JP3967345B2 - 誘導加熱装置及びそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、乾式電子写真機器における定着装置、湿式電子写真機器における乾燥装置、インクジェットプリンタにおける乾燥装置、リライタブルメディア用消去装置等で好適に用いられる誘導加熱装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
加熱装置、例えば乾式電子写真機器における定着装置、湿式電子写真機器における乾燥装置、リライタブルメディア用消去装置用の加熱装置において、アルミニウムなどの中空芯金を有する加熱ローラ内部にハロゲンランプを設け、ハロゲンランプによって加熱ローラを輻射加熱する構成のものが、従来から広く用いられている。このようなハロゲンランプを用いる方式は、間接加熱方式であるため、加熱開始時の立ち上がりが遅く、ウォームアップ時間が長くなるという問題がある。
そこで、加熱ローラに導電層を設け、その導電層に、磁界発生手段によって発生させた交番磁界を鎖交させることで渦電流を発生させ、この渦電流によるジュール熱で発熱層を直接発熱させるという誘導加熱装置が注目されている。この誘導加熱装置は、加熱体を直接加熱するので加熱効率に優れているが、ウォームアップ時間の短縮を図り、実用的な利便性を更に向上させるには、加熱ローラを低熱容量化する必要がある。
誘導加熱装置において加熱部材の低熱容量化を図る手段の1つとして、加熱ローラのベルト化があるが、この場合、ベルト蛇行を防止するための機構が必要になる等の新たな課題が生じる。これを解消する方法として、ローラ状の加熱体を低熱容量化する手段が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載の方法は、発熱層の厚さを表皮厚さより薄く設定することで低熱容量化を図る一方、機械強度が不足するので、発熱層を低熱伝導層と高熱伝導性円筒形剛体でバックアップする構造にすることで、機械強度との両立を図るというものである。
また、熱源にハロゲンランプを用いた従来ベルト方式においても、加熱時間を更に短縮するために、ベルト部分の加熱を行う誘導加熱手段を併設した加熱装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、別の目的ではあるが、加熱ローラの内部と外部に加熱源を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この特許文献3に記載の技術は、上記した2つの特許文献1、2に記載の技術とは目的が異なる。例えば、コピー画像によっては画像情報が存在しない部分があり、この部分を加熱するのはエネルギーの無駄な消費に繋がる。そのために、特許文献3の技術では、画像パターンに応じて、外部熱源の電力を調整するというもので、その外部加熱手段の1つとして誘導加熱方式が提案されている。
特開2002−49261号公報 特開2003―228249号公報 特開2001−343860号公報
ところで、上記した特許文献1に記載によれば、発熱層を表皮厚さ以下に設定して低熱容量化していること、及び、発熱層と円筒形剛体との間に低熱伝導性部材を配置して発熱層からの熱逃げを防止していることなどにより、発熱層の昇温時間を短縮し、ウォームアップ時間を短縮している。
しかし、低熱伝導層の断熱効果が高いため、加熱ローラの表面が所定温度に到達した時点つまりウォームアップ直後の時点では、低熱伝導性部材の温度が発熱層より低い状態にある。すなわち、低熱容量化された発熱層部だけが高温に蓄熱された状態になるため、この状態で連続コピーを行うと、未定着像に伝わる熱以外に、発熱層から低熱伝導性部材へも熱が逃げてしまうため、ローラ表面温度を維持できず、温度降下による定着不良が生じるという課題がある。
また、誘導加熱方式は、加熱コイルに近い発熱層ほど集中して発熱が多くなる局所加熱方式であるため、加熱ローラが静止した状態で加熱を行うと、加熱ローラの周方向に大きな温度ムラが生じる。例えば、図11は、静止状態で予熱を行い、その状態から復帰させたときのローラ表面温度の推移を説明した図であって、この図11から明らかなように、加熱コイルで予熱している部分に温度ピークがあるため、ローラ周方向に温度の高いところと低いところが発生することがわかる。この周方向の温度ムラは、外部加熱方式の場合に、特に大きくて30℃以上の温度ムラが生じてしまう。
これを解消する方法としては、加熱ローラを回転させながら長い時間をかけて温調して均一化を図るという方法しかなく、そのため、ファーストコピー時間の短縮が困難であるという課題がある。すなわち、回転状態で予熱すると周方向ムラは解消されるが、放熱量が増えるので予熱時の消費電力が増加して省エネにならないという別の課題が発生する。
特許文献2に記載の技術によれば、ベルトの加熱が、定着ニップ部から離れた位置に設置された加熱ローラ(内部にハロゲンランプを配置)からの接触熱伝導と加熱ローラと定着ローラとの間に設置された加熱コイルによる誘導加熱によって行われるので、ベルトの加熱機会が多くなり、短時間でベルトを昇温することができる。しかしながら、トナーを定着させるための定着ニップ部を形成する定着ローラ部に熱源がないため、定着ローラの温度が低い場合は、連続コピー時に定着ベルトの温度が低下し定着不良を生じるという課題がある。また、定着ニップ部と加熱源の位置が異なるので、ベルト周方向に温度ムラが生じるため、前記した特許文献1の技術と同様に、ファーストコピー時間の短縮が困難であるという課題がある。
一方、特許文献3に記載の技術は、未定着像中のトナー(画像)が存在する部分と存在しない部分とを、一様に加熱することが非効率的である点を考慮して考案された技術であって、具体的な特徴は、トナー(画像)の存在するエリアだけを外部加熱手段で選択的に加熱することにある。また、連続コピー条件時など、ローラ温度を維持するのが困難な条件においては、外部加熱手段の電力を調整することで、定着ニップ通過によって低下したローラ表面温度を所定温度に復帰させることが主たる特徴である。従って、この特許文献3の技術は、発熱層を保持する弾性保持層の蓄熱温度状態を制御するものではなく、前記した2つの文献に記載の技術と同様に、表面発熱層だけが温度の高い状態に陥りやすく、加熱ローラの表面温度が低下しやすいという課題がある。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたもので、加熱ローラの外周部に磁界発生手段を配置した外部加熱型の誘導加熱装置において、連続コピー時に発生する加熱ローラの表面温度の落ち込みを防止し、処理の一時中断や処理速度の低下をさせることなく連続コピー動作を安定して行うことが可能な誘導加熱装置を提供すること、及び、そのような特徴を有する誘導加熱装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の誘導加熱装置は、導電性発熱層を有する加熱ローラと、前記加熱ローラの外周側に配置された磁界発生手段とを備え、前記磁界発生手段で発生させた交番磁界を、前記加熱ローラの導電性発熱層に鎖交させることで前記導電性発熱層を発熱させ、前記加熱ローラの外周側で前記磁界発生手段が設けられていない開口部分で当該加熱ローラの熱を被加熱材に伝えるように構成された誘導加熱装置において、前記加熱ローラの導電性発熱層は、当該加熱ローラを支持する導電性芯材と、前記導電性芯材上に蓄熱作用を有する非導電性耐熱支持部材を介して設けられ前記磁界発生手段で発生させた交番磁界により発熱する表面発熱層とを有し、前記表面発熱層の厚さが、前記交番磁界の一部を透過させ、その透過した交番磁界を前記導電性芯材に鎖交させて当該導電性芯材を加熱しうるように薄く設定されていることによって特徴づけられる。
この発明の誘導加熱装置によれば、加熱ローラに、導電性芯材と表面発熱層の2つの発熱層を設けているので、その表面発熱層の厚さを表皮深さ(例えば、ニッケルの場合、60μm)以下にすると、磁界発生手段で発生した交番磁界の一部が、表面発熱層を通過してローラ中心側に存在する導電性芯材まで鎖交するようになる。これにより、加熱ローラの中心側の導電性芯材も加熱されるようになり、2つの発熱層を同時に加熱することができる。すなわち、非導電性耐熱支持部材は、表層発熱層とローラ中心側の発熱層(導電性芯材)の両側から伝熱加熱されるため短時間で昇温加熱され、これによって、非導電性耐熱支持部材と表面発熱層間の温度差が短時間で解消されるので、コピー動作中に、表面発熱層から非導電性耐熱支持部材への熱逃げがなくなる。従って、連続コピー動作を行っても、加熱ローラの表面温度が低下することがなく、安定して連続定着させることができるようになる。なお、表面発熱層は、複数の導電層を積層した積層構造であってもよい。
この発明の誘導加熱装置において、加熱ローラの表面発熱層を、可撓性を有する部材中に導電性部材が分散された複合材で形成してもよい。このように、表面発熱層を金属スリーブではなく、耐熱樹脂やゴム中に導電フィラーを分散させた複合材とすることで、トナーと接触する加熱ローラの表面部における可撓性と柔軟性が向上し、定着ニップ出口において剥離手段がなくても自己剥離するようになるので、画像欠損のない画像を安定して得ることができるようになる。
この発明の誘導加熱装置において、加熱ローラを、導電性芯材上に、非導電性耐熱支持部材、表面発熱層、弾性層及び表面離型層を形成した構造とするとともに、非導電性耐熱支持部材及び弾性層を、線膨張係数が所定の範囲内(具体的には20〜40×10-5/℃)にある部材で構成し、さらに、表面発熱層を、線膨張係数が上記所定の範囲内にある非導電性耐熱支持部材または弾性層の素材をベース部材(弾性部材)とし、そのベース部材中に導電性部材が分散された複合材で形成してもよい。このように、表面発熱層を構成するベース部材を、非導電性耐熱支持部材(または弾性層)とほぼ同じ線膨張係数の部材とすることで、加熱ローラのしわが発生することを防止でき、加熱冷却を繰り返しても加熱ローラの形状を維持することができる。
この発明の誘導加熱装置において、前記した非導電性耐熱支持部材、表面発熱層、弾性層及び表面離型層をこの順で導電性芯材上に順次形成すると、次のような効果を奏することができる。
例えば、導電性芯材(芯金)上に非導電性耐熱支持部材を形成したもの(弾性ローラ)と、発熱層の上に弾性層及び表面離型層を形成したもの(円筒状発熱部材)とを別部材として形成しておき、後加工で上記した弾性ローラの外周上に、円筒状発熱部材を挿入して加熱ローラを形成すると、加熱冷却を繰り返すうちにローラの「浮き」が発生する。これに対し、この発明のように、導電性芯材上に、非導電性耐熱支持部材、表面発熱層、弾性層及び表面離型層の各層を順次形成すると、各層が密着するので、加熱冷却を繰り返しても加熱ローラの形状を維持することができる。
この発明の誘導加熱装置において、上記した導電性芯材と表面離型層との間に形成する表面発熱層を、弾性層と発熱層とが交互に複数層ずつ形成された積層構造とすると、加熱ローラの剥離性が良くなる。すなわち、表面発熱層を1層で形成するよりも、1層あたりの発熱層を薄くして弾性層を間に介して発熱層を複数層設けることにより、発熱層に柔軟性を持たせることができので、加熱ローラの剥離性が良好になる。
この発明の誘導加熱装置において、被加熱材を加熱するに際して、加熱ローラを予め定められた温度に設定するときには第1の周波数の交番磁界で加熱ローラを加熱し、被加熱材の加熱処理を行うときには第2の周波数(第1の周波数よりも高い周波数)の交番磁界で加熱ローラを加熱する制御手段を設けておいてもよい。このような構成を採用すると、以下の効果を奏することができる。
まず、加熱ローラに導電性芯材と表面発熱層の2つの発熱層を設け、その表面発熱層の厚さを表皮の深さ以下に設定することで、ローラ中心側の導電性芯材も発熱するので、両発熱層の間に設置された非導電性耐熱支持部材に効率良く蓄熱できるが、動作モードによっては、非導電性耐熱支持部材に蓄熱させたい場合と、そうでない場合が存在する。
例えば、ウォームアップや予熱からの復帰時においては、加熱ローラの表面温度が所定温度に復帰しても、非導電性耐熱支持部材の温度が低い(蓄熱量が十分でない)と、コピー動作中に加熱ローラの表面温度が低下して定着不良を生じる場合がある。これを防止するためには、加熱ローラの中心側の発熱層(導電性芯材)を積極的に加熱させて非導電性耐熱支持部材に効率よく熱を伝え蓄熱させることが必要となる。一方、非導電性耐熱支持部材の温度が十分高い状態ならば、コピー動作中に加熱ローラの中心側の発熱層を積極的に発熱させる必要はなく、表面発熱層を集中して発熱させた方がトナーと紙に効率良く熱を伝えることができる。
そこで、本発明においては、動作モードに応じて駆動周波数を変更することで、導電性芯材と表面発熱層との発熱比率を制御する。例えば、駆動周波数を高く設定すれば、発熱層に鎖交する交番磁界の浸透深さ(表皮深さ)が小さくなるので、ローラ中心側の導電性芯材には、交番磁界が鎖交しなくなり、発熱量が低下する。逆に、ローラ中心側の導電性芯材を積極的に加熱したい場合は、駆動周波数を低下させる。そうすると、表皮深さが深くなるので、発熱量が増加する。
以上のように、動作モードに応じて誘導加熱条件を変更することで、表面発熱層とローラ中心側に存在する発熱層(導電性芯材)の発熱比率を変更できるので、非導電性耐熱支持部材への最適な蓄熱を行うことができるようになる。
この発明の誘導加熱装置において、前記加熱ローラの内部に補助熱源が設けられているとともに、前記被加熱材を加熱する際に上記加熱ローラを予め定められた温度に設定する条件と前記被加熱材の加熱処理を行う条件に基づいて、上記磁界発生手段及び前記補助熱源の出力を制御する加熱源制御手段を備えている
この発明の誘導加熱装置によれば、加熱ローラ内部に補助熱源を設けているので、導電性芯材の昇温と非導電性耐熱支持部材への伝熱をより短い時間で行うことができるようになる。これによって、より短い時間で非導電性耐熱支持部材への蓄熱が終了でき、短時間で連続コピー時の表面温度の落ち込みを効率良く防止することができる。
さらに、誘導加熱方式は、加熱コイルの近傍に位置した発熱層の発熱量が多いという局所加熱方式であるため、加熱ローラが静止している状態で予熱を行うとローラ周方向に温度ムラを生じる。この周方向温度ムラを解消するためには長時間の温調時間が必要で、ファーストコピー時間の短縮が困難であるという課題があるが、予熱時において加熱ローラ内部の補助熱源を使用することで周方向の温度ムラを防止することができ、ファーストコピー時間をより短縮して利便性を改善することができる。
この発明の誘導加熱装置において、加熱源制御手段が、被加熱材の加熱処理を行う際に、補助熱源の出力を磁界発生手段の出力よりも小さくするという制御を行うように構成してもよい。このような制御を行う理由を以下に説明する。
まず、画像形成装置等において、通紙中は、加熱ローラ表面の熱が紙に急速に奪われるのでローラ表面を急速に加熱する必要がある。これを実現するため、外部熱源から加熱を行うことにより、通紙中も温度落ち込みがなく安定した温度制御を行うことができる。
一方、加熱ローラの内部がローラ表面よりも温度が低い状態でコピー動作に入ると、外部熱源から加熱された熱が、加熱ローラの表面と内部の両方に伝熱し、ローラ表面に対して温度低下がおこるので、内部熱源である補助熱源にて加熱ローラ内部の温度を高くすることによりローラ表面の温度低下を防止する。しかし、内部熱源(補助熱源)による加熱が大きくなると、導電性芯材が温度上昇し、導電性芯材と非導電性耐熱支持部材との界面温度が上昇するので剥がれが生じる。これを防止するため、上記したように、被加熱材の加熱処理を行う際に、補助熱源の出力を磁界発生手段の出力よりも小さくするという電力制御を行う。
本発明において、以上の特徴を有する誘導加熱装置を定着装置として用いて画像形成装置を構成してもよい。この場合、加熱ローラの表面発熱層に加えて導電性芯材を用いて加熱を行うので、連続コピー時に発生する加熱ローラの表面温度の落ち込みを防止することができ、安定して連続コピー動作を行うことができるとともに、表面発熱層と導電性芯材の発熱比率を動作モードに応じて制御するので効率よく定着を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
本発明の誘導加熱装置によれば、導電性芯材と表面発熱層の2つの発熱層を加熱ローラに設けるとともに、表面発熱層を交番磁界の一部が透過する厚さで形成し、磁界発生手段で発生した交番磁界の一部が、表面発熱層を通過してローラ中心側に存在する導電性芯材まで鎖交するように構成しているので、加熱ローラの中心側の導電性芯材を加熱することができ、これにより連続コピー時に発生する加熱ローラの表面温度の落ち込みを防止することができ、処理の一時中断や処理速度の低下をさせることなく、連続コピー動作を安定して行うことができる。
本発明の誘導加熱装置によれば、加熱ローラ内部に補助熱源を設けているので、加熱ローラの導電性芯材の昇温と非導電性耐熱支持部材への伝熱をより短い時間で行うことができるようになる。これによって、より短い時間で非導電性耐熱支持部材への蓄熱が終了でき、短時間で連続コピー時の表面温度の落ち込みを効率良く防止することができる。
本発明の画像形成装置によれば、以上の特徴をもつ誘導加熱装置を備えているので、連続コピー時に発生する加熱ローラの表面温度の落ち込みを防止することができ、処理の一時中断や処理速度の低下をさせることなく連続コピー動作を安定して行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
−誘導加熱装置−
まず、本発明を適用する誘導加熱装置の一例を図1を参照しながら説明する。
この例の誘導加熱装置10は、導電性発熱層を有する加熱ローラ1と、その外部に配置した磁界発生手段2(加熱コイル2a)と、加熱ローラ1の温度を検知する温度検知素子(例えばサーミスター)5と、温度検知素子5の検知温度に基づいて磁界発生手段2を駆動する励磁回路4と、加熱ローラ1と当接し、記録紙(被加熱材)Pを挟持搬送するための加圧ローラ3等によって構成されている。加熱ローラ1は、温度検知素子5の検知温度が所定温度になるように加熱制御され、未定着トナーを有する記録紙Pが、加熱ローラ1と加圧ローラ3との接触部に形成される定着ニップ部Nを通過することで、熱と圧力により記録紙に溶融固定(定着)されるように構成される。
次に、誘導加熱装置10の各部を構成する構成要素について説明する。
まず、加熱ローラ1については下記の実施例で詳細に説明することとし、ここでは、誘導加熱用に使用できる加熱ローラの一般構造について説明する。
加熱ローラ1には、誘導加熱させるために導線性材料で構成された発熱層(導電性発熱層)が少なくとも1層以上存在する必要がある。導電性材料には、磁性を有するものが適しており、鉄やSUS430等のステンレス材などを使用できる。特に、比透磁率が高ければよく、珪素鋼板や電磁鋼板、ニッケル鋼等であってもよい。また、非磁性体であっても、SUS304等のステンレス材などの抵抗値の高い材料であれば誘導加熱できるので、これを使用してもよい。さらに、非磁性のベース部材(例えばセラミックや樹脂)であっても、比透磁率の高い前記材料が導電性を有するように配置されているような構成であれば使用可能である。また、導電性発熱層は、発熱量を増大させるために、複数の材料からなる複合材で構成してもよい。導電性芯材や表面離型層の構成及び材質については、一般のハロゲンランプ方式で使用されるものと同じものが使用できる。
加圧ローラ3は、加熱ローラ1と接触し、記録紙Pを通紙する定着ニップ部Nを形成するための部材である。
加圧ローラ3は、鉄・ステンレスもしくはアルミニウムの芯金上に、シリコーンゴムなどの耐熱弾性層(図示せず)を有するように構成されている。加圧ローラ3は、図示していない弾性部材(バネ)によって加熱ローラ1に圧接されており、これにより加熱ローラ1との間に幅が5〜6mm程度の定着ニップ部Nが形成される。なお、加圧ローラ3の表面には、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる表面離型層が形成されていてもよい。この例の加圧ローラ3は、外径が40.0mm、表面硬度(アスカーC硬度)が80°となっている。
加熱ローラ1を加熱する磁界発生手段(誘導加熱手段)2は、図2に示すように、加熱コイル2aによって構成されており、加熱ローラ1の外周部を取り囲むように構成されている。このように加熱ローラ1の外周部に加熱コイル2aを配置すると、加熱ローラ1からの輻射熱を受けても反対側の面から放熱が行われるので、加熱コイル2aの温度が、加熱ローラ1の内部側に配置する場合よりも低くなる。そのため、耐熱グレードの低い安価な線材を使用できるようになる。また、加熱コイル2aが高温になると、線材の抵抗が増加して加熱コイル2a自身の発熱量(銅損)が増加して加熱効率が低下するが、これも防止できるようになる。
加熱コイル2aを構成する線材には耐熱性のある材料が使用される。この例では、φ0.23mmの絶縁線を50本撚ったリッツ線(エナメル線等を撚り線にしたもの)を使用している。加熱コイル2aで発生する銅損を抑えるためには、加熱コイル2aの全抵抗値は、0.5Ω以下、好ましくは0.1Ω以下である方がよい。なお、加熱コイル2aは、定着させる記録紙Pのサイズに応じて複数個配置してもよい。この例では、巻数13の単一コイルを使用している。
次に、加熱コイルに高周波電流を流す励磁回路について図3を参照しながら説明する。なお、図3の回路はハーフブリッジ型のSEPP方式と呼ばれる電源回路の一種である。
励磁回路4は、2つのスイッチング素子41,42、共振コンデンサ43、整流回路44及び制御回路45などで構成されるコイル電流発生部40を備えており、その共振コンデンサ43に加熱コイル2aが接続されている。
2つのスイッチング素子41,42のうち、一方のスイッチング素子41は加熱コイル2aと共振コンデンサ43に直列に接続されており、他方のスイッチング素子42は加熱コイル2aと共振コンデンサ43に並列に接続されている。これら2つのスイッチング素子41,42を制御回路45によって所定周波数でタイミングを合わせて交互にオン・オフすることで、加熱コイル2aと共振コンデンサ43の共振現象をもとに、加熱コイル2aに所定の高周波電流を印加することができる。
次に、加熱動作について説明する。
まず、ウォームアップ時において、加熱コイル2aに接続された励磁回路4のスイッチング素子41とスイッチング素子42(図3)が、所定周波数でオン・オフを繰り返し、加熱コイル2aに高周波の交流電流が印加される。これにより加熱コイル2aにおいて高周波の交番磁界が生成され、この交番磁界が加熱ローラ1の導電層に鎖交することで渦電流が生じ、加熱ローラ1がジュール発熱する。このときの発熱量は約900Wである。また、電源装置による通電が開始すると同時に、加熱ローラ1が回転駆動することにより加圧ローラ3が従動回転する。加熱ローラ1の表面温度は温度検知素子(例えば、サーミスター)5によって常時検知され、加熱ローラ1の表面温度が所定の温度(この例では170℃)に達するとウォームアップが完了し、励磁回路4による加熱コイル2aへの駆動周波数が切り替る。これによって電力が調整され、加熱ローラ1の表面温度が所定の温度に維持される。
次に、未定着トナー像が転写された記録紙(被加熱材)Pが、加熱ローラ1と加圧ローラ3との定着ニップ部Nに搬送され、加熱ローラ1の熱及び加圧ローラ3の圧力によりトナー像は溶融定着され、記録紙P上に固定され堅牢な画像となる。
以下、本発明の誘導加熱装置の具体的な実施例を説明する。
<実施例1>
図4は、加熱ローラ1の具体的な構造を示す断面図である。この例の加熱ローラ1は、導電性芯材1a上に、非導電性耐熱支持部材1b、表面発熱層1c、耐熱弾性層1d及び表面離型層1eが順で順次積層されている点に特徴がある。その各層の仕様と設置目的・効果について、以下に説明する。
まず、加熱ローラ1の最表面に形成された表面離型層1eは、定着ニップ部N(図1)で加熱され粘度が低下したトナーが、加熱ローラ1に付着するのを防止する役割を持つ。材料的には、高離型性を有するテフロン(登録商標)系の材料、例えばPFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などが使用できる。この実施例では、厚さ30μmのPFAを使用している。
表面離型層1eの下に形成された耐熱弾性層1dは、溶融したトナーと表面離型層1eとの密着性を改善するために配置されている。耐熱弾性層1dの材料としては、耐熱性のシリコーンゴム(LTV、RTV、HTV)などが使用できる。この実施例では耐熱弾性層1dに耐熱シリコーンゴム(LTV)を使用している。
そして、この実施例においては、誘導加熱によって発熱する導電性発熱層として、昇温時間の短縮と連続コピー時の加熱ローラの表面温度低下を防止するために、非導電性耐熱支持部材1bの直下に設けられた表面発熱層1cと、表面発熱層1cと非導電性耐熱支持部材1bを介して設けられた導電性芯材1aの2つの発熱層を備えている。
表面発熱層1cは、昇温時間を短縮の観点からは、薄く構成して低熱容量化することが好ましい。しかしながら、あまり低熱容量化すると、表面発熱層1cに蓄熱された熱量が少ないため、連続コピーをした際にローラ温度が低下してしまい、定着不良を発生してしまうという課題がある。
そこで、本発明では、表面発熱層1cの厚さを薄くすると、磁界発生手段2で発生した交番磁界が表面発熱層1cを通過し、より加熱ローラ1の中心部まで交番磁界が到達する現象(表皮効果)を利用して、表面発熱層1cの下側に2つ目の発熱層となる導電性芯材1aを設け、この導電性芯材1aについても誘導加熱することで、導電性芯材1aと表面発熱層1cとの発熱を利用して非導電性耐熱支持部材1bを加熱蓄熱させる構成としている。このように構成すると、非導電性耐熱支持部材1bが、2つの方向から加熱されるため、表面発熱層1cと非導電性耐熱支持部材1bに存在する温度差が少なくなる。すなわち、表面発熱層1cからの非導電性耐熱支持部材1bへの熱逃げが少なくなり、連続コピーを行っても加熱ローラ1の表面温度が低下しなくなる。
上記の現象を利用し、効率的に非導電性耐熱支持部材に蓄熱させるためには、最適な表面発熱層厚さと2つの発熱層間の設置距離が存在する。この点について以下に説明する。
まず、表面発熱層の厚さによって、表面発熱層と導電性芯材との発熱比率が変化する関係を下記の表1に示す。
Figure 0003967345
この表1から明らかなように、表面発熱層の厚さを薄くすればするほど、導電性芯材の発熱比率が変化することがわかる。これは、導電性材料に交番磁界を鎖交させた場合に、交番磁界が導電性材料の表層部に集中するという現象が原因で、このような現象は、表皮効果とよばれ、特に、交番磁界が導電性材料の表層部に集中する部分の厚さのことを表皮深さと呼ぶ。
表皮深さδは、式[δ=√(2/(σ1・μ1・μ0・2πf))・・・(1)]で表され、使用する材料、駆動周波数によって変化する。ただし、σ1は発熱部材の導電率、μ1は発熱部材の比透磁率、μ0は真空中の導電率、fは駆動周波数を表す。
上記表1に示した値は、表面発熱層にニッケルを使用し、駆動周波数が40kHz、表面発熱層と導電性芯材との距離(非導電性耐熱支持部材の厚さ)が6mmの場合のときの値である。ニッケルを誘導加熱させるためには、20kHz以上の高周波が必要で、表皮深さδは100μm以下となる。
そして、表1から明らかなように、表面発熱層の厚さが表皮深さ以下であっても、表面発熱層の厚みが薄ければ薄いほど、導電性芯材の発熱比率が増加すること、及び、表面発熱層の厚さが、表皮深さ近くであると導電性芯材の発熱比率が低下し、耐熱性支持材を加熱できなくなることがわかる。表1に示す値で説明すると、表面発熱層の厚さが80μmである場合は、導電性芯材の発熱比率がトータル電力の約5%しかないのに対し、30μmにすると発熱比率が7%に増大する。導電性芯材の加熱という観点からは、表面発熱層の厚さは薄い方が好ましい。
次に、表面発熱層と導電性芯材の間の設置距離と両発熱層の発熱比率との関係を下記の表2に示す。
Figure 0003967345
この表2から明らかなように、表面発熱層と導電性芯材との間の距離が近い条件、すなわち非導電性耐熱支持部材の厚さが薄い条件では、導電性芯材の発熱量が増加する。
例えば、非導電性耐熱支持部材の厚さが4mmの場合の導電性芯材の発熱比率は、トータル電力の約8%であるのに対し、1.5mmになると25%まで増加する。導電性芯材を積極的に加熱させるという面では、非導電性支持部材の厚みは薄い方がよいが、連続コピー動作中は、導電性芯材を積極的に加熱する必要はなく、表面発熱層の発熱比率が重要になる。例えば、図5は表2の結果を図式化したものであり、この図5から、非導電性耐熱支持部材の厚さを2.5mm以上とすることが、表面発熱層の発熱比率が80%以上となる点で好ましいことがわかる。なお、非導電性耐熱支持部材の厚さが厚すぎると、導電性芯材が発熱しなくなるため、前述の発熱効果は期待できなくなる。
そして、本発明で用いる非導電性耐熱支持部材つまり2つの導電性発熱層で挟持された耐熱性層は、ウォームアップ時間を短縮するために熱容量の小さい材料で構成することが好ましい。例えば、比熱や比重が金属よりも低い材料である、ポリイミドやPPS(ポリフェニレンサルファイド)やPAI(ポリアミドイミド)などのエンジニアリングプラスチックや、耐熱性ゴム材であるシリコーンゴム、あるいはフッ素ゴム、セラミックなどが使用できる。
以上の観点から、本実施例では、表面発熱層1cに厚み40μmのニッケルを使用し、非導電性耐熱支持部材1bに厚さ4mmのソリッドタイプのシリコーンゴムを使用しており、また、導電性芯材1aには厚さ3mmのアルミニウムを使用している。さらに、表面発熱層1cの上に、厚さ400μのシリコーンゴムからなる耐熱弾性層1dを形成し、その上に、厚さ30μのPFAからなるテフロン(登録商標)で構成された表面離型層1eを形成している。
<実施例2>
この実施例2では表面発熱層を構成する材料に特徴がある。前記した実施例1との違いは、実施例1では表面発熱層に薄肉金属を使用するのに対し、樹脂材料もしくはゴム材料中に導電性フィラーを分散させたものを使用している点にある。なお、導電性フィラーとしては、例えば、ニッケルや鉄、アルミニウムや銀など金属材、もしくはカーボンなどの導電材等が挙げられる。
そして、以上の構造をもつ材料を表面発熱層に使用することによって、発熱層の伸び性もしくは可撓性が向上する。これによって、表面離型層の下側に形成された耐熱弾性層の変形が抑制されることが少なくなるので、溶融したトナーと表面離型層の密着性を改善することができる。また、耐熱弾性層の歪みが抑制されることが少なくなるので、定着ニップ出口で、剥離爪などの補助手段を設けなくても自己剥離するようになる。この効果については、2つの発熱層によって挟持される非導電性耐熱支持部材を弾性体で構成することで更に改善することができる。これは、非導電性耐熱支持部材を弾性体で形成すると、非導電性耐熱支持部材(弾性層)と弾性を有する発熱層、その上層の耐熱弾性層と、弾性を有する層が合計3層あることになり、加熱ローラの表面がより柔軟になるためである。
ここで、表面発熱層の構成材料と自己剥離性の関係を評価した結果を、下記の表3に示す。この表3から明らかなように、表面発熱層を単一金属材で構成するよりも、樹脂などの複合材で構成するほうが、自己剥離性が良くなることがわかる。なお、表3の結果は、非導電性耐熱支持部材がシリコーンゴムである場合の評価結果である。
Figure 0003967345
<実施例3>
加熱ローラ1の他の実施例について説明する。この実施例の加熱ローラ1も、前記した<実施例1>と同様に、導電性芯材1a上に、非導電性耐熱支持部材1b、表面発熱層1c、耐熱弾性層1d及び表面離型層1eがこの順で順次形成されている(図4)。その各層及び導電性芯材の詳細を以下に説明する。
まず、この実施例では、導電性芯材1aとして、外径31.32mmの中空のアルミニウム円筒を使用している。
なお、導電性芯材1aの素材や形状はこれに限られるものではなく、例えば、素材については鉄等の金属など、熱伝導性がよくて剛性の保てる素材であればよい。また、剛性について詳しく説明すると、加熱ローラ1と加圧ローラ3とを圧接することによりニップ幅を広く確保するには、圧接力が大きくなるので(980N(100kgf)以上)、その圧接力で加熱ローラ1が撓まない程度の強度が必要である。また、導電性芯材1aの内部に、加熱源としてハロゲンランプを挿入する場合は、導電性芯材の形状は中空とする。
次に、導電性芯材1aの上に非導電性耐熱支持部材1bを形成する。
非導電性耐熱支持部材(弾性層)1bは、導電性芯材1aの内部で加熱された熱を表層に効率よく伝熱させる必要があるので、熱抵抗の低い部材を素材として用いることが好ましい。さらに、加熱ローラ1と加圧ローラ3とを圧接したときに形成されるニップ部にひずみを生じさせ、また、広くできること、さらには、加熱ローラと加圧ローラとが圧接されることによって形成されるニップの形状を凸形状にすることで、特にカラー用の未定着画像を剥離手段なしで剥離させることが可能になるので、これらを兼ね備えた程度の柔軟性に富む部材が好ましい。
非導電性耐熱支持部材1bの材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。この中でも、特にゴム弾性が優れているシリコーンゴムを用いるのが好ましい。
非導電性耐熱支持部材1bの厚みは、1mm以上で6mm以下にすることが好ましい。非導電性耐熱支持部材1bの厚みが1mm未満であると、ニップ幅が十分取れなくなり、弾性層としての役割が果たせなくなる。また、厚みが6mmを超えると、内部の加熱源から加熱ローラ1表面に伝わるまでの熱抵抗が大きくなる。その結果、導電性芯材1aの内部温度と加熱ローラ1の表面温度との温度差が大きくなってしまい、加熱ローラ1表面を所定温度に保つために、導電性芯材1aの温度を高温にする必要があり、導電性芯材1aと非導電性耐熱支持部材1bとの接着界面における温度が、非導電性耐熱支持部材1bの耐熱性に絶えられない温度になる。これらの条件を満たすため、この実施例では、基材硬度5°のシリコーンゴムを使用して、非導電性耐熱支持部材1bを、厚さ4mmで導電性芯材1a上に均一な厚みで形成する。
次に、非導電性耐熱支持部材1bの上に表面発熱層1cを形成する。
表面発熱層1cは、誘導加熱させるために導電性材料で構成された層が少なくとも1層以上存在する必要がある。一般的には、導電性材料としては、鉄やSUS430等のステンレス材などを用いるが、この実施例では、非導電性耐熱支持部材(弾性層)1bと耐熱弾性層1dとの間に表面発熱層1cを存在させることによって、非導電性耐熱支持部材1bと耐熱弾性層1dとの弾性を損なわないようにするため、基材硬度20°のシリコーンゴムベース部材中に金属微粒子(Ag)を分散させて表面発熱層1cを形成した。ここで使用するシリコーンゴム部材は、表面発熱層1cと非導電性耐熱支持部材1bとの密着性をよくするために、ほぼ同一の線膨張係数である部材を用いることが好ましい。
このように弾性層および発熱層に用いるベース部材をシリコーンゴムにして、ゴム硬度を変更するようにしてもよい。
具体的には、発熱層(表面発熱層1c)を形成するベース部材は、弾性層である非導電性耐熱支持部材1b(または耐熱弾性層1d)と強固に密着し、接着剥がれ等を防止する必要がある。ここで、非導電性耐熱支持部材1bは、上述したように、ニップ幅・剥離性の観点から基材硬度が低いゴム(例えばゴム硬度5°)を使用することが好ましいが、低硬度のゴム材は、柔軟性に優れる反面、ゴム材中に金属微粒子を分散させた状態では、密着力が弱くなり、表面発熱層1cと非導電性耐熱支持部材1bとの界面で剥がれが起きやすくなる。
そこで、表面発熱層1cに用いるシリコーンゴムの密着性を上げる目的で基材硬度が高いシリコーンゴム(例えばゴム硬度20°)を使用する。なお、非導電性耐熱支持部材1bのベース部材と表面発熱層1cのベース部材とは、シリコーンゴムの基材硬度が異なるが、線膨張係数はほぼ同じである。
次に、線膨張係数について説明する。線膨張係数は、ある温度T1からT2に温度変化したときに、どれだけ膨張(伸びる)するかを示す係数である。
この例で用いた基材硬度5°のシリコーンゴムの線膨張係数は、25×10-5/℃であり、ゴム硬度1°〜20°のシリコーンゴムの線膨張係数を測定した結果、20〜40×10-5/℃であった。この範囲のものであれば、ほぼ同一の線膨張係数を有する部材とする。
また、表面発熱層1cの厚さは、非導電性耐熱支持部材1b及び耐熱弾性層1dの柔軟性を維持できる程度の薄さが必要であり、1μm以上で30μm以下の厚さに薄肉化することが好ましい。厚さが1μmよりも小さいと、表面発熱層1cの一部が不連続になり、発熱しなくなる。一方、30μmよりも大きい厚みにすると、非導電性耐熱支持部材1bの柔軟性が失われ、自己剥離性が低下する。
さらに、非導電性耐熱支持部材1bの柔軟性を維持するために、表面発熱層1cを構成する発熱層の1層あたりの厚みを薄くして、発熱層を複数設けるとともに、その複数の発熱層の各層間に別の弾性層(層間弾性層)を設けることにより、柔軟性を維持しながら発熱層の厚みを増やして発熱量を増加させることで、柔軟性を維持しながら、発熱量を増やすことが可能になる。なお、この実施例では、厚さ10μmの発熱層と厚さ10μmの層間弾性層とを交互に繰り返して積層し、発熱層が3層、層間弾性層が3層の合計6層からなる表面発熱層1cを形成した。
次に、表面発熱層1cの上に耐熱弾性層1dを形成する。
耐熱弾性層1dは、加圧ローラ3によって記録紙(被加熱材)が加熱ローラ1に押圧されたときに、記録紙の表面の凹凸に追従して表面離型層1eを変形させ、加熱ローラ1から熱が均一に伝わるようにするものである。
ここで、カラー未定着像を定着する際には、トナー層を最大4層重ねて定着する必要があり、記録紙上の場所によっては、トナー層があるところと、トナー層がないところが存在するため記録紙表面には凹凸が存在する。また、記録紙自体も紙種により大きな凹凸があることから、これらの凹凸に追従してカラー未定着像を定着させるには、表面離型層1eの表面が柔軟にトナーを包み込む構成にする必要があり、そのため表面離型層1eと表面発熱層1cとの間に弾性層(耐熱弾性層1d)を設ける必要がある。この実施例では、耐熱弾性層1dの部材として、厚みが250μmで、ゴム硬度が5度(JIS−A)のシリコーンゴムを使用しているが、これに限られるものではない。
耐熱弾性層1dの材料としては、非導電性耐熱支持部材1bと同様の材質(線膨張係数がほぼ同一)が好ましいが、耐熱性に優れ、ゴム弾性を有するものであればよく、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。この中でも、特にゴム弾性が優れているシリコーンゴムを用いるのが好ましい。
耐熱弾性層1dの厚さは、50μm以上で400μm以下とすることが好ましい。耐熱弾性層1dの厚さが400μmよりも大きいと、加熱ローラ自体の熱容量が大きくなるので、ウォームアップ時間がより長くなり、また、加熱のためのエネルギーが大きくなる。耐熱弾性層1dの厚さが50μmよりも小さいと、記録紙表面のトナーの凹凸に追従することができなくなるので、表面を均一に溶融させることができなくなって光沢むらが発生する。
次に、耐熱弾性層1dの上に表面離型層1eを形成する。
表面離型層1eの材料としては、耐熱性・耐久性に優れ、トナーとの付着力が弱いものであればよく、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系材料を使用してもよい。この例では、厚み約30μmのPFAチューブを用いる。
このようにして構成された加熱ローラは、表面硬度が55°(アスカーC硬度)、外径が40.0mmである。
以上のように、この実施例3では、導電性芯材1a上に、非導電性耐熱支持部材1b、表面発熱層1c、耐熱弾性層1d及び表面離型層1eを順次形成しているので、各層が密着し、加熱冷却を繰り返しても加熱ローラ1の形状を維持することができる。
次に、この実施例3にて作製した加熱ローラと、以下に示す比較例1で作製した加熱ローラを、下記の方法で加熱冷却実験を行った。
[比較例1]
表面発熱層のベース部材と非導電性耐熱支持部材のベース部材とを線膨張係数の異なる材料で加熱ローラを作製した。具体的には、非導電性耐熱支持部材として、上記した実施例中のシリコーンゴムを使用し、表面発熱層のベース部材としてポリイミド(PI;線膨張係数=4×10-5/℃)を使用した。その他の層は、上記した実施例3と同じものを使用した。
[加熱冷却実験]
(S1)加熱ローラを室温から130℃まで加熱
(S2)加熱ローラの温度を130℃に10分間維持
(S3)加熱ローラを130℃から室温まで冷却
以上の加熱冷却試験を行った結果、下記の表4に示すように、比較例1では、加熱ローラを130℃から室温まで冷却すると、加熱ローラの軸方向にしわが発生し、その後、繰り返して加熱冷却を行ってもしわは改善されなかった。これに対し実施例3では、特に、加熱ローラにしわが発生しなかった。これは、加熱ローラの加熱冷却サイクルにおいて、ほぼ同じ伸び縮みを行うためである。
[比較例2]
導電性芯材上に非導電性耐熱支持部材を形成したもの(弾性ローラ)と、発熱層の上に耐熱弾性層及び表面離型層を形成したもの(円筒状発熱部材)とを別部材として形成し、後加工により、前記弾性ローラの外周上に、接着剤を塗布した後、前記円筒状発熱部材を挿入することにより加熱ローラを作製した。
以上の比較例2で作製した加熱ローラについて前記した加熱冷却試験を実施した。その結果、下記の表4に示すように、比較例2では、加熱ローラ表面の一部から「浮き」が発生し、加熱冷却を繰り返すうちに「浮き」が大きくなった。これは、円筒状発熱部材を挿入する段階で弾性ローラの外径と発熱層の内径に若干の隙間が生じており、その隙間による接着不良から「浮き」が生じたものと考えられる。
Figure 0003967345
<実施例4>
この実施例4は、誘導加熱の加熱制御方法において、加熱ローラの2つの発熱層つまり導電性芯材と表面発熱層との発熱比率を変更するために、動作モードに応じて駆動周波数を変更する点に特徴がある。その他の構成は、これまでの実施例で説明した構成を同じである。例えば、加熱ローラに関して説明すれば、表面発熱層には樹脂材料中に導電フィラーを分散させたものを使用すること以外は、実施例1と同じ構成としている。
下記の表5は、駆動周波数を変更すると2つの発熱層の発熱比率が変化することを説明したもので、駆動周波数が低いと導電性芯材の発熱量が増加することを説明したものである。この現象も表皮効果と関係がある。根本的には、上記した関係式(1)で示される表皮深さδが、駆動周波数の関数であることが原因で生じる現象である。本発明では、この現象を利用することで、導電性芯材と表面発熱層との発熱比率を制御することを実現している。
Figure 0003967345
次に、具体的な制御方法を図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、加熱信号が「On」または「Off」であるのかを判断し(ステップST1)、加熱信号が「On」である場合、設定動作モードが「コピーモード」であるか否かを判断する(ステップST2)。設定動作モードが「コピーモード」でない場合(例えばウォームアップ時や予熱時)、駆動周波数を低い値fL(第1の周波数、例えば約39kHz)に設定して電力調整を行った状態で加熱を開始する(ステップST3、ST5)。一方、設定動作モードが「コピーモード」である場合、駆動周波数を高い値fH(第2の周波数、例えば約45kHz)に設定して電力調整を行った状態で加熱を開始する(ステップST4、ST5)。
このように、ウォームアップ時や予熱時などの非導電性耐熱支持部材1bに蓄熱させたい状況では、駆動周波数を低くして加熱を行い、コピー動作中は、表面発熱層1cを集中的に加熱するために駆動周波数を高くして加熱を行うという制御を実行することで、表面発熱層1cとローラ中心側に存在する導電性芯材1aとの発熱比率を変更することが可能になるので、非導電性耐熱支持部材1bへの最適な蓄熱を行うことができ、連続コピー時に発生する加熱ローラ1の温度低下をより効果的に防止することができる。
ここで、以上のような駆動周波数の制御を適用しなかった場合の連続コピー開始直後の加熱ローラ温度が低下する状況を図7に示す。この図7から、加熱ローラの温度低下は条件にもよるが、大体通紙開始直後に約20℃ほどの温度低下が予測される。
これに対し、駆動周波数の制御を実際に行った場合の実験結果を図8(a)に示す。この図8(a)の結果から明らかなように、駆動周波数の制御を行うことで、連続コピー開始直後に約10℃温度低下が見られるものの、その後では温度低下することなく安定して連続コピーできることがわかる。なお、図8(a)の結果は、駆動周波数は、ウォームアップ時が約39kHz、通紙時が45kHzであり、コピー中の発熱量が約800Wである場合の実験結果である。
<実施例5>
図9は本発明の誘導加熱装置の別の例の構成を模式的に示す図である。
この例の誘導加熱装置は、加熱ローラ1の内部に、非導電性耐熱支持部材1b(図4参照)への蓄熱用に補助熱源(ハロゲンランプ)6を設けた点に特徴がある。
この例で実施する具体的な加熱方法は、ウォームアップ時や予熱時など、非導電性耐熱支持部材1bへの蓄熱が必要な条件下では、補助熱源6による内部加熱と外部熱源である磁界発生手段2による誘導加熱の双方を行い、連続コピー中は、磁界発生手段2による誘導加熱のみを行うというように、動作モードに応じて電力配分と加熱手段を選択する点に特徴がある。
このような加熱制御は、CPU(Central Processing Unit)8が、温度検知部材5による検知温度などに基づいて、磁界発生手段2の励磁回路4及び補助熱源(ハロゲンランプ)6のランプ駆動回路7をそれぞれ駆動制御することによって実行される。
以上の加熱制御を行った場合の加熱ローラ1の表面温度を測定した結果を図8(b)に示す。この図8(b)から明らかなように、連続コピーを行ってもローラ表面温度が低下せず、所定温度に維持できることがわかる。この場合の実際の加熱条件について説明すると、ウォームアップ時は、補助熱源(ハロゲンランプ)6と外部熱源である磁界発生手段2の加熱コイル2aにそれぞれ450Wを投入し、コピー動作中は、磁界発生手段2の加熱コイル2aに800Wを投入するようにしている。
そして、誘導加熱装置10′を、この実施例4のように制御することで、連続コピー動作を行っても、加熱ローラの表面温度が低下することなく、連続コピーを安定して行うことができる。
ここで、画像形成装置において、通紙中は、上述したように外部熱源のみでコピー動作を行ってもよいが、外部熱源である磁界発生手段2による加熱と、補助熱源(ハロゲンランプ)6による加熱の双方の加熱を行うようにしてもよい。このような加熱制御について以下に説明する。
まず、加熱ローラ1の構成条件、例えば、表面発熱層1cが前記した表皮深さよりも厚くなり、外部熱源から供給される電力が表面発熱層1cの加熱にのみ使用され、ローラ内部の導電性芯材1aが加熱されることがなくなるような条件によっては、加熱ローラ1の内部がローラ表面よりも温度が低い状態でコピー動作に入ることがある。このとき、外部熱源から加熱された熱が、加熱ローラ1の表面とローラ内部の両方に伝熱し、加熱ローラ1の表面に対して温度低下がおこる。これを回避するために、加熱ローラ1の内部に配置した補助熱源(ハロゲンランプ)6の電力供給量を大きくすると、導電性芯材1aが温度上昇し非導電性耐熱支持部材1bの耐久性が劣化する恐れがある。
この点について具体的に説明する。まず、内部熱源(補助熱源6)と外部熱源(磁界発生手段2)への電力の供給割合(発熱比率)を変化させ、定着温度を170℃で維持した状態(加熱ローラ1の表面温度を170℃に維持した状態)で、記録紙を毎分70枚の速度で500枚連続通紙を行った場合、加熱ローラ1の導電性芯材の温度が何℃に到達するかを熱解析にて予測を行った。その結果を下記の表6に示す。
Figure 0003967345
この表6から判るように、内部熱源(補助熱源6)の供給電力が外部熱源(磁界発生手段2)の供給電力よりも大きくなると、導電性芯材1aの温度が250℃以上となり、弾性層である非導電性耐熱支持部材1bの耐熱温度を超えてしまうので、非導電性耐熱支持部材1bの硬化・剥がれ等の不具合が生じることが予想される。従って、内部熱源(補助熱源6)の電力W1を、外部熱源(磁界発生手段2)の電力W2よりも低く設定(W2>W1)する必要がある。また、仮に外部熱源(磁界発生手段2)にてローラ内部の導電性芯材1aを積極的に加熱させる場合には、導電性芯材1aの温度は外部熱源(磁界発生手段2)の影響により温度上昇するので、この場合、さらに内部熱源(補助熱源6)への電力供給を低くする必要がある。
<画像形成装置の実施例>
図10は本発明の誘導加熱装置を適用するカラー画像形成装置の一例を模式的に示す図である。
この例のカラー画像形成装置100は、4色の可視像形成ユニット100Y,100M,100C,100Bを記録媒体搬送路に沿って配列した、いわゆるタンデム式のプリンタである。具体的には、記録紙P(被加熱材)の供給トレイ120と定着装置としての誘導加熱装置10とを繋ぐ記録紙Pの搬送路に沿って4組の可視像形成ユニット100Y,100M,100C,10Bを配設し、無端状ベルトの記録紙搬送手段130によって搬送される記録紙Pに各色トナーを多重転写した後、本発明の実施形態である誘導加熱装置(定着装置)10によってこれを定着してフルカラー画像を形成するものである。なお、定着装置10は、図1に示した例のものと基本的に同じ構成である。
次に、カラー画像形成装置100の各部の構成を説明する。
記録紙搬送手段130は、一対の駆動ローラ131及びアイドリングローラ132によって架張され、所定の周速度(この例では117mm/s)に制御されて回動する無端状の搬送ベルト133を有し、この搬送ベルト133上に記録紙Pを静電吸着させて搬送する。
各可視像形成ユニット100Y,100M,100C,100Bは、それぞれ、感光体ドラム111を備えており、この感光体111の周囲に、帯電ローラ112、レーザ光照射手段113、現像器114、転写ローラ115及びクリーナ116がこの順で配置されている。
各可視像形成ユニット100Y,100M,100C,100Bの現像器114には、イエロー(Y)・マゼンタ(M)・シアン(C)・ブラック(B)の各トナーが収容されている。そして、各可視像形成ユニット100Y,100M,100C,100Bは、以下の工程によりトナー画像を記録紙P上に形成する。
すなわち、感光体ドラム111の表面を帯電ローラ112で一様に帯電した後、レーザ光照射手段113により感光体ドラム111の表面を画像情報に応じてレーザ露光して静電潜像を形成する。その後、現像器114により感光体ドラム111上の静電潜像に対しトナー像を現像し、この顕像化されたトナー画像をトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された転写ローラ115によって、搬送手段130にて搬送される記録紙Pに順次転写するようになっている。
トナー画像が転写された記録紙Pは、駆動ローラ131の曲率により搬送ベルト133から剥離された後、定着装置10に搬送される。そこで所定の温度に保たれた加熱ローラ1及び加圧ローラ3により適度な温度と圧力が与えられる。そして、トナーは溶解し記録紙Pに固定され堅牢な画像となる。ここで、この例のカラー画像形成装置100では、連続コピー時においても誘導加熱装置10の加熱ローラ1の表面温度の落ち込みを防止することができるので、処理の一時中断や処理速度の低下をさせることなく連続コピー動作を安定して行うことが可能になる。
なお、本発明の誘導加熱装置は、以上説明したようなカラー画像形成装置の定着装置に限らず、湿式電子写真機器における乾燥装置、インクジェットプリンタにおける乾燥装置あるいはリライタブルメディア用消去装置などの加熱装置としても用いることができる。
本発明の誘導加熱装置は、乾式電子写真機器における定着装置、湿式電子写真機器における乾燥装置、インクジェットプリンタにおける乾燥装置あるいはリライタブルメディア用消去装置などに有効に利用することができる。
本発明を適用する誘導加熱装置の一例を模式的に示す図である。 図1の誘導加熱装置に用いる磁界発生手段の加熱コイルの構成を示す斜視図である。 図1の誘導加熱装置に用いる励磁回路のコイル電流発生部の回路構成を示す図である。 加熱ローラの断面構造を示す図である。 非導電性支持部材の厚みと表面発熱層の発熱比率との関係を示すグラフである。 本発明の誘導加熱装置において駆動周波数を変更する場合の動作内容を示すフローチャートである。 ウォームアップ直後に連続印字を行った際の加熱ローラの温度変化を示すグラフである。 連続コピー中における加熱ローラの表面温度の状態を示すグラフである。 本発明の誘導加熱装置の他の例を模式的に示す図である。 本発明の画像形成装置の一例を模式的に示す図である。 予熱状態から復帰動作時における加熱ローラの温度変化を示すグラフである。
符号の説明
10 誘導加熱装置(定着装置)
1 加熱ローラ
1a 導電性芯材
1b 非導電性耐熱支持部材
1c 表面発熱層
1d 耐熱弾性層
1e 表面離型層
2 磁界発生手段
2a 加熱コイル
3 加圧ローラ
4 励磁回路
40 コイル電流発生部
5 温度検知素子(サーミスター)
6 補助熱源(ハロゲンランプ)
7 ランプ駆動回路
8 CPU
100 画像形成装置
100Y,100M,100C,100B 可視像形成ユニット
111 感光体ドラム
112 帯電ローラ
113 レーザ光照射手段
114 現像器
115 転写ローラ
116 クリーナ

Claims (9)

  1. 導電性発熱層を有する加熱ローラと、前記加熱ローラの外周側に配置された磁界発生手段とを備え、前記磁界発生手段で発生させた交番磁界を、前記加熱ローラの導電性発熱層に鎖交させることで前記導電性発熱層を発熱させ、前記加熱ローラの外周側で前記磁界発生手段が設けられていない開口部分で当該加熱ローラの熱を被加熱材に伝えるように構成された誘導加熱装置において、
    前記加熱ローラの導電性発熱層は、当該加熱ローラを支持する導電性芯材と、前記導電性芯材上に蓄熱作用を有する非導電性耐熱支持部材を介して設けられ前記磁界発生手段で発生させた交番磁界により発熱する表面発熱層とを有し、前記表面発熱層の厚さが、前記交番磁界の一部を透過させ、その透過した交番磁界を前記導電性芯材に鎖交させて当該導電性芯材を加熱しうるように薄く設定されていることを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記表面発熱層は、可撓性を有する部材中に導電性部材が分散された複合材で形成されていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱装置。
  3. 前記加熱ローラは、前記導電性芯材上に、前記非導電性耐熱支持部材、前記表面発熱層、弾性層及び表面離型層が形成されており、前記非導電性耐熱支持部材及び弾性層は、線膨張係数が所定の範囲内にある部材で構成されているとともに、前記表面発熱層は、線膨張係数が上記所定の範囲内にある非導電性耐熱支持部材または弾性層の素材をベース部材とし、そのベース部材中に導電性部材が分散された複合材で形成されていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱装置。
  4. 前記非導電性耐熱支持部材、表面発熱層、弾性層及び表面離型層は、この順で前記導電性芯材上に順次形成されていることを特徴とする請求項3記載の誘導加熱装置。
  5. 前記導電性芯材と表面離型層との間に形成される表面発熱層は、弾性層と発熱層とが交互に複数層ずつ形成された構造であることを特徴とする請求項3または4記載の誘導加熱装置。
  6. 前記被加熱材を加熱するに際して、前記加熱ローラを予め定められた温度に設定するときには第1の周波数の交番磁界で前記加熱ローラを加熱し、前記被加熱材の加熱処理を行うときには第2の周波数の交番磁界で前記加熱ローラを加熱する制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の誘導加熱装置。
  7. 前記加熱ローラの内部に補助熱源が設けられているとともに、前記被加熱材を加熱する際に上記加熱ローラを予め定められた温度に設定する条件と前記被加熱材の加熱処理を行う条件に基づいて、上記磁界発生手段及び前記補助熱源の出力を制御する加熱源制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の誘導加熱装置。
  8. 前記加熱源制御手段は、前記被加熱材を加熱する際に、前記補助熱源の出力を前記磁界発生手段の出力よりも小さくすることを特徴とする請求項7記載の誘導加熱装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の誘導加熱装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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