JP3958255B2 - 発電機における位相同期検出回路 - Google Patents

発電機における位相同期検出回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼル発電機やマイクロガスタービン発電機などの発電機を、商用電源や既に動いている発電機と同期させて投入するための同期投入装置に用いられる位相同期検出回路に関し、特に、アナログ回路とデジタル回路をハイブリッド化して位相同期を検出する位相同期検出回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
商用電源、または他の発電機からの電力が供給されている母線に発電機電力を追加する場合、母線と新たに追加する発電機との間の電圧差、周波数差を許容値以内とし、位相が所定範囲で一致している必要がある。そのため、母線と新たに投入する発電機の位相が同期した点を検出するための位相同期検出回路が種々提案されている。例えば、母線電圧と発電機電圧をアナログ減算器で減算し、両者の電圧と周波数、及び位相が接近してくるとビート波形が出力されるため、このビート波形の包絡線が極小となったタイミングを同期タイミングとし、発電機を投入するといったことが行われている。しかしながらこの方法では、ビート波形に母線上の交流電圧、または発電機の出力電圧と同じ周波数のリップルが含まれるため、同期推定のための演算が複雑で難しいものになるという問題があった。そのため、時定数の大きなフィルターを用いてリップルを除去する方法も考えられるが、ビート波形に遅れが生じるために同期タイミングが遅れるという問題が生じる。
【0003】
そのため特許文献1には、3相交流発電機の各相に同期した矩形波と、母線の3相交流電圧の特定相に同期した矩形波Vを生成し、矩形波Vの特定レベルの遷移毎に他の矩形波のレベルを判定し、各矩形波のレベルの組み合わせが所定の変化をしたときに同期タイミングと推定する方法が示されている。また、特許文献2には、発電所などの無人化や信頼性向上のため、母線電圧と発電機電圧の電圧をアナログ/デジタル変換し、それを加え合わせてビート電圧演算し、同期をデジタル的に検出する方式が示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−139029号公報
【特許文献2】
特開平6−311656号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された装置は簡単ではあるが3相交流の場合にしか使えず、また特許文献2に示された装置は、単純に母線電圧と発電機電圧をデジタル化して加え合わせてビート演算しているため、デジタルサンプリング中に正常な0Vとゼロクロスを生じるパルス性のノイズによる0Vが有る場合、どちらが正常な同期点かの判断が単純に決定出来ないため、誤動作する可能性がある。
【0006】
そのため本発明においては、発電機の同期投入装置における位相同期検出回路をアナログとデジタル回路でハイブリッド化し、かつ、ゼロクロスノイズ等にも強い位相同期検出回路を提供することが課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明においては、
商用電源または他の発電機からの電力が供給されている母線と前記発電機の電圧を同期投入するための位相同期点を検出する発電機における位相同期検出回路であって、
前記発電機の電圧入力信号の位相を1/4波長遅らせる移相手段と、該移相手段出力と前記母線の電圧入力信号とをかけ算するかけ算手段と、該かけ算手段出力波形の包絡線におけるプラス、マイナスが等しくなる位置における信号を出力する比較手段と、該比較手段出力から前記母線と前記発電機電圧の位相が半波長ずれた位置の信号を除外する手段とからなることを特徴とする。
【0008】
このように、発電機の電圧入力信号の位相を1/4波長遅らせて母線の電圧入力信号とかけ算することにより、単に加算や減算した場合に較べて差を大きく取ることができるから、同期点を高精度に検出することが可能となり、かつ、発電機出力の位相を1/4波長遅らせない場合、位相同期点が前記かけ算手段出力におけるピーク位置に出るため高精度な位相同期点検出ができないのに対し、本発明においては発電機出力の位相を1/4波長遅らせてかけ算しているため、位相同期点は前記かけ算手段出力における包絡線のプラス、マイナスが等しくなる位置(ゼロクロス点)に出るから、ゼロクロスノイズに影響されずに高精度な同期点検出をおこなうことができる。
【0009】
そして、前記かけ算手段出力波形の包絡線におけるプラス、マイナスが等しくなる位置における信号を出力する比較手段は、前記かけ算手段出力波形の包絡線におけるプラス、マイナスが等しくなる位置における信号を、予め与えられた前記母線と前記発電機における位相差が所定以下となったときに出力するよう構成することにより、母線に発電機の電圧を投入するのに最適な同期点を出力することができる。
【0010】
また、前記比較手段出力から母線と発電機電圧の位相が半波長ずれた位置の信号を除外する手段は、前記発電機の電圧入力信号の位相を1/4波長遅らせる移相手段と、該移相手段出力と前記母線の電圧入力信号の位相を比較し、両者の位相が略90度乃至270度ずれていることを検出する位相判別器とすることにより、両者の位相が略90度乃至270度ずれた位置というのは、もともと発電機電圧の位相を半波長ずらせた上で比較しているから、この位相判別器においては略180度乃至360度のズレとして検出でき、容易に検出が可能であると共にそれによって、前記かけ算手段出力波形の包絡線におけるプラス、マイナスが等しくなる位置に出現する母線と発電機電圧の位相が半波長ずれた時に出る信号を、容易に取り除くことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0012】
図1は本発明の発電機における位相同期検出回路の実施の形態を示した概略ブロック図、図2は本発明の発電機における位相同期検出回路の入力波形とかけ算器の出力波形、図3は本発明の発電機における位相同期検出回路の各ブロックの出力波形、図4はかけ算器への発電機電圧の入力の位相をずらさなかったときの出力波形、図5はコンパレータ17の具体的回路例、図6はその動作タイムチャートである。
【0013】
図中、1は本発明の位相同期検出回路、2は商用電源、または他の発電機からの電力が供給されている母線電圧、3は位相同期を検出する発電機(本機)の電圧、4、5は変圧器(PT)、6、7はCPU演算回路8からのゲイン切り替え信号9によって出力を一定範囲の電圧とすると共に、この電圧をアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換機能を有した入力アンプ回路、10、11はCPU演算回路8に母線電圧及び周波数と発電機電圧及び周波数を送る信号線、12は発電機電圧の位相を90度遅らせる−90度(1/4波長)移相器、13は入力アンプ6によって一定範囲の電圧とされた母線電圧2と、同じく入力アンプ7によって一定範囲の電圧とされ、−90度移相器12で位相を90度遅らせた電圧とをかけ算するかけ算器、14はかけ算器13の出力を一定範囲の電圧とするための自動ゲイン調整回路(AGC)、15は雑音を除去するフィルター回路、16はアンプ(AMP)、17はアンプ(AMP)16からの信号がCPU演算回路8からの位相差設定信号18の範囲に入ったときに位相差出力19を出力するコンパレータ(比較器)、18は位相差出力19を母線電圧2と発電機電圧3の位相が所定範囲以下となった点で出力するため、CPU演算回路8から送られる位相差設定のための信号、20はアンプ(AMP)16で増幅された液晶パネル26上の同期検定器用位相信号である。21は母線電圧2と発電機電圧3の位相差が90度から270度となったことを判別する位相判別器で、位相差が90度から270度のときH信号を、位相差が270度から90度のときL信号を出力する。22は同期投入判別器、23は母線電圧2と発電機電圧4の90度から270度位相判別器21から出力される位相極性信号、24は周波数差と電圧差が設定値以内になったときの信号、25は同期投入可能信号、26は液晶パネル上の同期検定器である。
【0014】
図5において、18はCPU演算回路8からの位相差設定信号で、母線電圧2と発電機電圧4の位相が±10度以内で一致したときに位相一致信号を出す場合は「H」の信号が、±5度以内で一致したときに位相一致信号を出す場合は「L」の信号が送られてくる。50、51は母線電圧2と発電機電圧4の位相が±10度以内で一致していることを検出するコンパレータ、52、53は同じく母線電圧2と発電機電圧4の位相が±5度以内で一致していることを検出するコンパレータ、54、55、58はノット回路、56、57はナンド回路、59、60はノア回路、61はアンド回路である。
【0015】
最初に図2、3を用いて本発明を簡単に説明すると、本発明においては、母線からの入力電圧2と、発電機からの入力電圧3の位相を−90度移相器12によって90度(1/4波長)遅らせた電圧とをかけ算器13でかけ算し、その結果から母線と発電機の電圧の位相同期点を検出するようにしたものである。すなわち今、母線電圧2が図2(A)の状態であり、また発電機の電圧3が、仮に母線と発電機の電圧差と周波数差が許容範囲内で位相も同期がとれた図2(B)の状態であるとすると、この発電機電圧3の位相を−90度移相器12によって90度遅らせた図2(C)の電圧と図2(A)の電圧をかけ算した結果(フィルター15の出口)は、図2(D)のようになる。なお、この図2において、横軸は母線電圧2における位相角である。そして例えば発電機電圧3が、図2(A)の母線電圧2より45度だけ位相が遅れている場合、母線電圧2と発電機電圧3をかけ算した結果は図2(E)のようにマイナス側に偏った出力が得られる。そしてさらに発電機電圧3が、図2(A)の母線電圧2より90度だけ位相が遅れている場合、母線電圧2と発電機電圧3をかけ算した結果は図2(F)のようにマイナス側だけとなり、同様にして135度遅れ、180度遅れ、225度遅れ、270度遅れ、315度遅れの結果は、それぞれ図2(G)、(H)、(J)、(K)、(L)のようになる。
【0016】
この図2に示した発電機電圧3は、前記したように母線2と発電機3の電圧差と周波数差が許容範囲内で位相も同期がとれた状態であると仮定したが、この周波数にズレがあると、位相差は時間と共に変化してゆく。すなわち、最初に母線2と発電機電圧3が図2(B)のように同期が取れた状態、すなわちかけ算器13の出力が図2(D)の状態であったとしても、発電機電圧3の周波数が母線2の周波数よりわずかに小さいと、この周波数差によって両者の位相は図2における(E)、(F)、(G)、(H)、(J)、(K)、(L)のように変化してゆき、そして周波数差で決まる一定時間毎に同期が取れた状態となる。
【0017】
そのため、この図2から明らかなように、かけ算器13の出力は、同期が取れた図2(D)の状態から、図2(E)のようにマイナス側に偏った状態、図2(H)のように180度遅れたときにプラスマイナスのバランスが取れた状態と変化し、さらに図2(J)のようにプラス側に偏った状態を経て、図2(D)のように同期の取れた状態に戻る。そのため、母線電圧2と発電機電圧3の位相状態をビート波形図3(G)にて表すと、かけ算器13の出力は、図3(A)に示したようになる。すなわちこの図3(A)において、0度とは図2(D)のように同期の取れた状態であり、180度とは、図2(H)のように発電機電圧3が母線電圧2に対して180度(半波長)ずれた状態である。このようにすると、母線電圧2と発電機電圧3が同期した位置と位相が180度(半波長)ずれた位置においては、このかけ算器13の出力における包絡線のプラス、マイナスが等しくなる。そこで、180度(半波長)ずれた位置の信号を捨て、同期した位置だけを取り出せば、包絡線のプラス、マイナスが等しくなる位置は電圧0の点とある角度を持って交差するから、精度の良い同期点検出が可能となる。
【0018】
それに反し、例えば発電機からの入力電圧3の位相を図4に示したように遅らせずにかけ算した場合、同期点は包絡線のピーク位置に現れ、精度良く同期点を検出することができない。すなわち図4において、横軸は母線電圧2における位相角であり、母線電圧2が図4(A)の状態で、発電機電圧3が図2の場合と同様母線と発電機の電圧差と周波数差が許容範囲内で位相も同期がとれた図4(B)の状態であるとし、このままの状態で図4(B)の発電機電圧と図4(A)の母線電圧をかけ算すると、同期状態においては図4(C)のようにプラス側のみの出力が得られる。そして発電機電圧3が、図4(A)の母線電圧2より45度だけ位相が遅れた場合、母線電圧2と発電機電圧3をかけ算した結果は図4(D)のようにプラス側に偏った出力となる。そしてさらに発電機電圧3が、図4(A)の母線電圧2より90度だけ位相が遅れた場合、母線電圧2と発電機電圧3をかけ算した結果は図4(E)のようにプラス、マイナスが均等となり、同様にして135度遅れ、180度遅れ、225度遅れ、270度遅れ、315度遅れの結果は、それぞれ図4(F)、(G)、(H)、(J)、(K)のようになる。すなわちこの結果を図3のように、横軸を母線電圧2と発電機電圧3の位相ずれ角で表すと、同期の取れた0度と180度の位置は、包絡線のプラス側とマイナス側のピークの位置になり、ほぼ水平となって、精度良く同期点を検出することが難しくなる。
【0019】
本発明はこのような考え方に従って発電機における位相同期検出回路を構成したものであり、以下、本発明を図1に従って詳細に説明する。図1において、商用電源、または他の発電機からの電力が供給されている母線の入力端子2、位相同期を検出する発電機(本機)からの電力の入力端子3に入力された電圧は、変圧器4、5で降圧され、入力アンプ6、7へ送られてくるCPU演算回路8からのゲイン切り替え信号9によって、かけ算器13への入力に最適な電圧となるよう調整されてアナログ/デジタル変換される。そしてこの変換された電圧は、母線電圧10、発電機電圧11としてCPU演算回路8に送られて、前記したゲイン切り替え信号9とされると共に、発電機(本機)からの電圧3は、さらに−90度移相器12によって位相が90度(1/4波長)遅らせられて、入力アンプ6の母線電圧と共にかけ算器13と、90度から270度の位相判別器21に送られる。この90度から270度の位相判別器21は、後述するコンパレータ17から出力される位相差出力19から、180度(半波長)で出力された信号を除くためのもので、図3(D)に示したように、母線電圧2と発電機電圧3の位相差が270〜90度の間は「0」(L)、90〜270度の間は「1」(H)を出力する。
【0020】
かけ算器13では、前記図2で説明したように、送られてきた母線2からの電圧と発電機3の位相が90度遅らせられた電圧とがかけ算され、図3(A)のような電圧が出力される。そしてその電圧は、自動ゲイン調整回路(AGC)14で図3(A)の電圧波形における包絡線が取り出され、フィルター15でノイズが取り除かれてアンプ16に送られる。このアンプ16は、送られてきた電圧を所定電圧に増幅し、母線2からの電圧と発電機3の電圧の位相差は、図3(B)のように0Vより+側の規定値の信号に変換され、これが位相信号20としてCPU演算回路8に送られる。また、この増幅された図3(B)の信号は、コンパレータ17にも送られ、このコンパレータ17に送られているCPU演算回路8からの位相差設定信号18と比較されて、母線2からの電圧と発電機3の電圧の位相が一定範囲で一致したとき(同期したとき)、図3(C)のような位相差出力信号19を出して同期投入判別回路22に送る。
【0021】
このコンパレータ17の動作を図5、図6により詳細に説明すると、図5に示したコンパレータ50、51、52、53の+側には、図3(B)の電圧波形における位相が同期した位置(0度)の前後−10度(コンパレータ50)、−5度(コンパレータ52)、+5度(コンパレータ53)、+10度(コンパレータ51)の位置のそれぞれに相当する電圧が印加され、コンパレータ51、53は、母線電圧2と発電機電圧4の位相差が+10度、+5度になる以前は「L」を出力する。そのため、その信号がノット回路54、55で反転され、図6に示したようにナンド回路56、57に「H」信号を送っている。しかしコンパレータ50、52は、母線電圧2と発電機電圧4の位相差が−10度、−5度に達していない場合は図6に示したように「L」を出力しているから、このナンド回路56、57は閉じており、「H」出力がノア回路59、60に送られている。
【0022】
一方、CPU演算回路8からは位相差設定信号18として、母線電圧2と発電機電圧4の位相が±10度以内で一致したことを検出する場合は「H」の信号が、±5度以内で一致したことを検出する場合は「L」の信号が送られているから、いま、母線電圧2と発電機電圧4の位相が±10度以内で一致したことを検出する場合、位相差設定信号18の「H」信号がノア回路60に、ノア回路59にはノット回路58で反転された「L」信号が送られ、オア回路61にはこのノア回路59、60から「L」信号が送られてくるから、位相差出力19は「L」となっている。
【0023】
そして、母線電圧2と発電機電圧4の位相差が図6に示したように−10度になると、コンパレータ50がこれを検出して「H」信号を出力するためナンド回路56が開いて出力が「L」となり、ノア回路59の両入力が「L」となってオア回路61に「H」信号が送られ、位相差出力19は「H」となる。そして、次に母線電圧2と発電機電圧4の位相差が図6に示したように−5度となると、コンパレータ52がこれを検出して「H」信号を出力するためナンド回路57が開いて出力が「L」となり、ノア回路60におくるが、このノア回路60にはCPUから位相差設定信号18の「H」信号が送られているから出力は「L」のままで変化はない。
【0024】
そして、次に母線電圧2と発電機電圧4の位相差が図6に示したように+5度となると、コンパレータ53がこれを検出して「H」信号を出力するためノット回路55で反転された「L」信号がナンド回路57に送られこれが閉じられ、出力が「H」となるが、ノア回路60の出力は「L」であるから変化はない。そして、さらに母線電圧2と発電機電圧4の位相差が図6に示したように+10度となると、コンパレータ51がこれを検出して出力が「H」となるため、それがノット回路55で反転されて「L」信号がナンド回路56に送られ、ノア回路59に「H」信号が送られるためこのノア回路59の出力が「L」となり、オア回路61の位相差出力19は図6に「19.位相差出力(±10°)」の所に示したように「L」となる。
【0025】
なお、CPU演算回路8から、位相差設定信号18として±5度以内で一致したときに位相一致信号を出力する信号「L」が送られてきているときは、ノア回路59にノット回路58を通して「H」信号が加えられるから、このノア回路59からは常時「L」信号が出力され、ノア回路60からは前記したコンパレータ52、53が検出した−5度、+5度の電圧によって図6に「19.位相差出力(±5°)」の所に示したような信号が出力される。
【0026】
このようにして、コンパレータ17からは、CPU演算回路8から送られる位相差設定信号18の±10°、または±5°の信号によって位相差が±10°、または±5°になったときに位相が同期したという信号が同期投入判別回路22に出力されるが、ただしこの位相差出力19は、かけ算器13の出力の中心電圧が電圧0の位置と交差する点を中心に出力されるため、図3(B)のフィルター出力(15)からもわかるとおり、母線2からの電圧と発電機3の電圧の位相差が0度(同期点)のときと180度の時(同期がずれている)の両方で出力される。
【0027】
そのため同期投入判別回路22には、前記したように90度から270度の位相判別器21から母線電圧2と発電機電圧3の位相差が90度から270度となったときの図3(D)のような信号と、CPU演算回路8から母線電圧2と発電機電圧3の電圧差、周波数差が設定範囲内となったときの図3(E)の信号24とが送られてくるから、これらの信号とコンパレータ17からの図3(C)の位相差出力信号19とのアンドが取られ、それによって位相差出力信号19における位相差が180度の時(同期がずれている)の出力が除かれ、図3(F)の同期投入信号25がCPU演算回路8に送られる。そのためCPU演算回路8は、同期検定器26に同期投入可能角になったことを表示し、図示していない発電機のサーキットブレーカ(CB)を投入して発電機を母線に投入する。
【0028】
以上が本発明になる発電機における位相同期検出回路の動作であるが、このように発電機における同期検出回路を構成することにより、位相同期検出回路をアナログとデジタル回路によるハイブリッド化した結果、ゼロクロスノイズに強く、かつ、高精度に位相同期点を検出できる位相同期点検出回路を提供することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上記載の如く本発明によれば、発電機出力の位相を1/4波長遅らせる移相手段と、この移相手段出力と前記母線出力とをかけ算するかけ算手段を用いて同期検出回路を構成することにより、母線と発電機の電圧のかけ算によって単に加算や減算した場合に較べて差を大きく取ることができ、同期点を高精度に検出することが可能となる。また、発電機出力の位相を1/4波長遅らせない場合、位相同期点がかけ算器出力におけるピーク位置に出るため高精度な位相同期点検出ができないのに対し、本発明においては発電機出力の位相を1/4波長遅らせてかけ算しているため、位相同期点はかけ算器出力における包絡線のプラス、マイナスが等しくなる位置(ゼロクロス点)となる。従って、その出力を受けてフィルター及びコンパレータ回路において同期点検検出を行うと、ノイズによる母線及び発電機電圧入力に生じるゼロクロスノイズは本回路の構成により通常は取り除かれるため、ゼロクロスノイズに影響されずに高精度な同期点検出をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の発電機における位相同期検出回路の実施の形態を示した概略ブロック図である。
【図2】 本発明の発電機における位相同期検出回路の入力波形とかけ算器の出力波形である。
【図3】 本発明の発電機における位相同期検出回路の各ブロックの出力波形である。
【図4】 かけ算器への発電機電圧の入力の位相をずらさなかったときの出力波形である。
【図5】 本発明の発電機における位相同期検出回路を構成するコンパレータ17の具体的回路例である。
【図6】 本発明の発電機における位相同期検出回路を構成するコンパレータ17の動作タイムチャートである。
【符号の説明】
1 位相同期検出回路
2 母線からの入力端子
3 発電機(本機)からの入力端子
4、5 変圧器(PT)
6、7 入力アンプ
8 CPU演算回路
9 切り替え信号
10、11 母線電圧と発電機電圧を送る信号線
12 −90度移相器
13 かけ算器
14 自動ゲイン調整回路(AGC)
15 フィルター回路
16 アンプ(AMP)
17 コンパレータ
18 位相差設定信号
19 位相差出力
20 位相信号
21 90度から270度の位相判別器
22 同期投入判別器
23 母線電圧と発電機電圧の位相極性信号
24 周波数差と電圧差が設定値以内になったときの信号
25 同期投入可能信号
26 同期検定器

Claims (3)

  1. 商用電源または他の発電機からの電力が供給されている母線と前記発電機の電圧を同期投入するための位相同期点を検出する発電機における位相同期検出回路であって、
    前記発電機の電圧入力信号の位相を1/4波長遅らせる移相手段と、該移相手段出力と前記母線の電圧入力信号とをかけ算するかけ算手段と、該かけ算手段出力波形の包絡線におけるプラス、マイナスが等しくなる位置における信号を出力する比較手段と、該比較手段出力から前記母線と前記発電機電圧の位相が半波長ずれた位置の信号を除外する手段とからなることを特徴とする発電機における位相同期検出回路。
  2. 前記比較手段は、前記かけ算手段出力波形の包絡線におけるプラス、マイナスが等しくなる位置における信号を、予め与えられた前記母線と前記発電機における位相差が所定以下となったときに出力することを特徴とする請求項1に記載した発電機における位相同期検出回路。
  3. 前記比較手段出力から母線と発電機電圧の位相が半波長ずれた位置の信号を除外する手段は、前記発電機の電圧入力信号の位相を1/4波長遅らせる移相手段と、該移相手段出力と前記母線の電圧入力信号の位相を比較し、両者の位相が略90度乃至270度ずれていることを検出する位相判別器であることを特徴とする請求項1に記載した発電機における位相同期検出回路。
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