JP2013162265A - 振動素子、振動子、電子デバイス、発振器、及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】振動基板10と、この振動基板両主面に配置した励振電極20a、20bと、を備えた振動素子であって、振動基板10は、振動部14と、振動部よりも薄肉で振動部の厚さの中間部から鍔状に突設した薄肉周縁部12と、薄肉周縁部12の一方の端部に連設された厚肉の支持部13と、を有している。振動基板10に励起される屈曲振動の波長をλで表わしたときに、振動部14及び支持部13の対向する端部間の距離Sxを、−0.2<(Sx−(λ/2)N)/(λ/2)<0.2(Nは正の整数)とする。
【選択図】図1
Description
特許文献1と特許文献2には、水晶振動素子の周波数をf、水晶基板の長辺(X軸)の長さをX、メサ部(振動部)の厚みをt、メサ部の長辺の長さをMx、励振電極の長辺の長さをEx、水晶基板の長辺方向に生じる屈曲振動の波長をλとするとき、以下の4つの式、
λ/2=(1.332/f)−0.0024 (1)
(Mx−Ex)/2=λ/2 (2)
Mx/2=(n/2+1/4)λ (但しnは整数) (3)
X≧20t (4)
を満たすように、各パラメーターf、X、Mx、Exを設定することにより、厚みすべり振動と屈曲振動との結合を抑制できると開示されている。また、屈曲変位成分が小さくなるのは、振動部の端縁と励振電極の端縁部分の位置を、屈曲振動の変位の腹の位置と一致するように設定した場合であり、これにより不要モードである屈曲振動を抑圧することができると開示されている。
y=−1.32×(X/t)+42.87
y≦30
の関係を満足し、且つ水晶基板の振動部の板厚tに対する長辺の長さXの比、即ち辺比X/tが30以下とすることにより、圧電振動素子の電気的特性の悪化を招くこと無く、CIを低下させることができると開示されている。
また、特許文献5、6に開示された振動子素子は、高周波振動子を製造する際に振動部の厚みが薄くなり、振動部の支持が困難になるので、支持部を厚くして支持を容易にした振動素子であり、本発明が主眼とする辺比X/t(振動基板のX軸方向の長さ/振動基板の厚さ)が小さい振動基板に生じる屈曲振動を抑圧しつつ、ヒートサイクル試験による周波数変動を低減する手段は開示されていないという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、屈曲振動等の不要振動を抑圧しつつ、ヒートサイクル試験による周波数偏差Δfを小さくしたメサ型振動素子、メサ型振動子、電子デバイス、及び発振器を提供することにある。
本発明の振動素子1は、振動基板10と、振動基板10の両主面に夫々対向配置された各励振電極20a、20bと、各励振電極20a、20bから振動基板10の一方の端部に向かって延びる引出電極22a、22bと、各引出電極22a、22bと電気的に接続され振動基板10の2つの角隅部に夫々形成された電極パッド24a、24bと、を備えた振動素子である。
振動基板10は、振動部14と、振動部14よりも薄肉であって振動部14の全周側面(全外周面)の厚さ方向中間部から鍔状に突設された薄肉周縁部12と、薄肉周縁部12の一方の端部に連設され薄肉周縁部12よりも厚肉の支持部13と、を有している。そして、振動基板10は、振動基板10に励起される屈曲振動の波長をλで表わしたときに、振動部14と支持部13との対向する端部間の距離Sxが、Sx=(λ/2)×n(nは正の整数)で表わせることを特徴とする。
また、振動基板10は、その中央に位置し主たる振動領域となる振動部14と、振動部14より薄肉で振動部14の全周側面に形成された、従たる振動領域となる薄肉周縁部12と、を有している。振動基板10の振動領域は、後述するように、振動部14と、薄肉周縁部12の一部に跨っている。
振動部14は、図1に示すように、X軸方向を長辺とし、Z’軸方向を短辺とする矩形の形状を有する。そのため、振動部14は、X軸方向に延びる段差縁部14a、14bと、Z’軸方向に延びる段差縁部14c、14dと、を有する。図1の実施形態例では、段差縁部14a、14bのうち、段差縁部14aが+Z’軸側の端縁に位置しており、段差縁部14bが−Z’軸側の端縁に位置している。また、段差縁部14c、14dのうち、段差縁部14cが−X軸側の端縁に位置しており、段差縁部14dが+X軸側の端縁に位置している。
なお、本発明に係る記載において、段差部の側面が「1つの平面内にある」とは、振動部14の側面が平坦な面である場合と、水晶の結晶の異方性の分だけ凹凸を有する場合と、を含む。即ち、フッ酸を含む溶液をエッチング液としてATカット水晶基板を加工すると、振動部14の側面は水晶結晶のR面が露出して、XY’面と平行な場合と、水晶結晶のm面が露出して、水晶の結晶異方性の分だけ凹凸を有する場合とがある。本発明に係る記載では、このような水晶結晶のm面による凹凸を有する側面についても「1つの平面内」にあるとしている。
このように、振動部14は、所謂1段型メサ構造を有している。振動素子1は、厚みすべり振動を主振動として振動し、振動部14が1段型メサ構造であることによってエネルギー閉じ込め効果を発揮する。
X1=(|Mx−Ex|/2−λ/2)/(λ/2) (1)
本発明の振動素子は以下の4つの式、
−0.2<X1<0.2 (2)
Mx/2=(n/2+1/4)λ (3)
y=−1.32×(x/t)+42.87 (4)
−0.2<(Sx−(λ/2)N)/(λ/2)<0.2 (5)
を満たすように構成したことである。但しn、Nは正の整数とする。式(1)、(5)はλ/2で基準化されており、式(2)、(5)に範囲を持たせたのは製造時のエッチング等のバラツキを考慮したからである。
一方、図4(a)は従来の振動子(厚肉の支持部13が無い振動子)のdf/f対CImax特性である。図4の(a)と(b)を比較して、ヒートサイクル後のCImaxのバラツキも本発明の振動子の方が、バラツキが小さいことが分かる。また、周波数偏差df/fは、本発明の振動子の方がバラツキの絶対値が小さいことが分かる。これは本発明の振動子では、振動部14と支持部13との対向するX軸方向の端部間の長さSxを、式(5)のように設定すると共に、本発明の振動子の支持部13の厚みが厚いため、接着剤による応力が支持部13でより多く減衰し、振動部14への応力の広がりが小さくなるからであると推測される。
数値で表わすと、従来の振動子、本発明の振動子の周波数偏差df/f(ppm)は、夫々−0.41、−0.33であり、標準偏差σは、夫々0.1、0.05である。また、式(5)のようにSxを所定の長さに対し±20%の製造偏差内に設定し、他のパラメーターを式(2)〜(4)に基づいて設定することにより、屈曲振動が抑圧され、振動子のCIが改善されると共に、周波数温度特性が改善される。
振動部14は、図6(a)に示すように、X軸方向を長辺とし、Z’軸方向を短辺とする矩形の形状を有する。即ち、振動部14はX軸に平行な辺を長辺とし、Z’軸に平行な辺を短辺としている。そのため、振動部14は、X軸方向に延びる段差縁部14a、14bと、Z’軸方向に延びる段差縁部14c、14dと、を有する。即ち、X軸方向に延びる段差縁部14a、14bの長手方向は、X軸方向であり、Z’軸方向に延びる段差縁部14c、14dの長手方向は、Z’軸方向である。図示の例では、段差縁部14a、14bのうち、段差縁部14aが+Z’軸側の端縁に位置し、段差縁部14bが−Z’軸側の端縁に位置する。また、段差縁部14c、14dのうち、段差縁部14cが−X軸側の端縁に位置し、段差縁部14dが+X軸側の端縁に位置する。
X軸方向に延びる段差縁部14aは、例えば図6(c)に示すように、薄肉周縁部12に対して、+Y’軸側と−Y’軸側とに夫々突出して形成されている。このことは段差縁部14b、14c、14dについても同様である。X軸方向に延びる段差縁部14a、14bは、Z’軸方向に沿って1段の段差を有する。段差縁部14a、14bの段差は、第1部分15の厚みと、薄肉周縁部12の厚みとの差によって形成されている。
以上では、図1の実施形態に示した振動部14が1段のメサ構造振動素子1と、図6の実施形態に示した振動部14がX軸方向に2段、Z’軸方向に1段のメサ構造振動子3を説明したが、これに限定するものではなく、X軸方向にi段、Z’軸方向にj段(i、jは共に正の整数)の振動部14を有するメサ型振動素子の薄肉周縁部12の一部に支持部13が連設された構造の振動素子であってもよい。また、励振電極20a、20bの大きさは、最外側の段差より小さくてもよいし、振動部14の全体と薄肉周縁部12の一部に広がる大きさであってもよい。
また本発明の振動素子は、振動部14は薄肉周縁部12に向かって振動部14の厚さが漸減するように段差部を形成し、段差部と支持部13との間の薄肉周縁部12の長さSxを、励起される屈曲振動の波長をλとしたとき、λ/2の整数倍に設定した。このため振動エネルギーは振動部14の中央部に集中すると共に、厚み振動に重畳する屈曲振動も抑圧される。従って、支持部13を接着剤等で固定したときに、接着剤等から生じる応力は大半が厚い支持部で吸収され、振動部へ伝播する応力は低減され、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を低減できるという効果がある
また、段差部を二段以上としたため、振動エネルギーを振動部に集中させることが可能となり、支持部13を厚肉としたことと相まって、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を小さくすることができるという効果がある。
また、励振電極20a、20bを大きくすることによりCIを小さくできると共に容量比も小さくなるので、発振器に用いると周波数可変範囲が広くなるという効果と、等価インダクタンスを客先の要求により変えることができるという効果もある。
次に、図7(c)に示すように、マスクMを用いて再度レジスト膜40の一部を露光して、感光部42を形成する。図では分かり易くするためにマスクMを耐蝕膜30から離して図示しているが実際は密着させて露光する。
次に、図7(d)に示すように、耐蝕膜30をマスクとしてATカット水晶基板10をエッチングする。エッチングは、例えば、フッ化水素酸(フッ酸)とフッ化アンモニウムとの混合液をエッチング液として行われる。これにより、水晶基板10の外形(Y’軸方向から見たときの形状)が形成される。
次に、図8(b)に示すように、レジスト膜40の感光部42を現像して除去する。これにより、耐蝕膜30の一部が露出する。なお、感光部42を現像する前に、例えば、真空又は減圧雰囲気下で放電によりつくられた酸素プラズマによって、レジスト膜40の表面に形成された変質層(図示せず)をアッシングする。これにより、確実に感光部42を現像して除去することができる。
レジスト膜40及び耐蝕膜30を除去した後、例えばスパッタ法や真空蒸着法などにより、クロム及び金をこの順で積層した後、このクロム及び金をパターニングすることによって、水晶基板10に励振電極20、引出電極22、及びパッド24が形成される。つまり、図6の実施の形態に示すように、励振電極20a、20bは、振動部14の全域と、振動部14に連接する薄肉周縁部12の一部の領域とに設けられた振動素子3が形成される。
振動素子3の製造方法によれば、振動部14の外形を形成するために用いたレジスト膜40を現像して感光部を除去した後、再度レジスト膜40を用いてAT水晶基板10をエッチングして振動部14を形成することができる。そのため、精度よく2段型メサ構造の振動部14を形成することができる。
例えば、振動部14を形成するために2回のレジスト膜を塗布する場合(例えば、第1レジスト膜を用いて振動部の外形を形成した後、第1のレジスト膜を剥離し、新たに第2レジスト膜を塗布して振動部の側面を露出する場合)は、第1のレジスト膜と第2のレジスト膜との間で合わせずれが生じ、振動部14を精度よく形成できないことがある。振動素子3の製造方法では、このような問題を解決することができる。
図10は、図6に示す実施形態の振動素子3の変形例である。図6の振動素子3と異なる点は、振動部14の裏面(Y’軸の−側の面))が、薄肉周縁部12の裏面(Y’軸の−側の面)とほぼ同一面となっているところである。この実施形態例は、プラノコンベックス型振動素子とほぼ同様に動作し、振動エネルギーは振動部14の中央部に閉じ込められる。また、支持部14の厚さを薄肉周縁部12の厚さより厚くしているので、支持部13が支持される影響は小さくなり、ヒートサイクル特性は改善される。また、支持部13の裏面(Y’軸の−側の面)が振動部14の裏面(Y’軸の−側の面)と同一平面上になるようにしてもよい。
容器50は、キャビティー52内に振動素子3を収容することができる。容器50の材質としては、例えば、セラミック、ガラス等が挙げられる。キャビティー52は、圧電振動素子3が動作するための空間となる。キャビティー52は密閉され、減圧空間や不活性ガス雰囲気とされる。
本発明の振動子は、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を小さくすることができるという効果がある。
図12(a)は、本発明の電子デバイス5に係る実施形態の一例の断面図である。電子デバイス5は、本発明の振動素子3と、感温素子であるサーミスタ58と、振動素子3及びサーミスタ58を収容する容器50と、を概略備えている。容器50は、容器本体50aと、蓋部材50cとを備えている。容器本体50aは、上面側に振動素子3を収容するキャビティー52が形成され、下面側にサーミスタ58を収容する凹部54aが形成されている。キャビティー52の内底面の端部に複数の素子搭載用パッド55aが設けられ、各素子搭載用パッド55aは内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。素子搭載用パッド55aに振動素子3を載置し、各パッド24と各素子搭載用パッド55aとを、導電性接着剤60を介して電気的に接続し、固定する。容器本体50aの上部には、コバール等からなるシールリングリング50bが焼成されており、このシールリングリング50bに蓋部材50cを載置し、抵抗溶接機を用いて溶接し、キャビティー52を気密封止する。キャビティー52内は真空にしてもよいし、不活性ガスを封入してもよい。
一方、容器本体50aの下面側中央には凹部54aが形成され、凹部54aの上面には電子部品搭載用パッド55bが焼成されている。サーミスタ58は、電子部品搭載用パッド55bに半田等を用いて搭載される。電子部品搭載用パッド55bは、内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。
以上では、振動素子3とサーミスタ58とを容器50に収容した例を説明したが、容器50に収容する電子部品としては、サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子、半導体素子のうち少なくとも一つを収容した電子デバイスを構成することが望ましい。
本発明の電子デバイスは、ヒートサイクル試験に強い小型振動素子を備えており、用いる電子素子と組み合わせることで、客先の仕様に合わせて種々の電子デバイスを構成することができるという効果がある。また、上記電子素子組み合わせることで、温度補償された振動素子、可変範囲の広い振動素子、発振器等を構成することができるという効果がある。
本発明の発振器は、形状の小型化が可能であると共に、ヒートサイクル試験に強く、周波数温度特性の優れた発振器が実現できるという効果がある。
Claims (10)
- 厚み滑り振動を主振動として励振する振動部と、
支持部と、
が少なくとも前記主振動の変位方向に沿って並んで配置され、
前記振動部の厚みよりも薄い薄肉部が、前記振動部と前記支持部の間に配置され、
前記支持部が、前記薄肉部の厚みよりも厚く、
前記振動部と前記支持部と前記薄肉部とが一体化されている振動基板と、
前記少なくとも前記振動部の両主面に夫々配置されている各励振電極と、
前記支持部の両主面に夫々配置されている各電極パッドと、
前記各励振電極と前記各電極パッドとを電気的に接続する引出電極と、
を備え、
前記変位方向に沿って前記振動基板に生じる屈曲振動の波長をλ、
前記薄肉部の前記変位方向の距離をSx、
Nを正の整数としたときに、
−0.2<(Sx−(λ/2)N)/(λ/2)<0.2
を満足していることを特徴とする振動素子。 - 請求項1において、
前記振動部は、多段のメサ構造であることを特徴とする振動素子。 - 請求項1又は2において、
前記振動基板はATカット水晶基板であり、
前記振動部は、前記X軸に平行な辺を長辺とし前記Z’軸に平行な辺を短辺とすることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至3の何れか一項において、
前記各励振電極が、
前記振動部と、
前記薄肉周縁部の少なくとも一部と、
に跨って設けられていることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至3の何れか一項において、
前記各励振電極が、
前記振動部のみに形成されていることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、
前記振動素子を収容する容器と、
を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、
電子素子と、
前記振動素子及び電子素子を収容する容器と、
を備えていることを特徴とする電子デバイス。 - 請求項7において、
前記電子素子が、
サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子及び半導体素子のいずれかであることを特徴とする電子デバイス。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、
前記振動素子を駆動する発振回路と、
を備えていることを特徴とする発振器。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
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