JP3961752B2 - 床暖房装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、室内床に設けられた床暖房パネルの輻射熱によって暖房を行う床暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の床暖房装置は、室内に敷設した床暖房パネルを加熱手段により加熱して、床からの輻射熱によって室内の暖房を行うものである。従来、この種の床暖房装置においては、特開平5−164335号公報に見られるように、床暖房パネルが設置された室内に室温センサを設け、暖房運転時に該室温センサによって検出された室温が目標室温となるように制御するものが知られている。
【0003】
しかし、この種の床暖房装置において、前記室温センサによって検出された室温に基づく制御を行うと、ファンヒータ等の他の室内暖房装置を併用した場合に、床温の上昇よりも室温の上昇が先行し、床温が低いにも関わらず、床暖房装置が暖房能力を下げ、床が冷たく感じる不都合がある。
【0004】
また、前記室温センサに替えて床温センサを設け、該床温センサによって検出された床温に基づく制御を行うことが考えられる。これによれば、ファンヒータ等の他の室内暖房装置を併用して所望の室温が得られたとき、床温も上昇させて床が冷たく感じる事態を防止することができる。
【0005】
しかし、床温の上昇と室温の上昇とはかなりのタイムラグがある。このため、ファンヒータ等の他の室内暖房装置を併用しなかった場合に床温に基づく制御を行うと、床が適温になってその床温が維持されても、室内が十分に暖められない不都合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる不都合を解消して、本発明は、他の室内暖房装置の使用・不使用に関わらず快適な床暖房を行うことができる床暖房装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、室内床に設けられた床暖房パネルと、該床暖房パネルを加熱する加熱手段と、室内温度を検出する室温検出手段と、床温度を検出する床温検出手段と、室内温度の目標値を設定する目標室温設定手段と、前記室温検出手段によって検出された室内温度が該目標室温設定手段によって設定された目標室温及びその近傍に維持されるように前記加熱手段を制御する室温制御手段とを備える床暖房装置において、床温度の目標値を設定する目標床温設定手段と、前記床温検出手段によって検出された床温度が該目標床温設定手段によって設定された目標床温及びその近傍に維持されるように前記加熱手段を制御する床温制御手段と、室温制御手段による制御又は床温制御手段による制御の何れか一方を選択する制御選択手段とを設け、該制御選択手段は、他の室内暖房装置の運転を検出する暖房運転検出手段を備え、該暖房運転検出手段によって他の室内暖房装置の運転が検出されたとき前記床温制御手段による制御を選択し、該暖房運転検出手段によって他の室内暖房装置の運転が検出されなかったとき前記室温制御手段による制御を選択することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記室温制御手段と前記床温制御手段とを備えることによって、前記室温検出手段によって検出される室内温度に応じた制御と、前記床温検出手段によって検出される床温度に応じた制御とを選択的に行うことが可能となる。そして、他の室内暖房装置の使用時には、前記制御選択手段によって前記床温制御手段による制御を選択することで、床温を適温に上昇させて室温に対して床が冷たく感じる事態を防止することができる。また、他の室内暖房装置が不使用とされているときには、前記制御選択手段によって前記室温制御手段による制御を選択することができるので、室温に基づく制御を行って室内を十分に暖めることができる。
【0011】
そして、前記暖房運転検出手段を設けることにより、前記制御選択手段は他の室内暖房装置の運転を即座に確認することができるので、他の室内暖房装置の使用・不使用に応じた前記室温制御手段による制御と前記床温制御手段による制御とを使用者の手作業によらず迅速に選択することができる。
【0012】
また、本発明は、床温度の目標値を設定する目標床温設定手段と、前記床温検出手段によって検出された床温度が該目標床温設定手段によって設定された目標床温及びその近傍に維持されるように前記加熱手段を制御する床温制御手段と、室温制御手段による制御又は床温制御手段による制御の何れか一方を選択する制御選択手段とを設け、該制御選択手段は、前記室温検出手段により検出された室温と目標室温とを比較して、室温が目標室温以上であるときと、室温が目標室温より低く且つ室温と目標室温との差が所定値より小であるときとにおいては前記床温制御手段による制御を選択し、室温が目標室温より低く且つ室温と目標室温との差が所定値以上であるとき前記室温制御手段による制御を選択し、更に、該制御選択手段は、前記室温検出手段によって検出される室温から所定時間内における室温の上昇速度を算出する演算手段を備え、該演算手段によって算出された室温の上昇速度と所定の速度とを比較して、室温の上昇速度が所定の速度より大であるとき前記床温制御手段による制御を選択し、室温の上昇速度が所定の速度以下であるとき前記室温制御手段による制御を選択することを特徴とする。
【0013】
室温が目標室温以上であるときと、室温が目標室温より低く且つ室温と目標室温との差が所定値より小であるときには、室温が十分に暖められているにも関わらず、使用者が床の冷たさを感じたために床暖房を開始したと考えられる。従って、制御選択手段は、床温制御手段による制御を選択し、床温度が目標床温となるようにして床温度を快適な温度に上昇させることができる。なお、室温が目標室温より低く且つ室温と目標室温との差が所定値以上のときには、室温が比較的低く、使用者が室温に寒さを感じたために床暖房を開始したと考えられる。従って、室内温度を上昇させる必要があるので、制御選択手段は、室温制御手段を選択して室内温度が目標室温になるように制御を行う。
【0014】
また、他の室内暖房装置を併用して床暖房を行った場合の室温の上昇速度は、床暖房のみによる室温の上昇速度よりも大となるので、その速度が所定の速度より大となったときには他の室内暖房装置を併用していることが判断できる。このことから、所定時間内における室温の上昇速度が所定の速度より大となったときには前記床温制御手段による制御を選択し、他の室内暖房装置を併用しているために床が冷たいうちに床暖房運転の暖房能力が下がる事態を防止して快適な床暖房を行うことができる。
【0015】
また、このとき、前記床温制御手段による制御が行われ、前記床温検出手段によって検出された床温度が所定温度以上となったとき、前記制御選択手段は、前記室温制御手段による制御を選択することが好ましい。これによって、既に室温が十分に暖められているときに、前記床温制御手段による制御によって床温が十分に上昇すれば、室温に対して床が冷たく感じられることがないので、その後の制御を前記室温制御手段によって行うことで、不必要な床暖房を行って室温が過剰に上昇する事態を防止することができ、快適な室温を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の床暖房装置の構成を模式的に示す説明図、図2は各制御手段の概略構成を示すブロック図、図3は制御選択手段の作動を示すフローチャートである。
【0021】
本実施形態の床暖房装置1は、図1に示すように、室内に敷設された床暖房パネル2と、該床暖房パネル2を加熱する加熱手段である給湯装置3とによって構成されている。該床暖房パネル2は、温水配管4を介して前記給湯装置3に接続されており、内部に温水が流通するようになっている。該温水配管4の上流部には電磁式の開閉弁5が設けられており、開閉弁5の開閉によって床暖房パネル2への温水の供給・停止が行われる。前記給湯装置3は、一定温度(例えば60度)の温水を床暖房パネル2に供給する。また、床暖房パネル2が敷設された室内壁面には、床暖房運転を操作するための操作パネル及び表示パネル(図示せず)を備えるリモートコントローラ6が設置されている。該床暖房装置1は、前記開閉弁5を開閉制御することにより、床暖房パネル2を介して温水による室内の暖房を行う。
【0022】
前記リモートコントローラ6には、室内の温度を検出する室温センサ(室温検出手段)7と、床暖房パネル2の表面の温度を検出する床温センサ(床温検出手段)8とが備えられている。該床温センサ8は、床暖房パネル2に指向して該床暖房パネル2の表面温度を赤外線により検出するものである。該床温センサ8を赤外線式としたことにより、例えば図示しないが床暖房パネル2の表面に温度センサを接触させて該温度センサとリモートコントローラ6とをリード線を介して接続することが不要とされる。
【0023】
また、該床暖房装置1は、図2に示すように、暖房運転制御手段9を備えている。該暖房運転制御手段9は、室温に応じて前記給湯装置3の運転及び開閉弁5の開閉を制御する室温制御手段10と、床温に応じて前記給湯装置3の運転及び開閉弁5の開閉を制御する床温制御手段11とを備えている。室温制御手段10は、前記室温センサ7と目標室温を設定するための目標室温設定手段12とに接続され、前記室温センサ7によって検出された室内温度が該目標室温設定手段12によって設定された目標室温及びその近傍に維持されるように前記開閉弁5の開閉を制御する。床温制御手段11は、前記床温センサ8と目標床温を設定するための目標床温設定手段13とに接続され、前記床温センサ8によって検出された床温度が該目標床温設定手段13によって設定された目標床温となるように前記開閉弁5の開閉を制御する。
【0024】
更に、該暖房運転制御手段9は、室温制御手段10による制御が行われる所謂室温優先運転モードと、床温制御手段11による制御が行われる所謂床温優先運転モードとを選択する制御選択手段14を備えている。該制御選択手段14は、前記室温センサ7と前記目標室温設定手段12とに接続されており、前記室温センサ7や前記目標室温設定手段12から得られる値に基づく後述の比較データを算出する演算手段15と、基準となる単位時間当たりの室温の上昇速度が記憶された記憶手段16と、室温センサ7から得られた室温と前記比較データとの比較や、室温センサ7から得られた室温の単位時間当たりの上昇速度と前記基準上昇速度との比較を行う比較手段17とを備えている。
【0025】
前記演算手段15は、前記目標室温設定手段12によって設定された目標室温から所定の値(本実施形態においては5℃)を減算して第1の比較データを算出する。また、該演算手段15は、室温センサ7から得られた室温の単位時間当たりの上昇速度を算出して第2の比較データとする。
【0026】
なお、床暖房運転が開始されたときに前記制御選択手段14により室温優先運転モードが選択されると、室温制御手段10は、所定時間(例えば30分間)又は室温が目標温度になるまで開閉弁5を開弁状態に維持するホットダッシュ運転を行う。また、床暖房運転が開始されたときに前記制御選択手段14により床温優先運転モードが選択されると、床温制御手段11は、所定時間(例えば30分間)又は床温が目標温度になるまで開閉弁5を開弁状態に維持するホットダッシュ運転を行う。
【0027】
次に、本実施形態の床暖房装置における暖房運転制御手段9の作動を図2を参照しつつ図3に基づいて説明する。まず、STEP1において床暖房運転が開始されると、制御選択手段14の演算手段15により前記第1の比較データ(設定室温−5℃)が算出される。次いで、STEP2において、比較手段17による室温センサ7から得られた室温と第1の比較データとの比較が行われる。このとき、室温センサ7から得られた室温が第1の比較データの値以下であるとき(即ち、室温が目標室温より低く且つ室温と目標室温との差が5℃以上であるとき)には、室温が比較的低く室内温度を上昇させる必要があるとみなして、制御選択手段14は室温制御手段10による制御を選択する。これにより、STEP3において室温優先運転モードによる運転が行われ、STEP4において30分間又は室温が設定室温になるまでホットダッシュ運転が行われる。
【0028】
一方、STEP2において室温センサ7から得られた室温が第1の比較データの値より高温であるとき(即ち、室温が目標室温以上であるときと、室温が目標室温より低く且つ室温と目標室温との差が5℃より小であるとき)には、室温が十分に暖められているにも関わらず、使用者が床の冷たさを感じたために床暖房を開始したとみなして、制御選択手段14は床温制御手段11による制御を選択する。これにより、STEP5において床温優先運転モードによる運転が行われ、STEP6において30分間又は床温が設定室温になるまでホットダッシュ運転が行われる。
【0029】
また、STEP4のホットダッシュ運転又はSTEP6のホットダッシュ運転が行われているとき、前記演算手段15は第2の比較データとして、室温センサ7によって検出された室温の単位時間当たりの上昇速度を算出する。
【0030】
続いて、STEP4のホットダッシュ運転又はSTEP6のホットダッシュ運転が終了すると、STEP7において前記比較手段17により第2の比較データである室温の上昇速度と、前記記憶手段16に予め記憶されている基準上昇速度との比較が行われる。前記記憶手段16に記憶されている基準上昇速度は、ファンヒータ等の他の暖房装置が使用されていない状態での床暖房運転時に採取された室温の上昇速度である。STEP7において演算手段15が算出した室温上昇が基準上昇速度以下であった場合には、他の暖房装置が使用されていない状態か又は室内温度が極端に低い場合であるとして、制御選択手段14は室温制御手段10による制御を選択する。これにより、STEP8において室温優先運転モードによる運転が行われる。
【0031】
一方、STEP7において演算手段15が算出した室温上昇が基準上昇速度よりも大であった場合には、他の暖房装置が使用されている可能性があるとして、制御選択手段14は床温制御手段11による制御を選択する。これにより、STEP9において床温優先運転モードによる運転が行われる。
【0033】
また、図示しないが、前記制御選択手段14に他の室内暖房装置の運転を検出する暖房運転検出手段を設けてもよい。暖房運転検出手段としては、例えば、他の室内暖房装置の運転時に操作されるON/OFFスイッチの操作を検出できるように構成することで、他の室内暖房装置の運転を即座に検出することができ、室温制御手段10と床温制御手段11との選択を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の床暖房装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】暖房運転制御手段の概略構成を示すブロック図。
【図3】暖房運転制御手段の作動を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…床暖房装置、2…床暖房パネル、3…給湯装置(加熱手段)、6…リモートコントローラ、7…室温センサ(室温検出手段)、8…床温センサ(床温検出手段)、10…室温制御手段、11…床温制御手段、12…目標室温設定手段、13…目標床温設定手段、14…制御選択手段、15…演算手段、17…比較手段。
Claims (3)
- 室内床に設けられた床暖房パネルと、該床暖房パネルを加熱する加熱手段と、室内温度を検出する室温検出手段と、床温度を検出する床温検出手段と、室内温度の目標値を設定する目標室温設定手段と、前記室温検出手段によって検出された室内温度が該目標室温設定手段によって設定された目標室温及びその近傍に維持されるように前記加熱手段を制御する室温制御手段とを備える床暖房装置において、
床温度の目標値を設定する目標床温設定手段と、前記床温検出手段によって検出された床温度が該目標床温設定手段によって設定された目標床温及びその近傍に維持されるように前記加熱手段を制御する床温制御手段と、室温制御手段による制御又は床温制御手段による制御の何れか一方を選択する制御選択手段とを設け、
該制御選択手段は、他の室内暖房装置の運転を検出する暖房運転検出手段を備え、該暖房運転検出手段によって他の室内暖房装置の運転が検出されたとき前記床温制御手段による制御を選択し、該暖房運転検出手段によって他の室内暖房装置の運転が検出されなかったとき前記室温制御手段による制御を選択することを特徴とする床暖房装置。 - 室内床に設けられた床暖房パネルと、該床暖房パネルを加熱する加熱手段と、室内温度を検出する室温検出手段と、床温度を検出する床温検出手段と、室内温度の目標値を設定する目標室温設定手段と、前記室温検出手段によって検出された室内温度が該目標室温設定手段によって設定された目標室温及びその近傍に維持されるように前記加熱手段を制御する室温制御手段とを備える床暖房装置において、
床温度の目標値を設定する目標床温設定手段と、前記床温検出手段によって検出された床温度が該目標床温設定手段によって設定された目標床温及びその近傍に維持されるように前記加熱手段を制御する床温制御手段と、室温制御手段による制御又は床温制御手段による制御の何れか一方を選択する制御選択手段とを設け、
該制御選択手段は、前記室温検出手段により検出された室温と目標室温とを比較して、室温が目標室温以上であるときと、室温が目標室温より低く且つ室温と目標室温との差が所定値より小であるときとにおいては前記床温制御手段による制御を選択し、室温が目標室温より低く且つ室温と目標室温との差が所定値以上であるとき前記室温制御手段による制御を選択し、更に、該制御選択手段は、前記室温検出手段によって検出される室温から所定時間内における室温の上昇速度を算出する演算手段を備え、該演算手段によって算出された室温の上昇速度と所定の速度とを比較して、室温の上昇速度が所定の速度より大であるとき前記床温制御手段による制御を選択し、室温の上昇速度が所定の速度以下であるとき前記室温制御手段による制御を選択することを特徴とする床暖房装置。 - 前記床温制御手段による制御が行われ、前記床温検出手段によって検出された床温度が所定温度以上となったとき、前記制御選択手段は前記室温制御手段による制御を選択することを特徴とする請求項2記載の床暖房装置。
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