JP3667574B2 - 温水暖房装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、床暖房パネル等の低温負荷端末及び室内暖房機等の高温負荷端末による暖房を行う温水暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
床暖房パネル等の低温負荷端末及び室内暖房機等の高温負荷端末を共に接続する温水暖房装置としては、加熱用熱交換器からの温水をまず室内暖房機に供給し、その復水の一部を床暖房パネルに供給するいわゆる2温度タイプの温水暖房装置が知られている。
【0003】
このような2温度タイプの温水暖房装置では、室内暖房機と床暖房パネルとを同時に運転する複合運転の場合は、床暖房パネルには室内暖房機からの復水が供給されるため、室内暖房機からの復水の温度が高い場合には高い温度の温水が供給され、室内暖房機からの復水の温度が低い場合には低い温度の温水が供給される。このように、複合運転時には床暖房パネルに供給される温水の温度が室内暖房機の状態に左右されることになる。この場合、床暖房パネルに供給される温水の温度が高いときは、熱動弁等により床暖房パネルに供給される温水を断続することにより、床暖房パネルの放熱量を制御することができる。しかしながら、床暖房パネルに供給される温水の温度が低い場合は、低い温度の温水が床暖房パネルに供給されることとなるので、床暖房パネルにおいて必要な放熱量を確保することができず、使用者が寒さを感じるという不都合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、温水暖房装置の改良を目的とし、さらに詳しくは、低温負荷端末と高温負荷端末とを同時に運転する複合運転を行う際に、床暖房パネルの放熱量を確保して使用者に寒さを感じさせることのない温水暖房装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の温水暖房装置は、加熱手段を有する加熱用熱交換器と、該加熱用熱交換器により加熱された温水の温度を検出する温度検出手段と、前記加熱用熱交換器から低温負荷端末と高温負荷端末とに並列に温水を供給し各負荷端末からの復水を前記加熱用熱交換器に還流させる複数の循環路と、低温負荷端末側の循環路に設けられ開閉により前記低温負荷端末に供給される温水の熱量を調節する開閉弁と、前記循環路内の温水を循環させる循環ポンプと、前記加熱手段と前記熱量調節手段と前記循環ポンプとを制御する運転制御手段とを備え、該運転制御手段は、前記低温負荷端末又は前記高温負荷端末の単独運転時には、前記温度検出手段により検出される温度を各負荷端末に対応した温度になるように前記加熱手段を制御し、前記低温負荷端末と前記高温負荷端末との複合運転時には、前記温度検出手段により検出される温度が前記高温負荷端末の単独運転時の温度となるように前記加熱手段を制御すると共に、複合運転時の前記開閉弁の開時間を前記低温負荷端末の単独運転時の開時間よりも短くして前記低温負荷端末の放熱量を前記低温負荷端末の単独運転時の放熱量と略同一となるように前記開閉弁により前記低温負荷端末に供給される温水を調節し、短くした前記開閉弁の開時間をさらに分割して前記開閉弁を開閉させることを特徴とする。
【0006】
本発明の温水暖房装置によれば、低温負荷端末及び高温負荷端末に並列に温水を供給するものであり、低温負荷端末及び高温負荷端末を同時に運転する複合運転の際には、前記温度検出手段により検出される温度が高温負荷端末の単独運転時の温度となるように制御されるため、高温負荷端末のみならず、低温負荷端末にも高い温度の温水が供給される。また、低温負荷端末に供給される温水は、前記開閉弁により、前記低温負荷端末の単独運転時の放熱量と略同一となるように制御される。このため、複合運転時であっても低温負荷端末に低温負荷端末の単独運転時よりも低い温度の温水が供給されることがなく、低温負荷端末の放熱量が確保されるため、使用者が寒さを感じることがない。
【0008】
複合運転時においては、前記低温負荷端末にその単独運転時よりも高温の温水が供給されるが、複合運転時の前記開閉弁の開時間を前記低温負荷端末の単独運転時よりも短くすることにより、前記低温負荷端末の単独運転時の放熱量と略同一とすることができる。さらに、短くした前記開閉弁の開時間をさらに分割して前記開閉弁を開閉させることにより、前記低温負荷端末には、高温の温水が供給された後に一度前記開閉弁が閉状態となり、その後に前記開閉弁が開状態となる。前記開閉弁が閉状態となると、前記低温負荷端末内の温水の温度が放熱により低下し、再度開状態となるとこの温度が低下した状態で高い温度の温水が供給されることになる。従って、高い温度の温水が連続して供給される場合に比べて前記低温負荷端末の温度の上昇が抑えられるため、使用者に違和感を生じさせることがない。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態の一例である温水暖房装置の構成を示す説明図、図2はその作動を示すフローチャート、図3は床暖房単独運転時の熱動弁のON/OFF制御のタイムテーブルを示す説明図、図4は複合運転時の熱動弁のON/OFF制御のタイムテーブルを示す説明図である。
【0010】
本実施形態の温水暖房装置は、図1に示すように、室外に設置される熱源機1と、室内に設置される床暖房パネル(低温負荷端末)2及び温風暖房機(高温負荷端末)3とを備えている。
【0011】
熱源機1には、加熱手段であるガスバーナ4とガスバーナ4に空気を供給する送風ファン5とを有する加熱用熱交換器6と、熱交換器の出湯温度を検出するサーミスタ(温度検出手段)7とが設けられている。また、床暖房パネル2に温水を循環させる第1循環路8と、温風暖房機3に温水を循環させる第2循環路9と、各循環路内の温水を蓄積すると共に温水の膨張と収縮を吸収するシスターン10と、加熱用熱交換器6からの温水をシスターン10の入口にバイパスさせるバイパス路11と、シスターン10と加熱用熱交換器6との間に配置されて温水を循環させる循環ポンプ12とが設けられている。また、第1循環路8には、弁体(図示せず)を開閉することにより床暖房パネル2に供給される熱量を調節する熱動弁(開閉弁)13が設けられている。また、ガスバーナ4にガスを供給するガス供給管14には、ガスの供給及びその停止を行う電磁弁15,16と、ガスの流量を制御するガス比例弁17とが設けられている。
【0012】
また、熱源機1には、熱源機1内の各機器を制御するコントローラ(運転制御手段)18が設けられている。このコントローラ18は、マイコンやメモリ等の電子部品(図示せず)によって形成されており、予めその内部に記憶されたデータと室内に設けられた床暖房リモコン19又は温風暖房リモコン24からの信号に応じて熱源機1内の各機器を制御するものである。また、床暖房リモコン19内には室内の温度を検出する室温センサ20が設けられており、温風暖房リモコン24内にも室温センサ25が設けられている。
【0013】
床暖房パネル2は第1循環路8に接続されて室内の床面に設置され、加熱用熱交換器6によって昇温された温水が供給され室内を暖房するものである。
【0014】
温風暖房機3は第2循環路9に接続されて室内の壁面上に設置され、その内部には流量制御弁21と放熱用熱交換器22と対流ファン23とが設けられている。また、温風暖房機3の近傍には温風暖房リモコン24が設けられており、床暖房パネルとコントローラ18とに電気的に接続されている。
【0015】
次に、上記構成からなる本実施形態の温水暖房装置の作動について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0016】
まず、床暖房パネル2のみにより暖房を行う床暖房単独運転時の作動について説明する。使用者が温風暖房リモコン24がOFFの状態で床暖房リモコン19によって床暖房運転の開始を指示すると、床暖房単独運転が開始される(STEP1)。床暖房リモコン19からの信号がコントローラ18に送信されると、コントローラ18は、ガス供給管14に設けられている電磁弁15,16及びガス比例弁17と、送風ファン5とをONにしてガスバーナ4を点火させる(STEP2)。同時に、循環ポンプ12と、第1循環路8に設けられている熱動弁13とをON(開)にする。一方、第2循環路9に設けられている流量制御弁21は、OFF(閉)の状態となっている(STEP3)。
【0017】
そして、コントローラ18は、室温センサ20により検出された室温が使用者が床暖房リモコン19によって設定した室温となるように各機器を制御する。具体的には、コントローラ18は、サーミスタ7により検出される温度が60℃となるようにガスバーナ4の燃焼を制御する(STEP4)。同時に、室温センサ20により検出された室温と使用者が設定した室温との差から暖房能力の度合いである速数を決定し、その速数に従って熱動弁13のON/OFF制御を行う(STEP5)。本実施形態では、図3に示すタイムテーブルに従って熱動弁13のON/OFF制御を行っている。
【0018】
本実施形態においては、図3に示すように、20分を1サイクルとして熱動弁13のON/OFFを制御することにより床暖房パネル2に供給される熱量を調節している。また、図3に示すように、暖房能力が高い9速では、1サイクルのすべての時間で熱動弁13をONにしており、速数が低くなるにつれて徐々に1サイクル中の熱動弁13のON時間を減少させ、暖房能力が低い1速では1サイクルの熱動弁13のON時間を3分としている。また、図3に示すように、床暖房単独運転では、9速を除いて、1サイクル中の熱動弁13のON/OFFを1度づつとしている。
【0019】
次に、温風暖房機3のみにより暖房を行う温風暖房単独運転時の作動について説明する。使用者が床暖房リモコン19がOFFの状態で、温風暖房リモコン24によって温風暖房運転の開始を指示すると、温風暖房単独運転が開始される(STEP6)。この温風暖房単独運転においても、上記床暖房単独運転と同様に、コントローラ18が電磁弁15,16及びガス比例弁17と、送風ファン5とをONにしてガスバーナ4を点火させる(STEP7)。一方、温風暖房単独運転においては、循環ポンプ12と第2循環路9に設けられている流量制御弁21とをONにし、熱動弁13をOFFにする(STEP8)。
【0020】
そして、コントローラ18は、室温センサ25により検出された室温が使用者が温風暖房リモコン24によって設定した室温となるように温風暖房機3を制御する。具体的には、コントローラ18は、サーミスタ7により検出される温度が80℃となるようにガスバーナ4の燃焼を制御する(STEP9)。また、室温センサ25により検出された室温と使用者が設定した室温との差から速数を決定し、その速数に対応して流量制御弁21により温風暖房機3に供給される温水の流量を制御すると共に対流ファン23の回転数を制御する(STEP10)。尚、温風暖房単独運転時の流量制御弁21の流量制御及び対流ファン23の回転数の制御は、一般の温風暖房機における制御と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0021】
次に、床暖房パネル2と温風暖房機3とを同時に作動させて暖房を行う複合運転時の作動について説明する。使用者が床暖房リモコン19及び温風暖房リモコン24によって双方の運転開始を指示すると、複合運転が開始される(STEP11)。この複合運転においても、上記床暖房単独運転と同様に、コントローラ18が電磁弁15,16及びガス比例弁17と、送風ファン5とをONにしてガスバーナ4を点火させる(STEP12)。一方、複合運転においては、循環ポンプ12と、第1循環路8に設けられている熱動弁13と、第2循環路9に設けられている流量制御弁21とをONにする(STEP13)。
【0022】
そして、コントローラ18は、温風暖房単独運転時と同様に、サーミスタ7により検出される温度が80℃となるようにガスバーナ4の燃焼を制御する(STEP14)。このように、本実施形態では、複合運転時においても温風暖房単独運転時と同様に温水が80℃になるようにガスバーナ4の燃焼を制御しているので、温風暖房機3においては温風暖房単独運転時と同様に、流量制御弁21により温風暖房機3に供給される温水の流量を制御すると共に対流ファン23の回転数を制御する(STEP15)。
【0023】
一方、床暖房においては、加熱用熱交換器6から供給される温水が80℃となっており、床暖房単独運転時の60℃よりも高くなっている。また、コントローラ18は、床暖房パネル2からの放熱量が床暖房単独運転時と略同一になるように熱動弁13のON/OFF制御を行う。具体的には、図4に示すタイムテーブルに従って熱動弁13のON/OFF制御を行っている。
【0024】
本実施形態においては、図4に示すように、20分を2分割して10分を1サイクルとし、熱動弁13のON/OFFを細かく制御することにより床暖房パネル2に供給される熱量を調節し、80℃の温水のON/OFFによる床温の変動の幅を小さくして床温の安定性を向上させている。例えば、暖房能力が高い9速では、20分間の中で熱動弁13のON時間を合計8分とし、さらにその8分を2回に分けて4分間ONの状態を2回としている。また、速数が低くなるにつれて徐々に1サイクル中の熱動弁13のON時間を減少させ、暖房能力が低い1速では1サイクルの熱動弁13のON時間を合計2.5分とし、さらに2分割して1.25分のON時間を2回としている。
【0025】
このように、本実施形態においては、複合運転時において床暖房パネル2に供給する温水の温度を80℃としている。また、熱動弁13のON時間の合計を床暖房単独運転時に比べて減少させることにより、複合運転時の床暖房パネル2からの放熱量を床暖房単独運転時の放熱量と略同一としている。従って、複合運転時においても床暖房パネル2に低い温度の温水が供給されることがないので、使用者が寒さを感じることがない。
【0026】
また、本実施形態では、床暖房単独運転時に比べて熱動弁13が連続してONとなっている時間を2分割することにより、高い温度の温水が床暖房パネル2に連続して供給される時間が短くなるようにしている。このようにすることにより、熱動弁13を一度OFFにすることによって床暖房パネル2の温度が放熱により低下し、この温度が低下した状態で高い温度の温水が供給されることになる。従って、高い温度の温水が連続して供給される場合に比べて床温の上昇が抑えられるため、使用者に違和感を生じさせることがない。
【0029】
尚、上記実施形態においては、床暖房リモコン19に室温センサ20が設けられている場合について説明したが、温度センサ20が無く、使用者が設定速数を指示するような床暖房リモコンであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例である温水暖房装置の構成を示す説明図。
【図2】本実施形態の温水暖房装置の作動を示すフローチャート。
【図3】床暖房単独運転時の熱動弁のON/OFF制御のタイムテーブルを示す説明図。
【図4】複合運転時の熱動弁のON/OFF制御のタイムテーブルを示す説明図。
【符号の説明】
2…床暖房パネル(低温負荷端末)、3…温風暖房機(高温負荷端末)、4…ガスバーナ(加熱手段)、6…加熱用熱交換器、7…サーミスタ(温度検出手段)、8…第1循環路、9…第2循環路、12…循環ポンプ、13…熱動弁(開閉弁)、18…コントローラ(運転制御手段)。

Claims (1)

  1. 加熱手段を有する加熱用熱交換器と、該加熱用熱交換器により加熱された温水の温度を検出する温度検出手段と、前記加熱用熱交換器から低温負荷端末と高温負荷端末とに並列に温水を供給し各負荷端末からの復水を前記加熱用熱交換器に還流させる複数の循環路と、低温負荷端末側の循環路に設けられ開閉により前記低温負荷端末に供給される温水の熱量を調節する開閉弁と、前記循環路内の温水を循環させる循環ポンプと、前記加熱手段と前記熱量調節手段と前記循環ポンプとを制御する運転制御手段とを備え、
    該運転制御手段は、前記低温負荷端末又は前記高温負荷端末の単独運転時には、前記温度検出手段により検出される温度を各負荷端末に対応した温度になるように前記加熱手段を制御し、前記低温負荷端末と前記高温負荷端末との複合運転時には、前記温度検出手段により検出される温度が前記高温負荷端末の単独運転時の温度となるように前記加熱手段を制御すると共に、複合運転時の前記開閉弁の開時間を前記低温負荷端末の単独運転時の開時間よりも短くして前記低温負荷端末の放熱量を前記低温負荷端末の単独運転時の放熱量と略同一となるように前記開閉弁により前記低温負荷端末に供給される温水を調節し、短くした前記開閉弁の開時間をさらに分割して前記開閉弁を開閉させることを特徴とする温水暖房装置。
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