JP2013162265A - 振動素子、振動子、電子デバイス、発振器、及び電子機器 - Google Patents

振動素子、振動子、電子デバイス、発振器、及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートサイクル試験による周波数変動を抑えた振動子を得る。
【解決手段】振動基板10と、この振動基板両主面に配置した励振電極20a、20bと、を備えた振動素子であって、振動基板10は、振動部14と、振動部よりも薄肉で振動部の厚さの中間部から鍔状に突設した薄肉周縁部12と、薄肉周縁部12の一方の端部に連設された厚肉の支持部13と、を有している。振動基板10に励起される屈曲振動の波長をλで表わしたときに、振動部14及び支持部13の対向する端部間の距離Sxを、−0.2<(Sx−(λ/2)N)/(λ/2)<0.2(Nは正の整数)とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、厚み振動モードの振動素子に関し、特に所謂メサ型構造を有する振動素子、振動子、電子デバイス、発振器、及び電子機器に関する。
ATカット水晶振動子は、その振動モードが厚みすべり振動であり、小型化、高周波数化に適し、且つ周波数温度特性が優れた三次曲線を呈するので、電子機器等の多方面で使用されている。
特許文献1と特許文献2には、水晶振動素子の周波数をf、水晶基板の長辺(X軸)の長さをX、メサ部(振動部)の厚みをt、メサ部の長辺の長さをMx、励振電極の長辺の長さをEx、水晶基板の長辺方向に生じる屈曲振動の波長をλとするとき、以下の4つの式、
λ/2=(1.332/f)−0.0024 (1)
(Mx−Ex)/2=λ/2 (2)
Mx/2=(n/2+1/4)λ (但しnは整数) (3)
X≧20t (4)
を満たすように、各パラメーターf、X、Mx、Exを設定することにより、厚みすべり振動と屈曲振動との結合を抑制できると開示されている。また、屈曲変位成分が小さくなるのは、振動部の端縁と励振電極の端縁部分の位置を、屈曲振動の変位の腹の位置と一致するように設定した場合であり、これにより不要モードである屈曲振動を抑圧することができると開示されている。
特許文献3には、周波数可変感度を高くするとともに、不要な振動を抑圧したメサ型振動素子が提案されている。一般的に、振動素子は、励振電極が大きくなるのに伴って等価直列容量C1も大きくなり、周波数可変感度を高くできる。励振電極を大きくしたメサ型振動素子は、発振が容易であり、負荷容量に対する周波数変化の幅を広くできると開示されている。
特許文献4には、メサ型圧電振動素子が開示されている。水晶基板の長辺の長さをX、段差部の堀量(メサ部の高さ)をMd、振動部の板厚をtとし、板厚tに対する段差部の堀量Mdの比をy(百分率)とすると、yが、
y=−1.32×(X/t)+42.87
y≦30
の関係を満足し、且つ水晶基板の振動部の板厚tに対する長辺の長さXの比、即ち辺比X/tが30以下とすることにより、圧電振動素子の電気的特性の悪化を招くこと無く、CIを低下させることができると開示されている。
特許文献5、6には、所定の板厚を持ったほぼ長方形の薄片で構成されている振動部と、この振動部の外周の一辺に沿って、振動部の板厚より厚い支持部を備えた振動子素子が開示されている。
特開2006−340023公報 特開2007−053820公報 特開2008−306594公報 特開2007−124441公報 特開2001−144578公報 特開2003−46367公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示されたように、平板状のATカット水晶基板をフォトリソグラフィ技法を用いてメサ型加工し、これに励振電極を形成してメサ型構造の振動子を構成する。このメサ型振動子に25℃、85℃、25℃のヒートサイクル試験を行うと、ヒートサイクル試験前の周波数f1と、試験後の周波数f2との間に周波数偏差Δf(=f2−f1)が生じ、このメサ型振動子を搭載する機器に不具合が生じるのという問題があった。
また、特許文献5、6に開示された振動子素子は、高周波振動子を製造する際に振動部の厚みが薄くなり、振動部の支持が困難になるので、支持部を厚くして支持を容易にした振動素子であり、本発明が主眼とする辺比X/t(振動基板のX軸方向の長さ/振動基板の厚さ)が小さい振動基板に生じる屈曲振動を抑圧しつつ、ヒートサイクル試験による周波数変動を低減する手段は開示されていないという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、屈曲振動等の不要振動を抑圧しつつ、ヒートサイクル試験による周波数偏差Δfを小さくしたメサ型振動素子、メサ型振動子、電子デバイス、及び発振器を提供することにある。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本発明に係る振動素子は、厚み滑り振動を主振動として励振する振動部と、支持部と、が少なくとも前記主振動の変位方向に沿って並んで配置され、前記振動部の厚みよりも薄い薄肉部が、前記振動部と前記支持部の間に配置され、前記支持部が、前記薄肉部の厚みよりも厚く、前記振動部と前記支持部と前記薄肉部とが一体化されている振動基板と、前記少なくとも前記振動部の両主面に夫々配置されている各励振電極と、前記支持部の両主面に夫々配置されている各電極パッドと、前記各励振電極と前記各電極パッドとを電気的に接続する引出電極と、を備え、前記変位方向に沿って前記振動基板に生じる屈曲振動の波長をλ、前記薄肉部の前記変位方向の距離をSx、Nを正の整数としたときに、−0.2<(Sx−(λ/2)N)/(λ/2)<0.2を満足していることを特徴とする振動素子である。
この構成によれば、前記振動部及び前記支持部の対向する端部間には薄肉周縁部が存在し、該薄肉周縁部の長さSxを励起される屈曲振動の波長をλとしたとき、λ/2の整数倍に設定した。このため、厚み振動に重畳する屈曲振動の抑圧が可能になると共に、支持部を接着剤等で固定したときに、接着剤等から生じる応力が厚い支持部で吸収され、振動部へ伝播する応力は低減されるので、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を低減できるという効果がある。
[適用例2]また振動素子は、適用例1において、前記振動部は、多段のメサ構造であることを特徴とする振動素子である。
この構成によれば、振動部は薄肉周縁部に向かって該振動部の厚さが漸減するように段差部を形成し、該段差部と前記支持部との間の薄肉周縁部の長さSxを、励起される屈曲振動の波長をλとしたとき、λ/2の整数倍に設定した。このため振動エネルギーは振動部の中央部に集中すると共に、厚み振動に重畳する屈曲振動も抑圧される。従って、支持部を接着剤等で固定したときに、接着剤等から生じる応力は大半が厚い支持部で吸収され、振動部へ伝播する応力は低減され、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を低減できるという効果がある。
[適用例3]また振動素子は、適用例1又は2において、前記振動基板はATカット水晶基板であり、前記振動部は、前記X軸に平行な辺を長辺とし前記Z’軸に平行な辺を短辺とすることを特徴とする振動素子である。
この構成によれば、振動基板をATカット水晶基板で構成し、且つ振動部は薄肉周縁部に向かって振動部の厚さが漸減するように段差部を形成してあるため、振動エネルギーを振動部に集中させたこと、また振動部と支持部との間に薄肉周縁部があるので、接着剤により支持部で生じる応力の影響を受け難くすることが可能となる。その結果、良好な温度特性に加え、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を低減できるという効果と、経年変化が小さく、振動素子のQ値の大きい振動素子が得られるという効果がある。
[適用例4]また振動素子は、適用例1乃至3の何れか一項において、前記各励振電極が、前記振動部と、前記薄肉周縁部の少なくとも一部と、に跨って設けられていることを特徴とする振動素子である。
この構成によれば、励振電極を大きくすることによりCIを小さくできると共に、容量比も小さくなるので、発振器に用いると周波数可変範囲が広くなるという効果と、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を小さくすることができるという効果とがある。
[適用例5]また振動素子は、適用例1乃至3の何れか一項において、前記各励振電極が、前記振動部のみに形成されていることを特徴とする振動素子である。
この構成によれば、振動素子の等価インダクタンスを客先の要求により変えることができるという効果と、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を小さくすることができるという効果がある。
[適用例6]本発明に係る振動子は、適用例1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、前記振動素子を収容する容器と、を備えていることを特徴とする振動子である。
この構成によれば、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化が小さな振動子を構成することができるという効果がある。
[適用例7]本発明に係る電子デバイスは、適用例1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、電子素子と、前記振動素子及び電子素子を収容する容器と、を備えていることを特徴とする電子デバイスである。
この構成によれば、本発明に係るヒートサイクル試験に強い小型振動素子を備えており、用いる電子素子と組み合わせることで、客先の仕様に合わせて種々の電子デバイスを構成することができるという効果がある。
[適用例8]本発明に係る電子デバイスは、適用例7において、前記電子素子が、サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子及び半導体素子のいずれかであることを特徴とする電子デバイスである。
この構成によれば、本発明に係るヒートサイクル試験に強い小型振動素子と、上記電子素子を組み合わせることで、温度補償された振動素子、可変範囲の広い振動素子、発振器等を構成することができるという効果がある。
[適用例9]本発明に係る発振器は、適用例1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、前記振動素子を駆動する発振回路と、を備えていることを特徴とする発振器である。
この構成によれば、発振器が小型化されると共に、ヒートサイクル試験に強く、周波数温度特性の優れた発振器が実現できるという効果がある。
[適用例10]本発明の電子機器は、適用例1乃至5の何れか一項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器である。
この構成によれば、電子機器は、ヒートサイクル試験に強く、周波数温度特性の優れた振動素子を備えているので、急激な温度変化に対しても十分に周波数が安定な電子機器が実現できるという効果がある
本発明に係る実施形態の振動素子1の構造を示す概略図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のQ−Q断面図であり、(c)は(a)のP−P断面図。 水晶の結晶軸X、Y、ZをX軸の回りにθ回転してできた新直交軸X、Y’、Z’軸とATカット水晶基板との関係を示す図。 振動素子1の構成を示す平面上に、振動変位エネルギーの等しい点を結んでできた等力線を重ね書きした図。 (a)は従来の振動子のヒートサイクル試験前後の周波数偏差df対CI値の図であり、(b)は本発明の振動子のヒートサイクル試験前後の周波数偏差df対CI値の図。 第2の実施形態の振動素子2の、(a)は平面図であり、(b)は(a)のQ−Q断面図であり、(c)は(a)のP−P断面図。 第3の実施形態の振動素子3の、(a)は平面図であり、(b)は(a)のQ−Q断面図であり、(c)は(a)のP−P断面図。 (a)乃至(d)は本実施形態の振動素子の製造方法を模式的に示す断面図。 (a)乃至(d)は本実施形態の振動素子の製造方法を模式的に示す断面図。 図1の振動素子1の変形例の構造を示す縦断面図。 図6の振動素子3の変形例の構造を示す縦断面図。 振動子の構造を示す断面図。 (a)、(b)は夫々電子デバイスの構造を示す断面図。 発振器の構成を示す断面図。 (a)は図1(b)に示す断面図であり、(b)は(a)の支持部の底面に形成された凹凸部の拡大平面図であり、(c)は(b)の断面図。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る振動素子1の構成を示す概略図である。図1(a)は振動素子1の平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図であり、同図(c)は(a)のP−P断面図である。
本発明の振動素子1は、振動基板10と、振動基板10の両主面に夫々対向配置された各励振電極20a、20bと、各励振電極20a、20bから振動基板10の一方の端部に向かって延びる引出電極22a、22bと、各引出電極22a、22bと電気的に接続され振動基板10の2つの角隅部に夫々形成された電極パッド24a、24bと、を備えた振動素子である。
振動基板10は、振動部14と、振動部14よりも薄肉であって振動部14の全周側面(全外周面)の厚さ方向中間部から鍔状に突設された薄肉周縁部12と、薄肉周縁部12の一方の端部に連設され薄肉周縁部12よりも厚肉の支持部13と、を有している。そして、振動基板10は、振動基板10に励起される屈曲振動の波長をλで表わしたときに、振動部14と支持部13との対向する端部間の距離Sxが、Sx=(λ/2)×n(nは正の整数)で表わせることを特徴とする。
つまり、振動基板10は、基板の中央部を両主面方向へ突出させた厚肉部である振動部14と、振動部14の全周側面に位置する薄肉周縁部12とでメサ構造を形成している。更に、薄肉周縁部12の一部に薄肉周縁部12の厚さより厚い厚肉の支持部13が連設された構成になっている。
また、振動基板10は、その中央に位置し主たる振動領域となる振動部14と、振動部14より薄肉で振動部14の全周側面に形成された、従たる振動領域となる薄肉周縁部12と、を有している。振動基板10の振動領域は、後述するように、振動部14と、薄肉周縁部12の一部に跨っている。
励振電極20a、20bは、図1に示す実施形態例では振動部14の全領域と、振動部14の側面に連接する薄肉周縁部12の振動部14に接する一部に形成されている。励振電極20a、20b、引出電極22a、22b、及び電極パッド24a、24bは、振動基板10の両面にスパッタ法、又は真空蒸着法を用いてクロム(Cr)、金(Au)等の金属膜をこの順に成膜する。そして、成膜した金属薄膜にフォトリソグラフィ技法により、所定の形状の励振電極20a、20b、引出電極22a、22b、及び電極パッド24a、24bとなるようにパターニングして振動素子を構成する。各励振電極20に交番電圧を印加すると、振動素子1は固有(本発明では厚みすべり振動)の振動周波数で励振される。
振動基板10に水晶基板を用いる場合について説明する。水晶等の圧電材料は三方晶系に属し、図2に示すように互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有する。X軸、Y軸、Z軸は、夫々電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。ATカット水晶基板10は、XZ面をX軸の回りに角度θだけ回転させた平面に沿って、水晶から切り出された平板である。ATカット水晶基板10の場合は、θは略35°15′である。なお、Y軸及びZ軸もX軸の周りにθ回転させて、夫々Y’軸、及びZ’軸とする。従って、ATカット水晶基板10は、直交する座標軸X、Y’、Z’を有する。ATカット水晶基板10は、厚み方向がY’軸であって、Y’軸に直交するXZ’面(X軸及びZ’軸を含む面)が主面であり、厚みすべり振動が主振動として励振される。
即ち、水晶基板10は、図2に示すようにX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)、Z軸(光学軸)からなる直交座標系のX軸を中心として、Z軸をY軸の−Y方向へ傾けた軸をZ’軸とし、Y軸をZ軸の+Z方向へ傾けた軸をY’軸とし、X軸とZ’軸に平行な面で構成され、Y’軸に平行な方向を厚みとするATカット水晶基板からなる。
図1に示す実施形態例では、水晶基板10はY’軸に平行な方向(以下、「Y’軸方向」という)を厚み方向として、X軸に平行な方向(以下、「X軸方向」という)を長辺とし、Z’軸に平行な方向(以下、「Z’軸方向」という)を短辺とする矩形の形状を有する。水晶基板10は、中央部に位置する厚肉の振動部14と、振動部14の全周側面の厚み方向の中央部に振動部の面方向と平行に突設した薄肉周縁部12と、を有し、薄肉周縁部12の一部、図1の実施形態例ではX軸方向の薄肉周縁部12に、厚肉で矩形状の支持部13が連設されている。例えば、矩形平板状のATカット水晶基板にフォトリソグラフィ技法とエッチング手法を適用して、振動基板(水晶基板)10を形成する場合は、振動部14の厚さと、支持部13の厚さとは同一の厚さとなり、振動部14が薄肉周縁部12により矩形状の支持部13の連結された一体構造となる。
図1の実施形態に示すように振動部14は、その全周側面を薄肉周縁部12に囲まれており、薄肉周縁部12のY’軸方向の厚さt’よりも厚い厚さtを有する。即ち、振動部14は、図1(b)、(c)に示すように、薄肉周縁部12に対してY’軸方向に突出している。図示の例では、振動部14は薄肉周縁部12に対して、+Y’軸側と−Y’軸側とに突出している。振動部14は、例えば対称の中心となる点(図示せず)を有し、この中心点に関して点対称となる形状を有する。
振動部14は、図1に示すように、X軸方向を長辺とし、Z’軸方向を短辺とする矩形の形状を有する。そのため、振動部14は、X軸方向に延びる段差縁部14a、14bと、Z’軸方向に延びる段差縁部14c、14dと、を有する。図1の実施形態例では、段差縁部14a、14bのうち、段差縁部14aが+Z’軸側の端縁に位置しており、段差縁部14bが−Z’軸側の端縁に位置している。また、段差縁部14c、14dのうち、段差縁部14cが−X軸側の端縁に位置しており、段差縁部14dが+X軸側の端縁に位置している。
Z’軸方向に延びる段差縁部14dは、例えば図1(b)に示すように、薄肉周縁部12に対して、+Y’軸側と−Y’軸側とに夫々突出して形成されている。このことは段差縁部14a、14b、14cについても同様である。Z’軸方向に延びる段差縁部14c、14dの各々は、図1(b)に示すように1段の段差で構成されている。即ち、+Y’軸側の段差縁部14dの側面は1つの平面内にあり、−Y’軸側の段差縁部14dの側面は、同じ1つの平面内にある。同様に、+Y’軸側の段差縁部14cは、1つの平面内にあり、−Y’軸側の段差縁部14cは、同じ1つの平面内にある。
なお、本発明に係る記載において、段差部の側面が「1つの平面内にある」とは、振動部14の側面が平坦な面である場合と、水晶の結晶の異方性の分だけ凹凸を有する場合と、を含む。即ち、フッ酸を含む溶液をエッチング液としてATカット水晶基板を加工すると、振動部14の側面は水晶結晶のR面が露出して、XY’面と平行な場合と、水晶結晶のm面が露出して、水晶の結晶異方性の分だけ凹凸を有する場合とがある。本発明に係る記載では、このような水晶結晶のm面による凹凸を有する側面についても「1つの平面内」にあるとしている。
X軸方向に延びる段差縁部14aは、例えば図1(c)に示すように、薄肉周縁部12に対して、+Y’軸側と−Y’軸側とに夫々同じ厚さだけ突出して形成されている。X軸方向に延びる段差縁部14a、14bの各々は、図1(c)に示すように1段の段差で構成されている。即ち、+Y’軸側の側段差縁部14aの側面は、1つの平面内であり、−Y’軸側の段差縁部14aの側面は、1つの平面内である。また、段差縁部14bについても同様である。
このように、振動部14は、所謂1段型メサ構造を有している。振動素子1は、厚みすべり振動を主振動として振動し、振動部14が1段型メサ構造であることによってエネルギー閉じ込め効果を発揮する。
図3は、振動素子1の平面図上に、振動素子1が励振された際に生じる振動変位エネルギー(振動変位の二乗とその位置の質量との積)が等しい点を結んでできる等力線分布を一点鎖線で示している。中央に位置する等力線のエネルギーレベルが一番高く、外側に位置する等力線程そのエネルギーレベルは低くなっている。図3に示す圧電振動素子1の例では、振動部14がX軸方向に長い矩形状をしているので、等力線分布はX軸方向の長径が長く、Z’軸方向の短径が短い楕円形状となる。振動変位の大きさは振動部14の中心部で最大で、中心部から離間するにつれて小さくなる。即ち、励振電極20a上ではX軸方向、Z’軸方向ともほぼ余弦上に分布し、励振電極20aのない水晶基板上では指数関数的に減衰する。振動領域は、振動部14と、振動部14に連接する薄肉周縁部12に楕円形状に広がっているので、振動部14上にのみ励振電極を設けた構成の圧電振動素子では、水晶基板10に励起される電荷を十分に集められない(ピックアップできない)。振動部14に連接する薄肉周縁部12の少なくとも一部に励振電極20を配置し、水晶基板10に励起される電荷を集めるように構成した圧電振動素子1の方が、振動素子の容量比を小さくすることが可能であり、発振器を構成するときに周波数可変範囲を広くすることができる。
図1(b)に示すように、振動基板10の各部の寸法を次のように設定する。振動基板10の長辺方向(X軸方向)の長さをLx、振動部14の厚さをt、薄肉周縁部12の厚さをt’、振動部14のX軸方向の長さをMx、励振電極20aのX軸方向の長さをEx、振動部14と支持部13との対向するX軸方向の端部間の長さをSx、振動部14と薄肉周縁部12との段差部の堀量(振動部14の高さ)をMd/2、振動部14の厚さtに対する堀量Mdの比をy、振動基板10の長辺方向(X軸方法)に生じる屈曲振動の波長をλとする。そして、X1を次式のように定義するとき、
X1=(|Mx−Ex|/2−λ/2)/(λ/2) (1)
本発明の振動素子は以下の4つの式、
−0.2<X1<0.2 (2)
Mx/2=(n/2+1/4)λ (3)
y=−1.32×(x/t)+42.87 (4)
−0.2<(Sx−(λ/2)N)/(λ/2)<0.2 (5)
を満たすように構成したことである。但しn、Nは正の整数とする。式(1)、(5)はλ/2で基準化されており、式(2)、(5)に範囲を持たせたのは製造時のエッチング等のバラツキを考慮したからである。
式(1)、(3)、(4)については周知の式である。上式を適用して製造したメサ型振動子のヒートサイクル特性、即ち振動子を温度25℃の恒温室に所定の時間保持した後、周波数f1及び等価抵抗CI1を測定し、次に85℃の恒温室に所定の時間保持し、再び温度25℃の恒温室に所定の時間保持した後、周波数f2及び等価抵抗CI2を測定する。ヒートサイクル試験前のf1、CI1と、試験後のf2、CI2との夫々の差、つまり周波数偏差df/f(=|(f2−f1)|/f1)と、|(CI2−CI1)|の最大値CImaxを求め、df/fに対し、CImaxをプロットした図が、図4(b)に示す図である。
一方、図4(a)は従来の振動子(厚肉の支持部13が無い振動子)のdf/f対CImax特性である。図4の(a)と(b)を比較して、ヒートサイクル後のCImaxのバラツキも本発明の振動子の方が、バラツキが小さいことが分かる。また、周波数偏差df/fは、本発明の振動子の方がバラツキの絶対値が小さいことが分かる。これは本発明の振動子では、振動部14と支持部13との対向するX軸方向の端部間の長さSxを、式(5)のように設定すると共に、本発明の振動子の支持部13の厚みが厚いため、接着剤による応力が支持部13でより多く減衰し、振動部14への応力の広がりが小さくなるからであると推測される。
数値で表わすと、従来の振動子、本発明の振動子の周波数偏差df/f(ppm)は、夫々−0.41、−0.33であり、標準偏差σは、夫々0.1、0.05である。また、式(5)のようにSxを所定の長さに対し±20%の製造偏差内に設定し、他のパラメーターを式(2)〜(4)に基づいて設定することにより、屈曲振動が抑圧され、振動子のCIが改善されると共に、周波数温度特性が改善される。
図5は第2の実施形態例の振動素子2の構成を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図であり、同図(c)は(a)のP−P断面図である。振動素子2が図1に示す実施形態の振動子1と異なる点は、振動基板10の両主面に形成した励振電極20a、20bの面積の大きさである。つまり、振動素子1の励振電極20a、20bが振動部14と薄肉周縁部12の一部に跨っているのに対し、図5に示す振動素子2では励振電極20a、20bの範囲は振動部14の表面上にのみに限定され、振動部14の大きさよりも小さく、即ちEx<Mxとなっている。これは用いられる発振回路からの要求で、振動子のインダクタンスL1の値が規定される場合である。
図6は第3の実施形態例の振動素子3の構成を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図であり、同図(c)は(a)のP−P断面図である。振動基板10は、図6に示すように、Y’軸方向が厚み方向であり、X軸方向を長辺とし、Z’軸方向を短辺とする平面視で矩形状を有している。水晶基板10は、略中央部に位置する厚肉の振動部14と、振動部14の全周側面の中央部に突設された薄肉周縁部12と、を有し、薄肉周縁部12の一部、図6の実施形態例ではX軸方向の薄肉周縁部12に、厚肉で矩形状の支持部13が連設されている。薄肉周縁部12は、図6に示すように、振動部14の全周側面に形成され、振動部14の厚さより薄肉である。
図6の実施形態に示すように振動部14は、その全周側面の中央部を薄肉周縁部12に囲まれており、薄肉周縁部12のY’軸方向の厚みよりも大きい厚み(厚肉)を有する。即ち、振動部14は、図6に示すように、薄肉周縁部12に対して+Y’軸側と−Y’軸側とに同じ厚さだけ突出している。振動部14は、例えば対称の中心となる点(図示せず)を有し、この中心線Cに関して対称となる形状を有している。
振動部14は、図6(a)に示すように、X軸方向を長辺とし、Z’軸方向を短辺とする矩形の形状を有する。即ち、振動部14はX軸に平行な辺を長辺とし、Z’軸に平行な辺を短辺としている。そのため、振動部14は、X軸方向に延びる段差縁部14a、14bと、Z’軸方向に延びる段差縁部14c、14dと、を有する。即ち、X軸方向に延びる段差縁部14a、14bの長手方向は、X軸方向であり、Z’軸方向に延びる段差縁部14c、14dの長手方向は、Z’軸方向である。図示の例では、段差縁部14a、14bのうち、段差縁部14aが+Z’軸側の端縁に位置し、段差縁部14bが−Z’軸側の端縁に位置する。また、段差縁部14c、14dのうち、段差縁部14cが−X軸側の端縁に位置し、段差縁部14dが+X軸側の端縁に位置する。
Z’軸方向に延びる段差縁部14c、14dの各々は、図6(b)に示すように、X軸方向に沿って厚さが漸減する2段の段差を有する。振動部14は、略中央に位置する最大厚みを有した第1部分15と、第1部分15のX軸方向の両側に第1部分15より小さい厚みを有する第2部分16と、を有し、段差縁部14c、14dの段差は、第1部分15及び第2部分16の各厚みの差によって形成されている。図示の例では、段差縁部14c、14dは、第1部分15のY’Z’平面に平行な面と、第2部分16のXZ’面に平行な面と、第2部分16のY’Z’平面に平行な面と、によって構成される。
X軸方向に延びる段差縁部14aは、例えば図6(c)に示すように、薄肉周縁部12に対して、+Y’軸側と−Y’軸側とに夫々突出して形成されている。このことは段差縁部14b、14c、14dについても同様である。X軸方向に延びる段差縁部14a、14bは、Z’軸方向に沿って1段の段差を有する。段差縁部14a、14bの段差は、第1部分15の厚みと、薄肉周縁部12の厚みとの差によって形成されている。
このように振動部14は、厚みの異なる2種類の第1部分15と第2部分16とを有しており、振動素子10は、X軸方向に2段、Z’軸方向に1段の、所謂2段型メサ構造を有していると言える。振動素子3は、厚みすべり振動を主振動として振動し、振動部14が2段型メサ構造であることによって、図1に示す1段型メサ構造の振動素子1より大きなエネルギー閉じ込め効果を有することができる。
図6(b)に示すように、振動基板10の各部の寸法を次のように設定する。振動基板10の長辺方向(X軸方向)の長さをLx、振動部14の厚さをt、薄肉周縁部12の厚さをt’、振動部14のX軸方向の第1部分15の長さをMx1、第1部分15と第2部分16とを加算した長さをMx2、励振電極20aのX軸方向の長さをEx、振動部14と支持部13との対向するX軸方向の端部間の長さをSx、振動部14と薄肉周縁部12との段差部の堀量をMd/2、振動部14の厚さtに対する堀量Mdの比をy、振動基板10の長辺方向(X軸方法)に生じる屈曲振動の波長をλとするとき、式(1)から式(5)は、MxをMx1又はMx2と読み替えればそのまま適用できる。
以上では、図1の実施形態に示した振動部14が1段のメサ構造振動素子1と、図6の実施形態に示した振動部14がX軸方向に2段、Z’軸方向に1段のメサ構造振動子3を説明したが、これに限定するものではなく、X軸方向にi段、Z’軸方向にj段(i、jは共に正の整数)の振動部14を有するメサ型振動素子の薄肉周縁部12の一部に支持部13が連設された構造の振動素子であってもよい。また、励振電極20a、20bの大きさは、最外側の段差より小さくてもよいし、振動部14の全体と薄肉周縁部12の一部に広がる大きさであってもよい。
本発明の振動素子は、振動部14と支持部13の対向する端部間には薄肉周縁部12が存在し、薄肉周縁部12の長さSxを、励起される屈曲振動の波長をλとしたとき、λ/2の整数倍に設定した。このため、厚み振動に重畳する屈曲振動の抑圧が可能になると共に、支持部13を図示しない容器に対して接着剤等で固定したときに、接着剤等から生じる応力が厚い支持部13で吸収され、振動部へ伝播する応力は低減されるので、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を低減できるという効果がある。
また本発明の振動素子は、振動部14は薄肉周縁部12に向かって振動部14の厚さが漸減するように段差部を形成し、段差部と支持部13との間の薄肉周縁部12の長さSxを、励起される屈曲振動の波長をλとしたとき、λ/2の整数倍に設定した。このため振動エネルギーは振動部14の中央部に集中すると共に、厚み振動に重畳する屈曲振動も抑圧される。従って、支持部13を接着剤等で固定したときに、接着剤等から生じる応力は大半が厚い支持部で吸収され、振動部へ伝播する応力は低減され、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を低減できるという効果がある
本発明の振動素子は、振動基板10を水晶基板で構成し、且つ振動部14は薄肉周縁部12に向かって振動部の厚さが漸減するように段差部を形成してあるため、振動エネルギーを振動部に集中させることができ、また振動部と支持部との間に薄肉周縁部12があるので、接着剤により支持部で生じる応力の影響を受け難くすることが可能となる。その結果、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を低減できるという効果と、経年変化が小さく、振動素子のQ値の大きい振動素子が得られるという効果がある。また、水晶基板を用いたため、経年変化が小さく、振動素子のQ値の大きい振動素子が得られるという効果がある。
また、段差部を二段以上としたため、振動エネルギーを振動部に集中させることが可能となり、支持部13を厚肉としたことと相まって、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を小さくすることができるという効果がある。
また、励振電極20a、20bを大きくすることによりCIを小さくできると共に容量比も小さくなるので、発振器に用いると周波数可変範囲が広くなるという効果と、等価インダクタンスを客先の要求により変えることができるという効果もある。
次に、図6に示す振動素子3を例にしてその製造方法について、図面を参照しながら説明する。図7及び図8は、本実施形態に係る振動素子3の水晶基板10の製造工程を模式的に示す図である。図7(a)に示すように、ATカット水晶基板10の表裏両主面(XZ’平面に平行な面)に耐蝕膜30を形成する。耐蝕膜30は、例えば、スパッタ法や真空蒸着法などによりクロム(Cr)及び金(Au)をこの順で積層した後、このクロム及び金をパターニングすることによって形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術によって行われる。耐蝕膜30は、ATカット水晶基板10を加工する際に、エッチング液となるフッ酸を含む溶液に対して耐蝕性を有する。
図7(b)に示すように、耐蝕膜30上にポジ型のフォトレジスト膜を塗布した後、このフォトレジスト膜を表裏両面に配したマスク(図示せず)を介して露光及び現像して、所定の形状を有するレジスト膜40を形成する。レジスト膜40は、耐蝕膜30の一部を覆うように形成される。
次に、図7(c)に示すように、マスクMを用いて再度レジスト膜40の一部を露光して、感光部42を形成する。図では分かり易くするためにマスクMを耐蝕膜30から離して図示しているが実際は密着させて露光する。
次に、図7(d)に示すように、耐蝕膜30をマスクとしてATカット水晶基板10をエッチングする。エッチングは、例えば、フッ化水素酸(フッ酸)とフッ化アンモニウムとの混合液をエッチング液として行われる。これにより、水晶基板10の外形(Y’軸方向から見たときの形状)が形成される。
次に、図8(a)に示すように、レジスト膜40をマスクとして、所定のエッチング液で耐蝕膜30の露出部分をエッチングした後、さらに、上述の混合液をエッチング液として、ATカット水晶基板10を所定の深さまでハーフエッチングすると、振動部14の外形が形成される。
次に、図8(b)に示すように、レジスト膜40の感光部42を現像して除去する。これにより、耐蝕膜30の一部が露出する。なお、感光部42を現像する前に、例えば、真空又は減圧雰囲気下で放電によりつくられた酸素プラズマによって、レジスト膜40の表面に形成された変質層(図示せず)をアッシングする。これにより、確実に感光部42を現像して除去することができる。
次に、図8(c)に示すように、レジスト膜40をマスクとして、所定のエッチング液で耐蝕膜30の露出部分をエッチング除去した後、さらに、上述の混合液をエッチング液としてATカット水晶基板10を所定の深さまでハーフエッチングする。これにより、X軸方向に延びる段差縁部14c、14dの各々に段差(図8の例では2段)を形成することができる。また、図示しないが、Z’軸方向に延びる段差縁部14a、14bの各々に段差を形成することができる。
以上の工程により、周辺部12及び振動部14を有する水晶基板10を形成することができる。
レジスト膜40及び耐蝕膜30を除去した後、例えばスパッタ法や真空蒸着法などにより、クロム及び金をこの順で積層した後、このクロム及び金をパターニングすることによって、水晶基板10に励振電極20、引出電極22、及びパッド24が形成される。つまり、図6の実施の形態に示すように、励振電極20a、20bは、振動部14の全域と、振動部14に連接する薄肉周縁部12の一部の領域とに設けられた振動素子3が形成される。
以上の工程により、本実施形態に係る振動素子3を製造することができる。
振動素子3の製造方法によれば、振動部14の外形を形成するために用いたレジスト膜40を現像して感光部を除去した後、再度レジスト膜40を用いてAT水晶基板10をエッチングして振動部14を形成することができる。そのため、精度よく2段型メサ構造の振動部14を形成することができる。
例えば、振動部14を形成するために2回のレジスト膜を塗布する場合(例えば、第1レジスト膜を用いて振動部の外形を形成した後、第1のレジスト膜を剥離し、新たに第2レジスト膜を塗布して振動部の側面を露出する場合)は、第1のレジスト膜と第2のレジスト膜との間で合わせずれが生じ、振動部14を精度よく形成できないことがある。振動素子3の製造方法では、このような問題を解決することができる。
図9は、図1に示す実施形態の振動素子1の変形例である。図1の振動素子1と異なる点は、支持部13の表面(Y’軸の+側の面)が、薄肉周縁部12の表面(Y’軸の+側の面)とほぼ同一面となっているところである。図9の変形例の場合でも支持部13が薄肉周縁部12よりも厚いので、支持部13のZ’軸方向に離れた2点を、導電性接着剤で支持した際に生じる応力(歪み)が振動部14の方へ伝搬する応力の大きさが小さくなるので、ヒートサイクルによる周波数偏差df/fの絶対値を小さくすることができる。
図10は、図6に示す実施形態の振動素子3の変形例である。図6の振動素子3と異なる点は、振動部14の裏面(Y’軸の−側の面))が、薄肉周縁部12の裏面(Y’軸の−側の面)とほぼ同一面となっているところである。この実施形態例は、プラノコンベックス型振動素子とほぼ同様に動作し、振動エネルギーは振動部14の中央部に閉じ込められる。また、支持部14の厚さを薄肉周縁部12の厚さより厚くしているので、支持部13が支持される影響は小さくなり、ヒートサイクル特性は改善される。また、支持部13の裏面(Y’軸の−側の面)が振動部14の裏面(Y’軸の−側の面)と同一平面上になるようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る振動子について、図面を参照しながら説明する。図11は、本実施形態に係る振動子4を模式的に示す断面図である。図11は、振動子4の長手方向(X軸方向)の断面図であり、図6(b)に示した振動素子3の断面図と同様な位置における断面図である。振動子4は、本発明に係る振動素子3(図示の例では振動素子3を示しているが、図1、図5、図6、図9、図10に示す振動素子であってもよい)と、容器50と、備えている。
容器50は、キャビティー52内に振動素子3を収容することができる。容器50の材質としては、例えば、セラミック、ガラス等が挙げられる。キャビティー52は、圧電振動素子3が動作するための空間となる。キャビティー52は密閉され、減圧空間や不活性ガス雰囲気とされる。
振動素子3は、容器50のキャビティー52内に収容されている。キャビティー52の内底面の端部に複数の素子搭載用パッド55aが設けられ、各素子搭載用パッド55aは内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。素子搭載用パッド55aに振動素子3を載置し、各電極パッド24a、24bと各素子搭載用パッド55aとを、導電性接着剤60を介して電気的に接続し、固定する。図示の例では、圧電振動素子3は、端部でZ’軸方向に沿った形成された電極パッド24a、24bの2点に塗布した導電性接着剤60により、片持ち梁状にキャビティー52内に固定されている。導電性接着剤60としては、例えば、半田、銀ペースト等を用いることができる。
本発明の振動子は、ヒートサイクル試験前後の周波数変化、CI変化を小さくすることができるという効果がある。
次に、本実施形態に係る電子デバイスについて、図面を参照しながら説明する。
図12(a)は、本発明の電子デバイス5に係る実施形態の一例の断面図である。電子デバイス5は、本発明の振動素子3と、感温素子であるサーミスタ58と、振動素子3及びサーミスタ58を収容する容器50と、を概略備えている。容器50は、容器本体50aと、蓋部材50cとを備えている。容器本体50aは、上面側に振動素子3を収容するキャビティー52が形成され、下面側にサーミスタ58を収容する凹部54aが形成されている。キャビティー52の内底面の端部に複数の素子搭載用パッド55aが設けられ、各素子搭載用パッド55aは内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。素子搭載用パッド55aに振動素子3を載置し、各パッド24と各素子搭載用パッド55aとを、導電性接着剤60を介して電気的に接続し、固定する。容器本体50aの上部には、コバール等からなるシールリングリング50bが焼成されており、このシールリングリング50bに蓋部材50cを載置し、抵抗溶接機を用いて溶接し、キャビティー52を気密封止する。キャビティー52内は真空にしてもよいし、不活性ガスを封入してもよい。
一方、容器本体50aの下面側中央には凹部54aが形成され、凹部54aの上面には電子部品搭載用パッド55bが焼成されている。サーミスタ58は、電子部品搭載用パッド55bに半田等を用いて搭載される。電子部品搭載用パッド55bは、内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。
図12(b)は、同図(a)の変形例の電子デバイス6であって、電子デバイス5と異なる点は、容器本体50aのキャビティー52底面に凹部54bが形成され、この凹部54bの底面に焼成された電子部品搭載パッド55bに、金属バンプ等を介してサーミスタ58が接続されている所である。電子部品搭載パッド55bは実装端子53と導通されている。つまり、振動素子3と感温素子のサーミスタ58とが、キャビティー52内に収容され、気密封止されている。
以上では、振動素子3とサーミスタ58とを容器50に収容した例を説明したが、容器50に収容する電子部品としては、サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子、半導体素子のうち少なくとも一つを収容した電子デバイスを構成することが望ましい。
本発明の電子デバイスは、ヒートサイクル試験に強い小型振動素子を備えており、用いる電子素子と組み合わせることで、客先の仕様に合わせて種々の電子デバイスを構成することができるという効果がある。また、上記電子素子組み合わせることで、温度補償された振動素子、可変範囲の広い振動素子、発振器等を構成することができるという効果がある。
図13は、本発明の発振器7に係る実施形態の一例の断面図である。発振器7は、本発明の振動素子3(図13では振動素子3の例を示したが、本発明の他の振動素子であってもよい)と、単層の絶縁基板70と、振動素子3を駆動するIC(半導体素子)88と、圧電振動素子3及びIC88を含む絶縁基板70の表面空間を気密封止する凸状の蓋部材80と、を概略備えている。絶縁基板70は、表面に圧電振動素子3及びIC88を搭載するための複数の素子搭載パッド74a、電子部品搭載パッド74bを有すると共に、裏面に外部回路との接続用の実装端子76を備えている。素子搭載パッド74a及び電子部品搭載パッド74bと実装端子76とは、絶縁基板70を貫通する導体78により、導通されている。更に、絶縁基板70表面に形成された導体配線(図示せず)により、素子搭載パッド74aと電子部品搭載パッド74bとは導通が図られている。金属バンプ等を用いてIC88を電子部品搭載パッド74bに搭載した後、素子搭載パッド74aに導電性接着剤60を塗布し、その上に振動素子3のパッド24を載置し、恒温槽内で硬化させて導通・固定を図る。凸状の蓋部材80は絶縁基板の周縁部に形成したメタライズ85を溶融させることにより気密封止される。このとき、封止工程を真空中で行うことにより内部を真空にすることができる。
本発明の発振器は、形状の小型化が可能であると共に、ヒートサイクル試験に強く、周波数温度特性の優れた発振器が実現できるという効果がある。
図14(a)は、図1(b)に示した振動素子1の断面図であり、同図(b)は支持部13の底面13bに形成された凹凸部の拡大図であり、同図(c)は(b)の断面図である。図1、図5、図6に示す振動素子1、2、3の支持部13の底面13bに、図14(b)、(c)に示すような凹凸部を形成してもよい。このような凹凸を設けることにより、振動素子を収容する容器と導電性接着剤を用いて導通、接続する際の接続強度が増し、振動、落下等に強い振動子を構成することが可能となる。
1、2、3…振動素子、4…振動子、5、6…電子デバイス、7…発振器、10…振動基板、12…薄肉周縁部、13…支持部、13a…支持部側面、13b…支持部底面、14…振動部、14a、14b…振動部のX軸方向の側面、14c、14d…振動部のZ’軸方向の側面、15…第1部分、16…第2部分、20a、20b…励振電極、22a、22b…引出電極、24a、24b…電極パッド、26…導電性接着剤、耐蝕膜…30、レジスト膜…40、50…容器、50a…容器本体、50b…シールリングリング、50c…蓋部材、52…キャビティー、53…実装端子、54a…凹部、55a…素子搭載用パッド、55b…電子部品搭載用パッド、57…内部導体、58…サーミスタ、60…電性接着剤、70…絶縁基板、74a…素子搭載パッド、74b…電子部品搭載パッド、76…実装端子、78…導体、80…蓋部材、85…メタライズ、88…IC、Mx…振動部のX軸方向の長さ、Ex…励振電極のX軸方向の長さ、Sx…振動部及び支持部の対向する側面の長さ、t…振動部の厚さ、t’…薄肉周縁部の厚さ

Claims (10)

  1. 厚み滑り振動を主振動として励振する振動部と、
    支持部と、
    が少なくとも前記主振動の変位方向に沿って並んで配置され、
    前記振動部の厚みよりも薄い薄肉部が、前記振動部と前記支持部の間に配置され、
    前記支持部が、前記薄肉部の厚みよりも厚く、
    前記振動部と前記支持部と前記薄肉部とが一体化されている振動基板と、
    前記少なくとも前記振動部の両主面に夫々配置されている各励振電極と、
    前記支持部の両主面に夫々配置されている各電極パッドと、
    前記各励振電極と前記各電極パッドとを電気的に接続する引出電極と、
    を備え、
    前記変位方向に沿って前記振動基板に生じる屈曲振動の波長をλ、
    前記薄肉部の前記変位方向の距離をSx、
    Nを正の整数としたときに、
    −0.2<(Sx−(λ/2)N)/(λ/2)<0.2
    を満足していることを特徴とする振動素子。
  2. 請求項1において、
    前記振動部は、多段のメサ構造であることを特徴とする振動素子。
  3. 請求項1又は2において、
    前記振動基板はATカット水晶基板であり、
    前記振動部は、前記X軸に平行な辺を長辺とし前記Z’軸に平行な辺を短辺とすることを特徴とする振動素子。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項において、
    前記各励振電極が、
    前記振動部と、
    前記薄肉周縁部の少なくとも一部と、
    に跨って設けられていることを特徴とする振動素子。
  5. 請求項1乃至3の何れか一項において、
    前記各励振電極が、
    前記振動部のみに形成されていることを特徴とする振動素子。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、
    前記振動素子を収容する容器と、
    を備えていることを特徴とする振動子。
  7. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、
    電子素子と、
    前記振動素子及び電子素子を収容する容器と、
    を備えていることを特徴とする電子デバイス。
  8. 請求項7において、
    前記電子素子が、
    サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子及び半導体素子のいずれかであることを特徴とする電子デバイス。
  9. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動素子と、
    前記振動素子を駆動する発振回路と、
    を備えていることを特徴とする発振器。
  10. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
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