JP3963615B2 - 端末網制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話回線またはISDN回線を利用してセンター側装置と通信を行う通信システムにおける端末網制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のデータ伝送を行うための通信システムでは、図3、4に示すように、端末網制御装置1がISDN回線網(ディジタル回線)または電話回線網(アナログ回線)でセンター側交換局2、端末側交換局3を介してセンター側装置4と結ばれている。端末網制御装置1には、電話機5とメータ6または接点機器等とが接続されている。ISDN回線を利用する場合、DSU7、TA8を介して各交換局2、3と端末網制御装置1、センター側装置4がそれぞれ接続される。電話回線を利用する場合、端末側交換局3はノーリンギング(NR)トランク9を備えている。
【0003】
図5に端末網制御装置の概略構成図を示す。端末網制御装置1は、電話回線またはTA8のアナログ端子からの回線11に接続され、電話機6およびメータ5等が接続され、電話機6の使用状態を検出するオフフック検出回路12と、通信において送受信される信号の処理を行う通信回路13と、マイコンを有する制御回路14と、メータ5が接続され検針データを送出するためのメータインターフェース回路15と、制御回路14に対して直流の電源電圧を供給する電源としての塩化チオニール系リチュウム電池16と、マイコンをリセットするリセット回路17と、電話機6を回線11に対して接続したり切り離したりする切替回路18とが設けられている。
【0004】
切替回路18は、抵抗19とスイッチング素子としてのリレー20とを並列に接続してなり、スイッチング素子のオンにより抵抗19を短絡して電話機6と回線11とが接続状態とされ、スイッチング素子のオフにより電話機6と回線11との間に抵抗19が介在されて切り離し状態とされる。なお、抵抗19は、例えば交換局3から送出されるプレリンガー信号、リンガー信号、極反信号、発信者番号信号、さらにセンター側装置1からの通信信号等の信号を後方に接続している電話機6に送信できない状態にし得る値以上の値で、かつ回線11に抵抗19を挿入した状態で、電話機6のオフフック状態を回線11に流れる電流で検知でき得る最大値より小さい値になるように抵抗値が設定されており、例えば40k〜70kΩの範囲内で設定を行う。
【0005】
ここで、スイッチング素子にはラッチングリレー20が用いられ、図6に示すように、リレーコイル21がトランジスタ22を介して電池16に接続され、トランジスタ22のベース端子が制御回路14に接続される。図中、23はスタンバイ状態のときに蓄えられたエネルギーによってリレーコイル21を駆動するためのコンデンサ、24はコンデンサ23に流れる電流を制限するための電流制限用抵抗である。
【0006】
制御回路14からの信号がトランジスタ22に入力されると、トランジスタ22がオンしてリレーコイル21に電圧が印加され、ラッチングリレー20が動作する。図7に示すように、リレーコイル21には、セットコイル21aとリセットコイル21bとがある。セットコイル21aに通電することによって接続側に動作し、接点25が閉じて抵抗19を短絡する回路が形成され、接続状態となる。リセットコイル21bに通電することによって切り離し側に動作し、接点25が開いて電話機6と回線11との間に抵抗19が挿入され、切り離し状態となる。
【0007】
そして、この端末網制御装置1は、各家庭より発呼してくる端末発呼とセンター側より随時検針するセンター起動の二種類の起動方法をもっている。センター起動では、回線の種類によってアナログ回線の場合はノーリンギング(NR)起動、ディジタル回線の場合は発信者番号通知(ND)起動と呼ばれる。センター側装置1とセンター側交換局2が接続されダイヤルを行うと、ダイヤルされた相手番号は端末側交換局3に伝えられ、端末側交換局3から端末網制御装置4に対し呼び出し信号としてリンガー信号を送出する。このとき、図8に示すように、最初のリンガー信号をプレリンガー信号と呼び、このプレリンガー信号と次のリンガー信号の間に発信者電話番号信号が挿入され、センター側電話番号が通知される。
【0008】
発信者番号通知起動が設定されている場合、電話機6によって端末網制御装置4の動作が異なる。電話機6が発信者番号通知対応のとき、端末網制御装置4は電話機6を常に回線11に接続しており、発信者番号通知起動時には電話機6のオフフック、オンフックに合わせて動作する。また、電話機6が非対応のとき、端末網制御装置4は電話機6を常に回線11から切り離して、プレリンガー信号による電話機6の鳴動を防いでいる。すなわち、発信者電話番号に対応した電話機6の場合、プレリンガー信号は次に発信者電話番号がくることを知らせるための信号であると識別して、電話機6は鳴動しないが、発信者電話番号に対応していない電話機6の場合はこの識別ができないため、プレリンガー信号を通常のリンガー信号と同様に扱い、鳴動する。このため、プレリンガーが鳴動した時点でオフフックすると正常につながらないので、切り離す必要が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように回線に対する電話機の接続、切り離しはラッチングリレーのセット、リセットで行われ、ラッチングリレーは制御回路によって駆動されている。ところで、端末網制御装置では、外部から商用電源を供給するのではなく、リチュウム電池等の一次電池を電源として内蔵させるのが一般的である。
【0010】
しかしながら、端末網制御装置の使用状況や環境条件によっては、短期間で電池の容量が低下して寿命がくる場合がある。この電源電圧の低下に伴って、マイコンの動作が不安定となって暴走し、これによってラッチングリレーを動作させることができなくなる。そして、電話機が回線から切り離された状態で使用され続けていると、電話機は回線から切り離された状態のまま端末網制御装置は動作しなくなる。したがって、電話機が使用不能になる危険性がある。
【0011】
本発明は、上記に鑑み、電源の容量が低下しても電話機が使用不能とならないような端末網制御装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、電話機を回線に対して接続したり切り離したりする切替回路と、内蔵された電源から供給される電源電圧によって駆動され切替回路の切り替え動作を制御する制御回路とを備え、切替回路を切り離し側に動作する際に必要な切離動作電圧が、接続側に動作する際に必要な接続動作電圧より高く設定され、かつ制御回路が動作するのに必要な最小電源電圧より高く設定されたものである。
【0013】
そして、電源電圧が前記切離動作電圧よりも低下したとき、前記制御回路から切り替え動作のための信号が出力されると、切替回路での切り離し側への動作は不能となり、接続側への動作は可能とされる。これによって、電源の容量不足が生じたとき、電話機は回線に接続された状態となり、電話機は使用することができる。
【0014】
これを実現するために、切替回路にラッチングリレーを用い、このリレーのセット、リセットにより接続、切り離しの動作を行うとき、それぞれの動作電圧に差を付けて、ハード的に行う。すなわち、ラッチングリレーのリセットコイルに抵抗、ダイオード等の抵抗素子を設けて、切離動作電圧を接続動作電圧より高くして、電源電圧が低下すればラッチングリレーの切り離し動作を行えなくする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本実施形態の端末網制御装置4の構成は従来技術に示したものと基本的に同じであるので、詳細な説明は省略するが、本実施形態においては、端末網制御装置4に内蔵された電源である電池16の容量が低下したときでも必ず電話機6が使用可能とされるようになっている。
【0016】
すなわち、電話機6を回線11に対して接続したり切り離したりするラッチングリレー20を有する切替回路18において、切り離し側に動作させるときの動作電圧(リセットコイル電圧)が接続側に動作させるときの動作電圧(セットコイル電圧)より高くなるように設定して、電源電圧の変化に応じてセット、リセットの動作に差をつけている。このようにリセットコイル電圧を高くするために、図1に示すように、リセットコイル21bに対して直列に抵抗30を接続している。セットコイル21aでは、図6に示す従来と同じ回路構成とされる。これにより、リセットコイル電圧は、セットコイル電圧より高く設定され、かつ制御回路14を動作させるために必要な最小電源電圧より高く設定される。したがって、電源電圧がリセットコイル電圧より低くなると、ラッチングリレー20は切り離し側に動作できなくなり、接続側にのみ動作できる。
【0017】
具体的には、リセットコイル21bの抵抗値が106Ωのとき、通常リセットコイル21bに1.7Vの電圧を印加する必要があり、トランジスタ22で0.3V低下するので、ラッチングリレー20を切り離し側に動作させるのに必要なリセットコイル電圧は2.0Vとなる。このとき、電源電圧が2.0V以上あれば、リセットコイル21bは動作可能となる。一方、制御回路14のマイコンが動作するのに必要な最小電源電圧は2.0Vであり、これ以下ではマイコンが暴走して、正常に動作しなくなる。また、セットコイル電圧は1.9Vに設定されている。なお、ラッチングリレー20の動作電圧とは、リレーコイル21に印加すべき電圧とトランジスタ22にかかる電圧との和である。
【0018】
ところが、リセットコイル21bに例えば27Ωの抵抗30を接続すると、抵抗30によって0.4V低下することになり、リセットコイル21bは1.7Vの電圧が必要であるので、リセットコイル電圧は2.4Vとなり、抵抗30がない従来のものに比べて動作電圧が上昇する。その結果、ラッチングリレー20を切り離し側に動作させるためには、電源電圧は2.4V以上必要となる。これに対し、ラッチングリレー20を接続側に動作させるためには、電源電圧は1.9V以上あればよい。これらの各電圧の関係を図2に示す。なお、リセットコイル電圧は、2.0V〜2.5Vの間に設定されていればよい。
【0019】
そして、端末網制御装置4には、電源電圧を検出するための電圧検出回路が設けられており、この検出回路からの検出信号が制御回路14に入力される。制御回路14では、電源電圧が低下して所定電圧より低下したときセンター側装置1に電池切れが近いといった内容の警告を報知する機能を有している。この所定電圧は2.5Vに設定されており、これは1〜2カ月後にマイコンが動作不能になる値である。
【0020】
上記の構成において、端末網制御装置4は内蔵された電池16によって駆動され、電話機6が回線11に接続されたり、切り離されたりする。使用を続けるにつれて電池16の容量が低下して、その電源電圧が所定電圧より低下すると、制御回路14はセンター側装置1に電池切れの警告を報知する。センター側装置1では、電池16が容量不足になったことを認識して、端末網制御装置4が動作不能となる前に電池交換等の対策を指示する。
【0021】
さらに、電源電圧が低下して、リセットコイル電圧より低くなると、リセットコイル21bを動作させることができなくなり、ラッチングリレー20は切り離し側に動作することができなくなる。そして、警告を報知してからマイコンが動作しなくなるまで電源電圧が低下する間は、ラッチングリレー20は接続側に動作可能であるので、電話機6を回線11に接続した状態にしておく。これによって、電池交換されるまで、データ伝送は行えないが、電話機6は使用可能となる。特に、発信者番号通知起動に対応できない電話機6が接続されている場合、通常電話機6は回線11から切り離された状態となっており、このような場合に非常に有用である。
【0022】
上記では、ハード的にラッチングリレー20を切り離し側に動作できないようにしたが、電池切れの警告を報知してからしばらくはマイコンが正常に動作するので、ソフト的に対応してもよい。すなわち、制御回路14に、報知後に電話機6が回線11から切り離されたままになることを防ぐためにラッチングリレー20の動作を規制する機能を有せしめる。これは、制御回路14が電池切れを報知した直後に、切り離し側に動作することを禁止し、接続側にのみ動作するようにラッチングリレー20を制御するものである。あるいは、報知後一定時間、例えば2〜3週間経過後に上記の制御を行う。
【0023】
したがって、電源電圧が低下してきたとき、報知後にラッチングリレー20は接続側に動作され、電話機6は回線11に接続された状態のままとなり、マイコンが動作不能になっても電話機6は使用可能である。
【0024】
なお、ソフト的に対応する場合、ラッチングリレー20の動作電圧は、この制御を行うときの電源電圧よりも低ければよい。そのため、ラッチングリレー20の代わりに、他のスイッチング素子としてトランジスタやフォトモスリレーを用いてもよい。
【0025】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。例えば、リセットコイルに対して抵抗を接続する代わりにダイオードを接続してもよい。さらに、抵抗を可変抵抗とすれば、その抵抗値を任意に調整することができるので、リセットコイル電圧をマイコンの動作電圧と電池切れを報知するときの所定電圧との間で任意に設定できる。また、電源として一次電池の代わりに二次電池を用いてもよい。
【0026】
上記の実施形態では、ハード的な対策とソフト的な対策とはそれぞれ別々に取っているが、両者を組み合わせてもよく、例えマイコンが暴走して誤動作が起こっても、電源の容量がなくなったときには確実に電話機を回線に接続した状態にしておくことができる。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、電源電圧が低下したとき切替回路を接続側に動作させることにより、制御回路が動作不能となっても電話機は回線に接続された状態にすることができる。したがって、端末網制御装置が電源の容量低下によって機能しなくなる前に、電話機は回線に接続された状態となるので、電話機は使用することができ、ユーザーに不便をかけないですむ。
【0028】
特に、発信者番号通知のサービスを利用した通信システムを構築している場合、端末網制御装置に発信者電話番号を表示できない電話機が接続されていると、通常は電話機を回線から切り離した状態にしておかなければならないが、上記のように動作させることによって、電源が容量不足となっても電話機が使用可能となり、サービスの低下を防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のラッチングリレーの回路構成図
【図2】本発明での動作電圧と従来での動作電圧を比較した図
【図3】ISDN回線網を利用した通信システム図
【図4】電話回線網を利用した通信システム図
【図5】端末網制御装置の概略構成図
【図6】従来のラッチングリレーの回路構成図
【図7】切替回路の概略構成図
【図8】発信者番号通知起動における端末側での着信信号を示す図
【符号の説明】
1 センター側装置
4 端末網制御装置
5 メータ
6 電話機
11 回線
14 制御回路
16 電池
18 切替回路
20 ラッチングリレー
21 リレーコイル
21a セットコイル
21b リセットコイル
30 抵抗
Claims (4)
- 電話機および端末機器が接続され、センター側装置との間で電話回線またはISDN回線を介してデータ伝送を行う端末網制御装置であって、前記電話機を前記回線に対して接続したり切り離したりする切替回路と、内蔵された電源から供給される電源電圧によって駆動され前記切替回路の切り替え動作を制御する制御回路とを備え、前記切替回路が切り離し側に動作する際に必要な切離動作電圧と接続側に動作する際に必要な接続動作電圧とに差が付けられ、前記切離動作電圧が、前記接続動作電圧より高く設定され、かつ前記制御回路が動作するのに必要な最小電源電圧より高く設定され、前記電源電圧が前記切離動作電圧よりも低下したとき、前記制御回路から切り替え動作のための信号が出力されると、前記切替回路での接続側への動作は可能とされ、前記切替回路での切り離し側への動作が不能とされたことを特徴とする端末網制御装置。
- 制御回路は、電源電圧が所定電圧より低下したときセンター側装置に電源の容量不足を報知する手段を有し、切離動作電圧は前記所定電圧より低く設定されたことを特徴とする請求項1記載の端末網制御装置。
- 切替回路にラッチングリレーが用いられ、該ラッチングリレーは、制御回路からの信号によって通電される接続用のセットコイルおよび切り離し用のリセットコイルを備え、前記リセットコイルに対して抵抗素子が設けられ、切離動作電圧が接続動作電圧より高くされることを特徴とする請求項1または2記載の端末網制御装置。
- 抵抗素子が可変抵抗とされたことを特徴とする請求項3記載の端末網制御装置。
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