JP3962750B2 - ハンドル刺繍ミシン - Google Patents

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Description

本発明は、自在に送り方向を調整して環縫いを行うことが可能なハンドル刺繍ミシンに関するものである。
被縫製物に刺繍を施す際に、環縫いと呼ばれる縫い方が従来から採用されている。この環縫いは、糸を針で環状に縫いつける縫い方であり、鉤針と呼ばれる鉤状の糸通し穴が形成された針を用いて行われる。さらに、環縫いにはモスステッチ、チェーンステッチの2種類の代表的な縫い方がある。より詳しくは、モスステッチは以下のようなものである。
鉤針に環状に係合された糸を鉤針とともに被縫製物の下面から上面へ引き上げ、鉤針から取り外す。次に、所定のピッチ分鉤針を移動させ、あるいは被縫製物を送り、鉤針を被縫製物の上面から下面に貫通させ、再び環状に糸を係合し、下面から上面へ引き上げる。この動作を連続して行うことで、上面には、所定のピッチで糸の環が形成されて、これをモスステッチという。
また、鉤針に環状に係合された糸を被縫製物の下面から上面へ引き上げた後、鉤針から糸を取り外さず、係合したまま環状の糸を鉤針によって被縫製物の上面に押し倒す。そして、鉤針を被縫製物の上面から下面に貫通させ、そのまま押し倒された環の中から次の環状に係合された糸を引き上げることによって、被縫製物の上面において隣り合う環同士が鎖状に係合しながら連続するようになり、これをチェーンステッチという。
これらモスステッチとチェーンステッチの違いは、作用的には被縫製物の上面に引き上げられた環から鉤針を取り外して次のピッチに移動するか、係合したまま次のピッチに移動するかの違いである。また、構成的には、被縫製物の送り方向に鉤針の糸通し穴を向ければ、糸が取り外れてモスステッチとなり、糸通し穴を逆方向に向ければ、被縫製物の上面側に鉤針がある時は常に糸は係合された状態となり、チェーンステッチとなる。
このような環縫いを行うミシンとしては、以下に示すミシンが提案されている。例えば、上下駆動する鉤針と、鉤針と同期的に回転制御されるルーパとを備え、ルーパに回転駆動を与えるための制御モータと、制御モータに接続され、ルーパに対する鉤針の高さ位置が最適となるタイミングで制御モータを制御する制御装置とを備えた環縫いミシンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、上記とは異なり、従来からの環縫いを行う刺繍ミシンとしては、鉤針の先端部の周囲を囲むように、上下かつ所定の送り方向に振動可能な環状の送り枠を設けて、この送り枠の送り方向を鉤針の方向及び鉤針の下方にて鉤針と同期的に回転運動するルーパの方向とを同期させて回転可能とすることで、360度自在に送り方向を変えて刺繍することが可能なハンドル刺繍ミシンが提案されている。
特開平8−84880号公報
しかしながら、前者の特許文献1における環縫いミシンにおいては、被縫製物の移動方向に対して鉤針の向きは常にモスステッチに対応する向きであり、鉤針の向きが逆となるチェーンステッチに切り替える方法は開示されていない。
また、後者のハンドル刺繍ミシンにおいて、モスステッチとチェーンステッチの両方に対応するには、送り枠の送り方向を固定したまま、鉤針とルーパの向きを180度切り替える必要があった。しかし、このハンドル刺繍ミシンは、360度自在に方向を変えて刺繍を可能とするため、送り枠の送り方向と鉤針の向きとルーパの向きが常に一致するように3つの回転運動は同期されており、これらが連動して駆動する機構を解除しなければならなかった。このため、鉤針あるいは鉤針を保持する針棒が固定されているボルト等の係合器具を緩めて、目視にて180度回転させて調整する。さらに、ルーパにおいては、駆動部からの駆動力を伝達させる作動歯車の咬合を取り外して180度回転させる、あるいは駆動部に取り付けられた作動歯車を主軸から取り外してルーパを作動歯車と共に180度回転させる必要があった。しかし、鉤針あるいは針棒の向きを調整する作業は目視による作業で不正確であり、その調整には熟練さを必要とした。また、ルーパの向きを180度回転させる作業は、ミシン本体の下部での作業で、なおかつルーパという精密で非常に小さな部品を取り外す、あるいは作動歯車を取り外して切り替える作業であり、熟練さを必要とするとともに、非常に時間を要する作業であった。このため、このようなハンドル刺繍ミシンにおいて、モスステッチ及びチェーンステッチを自在に扱うのは熟練者に限られており、初心者や家庭において使用するには、技術上、安全上問題があった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、360度自在に送り方向を変えて刺繍することが可能で、モスステッチとチェーンステッチの2種類の環縫い方法を容易にかつ安全に切り替えることが可能なハンドル刺繍ミシンを提供する。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、鉤針と、該鉤針の鉤部に糸を誘導するルーパと、被縫製物を所定の送り方向に移動させる送り機構と、前記鉤針、前記ルーパ及び前記送り機構を同期させて往復運動させる駆動部と、軸方向に往復運動して、前記ルーパに往復運動を伝達する前記駆動部の主軸を、往復運動とは連動させずに回転させることで、前記送り機構の送り方向、前記鉤針の向き及び前記ルーパの向きを同期させて設定することが可能な方向調整機構とを備え、自在に縫製方向を変えて環縫いを行うことが可能なハンドル刺繍ミシンであって、前記鉤針を保持する針棒と、往復運動する前記駆動部に前記針棒を軸線回りの180度異なる2つの向きで固定可能な係合部と、前記方向調整機構と独立して、前記ルーパの向きを180度回転させることが可能なルーパ方向切替部とを備え、前記送り機構の送り方向に対して、相対的に前記針棒の向き及び前記ルーパの向きをそれぞれ180度回転させることで、チェーンステッチ及びモスステッチの2つの異なる種類の環縫いが可能であることを特徴としている。
この発明に係るハンドル刺繍ミシンによれば、鉤針を保持する針棒を係合部に軸線回りの180度異なる2つの向きで正確に固定することが可能である。さらに、ルーパ方向切替部によって、方向調整機構と独立して、ルーパの向きを180度回転させることが可能なので、送り機構の送り方向を固定したまま、鉤針とルーパの向きを180度回転させることができ、チェーンステッチ及びモスステッチの2種類の環縫いが可能となる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のハンドル刺繍ミシンにおいて、前記方向調整機構は、回転自在なハンドルと、該ハンドルの回転を伝達するハンドル軸と、前記駆動部の前記主軸に外嵌し固定される規制部材を軸方向に移動可能かつ回転規制する長穴を有し、前記主軸に外嵌され、一端に傘歯車が設けられる第一の円筒軸と、前記主軸に回転可能に外嵌され、前記第一の円筒軸と向い合う一端に傘歯車が設けられ、他端には前記ハンドル軸の回転を伝達する歯車が設けられる第二の円筒軸とを備え、前記ルーパ方向切替部は、前記チェーンステッチ及び前記モスステッチの各々に対応する係止位置間で、回動可能なレバーと、前記レバーの回動を伝達するレバー軸と、一端部が前記第一の円筒軸に回動可能に軸着され、他端部が前記第二の円筒軸に回動可能に軸着されるとともに、いずれか一方の端部にはレバー軸の回転を伝達する歯車が設けられる略コの字状のアームとを備え、前記方向調整機構の前記第一の円筒軸の前記傘歯車と前記第二の円筒軸の前記傘歯車とは、前記ルーパ方向切替部の前記アームに回転可能に軸着された傘歯車に咬合されて連動可能であることを特徴としている。
この発明に係るハンドル刺繍ミシンによれば、ルーパ方向切替部のレバーを回転させれば、回転がレバー軸からアームに伝達されて、アームが第一の円筒軸及び第二の円筒軸の軸回りに回動する。アームの回動に伴って、アームに軸着された傘歯車も第一の円筒軸の傘歯車及び第二の円筒軸の傘歯車に咬合したまま回動する。つまり、第二の円筒軸の傘歯車を固定太陽歯車、アームに軸着された傘歯車を遊星歯車として、第二の円筒軸の傘歯車の周りを遊星運動する。このため、アームの回動に伴い、アームの傘歯車は回転し、連動して第一の円筒軸の傘歯車がアームの回転数とアームの傘歯車の回転数の総和で回転する。第一の円筒軸が回転することにより、第一の円筒軸と駆動部の主軸とは、規制部材と長穴で相対的に回転規制されているので、駆動部の主軸も回転し、ルーパに伝達されて回転する。このような機構により、ルーパが180度回転するのに対応する角度だけレバーを回転させれば、方向調整機構と独立し、鉤針及び送り機構と関係なく、容易にかつ安全にルーパのみを180度回転させることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のハンドル刺繍ミシンにおいて、前記針棒または前記係合部のいずれか一方に係止ピンが設けられ、前記針棒または前記係合部の他方の対応する位置の180度異なる2箇所に前記係止ピンを係止可能な切欠きが設けられるとともに、前記係合部には、段差が設けられ、180度異なるそれぞれの向きで固定した際に、前記鉤針を固定する高さが異なることを特徴としている。
この発明に係るハンドル刺繍ミシンによれば、針棒と係合部とに設けられた係止ピン及び切欠きによって、容易にかつ安全に鉤針の向きを180度異なる向きに設定することができる。また、一般にチェーンステッチは、縫製の際鉤針の上下運動の最上点をモスステッチに対して高めに設定した方が良好な仕上がりとなる。180度異なるそれぞれの向きで固定した際に、鉤針を固定する高さを異なる高さに設定することができることで、モスステッチ及びチェーンステッチの2種類の刺繍方法のそれぞれの特性に従い、良好な仕上がりとすることができる
本発明によれば、モスステッチとチェーンステッチの2種類の環縫い方法を容易にかつ安全に切り替えることが可能であり、初心者や家庭においてモスステッチとチェーンステッチの2種類の環縫いを自在に使用した刺繍を施すことを可能とすることができる。
図1から図16はこの発明に係る実施形態を示している。図1にハンドル刺繍ミシンの一部を破断した斜視図を示す。図2に針部及び係合部の詳細図、図3に針棒の詳細図、図4に係合部の詳細図を示す。また、図5、図6に針部と係合部を組み立てた断面図を示す。図7にテーブルの下部の一部を破断した底面図、図8に一部を破断した側面図、図9に一部分の下方からの斜視図を示す。また、図10にルーパの詳細図を示す。さらに、図11から図14に鉤針とルーパとの関係を表わす説明図、図15にモスステッチの説明図、図16にチェーンステッチの説明図を示す。
図1に示すように、この実施形態のハンドル刺繍ミシン1は、被縫製物Aを縫製する鉤針2が設けられた針部3と、鉤針2に糸を誘導し係合するルーパ4と、被縫製物Aを所定の送り方向Pに移動させる送り機構5と、送り方向Pを任意の方向へ調整し、設定することが可能な方向調整機構6と、方向調整機構6と独立してルーパ4の向きを調整可能なルーパ方向切替部7とを備えている。また、ハンドル刺繍ミシン1は、鉤針2、ルーパ4及び送り機構5とを同期させて往復運動させることが可能な駆動部8と、縫製作業を行うテーブル9と、テーブル9を支持する脚10と、テーブル9の上部において、各機構を保護するカバー11とを備えている。
図1、図2に示すように、駆動部8は、動力源であるモータ12と、針部3及び送り機構5を保持し作動させるヘッド13と、モータ12の動力をヘッド13に伝達させる上部主軸14と、ルーパ4にモータ12の動力を伝達させる下部主軸15とを備える。ヘッド13には、図示しないが針部3を上下運動させる機構、送り機構5を振動させる機構、針部3及び送り機構5を回転運動させる機構とが備えられている。また、針部3が挿入され、貫通する下部には、略円筒状で下端側が縮径したニップル13aが針部3と同軸上となるように設けられていて、針部3の上下運動と同期して、上下運動することが可能である。上部主軸14は、針部3及び送り機構5に往復運動Qを伝達させ、下部主軸15はルーパ4に往復運動Qを伝達させ、これにより針部3の上下運動M3、ルーパ4の往復回転運動M4、送り機構5の上下及び送り方向前後の振動運動V5は同期して行われ、被縫製物Aに一定のピッチのステッチを施すことができる。また、方向調整機構6による方向調整によって、回転運動Rが伝達され、針部3の回転運動R3、ルーパ4の回転運動R4及び送り機構5の回転運動R5は、同期して行われる。
図2に示すように、送り機構5は、ヘッド13と接続され、振動運動V5を伝達する支持棒5aと、針部3をヘッド13に取り付けた際に、針部3の鉤針2の周囲を囲むリング状の送り枠5bとで構成されている。送り枠5bの高さ方向の位置は、テーブル9よりも僅かに上方に位置し、振動運動V5が与えられて最下点に達した時にテーブル9に敷設された被縫製物Aを適度に押圧し、振動運動V5による送り方向Pへの振動によって、被縫製物Aを送り方向Pに移動させることが可能な位置とする。
また、図2、図3に示すように、針部3は、鉤状に一側端が開放された糸通し穴である鉤部2aが設けられ、上端部2bにおねじが設けられた鉤針2と、略棒状で、下端部16aに鉤針2の上端部2bを螺合可能なねじ穴16bが設けられた針棒16とで構成されている。また、針棒16の上端部16cには、針棒16を挿入可能な貫通孔17fを有する略円板上の係合板17が外嵌され固定されている。係合板17の側面17eには、側面17eから貫通孔17fに貫通するねじ穴17gが形成され、固定ねじ17hを螺入することで、針棒16と係合板17との軸回りの向きを調整して固定可能となっている。また、係合板17は、下面17a側に設けられた段差17bによって、半分が厚板部17c、半分が薄板部17dに形成されている。また、係合板17の厚板部17c、薄板部17dの各々の側面17eには、上面17iから下面17aに貫通する切欠き18、19が形成されている。これら切欠き18、19は、係合板17の中心に対して180度異なる位置に配置されている。さらに、厚板部17cの切欠き18の側方には、モスステッチを表わすMのマーク18aが刻印されている。また、薄板部17dの切欠き19の側方にはチェーンステッチを表わすCのマーク19aが刻印されている。さらに、係合板17の上方において、針棒16にはツマミ20が接合されている。そして、針棒16と係合板17との軸回りの相対的な位置関係は、図2に示すような係合板17の切欠き19に係止ピン23を挿入した場合において、鉤針2の鉤部2aの向きが後述するチェーンステッチを行うのに最適な向きとなるように設定され、固定ねじ17hで固定されている。
図2に示すように、針部3は、係合部21によって、ヘッド13に係合されている。図4に示すように、係合部21は、略円筒状で、中心に貫通孔22が設けられていて、貫通孔22の直径は、針棒16の直径と略等しくかつ針棒16を挿入可能に設定されている。また、下端部21aは、凹部21bによって、略D形状の断面を有し、その上方には、外周端21cに突設する環状の凸部21d、21eが設けられ、これにより環状の凹部21fが形成されている。また、上端部21gには、段差21hが形成されるとともに、係止ピン23が上方へ突設している。図2に示すように、係止ピン23の断面形状及び位置は、係合部21の貫通孔22に針棒16を挿入した際に、係合板17の切欠き18、19と挿入可能な断面形状及び位置に設定されている。また、図5に示すように、段差21hの高さは針部3の係合板17の段差17bより僅かに大に設定されていて、段差21hの位置は切欠き18に係止ピン23を挿入した際に、段差21hと段差17bとが互いに係合するように設定されている。また、図4、図5に示すように、貫通孔22の内周面22aには、C環状のリング24が設けられているともに、側面21iから貫通孔22に貫通するねじ穴21jに螺入された固定ねじ25によって、リング24を貫通孔22の内部に押圧可能になっている。
図2に示すように、係合部21は、凹部21bによって、ヘッド13に伝達された回転運動を伝達可能に、かつ凸部21d、21e及び凹部21fによって、ヘッド13に伝達された上下運動を伝達可能に係合されている。そして、係合部21は、モータ12から伝達される往復運動Q及び方向調整機構6から伝達される回転運動Rの入力により、ヘッド13によって上下運動及び回転運動のそれぞれが可能となっている。さらに、図5に示すように、ヘッド13に固定された係合部21の貫通孔22に、鉤針2が固定された針棒16を挿入し、切欠き18または19に係止ピン23を挿入し、固定ねじ25を締め付けて、リング24によって、挿入された針棒16を押圧することによって、針部3は係合部21と一体となって、ヘッド13から伝達される上下運動M3及び回転運動R3を行うことが可能となる。ここで、図5に示すように、鉤針2の鉤部2aの向きは、鉤針2が針棒16のねじ穴16bの基端まで螺入され、係合板17の切欠き18に、係合部21の係止ピン23が挿入された際に、送り機構5の送り方向Pと略等しい方向となるように設定され、係合板17の固定ねじ17hで固定されている。また、図6に示すように、係合板17の切欠き19に、係合部21の係止ピン23が挿入された際には、鉤針2の鉤部2aの向きは軸回りに180度回転し、送り方向Pと反対の向きとなる。また、図5、図6に示すように、係合板17の切欠き18に係止ピン23を挿入させる時と、切欠き19を係止ピン23に挿入させる時とでは、係合部21の段差21hの高さ分だけ、鉤針2を固定する高さが異なる。
また、図10に示すように、ルーパ4は、略円筒状の部材で、貫通孔4aの外径は、鉤針2を同軸となるように挿入した際に、隙間4bが使用される糸の太さよりも大となるように設定されている。また、外周面4cには、らせん状の歯が形成されたギア部26が設けられている。また、先端面4dは、らせん状に傾斜して形成され、上端部4eが突設することで、鉤状の凹部27が形成されるとともに、上端部4eの外周側4fには、糸を係合可能な係合溝28が設けられている。図8に示すように、ルーパ4は、上方位置する鉤針2と同軸上になるように設けられている。また、鉤針2の下方において、テーブル9には、ルーパ4の外径よりも僅かに大に設定された貫通孔9aが形成されるとともに、上面部9bにおいて、凹部9cが形成され、鉤針2を挿入することが可能な針穴29aが形成された針板29が嵌め込まれている。そして、ルーパ4は、上端部4eが針板29の僅かに下方の位置となるように、図示しない軸受によって回転可能に支持されている。
次に、図7、図8に示すように、駆動部8の下部主軸15は、先端部15aにルーパ4のギア部26と1対1のギア比に設定されるらせん状の歯を有する作動ギア30が固定されていて、ルーパ4のギア部26と咬合している。また、基端部15bには、伝達部材31が設けられ、伝達部材31によってモータ12の往復運動Qを下部主軸15に軸方向の往復運動Q15として伝達することが可能であるとともに、下部主軸15が軸回りに回転することを可能としている。
また、図7、図8に示すように、方向調整機構6は、略円筒状で、駆動部8の下部主軸15に回動可能にかつ軸方向に移動可能に外嵌される第一の円筒軸32、第二の円筒軸33及び第三の円筒軸34と、回転自在にテーブル9に軸着されるハンドル軸35と、ハンドル軸35の先端部35aに接合されたハンドル36とを備える。第一の円筒軸32、第二の円筒軸33及び第三の円筒軸34は、図示しない軸受によってそれぞれテーブル9に回転可能にかつ軸方向の移動を規制された状態で軸支されている。このため、下部主軸15と、第一の円筒軸32、第二の円筒軸33及び第三の円筒軸34とは、互いに独立して回転可能であり、かつ下部主軸15は、第一の円筒軸32、第二の円筒軸33及び第三の円筒軸34の内部において移動可能となっている。また、第一の円筒軸32には、下部主軸15の外周面15cまで貫通する長穴37が形成され、下部主軸15には、長穴37と対応する位置において、規制部材38が外嵌し固定されている。長穴37の短幅は、規制部材38と略等しい幅を有し、長穴37が形成される範囲においては、第一の円筒軸32の内径も長穴37の短幅と略等しい直径に拡径されている。このため、この規制部材38と長穴37とによって、下部主軸15は規制部材38が長穴37の内部で移動可能とする範囲内で第一の円筒軸32に対して軸方向に移動可能であり、また相対的に回転規制されている。また、第一の円筒軸32の基端部32aには、傘歯車32bが設けられている。
第二の円筒軸33は、基端部33a及び先端部33bのそれぞれに傘歯車33c、33dが設けられている。同様に、第三の円筒軸34にも、基端部34a及び先端部34bのそれぞれに傘歯車34c、34dが設けられている。ハンドル軸35の基端部35bには、傘歯車35cが設けられている。さらに、ハンドル軸35の傘歯車35cと、第二の円筒軸33の傘歯車33c及び第三の円筒軸34の傘歯車34dとの間には中間軸39がテーブル9に回転可能に軸支されていて、先端部39aに設けられた傘歯車39bは、ハンドル軸35の傘歯車35cに、基端部39cに設けられた傘歯車39dは、第二の円筒軸33の傘歯車33c及び第三の円筒軸34の傘歯車34dにそれぞれ咬合されている。また、第三の円筒軸34の基端部34aの傘歯車34cは、駆動部8のヘッド13に回転運動Rを伝達する傘歯車40と咬合している。また、ハンドル36は、ハンドル軸35に接合される柄36aと、柄36aの先端部36bに軸36cで回転可能に軸着される把持部36dとを備える。
次に、ルーパ方向切替部7は、略コの字状で、一端部41aが第一の円筒軸32に回動可能に軸着され、他端部41bが第二の円筒軸33に回動可能に軸着されたアーム41と、テーブル9に回転可能に軸着されるレバー軸42と、レバー軸42の先端部42aに接合されるレバー43とを備える。アーム41の中央部41cには、駆動部8の下部主軸15の中心方向に向って、傘歯車41dが回転可能に軸着され、第一の円筒軸32の傘歯車32b及び第二の円筒軸33の傘歯車33dと咬合されている。さらに、アーム41の他端部41bの側面41eには、第二の円筒軸33と同軸となるように歯車41fが接合されている。また、レバー軸42の基端部42bには、傘歯車42cが設けられている。さらに、レバー軸42の傘歯車42cと、アーム41の歯車41fとの間には、中間軸44がテーブル9に回転可能に軸支されていて、中間軸44の先端部44aに設けられた傘歯車44bがレバー軸42の傘歯車42cと咬合し、基端部44cに設けられた歯車44dがアーム41の歯車41fと咬合している。
また、レバー43は、レバー軸42と同心となるように接合される扇状の板部材45と、板部材45の周面45aの半径方向に接合される柄43aと、柄43aの先端部43bに設けられる把持部43cとを備える。そして、板部材45の上面45bには、2つの制止ピン46、47が突設し、さらに2つの半球状の係合凹部48、49が形成されている。また、制止ブロック50が図示しない固定部材によりテーブル9に固定されている。制止ブロック50の下面部50aには穴50bが形成され、穴50bに収容されたバネ50cによって、係合凹部48、49の形状に対応する球体50dが出没可能に設けられている。図7に示すように、レバー43は、制止ブロック50の一側面50eに制止ピン46が当接する位置から、制止ブロック50の他側面50fに制止ピン47が当接する位置まで90度分回動することが可能に設定されている。さらに、制止ブロック50が制止ピン46または47と当接した際に、板部材45の係合凹部48または49に制止ブロック50の球体50dが嵌入するように設定されている。制止ブロック50のバネ50cの反撥力は、制止ブロック50の球体50dが板部材45の係合凹部48または49に嵌入された状態の時に、レバー43が本体の振動等によって自然に回動しないよう係止可能で、かつレバー43を手動で回動した際に、容易に着脱可能な程度とする。そして、後述するように、レバー43を回動して所定の位置に設定することで、モスステッチとチェーンステッチに対応するルーパ4の方向調整を行うが、制止ブロック50と板部材45の制止ピン46及び係合凹部48とで係止するレバー43の位置がチェーンステッチと対応するように設定されている。そして、この時のレバー43の把持部43cの位置と対応するテーブル9の側面9dにおいて、チェーンステッチを意味するCのマーク43dが刻印されている。また、制止ブロック50と板部材45の制止ピン47及び係合凹部49とで係止するレバー43の位置がモスステッチと対応するように設定されていて、この時のレバー43の把持部43cの位置と対応するテーブル9の側面9dにおいて、モスステッチを意味するMのマーク43eが刻印されている。
以上、本実施形態のハンドル刺繍ミシン1の構成について説明したが、互いに咬合する歯車(傘歯車を含む)同士は、本実施形態においては特に断りの無い限りすべて1対1のギア比とする。また、テーブル9の下部に構成される各部材、機構は、図示しないが軸受などによってテーブル9に保持されているものとする。また、図示しないが、テーブル9の下部のルーパ4の近傍には、糸Bをルーパ4の貫通孔4aの下方から上方へ通し、ルーパ4の上方に位置する鉤針2に供給する供給部も備えている。さらに、図示しないが、その他通常のミシンに必要とする部材、機構については備えているものとする。
次に、この実施形態のハンドル刺繍ミシン1の作用について説明する。図1において、前述のように、駆動部8のモータ12を駆動させると、上部主軸14からヘッド13へ、また下部主軸15へ往復運動Qが伝達される。図2に示すように、ヘッド13へ伝達された往復運動Qは、ヘッド13によって、係合部21に上下運動M3として伝達されて、係合部21に固定されている針部3の鉤針2が上下運動M3を行う。また、往復運動Qは、送り機構5には、振動運動V5として伝達されて、送り枠5bが上下に振動しつつ送り方向の前後へ振動することで、下方に位置する被縫製物Aを所定のピッチずつ移動させる。また、ヘッド13は、鉤針2が下方へ移動する時は、ニップル13aを少し遅れて下方へ移動させて被縫製物Aに当接させるとともに、鉤針2が上方へ移動する際は、鉤針2の上方移動よりも少し早く上方に移動させる上下運動をニップル13aに行わせる。また、図7に示すように、下部主軸15への往復運動Qの伝達は、伝達部材31を介して、軸方向の往復運動Q15として伝達される。この時、第一の円筒軸32、第二の円筒軸33及び第三の円筒軸34は移動せずに、下部主軸15のみが軸方向に移動し、先端部15aの作動ギア30からルーパ4のギア部26を介して、往復運動Q15がルーパ4の往復回転運動M4として伝達される。ここで、下部主軸15の往復運動Q15の振幅は、ルーパ4の往復回転運動M4の振幅が360度になるように設定されている。
これら鉤針2の上下運動M3、ルーパ4の往復回転運動M4、送り機構5の振動運動V5は、同期しており、これらの連動によって、被縫製物Aの縫製を行う。以下にその詳細を示す。図11から図14は、被縫製物Aを縫製している時の鉤針2とルーパ4との相対的な関係を示している。図11から図14においては、鉤針2とルーパ4との関係を明解とするため、鉤針2、ルーパ4、作動ギア30、駆動部8の下部主軸15、糸B及び被縫製物Aのみを記載し、その他の構成要素は省略している。図11に示すように、縫製に使用する糸Bは、図示しない供給部から供給され、ルーパ4の下方から上方へ貫通孔4aに挿入され、ルーパ4の上端部4eの下部に位置する凹部27からルーパ4の外方に抜けて、ルーパ4の係合溝28に係合されている。まず、図11に示すように、鉤針2は、下向きに移動し、被縫製物Aの上方から被縫製物Aを貫通する。この時、ルーパ4の係合溝28は鉤針2の鉤部2aと反対側の方向に向いており、駆動部8の下部主軸15が基端部側のS方向へ移動するのに伴い、作動ギア30とルーパ4のギア部26との関係から右回りに回転する。
次に、図12に示すように、鉤針2はさらに下向きに移動し、ルーパ4の貫通孔4aに挿入され、最下点に達して上向きの移動に切り替わる。この時、ルーパ4は、下部主軸15のS方向への移動に伴い、右回りに回転し、ルーパ4の係合溝28が鉤針2の鉤部2aと同じ方向を向く。糸Bは、ルーパ4の右回りの回転に伴い、ルーパ4の係合溝28によって、貫通孔4aに挿入された鉤針2に巻き付くように誘導される。そして、さらにルーパ4が右回りに回転することにより、糸Bは鉤針2に巻き付き、上向きに鉤針2が移動するのに伴い、巻き付いた糸Bが鉤針2の鉤部2aに係合される。
図13に示すように、さらに鉤針2は上向きに移動し、鉤針2は被縫製物Aを貫通した孔51から、鉤部2aに係合した糸Bを環状に引き上げる。鉤針2の鉤部2aが被縫製物Aと略等しい位置に達した時、再びルーパ4の係合溝28は鉤針2の鉤部2aと反対側の方向に向く。そして、下部主軸15の移動方向がS方向から反転して、T方向に切り替わるのに伴い、ルーパ4も左回転に切り替わる。
次に、図14に示すように、鉤針2はさらに上方へ移動し、最上点に達し、下向きの移動に切り替わる。この時、糸Bは、鉤針2によって、引き上げられ、被縫製物Aの上方に環52が形成される。そして、鉤針2が下向きの移動に切り替わるのに伴い、鉤針2の鉤部2aに係合された状態から外れて、形成された環52は取り残される。ここで、送り機構5によって被縫製物Aを所定ピッチ送ることにより、再び図11に示す工程から同様の作業を繰り返し、図15に示すように、所定のピッチ離れた位置に再び次の環52を形成することができる。この場合、送り方向Pと鉤針2の鉤部2aに向きが略等しい向きであるため、最上点に達した鉤針2が下向きに移動する際に、被縫製物Aの送りと、鉤針2の下向きの移動によって、鉤針2の鉤部2aから糸Bが外れるので、モスステッチを施すことができる。
図16は、送り方向Pに対して鉤針2及びルーパ4の向きを180度反転させた場合を示している。この場合、鉤針2が最上点に達して、下向きの移動に切り替わっても、鉤針2の鉤部2aの向きと被縫製物Aの送り方向Pと逆になっているため、糸Bは鉤針2の鉤部2aに係合されたまま、鉤針2とともに移動し、環52は送り方向Pと反対方向に押し倒される。そして、鉤針2が被縫製物Aを下向きに貫通する際に、鉤針2の鉤部2aから外れる。この時、鉤針2は糸Bの環52の内部52aに位置しているので、次の糸Bが環状に引き上げられて形成される環52は、前の環52の内部52aから引き上げられる。これを繰り返すことによって、被縫製物Aの上面A1には、連続する環52が鎖状に連結されて、チェーンステッチを施すことができる。ここで、図2に示すように、ヘッド13によって、ニップル13aが鉤針2の下方移動ともに移動して、被縫製物Aを押圧するので、鉤針2が被縫製物Aを貫通するのに伴って、鉤針2の鉤部2aから外れて押し倒された環52は、ニップル13aによって押え付けられるので糸Bがずれることなく、確実に次の環52を前の環52の内部52aから引き上げることができる。また、この際鉤針2がニップル13aに対して相対的に上下移動して、ニップル13aから出没するが、ニップル13aの下端側は縮径しているので、作業者が鉤針2を目視する際の支障とならず、作業性を確保することができる。
次に、被縫製物Aの送り方向Pの調整について説明する。前述のように、モスステッチ、チェーンステッチいずれの場合においても、送り方向Pと鉤針2の鉤部2aの向きとを一定の関係に保つことが必要であり、また鉤針2の鉤部2aに繰り返し糸Bを係合するには、鉤針2とルーパ4とも一定の関係を保つ必要がある。このため、送り方向Pを調整する際は、送り機構5と鉤針2とルーパ4のすべてを同期させて回転させる必要がある。図7に示すように、方向調整機構6のハンドル36をハンドル軸35の軸回りに所定の角度分だけ回転させる。回転はハンドル軸35から中間軸39へ、傘歯車35c、39bを介して伝達される。中間軸39の回転は、第二の円筒軸33及び第三の円筒軸34へ、傘歯車39dと傘歯車33c、34dを介して伝達される。さらに、第二の円筒軸33の回転は、第二の円筒軸33の傘歯車33dからアーム41の傘歯車41dを経由して、第一の円筒軸32の傘歯車32bに伝達される。この際、アーム41と、第一の円筒軸32及び第二の円筒軸33とは互いに独立して回転可能であり、傘歯車41dはアーム41に回転可能に軸着されているので、アーム41は回動しない。そして、第一の円筒軸32と下部主軸15とは、長穴37と規制部材38とによって、相対的に回転規制されているので、下部主軸15は第一の円筒軸32と連動して回転する。下部主軸15の回転によって、作動ギア30が回転して、ルーパ4のギア部26によって、ルーパ4に伝達されて、ルーパ4は回転する。
また、ハンドル軸35から第三の円筒軸34に伝達された回転は、第三の円筒軸34の傘歯車34cから傘歯車40に伝達される。図1に示すように、傘歯車40に伝達された回転運動Rは、ヘッド13に伝達され、針部3の鉤針2の回転運動R3及び送り機構5の回転運動R5として伝達される。このようにして、縫製作業に伴って、駆動部8のモータ12から伝達される往復運動Qと独立して、方向調整機構6によって、送り方向Pを調整することができる。また、すべての対応する歯車同士は1対1のギア比となっているので、ハンドル36を回転させた角度は、鉤針2、ルーパ4及び送り機構5のすべての回転角度と等しくなる。このため、操作者はハンドル36の操作の感覚により、容易に送り方向Pを決定することができる。
次に、モスステッチとチェーンステッチの切り替え方法について説明する。モスステッチとチェーンステッチの切り替えは、前述のように、送り方向Pを固定して、鉤針2及びルーパ4の向きを180度反転させる必要がある。まず、鉤針2の向きを反転させる。図2及び図6に示すように、鉤針2は針棒16に保持され、針棒16は、係合部21の係止ピン23が切欠き19に挿入されるとともに、固定ねじ25及びリング24で締め付けられて固定されている。そして、前述のように、係止ピン23が切欠き19に挿入された状態では、チェーンステッチ、つまり送り方向Pに対して鉤針2の鉤部2aの向きが逆となるように、針棒16と係合板17とが固定されている。ここで、固定ねじ25を緩めて、針棒16を引き上げて、切欠き19から係止ピン23を引き抜く。そして、180度回転させて、切欠き18に係止ピン23を挿入して、固定ねじ25を再び締め付ければ鉤針2の向きを反転させることができる。このように、固定ねじ25を緩めて、係止ピン23を切欠き18または切欠き19のどちらに挿入させるか選択するだけで、正確かつ容易に鉤針2の向きを反転させることができる。また、各切欠き18、19の各々には対応するモスステッチあるいはチェーンステッチの頭文字のマーク18a及び19aが刻印されているので、容易に識別して選択することができる。
ここで、図15、図16に示すように、モスステッチに比べて、チェーンステッチは次の環と鎖状に連結することから、送りのピッチ以上の大きさの環52を形成する必要があり、モスステッチで形成される環52に比べて、大きい環52を形成できた方が好ましい。このため、鉤針2の上下運動の最上点をチェーンステッチの時はモスステッチの時と比べて高くして糸Bの引き上げ高さを高くする必要がある。図5、図6に示すように、係合部21の上端部21g及び針部3の係合板17の下面17aには、各々段差21h及び17bが設けられている。このため、切欠き18に係止ピン23を挿入した時と、切欠き19に係止ピン23を挿入した時とでは、段差21hの高さ分だけ鉤針2の固定する高さを変えることができ、チェーンステッチの時は鉤針の高さをモスステッチよりも高くすることができる。
次に、ルーパ4の方向を反転させる。まず、図7に示すように、レバー43の把持部43cを把持し、レバー43を制止ピン46が制止ブロック50に当接する位置から制止ピン47が制止ブロック50に当接する位置となるまで回動させる。ある程度の回転力を与えることで、板部材45の係合凹部48に嵌入された制止ブロック50の球体50dが変位して、解除され、回動可能となる。そして、レバー43を90度分回動させて、制止ブロック50の他側面50fに制止ピン47に当接させると、板部材45の係合凹部49に制止ブロック50の球体50dが嵌入し、反対方向にある程度の回転力を与えないと板部材45の係合凹部49と制止ブロック50の球体50dとの係合が解除されなくなり、レバー43は90度回動した位置で確定される。レバー43の回動はレバー軸42に伝達され、傘歯車42cと傘歯車44bとによって、中間軸44に伝達される。さらに、中間軸44の回転は、歯車44dからアーム41の歯車41fに伝達される。ここで、アーム41は第一の円筒軸32及び第二の円筒軸33とに回動可能に軸着されているので、第一の円筒軸32及び第二の円筒軸33と独立して歯車41fの回転によって回動する。レバー軸42の傘歯車42cと中間軸44の傘歯車44b、中間軸44の歯車44dとアーム41の歯車41fとは、それぞれ1対1のギア比となっている。このため、図9に示すように、レバー43を90度回転させることによって、アーム41は90度回動する。
図7に示すように、アーム41の傘歯車41dは、第一の円筒軸32の傘歯車32b及び第二の円筒軸33の傘歯車33dと咬合している。このため、アーム41の回動に伴い、アーム41の傘歯車41dが遊星歯車、第一の円筒軸32の傘歯車32b及び第二の円筒軸33の傘歯車33dとが太陽歯車となる遊星歯車装置として作用する。第二の円筒軸33は、ハンドル軸35、第三の円筒軸34を経由して、鉤針2及び送り機構5の回転運動に関する機構とも連結している。これに対して第一の円筒軸32は、規制部材38から下部主軸15を経由して、ルーパ4までの連結である。このように、第一の円筒軸32と連結している機構に対して第二の円筒軸33に連結している機構の方が相対的に複雑な機構を有していて、回転抵抗が大きい。このため、アーム41が90度回動することによって、第二の円筒軸33の傘歯車33dは回転せず、第一の円筒軸32の傘歯車32bのみがアーム41の回転数と傘歯車41dの回転数の総和に従って回転する。アーム41の傘歯車41dと、第一の円筒軸32の傘歯車32b及び第二の円筒軸33の傘歯車33dのそれぞれは1対1のギア比となっていることから、アームが90度分回動することで、第一の円筒軸32は180度回転する。そして、第一の円筒軸32と下部主軸15とは、長穴37と規制部材38とで、相対的に回転規制されているので、下部主軸15は第一の円筒軸32と連動して180度回転する。下部主軸15が回転することにより、回転は作動ギア30からルーパ4のギア部26に伝達されて、ルーパ4を回転させることができる。作動ギア30とルーパ4のギア部26とのギア比も1対1に設定されているので、レバー43を90度回転させることによって、結果としてルーパ4を180度回転させることが可能である。このように、ルーパ方向切替部7により、方向調整機構6と独立してルーパ4のみを180度回転させることができる。また、アーム41を備えた機構とすることにより、レバー43を90度分回転させるだけで、ルーパ4を180度回転させることができ、操作をさらに容易にさせている。
以上のようにして、この実施形態のハンドル刺繍ミシン1は、鉤針2の上下運動M3、ルーパ4の往復回転運動M4及び送り機構5の振動運動V5を同期させて縫製を行うことができるのと同時に、独立して方向調整機構6によって鉤針2の回転運動R3、ルーパ4の回転運動R4及び送り機構5の回転運動R5を同期させて送り方向Pを調整し、設定することが可能である。このため、環縫いの方向を自在に選択して行うことができる。さらに、これらの機構とは別に、送り機構5の送り方向Pを変えずに、鉤針2の向きを係合部21の係止ピン23と針部3の係合板17の切欠き18、19とによって、ルーパ4の向きをルーパ方向切替部7によって、それぞれを容易かつ正確に180度異なる向きに設定することができる。また、鉤針2の向きを変える切欠き18、19にはマーク18a、19aが、ルーパ方向切替部7にはマーク43d、43eが設けられ、モスステッチあるいはチェーンステッチのいずれと対応しているか識別が容易となっている。このため、従来熟練者に限られ、複雑で時間を必要としていたモスステッチとチェーンステッチとの切り替えも、初心者や家庭において容易かつ安全に使用することを可能とさせる。また、すべての構成要素が機械的でかつ単純な構成で、電気的な制御を必要としないので、装置を最小とすることができ安価で提供することができる。さらに、針部3の係合板17の段差17b及び係合部21の段差21hとによって、モスステッチとチェーンステッチとで環52の大きさを変えることができ、従来に比べて仕上がりを良好なものとすることができる。
なお、鉤針2の上端部2bにはおねじが形成されていて、針棒16に螺入されるとしたがこれに限ることはない。少なくとも、縫製時に緩んだり、脱落することなどなく針棒16で鉤針2を保持することができ、かつ鉤針2の向きを決められた方向に定めることができれば良く、例えば互いを凹凸で係止するピン、溝等を有しているものでも良い。また、針棒16を係合部21に固定するのに、針部3の係合板17に2つの切欠き18、19を設け、係合部21に係止ピン23を設けたがこれに限るものではない。例えば、係合板17に係止ピンを設け、係合部21に2つの対応する切欠きを設けても良い。また、対応する歯車はすべてギア比が1対1の関係であるとしたがこれに限るものではなく、設計条件に合わせてギア比を異なるものとしても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
この発明の実施形態のハンドル刺繍ミシンの一部を破断した斜視図である。 この発明の実施形態の針部及び係合部の詳細図である。 この発明の実施形態の針棒の詳細図である。 この発明の実施形態の係合部の詳細図である。 この発明の実施形態の針部と係合部を組み立てた断面図である。 この発明の実施形態の針部と係合部を組み立てた断面図である。 この発明の実施形態のテーブルの下部の一部を破断した底面図である。 この発明の実施形態のテーブルの下部の一部を破断した側面図である。 この発明の実施形態のテーブルの下部の一部分について一部を破断した下方からの斜視図である。 この発明の実施形態のルーパの詳細図である。 この発明の実施形態の鉤針とルーパの関係を表わす説明図である。 この発明の実施形態の鉤針とルーパの関係を表わす説明図である。 この発明の実施形態の鉤針とルーパの関係を表わす説明図である。 この発明の実施形態の鉤針とルーパの関係を表わす説明図である。 モスステッチの説明図である。 チェーンステッチの説明図である。
符号の説明
1 ハンドル刺繍ミシン
2 鉤針
2a 鉤部
4 ルーパ
5 送り機構
6 方向調整機構
7 ルーパ方向切替部
8 駆動部
15 下部主軸
16 針棒
18、19 切欠き
21 係合部
23 係止ピン
32 第一の円筒軸
32a 基端部
32b 傘歯車
33 第二の円筒軸
33a 基端部
33b 先端部
33c 傘歯車
33d 傘歯車
35 ハンドル軸
36 ハンドル
37 長穴
38 規制部材
41 アーム
41a 一端部
41b 他端部
41d 傘歯車
41f 歯車
42 レバー軸
43 レバー
A 被縫製物
B 糸
P 送り方向
Q 往復運動
R 回転運動

Claims (3)

  1. 鉤針と、該鉤針の鉤部に糸を誘導するルーパと、被縫製物を所定の送り方向に移動させる送り機構と、前記鉤針、前記ルーパ及び前記送り機構を同期させて往復運動させる駆動部と、軸方向に往復運動して、前記ルーパに往復運動を伝達する前記駆動部の主軸を、往復運動とは連動させずに回転させることで、前記送り機構の送り方向、前記鉤針の向き及び前記ルーパの向きを同期させて設定することが可能な方向調整機構とを備え、自在に縫製方向を変えて環縫いを行うことが可能なハンドル刺繍ミシンであって、
    前記鉤針を保持する針棒と、
    往復運動する前記駆動部に前記針棒を軸線回りの180度異なる2つの向きで固定可能な係合部と、
    前記方向調整機構と独立して、前記ルーパの向きを180度回転させることが可能なルーパ方向切替部とを備え、
    前記送り機構の送り方向に対して、相対的に前記針棒の向き及び前記ルーパの向きをそれぞれ180度回転させることで、チェーンステッチ及びモスステッチの2つの異なる種類の環縫いが可能であることを特徴とするハンドル刺繍ミシン。
  2. 請求項1に記載のハンドル刺繍ミシンにおいて、
    前記方向調整機構は、回転自在なハンドルと、該ハンドルの回転を伝達するハンドル軸と、前記駆動部の前記主軸に外嵌し固定される規制部材を軸方向に移動可能かつ回転規制する長穴を有し、前記主軸に外嵌され、一端に傘歯車が設けられる第一の円筒軸と、前記主軸に回転可能に外嵌され、前記第一の円筒軸と向い合う一端に傘歯車が設けられ、他端には前記ハンドル軸の回転を伝達する歯車が設けられる第二の円筒軸とを備え、
    前記ルーパ方向切替部は、前記チェーンステッチ及び前記モスステッチの各々に対応する係止位置間で、回動可能なレバーと、前記レバーの回動を伝達するレバー軸と、一端部が前記第一の円筒軸に回動可能に軸着され、他端部が前記第二の円筒軸に回動可能に軸着されるとともに、いずれか一方の端部にはレバー軸の回転を伝達する歯車が設けられる略コの字状のアームとを備え、
    前記方向調整機構の前記第一の円筒軸の前記傘歯車と前記第二の円筒軸の前記傘歯車とは、前記ルーパ方向切替部の前記アームに回転可能に軸着された傘歯車に咬合されて連動可能であることを特徴とするハンドル刺繍ミシン。
  3. 請求項1または請求項2に記載のハンドル刺繍ミシンにおいて、
    前記針棒または前記係合部のいずれか一方に係止ピンが設けられ、前記針棒または前記係合部の他方の対応する位置の180度異なる2箇所に前記係止ピンを係止可能な切欠きが設けられるとともに、
    前記係合部には、段差が設けられ、180度異なるそれぞれの向きで固定した際に、前記鉤針を固定する高さが異なることを特徴とするハンドル刺繍ミシン。
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