断面に垂直方向に2μm/分程度と速い。通常、エッチング用液をテフロン(登録商標)容器に入れ50度から80度程度の定温にし、これに水晶を浸ける。水晶を揺動してもよい。板厚を薄くする加工の例としては、保護膜を主面に形成し、その後板厚を薄くする薄板部の保護膜を取り除き、エッチング用液に浸けて保護膜を取り除いた部分が加工され板厚を薄くする。現在は主面に垂直な方向より見て、薄板部の形状が4角形や円形の凹形水晶振動子が主に利用されている。しかし、図7や図8のように四角形で薄板部を形成すると、水晶の異方性によるエッチング速度の違いにより、1辺をx方向に行とするならば、+Xと−Xでエッチング速度が異なり、z’方向は、傾いたz軸のエッチング速度の違いで凹形状の内側側面である凹み側面で形状が異なり、対な凹形状を四角形や丸形を作るのが困難で加工精度が悪く、設計と異なる形状になるという問題がある。
【0005】
また、小型化するにあたり、この凹形状の加工精度の悪さから凹み側面に電極の一部が配されるほど凹み側面の面積が広がり主振動に影響を及ぼす。また、35μm以下の薄板部を形成するにあたり、薄板部が特に電極を配した辺りが重力によりわずかにしなり、主振動の影響を及ぼす。凹形状が対称に形成されていないと凹み側面における板厚が厚くなる傾きが異なるためしなりが不安定で予期しない形で薄板部が捻れたりして主振動の周波数予期しない変動を与える。同様に、薄板部のしなりによる主振動の周波数変化を検知するセンサーなどではに凹形にされないことで一様にしならず、検知の安定性に欠ける。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、特にウエットエッチングを利用した製造方法で、水晶片に薄板部を形成すると、水晶の異方性によるエッチング速度の違いから寸法精度や、加工精度が悪く、歩留まりの低下や特性の不安定などを生じやすい。
【0007】
本発明は前記問題点を顧みてなされたもので、寸法精度に優れ特性の安定した水晶を利用する圧電デバイスを提供することを目的とする。また、本出願は、安定した主振動を得て生産効率性を確保しつつ前記のような圧電デバイスの製造方法を提供することを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
主面の一部の板厚を薄く加工した薄板部とその一部を除く板厚の厚い枠部からなる水晶片と、薄板部の両面にそれぞれ設けられた電極を有する圧電デバイスにおいて、薄板部が主面に垂直な方向より見てほぼ三角形で、一辺が水晶片のx軸に平行となるように加工する。
【0009】
このような構成により、四角形や丸形よりも断面で見た凹形状が対称で予期した形状に再現よく加工する。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施例1) 図1は本発明の構成を示す図である。大容量高速度通信用機器において、より高周波数を発振する水晶振動子を必要とするが、周波数発生源に利用されるATカットの水晶振動子などは共振周波数を高くするためには板厚を薄くする必要がある。特に35μm以下に薄くした薄板部はわれ易く、外部の衝撃に弱くなる。このために薄板部の周辺に板厚の厚い枠部を形成するが、薄板部の形状が4角形や円形などの形状では結晶軸の異方性に対応したエッチング速度の違いにより形がいびつになり加工整精度が悪い。本発明では、前記問題点を顧みてなされたもので、主面から見た形状をほぼ正三角形で加工することにより、水晶のエッチングによる異方性の特徴を利用して、予期した形状に再現性よく、特性の安定した水晶を利用した圧電デバイスとその製造方法を提供する。
【0011】
図1は、主にVHF帯で利用される水晶振動素子の構成図である。図2は図1の破線203における断面図である。図1は、本発明の一例である主振動に厚み滑り振動を利用する共振周波数100MHzのATカットの水晶振動子を示す。図3や図4のように保持器301に封入して水晶振動子、つまり本明細書でいう圧電デバイスとして使用する。通常は水晶片を電極と共に保持し、保持器に封入した物を水晶振動子という(水晶デバイスの解説と応用 日本水晶デバイス工業会技術委員会編1996年10月)。水晶片とは、結晶軸に対してある決められた幾何学的形状・寸法および角度に切断した結晶片をいう。本明細書ではx方向とz’方向の水晶片1の端を輪郭といい、これら寸法を輪郭寸法という。さらに水晶片に電極を配して電荷をかけ振動を得るなど圧電性を利用する素子を水晶振動素子とよび、水晶振動素子を保持器に封入、つまり密封して圧電デバイスとして使用する。ATカットやSCカットは電極を少なくとも表裏主面、それぞれに配する。フィルターなどでは一方の主面に2つ以上の電極を配することもある。また、本明細書でいう圧電デバイスとは、水晶振動子、水晶発振器、水晶を利用するセンサー部品または光学用素子など水晶の圧電性を利用する部品をあわせていう。本例の水晶振動素子は、主面5の一部の板厚を薄くした薄板部2と、前記一部を除く板厚の厚い枠部3とからなる水晶片1と電極4、6から構成される。以降、このへこみを持つ水晶片1の形状を凹形状という。電極4、6は薄板部2の両面にそれぞれ配され、水晶片1の主振動の電荷を拾う。水晶片1は、ATカットであり、主振動は厚み滑り振動の基本波である。薄板部2は、ウエットエッチングにより加工して、その形状はほぼ三角形である。本例でいう板厚とは、薄板部2の主面5と主面7の距離を言う。主面7がコンベックスの場合は中心厚みをいう。
【0012】
図3は圧電デバイスの水晶振動子の断面図である。図4は、図3の構成図である。図5は水晶振動子の製造プロセスの概要である。図6は、水晶片1の外形の例である。図7は従来の凹形の水晶振動素子の概要図である。図8は図7の断面図である。以下に図1、図2を中心に図3、図4、図5、図6、図7、図8で説明する。
【0013】
図1の符号1は水晶片を示す。主面5のほぼ中心付近の一部が凹形状に加工されており、図2で示すように薄い板厚に加工した薄板である。2は、この薄板を示し、本明細書では薄板部2という。図ではわかりやすくするために板厚方向に拡大してある。水晶片1の輪郭寸法505は、x方向3.5mm、z’方向4.5mmである。薄板部2の主面は表面がれぬよう加工する。主面とは、水晶片1で最も面積の広い面を言い、本例ではATカットの切断面と平行な面に相当する。薄板部2は、一辺をx軸と行にしてあり、ほぼ正三角形である。凹形状の内側側面である凹み側面101がウエットエッチングによる薄板への加工の過程で形成される。水晶の異方性とアンダーカットにより主面5に対して垂直に加工されず斜めになる。しかし、図7のように四角に薄板部2を加工するより、ほぼ一様に凹み側面10、102、103は形成される。
【0014】
3は水晶片1の枠部である。枠部3は水晶片1の主面の薄板部2の周辺に形成し、外的衝撃や製造時のハンドリング性を向上している。本例では薄板部2の板厚504は17μm、枠部3の板厚は50μmで作製した。ATカットでは周波数定数=薄板部の厚さ×主振動周波数であり、100MHzで17μm程度となる。この板厚504は電極4、6の材料種類や厚みによっても左右され、本例と比較して比重の重い材料は板厚504を薄くし、さらに電極4、5を厚く形成しても板厚504を薄くする。図6に水晶片1に薄板部2を加工する位置を例として示す。(h)は薄板部2を本例のように水晶片1のほぼ中央付近に形成してある。(i)は薄板部2を(h)より小さくし片方向に寄せて形成してある。(j)は水晶片1の輪郭の一部分と薄板部2の輪郭が同一であり薄板部2から見て一方向の枠部3が存在しない。(k)は水晶片1がy’軸周りに、回転してある。(k)、(i)、(j)は、薄板部2の位置や大きさを変え、支持の影響を軽減するよう距離を離したり、副振動の影響を最小にしたりするのに使用すればよい。(m)は薄板部2とほぼ相似の関係で枠部3が形成してあり、小型化しやすい。(n)は水晶片1が円形である。(o)は円形の水晶片1の一方向がカットされておりそのカットされた辺が薄板部2の輪郭と同一である。(n)、(o)は従来から実績のある輪郭の形状を利用するとともに輪郭振動などの副振動の影響を軽減するのに利用される。このように各種水晶片1に薄板部2を形成することがあるが、特に厚み滑り振動である主振動への水晶片1の輪郭や薄板部2の輪郭による屈曲振動や輪郭振動の高次の影響を避けるように選択される。これは使用する主振動の共振周波数や輪郭の寸法により決めればよい。
【0015】
4は、電極であり、水晶振動子1の凹形状の底である薄板部2の主面5に配する。一方、電極6は平坦側の主面7に電極4に対向して配する。薄板部2の両主面に電極4と電極6を対向して配すことで主振動を得る。主振動とは本例では厚み滑り振動であり、特に厚み滑り振動の基本波振動である。オーバートーンを利用してもよく、従来の平板形の水晶振動子よりさらに高い周波数を実現可能となる。本例では電極6が電極4より面積が小さいが、面積の小さい電極に電気的特性が影響されるため、精度良く形成可能な平坦側の主面7に配する電極6の面積を小さくした。本例では電極4は直径500μmの円形で、電極6はx方向寸法が200μmでz’方向が300μmとした。しかし、面粗さを良く加工するため主面7をドライエッチングで板厚調整した後に電極6を形成する場合などは、電極4を電極6より小さくする場合もある。これは、凹形状の底に電極4を面積を小さくして形成し、時間のかかりがちな板厚調整前に正確な電気的特性を測定し不良分けするためである。
【0016】
電極4と電極6は主にAu、Ag、Al、Ni、Crや、これらの合金や、これらを積層したものである。Auは耐腐食性にすぐれ長期間安定した特性を持続する。AlはAuより軽量で薄板部2へ重力による余分な変形を与えないだけでなく、レーザー研削などにおける周波数調整の速度を遅くし調整を容易にする。同時に電極加工による周波数調整量も減少するため板厚504の合わせこみ精度が要求され製造は難しくなる。本例ではCrを20Å、Auを600Åの2層構造にしCrをAuと水晶の緩衝材的役割で利用する。NiやNi−Cr合金も、同様な理由で使用してもよい。また電極4と引き出し電極201、さらに電極6と引き出し電極202は、通常同時に形成した。主面5に構築するもの、主面7に構築するもので分けて形成してもよいが工程数は2つに分かれ増える。引き出し電極201、202は電極4、6から電荷を取り出すとともに振動部分で支持することを避けるために設け水晶振動子ではよく使われる構成である。電極4と引き出し電極201は連続した膜であり、導通がとれている。引き出し電極202は主面5に回しこんで形成してある。これにより主面5一方向で保持器301とバンプや導電性接着剤などにより導通をとる。一方、電極6と引き出し電極202も連続した膜であり、導通とれている。
【0017】
引き回し電極202は一部を主面7から主面5に回し込み、主面5において支持材308により保持器301と導通をとっているが、主面7から、ワイヤボンディングなどにより導通をとっても良い。例えば、非導電性の支持材で保持器301に固定し、引き出し電極201を主面7へ回しこんでワイヤボンデリィングで金線などで導通をとってもよい。イオンガンなどで電極6を削って周波数調整する場合は、初めに電極6を電極4より膜厚を厚く形成して形成し、周波数調整後に電極6と電極4がほぼ同じ厚みになるようにしてもよい。引き出し電極202の回し込みは確実にZ’軸に垂直な側面及び側面と主面との角にも金属の薄膜を形成し導通が取れるように、図7で見れるように幅を広くしてある。
【0018】
図3は図1の水晶振動素子を周波数調整後にリッド302を封止材303で密封したものである。図4はそれをリッド302で封止する前に保持器301の開口方向から見た図である。301は保持器であり、水晶振動素子を外気から遮断しつつ水晶振動素子で発生する周波数信号を取り出す薄型の器である。一般にセラミックや、金属などの材料からなる。金属は外壁を薄くしやすくセラミックより小型な保持器を作りやすい。本例では、セラミックの表面実装型の保持器301であり、平板とロ形に窓の開いた板を重ねて形成し、平板水晶振動素子を固定する2層積層型である。平板と2枚のロ型板を積層構造にして凹構造を形成し、凹構造内に水晶振動素子を収める3層積層型や平板だけの1層型もあり、1層型では支持材308で水晶片1の振動部分が保持器301に接しないよう浮かせる必要がある。3層積層型の保持器は、水晶振動素子の下に空間ができるために固定が容易であり、そこに発振回路を含むICを設置して水晶振動素子と接続し水晶発振器や、さらに電圧による周波数可変機能を付加して電圧制御型水晶発振器(以下VCXO)などにしてもよい。特にVCXOは凹型の水晶振動素子などで実現するVHF帯の基本波である主振動の周波数可変幅を広く取れるなどの特徴を生かした表面実装型デバイスである。この場合、保持器の外に配置する端子は、電源電圧入力端子や、出力端子や、アース端子及び周波数制御入力端子などを備えてICチップと接続する必要がある。
【0019】
保持器301は電極6と導通のとれている端子304と、電極4と導通のとれている端子305を有する。保持器301を貫通して導通をとるため導通構造306、309を有する。導通とは、電気的に接続していることを言う。導通構造306は保持器301を積層して組み立てる前に導通材を両面回しこんで形成しておき積層した後も電極6と接続するパット307から端子304まで導通が取れればよい。穴をあけ導電性の金属などで蓋をした構造でも密封して導通取れる構造であれば良く、密封性とコストを考えて選択すればよい。支持材308、311は、導電性接着剤やバンプなどであり、水晶振動素子の保持器301への固定と同時に導通をとっている。ただの非導電性接着剤などを利用する場合や、特に引き出し電極202を回し込みしない場合は、引き出し電極202とパット307をワイヤーボンディングしAu線などで接続する。このように、支持する箇所と導通とる箇所が異なってもかまわない。水晶振動素子を収めた後に図3のようにリッド302で開口部に蓋をして外気から遮断し封止する。封止方法は、実績有る抵抗溶接シール方式、真空にする場合はコールドウエルド方式、シリンダータイプの水晶振動子に利用されるはんだ厚入シール方式、低融点ガラス封止方式、接着剤シール方式などがあるが、密封性やコストにより選択すればよい。本例では抵抗溶接シール方式を採用した。リッド302は金属、セラミックなどでできており、封止材303はハンダや、ガラス、接着剤、金や、スズの合金などである。封止材303を利用せずに、リッドと保持器を溶接しても良い。リッド302は平板型や、ドーム型などがあるがコストや製造方法により選択すればよい。蓋をすることを封止するというが、封止方法により封止剤303も決められる。保持器301内部は窒素充填した。
【0020】
図5は、図3で示した圧電デバイスの製造方法例を示している。(a)は、ウエハー形成工程である。ウエハー501は、水晶結晶をATカットで切断し1インチ角程度のウエハー501にしたものであり、厚みはおよそ50μmである。まず、ウエハー形成工程で水晶結晶をワイヤソー、バンドソーなど物理的加工方法で切断した。さらに、板厚を50μmの厚みに両面研磨するなどラッピングによりおこなった。本例では最終的に光学研磨までおこない、主面5、7を鏡面にし、面粗さが5nm以内にまで平坦にした。主面5、7の表面粗さによりウエットエッチング工程後の薄板部2の面粗さは大きく左右される。(b)は、保護膜形成工程である。保護膜形成工程は、保護膜全面形成、フォトリソ、保護膜剥離からなり、主面5の一部を除き保護膜8を形成する。一部は凹形状に加工する箇所で3角形である。保護膜全面形成は、主面5の全面にクロム200Å、金2000Åの2層膜でスパッタ装置により形成した。フォトリソは、(a)の保護膜8全面にポジレジストを塗布し、マスクを挟んで主面5を露光しマスクで隠されていない一部のポジレジストを露光した。さらに現像するとマスクで隠されていない一部が溶解しポジレジストは加工される。本例では、マスクは保護膜剥離部分502以外を隠すよう作られており、マスク上の保護膜剥離部分502に相当する箇所が前述の一部に相当し、主面5から見てほぼ三角形の形をしている。ポジレジストは保護膜剥離部分502を除き保護膜8上を覆う。保護膜剥離は、保護膜8を構成するAuを溶解する液、Crを溶解する液につけるとポジレジレジストに保護されていない一部が溶解され保護膜剥離部分502が形成される。
【0021】
(c)は、ウエットエッチング工程と板厚微調整工程である。ウエットエッチング工程で凹形状に加工し目標の板厚にほぼ近づける。その後、板厚微調整工程で目的の共振周波数で発振する板厚504に精度よく加工する。ウエットエッチング工程では、保護膜剥離部分502から溶解部分503が加工される。エッチング用液は、フッ化水素酸やフッ化アンモニウムを含む水溶液を利用して溶解する。面粗さを保つための表面活性剤や、エッチング速度を一定に保つ添加剤を入れてもよいが、水晶を溶解する液であればよい。本例では、70度に加熱したエッチング用液にウエハー501ごと浸けた。この時、保護膜8で覆われた一部を除いた主面5は加工されず、凹形状を形成する。主面5の他、主面7の全面を加工し、一様にエッチングし、両方の主面から板厚を50μmから19μmまで薄くした。
【0022】
この時、保護膜8を主面7の全面にも形成し主面5からのみ加工して、凹形状の形成と板厚504を同時に得てもよい。片面からのウエットエッチングは少なくとも平坦な主面7の面粗さは光学研磨の状態で保てる。板厚微調整は、エッチング速度の遅いドライエッチングを利用し2μmほどを精密な寸法制御で板厚4を実現する。本例ではCHF3を利用し、主面の全面を加工した。同様に物理的加工法を利用したり、加工法を複合して利用してもよい。ただし、本明細書で述べるように、板厚504は、主に大量に処理でき、高速で加工できるウエットエッチングにより薄く加工する。本例では、(f)での周波数調整幅が、数百〜数千Å程度と有限である電極の厚み分しか調整できないため、後の水晶振動子の最終共振周波数に(f)において調整可能な範囲まで(c)における板厚504を精密に周波数で測定しつつ調整した。具体的には、薄板部2の共振周波数をネットワークアナライザで測定してから、板厚の加工量を決定し主面7側をドライエッチング手法により板厚19μm周波数で測定して約90MHzから105.0MHz±500ppmに調整した。
【0023】
(d)は、水晶片輪郭形成工程であり、水晶片1の輪郭を輪郭寸法505でえる。輪郭寸法505は、x方向3.5mm、z’方向4.5mmで、ダイシングソーで加工した。輪郭はウエットエッチングと同時にエッチング用液を利用して加工しても、凹形状を形成する前、または後に別な加工方法で加工してもよい。ウエットエッチングでは、凹形状を形成し薄板部2の主面の面粗さを荒らさず加工する条件と、輪郭を精度よく加工する条件が異なる。本例では薄板部2を形成後に別に輪郭を形成することで、面を荒らさず加工した。別にしさらに輪郭は別の方法で加工した。(e)は、電極形成工程であり、電極5と電極6を形成した。これらを保持器2の端子304、305と導通とるための引き出し電極201、202も同時に形成した。電極は一般的に蒸着、スパッタなどにより真空中で形成し、水晶ウエハー401を回転しながら形成すると、電極4、6が同時に形成可能である。電極4、および電極6の形状は所望の形状に穴の開いたマスクをそれぞれ金属源と主面5、7の間にはさむことで得られる。(f)は、(e)までで作成した水晶振動素子を保持器301へ固定する。凹形状を有する主面5を保持器301側へ向け、保持器301の水晶振動素子を固定するパット307、308に支持材307、311を使用して固定、同時に導通をとる。電極4、6および引き出し電極201、202は、フォトリソ技術を利用して寸法精度よく形成してもよい。
【0024】
さらに(f)は、周波数調整をおこなう。端子304、305をネットワークアナライザーなど周波数測定装置に接続して周波数を測定しつつアルゴンイオンを照射して電極6の全面と引き出し電極202を部分的に削り、共振周波数を所望の値に調整する。本例では100MHzの±2ppmに調整した。周波数調整における電極の加工は、電極4を削るエッチング方式と、電極6に重量をつける加重方式がある。加重方式では、スパッタや蒸着や塗布などにより電極表面に積層し、電極6を積層することで主振動周波数は低くなる。一般的にはAuやAlなど同材料を積層するが加重するなら他の材料でもかまわない。エッチング方式はイオンガンやレーザーやスパッタや研磨などでおこなわれ、電極6を削ることで主振動周波数は高くなる。本例ではイオンガンによりArイオンで表面を削ってゆく。この時、電極6とともに引き出し電極202も部分的に加工され膜厚が薄くなる。507はイオンビームであり、矢印はイオンガンから水晶片1へ向かうArのプラスイオンなどのイオンビームを示す。
【0025】
イオンビームを構成するイオンなどは加工用マスク506により通過する面積を制限され、電極6周辺を集中的にドライエッチングし、極力水晶片1に影響しないようすることができる。ただし、電極6を均一にムラなく加工するために電極6の面積より大きく加工用マスク506に窓を開ける。この場合、引き出し電極202も部分的に加工することになる。電極6を部分的に厚くして残すより、引き出し電極202を部分的に加工したほうが、主振動に及ぼす影響が、少ない。(g)は、封止であり、図3にあたる。本例ではリッド302を保持器301に載せ窒素中で、抵抗溶接し封止材303を溶接することで密閉する。保持器301内部は窒素の他、不活性ガスや、封止方法によっては真空で充填してもよい。図7は四角形で薄板部2を形成した従来の凹形水晶振動子である。破線509における断面が図8である。凹形状をウエットエッチングにより形成すると凹み側面507と凹み側面508の形状が異方性により異なる。
【0026】
(実施例2)主面の一部の板厚を薄く加工した薄板部が、主面に垂直な方向にかかる加速により変形することで共振周波数が変化し、加速度を検知する加速度センサーを示す。図1と図2を中心に図9、図10により実施例2について説明する。薄板部2が再現性よくむことが、安定に加速度を検出するにおいて重要となる。特にウエットエッチングによる薄板部2の形成はエッチング速度が速く量産性に優れるが、図7や図8で示すような薄板部2が四角形の従来形では、水晶の異方性により凹み側面507、508が同様な形状で加工されず、断面で見ていびつな凹形状が形成される。加速度が主面5に垂直な方向にかかり、枠部3の周囲はしならず、薄板部2の中心に行くほど顕著にしなるように変形する。この時、いびつな凹形状では電極4と電極6の間の振動領域が安定して予期したように変形されず、特に加速度に比例して変形がなされない。このため、安定した特性をもつ加速度センサーの実現が困難であり生産性も悪い。本例の圧電デバイスは、図1や図2は、主面5の一部の板厚504を主にウエットエッチングにより薄く加工した薄板の両面にそれぞれ電極4、6を配した薄板部2と、前記一部を除く板厚の厚い枠部3とからなる水晶片1を有する水晶振動素子と水晶振動素子を支持する保持器301と蓋であるリッド302から主に構成した。薄板部2は主面5に垂直な方向から見てほぼ正三角形とすることで凹形状がウエットエッチングのプロセスでも対性よく形成する。
【0027】
水晶片1は、外力により薄板部6が変形することで水晶振動子の共振周波数が変化し外力が加わったことを感知する。製造の手順としては、ATカットで1インチ角の寸法でウエハーを切り出す。このウエハーの主面5に、保護膜8を形成し、フォトリソにより保護膜8の一部を取り除き、同時に水晶片1の輪郭と縁と接続部分を残して取り除く。1インチのウエハーから約30個ほど水晶振動素子をとる。このウエハーをウエットエッチング、さらにドライエッチングを使用して主面の一部の板厚を薄くして凹形状を形成し、薄板部2を形成する。主にウエットエッチングにより凹形状を形成した。この時、薄板部2は水晶の異方性によ凹形状のいびつを軽減するために一辺をx軸に平にしてほぼ正三角形になるよう加工した。主面5に垂直でなく、凹み側面101,102、103ができるが、ほぼ同様な主面5への傾きなどで形成する。これはフォトリソにおいて保護膜を剥離する一部の形状を三角形にすればよい。ウエットエッチングのエッチング用液にはフッ化水素酸やフッ化アンモニウムを含んだ水溶液を使用し、ウエハーをこのエッチング用液中へ浸けて加工した。凹形状と同時に水晶片1の輪郭も形成される。
【0028】
薄板部2の周囲は板厚の厚い枠部3となり、加速がかかっても割れ難く、また他の材料で薄板部2を直接支持するより温度特性がよくなる。また支持位置から距離をとり支持の影響を軽減し有利にする。ウエットエッチングにより、ウエハーの縁に接続しているが水晶片1の輪郭をほぼ形成し、ドライエッチングにより精密に板厚504を調整し凹形状を形成した後、電極4、6を形成する。電極6を形成する場合、電極形成用マスクを水晶主面に近接させられるために、凹形状の底にある主面5より精度良く形成可能なため、平坦側に凹側より小さい面積の電極6を形成することで特性の安定した水晶振動素子を作成する。特に、効率良く水晶片1に発生する電荷を拾うため複雑な形状にしたり副振動を回避したり、もしくは部分的に慣性力に影響されやすい重しを形成したりするため、電極形成時における加工精度も重要でありフォトリソを利用してもよい。
【0029】
電極形成後、ICチップ601を実装済みの保持器301に水晶振動素子を支持し、周波数を調整し、リッドで蓋をして封止する。まず、水晶振動素子の支持につて説明する。ウエハーの縁より接続部から水晶片1を切断し保持器301へ固定する。図9は、水晶片1を割らないよう保持器301の端を切断して見た図である。301は保持器であり、水晶振動素子を外気から遮断しつつ感知した周波数変動情報を取り出す薄型の表面実装型の保持器301である。水晶振動素子は電極4を保持器301に向けて支持材設置する。保持器301は外部電源用の端子604とセンサー信号を出力するための端子605を備え、別にアース用の端子や外部制御用の端子などを備えていてもよい。材質は、セラミックのSMD保持器であり1番下の凹構造内にICチップ601と、上の段の凹構造内に水晶振動素子を収める3層積層型である。保持器301には端子604、605や水晶振動素子の引き出し電極201、202とICチップ601の各種回路端子とをそれぞれ導通とるために金属膜が形成し配線してあり、それぞれバンプやワイヤボンディリングのワイヤ603などにより導通がとられている。金属膜周波数精度の向上と、加工精度の向上のため、マスクから距離を生じる電極4を加工するのではなく、電極4を保持器301に向けて水晶振動素子を実装し、真空中でArイオンをあてるなどイオンガンを使用して電極6を削り周波数調整を行う。
【0030】
図10はICチップ601の図である。水晶振動素子の発振回路と外力により変化した共振周波数と通常の共振周波数との差を計算する回路を含み、シリコン基板表面の回路配置領域701にそれら回路を配している。また回路配置領域701には電極6と導通をとる水晶接続部702と、電極4と導通をとる水晶接続部703と、周波数調整時に水晶振動素子の共振周波数情報を取り出す外部制御部705と、外部から回路を駆動するための電源を供給する、電源入力部705や、センサー信号を出力する出力部706や、外部のアースと接続するアース接続部707などがあり、本例ではそれぞれが保持器2上に配されている保持器301の金属膜に金属ワイヤ603で導通とり、回路配置領域701を保持器301側に向けバンプなどで導通をとり、保持器301への固定をかねてもよい。
【0031】
保持器301の金属膜は部分的に積層され、はさまれる形で形成されていてもよくまた、独立して複数個存在してもよい。本例では、電極6と水晶接続部702を接続するために、保持器301の金属膜と金属ワイヤ603と引き出し電極202が存在する。水晶接続部703と電極を接続するためにも同様な構造が別に存在する。電圧電源入力部705と端子604を接続するために保持器301の金属膜と導通構造が存在し、出力端子706と端子605を接続するために同様の別の構造が存在する。また、外部制御部704もしくはアース接続部707と、端子604、605とは別の保持器301の端子とを接続する金属膜が存在してもよい。それぞれの保持器301内に配してある金属膜は水晶振動素子とICチップ601の接続前は導通していないでそれぞれ電気的に独立している。保持器01はICチップ601と水晶振動素子を収め、固定した後に周波数調整する。
【0032】
周波数調整は、イオンビームであるイオンなどを加工用マスクにより通過する面積を制限し、電極6を集中的に削る。ただし、電極6をムラなく均一に削るために、電極6の面積より広めのイオンビーム通過穴を加工用マスクに開ける。端子604に電源を、端子605にスペクトルアナライザのプローブを押し付けて測定しながら加工する。最後に窒素中で封止する。
【0033】
(実施例3)水晶発振器を示す。図1と図2を中心に、図9、図10により実施例3の説明をする。図1は、本例の水晶振動素子の構成図でる。主面5の一部の板厚504を主にウエットエッチングにより薄く加工した薄板の両面にそれぞれ電極4、6を配した薄板部2と、前記一部を除く板厚の厚い枠部3とからなる水晶片1を有する。さらに、薄板部2が主面5に垂直な方向より見てほぼ三角形である。薄板部2をほぼ正三角形にすることで、断面で見てほぼ対称な凹形状でエッチングされ、予期した凹形状を再現性よく大量に加工することを実現する。図2は図1の破線203の位置で切断した断面図である。薄板部2と枠部3により形成される凹形状は、主面5と凹み側面102、主面5と凹み側面103がほぼ対称である。
【0034】
図9は、図1で説明した水晶片1を有する圧電デバイスの構成図である。圧電デバイスは水晶発振器であり、3Vの入力電圧で150MHzの周波数で信号を出力する。圧電デバイスは、VCXOや、温度補償型水晶発振器や、加速度や微重量変化を感知するセンサーなどでもよい。図10は保持器301に同封される発振回路からなるICチップ601の入出力端子の例を示した図である。
【0035】
圧電デバイスの作成は次のように行った。まず、水晶片1を作成する。水晶の結晶をバンドソーでATカットに切断し、x方向3mm、z’方向3mmで輪郭寸法にワイヤソーを用いて水晶の小片に加工し、さらに研削や両面研磨により板厚90μm程度に加工した。最終的に主面5、7を鏡面に仕上げた。この水晶の小片の主面5の全面に保護膜8を形成し、フォトリソ技術で三角形に保護膜8の一部を取り除く。本例ではx軸に行に一をとりほぼ正三角形にした。この小片をフッ化水素酸と界面活性剤と水とからなるエッチング用液に浸ける。主面5のうち前記一部と主面7の全面が溶解し加工され凹形状が形成され、板厚504が10μmの薄板部2と板厚50μmの枠部3の水晶片1となる。水晶片1の両面に電極4、6と引き出し電極201、202をNi−CrとAlを2層構造で形成し水晶振動素子にした。さらに、水晶振動素子を実装する前に水晶振動素子と保持器301の間にICチップ601を保持器601に実装した。水晶振動素子は電極4を保持器301に向けて実装した後、保持器301の端子604、605を利用して測定したもしくは測定している主振動の共振周波数を所望の周波数150MHzに±2ppmに近づけるべく電極6を加工して周波数調整する。
【0036】
水晶振動素子とは、結晶軸に対してある決められた幾何学的形状・寸法および角度に切断した水晶片に電極を配して電荷をかけ振動を得る素子である。水晶振動素子を保持器に封入して圧電デバイスとして使用する。主に水晶振動子や水晶発振器や水晶を利用したセンサーや光学素子などである。水晶においては主にATカット、Zカット、またはSCカットなどの水晶片である。凹形状とは主面の一部の板厚を薄くした形状である。凹形状の薄い板の部分を薄板部といい、その周囲を枠部という。主面に垂直な方向より見た薄板部の形状は三角形であるが、水晶片の輪郭は、4角形、3角形、円形など各種ある。薄板部の三角形の形状は例えば一辺をx軸に行にし、ほぼ正三角形にするなどがあげられる。薄板部の両側の主面に配する電極はAu、Ag、Al、Cr、またはNiやそれらの合金で形成され、層状になっていてもよく、保持器に支持後、電極を加工して周波数を精密に調整する。凹形状の加工は、主に大量に同時に水晶を加工でき生産性に優れたウエットエッチングにより加工する。ウエットエッチングに利用するエッチング用液は水晶が溶ければよいが、主にフッ加水素酸、フッ化アンモニウムからなる水溶液で必要に応じて界面活性剤や添加剤を含有させる。凹形状は水晶片の輪郭を形成した後に加工しても、同時に加工しても前に加工してもよい。前に加工とはウエハーなどの状態で凹形状を加工し、後に個々の水晶片に分離する。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、薄板部を主面より見てほぼ正三角形になるように加工することで、ウエットエッチングのプロセスで再現性よく凹形状を加工する。ウエットエッチングを利用することで大量に水晶を処理でき生産性が上がるほか、薄板部を三角形に加工することで加工寸法の再現性よくなり、歩留まりが向上し特性が安定する。特に凹み側面は一様に形成されるため、加速度などのセンサーでは、薄板部の変形が安定して生じるためセンサー特性が再現性よい値を得る。また、小型化の際に予期した寸法に凹み側面が形成されるため電極が凹み側面に乗り上げて特性を不安定にすることを防止する。また、枠部と薄板部と凹み側面の寸法が予期した形状で、再現性よく得られるため、副振動や温度特性の安定も安定し、さらにこれらを避けるよう寸法を設計した場合に、製造上のバラツキなどを抑え、歩留まりを良くする。また、薄板部を三角形にして、薄板部の面積を広くすることで目的の電気的特性やセンサーの感度を得る場合に、四角形よりも重力などで変形しにくい。また、薄板部は四角形などに比べて三角形であるとウエットエッチング時や洗浄時に一つの頂点を下または上にすることで液流れや液切れや泡取りが改善され薄板部の主面をより平坦に加工しやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスに利用する水晶振動素子の構成図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本発明の圧電デバイスの構成図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】本発明の圧電デバイスの製造方法の概要である。
【図6】本発明の圧電デバイスに利用する水晶片の輪郭形状の例である。
【図7】従来の圧電振動素子の例である。
【図8】図7の断面図である。
【図9】本発明の圧電デバイスの構成図である。
【図10】本発明の圧電デバイスに実装するICチップの構成図である。
【符号の説明】
1 水晶片
2 薄板部
3 枠部
4 電極
5 主面
6 電極
7 主面
101 凹み側面
102 凹み側面
103 凹み側面
201 引き出し電極
202 引き出し電極
301 保持器
302 リッド
303 封止材
304 端子
305 端子
306 導通構造
307 パット
308 支持材
309 導通構造
310 パット
311 支持材
501 ウエハー
502 保護膜剥離部分
503 溶解部分
504 板厚
505 輪郭寸法
506 加工用マスク
507 アルゴンイオン
601 ICチップ

Claims (5)

  1. 主面の一部の板厚を薄く加工した薄板部と前記一部を除く板厚の厚い枠部からなる水晶片と、前記薄板部の両面にそれぞれ設けられた電極を有する圧電デバイスにおいて、前記薄板部が前記主面に垂直な方向より見てほぼ三角形で、一辺が水晶片のx軸に平行であることを特徴とする圧電デバイス。
  2. 前記水晶片は、ATカットの水晶片であり、主振動に厚みすべり振動を利用することを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
  3. 前記枠部は、主面に垂直な方向より見てほぼ四角形または前記薄板部とほぼ相似であることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
  4. 主面の一部の板厚を薄く加工した薄板部と前記一部を除く板厚の厚い枠部からなる水晶片と、前記薄板部の両面にそれぞれ設けられた電極を有する圧電デバイスの製造方法において、
    水晶片の輪郭を形成する水晶片輪郭形成工程と、少なくとも前記一部を除き保護膜を形成する保護膜形成工程と、水晶を溶解するエッチング用液に浸けて前記一部を溶解して板厚を薄くし、前記主面に垂直な方向より見てほぼ三角形で、一辺が水晶片のx軸に平行な前記薄板部に加工するエッチング工程とからなることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
  5. 前記エッチング工程は、一方の主面と他方の主面を同時に溶解し前記薄板部の板厚を薄く加工することを特徴とする請求項4に記載の圧電デバイスの製造方法。
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