JP3956541B2 - 軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、案内面が潤滑剤で潤滑される軸受において案内面による潤滑剤に対する触媒作用で案内面が剥離(特異剥離)するのを防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば高性能、高出力化対応の自動車用電装部品を支持する転がり軸受けのような軸受では、高速回転と高荷重とが加わるため、その転動面には、通常の金属疲労による表面ないしは表層の剥離(通常剥離)とは別に、より深い内部からの剥離(特異剥離)が発生することで知られる。このような特異剥離の原因は、例えば特開平3−210394号公報に開示されているように、高速化による振動で転動面が鏡面摩耗される結果、転動面が新生化される。この新生化された転動面による触媒作用で半固体状の潤滑剤(グリース)が分解して水素が発生する。この水素が転動面の深い内部に侵入して水素脆性を起こして特異剥離が発生するというのである。このような特異剥離は転動面奥部で亀裂を生じさせるなどして軸受の短寿命化をもたらすので好ましくない。
【0003】
そこで、かかる特異剥離の発生を防止するために、例えば特開平3−210394号公報(第1従来公報)には、潤滑剤に不動態化を起こす亜硝酸塩、硝酸塩、クロム酸塩、リン酸塩等の無機腐食抑制剤を不動態化酸化剤(説明の都合で不活性化剤というが、請求項の不活性化剤を限定しない)として混入し、この不活性化剤で転動面が潤滑剤に対して不活性化されることで上記触媒作用を防止し潤滑剤の分解を抑制し水素の発生を防止して水素脆化による特異剥離の発生防止の技術が開示されている。
【0004】
かかる特異剥離発生防止の技術は他にも例えば特開平5−59384号公報(第2従来公報)に、潤滑剤に金属粉末、酸化物粉末、硫化物粉末等の粉末(説明の都合で不活性化剤というが、請求項の不活性化剤を限定しない)を混入し軸受として使用される初期の段階で転動面をこの不活性化剤で不活性化し、これによって第1従来公報と同様にして特異剥離の発生を防止する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来公報の技術はその前提として軸受を作動させることで潤滑剤中に混入の不活性化剤を新生化した転動面と反応させ、これによって、転動面を潤滑剤に対して不活性化するものである。そこで、本願発明者等は潤滑剤中にかかる不活性化剤を混入して試験したところ、転動面が不活性化されにくいことがあり、場合によっては不活性化されないままになって特異剥離が発生することがあった。このような不活性化に対する不安定さは、不活性化剤が潤滑剤に混入されているために、転動面を不活性化させるには、軸受を作動させてその温度をあげ、さらに潤滑剤中の不活性化剤を転動面に接触させて反応させる以外になく、そのため、その温度条件とか、接触程度とか、不活性化剤の混入程度等により、転動面が不活性化される度合いが左右されることに起因していると考えられる。なお、上述の説明の軸受は、転がり軸受けを前提にしたため転動面となるが、滑り軸受でも滑り面に対応して潤滑剤を用いるのでこのような滑り軸受でも同様の問題が生起すると考えられる。これら転動面と滑り面との両者を総称して案内面と言うこととする。
【0006】
そこで、本発明は、案内面を潤滑剤に対して安定して不活性化できるようにし、特異剥離の発生を確実に防止できる軸受を提供することを解決すべき共通課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る軸受は、不活性化剤としてのアンチモン化合物を含む潤滑剤で案内面が潤滑される軸受であって、前記案内面と前記アンチモン化合物との間の反応が促進されるように当該案内面が反応促進剤としてのタンニン酸により予め改質処理されている、ことを特徴とする。したがって、案内面は不活性化剤としてのアンチモン化合物との間での反応が促進されて潤滑剤に対して安定して不活性化される結果、潤滑剤が案内面の触媒作用で分解されなくなり上述した特異剥離の発生が確実に防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、この実施の形態に係る軸受は潤滑剤としてグリースが封入されている深溝型玉軸受の断面構造が示されている。この場合、実施の形態が適用される軸受は、他の転がり軸受でもよく、また、滑り軸受でも構わない。なお、転がり軸受けの場合は玉とかころ等の転動体が転動する転動面を有するが、滑り軸受ではその内面が例えば回転軸の周囲を滑る滑り面となる。そこで実施の形態では転動面ですべて説明するものの、転動面と滑り面とを含めて総称するときは請求項のように案内面ということにする。
【0011】
実施の形態が適用される軸受1は、内輪2、外輪3、複数の球状の転動体4、保持器5を備える。この軸受1は、その軸方向両端部に密封部材6,7が装着され、これによって軸受内部にグリース8が封入された構造となっている。そして、9は内輪2側で転動体4が転動する転動面であり,10は外輪3側で転動体4が転動する転動面であって、外輪3が固定側輪となり、内輪2が回転するようになっている。このグリース8には上述したような転動面を不活性化するための不活性化剤が混入されている。
【0012】
本実施の形態の軸受においては、要するに、転動面をグリースに対して不活性化するための不活性化剤としてSb化合物をグリースに混入し、その転動面が不活性化剤であるSb化合物との間での反応を促進されるよう、その転動面を反応促進剤としての酸化剤で改質されている。
【0013】
以下、その反応促進のため転動面の改質処理(1)と、転動面が改質処理された軸受における転動面と不活性化剤との反応促進状態(2)とを説明する。この処理の対象となる軸受は呼び番号6203の軸受である。
【0014】
(1)転動面の反応促進のための改質処理
図1で示される軸受の少なくとも内輪と外輪の転動面を所定の処理時間好ましくは5〜20分間、所定の処理温度例えば室温で、反応促進剤として好ましくは酸化物、最も好ましくはタンニン酸の3%水溶液中に浸漬する。
【0015】
(2)転動面と不活性化剤との間での反応促進状態
上述(1)の改質処理を経た転動面を備えた軸受に不活性化剤としてSb化合物を混入するとともに、室温成り行きの試験温度下で12000rpmで、100時間、試験的に回転させたところ、図2で示すような試験結果が得られた。図2の横軸は前記(1)の処理時間(min)であり、縦軸はSbの検出強度である。Sbの検出強度は不活性改質程度を示しており、これは転動面の不活性化剤に対する反応促進状態を示していることになる。なお、この強度の検出は、周知のEPMAで実施される。
【0016】
図2で明らかであるように、転動面に前記(1)の反応促進処理が無い場合(○で示される処理)は、Sb検出強度は「2」であり、転動面が前記(1)の反応促進処理されている場合(◆で示される処理)は、処理時間が経過するに伴い、Sb検出強度が大きくなり、例えば処理時間が10分の場合ではSb検出強度は「20」となり、転動面に対する反応促進改質処理無しと比較して10倍以上にも向上している。このことは、転動面が不活性化剤とスムーズに反応してグリースに対して不活性化され、グリースが転動面の触媒作用で分解されなくなり上述した特異剥離の発生が確実に防止されることを示している。
【0017】
なお、上述の実施の形態では、タンニン酸等の酸化物は、反応促進剤として作用するのみならず、不活性化剤としての作用もあるので、グリース中に混入されている不活性化剤と転動面との反応が促進される結果、転動面の不活性化が安定して達成されることに加えて、反応促進剤そのものの不活性化作用で、転動面の不活性化がより安定して達成されるものとなる。
【0023】
なお、上述の特異剥離発生は、半固体状(グリース)だけで起こり得るものでなく、例えば液状(潤滑油)等の潤滑剤の場合でも起こり得るから、本発明は、実施の形態でのグリースに限定されるものではない。
【0024】
なお、上述の特異剥離は、潤滑剤が封入されているから発生するのではないから、本発明は、潤滑剤封入軸受に限定されるものではない。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば次の効果を得られる。
【0029】
本発明に係る軸受は、不活性化剤を含む潤滑剤で案内面が潤滑される軸受であって、案内面と不活性化剤との間の反応が促進されるように当該案内面が改質処理されているから、案内面は不活性化剤との間での反応を促進されて潤滑剤に対して不活性化される結果、潤滑剤が案内面の触媒作用で分解されなくなり上述した特異剥離の発生が確実に防止される軸受となる。
【0030】
本発明に係る軸受は、少なくとも案内面が、潤滑剤に対して不活性に改質処理されていることにより、案内面そのものが潤滑剤に対して不活性になっている、つまり潤滑剤に対して触媒作用として働かないから、潤滑剤中に不活性化剤を混入する必要なくして上述した特異剥離の発生が確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に潤滑剤封入軸受の断面図
【図2】Sb検出強度と処理時間との関係を示す図
【符号の説明】
1 軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6,7密封部材
8 潤滑剤
9,10 転動面
Claims (1)
- 不活性化剤としてのアンチモン化合物を含む潤滑剤で案内面が潤滑される軸受であって、
前記案内面と前記アンチモン化合物との間の反応が促進されるように当該案内面が反応促進剤としてのタンニン酸により予め改質処理されている、ことを特徴とする軸受。
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JP19182999A JP3956541B2 (ja) | 1999-07-06 | 1999-07-06 | 軸受 |
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JP19182999A JP3956541B2 (ja) | 1999-07-06 | 1999-07-06 | 軸受 |
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ID=16281222
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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-
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- 1999-07-06 JP JP19182999A patent/JP3956541B2/ja not_active Expired - Fee Related
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