JP3966526B2 - 駐輪施設 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスペース効率よく2輪車を収納保持するように改良した駐輪施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集合住宅や私設の自転車置場では、大半は単に自転車を置くためのスペースを設けただけで駐輪施設と言えるほどのものではなく、公共の自転車置場では、管理上の面から自転車を1台づつ収納する施設を設置したり、また、スペースを有効利用するため、上下2段に自転車を収納する構造の施設が設置されている。上下2段構造のものは、上段側は自転車を固定するためのフレームを後方へ引き下ろし、自転車を持ち上げてこのフレームに収納し、フレームを元の位置に押し戻して固定する構造のものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような自転車置場、或いは駐輪施設は、一般的にスペース効率が悪く、上下2段構造の施設の場合、上段側はフレームを後方へ引き出す形式のため、引き出す分のスペースを必要とすると共に、利用者が自転車を持ち上げなければならない。また、3段以上の多段にしようとすると施設が大がかりとなり、高価なものになってしまう。
【0004】
本発明はスペース効率がよく、収納に際しての労力を必要とせず、設置コストの安い駐輪施設を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、転倒防止装置を備えた横方向に移動可能な自転車受台を複数台設置した第1段目と、複数の昇降用柱に沿ってそれぞれ昇降する転倒防止装置を備えた自転車受台を有するパレット及び該パレットを昇降させる駆動機構とを有する第2段目とからなる駐輪施設において、
前記昇降用柱は施設上端部に設置された横移動可能な移動アームから吊り下げられ、前記駆動機構は移動アームまたは昇降用柱に取り付けられて前記パレットを吊り下げて昇降用柱に沿って昇降させ、
前記昇降用柱は所定間隔で固定式に設置され、前記パレットは前記駆動機構から吊り下げられて昇降用柱に沿って昇降する昇降板と、該昇降板に取り付けられて昇降板に対して所定範囲で横方向にスライド可能な自転車受台を有することを特徴とする。
また、本発明は、転倒防止装置を備えた横方向に移動可能な自転車受台を複数台設置した第1段目と、複数の昇降用柱に沿ってそれぞれ昇降する転倒防止装置を備えた自転車受台を有するパレット及び該パレットを昇降させる定荷重ばね装置とを有する第2段目と、からなる駐輪施設において、
前記定荷重ばね装置は、パレット重量とほぼ等しい引き戻し力を有する第1の定荷重ばね装置と、自転車重量にほぼ等しい引き戻し力を有する第2の定荷重ばね装置とからなり、自転車空のときは第1の定荷重ばね装置で、自転車搭載時は第1と第2の定荷重ばね装置でパレットを昇降させることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1〜図5により本発明の駐輪施設の一例を説明する。
図1は2段式にした駐輪施設の概念図である。
図示するすように、駐輪施設は4本の支柱1で枠組みされ、頂部には屋根2が設けられている。駐輪施設の1 段目は、レール3上を左右に移動できる複数の自転車受台4で構成され、自転車受台には転倒防止装置5が設けられている。駐輪施設の2段目は、上部から吊り下がっている複数の昇降ポスト6と、モーター等の駆動機構で各昇降ポストに沿って所定高さまで上昇し、下降するパレット7からなっている。後述するように、パレット7は自転車受台と昇降板からなっており、昇降板には昇降ポストと係合するローラが設けられ、駆動機構で駆動されるチェーンまたはワイヤにより吊り下げられている。昇降ポスト6の上端は移動アーム8に連結されており、移動アーム8はレール9上を左右に移動可能である。そして、自転車の2段目への収納は、1段目の自転車受台4を左右に移動させて必要なスペースを確保し、駆動機構を作動させてパレット7を下まで降ろして自転車受台に自転車を載せ、駆動機構により所定高さまで上昇させて停止させた後、人間の手で押して所定位置まで横移動させて行う。自転車を降ろす場合は、1段目の自転車受台4を左右に移動させて必要なスペースを確保し、パレット7を所定位置まで横移動させた後、駆動機構により下まで降ろし、自転車受台から自転車を降ろす。自転車を降ろした後は、パレットは上げておく。
【0007】
次に、1段目について図2により詳細に説明する。
図2(a)は1段目の平面図であり、図2(b)は1段目を説明するための断面図である。図2(a)に示すように、複数の自転車受台4が並べられ、駐輪代数を多くできるように前輪を斜めにして載せるようにする。そのため前輪を挟んで転倒を防止する転倒防止装置5が斜めに取り付けられている。また、前輪が嵌まるように斜めの長孔4a、後輪が嵌まる真っ直ぐな溝4bが形成されている。なお、必要に応じて溝4bは省略してもよい。図2(b)に示すように、自転車受台の比較的前の方(昇降ポスト6側)にレール3が設置され、自転車受台の底面にはレールに係合するローラ4cが取り付けられ、また自転車受台の比較的後の方には、底面にキャスタ4dが取り付けられていて、これらローラとキャスタとで左右に横移動できるようになっている。自転車受台を左右に横移動させる機構は図示の例に限定されるものではなく、どのような機構であってもよい。例えば、レールを2本設置してこの上を走行するようにしてもよく、あるいはレールは用いず、前後の位置のみ規制するようにして、キャスターだけで左右に移動するなど必要に応じて適宜の手段を採用すればよい。
【0008】
次に、2段目について詳細に説明する。
図3は2段目の昇降と横移動の機構を説明する図である。
図3(a)(要部斜視図)において、昇降ポスト6の上端は移動アーム8に連結されている。移動アーム8は、前後に設置された2本のレール9上を走行するようになっており、駐輪施設の奥側の端部には駆動機構20が取り付けられ、また、駐輪施設の前側の端部には人の手の届く高さまで延びる棒13が取り付けられている。パレット7は、昇降ポスト6に沿って上方から垂下するチェーンまたはワイヤ22に連結された昇降板10と、昇降板に固定された自転車受台11からなっており、1段目の自転車受台4の場合と同様に、前輪を挟んで転倒を防止する転倒防止装置12が斜めに取り付けられ、また前輪が嵌まる斜めの長孔11a、後輪が嵌まる真っ直ぐな溝11bが形成されている。なお、必要に応じて溝11bは省略してもよい。
【0009】
図3(b)に概略的に示すように、チェーンまたはワイヤ22は伝動機構として、例えば歯車列21を介して駆動機構22で駆動されており、また、移動アーム8の底面にはローラ14が設けられてレール9と係合し、横方向への移動を可能にしている。なお、図示は省略するが、棒13、あるいはパレット7、支柱等適宜の場所に駆動機構20の駆動・停止用のスイッチが設けられ(図示せず)、また、パレット7を所定高さまで上昇させたとき、あるいは下まで下降したときリミットスイッチ(図示せず)等が作動してモーターは自動停止するようにしておく。駐輪する所定高さに上昇したパレット7の保持は、駆動機構としてブレーキ付モータを使用すれば、そのブレーキ力で可能であり、また、別途、ロック機構を設けるようにしてもよい。なお、上記説明では駆動機構を移動アームに固定するようにしたが、昇降ポスト6の適宜な位置に設けるようにしてもよい。
【0010】
図4は2段目のパレットを説明する図で、図4(a)は平面図、図4(b)は断面図である。
図示するように、パレット7の昇降板10には昇降ポスト6を挟むように4個のローラ10aが設けられていて、このローラにより昇降可能になっている。なお、ローラを3個とし、2個のローラを一方の側に、1個のローラを他方の側で、2個のローラの中間位置に対向して設けるようにしてもよい。
【0011】
図5は自転車を載せたパレットの上昇・下降を説明する図である。
前述したように、パレットの自転車受台に自転車を搭載し、スイッチ操作で駆動機構20を作動させて昇降ポスト6に沿って所定位置に上昇させ、その位置で棒13をもって人手でレール9に沿って横移動させ、所定位置に駐輪させる。降ろすときに、1段目の自転車の置かれている状況に応じて、棒13を使ってパレットを所望の位置まで横移動させ、その位置でスイッチ操作で駆動機構を作動させて昇降ポスト6に沿って下まで下降させる。自転車を降ろしたら、パレットは2段目位置まで上昇させておく。
【0012】
なお、上記では2段式について説明したが、3段式とすることも可能である。その場合は、図3(a)に示した2段目のレール9、9の間隔を、自転車受台の長さより広くしてこの間を3段目のパレットが通過できるようにし、かつ3段目の昇降ポストを伸縮自在にし、駐輪時、あるいは未使用のときには2段目の移動アームの横移動を妨げないように収縮させておけばよい。また、3段目については、後述するように、自転車受台を使用せずに、ワイヤ等で直接自転車を吊る方式を採用してもよい。
【0013】
次に、図6、図7により本発明の他の例について説明する。
図6は2段式にした本発明の駐輪施設の正面図、図7は図6の駐輪施設におけるパレットの昇降を説明する図である。
この例は、1段目については図1の例と同じであるが、2段目についての構造を図1の例に対して簡略化したものである。
図6において、1段目については図1の例と同じであるので説明は省略する。
2段目については、昇降ポスト30は固定されていて横移動はしない。パレット31は図1で説明した機構と同じ機構で昇降する。パレット31はチェーンまたはワイヤが接続された昇降板32に横方向のパイプ33が固定され、このパイプにスライド可能に嵌合した2本の支持アーム34に自転車受台35が取り付けられた構造になっている。パイプ33は隣接するパレットのパイプと所定の間隔を有する長さであり、2 本のアーム、従って自転車受台は左右に所定距離だけスライド可能であり、所定距離以上はスライドしないように図示しないストッパ等で規制される。この場合のスライドできる距離は、自転車を搭載した隣接パレットの昇降の妨げにならない程度である。この例は、なるべく多く駐輪できるように昇降ポストの間隔を狭くし、その代わり隣接する自転車が昇降の妨げにならないように、パイプで左右に若干スライド可能にしたものである。
【0014】
図7を参照してパレットの昇降について説明すると、パレットの自転車受台に自転車を搭載し、スイッチ操作で駆動機構20を作動させて昇降ポスト30に沿って所定高さまで上昇させるのは図1の場合と同様である。ただし、昇降するパレットに隣接するパレットに自転車が搭載されている場合、隣接するパレットの自転車受台を横にスライドさせて昇降の妨げにならないようにする。こうして所定高さ位置に駐輪させる。下降させる場合も、隣接するパレットに自転車が搭載されている場合は、その自転車受台を横にスライドさせて必要なスペースを確保してから下降させる。自転車を降ろしたら、パレットは2段目位置まで上昇させておく。
【0015】
なお、上記の各例では各昇降ポストにそれぞれ駆動機構を設置するようにしたが、1台の駆動機構を使用して、この動力を各パレットに伝達し、切り換えて使用するようにしてもよい。
【0016】
また、モーターのような動力源は使用せず、駆動機構20として、2台の定荷重ばね装置(例えば、商品名「コンストン」三光発条株式会社製等)を使ってワイヤでパレットを吊り下げるようにし、1台の定荷重ばね装置の引き込み力を自転車を搭載しないときのパレット重量にほぼ等しくし、もう1台の定荷重ばね装置の引き込み力を自転車重量にほぼ等しくし、2台の定荷重ばね装置の合計の引き込み力を自転車を搭載したときの重量にほぼ等しくなるようにしてもよい。定荷重ばね装置は戻る力が一定であるので、ブラインドの開閉、サイドデスクの引き出し、OAスタンド等の角度調整などいろいろな分野で使われており、僅かな力で変位させてその位置に停止させることが可能であり、これをパレットの昇降用に使用し、自転車を搭載しない場合は1台の定荷重ばね装置で、自転車を搭載した場合は2台の定荷重ばね装置を使用し、人間の手で少しの力を加えるだけでスムーズに昇降させることが可能である。この場合、1台の定荷重ばね装置は常時パレットに接続しておき、他の1台は自転車を搭載したことを検出して自動的に接続する機構を設けておくことが望ましい。
【0017】
図8は直接二輪車を吊り下げるようにした例を示す図である。
この例においては、前述した駆動機構20にチェーンまたはワイヤ22の一端を切り離し可能に連結し、上部フレーム40の先端部に設けた滑車41を介してチェーンまたはワイヤ22を垂下させ、その先端部に二輪車を直接把持するか、二輪車に設けたフックに引っかけるような吊り下げ部材42を接続して直接吊り下げる。そして、駆動機構20により二輪車を下降、上昇させようにする。この方式は、もちろん2段目に使用することができるが、図1の例における3段目等に使用することも可能である。なお、チェーンまたはワイヤと二輪車との連結はどのような方法を用いてもよく、例えば、垂下させるチェーンまたはワイヤを2本にしてその先端部に棒を着脱自在に連結し、この棒を自転車のサドルや別途設けたフックに回して吊り下げる等適宜の手段を用いればよい。また、吊り上げた二輪車の2段目位置への固定は、前述したようにブレーキ付きモータを使用すれば、そのブレーキ力で可能であるが、別途、適宜の位置にロック機構を設けるようにしてもよい。また、上部フレーム40に代えて横移動可能な部材とし、吊り上げた状態でさらに横方向への移動ができるようにしてもよい。
【0018】
図9はパレットの昇降、横移動機構の他の例を示す図である。
図9(a)(正面図)に示すように、駐輪施設の縦フレーム50に対して上部フレーム51、下部フレーム52が横方向に延びており、上下フレーム間に縦スライドレール53が設けられている。縦スライドレール53の下端は自由端であり、端部に取付けられたキャスタ58が下部フレーム52に当接している。図9(b)(側面図)に示すように、縦スライドレール53の上端には、スライドパック57が取付けられ、横スライドレール54との間で保持したボールによってスライド可能になっている。スライドパック55は、縦スライドレールとの間で保持したボールによってスライド可能になっている。図9(c)(断面図)に示すように、スライドパック55は、両縁が断面コの字状に折り曲げられたスライドレールとの間に複数のボール56を介在させたものであり、ボールの転がりによってスライドする。この機構はスライドパック57も全く同様である。
【0019】
このようなスライドパックを図1の例に適用し、スライドパック55に自転車受台を取付けることにより、昇降はスライドパック55を縦スライドレール53に沿ってスライドさせることにより行い、横移動は、スライドパック57とキャスター58により行うことができる。
なお、図6の例の場合には、昇降にのみ適用すればよい。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、スペース効率がよく、収納に際しての労力を必要とせず、設置コストの安い駐輪施設を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2段式にした本発明の駐輪施設の概念図である。
【図2】 図1の駐輪施設の1段目を説明する図である。
【図3】 図1の駐輪施設の昇降・横移動機構を説明する図である。
【図4】 2段目のパレットを説明する図図である。
【図5】 自転車を載せたパレットの上昇・下降を説明する図である。
【図6】 2段式にした本発明の駐輪施設の正面図である。
【図7】 図6の駐輪施設におけるパレットの昇降を説明する図である。
【図8】 自転車を直接吊り下げる例を説明する図である。
【図9】 パレットの昇降・横移動機構の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1…支柱、2…屋根、3…1段目のレール、4,11…自転車受台、5,12…転倒防止装置、6,30…昇降ポスト、7,31…パレット、8…移動アーム、9…2段目のレール、10,32…昇降板、10a…ローラ、13…棒、14…ローラ、20…駆動機構、21…歯車列、22…チェーンまたはワイヤ、33…パイプ、34…支持アーム、35…自転車受台。

Claims (2)

  1. 転倒防止装置を備えた横方向に移動可能な自転車受台を複数台設置した第1段目と、複数の昇降用柱に沿ってそれぞれ昇降する転倒防止装置を備えた自転車受台を有するパレット及び該パレットを昇降させる駆動機構とを有する第2段目とからなる駐輪施設において、
    前記昇降用柱は施設上端部に設置された横移動可能な移動アームから吊り下げられ、前記駆動機構は移動アームまたは昇降用柱に取り付けられて前記パレットを吊り下げて昇降用柱に沿って昇降させ、
    前記昇降用柱は所定間隔で固定式に設置され、前記パレットは前記駆動機構から吊り下げられて昇降用柱に沿って昇降する昇降板と、該昇降板に取り付けられて昇降板に対して所定範囲で横方向にスライド可能な自転車受台を有することを特徴とする駐輪施設。
  2. 転倒防止装置を備えた横方向に移動可能な自転車受台を複数台設置した第1段目と、複数の昇降用柱に沿ってそれぞれ昇降する転倒防止装置を備えた自転車受台を有するパレット及び該パレットを昇降させる定荷重ばね装置とを有する第2段目と、からなる駐輪施設において、
    前記定荷重ばね装置は、パレット重量とほぼ等しい引き戻し力を有する第1の定荷重ばね装置と、自転車重量にほぼ等しい引き戻し力を有する第2の定荷重ばね装置とからなり、自転車空のときは第1の定荷重ばね装置で、自転車搭載時は第1と第2の定荷重ばね装置でパレットを昇降させることを特徴とする駐輪施設。
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