JP2003087088A - 圧電デバイスとその製造方法 - Google Patents

圧電デバイスとその製造方法

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JP2003087088A
JP2003087088A JP2001271131A JP2001271131A JP2003087088A JP 2003087088 A JP2003087088 A JP 2003087088A JP 2001271131 A JP2001271131 A JP 2001271131A JP 2001271131 A JP2001271131 A JP 2001271131A JP 2003087088 A JP2003087088 A JP 2003087088A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水晶片の一部の板厚を薄く加工して断面で凹
形状を加工し高い共振周波数を得たり、センサーなどに
利用するときに、高速に水晶を加工できるウエットエッ
チングは大量に処理でき有効な手段だが、安定した電気
的特性や、薄板部の予想した再現性ある変形を得るた
め、薄板部主面と枠部主面との間に位置する凹み側面を
ほぼ同様に形成し、予期した形状に再現性よく加工す
る。 【解決手段】 水晶の板の主面に三角形の形状で窓を開
けて保護膜を形成した後、ウエットエッチングすること
で窓の部分が溶解され薄板化し凹形状に加工し、薄板部
が主面より見て三角形であるよう加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本出願は、テレビなど民生品
や、コンピュータなどのクロックや、光通信やギガビッ
トインサーネットなど高速、大容量通信などの周波数発
生源や、物質を感知したり、圧力や加速度などを感知す
るセンサーなど圧電性を利用する圧電デバイスに関する
ものである。特に100MHz以上の基本波で発振する
板厚の薄い水晶振動子や圧力や加速度などの検知に利用
される圧電デバイスにおいて、加工の再現性よく、加工
精度のばらつきが主振動へ影響しないようした圧電デバ
イスとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水晶振動子は、通信機器にとり基準周波
数を供給する重要な部品である。近年高速、大容量通信
用機器の登場により各機器の高周波化が進み、同時に共
振周波数を直接高くし、ジッタなどノイズを軽減する水
晶振動子をより多く供給することが問われている(EL
ECTRONIC DESIGN March6 20
00 p112)。一般的にPLL回路によるてい倍で
高周波化を実現するより水晶振動子の基本波周波数も高
くするとノイズを抑制しやすい。ATカットなどの水晶
振動子の共振周波数を高くし、VHF帯で取り扱うに
は、圧電体が主振動を励振する励振部分の板厚を薄くす
るほど高くなるため薄板化が課題となる。
【0003】高周波化を進めるにあたり、特に電気的特
性の安定性が問われる周波数発生源として利用する場
合、基本波振動の共振周波数が100MHz以上にもな
る水晶板の板厚は約17μm以下の薄板となり、加速度
や衝撃など外的衝撃の影響で共振周波数が変動する。ま
た、薄いと製造時のハンドリングが悪いなど、薄板の弊
害を生じる。一般的な水晶振動子は平板形でありフラッ
トな水晶片を使用する。フラットとは、一方の主面と他
方の主面がほぼ並行で、全面わたり一定の板厚である板
状の形状の水晶片をいう。薄板の弊害の対策として薄板
部の外周に薄板部より板厚の厚い枠部を配する断面で見
て凹形状の水晶片を利用する、凹形水晶振動子が考案さ
れた。初期の丸形をはじめ、四角形のものなど1970
年代から内外で発表されている(米国特許公報 第3,
694,677号)。また、凹形水晶振動子の振動モー
ドなども中澤らにより研究されてきた(信学技報 US
76−16,7 昭和51年)さらに、Q値を向上する
ために方形状凹形水晶振動子の表面にコンベックス形状
を形成し、周波数温度特性について研究している(電気
学会論文誌 昭和57−2 p59)。ただし、外的衝
撃の影響を受けるこの薄板の弊害を利用すると、低周波
で板厚の厚い圧電振動子より敏感に電極表面の重量変化
を感じることからガス検知用など微量変化を検出する高
性能センサーとして使用する用途もある。
【0004】凹形水晶振動子は平坦な主面を凹形状に加
工する。凹形状への加工は、フッ化水素酸やフッ化アン
モニウムを含むエッチング用液を利用して水晶を溶解し
て加工するウエットエッチングや、CF4やCHF3や
C2H6など反応性のガスを利用して水晶を加工するド
ライエッチングなどの化学的加工方法や、レーザーや超
音波やサンドブラストなどを利用して衝撃などで加工す
る物理的加工方法などがある。ドライエッチングは薄板
部の主面の表面粗さを荒らさず加工できるが500nm
/分程度とエッチングレートが遅く加工に時間がかか
る。物理的加工方法は個々に加工したり物理的衝撃によ
る亀裂や、加工層が電気的特性の劣化を招く。ウエット
エッチングとは、液体を使用して、水晶を溶解し加工す
る方法である。大量の水晶片やウエハーを同時に加工で
き生産性に優れ、エッチング速度もATカットの切断面
に垂直方向に2μm/分程度と速い。通常、エッチング
用液をテフロン(登録商標)容器に入れ50度から80
度程度の定温にし、これに水晶を浸ける。水晶を揺動し
てもよい。板厚を薄くする加工の例としては、保護膜を
主面に形成し、その後板厚を薄くする薄板部の保護膜を
取り除き、エッチング用液に浸けて保護膜を取り除いた
部分が加工され板厚を薄くする。現在は主面に垂直な方
向より見て、薄板部の形状が4角形や円形の凹形水晶振
動子が主に利用されている。しかし、図7や図8のよう
に四角形で薄板部を形成すると、水晶の異方性によるエ
ッチング速度の違いにより、1辺をx方向に並行となら
ば、+Xと−Xでエッチング速度が異なり、z’方向
は、傾いたz軸のエッチング速度の違いで凹形状の内側
側面である凹み側面で形状が異なり、対象な凹形状を四
角形や丸形を作るのが困難で加工精度が悪く、設計と異
なる形状になるという問題がある。
【0005】また、小型化するにあたり、この凹形状の
加工精度の悪さから凹み側面に電極の一部が配されるほ
ど凹み側面の面積が広がり主振動に影響を及ぼす。ま
た、35μm以下の薄板部を形成するにあたり、薄板部
が特に電極を配した辺りが重力によりわずかにしなり、
主振動の影響を及ぼす。凹形状が対称に形成されていな
いと凹み側面における板厚が厚くなる傾きが異なるため
しなりが不安定で予期しない形で薄板部が捻れたりして
主振動の周波数を予期しない変動を与える。同様に、薄
板部のしなりによる主振動の周波数変化を検知するセン
サーなどでは対象に凹形にされないことで一様にしなら
ないで検知の安定性に欠ける。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、特にウ
エットエッチングを利用した製造方法で、水晶片に薄板
部を加工すると、水晶の異方性によるエッチング速度の
違いから寸法精度や、加工精度が悪く、歩留まりの低下
や特性の不安定などを生じやすい。
【0007】本発明は前記問題点を顧みてなされたもの
で、寸法精度に優れ特性の安定した水晶を利用する圧電
デバイスを提供することを目的とする。また、本出願
は、安定した主振動を得て生産効率性を確保しつつ前記
のような圧電デバイスの製造方法を提供することを他の
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】主面の一部の板厚を薄く
加工した薄板部とその一部を除く板厚の厚い枠部からな
る水晶片と、薄板部の両面にそれぞれ設けられた電極を
有する圧電デバイスにおいて、薄板部が主面に垂直な方
向より見てほぼ三角形となるように加工する。
【0009】このような構成により、四角形や丸形より
も断面で見た凹形状が対称で予期した形状に再現よく加
工する。
【0010】
【発明の実施の形態】(実施例1) 図1は本発明の構成
を示す図である。大容量高速度通信用機器において、よ
り高周波数を発振する水晶振動子を必要とするが、周波
数発生源に利用されるATカットの水晶振動子などは共
振周波数を高くするためには板厚を薄くする必要があ
る。特に35μm以下に薄くした薄板部はわれ易く、外
部の衝撃に弱くなる。このために薄板部の周辺に板厚の
厚い枠部を形成するが、薄板部の形状が4角形や円形な
どの形状では結晶軸の異方性に対応したエッチング速度
の違いにより形がいびつになり加工整精度が悪い。本発
明では、前記問題点を顧みてなされたもので、主面から
見た形状を三角形で加工することにより、水晶のエッチ
ングによる異方性の特徴を利用して、予期した形状に再
現性よく、特性の安定した水晶を利用した圧電デバイス
とその製造方法を提供する。
【0011】図1は、主にVHF帯で利用される水晶振
動素子の構成図である。図2は図1の破線203におけ
る断面図である。図1は、本発明の一例である主振動に
厚み滑り振動を利用する共振周波数100MHzのAT
カットの水晶振動子を示す。図3や図4のように保持器
301に封入して水晶振動子、つまり本明細書でいう圧
電デバイスとして使用する。通常は水晶片を電極と共に
保持し、保持器に封入した物を水晶振動子という(水晶
デバイスの解説と応用 日本水晶デバイス工業会技術委
員会編1996年10月)。水晶片とは、結晶軸に対し
てある決められた幾何学的形状・寸法および角度に切断
した結晶片をいう。本明細書ではx方向とz’方向の水
晶片1の端を輪郭といい、これら寸法を輪郭寸法とい
う。さらに水晶片に電極を配して電荷をかけ振動を得る
など圧電性を利用する素子を水晶振動素子とよび、水晶
振動素子を保持器に封入、つまり密封して圧電デバイス
として使用する。ATカットやSCカットは電極を少な
くとも表裏主面、それぞれに配する。フィルターなどで
は一方の主面に2つ以上の電極を配することもある。ま
た、本明細書でいう圧電デバイスとは、水晶振動子、水
晶発振器、水晶を利用するセンサー部品または光学用素
子など水晶の圧電性を利用する部品をあわせていう。本
例の水晶振動素子は、主面5の一部の板厚を薄くした薄
板部2と、前記一部を除く板厚の厚い枠部3とからなる
水晶片1と電極4、6から構成される。以降、このへこ
みを持つ水晶片1の形状を凹形状という。電極4、6は
薄板部2の両面にそれぞれ配され、水晶片1の主振動の
電荷を拾う。水晶片1は、ATカットであり、主振動は
厚み滑り振動の基本波である。薄板部2は、ウエットエ
ッチングにより加工して、その形状はほぼ三角形であ
る。本例でいう板厚とは、薄板部2の主面5と主面7の
距離を言う。主面7がコンベックスの場合は中心厚みを
いう。
【0012】図3は圧電デバイスの水晶振動子の断面図
である。図4は、図3の構成図である。図5は水晶振動
子の製造プロセスの概要である。図6は、水晶片1の外
形の例である。図7は従来の凹形の水晶振動素子の概要
図である。図8は図7の断面図である。以下に図1、図
2を中心に図3、図4、図5、図6、図7、図8で説明
する。
【0013】図1の符号1は水晶片を示す。主面5のほ
ぼ中心付近の一部が凹形状に加工されており、図2で示
すように薄い板厚に加工した薄板である。2は、この薄
板を示し、本明細書では薄板部2という。図ではわかり
やすくするために板厚方向に拡大してある。水晶片1の
輪郭寸法505は、x方向3.5mm、z’方向4.5
mmである。薄板部2の主面は表面が粗れぬよう加工す
る。主面とは、水晶片1で最も面積の広い面を言い、本
例ではATカットの切断面と平行な面に相当する。薄板
部2は、一辺をx軸と並行にしてあり、ほぼ正三角形で
ある。凹形状の内側側面である凹み側面101がウエッ
トエッチングによる薄板への加工の過程で形成される。
水晶の異方性とアンダーカットにより主面5に対して垂
直に加工されず斜めになる。しかし、図7のように四角
に薄板部2を加工するより、ほぼ一様に凹み側面10
2、102、103は形成される。
【0014】3は水晶片1の枠部である。枠部3は水晶
片1の主面の薄板部2の周辺に形成し、外的衝撃や製造
時のハンドリング性を向上している。本例では薄板部2
の板厚504は17μm、枠部3の板厚は50μmで作
製した。ATカットでは周波数定数=薄板部の厚さ×主
振動周波数であり、100MHzで17μm程度とな
る。この板厚504は電極4、6の材料種類や厚みによ
っても左右され、本例と比較して比重の重い材料は板厚
504を薄くし、さらに電極4、5を厚く形成しても板
厚504を薄くする。図6に水晶片1に薄板部2を加工
する位置を例として示す。(h)は薄板部2を本例のよ
うに水晶片1のほぼ中央付近に形成してある。(i)は
薄板部2を(h)より小さくし片方向に寄せて形成して
ある。(j)は水晶片1の輪郭の一部分と薄板部2の輪
郭が同一であり薄板部2から見て一方向の枠部3が存在
しない。(k)は水晶片1がy’軸周りに、回転してあ
る。(k)、(i)、(j)は、薄板部2の位置や大き
さを変え、支持の影響を軽減するよう距離を離したり、
副振動の影響を最小にしたりするのに使用すればよい。
(m)は薄板部2とほぼ相似の関係で枠部3が形成して
あり、小型化しやすい。(n)は水晶片1が円形であ
る。(o)は円形の水晶片1の一方向がカットされてお
りそのカットされた辺が薄板部2の輪郭と同一である。
(n)、(o)は従来から実績のある輪郭の形状を利用
するとともに輪郭振動などの副振動の影響を軽減するの
に利用される。このように各種水晶片1に薄板部2を形
成することがあるが、特に厚み滑り振動である主振動へ
の水晶片1の輪郭や薄板部2の輪郭による屈曲振動や輪
郭振動の高次の影響を避けるように選択される。これは
使用する主振動の共振周波数や輪郭の寸法により決めれ
ばよい。
【0015】4は、電極であり、水晶振動子1の凹形状
の底である薄板部2の主面5に配する。一方、電極6は
平坦側の主面7に電極4に対向して配する。薄板部2の
両主面に電極4と電極6を対向して配すことで主振動を
得る。主振動とは本例では厚み滑り振動であり、特に厚
み滑り振動の基本波振動である。オーバートーンを利用
してもよく、従来の平板形の水晶振動子よりさらに高い
周波数を実現可能となる。本例では電極6が電極4より
面積が小さいが、面積の小さい電極に電気的特性が影響
されるため、精度良く形成可能な平坦側の主面7に配す
る電極6の面積を小さくした。本例では電極4は直径5
00μmの円形で、電極6はx方向寸法が200μmで
z’方向が300μmとした。しかし、面粗さを良く加
工するため主面7をドライエッチングで板厚調整した後
に電極6を形成する場合などは、電極4を電極6より小
さくする場合もある。これは、凹形状の底に電極4を面
積を小さくして形成し、時間のかかりがちな板厚調整前
に正確な電気的特性を測定し不良分けするためである。
【0016】電極4と電極6は主にAu、Ag、Al、
Ni、Crや、これらの合金や、これらを積層したもの
である。Auは耐腐食性にすぐれ長期間安定した特性を
持続する。AlはAuより軽量で薄板部2へ重力による
余分な変形を与えないだけでなく、周波数調整の速度を
遅くし調整を容易にする。同時に電極加工による周波数
調整量も減少するため板厚504の合わせこみ精度が要
求され製造は難しくなる。本例ではCrを20Å、Au
を600Åの2層構造にしCrをAuと水晶の緩衝材的
役割で利用する。NiやNi−Cr合金も、同様な理由
で使用してもよい。また電極4と引き出し電極201、
さらに電極6と引き出し電極202は、通常同時に形成
した。主面5に構築するもの、主面7に構築するもので
分けて形成してもよいが工程数は2つに分かれ増える。
引き出し電極201、202は電極4、6から電荷を取
り出すとともに振動部分で支持することを避けるために
設け水晶振動子ではよく使われる構成である。電極4と
引き出し電極201は連続した膜であり、導通がとれて
いる。引き出し電極202は主面5に回しこんで形成し
てある。これにより主面5一方向で保持器301とバン
プや導電性接着剤などにより導通をとる。一方、電極6
と引き出し電極202も連続した膜であり、導通とれて
いる。
【0017】引き回し電極202は一部を主面7から主
面5に回し込み、主面5において支持材308により保
持器301と導通をとっているが、主面7から、ワイヤ
ボンディングなどにより導通をとっても良い。例えば、
非導電性の支持材で保持器301に固定し、引き出し電
極201を主面7へ回しこんでワイヤボンデリィングで
金線などで導通をとってもよい。イオンガンなどで電極
6を削って周波数調整する場合は、初めに電極6を電極
4より膜厚を厚く形成して形成し、周波数調整後に電極
6と電極4がほぼ同じ厚みになるようにしてもよい。引
き出し電極202の回し込みは確実にZ’軸に垂直な側
面及び側面と主面との角にも金属の薄膜を形成し導通が
取れるように、図7で見れるように幅を広くしてある。
【0018】図3は図1の水晶振動素子を周波数調整後
にリッド302を封止材303で密封したものである。
図4はそれをリッド302で封止する前に保持器301
の開口方向から見た図である。301は保持器であり、
水晶振動素子を外気から遮断しつつ水晶振動素子で発生
する周波数信号を取り出す薄型の保持器である。一般に
セラミックや、金属などの材料からなる。金属は外壁を
薄くしやすくセラミックより小型な保持器を作りやす
い。本例では、セラミックの表面実装型の保持器301
であり、平板とロ形に窓の開いた板を重ねて形成し、平
板で水晶振動素子を固定する2層積層型である。平板と
2枚のロ型板を積層構造にして凹構造を形成し、凹構造
内に水晶振動素子を収める3層積層型や平板だけの1層
型もあり、1層型では支持材308で水晶片1の振動部
分が保持器301に接しないよう浮かせる必要がある。
3層積層型の保持器は、水晶振動素子の下に空間ができ
るために固定が容易であり、そこに発振回路を含むIC
を設置して水晶振動素子と接続し水晶発振器や、さらに
電圧による周波数可変機能を付加して電圧制御型水晶発
振器(以下VCXO)などにしてもよい。特にVCXO
は凹型の水晶振動素子などで実現するVHF帯の基本波
である主振動の周波数可変幅を広く取れるなどの特徴を
生かした表面実装型デバイスである。この場合、保持器
の外に配置する端子は、電源電圧入力端子や、出力端子
や、アース端子及び周波数制御入力端子などを備えてI
Cチップと接続する必要がある。
【0019】保持器301は電極6と導通のとれている
端子304と、電極4と導通のとれている端子305を
有する。保持器301を貫通して導通をとるため導通構
造306、309を有する。導通とは、電気的に接続し
ていることを言う。導通構造306は保持器301を積
層して組み立てる前に導通材を両面回しこんで形成して
おき積層した後も電極6と接続するパット307から端
子304まで導通が取れればよい。穴をあけ導電性の金
属などで蓋をした構造でも密封して導通取れる構造であ
れば良く、密封性とコストを考えて選択すればよい。支
持材308、311は、導電性接着剤やバンプなどであ
り、水晶振動素子の保持器301への固定と同時に導通
をとっている。ただの非導電性接着剤などを利用した
り、特に引き出し電極202を回し込みしない場合は、
引き出し電極202とパット307をワイヤーボンディ
ングしAu線などで接続する。このように、支持する箇
所と導通とる箇所が異なってもかまわない。水晶振動素
子を収めた後に図3のようにリッド302で開口部に蓋
をして外気から遮断し封止する。封止方法は、実績有る
抵抗溶接シール方式、真空にする場合はコールドウエル
ド方式、シリンダータイプの水晶振動子に利用されるは
んだ厚入シール方式、低融点ガラス封止方式、接着剤シ
ール方式などがあるが、密封性やコストにより選択すれ
ばよい。本例では抵抗溶接シール方式を採用した。リッ
ド302は金属、セラミックなどでできており、封止材
303はハンダや、ガラス、接着剤、金や、スズの合金
などである。封止材303を利用せずに、リッドと保持
器を溶接しても良い。リッド302は平板型や、ドーム
型などがあるがコストや製造方法により選択すればよ
い。蓋をすることを封止するというが、封止方法により
封止剤303も決められる。保持器301内部は窒素で
充填した。
【0020】図5は、図3で示した圧電デバイスの製造
方法例を示している。(a)は、ウエハー形成工程であ
る。ウエハー501は、水晶結晶をATカットで切断し
1インチ角程度のウエハー501にしたものであり、厚
みはおよそ50μmである。まず、ウエハー形成工程で
水晶結晶をワイヤソー、バンドソーなど物理的加工方法
で切断した。さらに、板厚を50μmの厚みに両面研磨
するなどラッピングによりおこなった。本例では最終的
に光学研磨までおこない、主面5、7を鏡面にし、面粗
さが5nm以内にまで平坦にした。主面5、7の表面粗
さによりウエットエッチング工程後の薄板部2の面粗さ
は大きく左右される。(b)は、保護膜形成工程であ
る。保護膜形成工程は、保護膜全面形成、フォトリソ、
保護膜剥離からなり、主面5の一部を除き保護膜8を形
成する。一部は凹形状に加工する箇所で3角形である。
保護膜全面形成は、主面5の全面にクロム200Å、金
2000Åの2層膜でスパッタ装置により形成した。フ
ォトリソは、(a)の保護膜8全面にポジレジストを塗
布し、マスクを挟んで主面5を露光しマスクで隠されて
いない一部のポジレジストを露光した。さらに現像する
とマスクで隠されていない一部が溶解しポジレジストは
加工される。本例では、マスクは保護膜剥離部分502
以外を隠すよう作られており、マスク上の保護膜剥離部
分502に相当する箇所が前述の一部に相当し、主面5
から見てほぼ三角形の形をしている。ポジレジストは保
護膜剥離部分502を除き保護膜8上を覆う。保護膜剥
離は、保護膜8を構成するAuを溶解する液、Crを溶
解する液につけるとポジレジレジストに保護されていな
い一部が溶解され保護膜剥離部分502が形成される。
【0021】(c)は、ウエットエッチング工程と板厚
微調整工程である。ウエットエッチング工程で凹形状に
加工し目標の板厚にほぼ近づける。その後、板厚微調整
工程で目的の共振周波数で発振する板厚504に精度よ
く加工する。ウエットエッチング工程では、保護膜剥離
部分502から溶解部分503が加工される。エッチン
グ用液は、フッ化水素酸やフッ化アンモニウムを含む水
溶液を利用して溶解する。面粗さを保つための表面活性
剤や、エッチング速度を一定に保つ添加剤を入れてもよ
いが、水晶を溶解する液であればよい。本例では、70
度に加熱したエッチング用液にウエハー501ごと浸け
た。この時、保護膜8で覆われた一部を除いた主面5は
加工されず、凹形状を形成する。主面5の他、主面7の
全面を加工し、一様にエッチングし、両方の主面から板
厚を50μmから19μmまで薄くした。
【0022】この時、保護膜8を主面7の全面にも形成
し主面5からのみ加工して、凹形状の形成と板厚504
を同時に得てもよい。片面からのウエットエッチングは
少なくとも平坦な主面7の面粗さは光学研磨の状態で保
てる。板厚微調整は、エッチング速度の遅いドライエッ
チングを利用し2μmほどを精密な寸法制御で板厚4を
実現する。本例ではCHF3を利用し、主面202の全
面を加工した。同様に物理的加工法を利用したり、加工
法を複合して利用してもよい。ただし、本明細書で述べ
るように、板厚504は、主に大量に処理でき、高速で
加工できるウエットエッチングにより薄く加工する。本
例では、(f)での周波数調整幅が、数百〜数千Å程度
と有限である電極の厚み分しか調整できないため、後の
水晶振動子の最終共振周波数に(f)において調整可能
な範囲まで(c)における板厚504を精密に周波数で
測定しつつ調整した。具体的には、薄板部2の共振周波
数をネットワークアナライザで測定してから、板厚の加
工量を決定し主面7側をドライエッチング手法により板
厚19μm周波数で測定して約90MHzから105.
0MHz±500ppmに調整した。
【0023】(d)は、水晶片輪郭形成工程であり、水
晶片1の輪郭を輪郭寸法505でえる。輪郭寸法505
は、x方向3.5mm、z’方向4.5mmで、ダイシ
ングソーで加工した。輪郭はウエットエッチングと同時
にエッチング用液を利用して加工しても、凹形状を形成
する前、または後に別な加工方法で加工してもよい。ウ
エットエッチングでは、凹形状を形成し薄板部2の主面
の面粗さを荒らさず加工する条件と、輪郭を精度よく加
工する条件が異なる。本例では薄板部2を形成後に別に
輪郭を形成することで、面を荒らさず加工した。別にし
さらに輪郭は別の方法で加工した。(e)は、電極形成
工程であり、電極5と電極6を形成した。これらを保持
器2の端子304、305と導通とるための引き出し電
極201、202も同時に形成した。電極は一般的に蒸
着、スパッタなどにより真空中で形成し、水晶ウエハー
401を回転しながら形成すると、電極4、6が同時に
形成可能である。電極4、および電極6の形状は所望の
形状に穴の開いたマスクをそれぞれ金属源と主面5、7
の間にはさむことで得られる。(f)は、(e)までで
作成した水晶振動素子を保持器301へ固定する。凹形
状を有する主面5を保持器301側へ向け、保持器30
1の水晶振動素子を固定するパット307、308に支
持材307、311を使用して固定、同時に導通をと
る。電極4、6および引き出し電極201、202は、
フォトリソ技術を利用して寸法精度よく形成してもよ
い。
【0024】さらに(f)は、周波数調整をおこなう。
端子304、305をネットワークアナライザーなど周
波数測定装置に接続して周波数を測定しつつアルゴンイ
オンを照射して電極6の全面と引き出し電極202を部
分的に削り、共振周波数を所望の値に調整する。本例で
は100MHzの±2ppmに調整した。周波数調整に
おける電極の加工は、電極4を削るエッチング方式と、
電極6に重量をつける加重方式がある。加重方式では、
スパッタや蒸着や塗布などにより電極表面に積層し、電
極6を積層することで主振動周波数は低くなる。一般的
にはAuやAlなど同材料を積層するが加重するなら他
の材料でもかまわない。エッチング方式はイオンガンや
レーザーやスパッタや研磨などでおこなわれ、電極6を
削ることで主振動周波数は高くなる。本例ではイオンガ
ンによりArイオンで表面を削ってゆく。この時、電極
6とともに引き出し電極202も部分的に加工され膜厚
が薄くなる。507はイオンビームであり、矢印はイオ
ンガンから水晶片1へ向かうArのプラスイオンなどの
イオンビームを示す。
【0025】イオンビームを構成するイオンなどは加工
用マスク506により通過する面積を制限され、電極6
周辺を集中的にドライエッチングし、極力水晶片1に影
響しないようすることができる。ただし、電極6を均一
にムラなく加工するために電極6の面積より大きく加工
用マスク506に窓を開ける。この場合、引き出し電極
202も部分的に加工することになる。電極6を部分的
に厚くして残すより、引き出し電極202を部分的に加
工してたほうが、主振動に及ぼす影響が、少ない。
(g)は、封止であり、図3にあたる。本例ではリッド
302を保持器301に載せ窒素中で、抵抗溶接し封止
材303を溶接することで密閉する。保持器301内部
は窒素の他、不活性ガスや、封止方法によっては真空で
充填してもよい。図7は四角形で薄板部2を形成した従
来の凹形水晶振動子である。破線509における断面が
図8である。凹形状をウエットエッチングにより形成す
ると凹み側面507と凹み側面508の形状が異方性に
より異なる。
【0026】(実施例2) 主面の一部の板厚を薄く加工
した薄板部が、主面に垂直な方向にかかる加速により変
形することで共振周波数が変化し、加速度を検知する加
速度センサーを示す。図1と図2を中心に図9、図10
により実施例2について説明する。薄板部2が再現性よ
くひずむことが、安定に加速度を検出するにおいて重要
となる。特にウエットエッチングによる薄板部2の形成
はエッチング速度が速く量産性に優れるが、図7や図8
で示すような薄板部2が四角形の従来形では、水晶の異
方性により凹み側面507、508が同様な形状で加工
されず、断面で見ていびつな凹形状が形成される。加速
度が主面5に垂直な方向にかかり、枠部3の周囲はしな
らず、薄板部2の中心に行くほど顕著にしなるように変
形する。この時、いびつな凹形状では電極4と電極6の
間の振動領域が安定して予期したように変形されず、特
に加速度に比例して変形がなされない。このため、安定
した特性をもつ加速度センサーの実現が困難であり生産
性も悪い。本例の圧電デバイスは、図1や図2は、主面
5の一部の板厚504を主にウエットエッチングにより
薄く加工した薄板の両面にそれぞれ電極4、6を配した
薄板部2と、前記一部を除く板厚の厚い枠部3とからな
る水晶片1を有する水晶振動素子と水晶振動素子を支持
する保持器301と蓋であるリッド302から主に構成
した。薄板部2は主面5に垂直な方向から見て三角形と
することで凹形状がウエットエッチングのプロセスでも
対象性よく形成する。
【0027】水晶片1は、外力により薄板部6が変形す
ることで水晶振動子の共振周波数が変化し外力が加わっ
たことを感知する。製造の手順としては、ATカットで
1インチ角の寸法でウエハーを切り出す。このウエハー
の主面5に、保護膜8を形成し、フォトリソにより保護
膜8の一部を取り除き、同時に水晶片1の輪郭と縁と接
続部分を残して取り除く。1インチのウエハーから約3
0個ほど水晶振動素子をとる。このウエハーをウエット
エッチング、さらにドライエッチングを使用して主面の
一部の板厚を薄くして凹形状を形成し、薄板部2を形成
する。主にウエットエッチングにより凹形状を形成し
た。この時、薄板部2は水晶の異方性により凹形状のい
びつを軽減するために一辺をx軸に平衡にして三角形に
なるよう加工した。主面5に垂直でなく、凹み側面10
1,102、103ができるが、ほぼ同様な主面5への
傾きなどで形成する。これはフォトリソにおいて保護膜
を剥離する一部の形状を三角形にすればよい。ウエット
エッチングのエッチング用液にはフッ化水素酸やフッ化
アンモニウムを含んだ水溶液を使用し、ウエハーをこの
エッチング用液中へ浸けて加工した。凹形状と同時に水
晶片1の輪郭も形成される。
【0028】薄板部2の周囲は板厚の厚い枠部3とな
り、加速がかかっても割れ難く、また他の材料で薄板部
2を直接支持するより温度特性がよくなる。また支持位
置から距離をとり支持の影響を軽減し有利にする。ウエ
ットエッチングにより、ウエハーの縁に接続しているが
水晶片1の輪郭をほぼ形成し、ドライエッチングにより
精密に板厚504を調整し凹形状を形成した後、電極
4、6を形成する。電極6を形成する場合、電極形成用
マスクを水晶主面に近接させられるために、凹形状の底
にある主面5より精度良く形成可能なため、平坦側に凹
側より小さい面積の電極6を形成することで特性の安定
した水晶振動素子を作成する。特に、効率良く水晶片1
に発生する電荷を拾うため複雑な形状にしたり副振動を
回避したり、もしくは部分的に慣性力に影響されやすい
重しを形成したりするため、電極形成時における加工精
度も重要でありフォトリソを利用してもよい。
【0029】電極形成後、ICチップ601を実装済み
の保持器301に水晶振動素子を支持し、周波数を調整
し、リッドで蓋をして封止する。まず、水晶振動素子の
支持につて説明する。ウエハーの縁より接続部から水晶
片1を切断し保持器301へ固定する。図9は、水晶片
1を割らないよう保持器301の端を切断して見た図で
ある。301は保持器であり、水晶振動素子を外気から
遮断しつつ感知した周波数変動情報を取り出す薄型の表
面実装型の保持器301である。水晶振動素子は電極4
を保持器301に向けて支持材設置する。保持器301
は外部電源用の端子604とセンサー信号を出力するた
めの端子605を備え、別にアース用の端子や外部制御
用の端子などを備えていてもよい。材質は、セラミック
のSMD保持器であり1番下の凹構造内にICチップ6
01と、上の段の凹構造内に水晶振動素子を収める3層
積層型である。保持器301には端子604、605や
水晶振動素子の引き出し電極201、202とICチッ
プ601の各種回路端子とをそれぞれ導通とるために金
属膜が形成し配線してあり、それぞれバンプやワイヤボ
ンディリングのワイヤ603などにより導通がとられて
いる。金属膜周波数精度の向上と、加工精度の向上のた
め、マスクから距離を生じる電極4を加工するのではな
く、電極4を保持器301に向けて水晶振動素子を実装
し、真空中でArイオンをあてるなどイオンガンを使用
して電極6を削り周波数調整を行う。
【0030】図10はICチップ601の図である。水
晶振動素子の発振回路と外力により変化した共振周波数
と通常の共振周波数との差を計算する回路を含み、シリ
コン基板表面の回路配置領域701にそれら回路を配し
ている。また回路配置領域701には電極6と導通をと
る水晶接続部702と、電極4と導通をとる水晶接続部
703と、周波数調整時に水晶振動素子の共振周波数情
報を取り出す外部制御部705と、外部から回路を駆動
するための電源を供給する、電源入力部705や、セン
サー信号を出力する出力部706や、外部のアースと接
続するアース接続部707などがあり、本例ではそれぞ
れが保持器2上に配されている保持器301の金属膜に
金属ワイヤ603で導通とり、回路配置領域701を保
持器301側に向けバンプなどで導通をとり、保持器3
01への固定をかねてもよい。
【0031】保持器301の金属膜は部分的に積層さ
れ、はさまれる形で形成されていてもよくまた、独立し
て複数個存在してもよい。本例では、電極6と水晶接続
部702を接続するために、保持器301の金属膜と金
属ワイヤ603と引き出し電極202が存在する。水晶
接続部703と電極6を接続するためにも同様な構造が
別に存在する。電圧電源入力部705と端子604を接
続するために保持器301の金属膜と導通構造が存在
し、出力端子706と端子605を接続するために同様
の別の構造が存在する。また、外部制御部704もしく
はアース接続部707と、端子604、605とは別の
保持器301の端子とを接続する金属膜が存在してもよ
い。それぞれの保持器301内に配してある金属膜はそ
れぞれ水晶振動素子とICチップ601の接続前は導通
していないでそれぞれ電気的に独立している。保持器6
01はICチップ601と水晶振動素子を収め、周波数
調整した後に周波数調整する。
【0032】周波数調整は、イオンビームであるイオン
などを加工用マスクにより通過する面積を制限し、電極
6を集中的に削る。ただし、電極6をムラなく均一に削
るために、電極6の面積より広めのイオンビーム通過穴
を加工用マスクに開ける。端子604に電源を、端子6
05にスペクトルアナライザのプローブを押し付けて測
定しながら加工する。最後に窒素中で封止する。
【0033】(実施例3) 水晶発振器を示す。図1と
図2を中心に、図9、図10により実施例3の説明をす
る。図1は、本例の水晶振動素子の構成図でる。主面5
の一部の板厚504を主にウエットエッチングにより薄
く加工した薄板の両面にそれぞれ電極4、6を配した薄
板部2と、前記一部を除く板厚の厚い枠部3とからなる
水晶片1を有する。さらに、薄板部2が主面5に垂直な
方向より見てほぼ三角形である。薄板部2を三角形にす
ることで、断面で見てほぼ対称な凹形状でエッチングさ
れ、予期した凹形状を再現性よく大量に加工することを
実現する。図2は図1の破線203の位置で切断した断
面図である。薄板部2と枠部3により形成される凹形状
は、主面5と凹み側面102、主面5と凹み側面103
がほぼ対称である。
【0034】図9は、図1で説明した水晶片1を有する
圧電デバイスの構成図である。圧電デバイスは水晶発振
器であり、3Vの入力電圧で150MHzの周波数で信
号を出力する。圧電デバイスは、VCXOや、温度補償
型水晶発振器や、加速度や微重量変化を感知するセンサ
ーなどでもよい。図10は保持器301に同封される発
振回路からなるICチップ601の入出力端子の例を示
した図である。
【0035】圧電デバイスの作成は次のように行った。
まず、水晶片1を作成する。水晶の結晶をバンドソーで
ATカットに切断し、x方向3mm、z’方向3mmで
輪郭寸法にワイヤソーを用いて水晶の小片に加工し、さ
らに研削や両面研磨により板厚90μm程度に加工し
た。最終的に主面5、7を鏡面に仕上げた。この水晶の
小片の主面5の全面に保護膜8を形成し、フォトリソ技
術で三角形に保護膜8の一部を取り除く。本例ではx軸
に並行に一片をとりほぼ正三角形にした。この小片をフ
ッ化水素酸と界面活性剤と水とからなるエッチング用液
に浸ける。主面5のうち前記一部と主面7の全面が溶解
し加工され凹形状が形成され、板厚504が10μmの
薄板部2と板厚50μmの枠部3の水晶片1となる。水
晶片1の両面に電極4、6と引き出し電極201、20
2をNi−CrとAlを2層構造で形成し水晶振動素子
にした。さらに、水晶振動素子を実装する前に水晶振動
素子と保持器301の間にICチップ601を保持器6
01に実装した。水晶振動素子は電極4を保持器301
に向けて実装した後、保持器301の端子604、60
5を利用して測定したもしくは測定している主振動の共
振周波数を所望の周波数150MHzに±2ppmに近
づけるべく電極6を加工して周波数調整する。
【0036】水晶振動素子とは、結晶軸に対してある決
められた幾何学的形状・寸法および角度に切断した水晶
片に電極を配して電荷をかけ振動を得る素子である。水
晶振動素子を保持器に封入して圧電デバイスとして使用
する。主に水晶振動子や水晶発振器や水晶を利用したセ
ンサーや光学素子などである。水晶においては主にAT
カット、Zカット、またはSCカットなどの水晶片であ
る。凹形状とは主面の一部の板厚を薄くした形状であ
る。凹形状の薄い板の部分を薄板部といい、その周囲を
枠部という。主面に垂直な方向より見た薄板部の形状は
三角形であるが、水晶片の輪郭は、4角形、3角形、円
形など各種ある。薄板部の三角形の形状は例えば一辺を
x軸に並行にし、ほぼ正三角形にするなどがあげられ
る。薄板部の両側の主面に配する電極はAu、Ag、A
l、Cr、またはNiやそれらの合金で形成され、層状
になっていてもよく、保持器に支持後、電極を加工して
周波数を精密に調整する。凹形状の加工は、主に大量に
同時に水晶を加工でき生産性に優れたウエットエッチン
グにより加工する。ウエットエッチングに利用するエッ
チング用液は水晶が溶ければよいが、主にフッ加水素
酸、フッ化アンモニウムからなる水溶液で必要に応じて
界面活性剤や添加剤を含有させる。凹形状は水晶片の輪
郭を形成した後に加工しても、同時に加工しても前に加
工してもよい。前に加工とはウエハーなどの状態で凹形
状を加工し、後に個々の水晶片に分離する。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、薄板部を主面より見て
三角形になるように加工することで、ウエットエッチン
グのプロセエスで再現性よく凹形状を加工する。ウエッ
トエッチングを利用することで大量に水晶を処理でき生
産性が上がるほか、薄板部を三角形に加工することで加
工寸法の再現性をよくすることで、歩留まりが向上し特
性が安定する。特に凹み側面は一様に形成されるため、
加速度などのセンサーでは、薄板部の変形が安定して生
じるためセンサー特性が再現性よい値を得る。また、小
型化の際に予期した寸法に凹み側面が形成されるため電
極が凹み側面に乗り上げて特性を不安定にすることを防
止する。また、枠部と薄板部と凹み側面の寸法が予期し
た形状で、再現性よく得られるため、副振動や温度特性
の安定も安定し、さらにこれらを避けるよう寸法を設計
した場合に、製造上のバラツキなどを抑え、歩留まりを
良くする。また、薄板部を三角形にすることで、薄板部
の面積を広くすることで目的の電気的特性やセンサーの
感度を得る場合に、四角形よりも重力などで変形しにく
い。また、薄板部は四角形などに比べて三角形であると
ウエットエッチング時や洗浄時に一つの頂点を下または
上にすることで液流れや液切れや泡取りが改善し薄板部
の主面をより平坦に加工しやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスに利用する水晶振動素子
の構成図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本発明の圧電デバイスの構成図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】本発明の圧電デバイスの製造方法の概要であ
る。
【図6】本発明の圧電デバイスに利用する水晶片の輪郭
形状の例である。
【図7】従来の圧電振動素子の例である。
【図8】図7の断面図である。
【図9】本発明の圧電デバイスの構成図である。
【図10】本発明の圧電デバイスに実装するICチップ
の構成図である。
【符号の説明】
1 水晶片 2 薄板部 3 枠部 4 電極 5 主面 6 電極 7 主面 101 凹み側面 102 凹み側面 103 凹み側面 201 引き出し電極 202 引き出し電極 301 保持器 302 リッド 303 封止材 304 端子 305 端子 306 導通構造 307 パット 308 支持材 309 導通構造 310 パット 311 支持材 501 ウエハー 502 保護膜剥離部分 503 溶解部分 504 板厚 505 輪郭寸法 506 加工用マスク 507 アルゴンイオン 601 ICチップ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主面の一部の板厚を薄く加工した薄板部
    と前記一部を除く板厚の厚い枠部からなる水晶片と、前
    記薄板部の両面にそれぞれ設けられた電極を有する圧電
    デバイスにおいて、前記薄板部が主面に垂直な方向より
    見てほぼ三角形であることを特徴とする圧電デバイス。
  2. 【請求項2】 前記水晶片は、ATカットの水晶片であ
    り、主振動に厚みすべり振動を利用することを特徴とす
    る請求項1に記載の圧電デバイス。
  3. 【請求項3】 前記枠部は、主面に垂直な方向より見て
    ほぼ四角形または前記薄板部とほぼ相似であることを特
    徴とする請求項1に記載の圧電デバイス
  4. 【請求項4】 主面の一部の板厚を薄く加工した薄板部
    と前記一部を除く板厚の厚い枠部からなる水晶片と、前
    記薄板部の両面にそれぞれ設けられた電極を有する圧電
    デバイスの製造方法において、水晶片の輪郭を形成する
    水晶片輪郭形成工程と、少なくとも前記一部を除き保護
    膜を形成する保護膜形成工程と、水晶を溶解するエッチ
    ング用液に浸けて前記一部を溶解して板厚を薄くし主面
    に垂直な面から見てほぼ三角形の前記薄板部に加工する
    エッチング工程とからなることを特徴とする圧電デバイ
    スの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記エッチング工程は、一方の主面と他
    方の主面を同時に溶解し前記薄板部の板厚を薄く加工す
    ることを特徴とする請求項4に記載の圧電デバイスの製
    造方法。
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