JP3960735B2 - 半導電性シームレスベルト及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式複写機やレーザプリンタ等に使用される半導電性シームレスベルト及びその製造方法に関し、特に感光体基体用、中間転写用、紙搬送用、現像用、定着用等の半導電性シームレスベルト及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導電性シームレスベルトの製造には、成形性が良いこと、軽量であること等の理由から合成樹脂材料の使用が検討されている。この種の半導電性シームレスベルトは、例えば特開平10‐226028号公報に開示されている。この半導電性シームレスベルトには導電性が付与されるが、この導電性は、表面抵抗を基準とすると1〜1×1013Ω/□の範囲とされる。この導電性の範囲は、他の半導電性シームレスベルトにおいても同様である。
また、半導電性シームレスベルトの製造方法には、押出成形法等があるが、厚さ精度が良く、抵抗値のばらつきが少ないことから遠心成形法が一般的に採用されている。このため半導電性シームレスベルトを製造する場合には、樹脂材料を親溶媒で適切に溶解して材料溶液を調製し、これを用いて遠心成形するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来における半導電性シームレスベルトの導電性は、以上のように表面抵抗を基準とした場合に1〜1×1013Ω/□の範囲とされている。これは、係る範囲を超えると、一般的に体積抵抗が大きくなり、トナーの搬送や転写という諸性能を満たすことができないからである。
しかしながら、上記表面抵抗値のものでは、コピー紙に印刷する場合には特に支障を来さないが、OHP用のプラスチックシートに印刷する場合には、プラスチックシートを搬送することができず、到底満足できる性能を得ることができないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、トナーの搬送や転写の場合には充分な導電性を確保することができ、OHP用のプラスチックシート等を搬送することが可能な半導電性シームレスベルト及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上記課題を解決するため、溶解度5〜50重量%の溶媒で溶液化した樹脂材料にカーボンフィラーを分散させて材料溶液を調製し、この材料溶液を回転する金型に注入することにより0.02〜0.5mmの厚さに遠心成形されるものであって、
カーボンフィラーの凝集した凝集粒子の平均実質粒子径を0.5μm以下とするとともに、最大実質粒子径が3μm以下で実質粒子径1μmを超える凝集粒子をカーボンフィラーの全量中2重量%以下とすることにより、厚さ方向の電気抵抗が面方向の電気抵抗よりも低い異方導電性であることを特徴としている。
また、本発明においては上記課題を解決するため、溶解度5〜50重量%の溶媒で溶液化した樹脂材料にカーボンフィラーを分散させて材料溶液を調製し、この材料溶液を回転する金型に注入して半導電性シームレスベルトを0.02〜0.5mmの厚さに遠心成形する半導電性シームレスベルトの製造方法であって、
カーボンフィラーの凝集した凝集粒子の平均実質粒子径を0.5μm以下とするとともに、最大実質粒子径が3μm以下で実質粒子径1μmを超える凝集粒子をカーボンフィラーの全量中2重量%以下とすることにより、半導電性シームレスベルトを、厚さ方向の電気抵抗が面方向の電気抵抗よりも低い異方導電性とすることを特徴としている。
【0006】
すなわち、本発明者は、トナーの搬送や転写の場合に充分な導電性を確保し、しかも、OHP用のプラスチックシート等を搬送可能な半導電性シームレスベルトを得るためには、表面においては比較的高い抵抗値を有し、全体的には半導電領域の抵抗値を有するものとすれば良いこと、つまり、厚さ方向では抵抗が低く、面方向では高い抵抗を示す、いわゆる異方導電性を有するものとすれば良いことに着目し、その方法、構成について様々な検討を重ねた。
その結果、上記構成を採用することにより、トナーの搬送や転写の場合には充分な導電性を確保し、OHP用のプラスチックシート等を搬送可能な半導電性シームレスベルトを得られることを確認し、本発明を完成させた。
【0007】
以下、図面を用いて説明すると、本発明で使用される樹脂材料としては、公知の樹脂材料を使用すれば良いが、半導電性シームレスベルトは複数のロール間に懸架して使用されるので、充分な機械的強度と可撓性とを有する樹脂材料を選択する必要がある。具体的には、PET、PBT、PEN等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、アラミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等があげられる。樹脂材料は、熱硬化性、熱可塑性のいずれでも良く、採用する製造方法により適当なものを選択する。
【0008】
本発明で用いられるカーボンフィラーとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック等があげられる。本発明においては、係るカーボンブラックの分散状態が必要な特性を得るために重要な役割を果たすこととなる。
【0009】
カーボンブラックは数〜百数十nmの粒子径を有しているが、これは一次粒子の大きさであり、通常はこれらが2〜100個程度凝集した二次粒子、さらに二次粒子が凝集した三次粒子となって存在している。特許請求の範囲における「実質粒子径」とは、この凝集粒子の大きさをいい、カタログ等に掲載された一次粒子の大きさとは異なる。半導電性シームレスベルトは、可撓性が要求されるので、厚さが0.02〜0.5mm程度と薄く、この中でカーボンブラックが大きく凝集していると、重力や遠心力等の外力により沈降し易く、この沈降過程で凝集粒子が凝集粒子相互間でつながりを有する。この結果、面方向のつながりが密になって表面抵抗を下げ、特にその体積抵抗率が1×106〜1×1013Ω・cm程度の場合には、連鎖が面方向の抵抗の低下に大きく影響することを本発明者は見出した。
【0010】
そこで本発明においては、上記に鑑み、カーボンブラックの三次凝集粒子の割合を極力抑制するようにしている。具体的には、平均実質粒子径が0.5μm以下であり、かつ最大実質粒子径が3μm以下で実質粒子径1μmを超える粒子が、カーボンフィラー全量中2重量%以下とすることにより、必要な体積抵抗を得るために表面抵抗が下がり過ぎるのを抑制するようにしている。
【0011】
これをさらに具体的に説明すると、表面抵抗率をρs(Ω/□)、体積抵抗率をρv(Ω・cm)、厚さをt(cm)とした場合、全ての方向において抵抗が均一であれば、すなわち、等方導電性であれば、ρs×t=ρvの関係を有することとなり、log(ρs×t)−logρv=0となる。上記のように大きな凝集粒子の存在により、面方向の抵抗が下がる場合、log(ρs×t)−logρv<0となり、これは従来の好ましくない状態である。本発明においては、カーボンブラックの実質粒子径を制御することにより、log(ρs×t)−logρv>0、好ましくはlog(ρs×t)−logρv≧0.5の関係を有する、厚さ方向の抵抗が低い異方導電性の半導電性シームレスベルトを得ることができる。これは、上記カーボンブラックを使用するとともに、成形時の収縮の関係を、厚さ方向を相対的に面方向よりも大きくすることにより達成される。
【0012】
実質粒子径の測定方法は、遠心沈降式の粒度分布測定装置、例えば島津製作所製「SA‐MPA・S3」を用いて測定する方法によれば良い。この方法によれば、上記沈降による不具合との相関がとれた実質粒子径を測定することが可能である。この測定方法によれば、市販のカーボンフィラーが請求項1記載の範囲内にはないので、三次凝集を解砕する処理を施すことが必要である。このような処理方法としては、図1(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、流路6の最小部の間隙が0.1mm以下で、液剤を分離・衝突させるスタティックミキサ1にカーボンフィラーを含む材料を流通させる方法があげられる。
【0013】
このスタティックミキサ1は、同図に示すように、相対向する上下一対の型部材2・5を備え、下型部材2の表面に溝3が切り欠き加工され、この溝3内の矩形を呈した複数(図では2箇所)の拡幅部には、ブロック状のじゃま突起4がそれぞれ突設されており、各じゃま突起4が溝3の一部を左右に分岐形成する。このようなスタティックミキサ1は、上下一対の型部材2・5が型締めされて溝3が流路6となり、この流路6の上流からカーボンブラックを含む材料が流入すると、この材料を複数のじゃま突起4で複数回(図では2回)分離・衝突させてカーボン粒子を解砕処理し、その後、流路6の下流から材料を流出させる。本発明の実質粒子径は非常に細かいので、通常使用されるボールミルや三本ロールでは間隙が大き過ぎたり、解砕が確率的になり、凝集粒子を減少させるには長時間を要する。しかしながら、スタティックミキサ1を使用すれば、カーボン粒子を確実、かつ効率的に解砕処理することができる。
【0014】
樹脂材料にカーボンブラックを分散させる方法としては、適当な溶媒中で樹脂材料と解砕処理したカーボンブラックとを混合する方法、樹脂材料にカーボンブラックを直接投入し、その後、解砕処理する方法等があげられる。しかしながら、樹脂材料とカーボンブラックとを混合する際には、一旦解砕された粒子が再凝集するおそれがある。そこで、樹脂材料とカーボンブラックとの混合前に解砕処理する場合においても、樹脂材料とカーボンブラックとを混合したら、再度解砕処理することが好ましい。
【0015】
樹脂材料に対するカーボンフィラーの添加量は、必要とされる導電性に応じて適宜決定すれば良いが、樹脂材料100重量部に対し1〜30重量部の範囲から選択することが好ましい。本発明においては、上記解砕処理を行うことにより、表面抵抗率と体積抵抗率とが従来の関係を有さないので留意する必要がある。本発明において、表面抵抗率は同一面における抵抗値から算出され、体積抵抗率は半導電性シームレスベルトの表裏面の間で測定される測定値から算出される。抵抗値の測定方法により得られる値は異なるが、本発明の抵抗値の測定には、JIS K6911 5.13の抵抗率測定の項目に規定される試験方法が採用される(図4及び図5参照)。
【0016】
本発明における半導電性シームレスベルトの厚さは、0.02〜0.5mmの範囲で選択すると良い。これは、半導電性シームレスベルトが複数のロール間に懸架して使用されるので、0.02mm未満では半導電性シームレスベルトの機械的強度が不足するからである。逆に0.5mmを超えると、半導電性シームレスベルトの可撓性が低下するからである。
【0017】
半導電性シームレスベルトの製造方法としては、遠心成形法、押出成形法、射出成形法等があるが、厚さ精度、表面状態、抵抗値の精度に優れる等の観点から遠心成形法を選択することが好ましい。ここで、遠心成形法とは、図2や図3に示すように、金型9に流動性の材料溶液を注入し、金型9を回転させてその遠心力で金型9の内周面に樹脂材料層10を形成し、樹脂材料層10を乾燥又は加熱硬化させることにより、固化した樹脂材料層10を金型9の内周面に成形し、得られた樹脂材料層10を半導電性シームレスベルトとして金型9から脱型する成形方法をいう。
以下、代表的な遠心成形法を例に本発明に係る半導電性シームレスベルトの製造方法を説明する。但し、本発明に係る半導電性のシームレスベルトの製造方法は、なんら遠心成形法のみに限定されるものではない。
【0018】
先ず、材料溶液を調製するため、ベースとなる樹脂材料を適当な溶媒で溶液化し、カーボンフィラーを上記方法で分散させる。この際、材料溶液の成形時の粘度が予め50,000Pa・s以下となるよう調整する。これは、粘度が50,000Pa・sを超えると、金型9の内周面に対する材料溶液のレベリングが困難になるからである。下限については特に限定されるものではないが、材料の取り扱い上、10Pa・s以上が良い。
【0019】
ここで使用する溶媒は、樹脂材料に対して親溶媒を選択するよりも、溶解度5〜50重量%、好ましくは溶解度5〜30重量%の貧溶媒を選択すると良い。この選択により、後述する乾燥工程時に溶媒が蒸発し、金型9内の材料溶液濃度が高くなると、樹脂材料の粘度が著しく上昇する。そして、カーボンフィラーの沈降が抑制されるとともに、乾燥の進行に伴い厚さ方向にのみ寸法が変化することにより、厚さ方向におけるカーボン粒子間の距離が小さくなり、この結果、厚さ方向の抵抗が低く、面方向の抵抗が高い異方導電性を容易に得ることが可能となる。
なお、溶解度5重量%未満の場合、多量の溶媒を使用しなければならないので、実用上不適切である。
【0020】
次いで、遠心成形用の成形装置7を用意する。この成形装置7は、図2や図3に示すように、左右に並んだ複数の駆動ロール(図では4本)8と、この複数の駆動ロール8間に着脱自在に載架される回転可能な円筒形の金型9とから構成されている。金型9は、各種の金属を用いて管状に形成され、内面が鏡面加工されるとともに、フッ素樹脂やシリコーン樹脂で処理されており、シームレスベルトを容易に脱型できるようになっている。この金型9の両端部には、材料溶液の漏洩を防止する蓋(図示せず)が着脱自在に嵌合され、各蓋の中心部には、材料溶液用の注入孔が穿孔されている。
【0021】
こうして成形装置7を用意したら、複数の駆動ロール8で水平にセットした金型9を回転させ、流動性の材料溶液を進退動可能な材料供給用のディスペンサから金型9内に必要量注入する。金型9はレベリングに必要な回転数で回転駆動する。材料溶液の注入量は、材料溶液の濃度、固形分の比重、金型9の内面寸法、製品の厚さ等から算出して選択すれば良い。本発明の半導電性シームレスベルトには、機械的強度と可撓性とが求められるので、厚さの範囲は略0.02〜0.5mm程度の範囲から選択する。
【0022】
次いで、金型9の回転を継続しつつ図示しない適当なヒータで外側から加熱しながら材料溶液を乾燥させ、円筒形の樹脂材料層10を成形する。ヒータの加熱タイミングについては、樹脂材料の乾燥又は硬化条件により適宜選択すれば良い。また、材料溶液の乾燥の際、材料溶液の急激な乾燥は半導電性シームレスベルトの表面状態に悪影響を及ぼすので、当初は金型9の加熱を材料溶液の沸点よりも120〜50℃程度低くするのが良く、指触乾燥状態が得られた後に温度を上昇させ、乾燥作業を終了すれば良い。
【0023】
そして、金型9を取り外して金型9ごと冷却し、金型9と樹脂材料層10との熱膨張差を利用して金型9から樹脂材料層10を自然に脱型するとともに、樹脂材料層10の両端部をそれぞれ長手方向にカットして体裁を整えれば、可撓性を有する所定の長さの半導電性シームレスベルトを得ることができる。金型9と樹脂材料層10とが強く密着し、樹脂材料層10を自然に脱型することができない場合には、樹脂材料層10をその端部から徐々に剥離すれば良い。
【0024】
本発明によれば、カーボンフィラーの平均実質粒子径を0.5μm以下とし、最大実質粒子径が3μm以下で実質粒子径1μmを超える粒子を、カーボンフィラー全量中2重量%以下とするので、薄い半導電性シームレスベルト内におけるカーボンの連鎖を抑制することができる。また、半導電性シームレスベルトが、JIS K6911の抵抗率測定に規定される試験方法により測定された表面抵抗率をρs(Ω/□)、体積抵抗率をρv(Ω・cm)、厚さをt(cm)としたとき、(log(ρs×t)−logρv)≧0.5の関係を有し、かつρs≧5×1013であるので、トナーの搬送や転写の性能を充分満足し、普通紙やコピー紙だけではなく、OHP用のプラスチックシートをも確実に搬送することが可能になる。
【0025】
さらに、遠心成形法を採用するとともに、樹脂材料溶解用の溶媒を溶解度5〜50重量%の溶媒とするので、半導電性シームレスベルトの厚さ方向の抵抗が低く、面方向の抵抗が高い異方導電性をきわめて容易に得ることができる。さらにまた、このような半導電性シームレスベルトをプリンタ等に組み込めば、被印刷基材の適用範囲を広げることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明に係る半導電性シームレスベルト及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
実施例1
カーボンフィラーとして、キャポット製「Special Black MONARCH 120」(一次粒子径75nm(カタログ値)、遠心沈降式の粒度分布測定装置、島津製作所製「SA‐MPA・S3」を用いて測定した粒子径:重量平均粒子径0.86μm、最大粒子径10.3μm、1μm以上の粒子の割合4.9重量%)を用意し、これをN‐メチル2‐ピロリドン(NMP)に15重量%になるよう混合した。
【0027】
こうして混合したら、これを図1のスタティックミキサ(流路幅0.1mm、深さ0.1mm)1に、1,000kgf/cm2の圧力を加えて流通させ、カーボンフィラーを解砕処理してカーボンフィラー混合液を得た。この場合の遠心沈降式による重量平均粒子径は0.26μm、最大粒子径1.3μm、1μm以上の粒子の割合は0.9重量%であった。
【0028】
次いで、樹脂材料として、ポリアミドイミド樹脂「N‐100」(東洋紡績株式会社製,商品名。平均分子量=4.5万、固形分15wt%のNMP溶液、NMPに対する樹脂の溶解度は60%)を用意し、このポリアミドイミド溶液100重量部に対してカーボンブラック混合液20重量部を加え、再度スタティックミキサ1に通してポリアミドイミド‐カーボンブラック混合溶液からなる材料溶液を得た。
【0029】
次いで、複数の駆動ロール8で金型9を700rpmの速度で回転させ、材料溶液をディスペンサから金型9内に215g注入した。金型9は、内径200mm、外径220mm、長さ400mmの円筒形とし、両端部にリング状の蓋(内径170mm、外径220mm)をそれぞれ嵌合して材料溶液の漏洩を防止した。
次いで、熱風送風機で雰囲気温度を120℃に保ち、この状態を30分間維持して金型9の回転を停止し、金型9を取り外して金型9ごと180℃のオーブンにセットし、45分後に取り出した。こうして金型9を取り出したら、そのまま室温で冷却し、金型9と樹脂材料層10との熱膨張差を利用して金型9から樹脂材料層10を脱型し、樹脂材料層10を長さ260mmにカットして厚さ約100μmの半導電性シームレスベルトを得た。
【0030】
次いで、JIS K6911 5.13抵抗率の項の記載通りの形状、寸法に一対の導電性ゴムシートを成形し、この一対の導電性ゴムシートを測定用電極11として試験体である半導電性シームレスベルトの端部表裏面にそれぞれ圧着し、測定装置12(比較法による場合)から印加電圧500Vを加えて体積抵抗と表面抵抗とをそれぞれ測定し、半導電性シームレスベルトの体積抵抗率と表面抵抗率とをそれぞれ測定した(図4及び図5参照)。
測定の結果、表面抵抗率は2.7×1014(Ω/□)、体積抵抗率は1.1×1012(Ω・cm)となり、(log(ρs×t)−logρv)は0.39であった。
【0032】
比較例
カーボンブラック混合液として、実施例1と同様のカーボンブラックをNMPに15重量%になるよう混合し、これをボールミルで8時間攪拌・混合したもの(遠心沈降式による重量平均粒子径は0.67μm、最大粒子径4.2μm、1μm以上の粒子の割合は2.6重量%)を使用した。これ以外は、実施例1と同様にして半導電性シームレスベルトを作製した。
半導電性シームレスベルトを作製したら、実施例1と同様にして半導電性シームレスベルトの体積抵抗率と表面抵抗率とをそれぞれ測定した。
測定の結果、表面抵抗率は8.9×1013(Ω/□)、体積抵抗率は3.9×1012(Ω・cm)となり、(log(ρs×t)−logρv)は−0.64となった。
【0033】
評 価
カラーレーザプリンタの中間転写体として上記半導電性シームレスベルトを使用し、普通紙とOHP用のプラスチックシートとにそれぞれ印字試験を施した。
印字試験の結果、実施例1の半導電性シームレスベルトを使用した場合には、普通紙とOHP用のプラスチックシートとにそれぞれ良好に印字することができた。これに対し、比較例の半導電性シームレスベルトを使用した場合、普通紙には良好に印字することができたものの、OHP用のプラスチックシートには、搬送不良に伴う色ずれやこすれが確認された。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、カーボンフィラーの凝集粒子の割合を抑制するので、トナーの搬送や転写の場合には充分な導電性を確保することができ、コピー紙だけではなく、OHP用のプラスチックシート等をも搬送することができるという効果がある。また、遠心成形法を採用するとともに、樹脂材料溶解用の溶媒を溶解度5〜50重量%の溶媒とするので、半導電性シームレスベルトの厚さ方向の抵抗が低く、面方向の抵抗が高い異方導電性を容易に得ることができる。また、このような半導電性シームレスベルトをプリンタ等に組み込めば、被印刷基材の適用範囲を広げることができる。さらに、半導電性シームレスベルトの厚さを0.02〜0.5mmの範囲とするので、半導電性シームレスベルトの機械的強度が不足したり、半導電性シームレスベルトの可撓性が低下するのを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導電性シームレスベルトの製造方法におけるスタティックミキサを示す説明図で、(a)図は下型部材の平面図、(b)図は(a)図の横断面説明図、(c)図は(a)図の縦断面説明図、(d)図は断面全体図である。
【図2】本発明に係る半導電性シームレスベルトの製造方法における成形装置を示す正面図である。
【図3】本発明に係る半導電性シームレスベルトの製造方法における成形装置を示す側面図である。
【図4】本発明に係る半導電性シームレスベルトにおける測定用電極を示す説明図で、(a)図は半導電性シームレスベルトの表面に圧着される表面電極の平面図、(b)図は半導電性シームレスベルトの内部裏面に圧着される裏面電極の平面図である。
【図5】本発明に係る半導電性シームレスベルトにおける測定装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 スタティックミキサ
2 下型部材
3 溝
4 じゃま突起
5 上型部材
6 流路
7 成形装置
8 駆動ロール
9 金型
10 樹脂材料層(半導電性シームレスベルト)
11 測定用電極
12 測定装置
Claims (2)
- 溶解度5〜50重量%の溶媒で溶液化した樹脂材料にカーボンフィラーを分散させて材料溶液を調製し、この材料溶液を回転する金型に注入することにより0.02〜0.5mmの厚さに遠心成形される半導電性シームレスベルトであって、
カーボンフィラーの凝集した凝集粒子の平均実質粒子径を0.5μm以下とするとともに、最大実質粒子径が3μm以下で実質粒子径1μmを超える凝集粒子をカーボンフィラーの全量中2重量%以下とすることにより、厚さ方向の電気抵抗が面方向の電気抵抗よりも低い異方導電性であることを特徴とする半導電性シームレスベルト。 - 溶解度5〜50重量%の溶媒で溶液化した樹脂材料にカーボンフィラーを分散させて材料溶液を調製し、この材料溶液を回転する金型に注入して半導電性シームレスベルトを0.02〜0.5mmの厚さに遠心成形する半導電性シームレスベルトの製造方法であって、
カーボンフィラーの凝集した凝集粒子の平均実質粒子径を0.5μm以下とするとともに、最大実質粒子径が3μm以下で実質粒子径1μmを超える凝集粒子をカーボンフィラーの全量中2重量%以下とすることにより、半導電性シームレスベルトを、厚さ方向の電気抵抗が面方向の電気抵抗よりも低い異方導電性とすることを特徴とする半導電性シームレスベルトの製造方法。
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JP2001265130A (ja) | 2001-09-28 |
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