JP3957100B2 - 内周駆動型ゴムクロ−ラ及びゴムクロ−ラ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主として高速走行に供されるゴムクロ−ラ及びゴムクロ−ラ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常のゴムクロ−ラの構造にあっては、長手方向に横並べした芯金とこれを外囲いしたスチ−ルコ−ドがゴム中に埋設されており、芯金の中央部がスプロケットとの係合部とされている。従って芯金の中央部がカマボコ状肉厚部とされていて、その芯金の重量は著しく重くなることは避けられなかった。一方、この係合部に対応してスプロケットの係合孔が芯金間に形成されるが、これによって芯金を囲うスチ−ルコ−ドは左右に振り分けられて埋設されることとなる。そのため、それだけゴムクロ−ラの幅や芯金の左右幅を大きくする必要があった。
【0003】
このことは、ゴムクロ−ラ全体として重量が重くなることは否めず、高速走行性や軽量化には対処しにくい構造となっている。更に、芯金とスプロケットの中央部とが接触することによって推進力が伝達されるため、両者の金属同士の接触の際の打撃音が騒音の大きな原因となっている。そして、ゴムクロ−ラの幅方向中央にスプロケット係合孔が連設されていることにより、ゴムクロ−ラの外表面側に備えるゴムラグの配列もそれだけ限定されたものとなり走行時の振動低減の対策にネックとなる場合もある。
【0004】
従来のゴムクロ−ラをそのまま高速走行に供する場合には以上のような問題点があるところから、これを改良したものとしてゴムクロ−ラの内周面に形成した一定のピッチを持って形成した突起と駆動ピンとを係合させるいわゆる内駆動方式のゴムクロ−ラが提案されている。このゴムクロ−ラは通常は芯金が埋設されていないためその分だけ重量が軽く、しかも振動の発生も少ないというメリットがある。しかるに、この方式のゴムクロ−ラにあっても尚解決するべき点は多く、例えば、芯金が埋設されていないため、駆動輪はクロ−ラの幅方向のほぼ全域に渡って押えつける構造をもたなくてはならず、又、突起との係合部を併せもつ構造から、駆動輪に土や泥等が堆積しやすいと言う問題がある。更に、芯金が埋設されていないためにクロ−ラ幅方向の接地圧が均一化されず、牽引力の低下ともなっている。そして、ゴムクロラの内周面に形成する突起はゴム突起であることから、駆動輪との接触により摩耗やゴム欠け等の発生する割合が多いという問題も生じている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は従来の課題を解決するものであって、内駆動型ゴムクロ−ラに特殊形状の芯金を埋設することによって課題を解決しようとするにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第1であるゴムクローラは、幅方向に横並べした芯金と、この芯金を外囲いするスチールコードとを埋設したゴムクローラであって、芯金よりゴムクローラの内周側に突出する芯金の左右幅方向に長尺とされた一対の角部と、この角部の前後方向面にこの角部を覆うゴム部材とからなる一対の駆動突起を形成し、好ましくは、ゴムクローラの外周表面に隣り合う芯金の投影域にわたってゴムラグが傾斜配置された内周駆動型ゴムクローラにかかるものである。
なお、第1の発明のゴムクローラは、前記角部の左右幅方向面によって前記駆動突起の左右幅が形成されていることを特徴とすることも、前記一対の角部の間に位置する前記芯金の中央部の前後端には、ゴム弾性体に溝が形成されていることを特徴とすることもできる。
【0007】
そして、本発明の第2は、幅方向に横並べした芯金と、この芯金を外囲いするスチールコードとを埋設し、芯金よりゴムクローラの内周側に突出する芯金の左右幅方向に長尺とされた一対の角部と、この角部の前後方向面にこの角部を覆うゴム部材とからなる一対の駆動突起が形成されたゴムクローラと、この駆動突起間に入り込む円盤とこの円盤の左右に駆動ピンを立設させた駆動輪とからなり、前記駆動突起に駆動ピンを係合させたことを特徴とし、好ましくは、ゴムクローラの外周表面に隣り合う芯金の投影域にわたってゴムラグが傾斜配置された内周駆動型ゴムクローラ装置にかかるものである。
なお、第2の発明の内周駆動型ゴムクローラ装置は、前記角部の左右幅方向面により前記駆動突起の左右幅が形成されていることを特徴とすることも、前記一対の角部の間に位置する前記芯金の中央部の前後端には、ゴム弾性体に溝が形成されていることを特徴とすることもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は以上の構造をもつゴムクロ−ラ及びその装置であり、ゴムクロ−ラの特徴としては芯金より突出する左右幅方向に長尺の角部と、前後方向の面に角部を覆うゴム部材とからなる一対の駆動突起を有する内周駆動型ゴムクロ−ラである。そして、角部の前後面を覆うゴム部材はゴムクロ−ラと一体とされて成形されたものである。かかる駆動突起は後述する駆動ピンと係合して駆動力が伝達されるものであり、駆動ピンとの接触はゴム部材が受け持つこととなる。又、ゴムクロ−ラの外周表面に形成するゴムラグは、埋設された芯金の投影面に対して隣り合う芯金の投影面を跨ぐように傾斜配置されるのがよく、これによって振動の発生をおさえることができることとなったものである。
【0009】
ゴムクロ−ラ装置における駆動輪はゴムクロ−ラの駆動突起間に入り込む円盤と、この円盤の左右に立設された駆動ピンとよりなるものであって、駆動ピンと駆動突起、即ち駆動突起を構成するゴム部材とが接触して駆動力を伝達することとなる。このため駆動輪の構造が著しく簡略化されると共に駆動ピンがゴム部材との接触となるために騒音も低減し、しかも駆動突起の幅方向全体には芯金からのびる角部が配置されているために摩耗することも少なくなるという特徴を有している。
【0010】
【実施例】
以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明する。
図1は本発明のゴムクロ−ラに用いられる芯金10の傾視図であり、11は左右方向にのびる翼部、12は角部である。この翼部11はゴムクロ−ラ中に埋設され、この外側に後述するスチ−ルコ−ドが配置される。角部12は一対形成され、この角部12の芯金左右幅方向の幅W1 と前後方向の幅W2 との関係はW1 >W2 とされている。この角部12の前後面121 、122 には後述するようにゴムクロ−ラと一体となるゴム部材が覆って一対の駆動突起を形成することになり、角部12の左右幅方向面123 、124 は駆動突起の左右幅を区画するものである。尚、角部12、12間の中央部13の厚さはスプロケットが係合しないために翼部11とやや厚い程度である。
【0011】
図2は本発明の第1のゴムクロ−ラの内周側平面図、図3は外周側平面図、図4は右側面図である。又、図5はA−A線での断面図であり、図6はB−B線での断面図である。図中、符号20はゴムクロ−ラであり、これは無端状のゴム弾性体21を基体とし、芯金10の翼部11がここに埋設され、これらを外囲いしてスチ−ルコ−ド22が共に埋設されている。そして芯金10の角部12に対してはその前後面121 、122 にゴム弾性体22と一体としたゴム部材23がこれを覆って形成されたものであり、ゴムクロ−ラの駆動突起24がこのゴム部材23と角部12とよりなっている。
【0012】
尚、芯金10の中央部13はゴムクロ−ラの内周面と略同一とされ、前後端には溝25が形成されて巻き掛け抵抗を減少させると共にこの境界でのゴムのクラックの発生を防止する工夫がなされている。又、駆動突起24の左右には図示しないロ−ラの転動面26が形成されている。そしてゴムクロ−ラ20の外表面には左右先端が幅方向に向かって伸び中央部が傾斜配置されたゴムラグ27が配置されるものであって、この例では交互に長短のゴムラグ271 、272 とされ、しかもこれらは隣り合う芯金10、10に跨がって傾斜配置されている。
【0013】
本発明の第1のゴムクロ−ラ20は以上の通りであって、駆動突起24には左右幅方向に角部12が配置され、前後面にゴム部材23が配置された構造となっている。そして溝25が形成されることによって、又、ゴムラグ27隣り合う芯金10、10を跨がるように配置されていることから、巻き掛け抵抗が少なくかつ振動の発生も小さくなることは明らかである。そして更に、芯金10にあっては中央部13が肉薄とされかつ角部12も従来の芯金の角部よりも小型化されたことから重量的にも軽量化が図られたものである。
【0014】
図7は本発明の第2のゴムクロ−ラ装置の駆動輪30を示す一部右側面図であり、図8は断面図である。この駆動輪30はゴムクロ−ラ20の駆動突起24間に入り込む円盤31とこの円盤31の縁部に立設された駆動ピン32とからなり、この駆動ピン32が図9に示すように駆動突起24と係合して駆動力を伝達することとなる。この伝達の際、駆動ピン32と駆動突起24の接触は駆動突起24の前後面に接着されたゴム部材23との接触となるために金属同士の接触はない。従って、両者の衝突音は低減すると共に、ゴム部材23との接触になるので角部12及び駆動ピン32の摩耗はほとんどないというメリットがある。更に、駆動輪30の構造が単純化されたことによって製作上のメリットは勿論のこと、草や藁等の繊維質の巻き付きも少なく脱輪等に発展することもほとんどないというメリットも併せ持つ。
【0015】
【発明の効果】
本発明の第2におけるゴムクロ−ラ装置について述べれば、駆動ピンがゴム部材との接触となるために騒音も低減し、しかも駆動突起の幅方向全体には芯金からのびる角部が配置されているために摩耗することも少なくなり、この特徴と共に、駆動輪の構造が簡略化されるという特徴もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のゴムクロ−ラに用いられる芯金の傾視図である。
【図2】図2は本発明の第1のゴムクロ−ラの内周側平面図である。
【図3】図3は図2のゴムクロ−ラの外周側平面図である。
【図4】図4は図2のゴムクロ−ラの右側面図である。
【図5】図5はA−A線での断面図である。
【図6】図6はB−B線での断面図である。
【図7】図7はゴムクロ−ラ装置の駆動輪を示す一部右側面図である。
【図8】図8はC−C線での断面図である。
【図9】図9は駆動輪とゴムクロ−ラの駆動突起との係合を示す図である。
【符号の説明】
10‥‥芯金、
11‥‥芯金の翼部、
12‥‥角部、
121 、122 ‥‥角部の前後面、
123 、124 ‥‥角部の左右面、
13‥‥芯金の中央部、
20‥‥ゴムクロ−ラ、
21‥‥ゴム弾性体、
22‥‥スチ−ルコ−ド、
23‥‥角部の前後面を覆うゴム部材、
24‥‥駆動突起、
25‥‥溝、
26‥‥ロ−ラの転動面、
27、271 、272 ‥‥ゴムラグ、
30‥‥駆動輪、
31‥‥円盤、
32‥‥駆動ピン。
Claims (8)
- 幅方向に横並べした芯金と、この芯金を外囲いするスチールコードとを埋設したゴムクローラであって、芯金よりゴムクローラの内周側に突出する芯金の左右幅方向に長尺とされた一対の角部と、この角部の前後方向面にこの角部を覆うゴム部材とからなる一対の駆動突起を形成したことを特徴とする内周駆動型ゴムクローラ。
- ゴムクローラの外周表面に隣り合う芯金の投影域にわたってゴムラグが傾斜配置されたことを特徴とする請求項1に記載の内周駆動型ゴムクローラ。
- 前記角部の左右幅方向面により、前記駆動突起の左右幅が形成されていること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の内周駆動型ゴムクローラ。
- 前記一対の角部の間に位置する前記芯金の中央部の前後端には、ゴム弾性体に溝が形成されていること、を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の内周駆動型ゴムクローラ。
- 幅方向に横並べした芯金と、この芯金を外囲いするスチールコードとを埋設し、芯金よりゴムクローラの内周側に突出する芯金の左右幅方向に長尺とされた一対の角部と、この角部の前後方向面にこの角部を覆うゴム部材とからなる一対の駆動突起が形成されたゴムクローラと、この駆動突起間に入り込む円盤とこの円盤の左右に駆動ピンを立設させた駆動輪とからなり、前記駆動突起に駆動ピンを係合させたことを特徴とする内周駆動型ゴムクローラ装置。
- ゴムクローラの外周表面に隣り合う芯金の投影域にわたってゴムラグが傾斜配置されたことを特徴とする請求項5に記載の内周駆動型ゴムクロ−ラ装置。
- 前記角部の左右幅方向面により、前記駆動突起の左右幅が形成されていること、を特徴とする請求項5または請求項6に記載の内周駆動型ゴムクローラ装置。
- 前記一対の角部の間に位置する前記芯金の中央部の前後端には、ゴム弾性体に溝が形成されていること、を特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の内周駆動型ゴムクローラ装置。
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