JP3961278B2 - コンクリート型枠連設構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のコンクリート型枠を並べて配置したコンクリート型枠連設構造に関し、詳しくは、従来のベニア合板等からなる木製型枠に用いられていたPコン、フォームタイ(登録商標)などの型枠用金具を型枠に孔を開けることなく流用したコンクリート型枠の連設構造、および木製型枠に用いられていた型枠用金具をコンクリート型枠連設構造に型枠に孔を開けることなく流用可能にするコンクリート型枠連設用スペーサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンクリート打設用の型枠(以下、「コンクリート型枠」または単に「型枠」と記す)としては、安価で、釘打ち等の加工がしやすく、軽量であるなどの理由から、ベニア合板等からなる堰板の裏面に桟木をくぎ打ちした木製型枠が用いられている。
しかしながら、このような木製型枠には、(i)桟木の固定や型枠の連結に釘打ち作業が必要であり、施工性が悪い、(ii)釘打ちや、堰板の表面に塗布されるコンクリート剥離剤によって型枠が痛みやすく、耐用回数が少ない(例えば、5回程度である)、(iii)耐用回数を超えたものは、木材としてリサイクルできず、解体して焼却処分するしかない、などの欠点があった。
【0003】
これらの問題を解決するものとしては、軽量で施工性がよく、リサイクル可能なプラスチック製の型枠が提案されている。
図8は、このようなプラスチック製のコンクリート型枠の一例を示す図であり、この型枠10は、片面がコンクリート打設面11となる中空の堰板部12と、堰板部12の両側縁から堰板部12のコンクリート打設面11の反対側に直角に屈曲した中空の側板部13と、堰板部12の裏面14に設けられた、側板部13に平行な2枚の中空の補強板部15とを有して概略構成されるものであり、堰板部12、側板部13および補強板部15が、2枚の板16,16と、これら板の間を連結する複数の長尺の補強リブ17とが一体に成形された中空状のパネルからなるものである。
【0004】
この型枠10の設置については、図9を参照しながら以下に説明する。
まず、複数の型枠10を側板部13の外側表面18同士が接するように一列に並べ、同様に、コンクリート打設面11が対向するように複数の型枠10をもう一列並べる。型枠10の堰板部12に穿設された挿通孔20に、対向する型枠10を所定の間隔に保つ止め金であるPコン21が両端近傍に設けられた丸棒状のセパレータ22を挿通する。
ついで、このセパレータ22の両端に、型枠10の裏面14側からフォームタイ(登録商標)と呼ばれる締付金具23を螺合により取り付け、セパレータ22のPコン21と締付金具23基端部の皿板24との間で堰板部12を挟み込むようにして、型枠10を保持する。
【0005】
さらに、締付金具23の上下に角パイプからなる一対の横ばた材25を配置し、これらを支持する座金26および座金26を止めるクサビ27で、横ばた材25を側板部13および補強板部15の側面に当接させた状態で固定する。この横ばた材25を配設することによって、型枠10が、コンクリート打設時のコンクリートの圧力によって外側に膨らまないようにされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この型枠10の堰板部12は、薄い2枚の板16(厚さ2mm程度)と、これら板の間を連結する補強リブ17とが一体に成形された中空状のパネルであるため、この堰板部12の両側に配置されたPコン21および締付金具23の皿板24による締め付けに対する、板16の強度が不十分であった。そのため、従来のベニア合板等からなる木製型枠に用いられていたPコン21、締付金具23などの一点に圧力の集中しやすい型枠用金具の流用した場合、型枠10の破損が生じやすく、これら従来の型枠用金具の流用が困難であり、特殊な形状の専用金具を使用する必要があった。よって、図9に示すような形態でのプラスチック型枠の設置は事実上困難であった。また、従来の型枠用金具の流用ができないことが、プラスチック製の型枠の普及の妨げともなっていた。
また、プラスチック製の型枠に限らず、金属製や木製の型枠においても、セパレータを挿通させる挿通孔を穿設したり、溝を刻設したりすることは、型枠の強度や、耐久性への悪影響の点から好ましくはなかった。
【0007】
よって、本発明の目的は、従来のベニア合板等からなる木製型枠に用いられていたPコン、フォームタイ(登録商標)などの型枠用金具を、型枠用金具のための孔や溝を型枠本体に設けることなくことなく、流用することができるコンクリート型枠連設構造、および木製型枠に用いられていた型枠用金具をコンクリート型枠連設構造に流用可能にするコンクリート型枠連設用スペーサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のコンクリート型枠連設用スペーサは、片面がコンクリート打設面となる堰板部と、堰板部の両側縁から堰板部のコンクリート打設面の反対側に直角に屈曲した側板部とを有する複数のコンクリート型枠が、コンクリート型枠の側板部が向かい合うように、一定の間隔をあけて配置され、コンクリート型枠連設用スペーサが、両表面がコンクリート型枠の側板部と接するように、隣り合うコンクリート型枠の側板部の間に配設されたコンクリート型枠連設構造であって、コンクリート型枠連設用スペーサが、平板状部材であり、コンクリート型枠連設用スペーサの高さが、コンクリート型枠の高さと同じとされ、かつコンクリート打設面に直交する方向のコンクリート型枠連設用スペーサの幅が、コンクリート打設面に直交する方向の側板部の幅と同じとされ、コンクリート型枠連設用スペーサの一方の側面から他方の側面まで幅方向に貫通する挿通孔が穿設され、 コンクリート型枠連設用スペーサの挿通孔に棒状のセパレータが挿通され、コンクリート型枠連設用スペーサおよびコンクリート型枠の側板部が、それらの両側方からセパレータに取り付けられた2つの締付部材によって挟まれ、コンクリート型枠連設用スペーサの厚さが、スペーサの側面と接する2つの締付部材の接触面の最大幅よりも小さくされていることを特徴とする。
【0009】
また、前記コンクリート型枠連設用スペーサは、プラスチック製であることが望ましい。
また、前記コンクリート型枠連設用スペーサは、中空の平板状部材であることが望ましい。
また、前記中空の平板状部材は、2枚の板とこれら板の間を連結する長尺の補強リブとが一体に成形されたものであることが望ましい。
【0011】
また、本発明のコンクリート型枠連設構造においては、前記コンクリート型枠が、プラスチック製であることが望ましい。
また、本発明のコンクリート型枠連設構造においては、前記コンクリート型枠が、中空であることが望ましい。
また、コンクリート型枠の堰板部および側板部は、2枚の板と、これら板の間を連結する複数の長尺の補強リブとが一体に成形されたものであることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明のコンクリート型枠連設構造の一例を示す全体図であり、図2および図3は、連設構造の要部を示す図である。
このコンクリート型枠連設構造50は、複数の型枠30が、型枠30の側板部33が向かい合うように、一定の間隔をあけて配置され、
スペーサ40(コンクリート型枠連設用スペーサ)が、両表面が型枠30の側板部33の外側表面と接するように、隣り合う型枠30の側板部33の間に配設され、
スペーサ40の挿通孔44に棒状のセパレータ22が挿通され、
スペーサ40および型枠30の側板部33が、それらの両側方からセパレータ22に取り付けられたPコン21(締付部材)および締付金具23の皿板24(締付部材)によって挟まれるようにして締め付けられ、
締付金具23の上下に配置された角パイプからなる一対の横ばた材25が、これらを支持する座金26および座金26を止めるクサビ27で、側板部33、補強板部35およびスペーサ40の側面に当接した状態で固定されているものである。
【0013】
ここで、スペーサ40は、図4に示すように、2枚の板41,41とこれら板の間を連結する長尺の補強リブ42とが一体に成形された中空の平板状部材であり、一方の側面43から他方の側面43まで貫通する挿通孔44が穿設されているものである。
また、型枠30は、図5に示すように、片面がコンクリート打設面31となる中空の堰板部32と、堰板部32の両側縁から堰板部32のコンクリート打設面31の反対側に直角に屈曲した中空の側板部33と、堰板部32の裏面34に設けられた、側板部33に平行な2枚の中空の補強板部35とを有して概略構成されるものであり、堰板部32、側板部33および補強板部35は、2枚の板36,36と、これら板の間を連結する複数の長尺の補強リブ37とが一体に成形された中空状のパネルからなるものである。
【0014】
スペーサ40の幅A(型枠30のコンクリート打設面31に直交する方向)は、表面41に接する側板部33の幅Cと同じとされている。スペーサ40の幅Aが側板部33の幅Cよりも短ければ、スペーサ40の側面43を型枠30のコンクリート打設面31と同一平面としたとき、スペーサ40のもう一方の側面と締付金具23の皿板24との間に空隙が生じる。そのため、コンクリート打設時には、コンクリートの圧力によってスペーサ40が空隙側にシフトしやすくなり、打設されたコンクリート表面が型枠30のつなぎ目で凸となりやすく、コンクリート表面を平面に保つことができなくなるおそれがある。一方、スペーサ40の幅Aが側板部33の幅Cよりも長ければ、横ばた材25を側板部33、補強板部35およびスペーサ40の側面に当接した状態で固定したとき、スペーサ40のもう一方の側面が、コンクリート打設面31よりも突出する。そのため、打設されたコンクリート表面が型枠30のつなぎ目で凹みになりやすく、コンクリート表面を平面に保つことができなくなるおそれがある。
【0015】
また、スペーサ40の高さBは、表面41に接する側板部33の高さDと同じ寸法とされている。スペーサ40の高さBが側板部33の高さDよりも低ければ、型枠30の高さの上限までコンクリートを打設した際、コンクリートがスペーサ40の上方から外部に漏れ出す。一方、スペーサ40の高さBが側板部33の高さDよりも高ければ、コンクリート型枠構造50の上側に他のコンクリート型枠構造を重ねて設置することができなくなる。なお、型枠30の高さの上限までコンクリートを打設しない場合、またはコンクリート型枠構造50の上側に他のコンクリート型枠構造を重ねて設置することがない場合は、必ずしもスペーサ40の高さBを側板部33の高さDと同じにする必要はない。
【0016】
また、スペーサ40の厚さは、スペーサ40の側面43と接する締付部材(Pコン21および締付金具23の皿板24)の接触面の最大幅よりも小さくされている。スペーサ40の厚さが、締付部材の接触面の最大幅以上である場合、型枠30の側板部33と締付部材との接触部分がなくなる。スペーサ40の表面41と側板部33の外側表面38との接触は、それらの両側方からセパレータ22に取り付けられたPコン21(締付部材)および締付金具23の皿板24(締付部材)によって挟まれるようにして締め付けられることにより保たれているので、型枠30の側板部33と締付部材との接触部分がなくなると、型枠30がスペーサ40から離れやすくなってしまう。なお、型枠30およびスペーサ40は最終的には横ばた材25で確実に固定されるので、型枠30およびスペーサ40が後述のクリップ等の連結手段で仮固定されていれば、必ずしもスペーサ40の厚さを締付部材の接触面の最大幅よりも小さくする必要はない。
【0017】
スペーサ40は、例えば、プラスチック材料の押出成形等によって、板41,41および補強リブ42を一体成形して製造される。
プラスチック材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ABS樹脂、ナイロンなどが挙げられる。中でも、機械的強度、コンクリートの離型性、耐アルカリ(耐コンクリート)性に優れていることから、ポリプロピレンが好適に用いられる。また、リサイクルの観点から、型枠30と同じプラスチック材料が好ましい。また、スペーサ40を構成する2枚の板41および補強リブ42の厚さも、特に限定はされないが、機械的強度および軽量化を考慮した場合、例えば、1〜3mmが適当である。
【0018】
型枠30は、例えば、プラスチック材料の押出成形等によって、堰板部32、側板部33および補強板部35を一体成形して製造されるものである。
プラスチック材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ABS樹脂、ナイロンなどが挙げられる。中でも、機械的強度、コンクリートの離型性、耐アルカリ(耐コンクリート)性に優れていることから、ポリプロピレンが好適に用いられる。
【0019】
堰板部32、側板部33および補強板部35の厚さ、幅、高さ等の寸法は、特に限定はされず、例えば、従来の木製型枠の寸法と同程度に設定される。
また、堰板部32、側板部33および補強板部35を構成する2枚の板36および補強リブ37の厚さも、特に限定はされないが、機械的強度および軽量化を考慮した場合、例えば、1〜3mmが適当である。
【0020】
次に、本発明のコンクリート型枠連設構造の組立方法(型枠の建てつけ方法)の一例について説明する。
まず、複数のスペーサ40の挿通孔44に、Pコン21が設けられた丸棒状のセパレータ22の一端を挿通する。
ついで、型枠30の側板部33の外側表面38とスペーサ40の表面45とが接するように、かつコンクリート打設面31およびスペーサ40の側面43が同一平面となるように、型枠30とスペーサ40とを交互に一列に並べる。
そして、セパレータ22の他端に、別のスペーサ40を嵌め込み、同様に、コンクリート打設面31が対向するように、型枠30とスペーサ40とをもう一列、交互に並べる。
【0021】
ついで、セパレータ22の両端に、型枠30の裏面34側から締付金具23を螺合により取り付け、セパレータ22のPコン21と締付金具23基端部の皿板24との間で側板部33およびスペーサ40の幅方向を挟み込むようにして、型枠30およびスペーサ40を保持する。
さらに、締付金具23の上下に角パイプからなる一対の横ばた材25を配置し、これらを支持する座金26および座金26を止めるクサビ27で、横ばた材25を側板部33、補強板部35およびスペーサ40の側面に当接させた状態で固定する。この横ばた材25を配設することによって、型枠30が、コンクリート打設時のコンクリートの圧力によって外側に膨らまないようにされている。
【0022】
また、別の組立方法(建てつけ方法)としては、スペーサ40に、あらかじめセパレータ22、Pコン21、締付金具23等の型枠用金具を仮にセットしておき、これを型枠30間に挟み込みながら、型枠30を建てつける方法などを挙げることができる。
【0023】
以上説明したようなコンクリート型枠連設構造50にあっては、スペーサ40が、両表面45が型枠30の側板部33と接するように、隣り合う型枠30の側板部33の間に配設され、そして、このスペーサ40の挿通孔44にセパレータ22が挿通されているので、型枠30にセパレータ22の挿通孔を穿設する必要がない。また、コンクリート型枠連設構造50にあっては、セパレータ22のPコン21と締付金具23基端部の皿板24とによる締め付け圧力を、スペーサ40および側板部33の幅方向で受けるようになるので、圧力に対して十分な強度を発揮できる。したがって、従来のベニア合板等からなる木製型枠に用いられていたPコン21、締付金具23などの一点に圧力の集中しやすい型枠用金具の流用した場合でも、型枠30が破損することはない。
【0024】
また、コンクリート型枠連設構造50における型枠30およびスペーサ40は、プラスチック製であるので、耐久性がよく、耐用回数を超えた後にはプラスチック材料としてリサイクルが可能である。また、型枠30およびスペーサ40は、プラスチック製であるので、コンクリート離型性がよく、コンクリート剥離剤が不要である。
また、型枠30は、プラスチック製であり、片面がコンクリート打設面31となる堰板部32と、堰板部32の両側縁から堰板部32のコンクリート打設面31の反対側に直角に屈曲した側板部33とを有しているので、桟木を固定するための釘打ちが不要であり、施工性がよく、釘打ちによる耐久性の低下もない。
【0025】
このように、コンクリート型枠連設構造50にあっては、型枠30にセパレータ22の挿通孔を穿設する必要がなく、従来の木製型枠用金具を用いても型枠30が破損することがなく、コンクリート剥離剤が不要であり、桟木の固定や型枠30の連結に釘打ち作業が不要であるので、コンクリート型枠連設構造50に用いられる型枠30耐用回数が従来の木製型枠に比べて飛躍的に延び、コストダウンにつながる。
【0026】
また、この型枠30は、堰板部32、側板部33および補強板部35が2枚の板36とこれらを連結する複数の長尺の補強リブ37とが一体に成形された中空状のものであるので、軽量であり、かつ十分な機械的強度を有する。
また、この型枠30は、堰板部32のコンクリート打設面31の裏面34に、側板部33に平行な補強板部35が設けられているので、耐久性、耐圧性がさらに向上している。
【0027】
また、スペーサ40は、その幅Aがコンクリート打設面31に直交する方向の側板部33の幅Bと同じとされているので、スペーサ40の側面43と堰板部32のコンクリート打設面31とが同一平面となり、打設されたコンクリート表面が型枠30のつなぎ目で凹凸となることなく、コンクリート表面を平面に保つことができる。
【0028】
また、スペーサ40は、その厚さがスペーサ40の側面43と接する締付部材の接触面の最大幅よりも小さくされている。これにより、スペーサ40および型枠30の側板部33が、それらの両側方から締付部材によって挟まれるようにして締め付けられるので、スペーサ40の表面41と側板部33の外側表面38との接触が保たれる。
また、スペーサ40は、2枚の板41とこれら板の間を連結する長尺の補強リブ37とが一体に成形されたものであるので、軽量であり、かつ十分な機械的強度を有する。
【0029】
なお、本発明のコンクリート型枠連設構造は、図示例のものに限定はされず、型枠の間に本発明のスペーサが配設されているものであればどのような形態のものでもよい。
また、スペーサの材質としては、プラスチックに限定はされず、これ以外に、木材や、アルミニウム等の金属材料などを用いても構わない。また、スペーサは中空のものに限定はされず、図示例のプラスチックの中空材以外に、発泡プラスチック等のムク材を用いても構わない。
また、コンクリート型枠としては、中空のプラスチック製のものに限定はされず、例えば、ムクのFRP(繊維強化プラスチック)製のもの、中空状または板状の金属製ものなどを用いても構わない。
【0030】
また、本発明のコンクリート型枠連設構造においては、図6に示すように、断面コの字形に屈曲したクリップ55を、2つの側板部33およびこれらに挟まれたスペーサ40の側方から嵌め込み、側板部33およびスペーサ40を挟持するようにして型枠30を連結(仮固定)してもよい。
また、クリップ55の設置位置は、図示例のようなの位置に限定はされず、セパレータ22の両端がクリップ55中央に穿設された孔から突出するようにして嵌め込み、締付金具23と同じ位置としてもよい。
クリップ55の材質としては、金属、プラスチックなどを用いることができる。中でも、錆などの点でプラスチック製が好ましい。
また、クリップによる連結手段(仮固定手段)以外にも、スペーサを挟み込んだ側板部同士を、これらに釘、ピンなどを打ち込むことによって固定する連結手段を用いても構わない。
【0031】
また、スペーサ40には、必ずしも挿通孔44をあらかじめ設けておく必要はない。挿通孔44は、コンクリート打設の現場において、セパレータ22を挿入する位置を決定した後に、現場で穿設するようにしても構わない。なお、この際、スペーサ40は中空であるので、挿通孔44の穿設は側面43および補強リブ42のみに行えばよく、容易に行える。また、スペーサ40はプラスチック製であるので、挿通孔44の穿設は容易である。
また、スペーサの挿通孔を現場で穿設する場合は、穿設用のドリルの先端をスペーサの側面の中央に位置させ横逸れなく挿通孔を開け易くするために、スペーサの側面にドリルガイド用の凹溝を長手方向に設けてもよい。
【0032】
また、スペーサ40における補強リブの数は、図示例のように2つに限定はされず、1つであってもよく、または3つ以上であっても構わない。また、補強リブを設けなくても構わない。補強リブの数は、スペーサの幅や要求される強度などに応じて適宜設定される。
また、本発明のコンクリート型枠連設構造における型枠は、図5に示すものに限定はされず、例えば、堰板部32の幅が狭い場合には、図7に示すように、補強板部を省略することも可能である。
また、型枠の設置の際に用いられるセパレータとしては、図示例の丸棒状のものに限定はされず、例えば、平板状のものなど、公知のセパレータを用いることができる。
また、Pコン、締付金具も、図示例のものに限定はされず、例えば、ハット型のPコンなど、公知のものを用いることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のコンクリート型枠連設用スペーサは、複数のコンクリート型枠を並べて配置する際に、隣り合うコンクリート型枠の側板部の間に配設される平板状部材のスペーサであるので、コンクリート型枠連設構造において、従来の木製型枠に用いられていた型枠用金具を、型枠用金具のための孔や溝を型枠本体に設けることなくことなく、流用可能にする。
【0034】
また、本発明のコンクリート型枠連設用スペーサが、プラスチック製であれば、軽量で施工性がよく、耐久性が高く、かつリサイクル可能である。また、セパレータの挿通孔を容易に穿設できる。
また、本発明のコンクリート型枠連設用スペーサの高さがコンクリート型枠の高さと同じとされ、かつ幅がコンクリート打設面に直交する方向の側板部の長さと同じとされていれば、コンクリートの打設を良好に行うことができる。
また、本発明のコンクリート型枠連設用スペーサが、中空の平板状部材であれば、さらに軽量となり、また、セパレータの挿通孔の穿設が容易となる。
また、前記中空の平板状部材が、2枚の板とこれら板の間を連結する長尺の補強リブとが一体に成形されたものであれば、軽量であり、かつ十分な機械的強度を有するものとなる。
【0035】
また、本発明のコンクリート型枠連設構造は、複数のコンクリート型枠が、コンクリート型枠の側板部が向かい合うように、一定の間隔をあけて配置され、本発明のコンクリート型枠連設用スペーサが、両表面がコンクリート型枠の側板部と接するように、隣り合うコンクリート型枠の側板部の間に配設され、コンクリート型枠連設用スペーサの挿通孔に棒状のセパレータが挿通されているものであるので、従来の木製型枠に用いられていた型枠用金具を、型枠用金具のための孔や溝を型枠本体に設けることなくことなく、流用することができる。
【0036】
また、本発明のコンクリート型枠連設構造において、コンクリート型枠連設用スペーサおよびコンクリート型枠の側板部が、それらの両側方からセパレータに取り付けられた2つの締付部材によって挟まれていれば、スペーサの表面と側板部の外側表面との接触が保たれ、型枠とスペーサが離れることがない。
また、前記コンクリート型枠が、プラスチック製であれば、施工性がよく、耐久性が高く、かつリサイクル可能である。
また、前記コンクリート型枠が、中空であれば、さらに軽量となり、施工性がさらによくなる。
また、コンクリート型枠の堰板部および側板部が、2枚の板と、これら板の間を連結する複数の長尺の補強リブとが一体に成形されたものであれば、軽量であり、かつ十分な機械的強度を有するものとなる。
また、コンクリート型枠連設用スペーサの厚さが、スペーサの側面と接する締付部材の接触面の最大幅よりも小さくされていれば、スペーサおよび型枠の側板部を、それらの両側方から締付部材によって挟まれるようにして締め付けることができる。これにより、スペーサの表面と側板部の外側表面との接触が保たれ、型枠とスペーサが離れることがない。
【0037】
また、本発明のコンクリート型枠の連設方法は、片面がコンクリート打設面となる堰板部と、堰板部の両側縁から堰板部のコンクリート打設面の反対側に直角に屈曲した側板部とを有するプラスチック製の複数のコンクリート型枠を、それらのコンクリート打設面が同一平面となるように、かつそれらの側板部の間にスペーサを配設した状態で配置し、スペーサにセパレータを挿通するようにした方法であるので、型枠としてプラスチック製の中空型枠を用いた場合であっても、従来の木製型枠に用いられていた型枠用金具を流用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のコンクリート型枠連設構造の一例を示す斜視図である。
【図2】 図1における型枠の接続部分の一例を示す要部斜視図である。
【図3】 図1における型枠の接続部分の一例を示す要部上面図である。
【図4】 本発明のコンクリート型枠連設用スペーサの一例を示す斜視図である。
【図5】 本発明のコンクリート型枠連設構造に用いられるコンクリート型枠の一例を示す斜視図である。
【図6】 型枠の接続部分の他の例を示す要部斜視図である。
【図7】 本発明のコンクリート型枠連設構造に用いられるコンクリート型枠の他の例を示す斜視図である。
【図8】 従来のコンクリート型枠の一例を示す斜視図である。
【図9】 従来のコンクリート型枠連設構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
21 Pコン(締付部材)
22 セパレータ
24 皿板(締付部材)
30 型枠(コンクリート型枠)
31 コンクリート打設面
32 堰板部
33 側板部
34 裏面
36 板
37 補強リブ
40 スペーサ(コンクリート型枠連設用スペーサ)
41 板
42 補強リブ
43 側面
44 挿通孔
45 表面
50 コンクリート型枠連設構造
Claims (7)
- 片面がコンクリート打設面となる堰板部と、堰板部の両側縁から堰板部のコンクリート打設面の反対側に直角に屈曲した側板部とを有する複数のコンクリート型枠が、コンクリート型枠の側板部が向かい合うように、一定の間隔をあけて配置され、コンクリート型枠連設用スペーサが、両表面がコンクリート型枠の側板部と接するように、隣り合うコンクリート型枠の側板部の間に配設されたコンクリート型枠連設構造であって、
コンクリート型枠連設用スペーサが、平板状部材であり、
コンクリート型枠連設用スペーサの高さが、コンクリート型枠の高さと同じとされ、かつコンクリート打設面に直交する方向のコンクリート型枠連設用スペーサの幅が、コンクリート打設面に直交する方向の側板部の幅と同じとされ、
コンクリート型枠連設用スペーサの一方の側面から他方の側面まで幅方向に貫通する挿通孔が穿設され、
コンクリート型枠連設用スペーサの挿通孔に棒状のセパレータが挿通され、
コンクリート型枠連設用スペーサおよびコンクリート型枠の側板部が、それらの両側方からセパレータに取り付けられた2つの締付部材によって挟まれ、
コンクリート型枠連設用スペーサの厚さが、スペーサの側面と接する2つの締付部材の接触面の最大幅よりも小さくされていることを特徴とするコンクリート型枠連設構造。 - 前記コンクリート型枠連設用スペーサが、プラスチック製であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート型枠連設構造。
- 前記コンクリート型枠連設用スペーサが、中空の平板状部材であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート型枠連設構造。
- 前記中空の平板状部材が、2枚の板とこれら板の間を連結する長尺の補強リブとが一体に成形されたものであることを特徴とする請求項3記載のコンクリート型枠連設構造。
- 前記コンクリート型枠が、プラスチック製であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンクリート型枠連設構造。
- 前記コンクリート型枠が、中空であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項に記載のコンクリート型枠連設構造。
- コンクリート型枠の堰板部および側板部が、2枚の板と、これら板の間を連結する複数の長尺の補強リブとが一体に成形されたものであることを特徴とする請求項6記載のコンクリート型枠連設構造。
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