JP2007289118A - 中通し竿 - Google Patents

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聖比古 松本
Kenji Yamazawa
健治 山澤
Kazuma Taniguchi
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Abstract

【課題】 この発明は、釣り糸を付けた状態で元竿に収納した中竿を引き出すときに糸噛み現象を生じないようにすることを目的とする。
【解決手段】 リール5からの釣り糸Lが竿体内部を挿通する中通し竿において、元竿4における釣り糸導入口9よりも竿尻側に所定長さ範囲の内周面に内周壁面から内部空間に向けて先細りに突出する突部22を、竿の縦断面形状鋸歯状に形成してある中通し竿。
【選択図】 図2

Description

本発明は、リールから繰り出した釣り糸を元竿の釣り糸導入口から竿体内部に挿通した中通し竿に関する。
従来、例えば特許文献1に示されるように、元竿10に釣り糸導入ガイド13を備え、元竿10に開設した釣り糸導入口14より通した釣り糸を穂先竿である中竿3の先端から導出するようにした中通し竿が知られている。この中通し竿の内面は元竿から穂先竿の先端まで滑らかな截頭円錐形である。
特開2005−125504号公報(図2)
特許文献1に示された中通し竿では、釣り糸をセットしたまま中竿を収納すると、中竿の外周に釣り糸が巻きついたりして纏わり付いたりすることがある。このような状態で竿を伸ばすと、元竿の内面と中竿の外面との間に糸が噛み込む糸噛み現象を起こすことがあり、このような事態が生じると中竿の所定位置への引き出しや糸の引き出しができなくなる不都合がある。
本発明の目的は、釣り糸をセットしたまま中竿を収納したとしても再度中竿を引き出すときに糸噛み現象の生じない中通し竿を提供することにある。
〔第1発明の構成〕
請求項1に係る発明(第1発明)にあっては、リールからの釣り糸が竿体内部を挿通する中通し竿であって、
元竿における少なくとも釣り糸導入口よりも竿尻側の内周面に内周壁面から内部空間に向けて突出する突部を、竿の縦断面形状鋸歯状に形成してある。
〔作用〕
釣り糸を竿体内部に挿通して中竿を伸ばした状態から釣り糸をセットしたまま中竿を収納する。この状態では、リールから引き出された釣り糸は元竿の釣り糸導入口より元竿の竿尻方向に向かい中竿の竿尻の貫通孔を通って穂先の竿先端の導出口から外部に導出された状態になっている。この状態で釣り糸が中竿の外周に巻きついていると、中竿を引き出すときに釣り糸が中竿外周に纏わり付いた状態で引き出されるように移動する。この場合、元竿の竿尻付近では元竿の内径が大きいので中竿に纏わり付いた釣り糸は中竿に纏わり付いたまま移動しやすいが、中竿が引き出されるに従って元竿の内径が徐々に小さくなり中竿の竿尻が元竿の前記釣り糸導入口付近まで引き出されると中竿に纏わり付いていた釣り糸が元竿の内周壁面から内部空間に向けて突出する突部に引っ掛かってそれ以後中竿だけが引き出され釣り糸の中竿への絡みつきが解消され、中竿の引き出しによる伸長に応じて釣り糸が元竿と中竿の間に噛み込むこともなく引き出される。
〔発明の効果〕
従って、本第1発明によれば、釣り糸をセットしたまま中竿を収納して、再度中竿を引き出して釣りをするときに、釣り糸が竿の内部で噛み込んだり、もつれたりすることなく中竿を引き出すことができるから、そのまま釣り作業に移行することができるので、快適な釣りを楽しむことができる。
〔第2発明の構成〕
請求項2に係る発明(第2発明)は、請求項1の発明において、前記突部を釣り糸導入口の近傍の所定範囲にのみ形成したものである。
〔作用〕
元竿内に形成される前記突部は元竿の釣り糸導入口から竿尻までの全体に亘って設けてもよいが、元竿の竿尻付近の内径が大きいから、鋸歯状突部は、竿尻付近では十分な機能が発揮しない。
これに対して第2発明によれば、釣り糸導入口の近傍の所定範囲にのみ突部を形成するから、中竿に纏わり付いた釣り糸を噛み込むことなく、釣り糸を突部に引っ掛けさせた状態で中竿を引き出して釣り糸の中竿への絡みつきを解消することができる上に、突部を元竿の釣り糸導入口近傍にだけ形成すればよいから、元竿の製作工数を最小限にすることができる。
〔発明の効果〕
従って、本第2発明によれば、第1発明と同様な効果を発揮することができながら、元竿の製作工数を最小限にすることができ、生産性を向上させることができる。
〔第3発明の構成〕
請求項3に係る発明(第3発明)は、請求項1または2の発明において、前記突部を螺旋状に形成したものである。
〔作用効果〕
突部を元竿の内周面全周に亘って形成してあるので、釣り糸の絡みつきを確実に解消できる。
〔第4発明の構成〕
請求項4に係る発明(第4発明)は、請求項1または2の発明において、前記突部を周方向に不連続に形成したものである。
〔作用効果〕
突部を周方向に不連続に形成してあるので、中竿の外周に纏わり付いた釣り糸が、中竿を引き出したときに元竿に形成した突部に引っ掛かりやすくなり、より一層良好に中竿へ纏わり付いた釣り糸の噛み込みを解消することができる利点がある。
海釣り、磯釣り等に使用される中通し竿Aについて説明する。
図1に示すように、穂先竿1、中間竿2、元上竿3(以下、これら穂先竿1、中間竿2、元上竿3を中竿1,2,3と総称する)及び元竿4を伸縮自在に挿嵌して振出し型の中通し竿Aを構成する。元竿4はリール5を取り付けたリールシート6を備えており、元竿4の外面に取り付けた糸導入ガイド7に形成したガイド孔8から送り込んだ釣り糸Lを元竿4に形成した釣り糸導入口9から挿入して元竿4の内部及び中竿1,2,3の内部に形成した糸案内経路10を介して穂先竿1の先端の竿先導出口から竿外に送り出すように構成してある。
図2に示すように、糸導入ガイド7は元竿4の竿体11の竿先側寄りの外面に取り付けられ、糸導入ガイド7に対抗した部位に形成した前記導入口9の開口縁に耐磨耗性の長円形のセラミックリング12を備えて、釣り糸Lの導入口9に対する接触抵抗を緩和し、釣り糸Lが円滑に繰出せるようにしてある。
前記複数本の中竿1,2,3のうち、元上竿3は元竿4に伸縮自在に連結され、中間竿2は元上竿3に伸縮自在に連結され、穂先竿1は中間竿2に伸縮自在に連結されている。
これらの竿は、カーボン繊維13,14,15を含有する樹脂製のプリプレグ素材16,17,18を芯材19に巻回し焼成して竿尻側ほど大径となる截頭円錐形の筒状に成形される。具体的には次のように成形する。
〔元竿の成形方法〕
図3(ハ)に示す如くカーボン繊維13,14,15等から成る強化繊維に含浸させる樹脂材として、エポキシやポリカーボネート(PC)やポリエーテルサルホン(PES)を採用し、強化繊維13,14,15をひきそろえ、これに上記樹脂材を含浸させてプリプレグ素材16,17,18を成形し、これをロール上に巻いたものを用意する。プリプレグ素材16,18は強化繊維13,15の引き揃え方向を竿の円周方向に設定してあり、プリプレグ素材17は強化繊維14の引き揃え方向を竿の軸線方向に設定してある。
前記芯材19としては、図3(イ)に示す如く竿先側より竿尻に向けて徐々に外径を大きくした截頭円錐体の外周面のうち、釣り糸導入口9となる位置近傍から竿尻側に向けて所定の距離の範囲だけ、少し小径にしたものを用意する。
この芯材19の外周にパラフィン等の滑材を塗布し、その上に図3(ロ)に示す如くセロテープ等の成形テープ20を螺旋状に巻回して縦断面の外径を鋸歯状に形成する。
図3(ハ)のようにロール状の前記プリプレグ素材16,17,18を適当長さ引き出して細断したものを用意し、成形テープ20を巻回した前記芯材19にプリプレグ素材16,17,18を順次巻き付ける。プレプレグ素材16,17,18を巻回した後、図外のカーボンテープを螺旋状に巻き付けるとともに、その上に図3(ニ)に示す如くセロファンテープ等の成形テープ21で緊縛する。その後、図外の炉内で焼成する。
焼成過程では所定の温度範囲でプリプレグ素材16,17,18に含浸していた樹脂が溶融して芯材19の外形状に形成され、更に昇温した所定の高温度範囲で固化して焼成される。冷却後、芯材19を脱芯し、内外の成形テープ20,21を除去することにより、その内面に縦断面鋸歯状の突部22が螺旋状に形成された元竿4の中間品が得られる。
この中間品の竿先側端部と竿尻側端部を加工して寸法合わせをするとともに竿尻にキャップを装着するための加工及び元竿4の外表面の加工を施す。突部22の竿先側に釣り糸導入口9を形成し、この孔にセラミックリング12を付設する。釣り糸導入口9の前後に亘って糸導入ガイド7を装着し、更にリール5を取り付けるためのシールシート6を装着する。
これにより、元竿4の釣り糸導入口9となる位置近傍から竿尻側に向けて所定の距離の範囲に図2に示すように、竿体11の釣り糸導入口9よりも竿尻側所定範囲の内周面に内周壁面から内部空間に向けて先細りに突出する突部22が竿の縦断面形状鋸歯状に形成された元竿4が得られる。
上記のように突部22を、芯材19の外周に成形テープを螺旋状に巻き付けた型を利用して造ることができるから、型の作成が容易であり、これによって生産性を向上させることができる。
〔中竿の成形方法〕
元上竿3については、元竿4と同様に、カーボン繊維を素材とした長繊維形の強化繊維を含有した樹脂材から成るプリプレグ素材によって管状に形成し、穂先竿1及び中間竿2については、カーボンを素材とした長繊維形の強化繊維を含有した樹脂材から成るプリプレグ素材によって管状に形成する。すなわち、各中竿1,2,3は強化繊維をひきそろえ、これに樹脂材を含浸させて成るロール状のプリプレグ素材を所定長さ裁断して、それを芯材に巻回し、その外周に成形テープで緊縛しこれを炉内で焼成する。焼成後に脱芯し、外側の成形テープを除去することによって中間品が作製され、これを寸法合わせをするとともに表面加工を施こすことにより、穂先竿1、中間竿2及び元上竿3を得る。
元上竿3については、図2に示すように、元竿4の内部に位置している竿尻側端部に底栓23を設けるとともに、この底栓23には元上竿3の内部と元竿4の竿体11内部とを連通させる貫通孔24を設けてある。
元竿4、元上竿3、中間竿2、穂先竿1のそれぞれの内部空間及び元上竿3の前記底栓23の貫通孔24が、釣り糸Lの通路としての糸案内径路10になっている。
中通し竿Aは、図1に示す如くリール5及び釣り糸Lを装着して使用する。リール5から繰り出された釣り糸Lが糸導入ガイド7のガイド孔8を通って元竿4の釣り糸導入口9に至り、この釣り糸導入口9から元竿4の竿先側の内部を挿通して元上竿3の前記底栓23に至り、この底栓23の貫通孔24から元上竿3、中間竿2、穂先竿1の内部を挿通して穂先竿1の先端の導出口から竿外に出るように釣り糸Lを装着して使用する。
元竿4から引き出した中竿1,2,3を収納するときは、釣り糸Lをセットしたまま、元上竿3を元竿4内に、中間竿2を元上竿3内に、穂先竿1を中間竿2内にそれぞれ収納する。釣り糸Lを取付けたまま中竿1,2,3を元竿4内に収納すると、リール5から引き出されている釣り糸Lは元竿4の釣り糸導入口9より元竿4の竿尻方向に向かい元竿4内に収納された元上竿3の竿尻の底栓23の貫通孔24を通って穂先竿1の先端の導出口から外部に導出された状態になっている。
元上竿3の底栓23の貫通孔24からその外周面を伝って元竿4の釣り糸導入口9に至るまでの釣り糸Lは、元竿4内で元上竿3が何らかの原因で回転したりすると釣り糸Lが元上竿3の外周に巻きつくことがある。特に、釣り糸Lや竿が濡れていると竿外周に釣り糸Lがくっつきやすい。この状態にあるときに元上竿3を引き出すと元竿4内の釣り糸Lが元上竿3の外周に纏わり付いて引き出されるように移動する。
この場合、元竿4の内面全体が滑らかな截頭円錐形であると、元竿4の竿尻付近では元竿4の内径が大きいので元上竿3に纏わり付いた釣り糸Lは元上竿3に纏わり付いたまま移動するが、元上竿3が引き出されるに従って元上竿3に纏わり付いている付近の元竿4の内径が小さくなり、元上竿3の外周に纏わり付いた釣り糸Lが遂には、元上竿3の外周面と元竿4の内周面との間に噛み込んで糸詰まりが生じる不都合がある。
本発明においては、元竿4における釣り糸導入口9よりも竿尻側に向かう一定長さの範囲の元竿4内周面に内周壁面から内部空間に向けて先細りに突出する突部22を、竿の縦断面形状鋸歯状に形成してあるので、図4(イ)に示すように元上竿3が収納された状態から元上竿3の竿尻が元竿4の前記釣り糸導入口9付近まで引き出されると、元上竿3に纏わり付いていた釣り糸Lが、図4(ロ)に示すように元竿4の内周壁面から内部空間に向けて形成された先細りに突出した突部22に引っ掛かり、更に元上竿3を引き出すと、図4(ハ)に示すように元上竿3だけが引き出され釣り糸Lの元上竿3への絡みつきが解消され、元上竿3の引き出しによる伸長に応じて釣り糸Lが元竿4と元上竿3の間に噛み込むことなく引き出される。
〔別実施形態〕
上記の実施形態では、突部22を元竿4の釣り糸導入口9よりも竿尻側所定範囲に設けたが、釣り糸導入口9の竿先側にも設けてもよい。又、上記所定範囲より更に竿尻近くに亘って設けてもよい。更に元上竿3を引き出したときの元竿4内周面と元上竿3の外周面との重合部以外の元竿4内周面全体に亘って突部22を形成してもよい。従って、本発明においては、突部22を元竿4における少なくとも釣り糸導入口9よりも竿尻側の内周面に形成すればよい。
これらの場合、元竿4内周面と元上竿3の外周面との間に釣り糸Lの太さの何倍も隙間のできる竿尻付近では突部22を形成したことによる効果は殆ど期待できない。しかし、中竿1,2,3を元竿4内に収納するときに突部22が抵抗となって釣り糸Lが引き伸ばされやすく弛みが生じにくいので中竿1,2,3の収納後の中竿外周への纏わり付きにくくなる効果がある。
収納した元上竿3が引き出されて、元竿4内周面と元上竿3の外周面との間の隙間が釣り糸の太さに近くなってくると、絡み付いた釣り糸Lが元竿4内周面の突起22に引っ掛かって元上竿3を含む中竿だけが引き出されて絡み付きが解消される。
前記突部22は、前記釣り糸導入口9の近傍の所定範囲のみに形成するのが最も効率的である。
突部16としては、リング状に形成してもよい。
上記の実施形態では、突部22を元竿4の内周面全周に形成したが、周方向に多数途切れさせて形成してもよい。細かく途切れているほど元上竿3に纏わり付いた釣り糸Lが突部22に引っ掛かりやすくなり、釣り糸の噛みこみが確実に防止できる。更に、突部22としては、小突起をランダムに多数設けてもよい。この場合、小突起を形成するための多数の凹部を成形用の芯材15に設けておいて、これに巻き付けたプレプレグ素材に含浸している樹脂を利用して形成してもよい。又、植毛或いは不織布等のシート状に形成した別体のものと接着によって突起を設けてもよい。
小突起を多数ランダムに設けたものは雄型面ファスナーと類似の機能があるから、この場合は元竿4の内面と元上竿3の外面との間の隙間の大きな元竿4の竿尻側に設けても元上竿3の外周に纏わり付いた釣り糸Lが当該小突起に接触することによってくっ付き、中竿1,2,3を引き出すときに元上竿3の外周に対する釣り糸Lの絡み付きが解消される。
中竿としては穂先竿1だけのものでもよいし、三本を越える数であってもよい。
中通し竿の側面図 元竿の一部拡大縦断面図 元竿の製造工程を示す説明図 (イ)(ロ)(ハ)は元上竿を元竿内に収納した状態から引き出すときの糸詰まりが解消される状態を示す説明図
符号の説明
4 元竿
5 リール
9 釣り糸導入口
11 竿体
17 突部
L 釣り糸

Claims (4)

  1. リールからの釣り糸が竿体内部を挿通する中通し竿であって、
    元竿における少なくとも釣り糸導入口よりも竿尻側の内周面に内周壁面から内部空間に向けて突出する突部を、竿の縦断面形状鋸歯状に形成してある中通し竿。
  2. 前記突部は前記釣り糸導入口の近傍の所定範囲にのみ形成してある請求項1記載の中通し竿。
  3. 前記突部を螺旋状に形成してある請求項1または2記載の中通し竿。
  4. 前記突部を周方向に不連続に形成してある請求項1または2記載の中通し竿。
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