JP3960541B2 - トップガイド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に釣糸が挿通可能な釣糸通路を有する中通し竿の穂先側端部に装着されるトップガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の中通し竿は、例えば、内部に釣糸が挿通可能な釣糸通路を有する元竿と、元竿の穂先側に連結され元竿同様に内部に釣糸通路を有する中竿と、中竿の穂先側に連結され釣糸通路を有する穂先竿とを有している。元竿には、リールを取り付け可能なリールシートが形成され、リールシートの穂先側にはリールからの釣糸を竿体内部の釣糸通路に導入するための釣糸導入口が形成されている。また、穂先竿の穂先側端部にはトップガイドが設けられている。
【0003】
このトップガイドは、例えば、穂先竿の穂先側端部外周面に接着剤等で取り付けられた雄ねじ部材に脱着自在に螺合した筒状の本体部と、本体部の穂先側端部内にはめ込まれたセラミックリングを有している。そして、リールからの釣糸は釣糸導入口から竿体内部へ導かれて穂先側のトップガイドへ至り、トップガイドの本体部内を挿通してセラミックリングに支持されながら外部へ導出される。
【0004】
このような中通し竿において問題となる点に、釣糸と共に水が竿体の釣糸通路内に入り込んで溜まってしまうという点がある。このような竿体内に溜まった水は、竿体の重量化や釣糸通路内での釣糸の滑動抵抗を低減させる一因となっている。そこで、釣糸がリールに巻き取られて水中から竿体内に入る入口部分であるトップガイドに、水切り用の部材を配置するトップガイドが提供されている。例えば、トップガイドの内部に環状水切り部材を配置したものがある(特許文献1参照)。このトップガイドでは、環状水切り部材の中心孔の内壁面に釣糸を当接させて釣糸から水を切り取り、釣糸と共に水が竿体内部に入り込んでしまうのを抑えている。
【0005】
しかし、このようなトップガイドでは、常に釣糸が水切り部材に接触しているので、釣糸の導出時や巻き取り時等をも含めて常に釣糸の滑動抵抗が増加してしまう。このような釣糸の滑動抵抗の増加は、仕掛けの投げ入れや釣糸のリールへの巻き取りを阻害することになる。釣りを行う際にあっては、常に、釣糸に付着する水を排除する必要はない。例えば、キャスティングの際など釣糸が導出される際には「水切り」作業は不要であり、却って、仕掛けの飛距離を低下させる異になる。
【0006】
【特許文献1】
特開平09-000117号公報(実施例1及び図1参照)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、中通し竿の内部に水が入り込むのを防止するとともに、釣糸の滑動抵抗をなるべく阻害することのない、中通し竿用のトップガイドを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1の中通し竿は、中通し竿を構成する穂先竿の穂先側端部に装着されるトップガイドであって、穂先竿の穂先側端部に取り付けられる部材であり軸方向に貫通したパイプ状の本体部と、本体部の穂先側の開口周縁に装着される水切用リングと、本体部の内部に軸方向に移動自在に収納される部材であり、本体部内に完全に収納される収納状態及び本体部・水切用リングの穂先側端部にその一部が突出する突出状態を採り得るパイプ状の移動体とを備えている。
【0009】
このトップガイドは中通し竿の穂先側端部に装着される。リールからの釣糸は各竿体内部を挿通してトップガイドの本体部及び移動体を挿通し、穂先側に導出される。
釣りを行っている最中にあって、水中に投ぜられ水が付着した釣糸から付着した水を排水したい場合には、釣人は釣竿を上方に傾けてトップガイドの本体部内の移動体を手元側に移動させて収納状態とする。この収納状態では、釣糸が本体部の穂先側の開口周縁に配置される水切用リングに当接して変角することになり、釣糸に付着した水がそぎ落とされ排水されることになる。
【0010】
一方、水を排水する必要が無く円滑に釣糸を導出若しくは巻き取りたい場合には、釣人は釣竿を水平乃至下方に傾けてトップガイドの本体部内の移動体を穂先側に移動させて突出状態とする。また、キャスティングの際などにおいても、移動体は穂先側に移動して突出状態となる。この突出状態では、移動体が本体部・水切用リングの穂先側に突出しており、釣糸は水切用リングに接触することなく移動体に当接する。よって、釣糸の滑動抵抗が不当に増加することがない。
【0011】
発明2のトップガイドは、発明1のトップガイドであって、水切用リングはゴム部材であり、内周面に周方向に間隔を隔てた軸方向に伸びる複数の溝を有している。
このトップガイドでは、滑動抵抗の大きいゴム部材からなる水切用リングがこれに接触した釣糸から効果的に水をそぎ落とす。また、複数の溝に釣糸がはまることで、水のそぎ落としがさらに効率的に為される。
【0012】
発明3のトップガイドは、発明1又は2のトップガイドであって、本体部は穂先側端部内周面に径内方向に突出する第1フランジを有し、移動体は第1フランジに当接するための竿元側端部外周面に径外方向に突出する第2フランジを有している。
このトップガイドでは、突出状態にあって、移動体の第2フランジが本体部の第1フランジに当接することで、移動体が穂先側に飛び出さないようになっている。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態を採用したトップガイドを装着する中通し竿は、図1に示すように、内部に釣糸が挿通可能な釣糸通路100(図3参照)を有する元竿1と、元竿1の穂先側に順次振出形式で連結される元上竿2,中竿3、穂先竿4とを有している。元竿1にはリール7を脱着自在に装着可能なリールシート8が設けられており、このリールシート8の穂先側周面上にはリール7からの釣糸Lを釣糸通路内に導入するための釣糸導入口9が形成されている。また、釣糸導入口9上には釣糸Lを釣糸導入口9へ導く釣糸導入ガイドGが配置される。さらに、穂先竿4穂先側端部にはトップガイド10が取り付けられている。そして、リール7からの釣糸Lは釣糸導入ガイドG,釣糸導入口9から元竿1内部の釣糸通路に導入され、順次穂先側へ導かれてトップガイド10から外部に導出される。
【0014】
図2示すように、穂先竿4は穂先側端部外周面には雄ねじ部材4aが接着剤等で装着されており、この雄ねじ部材4aを介してトップガイド10が脱着自在に穂先竿4に装着されている。
トップガイド10は、軸方向に貫通したパイプ状の本体部11と、本体部11の穂先側の開口周縁に装着される水切用リング12と、本体部11の内部に軸方向に移動自在に収納されるパイプ状の移動体13とを有している。
【0015】
本体部11は、金属又は硬質合成樹脂等から構成されるパイプ状部材であり、竿元側端部内周面に上述の雄ねじ部材4aに螺合する雌ねじ部分が形成されている。また、本体部11の穂先側端部内周面には径内方向に突出するフランジ11aが形成されている。
水切用リング12は、本体部11の穂先側径乃至開口径にあわせて形成されたリング状の部材である。スチレンゴム・ウレタンゴム等のゴム部材から形成されており、特に、穂先側内周面は穂先側ほど大径化するように湾曲面化されている。この水切用リング12は本体部11に対して接着剤等によって直接接着されるが、交換可能なように脱着式にしてもよい。
【0016】
移動体13は、本体部11と同様に金属又は硬質合成樹脂等から構成されるパイプ状の部材である。移動体13の穂先側の内周面は穂先側ほど大径化するような湾曲面に加工されている。この移動体13の径及び軸方向長さは上述の本体部11内に収納可能な程度に設定される。例えば、穂先竿4を上方に向けて移動体13を竿元側に移動させると、移動体13は本体部11内に完全に収納される(収納状態:図4参照)。また、移動体13の竿元側端部外周面には径外方向に突出するフランジ13aが設けられている。このフランジ13aが上述の本体部11のフランジ11aに当接することで、移動体13は本体部11の穂先側に抜け落ちないようになっている。なお、これらのフランジ11a,13aが当接するように移動体13が穂先側に移動した状態(突出状態:図3参照)にあっては、移動体13の穂先側端部が水切用リング12よりも穂先側に位置するように、移動体13の長さ(移動体13の穂先側端部よりフランジ13aまでの軸方向長さ)が設定される。
【0017】
このトップガイド10を穂先竿4の穂先側に装着した中通し竿では、上述のように、リール7からの釣糸Lは各竿体内部を挿通してトップガイド10の本体部11及び移動体13を挿通し、穂先側に導出されることになる。
水中に投ぜられ水が付着した釣糸Lから付着した水を排水したい場合には、図4に示すように、釣人は中通し竿を上方に傾けてトップガイド10の本体部11内の移動体13を手元側に移動させて収納状態とする。この収納状態では、釣糸Lが本体部11の穂先側の開口周縁に配置される水切用リング12に当接して変角することになり、釣糸Lに付着した水がこの水切用リング12によってそぎ落とされ排水される。
【0018】
一方、水を排水する必要が無く円滑に釣糸Lを導出若しくは巻き取りたい場合には、図3に示すように、釣人は中通し竿を水平乃至下方に傾けてトップガイド10の本体部11内の移動体13を穂先側に移動させて突出状態とする。また、仕掛けを水中に投げ込むキャスティングの際にも、移動体13は本体部11内を穂先側に移動して突出状態となる。この突出状態では、移動体13の穂先側端部は本体部11・水切用リング12の穂先側に突出しており、釣糸Lは水切用リング12に接触することなく、移動体13の穂先側端部内周面にのみ当接する。よって、滑動抵抗が増大することなく円滑な釣糸Lの出し入れが可能となる。
【0019】
[第2実施形態]
上記第1実施形態の変形例を第2実施形態として示す。
図5に示すように、本発明の第2実施形態を採用するトップガイド20も、穂先竿4の穂先側端部に脱着自在に装着されている。そして、本体部21、本体部21の穂先側に装着される水切用リング22、本体部21内に配置される移動体23とを有している。
【0020】
本体部21は上記第1実施形態と同種のものであるが、そのパイプ状の外側面に排水用の貫通孔が形成されている。貫通孔は一カ所のみではなく、周方向に間隔を隔てて複数箇所に複数個設けてもよい。
水切用リング22は、上記第1実施形態と同様のゴム素材からなるリング部材である。そのリングの内周面には、周方向に間隔を隔てて軸方向に伸びる複数の凹溝が形成されている。この凹溝は釣糸がちょうどはまりこむ程度の幅を有するものとするのが好ましい。
【0021】
なお、その他の構造は上記第1実施形態と同様である。
このようなトップガイド20を穂先竿4の穂先側端部に装着した中通し竿でも、第1実施形態と同様にして、釣糸に付着する水をそぎ落として排水できる。特に、釣糸が水切用リング22の適当な凹溝にはまりこむので、排水作用が円滑化されている。また、釣糸に付着しているゴミなども除去される。そして、このようにして、釣糸からそぎ落とされた水は本体部21内に落ち込んでも、本体部21の排水孔から外部に排水され、トップガイド20の本体部21内に溜まってしまうこともない。
【0022】
[他の実施形態]
(a)上記各実施形態では、移動体に直接釣糸を当接させているが、図6に示すような移動体33を採用することも可能である。この移動体33は穂先側端縁にセラミックス製のガイドリング33aを装着している。釣糸をこのガイドリング33aで案内することで、釣糸の出し入れをさらに円滑にする。
(b)図7に示すような、トップガイド40を採用してもよい。このトップガイド40の本体部41内には、移動体43と穂先竿4との間にコイルバネ45が配置される。その他の構成は第1実施形態と同様である。コイルバネ45は穂先竿4の穂先側端面と移動体43の竿元側端面とにその軸方向両端が当接している。そして、移動体43を穂先側に付勢している。
【0023】
釣糸を繰り出す際等においては、移動体43が穂先側に付勢されており、釣糸Lは水切用リング42に接触することなく移動体43の内部のみに接触する。釣糸Lをリールに巻き取る場合等にあっては、釣糸Lがリールに巻き取られる際に生じる移動体43との摩擦によって、移動体43もコイルバネ45の付勢力に逆らって竿元側に引き寄せられる。そして、釣糸Lは水切用リング42に接触することになり、水切用リング42が釣糸Lに付着している水を切り落とす。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係るトップガイドによれば、釣糸に付着した水を容易に排水できるとともに、釣糸の円滑な出し入れも大きく阻害することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を採用したトップガイド10を装着する中通し竿の全体図。
【図2】図1のトップガイド10の断面図。
【図3】図1のトップガイド10の突出状態を示した図。
【図4】図1のトップガイド10の収納状態を示した図。
【図5】本発明の第2実施形態を採用したトップガイド20を示した図。
【図6】他の実施形態を採用するトップガイドの移動体33を示した図。
【図7】さらに別の実施形態を採用したトップガイド40を示した図。
【符号の説明】
4 穂先竿
10,20,40 トップガイド
11,21,41 本体部
12,22,42 水切用リング
13,23,33,43 移動体
45 コイルバネ

Claims (3)

  1. 中通し竿を構成する穂先竿の穂先側端部に装着されるトップガイドであって、
    前記穂先竿の穂先側端部に取り付けられる部材であり軸方向に貫通したパイプ状の本体部と、
    前記本体部の穂先側の開口周縁に装着される水切用リングと、
    前記本体部の内部に軸方向に移動自在に収納される部材であり、前記本体部内に完全に収納される収納状態及び前記本体部・水切用リングの穂先側端部にその一部が突出する突出状態を採り得るパイプ状の移動体と
    を備えるトップガイド。
  2. 前記水切用リングはゴム部材であり、内周面に周方向に間隔を隔てた軸方向に伸びる複数の溝を有している、請求項1に記載のトップガイド。
  3. 前記本体部は穂先側端部内周面に径内方向に突出する第1フランジを有し、
    前記移動体は前記第1フランジに当接するための竿元側端部外周面に径外方向に突出する第2フランジを有している、請求項1又は2に記載のトップガイド。
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