JP3968210B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、普通紙タイプのインクジェット記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、騒音が少なく、高速記録が可能で、しかも多色化が容易である等の利点があり、各種プリンター、ファクシミリ等への応用が行われている。近年では更に、インクジェット記録の多方面への応用に伴って、インクジェット記録用紙にもより高度な特性が要求されつつある。例えば、(1)インクの吸収に富み、インクの乾燥、定着が速やかであること、(2)インクドットが隣接した場合、隣接したインクドットが相互のインクドット中に流れ出し、不均一に混ざりあう、いわゆるブリーディングを生じないこと、(3)染料などの色剤が記録用紙上で凝集してビーズのような形状となり濃度ムラを生じる、いわゆるビーディングが起きないこと、(4)記録用紙に付着したインク滴が拡散し、インクドットの径が過度に大きくならないこと、(5)インクドットの画像濃度が高く、文字及び画像の周辺にボケが生じないこと、(6)インクの色剤成分の発色性に優れたものであること、(7)色再現性が良好であり、高精細な画像が得られること、(8)耐水性に優れていること、等の特性が要求される。
また、モノクロ記録やビジネスカラー記録の分野では、異なる記録方式による記録装置が各種存在し、各記録方式に対応する専用紙を用いるよりは、オフィス等において入手性が高く、低価格で、各種の記録方式に対する汎用性のある記録用紙が求められている。
【0003】
以上のような観点から、インクジェット記録用紙を見てみると、これらの特性を紙基質の表面に与えるために、種々の無機固体物質を、必要により結着剤と共に紙表面に塗布し或いは内填することが提案されており、例えば合成シリカ及び/又はその塩を用いること(特開昭57−157786号公報)や、その他の各種填剤を用いることが知られているが、これらの内でも合成非晶質シリカが広く使用されており、既に多くの提案がなされている。
【0004】
例えば、特開昭61−141584号公報には、平均粒子径が2.5乃至3.5μmで特定の粒度分布を有し、且つ60乃至130Åの範囲内の細孔を全細孔の20%以上の割合で有する無定形シリカをインクジェット記録用紙用填剤として用いることが記載されている。また、特開平5−64953号公報には、BET比表面積が200m2/g以上であり、コールターカウンター法で測定した平均粒径が3.5〜15μm、吸油量が180ml/100g以上で且つ酸強度関数が+4.8迄の酸量が0.1ミリモル/g以下であるアルカリ添加非晶質シリカよりなるインクジェット記録用紙用填剤が開示されている。このようなコート紙タイプのインクジェット記録用記録用紙ではインクジェット記録においては高精細で鮮明な画像の形成が可能であるが、オフィスにおける文書として利用しようとする場合、例えば、(1)普通紙(PPC用紙、一般上質紙等)のような風合いや取扱性に欠ける、(2)鉛筆での加筆における筆記性が悪い、(3)コート層の構成材料の脱落による紙粉(粉落ち)が発生し易く、記録装置内で紙粉の発生が顕著である場合には、搬送ローラーへの紙粉の付着による摩擦力の低下が原因となる搬送不良を招き易い、(4)他の記録方式への汎用性が低い、(5)普通紙に比べてコスト高になり易い、等の問題が生じる。
【0005】
一方、現在オフィスに最も普及している普通紙タイプの記録用紙は、例えば特開昭51−13244号公報、特開昭59−162561号公報、特開昭59−191068号公報等に開示されている電子写真方式による複写機等のトナー転写用紙(PPC用紙)であるが、このPPC用紙の中で十分なインクジェット記録適性を有するものは未だ見当たらない。
【0006】
例えば、現在普及しているPPC用紙をインクジェット記録に用いた場合には以下のような不都合が生じる場合が多い。
(1)水性のインクの吸収性に乏しく、多量のインクが付与されると、インクの乾燥、定着が遅い(インクが未定着、未乾燥の状態で記録面に物が触れると、形成された画像を損なう場合がある)。
(2)水性のインクが紙層内に吸収される際に、紙を構成する繊維に沿ってにじみが生じるため、インクドットが過大になりすぎたり、インクドットの外周形状がギザギザ等の不規則形状となったり、ボケたりする、いわゆるフェザリングが発生し、鮮明な文字、記録画像が得られない。
(3)インクに用いた染料等の色剤がインク溶媒とともに紙の内部に浸透してしまうために色剤の発色性が不十分となる。
(4)カラー画像記録において、異色のインクドットが隣合って印字された場合、これらのインクドット間でのインクの流れ出しによる所望としない混色、いわゆるブリーディングが起き、画像の鮮明性や呈色性等が損なわれ、満足な画像が得られない場合が多い。例えば、異色のベタ印字部間の境界部分においてブリーディングが発生すると、境界の鮮明性が損なわれたり、色がにじんだり、不均一な混色が見られるようになる。
(5)水性インクに用いた染料等の水溶性の色剤を固定するための特別な構成を有するものではないので、記録画像の耐水性が不十分である。
【0007】
普通紙を用いた場合の上記問題点に対して、例えば特開平9−95044では、表面のパルプ繊維に、粒径が5〜200nmの範囲にある微粒子を、微粒子を結着させるためのバインダー成分に混合し、繊維形状を維持した状態で塗布した記録紙を用いることにより、普通紙としての風合いや取扱性を有し、インクジェット専用のコート紙の水性インクに対する優れた記録特性が得られている。この方法では、印字濃度、定着性などに効果があり、インクの吸収性やフェザリング及びブリーディングについてもある程度は改善されているものの未だ十分でない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般にオフィス文書で用いられるインクジェット記録用紙においては、普通紙の風合いを有して、かつインクの吸収性、定着性などをコート紙並に十分に満足したものが強く望まれている。本発明者らは、上記のような技術に基づいて、普通紙上に非晶質シリカの塗工層を形成して記録用紙を作製したところ、塗工層の非晶質シリカの量が3g/m2を越えると、普通紙としての風合いが損なわれ、また、塗工層の非晶質シリカの量が3g/m2以下では、フェザリング等のインクジェット適性が十分には改善されないことが判明した。
また、インクジェット記録用紙の製造に際しては、上記非晶質シリカをバインダー溶液に分散させて紙に塗布する必要があるので塗工作業性が良好であることが工業的には重要となる。更に記録画像の保存という見地からは記録画像の耐光性や耐水性も重要な要件となってくる。
【0009】
従って、本発明の目的は、普通紙の風合いを有し、インクの吸収性、滲み防止性に優れ、画像濃度が高く鮮明で、かつ耐水性に優れた記録画像を形成することが可能なインクジェット記録用紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下の(1)〜(3)によって解決される。
(1)基紙と、その上に塗工された、比表面積(BET法)が120g/m2以上の非晶質シリカを含み、バインダーとしてカチオン性高分子のみを含む塗工層を有し、塗工前後の透気度の差が100秒以下であると共に、該基紙上における該非晶質シリカの量が1〜3g/m2であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
(2)前記塗工層中の非晶質シリカとカチオン性高分子の割合が、1:1〜10:1であることを特徴とする上記(1)記載のインクジェット記録用紙。
(3)前記非晶質シリカが、4塩化ケイ素の高温加水分解により生成されたものであることを特徴とする上記(1)〜(2)のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
【0011】
以下、本発明の構成要件について詳細に説明する。
本発明で用いる非晶質シリカは、比表面積(BET法)120m2/g以上のものでなければならない。比表面積が120m2/g未満であると、インクの吸収性が不十分で、乾燥、定着性が劣ったり、画像滲みが発生するため好ましくない。比表面積の上限値は400m2/gであり、それを越えると分散性が悪くなって塗工むらが生じやすい。しかし、この問題さえ解決できれば特に上限はない。
【0012】
また、4塩化ケイ素を高温加水分解して得られるいわゆるフュームド法により製造された非晶質シリカは、純度が高く粒子径が小さい上、それら1次粒子がチェーン状に連結した構造を形成しているものが多く、塗工層のインク吸収性の高いものが得られるので好ましい。このような非晶質シリカは、日本アエロジル社、デグサ社、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社等の製品として入手できる。
【0013】
塗工前後の透気度の差は100秒以下である必要があり、100秒を超えると、インクの吸収性が悪くなるため、ブリーディングが発生しやすくなる。
透気度は、J.TAPPI No.5 Bに準じて、王研式透気度試験機を用い、塗工後の記録用紙の値から塗工前の基紙の値を差し引くことによって求めることができる。
【0014】
塗工層中の非晶質シリカの量は1〜3g/m2とする。3g/m2を超えると普通紙としての風合いが損なわれるので好ましくない。1g/m2未満では、インクの吸収性が不十分で、乾燥、定着性が劣ったり、画像滲みが発生する。すなわち塗工の効果が得られない。
【0015】
また、カチオン性高分子は非晶質シリカのバインダーとして配合するもので、シリカ粒子の表面に存在するシラノール基やシロキサン基との相互作用により非晶質シリカ粒子のゆるい凝集体を形成する作用も有する。
本発明で用いられるカチオン性高分子としては、ポリビニルピリジニウムハライド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリエチレンイミン4級アンモニウム塩、4級アンモニウム基を共重合モノマーとして含むアクリル、メタクリル酸エステル共重合体等の第4級アンモニウム塩類及びポリアミン類が挙げられ、特に第4級アンモニウム塩類、ポリアミン類が好ましい。また、市販品としては、サンスタットE−818、サンスタット1200、サンフィックス70、セロポールYM−500(以上三洋化成)、パルセット(明成化学)、ジェットフィックス(里田化工)、Sumirez Resin 1001、Sumirez Resin FR−2P(住友化学)、ネオフィックス(日華化学)、などが挙げられる。
【0016】
塗工層中の非晶質シリカとカチオン性高分子の割合は、1:1〜10:1とする。カチオン性高分子の量がこの割合より少ない場合には、シリカの凝集が不十分となり、塗工層に十分な空隙ができず、インクの吸収性が劣る場合がある。また、画像の濃度が不十分であったり、堅牢性が十分に確保できない。カチオン性高分子の量がこの割合より多い場合には、塗工層の空隙が高分子で埋まることによって、塗工層に十分な空隙ができず、インクの吸収性が劣るので好ましくない。
【0017】
本発明の記録用紙を製造するには、まず非晶質シリカを水性媒体中に分散させる。その際、比表面積が大きいものほど分散液の粘度が上昇する傾向がある。
次いで、前記シリカ分散液とカチオン性高分子を混合する。この混合液をそのまま基紙(紙等の基体)への塗工液として用いると、シリカの濃度むらが発生して好ましくないので、高速剪断攪拌などによって非晶質シリカとカチオン性高分子との相互作用によって形成される凝集体の大きさが体積平均粒子径3〜30μmとなるように調整して用いる。体積平均粒子径は、例えばコールターカウンター法(米国コールタールエレクトロニクス社製のコールターカウンターTA−II型)によって測定し、得られた累積粒度曲線の体積分布50%点に相当する粒子径として求めることができる。
【0018】
体積平均粒子径が3μmよりも小さい場合には、記録用紙としたとき塗工層に十分な空隙ができず、インクの吸収性が劣る。また、平均粒子径が30μmよりも大きい場合には、塗布むらが生じたり、塗工層表面の平滑性が低下して好ましくない。さらに平均粒子径を上記の範囲にすることによって、カチオン性高分子を添加する前のシリカ分散液よりも粘度が低下し、塗工の作業性が著しく向上する。また、基紙に塗布した際、必要以上に紙繊維内部に浸透することが抑制され、比較的少ない塗工量でインクの吸収層を形成することが可能となり、普通紙としての風合いとインクジェット適性の両立を満足させることができる。
なお、必要に応じて、塗工液に界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤等を添加しても良い。
【0019】
次に、上記粒子径の制御されたシリカとカチオン性高分子の混合物からなる填剤を5〜40重量%含む水性スラリーを作り、最終的に非晶質シリカの量が1〜3g/m2となるような塗工量で塗布したのち乾燥して目的とするインクジェット用記録用紙を得る。
【0020】
基紙としては、一般上質紙に関する公知の技術範囲内で作成されたものであれば何でも良いが、塗工液の塗工によって得られるインクジェット記録用紙の坪量が50g/m2〜250g/m2になる様なものでなければならない。得られるインクジェット記録用紙の坪量が50g/m2未満であると、記録時の給紙搬送性が安定しなかったり、記録後、インクジェット記録用紙に皺や波打ちを生じるという問題がある。又、250g/m2を越える場合には、記録装置にインクジェット記録用紙を適用した際、記録用紙の搬送性が著しく悪化する可能性がある。更には、記録装置設計上の制約が増大し、操作性の悪い記録装置となってしまう可能性もある。
【0021】
上記塗工層の塗工方法としては、従来公知の塗工方法、例えば、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、サイズプレス法、シムサイダー法等を挙げることができる。また、他の基材上に一度塗布したものを原紙に転写する方法、スプレー等によって噴霧する方法等も利用できる。
塗工後の乾燥処理は、例えば、熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて行うことができる。更に、表面を平滑化するために、あるいは表面の強度を上げるためにスーパーカレンダー処理を施しても良い。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例における「部」は重量部であり、インクジェット記録画像の評価は次の方法によって行った。
また、評価結果を表1にまとめて示した。
【0023】
<印字評価>
リコー製インクジェットプリンタIPSiO Jet300を用いて画像出しを行い、インクジェット適性として以下の項目を評価した。
・画像濃度
100%黒べた部を、反射型カラー分光測色濃度計X−Rite938(X−Rite社製)を用いて測定した。
・乾燥性
印字直後の記録用紙の上記黒べた部をガーゼで軽く擦った。画像がほぼ乾燥していて、黒べた周辺を汚さなかったものを○、未だインクが浸透せず、黒べた周辺部を著しく汚したものを×とした。
【0024】
・擦過性
印字後3時間以上経過してから、画像底面が平らで10g/cm2の加重のかかるおもりをガーゼで包んで、前記黒べた画像部を5往復させ、画像周辺部の汚れを目視判定した。全く汚れが無かったものを○、べた部のインクによって周辺の白地部を汚したものを×とした。
・文字品位
10ポイントの黒「轟」文字を目視で観察し、エッジが鮮明でシャープな文字が形成されているものを○、エッジがざらついて不鮮明であったり文字がつぶれているものを×とした。
【0025】
・耐水性
黒べた画像の印字部を30℃の純水に1分間浸漬した後引き上げ、自然乾燥させた。乾燥後の黒べた部の画像濃度D1及び浸漬前の黒べた部の画像濃度D0の比D1/D0を求めた。この比が大きいほど耐水性が良好であるが、数値上あまり大きな差がでない場合(比較例1)は、黒べた周辺部の地肌汚れ具合も併せて記した。黒べた周辺部の地肌汚れがほとんどないものを○、わずかに見られるものを△、はっきり見られるものを×とした。
【0026】
・ブリーディング
イエロー、マゼンタ、シアン各インクの色の混色であるレッド、ブルー、グリーンのべたが隣接する部分の境界部を目視で評価し、インクの混合による境界にじみが発生せず、またはあっても実用上問題ない程度に境界が鮮明なものを○、インクが混合して境界がざらついているものを△、境界がさらに不明確になって実用上問題のあるものを×とした。
【0027】
実施例1
次の材料を混合した後、TKホモミキサーにて5000rpmで10分間攪拌し塗工液を得た。
この塗工液中の非晶質シリカ凝集体の平均粒子径は13μmであった。平均粒子径は、コールターカウンター法(米国コールタールエレクトロニクス社製のコールターカウンターTA−II型、100μmアパーチャー)によって得られた累積粒度曲線の体積分布50%点に相当する値として求めた。原紙としてマイペーパー(株式会社NBSリコー製、透気度17秒)を用い、上記塗工液をバーコーター法により塗工、乾燥させて記録用紙を作製した。塗工量は3g/m2(シリカ量)であった。塗工後の透気度は35秒であり、塗工前後の透気度の差は18秒であった。
【0028】
実施例2
次の材料を混合した後、TKホモミキサーにて5000rpmで10分間攪拌し塗工液を得た。
コールターカウンター法(米国コールタールエレクトロニクス社製のコールターカウンターTA−II型、100μmアパーチャー)によって得られた累積粒度曲線の体積分布50%点に相当する平均粒子径は、18μmであった。原紙としてマイペーパー(株式会社NBSリコー製、透気度17秒)を用い、前記塗工液をバーコーター法により塗工、乾燥させて記録用紙を作製した。塗工量は1g/m2(シリカ量)であった。塗工後の透気度は30秒であり、塗工前後の透気度の差は13秒であった。
【0029】
実施例3
次の材料を混合した後、TKホモミキサーにて5000rpmで10分間攪拌し塗工液を得た。
コールターカウンター法(米国コールタールエレクトロニクス社製のコールターカウンターTA−II型、100μmアパーチャー)によって得られた累積粒度曲線の体積分布50%点に相当する平均粒子径は、28μmであった。原紙としてマイペーパー(株式会社NBSリコー製、透気度17秒)を用い、前記塗工液をバーコーター法により塗工、乾燥させて記録用紙を作製した。塗工量は3g/m2(シリカ量)であった。塗工後の透気度は110秒であり、塗工前後の透気度の差は93秒であった。
【0030】
比較例1
実施例1の塗工液処方を混合し、撹拌棒でよく撹拌し、塗工液とした。コールターカウンター法で同様に粒子径を測定しようとしたが、アパーチャーに詰まって測定不能であった。光学顕微鏡により、シリカの粒子を観察してみると、実施例1のものと比べて明らかに粗大なものが混在しており、写真撮影により粒子径を求めたところ、40μmであった。このものを塗工液とし、実施例1と同様にして塗工量3g/m2(シリカ量)の記録用紙を作製した。
【0031】
比較例2
カチオン性樹脂を配合せず、シリカ単独の水分散液を用いた点を除き、実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0032】
比較例3
シリカとして、Aerosil380の代わりにホワイトカーボン・カープレックス#100〔シオノギ製薬(株)製、BET100m2/g〕を用いた点を除き、実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0034】
比較例4
次の材料を混合した後、TKホモミキサーにて5000rpmで10分間攪拌し塗工液を得た。
・Aerosil200(日本アエロジル社製BET200m2/g)15部
・カチオン性樹脂 Sumirez Resin 1001(住友化学製)
50部
(内、固形分は30%)
・水 35部
コールターカウンター法(米国コールタールエレクトロニクス社製のコールターカウンターTA−II型、100μmアパーチャー)によって得られた累積粒度曲線の体積分布50%点に相当する平均粒子径は、30μmであった。実施例と同様に塗工、乾燥させて記録用紙を作製した。塗工量は3g/m2(シリカ量)であった。塗工後の透気度は130秒であり、塗工前後の透気度の差は113秒であった。
【0035】
比較例5
実施例1において、塗工量を4g/m2(シリカ量)とした以外は同様にして記録用紙を作成した。塗工後の紙表面は少し光沢があり、普通紙の風合いとはやや異なっていた。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、比表面積120m2/g以上の非晶質シリカとバインダーとしてカチオン性高分子のみを含む塗工液を基紙に塗布することによって、塗工前後の透気度の差が100秒以下のポーラスな塗工層が形成され、インクの吸収性、滲み防止性に優れ、画像濃度が高く鮮明で、かつ、耐水性に優れた記録画像を形成することが可能なインクジェット記録用紙を得ることができ、該塗工層が1〜3g/m2であることによって、普通紙としての風合いを保ち、オフィスにおける一般文書として違和感のないインクジェット記録用紙を提供できる。また、非晶質シリカとして、4塩化ケイ素の高温加水分解により生成されたものを用いることによって、塗工層のインク吸着能力及び空隙率が高く、インクの吸収性が特に優れたものとなる。さらに本発明では、比表面積(BET法)120m2/g以上の非晶質シリカとカチオン性高分子との相互作用による体積平均粒子径3〜30μmの大きさの凝集体が分散されている塗工液を塗布することによって、塗工液の記録用紙内部への浸透が抑制され、塗工層を紙表面に偏在させることが可能となり、少量の塗工量で上記諸特性を有するインクジェット記録用紙を得ることができる。
Claims (3)
- 基紙と、その上に塗工された、比表面積(BET法)が120g/m2以上の非晶質シリカを含み、バインダーとしてカチオン性高分子のみを含む塗工層を有し、塗工前後の透気度の差が100秒以下であると共に、該基紙上における該非晶質シリカの量が1〜3g/m2であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記塗工層中の非晶質シリカとカチオン性高分子の割合が、1:1〜10:1であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
- 前記非晶質シリカが、4塩化ケイ素の高温加水分解により生成されたものであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
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