JP2002046343A - インクジェット記録用紙及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用紙及びその製造方法

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JP2002046343A JP2000233516A JP2000233516A JP2002046343A JP 2002046343 A JP2002046343 A JP 2002046343A JP 2000233516 A JP2000233516 A JP 2000233516A JP 2000233516 A JP2000233516 A JP 2000233516A JP 2002046343 A JP2002046343 A JP 2002046343A
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Akiko Konishi
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Kiyofumi Nagai
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Nobutaka Osada
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Tomoko Sekine
朋子 関根
Tetsuya Kaneko
哲也 金子
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明彦 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙の風合いを有し、インクの吸収性、滲
み防止性に優れ、画像濃度が高く鮮明で、かつ耐水性に
優れた記録画像を形成することが可能なインクジェット
記録用紙及び粘性が低いため高濃度での塗布が可能な塗
工液を用いることにより塗工作業性を向上させると共
に、塗工量が少なくて済むため乾燥エネルギーコストの
低減が図れるインクジェット記録用紙の製造方法の提
供。 【解決手段】 少なくとも比表面積(BET法)が12
0m/g以上の非晶質シリカ、及びカチオン性高分子
を含み、塗工前後の透気度の差が100秒以下であり、
非晶質シリカの量が1〜3g/mである塗工層を有す
ることを特徴とするインクジェット記録用紙及びその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、普通紙タイプのイ
ンクジェット記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、騒音が少なく、
高速記録が可能で、しかも多色化が容易である等の利点
があり、各種プリンター、ファクシミリ等への応用が行
われている。近年では更に、インクジェット記録の多方
面への応用に伴って、インクジェット記録用紙にもより
高度な特性が要求されつつある。例えば、(1)インク
の吸収に富み、インクの乾燥、定着が速やかであるこ
と、(2)インクドットが隣接した場合、隣接したイン
クドットが相互のインクドット中に流れ出し、不均一に
混ざりあう、いわゆるブリーディングを生じないこと、
(3)染料などの色剤が記録用紙上で凝集してビーズの
ような形状となり濃度ムラを生じる、いわゆるビーディ
ングが起きないこと、(4)記録用紙に付着したインク
滴が拡散し、インクドットの径が過度に大きくならない
こと、(5)インクドットの画像濃度が高く、文字及び
画像の周辺にボケが生じないこと、(6)インクの色剤
成分の発色性に優れたものであること、(7)色再現性
が良好であり、高精細な画像が得られること、(8)耐
水性に優れていること、等の特性が要求される。また、
モノクロ記録やビジネスカラー記録の分野では、異なる
記録方式による記録装置が各種存在し、各記録方式に対
応する専用紙を用いるよりは、オフィス等において入手
性が高く、低価格で、各種の記録方式に対する汎用性の
ある記録用紙が求められている。
【0003】以上のような観点から、インクジェット記
録用紙を見てみると、これらの特性を紙基質の表面に与
えるために、種々の無機固体物質を、必要により結着剤
と共に紙表面に塗布し或いは内填することが提案されて
おり、例えば合成シリカ及び/又はその塩を用いること
(特開昭57−157786号公報)や、その他の各種
填剤を用いることが知られているが、これらの内でも合
成非晶質シリカが広く使用されており、既に多くの提案
がなされている。
【0004】例えば、特開昭61−141584号公報
には、平均粒子径が2.5乃至3.5μmで特定の粒度
分布を有し、且つ60乃至130Åの範囲内の細孔を全
細孔の20%以上の割合で有する無定形シリカをインク
ジェット記録用紙用填剤として用いることが記載されて
いる。また、特開平5−64953号公報には、BET
比表面積が200m/g以上であり、コールターカウ
ンター法で測定した平均粒径が3.5〜15μm、吸油
量が180ml/100g以上で且つ酸強度関数が+
4.8迄の酸量が0.1ミリモル/g以下であるアルカ
リ添加非晶質シリカよりなるインクジェット記録用紙用
填剤が開示されている。このようなコート紙タイプのイ
ンクジェット記録用記録用紙ではインクジェット記録に
おいては高精細で鮮明な画像の形成が可能であるが、オ
フィスにおける文書として利用しようとする場合、例え
ば、(1)普通紙(PPC用紙、一般上質紙等)のよう
な風合いや取扱性に欠ける、(2)鉛筆での加筆におけ
る筆記性が悪い、(3)コート層の構成材料の脱落によ
る紙粉(粉落ち)が発生し易く、記録装置内で紙粉の発
生が顕著である場合には、搬送ローラーへの紙粉の付着
による摩擦力の低下が原因となる搬送不良を招き易い、
(4)他の記録方式への汎用性が低い、(5)普通紙に
比べてコスト高になり易い、等の問題が生じる。
【0005】一方、現在オフィスに最も普及している普
通紙タイプの記録用紙は、例えば特開昭51−1324
4号公報、特開昭59−162561号公報、特開昭5
9−191068号公報等に開示されている電子写真方
式による複写機等のトナー転写用紙(PPC用紙)であ
るが、このPPC用紙の中で十分なインクジェット記録
適性を有するものは未だ見当たらない。
【0006】例えば、現在普及しているPPC用紙をイ
ンクジェット記録に用いた場合には以下のような不都合
が生じる場合が多い。 (1)水性のインクの吸収性に乏しく、多量のインクが
付与されると、インクの乾燥、定着が遅い(インクが未
定着、未乾燥の状態で記録面に物が触れると、形成され
た画像を損なう場合がある)。 (2)水性のインクが紙層内に吸収される際に、紙を構
成する繊維に沿ってにじみが生じるため、インクドット
が過大になりすぎたり、インクドットの外周形状がギザ
ギザ等の不規則形状となったり、ボケたりする、いわゆ
るフェザリングが発生し、鮮明な文字、記録画像が得ら
れない。 (3)インクに用いた染料等の色剤がインク溶媒ととも
に紙の内部に浸透してしまうために色剤の発色性が不十
分となる。 (4)カラー画像記録において、異色のインクドットが
隣合って印字された場合、これらのインクドット間での
インクの流れ出しによる所望としない混色、いわゆるブ
リーディングが起き、画像の鮮明性や呈色性等が損なわ
れ、満足な画像が得られない場合が多い。例えば、異色
のベタ印字部間の境界部分においてブリーディングが発
生すると、境界の鮮明性が損なわれたり、色がにじんだ
り、不均一な混色が見られるようになる。 (5)水性インクに用いた染料等の水溶性の色剤を固定
するための特別な構成を有するものではないので、記録
画像の耐水性が不十分である。
【0007】普通紙を用いた場合の上記問題点に対し
て、例えば特開平9−95044では、表面のパルプ繊
維に、粒径が5〜200nmの範囲にある微粒子を、微
粒子を結着させるためのバインダー成分に混合し、繊維
形状を維持した状態で塗布した記録紙を用いることによ
り、普通紙としての風合いや取扱性を有し、インクジェ
ット専用のコート紙の水性インクに対する優れた記録特
性が得られている。この方法では、印字濃度、定着性な
どに効果があり、インクの吸収性やフェザリング及びブ
リーディングについてもある程度は改善されているもの
の未だ十分でない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般にオフィス文書で
用いられるインクジェット記録用紙においては、普通紙
の風合いを有して、かつインクの吸収性、定着性などを
コート紙並に十分に満足したものが強く望まれている。
本発明者らは、上記のような技術に基づいて、普通紙上
に非晶質シリカの塗工層を形成して記録用紙を作製した
ところ、塗工層の非晶質シリカの量が3g/mを越え
ると、普通紙としての風合いが損なわれ、また、塗工層
の非晶質シリカの量が3g/m以下では、フェザリン
グ等のインクジェット適性が十分には改善されないこと
が判明した。また、インクジェット記録用紙の製造に際
しては、上記非晶質シリカをバインダー溶液に分散させ
て紙に塗布する必要があるので塗工作業性が良好である
ことが工業的には重要となる。更に記録画像の保存とい
う見地からは記録画像の耐光性や耐水性も重要な要件と
なってくる。
【0009】従って、本発明の目的は、普通紙の風合い
を有し、インクの吸収性、滲み防止性に優れ、画像濃度
が高く鮮明で、かつ耐水性に優れた記録画像を形成する
ことが可能なインクジェット記録用紙を提供することに
ある。本発明の他の目的は、粘性が低いため高濃度での
塗布が可能な塗工液を用いることにより塗工作業性を向
上させると共に、塗工量が少なくて済むため乾燥エネル
ギーコストの低減が図れるインクジェット記録用紙の製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以
下の(1)〜(5)によって解決される。 (1)少なくとも比表面積(BET法)が120m
g以上の非晶質シリカ、及びカチオン性高分子を含み、
塗工前後の透気度の差が100秒以下であり、非晶質シ
リカの量が1〜3g/mである塗工層を有することを
特徴とするインクジェット記録用紙。 (2)前記塗工層中の非晶質シリカとカチオン性高分子
の割合が、1:1〜10:1であることを特徴とする上
記(1)記載のインクジェット記録用紙。 (3)前記非晶質シリカが、4塩化ケイ素の高温加水分
解により生成されたものであることを特徴とする上記
(1)〜(2)のいずれかに記載のインクジェット記録
用紙。 (4)少なくとも非晶質シリカ、及びカチオン性高分子
を含む塗工層を有するインクジェット記録用紙におい
て、比表面積(BET法)120m/g以上の非晶質
シリカとカチオン性高分子との相互作用による体積平均
粒子径3〜30μmの大きさの凝集体が分散されてお
り、塗工前後の透気度の差が100秒以下である塗工液
を基紙に塗布することを特徴とするインクジェット記録
用紙の製造方法。 (5)非晶質シリカとカチオン性高分子を水性媒体中で
混合した後、剪断力を加えて攪拌し、体積平均粒子径3
〜30μmの大きさに調整することを特徴とする上記
(4)記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0011】以下、本発明の構成要件について詳細に説
明する。本発明で用いる非晶質シリカは、比表面積(B
ET法)120m/g以上のものでなければならな
い。比表面積が120m/g未満であると、インクの
吸収性が不十分で、乾燥、定着性が劣ったり、画像滲み
が発生するため好ましくない。比表面積の上限値は40
0m/gであり、それを越えると分散性が悪くなって
塗工むらが生じやすい。しかし、この問題さえ解決でき
れば特に上限はない。
【0012】また、4塩化ケイ素を高温加水分解して得
られるいわゆるフュームド法により製造された非晶質シ
リカは、純度が高く粒子径が小さい上、それら1次粒子
がチェーン状に連結した構造を形成しているものが多
く、塗工層のインク吸収性の高いものが得られるので好
ましい。このような非晶質シリカは、日本アエロジル
社、デグサ社、キャボット・スペシャルティ・ケミカル
ズ・インク社等の製品として入手できる。
【0013】塗工前後の透気度の差は100秒以下であ
る必要があり、100秒を超えると、インクの吸収性が
悪くなるため、ブリーディングが発生しやすくなる。透
気度は、J.TAPPI No.5 Bに準じて、王研
式透気度試験機を用い、塗工後の記録用紙の値から塗工
前の基紙の値を差し引くことによって求めることができ
る。
【0014】塗工層中の非晶質シリカの量は1〜3g/
とする。3g/mを超えると普通紙としての風合
いが損なわれるので好ましくない。1g/m未満で
は、インクの吸収性が不十分で、乾燥、定着性が劣った
り、画像滲みが発生する。すなわち塗工の効果が得られ
ない。
【0015】また、カチオン性高分子は非晶質シリカの
バインダーとして配合するもので、シリカ粒子の表面に
存在するシラノール基やシロキサン基との相互作用によ
り非晶質シリカ粒子のゆるい凝集体を形成する作用も有
する。本発明で用いられるカチオン性高分子としては、
ポリビニルピリジニウムハライド、ポリビニルベンジル
トリメチルアンモニウムハライド、ポリアリルアミン、
ポリエチレンイミン、ジシアンジアミドホルマリン重縮
合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合
物、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリ
エチレンイミン4級アンモニウム塩、4級アンモニウム
基を共重合モノマーとして含むアクリル、メタクリル酸
エステル共重合体等の第4級アンモニウム塩類及びポリ
アミン類が挙げられ、特に第4級アンモニウム塩類、ポ
リアミン類が好ましい。また、市販品としては、サンス
タットE−818、サンスタット1200、サンフィッ
クス70、セロポールYM−500(以上三洋化成)、
パルセット(明成化学)、ジェットフィックス(里田化
工)、Sumirez Resin 1001、Sum
irez Resin FR−2P(住友化学)、ネオ
フィックス(日華化学)、などが挙げられる。
【0016】塗工層中の非晶質シリカとカチオン性高分
子の割合は、1:1〜10:1とする。カチオン性高分
子の量がこの割合より少ない場合には、シリカの凝集が
不十分となり、塗工層に十分な空隙ができず、インクの
吸収性が劣る場合がある。また、画像の濃度が不十分で
あったり、堅牢性が十分に確保できない。カチオン性高
分子の量がこの割合より多い場合には、塗工層の空隙が
高分子で埋まることによって、塗工層に十分な空隙がで
きず、インクの吸収性が劣るので好ましくない。
【0017】本発明の記録用紙を製造するには、まず非
晶質シリカを水性媒体中に分散させる。その際、比表面
積が大きいものほど分散液の粘度が上昇する傾向があ
る。次いで、前記シリカ分散液とカチオン性高分子を混
合する。この混合液をそのまま基紙(紙等の基体)への
塗工液として用いると、シリカの濃度むらが発生して好
ましくないので、高速剪断攪拌などによって非晶質シリ
カとカチオン性高分子との相互作用によって形成される
凝集体の大きさが体積平均粒子径3〜30μmとなるよ
うに調整して用いる。体積平均粒子径は、例えばコール
ターカウンター法(米国コールタールエレクトロニクス
社製のコールターカウンターTA−II型)によって測定
し、得られた累積粒度曲線の体積分布50%点に相当す
る粒子径として求めることができる。
【0018】体積平均粒子径が3μmよりも小さい場合
には、記録用紙としたとき塗工層に十分な空隙ができ
ず、インクの吸収性が劣る。また、平均粒子径が30μ
mよりも大きい場合には、塗布むらが生じたり、塗工層
表面の平滑性が低下して好ましくない。さらに平均粒子
径を上記の範囲にすることによって、カチオン性高分子
を添加する前のシリカ分散液よりも粘度が低下し、塗工
の作業性が著しく向上する。また、基紙に塗布した際、
必要以上に紙繊維内部に浸透することが抑制され、比較
的少ない塗工量でインクの吸収層を形成することが可能
となり、普通紙としての風合いとインクジェット適性の
両立を満足させることができる。なお、必要に応じて、
塗工液に界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤等を添加して
も良い。
【0019】次に、上記粒子径の制御されたシリカとカ
チオン性高分子の混合物からなる填剤を5〜40重量%
含む水性スラリーを作り、最終的に非晶質シリカの量が
1〜3g/mとなるような塗工量で塗布したのち乾燥
して目的とするインクジェット用記録用紙を得る。
【0020】基紙としては、一般上質紙に関する公知の
技術範囲内で作成されたものであれば何でも良いが、塗
工液の塗工によって得られるインクジェット記録用紙の
坪量が50g/m〜250g/mになる様なもので
なければならない。得られるインクジェット記録用紙の
坪量が50g/m未満であると、記録時の給紙搬送性
が安定しなかったり、記録後、インクジェット記録用紙
に皺や波打ちを生じるという問題がある。又、250g
/mを越える場合には、記録装置にインクジェット記
録用紙を適用した際、記録用紙の搬送性が著しく悪化す
る可能性がある。更には、記録装置設計上の制約が増大
し、操作性の悪い記録装置となってしまう可能性もあ
る。
【0021】上記塗工層の塗工方法としては、従来公知
の塗工方法、例えば、ロールコーター法、ブレードコー
ター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター
法、サイズプレス法、シムサイダー法等を挙げることが
できる。また、他の基材上に一度塗布したものを原紙に
転写する方法、スプレー等によって噴霧する方法等も利
用できる。塗工後の乾燥処理は、例えば、熱風乾燥炉、
熱ドラム等を用いて行うことができる。更に、表面を平
滑化するために、あるいは表面の強度を上げるためにス
ーパーカレンダー処理を施しても良い。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。尚、実施例及び比較例における「部」は重量部であ
り、インクジェット記録画像の評価は次の方法によって
行った。また、評価結果を表1にまとめて示した。
【0023】<印字評価>リコー製インクジェットプリ
ンタIPSiO Jet300を用いて画像出しを行
い、インクジェット適性として以下の項目を評価した。 ・画像濃度 100%黒べた部を、反射型カラー分光測色濃度計X−
Rite938(X−Rite社製)を用いて測定し
た。 ・乾燥性 印字直後の記録用紙の上記黒べた部をガーゼで軽く擦っ
た。画像がほぼ乾燥していて、黒べた周辺を汚さなかっ
たものを○、未だインクが浸透せず、黒べた周辺部を著
しく汚したものを×とした。
【0024】・擦過性 印字後3時間以上経過してから、画像底面が平らで10
g/cmの加重のかかるおもりをガーゼで包んで、前
記黒べた画像部を5往復させ、画像周辺部の汚れを目視
判定した。全く汚れが無かったものを○、べた部のイン
クによって周辺の白地部を汚したものを×とした。 ・文字品位 10ポイントの黒「轟」文字を目視で観察し、エッジが
鮮明でシャープな文字が形成されているものを○、エッ
ジがざらついて不鮮明であったり文字がつぶれているも
のを×とした。
【0025】・耐水性 黒べた画像の印字部を30℃の純水に1分間浸漬した後
引き上げ、自然乾燥させた。乾燥後の黒べた部の画像濃
度D及び浸漬前の黒べた部の画像濃度Dの比D
を求めた。この比が大きいほど耐水性が良好である
が、数値上あまり大きな差がでない場合(比較例1)
は、黒べた周辺部の地肌汚れ具合も併せて記した。黒べ
た周辺部の地肌汚れがほとんどないものを○、わずかに
見られるものを△、はっきり見られるものを×とした。
【0026】・ブリーディング イエロー、マゼンタ、シアン各インクの色の混色である
レッド、ブルー、グリーンのべたが隣接する部分の境界
部を目視で評価し、インクの混合による境界にじみが発
生せず、またはあっても実用上問題ない程度に境界が鮮
明なものを○、インクが混合して境界がざらついている
ものを△、境界がさらに不明確になって実用上問題のあ
るものを×とした。
【0027】実施例1 次の材料を混合した後、TKホモミキサーにて5000
rpmで10分間攪拌し塗工液を得た。 ・Aerosil380(日本アエロジル社製BET380m/g)15部 ・カチオン性樹脂 ジェットフィックス110(里田化工製) 15部 (内、固形分は30%) ・水 70部 この塗工液中の非晶質シリカ凝集体の平均粒子径は13
μmであった。平均粒子径は、コールターカウンター法
(米国コールタールエレクトロニクス社製のコールター
カウンターTA−II型、100μmアパーチャー)によ
って得られた累積粒度曲線の体積分布50%点に相当す
る値として求めた。原紙としてマイペーパー(株式会社
NBSリコー製、透気度17秒)を用い、上記塗工液を
バーコーター法により塗工、乾燥させて記録用紙を作製
した。塗工量は3g/m(シリカ量)であった。塗工
後の透気度は35秒であり、塗工前後の透気度の差は1
8秒であった。
【0028】実施例2 次の材料を混合した後、TKホモミキサーにて5000
rpmで10分間攪拌し塗工液を得た。 ・Aerosil130(日本アエロジル社製BET130m/g) 15部 ・カチオン性樹脂 Sumirez Resin 1001(住友化学製) 15部 (内、固形分は30%) ・水 70部 コールターカウンター法(米国コールタールエレクトロ
ニクス社製のコールターカウンターTA−II型、100
μmアパーチャー)によって得られた累積粒度曲線の体
積分布50%点に相当する平均粒子径は、18μmであ
った。原紙としてマイペーパー(株式会社NBSリコー
製、透気度17秒)を用い、前記塗工液をバーコーター
法により塗工、乾燥させて記録用紙を作製した。塗工量
は1g/m(シリカ量)であった。塗工後の透気度は
30秒であり、塗工前後の透気度の差は13秒であっ
た。
【0029】実施例3 次の材料を混合した後、TKホモミキサーにて5000
rpmで10分間攪拌し塗工液を得た。 ・Aerosil200(日本アエロジル社製BET200m/g)15部 ・カチオン性樹脂 Sumirez Resin 1001(住友化学製) 40部 (内、固形分は30%) ・水 45部 コールターカウンター法(米国コールタールエレクトロ
ニクス社製のコールターカウンターTA−II型、100
μmアパーチャー)によって得られた累積粒度曲線の体
積分布50%点に相当する平均粒子径は、28μmであ
った。原紙としてマイペーパー(株式会社NBSリコー
製、透気度17秒)を用い、前記塗工液をバーコーター
法により塗工、乾燥させて記録用紙を作製した。塗工量
は3g/m(シリカ量)であった。塗工後の透気度は
110秒であり、塗工前後の透気度の差は93秒であっ
た。
【0030】比較例1 実施例1の塗工液処方を混合し、撹拌棒でよく撹拌し、
塗工液とした。コールターカウンター法で同様に粒子径
を測定しようとしたが、アパーチャーに詰まって測定不
能であった。光学顕微鏡により、シリカの粒子を観察し
てみると、実施例1のものと比べて明らかに粗大なもの
が混在しており、写真撮影により粒子径を求めたとこ
ろ、40μmであった。このものを塗工液とし、実施例
1と同様にして塗工量3g/m(シリカ量)の記録用
紙を作製した。
【0031】比較例2 カチオン性樹脂を配合せず、シリカ単独の水分散液を用
いた点を除き、実施例1と同様にして記録用紙を作製し
た。
【0032】比較例3 シリカとして、Aerosil380の代わりにホワイ
トカーボン・カープレックス#100〔シオノギ製薬
(株)製、BET100m/g〕を用いた点を除き、
実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0033】比較例4 次の材料を用い、実施例1と同様にして記録用紙を作製
した。 ・Aerosil380(日本アエロジル社製BET380m/g)10部 ・カチオン性樹脂 ジェットフィックス110(里田化工製) 50部 (内、固形分は30%) ・水 40部
【0034】比較例5 次の材料を混合した後、TKホモミキサーにて5000
rpmで10分間攪拌し塗工液を得た。 ・Aerosil200(日本アエロジル社製BET200m/g)15部 ・カチオン性樹脂 Sumirez Resin 1001(住友化学製) 50部 (内、固形分は30%) ・水 35部 コールターカウンター法(米国コールタールエレクトロ
ニクス社製のコールターカウンターTA−II型、100
μmアパーチャー)によって得られた累積粒度曲線の体
積分布50%点に相当する平均粒子径は、30μmであ
った。実施例と同様に塗工、乾燥させて記録用紙を作製
した。塗工量は3g/m(シリカ量)であった。塗工
後の透気度は130秒であり、塗工前後の透気度の差は
113秒であった。
【0035】比較例6 実施例1において、塗工量を4g/m(シリカ量)と
した以外は同様にして記録用紙を作成した。塗工後の紙
表面は少し光沢があり、普通紙の風合いとはやや異なっ
ていた。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、比表面積120m
g以上の非晶質シリカとカチオン性高分子を含み、両者
の混合割合が1:1〜10:1(固形分重量比)である
塗工液を基紙に塗布することによって、塗工前後の透気
度の差が100秒以下のポーラスな塗工層が形成され、
インクの吸収性、滲み防止性に優れ、画像濃度が高く鮮
明で、かつ、耐水性に優れた記録画像を形成することが
可能なインクジェット記録用紙を得ることができ、該塗
工層が1〜3g/mであることによって、普通紙とし
ての風合いを保ち、オフィスにおける一般文書として違
和感のないインクジェット記録用紙を提供できる。ま
た、非晶質シリカとして、4塩化ケイ素の高温加水分解
により生成されたものを用いることによって、塗工層の
インク吸着能力及び空隙率が高く、インクの吸収性が特
に優れたものとなる。さらに本発明では、比表面積(B
ET法)120m/g以上の非晶質シリカとカチオン
性高分子との相互作用による体積平均粒子径3〜30μ
mの大きさの凝集体が分散されている塗工液を塗布する
ことによって、塗工液の記録用紙内部への浸透が抑制さ
れ、塗工層を紙表面に偏在させることが可能となり、少
量の塗工量で上記諸特性を有するインクジェット記録用
紙を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 昭子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 永井 希世文 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 長田 延崇 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 関根 朋子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 金子 哲也 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 後藤 明彦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 村上 格二 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H086 BA02 BA21 BA33 BA34 BA41 BA45 BA48 4L055 AG18 AG56 AH02 AH37 AH50 AJ04 BE07 BE08 EA12 EA14 EA17 FA11 FA22 GA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも比表面積(BET法)が12
    0m/g以上の非晶質シリカ、及びカチオン性高分子
    を含み、塗工前後の透気度の差が100秒以下であり、
    非晶質シリカの量が1〜3g/mである塗工層を有す
    ることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 【請求項2】 前記塗工層中の非晶質シリカとカチオン
    性高分子の割合が、1:1〜10:1であることを特徴
    とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
  3. 【請求項3】 前記非晶質シリカが、4塩化ケイ素の高
    温加水分解により生成されたものであることを特徴とす
    る請求項1〜2のいずれかに記載のインクジェット記録
    用紙。
  4. 【請求項4】 少なくとも非晶質シリカ、及びカチオン
    性高分子を含む塗工層を有するインクジェット記録用紙
    において、比表面積(BET法)120m/g以上の
    非晶質シリカとカチオン性高分子との相互作用による体
    積平均粒子径3〜30μmの大きさの凝集体が分散され
    ており、塗工前後の透気度の差が100秒以下である塗
    工液を基紙に塗布することを特徴とするインクジェット
    記録用紙の製造方法。
  5. 【請求項5】 非晶質シリカとカチオン性高分子を水性
    媒体中で混合した後、剪断力を加えて攪拌し、体積平均
    粒子径3〜30μmの大きさに調整することを特徴とす
    る請求項4記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
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