JP5943160B2 - Scカット水晶基板、振動素子、電子デバイス、発振器、及び電子機器 - Google Patents
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Description
本発明は、ダブルローテーションの水晶基板に関し、特にSCカット基板と、これを用いた振動素子、振動子、電子デバイス、発振器、及び電子機器に関する。
高安定水晶発振器用の水晶振動子には、プラノコンベックス状のATカット水晶振動子が長らく使用されてきたが、SCカット水晶振動子の発明により、これを用いた高安定水晶発振器が広く普及している。ただ、ATカットが1回回転の水晶振動子であるのに対し、SCカットは2回回転の水晶振動子であるので、基板の歩留まりが多少悪いという点がある。SCカット水晶振動子には、主振動の厚みすべり振動(Cモード)の他に、Cモードに近接して厚み捻れ振動(Bモード)、及び厚み縦振動(Aモードが)が存在する。Aモードは主振動から離れている上にそのCIも大きいので、主振動のCモードの発振周波数に影響を及ぼさない。しかし、Bモードは周波数が近接(Cモードの約9%高域側)していると共に、CIも同等である。このため、高安定水晶発振器用の周波数がBモードへジャンプするという異常発振が生ずる虞があった。
特許文献1には、短冊状のSCカット水晶基板に励振されるBモードを抑圧した水晶振動子が開示されている。大きさ1.6mm×5.8mmのSCカット水晶基板の長手方向をX’軸とし、X’軸からX’Z’面内を回転させた水晶基板を製作し、そのときのCモード、Bモードの夫々のCIを測定した。短冊状のSCカット水晶基板の長辺がX’軸方向に一致するときを回転角0度とした。水晶基板のX’Z’面内の回転方向に応じてCモード、Bモードの共振波形の大きさは変化し、Cモードに対してBモードのレベルの最も大きい値は、回転角60゜のときで+16dB、最も小さい値は回転角90°のときで−13dBであった。つまり、Cモードに対してBモードの共振波形の大きさが最も小さくなるのは、短冊型水晶基板の長辺がX’軸から90°回転した基板であり、これは基板の長辺をZ’軸方向に一致させた場合であると開示されている。
特許文献2には、短冊状のSCカット水晶基板に励振されるCモードのCIに対し、BモードのCIを増大させたSCカット水晶振動子が開示されている。X’軸を規準とし、SCカット基板をX’Z’面内の面内回転でX’軸からα度回転したとき、回転角αが±90°の範囲内では、CモードでのCIはほぼ一定である。つまり、Cモードは面内回転によって、SCカット基板のX’軸の長さが変化してもCIは変動しない。これに対し、BモードのCIは、X’軸からの面内回転角αが8°、及びこれに±90°加えた98°、−82°で、最小値となり、Cモードと同等となる。そして、8°に対して±45°となる53°及び−37°でCIが最大値(CモードのCIの概ね20倍)となり、BモードのCIは、面内回転により正弦波状に変化すると開示されている。
しかしながら、上記各特許文献に開示された手段を用いてSCカット水晶振動子を構成しても、要求される仕様、つまりCモードのCIに対するBモードのCI比が客先の要求規格を満たせない虞があるという問題があった。また、SCカット水晶基板のX’軸からY’’軸を中心として53°又は−37°回転する必要があり、基板の収率に問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、Cモードの変位とBモードの変位とを分離し、基板の形状によりBモードのレベルを抑圧したSCカット水晶基板を提供することにある。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、Cモードの変位とBモードの変位とを分離し、基板の形状によりBモードのレベルを抑圧したSCカット水晶基板を提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本発明に係る水晶基板は、水晶の結晶軸であるX軸、Y軸、Z軸からなる直交座標系(X,Y,Z)をX軸の回りに所定の角度で回転し、該回転により得られた直交座標系(X,Y’,Z’)のZ’軸の回りに所定の角度で回転し、該回転により得られた直交座標系(X’,Y’’,Z’)のY’’軸の回りに角度ηで回転して得られたX’’Z’’面からなる主面を含み、前記角度ηが、−5°≦η≦15°を満たしていることを特徴とする水晶基板である。
この構成によれば、矩形状のSCカット基板1に生じるCモードのZ’’軸方向の振動変位Z’’、及びBモードのX’’軸方向の振動変位X’’を夫々大幅に低減させることが可能になる。また、Cモードの振動変位X’’は、基板のX’’軸方向に直交する辺に直交し、Bモードの振動変位Z’’は、基板のZ’’軸方向に直交する辺に直交するので、CモードはX’’軸方向の寸法、BモードはZ’’軸方向の寸法で制御することができるという効果がある。
[適用例2]また水晶基板は、適用例1において、振動部と、該振動部の厚みよりも薄い薄肉部と、を含むことを特徴とする水晶基板である。
振動部をこれに連接する周辺部より厚くすることにより、振動エネルギーを振動部に集中させることができ、Q値の大きい(CI値の小さい)振動素子が得られるという効果がある。
[適用例3]本発明に係る振動素子は、適用例1又は2に記載の水晶基板と、前記該水晶基板の両主面に夫々配置されている各励振電極と、前記各励振電極から夫々前記振動基板の一方の端部に向かって延出している引出電極と、前記各引出電極と電気的に接続され前記振動基板の前記一方の端部側の隅部に夫々配置されている電極パッドと、を備えていることを特徴する振動素子である。
この構成によれば、振動基板にSCカット水晶基板を用いた振動素子は、振動基板にかかる熱変化のストレスに対し周波数変動が小さく、Qが高く、容量比が大きい振動素子が得られるという効果がある。
[適用例4]本発明に係る振動子は、適用例3に記載の振動素子と、前記振動素子を収容する容器と、を備えていることを特徴とする振動子である。
この構成によれば、SCカット基板を用いた振動素子を容器内に気密封止したので、熱変化のストレスに対し周波数変化が小さく、Qが高く、容量比が大きい振動子が得られるという効果がある。
[適用例5]本発明に係る電子デバイスは、適用例3に記載の振動素子と、電子素子と、前記振動素子及び電子素子を収容する容器と、を備えていることを特徴とする電子デバイスである。
この構成によれば、本発明に係るSCカット振動素子を備えており、容器に収容した電子素子と組み合わせることで、客先の仕様に合わせて種々の電子デバイスを構成することができるという効果がある。
[適用例6]また電子デバイスは、適用例5において、前記電子素子が、サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子、電子素子ヒーター、及び半導体素子のいずれかであることを特徴とする電子デバイスである。
この構成によれば、本発明に係るSCカット振動素子と上記電子素子とを組み合わせることで、温度補償された振動子、安定度の高い発振器等を構成することができるという効果がある。
[適用例7]本発明に係る発振器は、適用例4に記載の振動子と、該振動子を駆動する発振回路と、ヒーター素子と、を備えていることを特徴とする発振器である。
この構成によれば、本発明に係るSCカット振動子と、発振回路と、電子素子ヒーターとを備えているので、周波数安定度の極めて高い、且つ熱ストレスに対し周波数変動の少ない高安定発振器を構成することができるという効果がある。
[適用例8]本発明の電子機器は、適用例3に記載の振動素子、又は適用例4に記載の振動子を備えていることを特徴とする電子機器である。
本発明に係る振動素子、又は振動子を電子機器に用いることにより、周波数安定度の優れた周波数源が得られ、電極機器の精度を向上させるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るSCカット水晶基板1の構成を示す概略図である。図が複雑になるため、図1(a)と、同図(b)とに分けて図示しているが、本発明のSCカット水晶基板1は、図1(a)に示すように、直交座標系(XYZ)の2回回転に続き、図1(b)に示すように、直交座標系(X’,Y’’,Z’)の1回の回転を経て得られる水晶基板である。
水晶結晶は三方晶系に属し、互いに直交する結晶軸X,Y,Zを有する。X軸、Y軸、Z軸は、夫々電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。Z軸は、Z軸の回りに120°毎にX軸、Y軸の組がある3回対称軸であり、X軸は2回対称軸である。
図1(a)に示すように、水晶結晶の構成は、電気軸としてのX軸、機械軸としてのY軸、光学軸としてのZ軸からなる直交座標系(X,Y,Z)を用いて記述される。
水晶結晶は三方晶系に属し、互いに直交する結晶軸X,Y,Zを有する。X軸、Y軸、Z軸は、夫々電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。Z軸は、Z軸の回りに120°毎にX軸、Y軸の組がある3回対称軸であり、X軸は2回対称軸である。
図1(a)に示すように、水晶結晶の構成は、電気軸としてのX軸、機械軸としてのY軸、光学軸としてのZ軸からなる直交座標系(X,Y,Z)を用いて記述される。
SCカット水晶基板1は、まず直交座標系(X,Y,Z)のX軸の回りに所定角度(例えば34°)回転し、この回転により得られた新たな直交座標系(X,Y’,Z’)のZ’軸の回りに所定角度(例えば22°)回転し、この回転により得られた直交座標系を(X’,Y’’,Z’)とする。厚み方向がY’’軸方向と平行であり、両主面がX’Z’面(X’軸とZ’軸とで構成する平面)と平行である矩形状の基板を切り出すと、通常のSCカット水晶基板が得られる。上記の2回の回転に加え、直交座標系(X’,Y’’,Z’)のY’’軸の回りにη度回転させると新たな直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)が得られる。この新たな直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)において、厚み方向がY’’軸方向と平行であり、両主面がX’’Z’’面(X’’軸とZ’’軸とで構成する平面)と平行である矩形状の基板を切り出すと、本発明のSCカット水晶基板1が得られる。つまり、本発明のSCカット水晶基板1は、矩形状のSCカット水晶基板1の一方の対向する二辺は、X’’軸と平行であり、他方の対向する二辺は、Z’’軸と平行であり、Y’’軸方向が厚さ方向となる水晶基板である。
通常のSCカット水晶振動子には、Cモードと称される主振動の厚みすべり振動(Thickness−shear Mode、TS)と、Cモードより高周波側のBモードと称される副振動の厚み捻れ振動(Thickness−twist Mode、TT)と、が存在する。厚みすべり振動(TS)は、振動変位が直交座標系(X’,Y’’,Z’)のX’軸方向に沿って変位し、厚み捻れ振動(TT)の振動変位はZ’軸方向に沿って変位する。即ち、TSモードの変位方向とTTモードの変位方向とは、互いに直交している。
ATカット水晶振動子では、厚みすべり振動(TS)と、厚み捻れ振動(TT)との識別は難しいが、MCF(Monolithic Crystal Filter)では、その違いが明確になる。つまり、ATカット水晶基板上に2対の励振電極を近接してX軸方向に沿って配置して構成したMCF1と、2対の励振電極を近接してZ’軸方向に沿って配置して構成したMCF2と、では夫々励振される2つの共振周波数の間隔ΔF1と、ΔF2とが異なるので、TSモードとTTモードとの違いを認識できる。
ATカット水晶振動子では、厚みすべり振動(TS)と、厚み捻れ振動(TT)との識別は難しいが、MCF(Monolithic Crystal Filter)では、その違いが明確になる。つまり、ATカット水晶基板上に2対の励振電極を近接してX軸方向に沿って配置して構成したMCF1と、2対の励振電極を近接してZ’軸方向に沿って配置して構成したMCF2と、では夫々励振される2つの共振周波数の間隔ΔF1と、ΔF2とが異なるので、TSモードとTTモードとの違いを認識できる。
直交座標系(X’,Y’’,Z’)のY’’軸の回りにη度回転させた直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)から切り出された本発明に係るSCカット水晶振動子1において、励起されるCモード(TS)とBモード(TT)とを互いに分離して制御できれば、Cモード(TS)に対し、Bモード(TT)を抑圧することが可能となる。そこで、構造解析に一般的に使用されている有限要素法を用いて、Y’’軸の回りの回転角ηを変化させたSCカット水晶基板1の振動変位の解析を試みた。つまり、直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)のY’’軸方向に厚み方向を有し、X’’Z’’面に平行な面を両主面すると共に、X’’軸及びZ’’軸に夫々平行な辺を有するSCカット基板1についてシミュレーションを行った。SCカット基板1の厚さをtに対するX’’軸方向、Z’’軸方向の夫々の長さX、Zの比、即ちX/t、Z/tを夫々14.01、14.84とした。回転角ηについては広範囲に変化させたが、以下の説明では、Cモード(TS)と、Bモード(TT)との分離に有効であると思われる回転角ηが−5°から−15°までの、Cモード(TS)、及びBモード(TT)の変位分布を図で示す。
図2(a)、(b)は、回転角ηが0°の場合の、Cモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位成分の分布(以下、変位分布と称す)である。図2(a)の実線X’は、X’軸方向の振動変位分布であり、太い実線Z’はZ’軸方向の振動変位分布であり、一点鎖線Y’’はY’’軸方向の振動変位分布である。図2(a)の振動変位分布から、Cモード(TS)はX’軸方向の変位成分X’が当然のことながら一番大きいが、Z’軸方向の変位成分Z’も含んでいることが分かる。SCカット水晶振動素子1は、厚み振動系のモードであるのでY’’軸方向の変位成分Y’’は当然存在する。なお、回転角ηが0°であるため、変位分布にX’、Z’を付したのは、直交座標系(X’,Y’’,Z’)による。
図2(b)はBモード(TT)の振動変位分布である。実線Z’はZ’軸方向の振動変位分布であり、太い実線X’はX’軸方向の振動変位分布であり、一点鎖線Y’’はY’’軸方向の振動変位分布である。図2(b)の振動変位分布から、Bモード(TT)はZ’軸方向の変位成分Z’が一番大きいが、X’軸方向の変位成分X’も含んでいることが分かる。
そこで、Cモード(TS)の振動変位分布からZ’軸方向の変位成分Z’を低減し、Bモード(TT)の振動変位分布からX’軸方向の変位成分X’を低減し、且つ基板の夫々の辺(変位成分Z’の場合はZ’軸に直交する辺、変位成分X’の場合はX’軸に直交する辺)に対し直交できるか、シミュレーションを用いて検証した。
図2(b)はBモード(TT)の振動変位分布である。実線Z’はZ’軸方向の振動変位分布であり、太い実線X’はX’軸方向の振動変位分布であり、一点鎖線Y’’はY’’軸方向の振動変位分布である。図2(b)の振動変位分布から、Bモード(TT)はZ’軸方向の変位成分Z’が一番大きいが、X’軸方向の変位成分X’も含んでいることが分かる。
そこで、Cモード(TS)の振動変位分布からZ’軸方向の変位成分Z’を低減し、Bモード(TT)の振動変位分布からX’軸方向の変位成分X’を低減し、且つ基板の夫々の辺(変位成分Z’の場合はZ’軸に直交する辺、変位成分X’の場合はX’軸に直交する辺)に対し直交できるか、シミュレーションを用いて検証した。
直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)で回転角ηが0°である場合のSCカット水晶基板1を基準基板SC0とし、回転角ηの場合のSCカット水晶基板1をSCηとした。SCカット水晶基板SCηについて、Cモード(TS)の変位成分Z’’、Bモード(TT)の変位成分X’’が、基準基板SC0の変位成分に対し、夫々低減できるかシミュレーションを行った。一般的に回転方向の符号は、反時計回りを「+」、時計回りを「−」とされている。
図3(a)、(b)は、夫々回転角ηが時計回りに5°、つまり−5°回転した直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)から切り出された矩形状SCカット水晶基板SC-5について、シミュレーションにより求めたCモード(TS)、及びBモード(TT)の変位分布である。図3(a)に示すように、Z’’方向の変位成分Z’’は、SC0の変位分布Z’に比べて幾分低減されているが未だ低減の程度が不十分である。また、図3(b)は、Bモード(TT)の変位分布であるが、X’’方向の変位成分X’’は、SC0の変位成分X’に比べて低減されていない。
図3(a)、(b)は、夫々回転角ηが時計回りに5°、つまり−5°回転した直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)から切り出された矩形状SCカット水晶基板SC-5について、シミュレーションにより求めたCモード(TS)、及びBモード(TT)の変位分布である。図3(a)に示すように、Z’’方向の変位成分Z’’は、SC0の変位分布Z’に比べて幾分低減されているが未だ低減の程度が不十分である。また、図3(b)は、Bモード(TT)の変位分布であるが、X’’方向の変位成分X’’は、SC0の変位成分X’に比べて低減されていない。
図4(a)、(b)は、夫々回転角ηが−9°の場合のSCカット水晶基板SC-9に生じるCモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位分布を、シミュレーションにより求めた図である。図4(a)に示すZ’’軸方向の変位分布Z’’は、基準基板SC0の変位分布Z’に比べて大幅に低減されていることが分かる。また、図4(b)に示すBモード(TT)の振動変位分布の中、X’’軸方向の変位分布X’’は、基準基板SC0の変位分布X’に比べて大分低減されていることが分かる。
図5(a)、(b)は、夫々回転角ηが−10°である場合のSCカット水晶基板SC-10に生じるCモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位分布を、シミュレーションにより求めた図である。図5(a)に示すZ’’軸方向の変位分布Z’’は、基準基板SC0の変位分布Z’に比べて大幅に低減されていることが分かる。また、図5(b)に示すBモード(TT)の振動変位分布の中、X’’軸方向の変位成分X’’は、基準基板SC0の変位分布X’に比べて大幅に低減されていることが分かる。
図5(a)、(b)は、夫々回転角ηが−10°である場合のSCカット水晶基板SC-10に生じるCモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位分布を、シミュレーションにより求めた図である。図5(a)に示すZ’’軸方向の変位分布Z’’は、基準基板SC0の変位分布Z’に比べて大幅に低減されていることが分かる。また、図5(b)に示すBモード(TT)の振動変位分布の中、X’’軸方向の変位成分X’’は、基準基板SC0の変位分布X’に比べて大幅に低減されていることが分かる。
図6(a)、(b)は、夫々回転角ηが−11°である場合のSCカット水晶基板SC-11に生じるCモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位分布をシミュレーションにより求めた図である。図6(a)に示すZ’’軸方向の変位分布Z’’は、基準基板SC0の変位分布Z’に比べて大幅に低減されていることが分かる。また、図6(b)に示すBモード(TT)の振動変位分布の中、X’’軸方向の変位分布X’’は、基準基板SC0の変位分布X’に比べて大幅に低減されていることが分かる。
図7(a)、(b)は、夫々回転角ηが−13°である場合のSCカット水晶基板SC-13に生じるCモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位分布をシミュレーションにより求めた図である。図7(a)に示すZ’’軸方向の変位分布Z’’は、基準基板SC0の変位分布Z’に比べて大幅に低減されていることが分かる。また、図7(b)に示すBモード(TT)の振動変位分布の中、X’’軸方向の変位成分X’’は、基準基板SC0の変位分布X’に比べて十分に低減されていることが分かる。
図7(a)、(b)は、夫々回転角ηが−13°である場合のSCカット水晶基板SC-13に生じるCモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位分布をシミュレーションにより求めた図である。図7(a)に示すZ’’軸方向の変位分布Z’’は、基準基板SC0の変位分布Z’に比べて大幅に低減されていることが分かる。また、図7(b)に示すBモード(TT)の振動変位分布の中、X’’軸方向の変位成分X’’は、基準基板SC0の変位分布X’に比べて十分に低減されていることが分かる。
図8(a)、(b)は、夫々回転角ηが−15°である場合のSCカット水晶基板SC-15に生じるCモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位分布を、シミュレーションにより求めた図である。図8(a)に示すZ’’軸方向の変位分布Z’’は、基準基板SC0の変位分布Z’に比べれば小さいが、SC-10に比べると大きくなってきていることが分かる。また、図8(b)に示すBモード(TT)の振動変位分布の中、X’’軸方向の変位分布X’’は、SC0の変位分布X’に比べると幾分小さいが、SC-10に比べると大きくなってきていることが分かる。
以上は、直交座標系(X’,Y’’,Z’)を、Y’’軸の回りの回転角ηとして、−5°から−15°まで回転した直交座標系(X’’,Y’’,Z’’)から切り出されたSCカット水晶基板SCηに励起されるCモード(TS)、及びBモード(TT)の振動変位分布を図示したものである。これらの振動変位分布図から、Y’’軸の回りの回転角ηが、−10°のときに、Cモード(TS)のZ’’軸方向の変位分布Z’’はほぼ零に近く、またBモード(TT)のX’’軸方向の変位分布X’’は極めて小さくなることが、シミュレーションの結果判明した。つまり、Cモード(TS)は厚み方向の変位分布を除いて、X’’軸方向の変位分布X’’のみにとなり、Cモード(TS)はX’’軸方向の寸法だけで制御することが可能となる。またBモード(TT)も厚み方向の変位分布を除いて、Z’’軸方向の変位分布Z’’のみとなり、Bモード(TT)はZ’’軸方向の寸法だけで制御することが可能となる。即ち、SCカット水晶基板SC-10に生じるCモード(TS)と、Bモード(TT)とは、互いに直交し、且つ互いが分離することが可能となった。回転角ηが−10°であることが最適であるが、回転角ηが−5°≦η≦15°の範囲内ならば実用に供すことができる。
以上のようにSCカット基板1を構成すると、矩形状のSCカット基板1に生じるCモードのZ’’軸方向の振動変位Z’’、及びBモードのX’’軸方向の振動変位X’’を夫々大幅に低減させることが可能になる。また、Cモードの振動変位X’’は、基板のX’’軸方向に直交する辺に直交し、Bモードの振動変位Z’’は、基板のZ’’軸方向に直交する辺に直交するので、CモードはX’’軸方向の寸法、BモードはZ’’軸方向の寸法で制御することができるという効果がある。
図9は本発明のSCカット水晶基板1(以下、振動基板10と称す)を用いて構成した振動素子2の概略図であり、同図(a)は、振動素子2の平面図であり、同図(b)は、(a)のP−P断面図あり、同図9(c)は(a)のQ−Q断面図である。
本発明の振動素子2は、振動基板(SCカット水晶基板1)10と、振動基板10の両主面に夫々対向配置された各励振電極20と、各励振電極20から振動基板10の一方の端部に向かって延びる引出電極22と、各引出電極22と電気的に接続され振動基板10の2つの角隅部に夫々形成された電極パッド24と、を備えた水晶振動素子である。
振動基板10は、最大の厚さを有した振動部14と、振動部14よりも薄肉であって振動部14の全周側面の厚さ方向中間部から鍔状に突設された薄肉周縁部12と、を有している。振動基板10は、振動バランスの点から厚さ方向の中心線に対して対称に形成されている。換言すれば、厚さ方向の中心を通り、主面に平行な面に対して対称に形成されている。
本発明の振動素子2は、振動基板(SCカット水晶基板1)10と、振動基板10の両主面に夫々対向配置された各励振電極20と、各励振電極20から振動基板10の一方の端部に向かって延びる引出電極22と、各引出電極22と電気的に接続され振動基板10の2つの角隅部に夫々形成された電極パッド24と、を備えた水晶振動素子である。
振動基板10は、最大の厚さを有した振動部14と、振動部14よりも薄肉であって振動部14の全周側面の厚さ方向中間部から鍔状に突設された薄肉周縁部12と、を有している。振動基板10は、振動バランスの点から厚さ方向の中心線に対して対称に形成されている。換言すれば、厚さ方向の中心を通り、主面に平行な面に対して対称に形成されている。
振動部14は、その全外周縁に薄肉周縁部12に向かって振動部14の厚さが階段状に漸減するように段差縁部を備えている。図9の実施形態例の振動素子1は、振動部14の外周縁の表裏面に夫々1段の段差から成る段差縁部を有する。段差縁部は、Z’’軸方向に平行に延びる段差縁部14a、14bと、X’’軸方向に平行に延びる段差縁部14c、14dと、を備えている。つまり、振動基板10は、基板の中央部を両主面と直交する方向へ夫々突出させた厚肉部(段差縁部を含む)である振動部14と、振動部14の全周側面の厚さ方向中間部から主面方向へ突出する薄肉周縁部12と、を有した所謂メサ構造をしている。
振動部14は、振動基板10の中央に位置した主たる振動領域であり、振動部14より薄肉で振動部14の全周側面に形成された薄肉周縁部12は、従たる振動領域である。つまり、振動領域は、振動部14と、薄肉周縁部12の一部に跨っている。
振動部14は、振動基板10の中央に位置した主たる振動領域であり、振動部14より薄肉で振動部14の全周側面に形成された薄肉周縁部12は、従たる振動領域である。つまり、振動領域は、振動部14と、薄肉周縁部12の一部に跨っている。
励振電極20は、図9に示す実施形態例では振動部14の全領域と薄肉周縁部12の一部に形成されている。励振電極20、引出電極22、及び電極パッド24は、振動基板10の両面にスパッタ法、又は真空蒸着法を用いてクロム(Cr)、金(Au)等の金属膜をこの順に成膜する。成膜した金属薄膜にフォトリソグラフィ技法により、所定の形状の励振電極20、引出電極22、及び電極パッド24を形成して振動素子2を構成する。各励振電極20に交番電圧を印加すると、振動素子2は固有(主振動は厚みすべり)の振動周波数で励振される。
図9に示す実施形態例では、振動基板10はY’’軸方向を厚み方向として、Z’’軸方向を長辺とし、X’’軸方向を短辺とする矩形の形状を有する。ここで、長辺、短辺の夫々の長さをZ、Xとする。振動基板10は、略中央部に位置する厚肉の振動部14と、振動部14の全周側面の中央部から鍔状に突設された薄肉周縁部12と、を有している。
図9の実施形態に示すように振動部14は、その全周側面の中央部を薄肉周縁部12に囲まれており、薄肉周縁部12のY’’軸方向の厚さt’よりも厚い厚さtを有する。即ち、振動部14は、図9(b)、(c)に示すように、薄肉周縁部12に対してY’’軸方向に突出している。図9の例では、振動部14は薄肉周縁部12に対して、+Y’’軸側と、−Y’’軸側とに突出している。振動部14は、例えば対称の中心となる点(図示せず)を有し、この中心点に関して点対称となる形状を有することができる。
振動部14は、図9に示すように、振動部14は、Z’’軸に平行な長さMzを長辺、X’’軸に平行な長さMxを短辺とする矩形の形状を有する。図9の振動基板10は、1段のメサ型基板の例である。
このように構成したため、振動部14は、Z’’軸方向に延びる段差縁部14a、14bと、X’’軸方向に延びる段差縁部14c、14dと、を有した構造となっている。図9の実施形態例では、段差縁部14a、14bのうち、段差縁部14aが+X’’軸側の段差縁部であり、段差縁部14bが−X’’軸側の段差縁部である。また、段差縁部14c、14dのうち、段差縁部14cが−Z’’軸側の段差縁部であり、段差縁部14dが+Z’’軸側の段差縁部である。
振動部14は、図9に示すように、振動部14は、Z’’軸に平行な長さMzを長辺、X’’軸に平行な長さMxを短辺とする矩形の形状を有する。図9の振動基板10は、1段のメサ型基板の例である。
このように構成したため、振動部14は、Z’’軸方向に延びる段差縁部14a、14bと、X’’軸方向に延びる段差縁部14c、14dと、を有した構造となっている。図9の実施形態例では、段差縁部14a、14bのうち、段差縁部14aが+X’’軸側の段差縁部であり、段差縁部14bが−X’’軸側の段差縁部である。また、段差縁部14c、14dのうち、段差縁部14cが−Z’’軸側の段差縁部であり、段差縁部14dが+Z’’軸側の段差縁部である。
X’’軸方向に延びる段差縁部14dは、図9(b)に示すように、薄肉周縁部12に対して、+Y’’軸側と−Y’’軸側とに夫々突出して形成されている。このことは段差縁部14a、14b、14cについても同様である。
振動部14の段差縁部14c、14dの段差は、振動部14、及び薄肉周縁部12の各厚みの差によって形成され、振動部14のX’’Z’’平面に平行な面と、振動部14のX’’Y’’面に平行な面と、薄肉周縁部12のX’’Z’’平面に平行な面と、によって構成される。同様に、段差縁部14a、14bの段差は、振動部14のX’’Z’’平面に平行な面と、振動部14のY’’Z’’面に平行な面と、薄肉周縁部12のX’’Z’’平面に平行な面と、によって構成される。
このように図9の振動素子2は、1段型のメサ構造を有していると言える。振動部14は、厚みすべり振動を主振動として振動することができる。このように、振動部14が、1段型メサ構造を有していることにより、厚みすべり振動が励振されると、振動エネルギーが振動部14に閉じ込められて、所謂閉じ込め効果を有することができる。
振動部14の段差縁部14c、14dの段差は、振動部14、及び薄肉周縁部12の各厚みの差によって形成され、振動部14のX’’Z’’平面に平行な面と、振動部14のX’’Y’’面に平行な面と、薄肉周縁部12のX’’Z’’平面に平行な面と、によって構成される。同様に、段差縁部14a、14bの段差は、振動部14のX’’Z’’平面に平行な面と、振動部14のY’’Z’’面に平行な面と、薄肉周縁部12のX’’Z’’平面に平行な面と、によって構成される。
このように図9の振動素子2は、1段型のメサ構造を有していると言える。振動部14は、厚みすべり振動を主振動として振動することができる。このように、振動部14が、1段型メサ構造を有していることにより、厚みすべり振動が励振されると、振動エネルギーが振動部14に閉じ込められて、所謂閉じ込め効果を有することができる。
以上では、Z’’軸方向を長辺、X’’軸方向を短辺とした平面形状が矩形状の振動基板(SCカット水晶基板1)10について説明したが、X’’軸方向を長辺、Z’’軸方向を短辺とした矩形状の振動基板10を用いてもよい。また、図9ではX’’軸方向に1段、Z’’軸方向に1段のメサ型振動基板10について説明したが、i、jを正の整数として、X’’軸方向にi段、Z’’軸方向にj段のメサ型振動基板10を用いてもよい。また、励振電極20の大きさ(形状寸法)は、振動部14にのみ限定してもよいし、薄肉周縁部12に跨ってもよい。
以上のように、振動基板10にSCカット水晶基板1を用いて構成した振動素子2は、振動基板10にかかる熱変化のストレスに対し周波数変動が小さく、Qが高く、容量比が大きい振動素子が得られるという効果がある。
なお、図9に示す実施形態例の振動素子2では、片側2点支持の例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではなく、対角2点、又は3点支持、4点支持であってもよい。また一方の電極パッドを1点支持し、他方の電極パッドはボンディングワイヤーを用いて電気的に接続するようにしてもよい。
なお、図9に示す実施形態例の振動素子2では、片側2点支持の例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではなく、対角2点、又は3点支持、4点支持であってもよい。また一方の電極パッドを1点支持し、他方の電極パッドはボンディングワイヤーを用いて電気的に接続するようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る水晶振動子について、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る振動子3を模式的に示す断面図である。振動子3は、本発明に係る振動素子2と、容器50と、備えている。容器50は、キャビティー52内に振動素子2を収容することができる。容器50の材質としては、例えば、セラミック、ガラス等が挙げられる。キャビティー52は、振動素子2が動作するための空間となる。キャビティー52は密閉され、減圧空間や不活性ガス雰囲気とされる。
振動素子2は、容器50のキャビティー52内に収容されている。キャビティー52の内底面の端部に複数の素子搭載用パッド55aが設けられ、各素子搭載用パッド55aは内部導体57により複数の実装端子53と導通接続されている。素子搭載用パッド55aに振動素子2を載置し、各電極パッド24と各素子搭載用パッド55aとを導電性接着剤60を介して電気的に接続し、固定する。図示の例では、振動素子2は、振動基板10の端部に形成された電極パッド24の2点に塗布した導電性接着剤60により、片持ち梁状にキャビティー52内に固定されている。導電性接着剤60としては、例えば、半田、銀ペースト等を用いることができる。容器本体50aの上部には、シールリング50bが焼成されており、このシールリング50bに蓋部材50cを載置し、抵抗溶接機を用いて溶接し、キャビティー52を気密封止する。キャビティー52内は真空にしてもよいし、不活性ガスを封入してもよい。
以上のように、SCカット基板を用いた振動素子2を容器内に気密封止したので、熱変化のストレスに対し周波数変化が小さく、Qが高く、容量比が大きい振動子が得られるという効果がある。
次に、本実施形態に係る電子デバイスについて、図面を参照しながら説明する。
図11(a)は、本発明の電子デバイス4に係る実施形態の一例の断面図である。電子デバイス4は、本発明の振動素子2と、感温素子であるサーミスタ58と、振動素子2、及びサーミスタ58を収容する容器50と、を概略備えている。容器50は、容器本体50aと、蓋部材50cとを備えている。容器本体50aは、内部に振動素子2を収容するキャビティー52が形成され、下面側にサーミスタ58を収容する凹部54aが形成されている。キャビティー52の内底面の端部に複数の素子搭載用パッド55aが設けられ、各素子搭載用パッド55aは内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。素子搭載用パッド55aに振動素子2を載置し、各電極パッド24と各素子搭載用パッド55aとを、導電性接着剤60を介して電気的に接続し、固定する。容器本体50aの上部には、シールリング50bが焼成されており、このシールリング50bに蓋部材50cを載置し、抵抗溶接機を用いて溶接し、キャビティー52を気密封止する。キャビティー52内は真空にしてもよいし、不活性ガスを封入してもよい。
一方、容器本体50aの下面側略中央には凹部54aが形成され、凹部54aの上面には電子部品搭載用パッド55bが焼成されている。サーミスタ58は、電子部品搭載用パッド55bに半田等を用いて搭載される。電子部品搭載用パッド55bは、内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。
図11(a)は、本発明の電子デバイス4に係る実施形態の一例の断面図である。電子デバイス4は、本発明の振動素子2と、感温素子であるサーミスタ58と、振動素子2、及びサーミスタ58を収容する容器50と、を概略備えている。容器50は、容器本体50aと、蓋部材50cとを備えている。容器本体50aは、内部に振動素子2を収容するキャビティー52が形成され、下面側にサーミスタ58を収容する凹部54aが形成されている。キャビティー52の内底面の端部に複数の素子搭載用パッド55aが設けられ、各素子搭載用パッド55aは内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。素子搭載用パッド55aに振動素子2を載置し、各電極パッド24と各素子搭載用パッド55aとを、導電性接着剤60を介して電気的に接続し、固定する。容器本体50aの上部には、シールリング50bが焼成されており、このシールリング50bに蓋部材50cを載置し、抵抗溶接機を用いて溶接し、キャビティー52を気密封止する。キャビティー52内は真空にしてもよいし、不活性ガスを封入してもよい。
一方、容器本体50aの下面側略中央には凹部54aが形成され、凹部54aの上面には電子部品搭載用パッド55bが焼成されている。サーミスタ58は、電子部品搭載用パッド55bに半田等を用いて搭載される。電子部品搭載用パッド55bは、内部導体57で複数の実装端子53と導通接続されている。
図11(b)は、同図(a)の変形例の電子デバイス5であって、電子デバイス4と異なる点は、容器本体50aのキャビティー52底面に凹部54bが形成され、この凹部54bの底面に焼成された電子部品搭載パッド55bに、金属バンプ等を介してサーミスタ58が接続されている所である。電子部品搭載パッド55bは実装端子53と導通されている。つまり、振動素子2と、感温素子のサーミスタ58とが、キャビティー52内に収容され、気密封止されている。
以上では、振動素子1と、サーミスタ58とを容器50に収容した例を説明したが、容器50に収容する電子部品としては、サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子、電子素子ヒーター、半導体素子のうち少なくとも一つを収容した電子デバイスを構成することが望ましい。
以上では、振動素子1と、サーミスタ58とを容器50に収容した例を説明したが、容器50に収容する電子部品としては、サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子、電子素子ヒーター、半導体素子のうち少なくとも一つを収容した電子デバイスを構成することが望ましい。
以上のように、この構成によれば、本発明に係るSCカット振動素子を備えており、容器に収容した電子素子と組み合わせることで、客先の仕様に合わせて種々の電子デバイスを構成することができるという効果がある。また、SCカット振動素子と、上記電子素子組み合わせることで、温度補償された振動子、安定度の高い発振器等を構成することができるという効果がある。
図12は、本発明の発振器6に係る実施形態の一例の断面図である。発振器6は、本発明の振動素子2と、単層の絶縁基板70と、振動素子2を駆動するIC(半導体素子)88と、振動素子1及びIC88を含む絶縁基板70の表面空間を気密封止する凸状の蓋部材80と、を概略備えている。絶縁基板70は、表面に振動素子1及びIC88を搭載するための複数の素子搭載パッド74a、電子部品搭載パッド74bを有すると共に、裏面に外部回路との接続用の実装端子76を備えている。素子搭載パッド74a及び電子部品搭載パッド74bと実装端子76とは、絶縁基板70を貫通する導体78により導通されている。更に、絶縁基板70表面に形成された導体配線(図示せず)により、素子搭載パッド74aと電子部品搭載パッド74bとは導通が図られている。金属バンプ等を用いてIC88を電子部品搭載パッド74bに搭載した後、素子搭載パッド74aに導電性接着剤60を塗布し、その上に水晶振動素子2の電極パッド24を載置し、恒温槽内で硬化させて導通・固定を図る。凸状の蓋部材80は絶縁基板の周縁部に形成したメタライズ85を溶融させることにより気密封止される。このとき、封止工程を真空中で行うことにより内部を真空にすることができる。また、封止の手段としては蓋部材80を、レーザー光等を用いて溶融して溶着する手段ももちいられている。蓋部材80で封止された内部空間は真空であってもよいし、不活性ガスを満たしてもよい。
上記の説明では、振動素子2を用いて水晶発振器を構成した実施形態例を説明したが、図10に示す振動子3と半導体素子(IC)88と、電子素子ヒーターと、を用いて発振器を構成してもよい。
以上のように、本発明に係るSCカット振動子と、発振回路と、電子素子ヒーターとを備えているので、周波数安定度の極めて高い、且つ熱ストレスに対し周波数変動の少ない高安定発振器を構成することができるという効果がある。
上記の説明では、振動素子2を用いて水晶発振器を構成した実施形態例を説明したが、図10に示す振動子3と半導体素子(IC)88と、電子素子ヒーターと、を用いて発振器を構成してもよい。
以上のように、本発明に係るSCカット振動子と、発振回路と、電子素子ヒーターとを備えているので、周波数安定度の極めて高い、且つ熱ストレスに対し周波数変動の少ない高安定発振器を構成することができるという効果がある。
1…SCカット水晶基板、2…振動素子、3…振動子、4,5…電子デバイス、6…発振器、10…振動基板(SCカット水晶基板)、12…薄肉周縁部、14…振動部、14a,14b,14c,14d…段差縁部、20…励振電極、22…引出電極、24…電極パッド、26…支持領域、50…容器、50a…容器本体、50b…シールリング、50c…蓋部材、52…キャビティー、53…実装端子、54a…凹部、55a…素子搭載用パッド、55b…電子部品搭載用パッド、57…内部導体、58…サーミスタ、60…電性接着剤、70…絶縁基板、74a…素子搭載パッド、74b…電子部品搭載パッド、76…実装端子、78…導体、80…蓋部材、85…メタライズ、88…IC、Z…振動基板のZ’’軸方向の長さ、Mz…振動部のX軸方向の長さ、Mz…振動部のZ’’軸方向の長さ、Ez…励振電極のZ’’軸方向の長さ、t…振動部の厚さ、t’ … 薄肉周縁部の厚さ
Claims (8)
- 水晶の結晶軸であるX軸、Y軸、Z軸からなる直交座標系(X,Y,Z)をX軸の回りに所定の角度で回転し、該回転により得られた直交座標系(X,Y’,Z’)のZ’軸の回りに所定の角度で回転し、該回転により得られた直交座標系(X’,Y’’,Z’)のY’’軸の回りに角度ηで回転して得られたX’’Z’’面からなる主面を含み、
前記角度ηが、−15°≦η≦−5°、
を満たしていることを特徴とするSCカット水晶基板。 - 振動部と、該振動部の厚みよりも薄い薄肉部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のSCカット水晶基板。
- 請求項1又は2に記載のSCカット水晶基板と、
前記SCカット水晶基板の両主面に夫々配置されている各励振電極と、
前記各励振電極から夫々前記SCカット水晶基板の一方の端部に向かって延出している引出電極と、
前記各引出電極と電気的に接続され前記SCカット水晶基板の前記一方の端部側の隅部に夫々配置されている電極パッドと、
を備えていることを特徴する振動素子。 - 請求項3に記載の振動素子と、
電子素子と、
前記振動素子及び前記電子素子が収容されている容器と、
を備えていることを特徴とする電子デバイス。 - 前記電子素子が、サーミスタ、コンデンサー、リアクタンス素子、電子素子ヒーター、及び半導体素子のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の電子デバイス。
- 請求項3に記載の振動素子と、
サーミスタと、
前記振動素子及び前記サーミスタが収容されている容器と、を備え、
前記容器の底面には凹部が設けられており、
前記サーミスタは、前記凹部に配置されていることを特徴とする電子デバイス。 - 請求項3に記載の振動素子と、
前記振動素子が収容されている容器と、
前記振動子を駆動する発振回路と、
ヒーター素子と、
を備えていることを特徴とする発振器。 - 請求項3に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
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