JP2009204078A - 転動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水等が侵入しても発錆や軌道面,転動面等の損傷が生じにくい転動装置を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受は、内輪1と、外輪2と、内輪1の軌道面1aと外輪2の軌道面2aとの間に転動自在に配された複数の玉3と、内輪1と外輪2との間に玉3を保持する保持器4と、を備えている。そして、内輪1,外輪2,玉3,及び保持器4のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、転がり軸受,リニアガイド装置,ボールねじ,直動ベアリング等のような転動装置に係り、特に、内部に発錆が生じにくい転動装置に関する。
例えば、トラクター,田植機等の農業機械や建設機械は、作業時に機械自体が水に浸かる場合があるので、これらの機械に使用されている軸受の内部に水が侵入する場合があり、軸受内部に錆が生じることがある。また、多目的四輪バギー車は、水たまりのある悪路を走行し、時には河川を横断することもあるので、多目的四輪バギー車本体に水が侵入しないようにメカニカルシールが多く取り付けられている。しかしながら、メカニカルシールが取り付けられていても、多目的四輪バギー車に使用されている軸受の内部に水が侵入する場合があり、軸受内部に錆が生じることがある。このような使用環境では、軸受寿命は、内部剥離による転動疲労寿命ではなく、錆を起点とした剥離等の損傷も含めて発錆により支配されている場合がある。
従来、錆の発生を抑える手段としては、水の侵入を防ぐために軸受周りにメカニカルシールを取り付ける手段や、軸受材料をステンレス鋼とする手段等があった。
また、上記のような錆の問題の他にも、以下のような問題もある。すなわち、使用中に軸受内部に水等が侵入すると潤滑状態が悪化し、転動体が軌道面上を滑り、軌道面及び転動体表面を損傷させるスミアリングと呼ばれる現象が起こりやすくなるという問題もある。
これら問題の解決策として、特許文献5に記載のように、摩耗に強い材料の改良等が提案されている。
特開2002−106588号公報 特開2003−239992号公報 特開平9−329147号公報 特開平11−132229号公報 特開平10−184700号公報 特開平05−240256号公報
しかしながら、農業機械,建設機械,多目的四輪バギー車に使用されている軸受の場合は、水の侵入を防ぐためにメカニカルシールを取り付けたとしても完全に水の侵入を防げるとは限らないので、水が侵入しても発錆しないことが求められている。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、水等が侵入しても発錆や軌道面,転動面等の損傷が生じにくい転動装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、機械的エネルギーにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は鉄よりも卑な金属で構成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えていることを特徴とする。
内方部材,外方部材,転動体,及び保持器を構成する金属材料(以降は母材と記すこともある)の主成分である鉄よりも卑な金属で構成された金属被膜を表面に被覆することにより、錆が発生しやすいような環境下でも鉄よりも卑な金属が優先的に溶け出すので(自己犠牲型防錆作用)、内方部材,外方部材,転動体,及び保持器の発錆が抑制される。また、金属被膜を機械的エネルギーを利用して形成したので、従来の被膜形成方法である化成処理やメッキにおいて問題となる侵食や水素脆化が生じることがない。また、機械的エネルギーを利用して形成した金属被膜は、母材表面に強固に密着し剥がれにくい。機械的エネルギーを利用した金属被膜の形成方法としては、鉄よりも卑な金属の粉末を吹き付けるショットピーニングが、金属被膜を短時間且つ容易に形成できるため好ましい。また、ショットブラストや、鉄よりも卑な金属の粉末に適当な媒体を加えてボールミル,バレル処理等の混合処理を施す方法も、機械的エネルギーを利用した金属被膜の形成方法として採用可能である。
さらに、本発明に係る請求項3の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、機械的エネルギーにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属で構成された被膜を内層とし、鉄よりも貴又は同等な金属で構成された被膜を表層とする2層構造とされていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、機械的エネルギーにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属で構成された被膜を鉄よりも貴又は同等な金属で合金化した合金被膜であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、機械的エネルギーにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属とで構成されているとともに、母材側から表面側に向かって前記鉄よりも卑な金属の割合が徐々に減少し且つ前記鉄よりも貴又は同等な金属の割合が徐々に増加する構造を有していることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された内層と、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングにより前記内層の上に形成された表層との2層構造とされていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項7の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された被膜に、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングを施すことにより形成されたものであり、前記鉄よりも卑な金属と前記鉄よりも貴又は同等な金属との合金からなる合金被膜であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項8の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された被膜に、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングを施すことにより形成されたものであり、母材側から表面側に向かって前記鉄よりも卑な金属の割合が徐々に減少し且つ前記鉄よりも貴又は同等な金属の割合が徐々に増加する構造を有していることを特徴とする。
鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより母材に被膜を形成した上、この被膜に鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングを施すと、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属とを含有する金属被膜が形成される。鉄よりも貴な金属は腐食されにくいので、この防錆性によって外方部材,内方部材,転動体,保持器の発錆がより抑制される。
このとき、金属被膜は、鉄よりも卑な金属で構成された内層と、鉄よりも貴又は同等な金属で構成された表層との2層構造を有していてもよい。また、金属被膜は、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属との合金からなる合金被膜でもよい。この合金は、鉄よりも卑な金属で構成された被膜に、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングを施すことによって形成される。
さらに、金属被膜は、母材側から表面側に向かって鉄よりも卑な金属の割合が徐々に減少し且つ鉄よりも貴又は同等な金属の割合が徐々に増加する構造(以降は複合化構造と記すこともある)を有していてもよい。このような複合化構造は、鉄よりも卑な金属で構成された被膜に、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングを施すことによって形成される。
なお、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属との海島構造を有する場合も、同様の防錆性が得られる。また、2層構造,合金,複合化構造,及び海島構造のうち2つ以上を有する場合も、同様の防錆性が得られる。さらに、ショットピーニング以外の機械的エネルギーを利用した金属被膜の形成方法としては、鉄よりも卑な金属の粉末に適当な媒体を加えてボールミル等の混合処理を施す方法が採用可能である。
さらに、本発明に係る請求項9の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属との合金の粉末のショットピーニングにより形成された合金被膜であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項10の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属の粉末と鉄よりも貴又は同等な金属の粉末との混合粉末のショットピーニングにより形成された合金被膜であることを特徴とする。
鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属との合金の粉末のショットピーニングや、鉄よりも卑な金属の粉末と鉄よりも貴又は同等な金属の粉末との混合粉末のショットピーニングを母材に施すことにより、防錆性をより向上させることができる。なお、ショットピーニング等の機械的エネルギーを利用した金属被膜の形成方法により、鉄よりも卑な金属で構成された被膜をあらかじめ母材に形成し、さらにその被膜に上記のようなショットピーニングを施してもよい。
さらに、本発明に係る請求項11の転動装置は、請求項1又は請求項2に記載の転動装置において、前記鉄よりも卑な金属が、アルミニウム,亜鉛,ビスマスのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項12の転動装置は、請求項3〜10のいずれか一項に記載の転動装置において、前記鉄よりも卑な金属が、アルミニウム,亜鉛,ビスマスのうち少なくとも1種を含み、前記鉄よりも貴な金属が、ニッケル,クロム,銅,チタン,錫のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする。
上記のような金属を含んでいれば、金属被膜の防錆性がより優れたものとなる。なお、本発明における鉄よりも卑な金属とは、一種の金属からなるものに限定されず、鉄よりも卑な金属の複数からなる混合物や合金であってもよい。鉄よりも貴な金属についても同様である。また、鉄と同等な金属としては、鉄、鉄を主成分とする合金、鉄以外の金属からなる合金で鉄と同等のものがあげられる。
さらに、本発明に係る請求項13の転動装置は、請求項1〜12に記載の転動装置において、前記金属被膜の厚さが0.05μm以上8μm以下であることを特徴とする。
金属被膜の厚さが0.05μm未満であると、十分且つ持続的な防錆効果が得られないおそれがある。一方、金属被膜の厚さが8μm超過であると、金属被膜の脱落が生じやすくなり、転動装置にとって異物となるおそれがあるとともに、金属被膜を均一に被覆することが困難となり、金属被膜が被覆された部材の各種寸法精度や転動装置の内部すき間等がばらつく可能性が高くなる。
また、本発明における金属被膜は、固体潤滑材としての作用も有しており、特に、保持器を有する軸受における保持器と転動体との滑りによる保持器の保持面(保持器の表面のうち転動体と摺動する面)や転動体の転動面の摩耗を低減する効果がある。この効果を考慮すると、金属被膜の厚さは0.1μm以上6μm以下であることが好ましい。0.1μm未満では、摩耗低減効果が発揮されにくく、6μmを超えると、通常の転動装置では金属被膜が剥がれやすく、かえって効果が損なわれるおそれがある。
さらに、金属被膜の厚さが0.1μm以上5μm以下(最も好ましくは0.1μm以上3μm以下)であれば、防錆効果と潤滑効果の相乗作用によって、水が混入しても発錆しにくく且つ保持面,転動面の潤滑性も良好に保たれる。特に、小型軸受の回転トルク低減,保持器音の防止,防錆効果のためには、金属被膜の厚さが0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
なお、本発明は種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。また、本発明における内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
本発明の転動装置は、発錆が生じにくく、軌道面,転動面,保持面等の損傷が生じにくい。
本発明に係る転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す、一部を破断して図示した斜視図である。
この深溝玉軸受は、内輪1(内方部材)と、外輪2(外方部材)と、内輪1と外輪2との間に転動自在に配された複数の玉(転動体)3と、内輪1と外輪2との間に玉3を保持する保持器4と、を備えており、内輪1と外輪2との間に形成される空間には図示しない潤滑剤が配されている。
そして、内輪1,外輪2,玉3,及び保持器4のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜(図示せず)を備えている。
このような深溝玉軸受は、錆が発生しやすいような環境下でも金属被膜を構成する鉄よりも卑な金属が優先的に溶け出すので、内輪1,外輪2,玉3,及び保持器4の発錆が抑制される。また、金属被膜を機械的エネルギーを利用して形成したので、従来の被膜形成方法である化成処理やメッキにおいて問題となる侵食や水素脆化が生じることがない。
金属被膜を形成する箇所は、内輪1,外輪2,玉3,及び保持器4の表面であれば特に限定されるものではなく、金属被膜を形成した箇所の発錆を抑制することができるが、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,玉3の転動面3a,及び保持器4の保持面4aのうち少なくとも一つに金属被膜を形成すれば、これらの面の発錆を抑制することができるので、深溝玉軸受を長寿命とすることができる。また、金属被膜は潤滑性を有しているので、深溝玉軸受の潤滑性を向上させてより長寿命とすることができる。
図2は、波形保持器4の表面のうち玉3との摺動部分(保持面)4aに金属被膜を被覆した例である。金属被膜により摩耗や発熱が抑制されるため、深溝玉軸受は高温,高速条件で使用されても長寿命となる。また、潤滑と防錆の効果も期待できる。
この鉄よりも卑な金属で構成された金属被膜に、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングを施して、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属とで構成された金属被膜としてもよい。このとき、得られた金属被膜は、鉄よりも卑な金属で構成された内層と、鉄よりも貴又は同等な金属で構成され前記内層の上に形成された表層との2層構造であってもよいし、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属との合金からなる合金被膜であってもよい。また、母材側から表面側に向かって鉄よりも卑な金属の割合が徐々に減少し且つ鉄よりも貴又は同等な金属の割合が徐々に増加する複合化構造を有していてもよい。
なお、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属との合金からなる合金被膜は、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属との合金の粉末のショットピーニングにより形成することもできるし、鉄よりも卑な金属の粉末と鉄よりも貴又は同等な金属の粉末との混合粉末のショットピーニングにより形成することもできる。
鉄よりも卑な金属としては、アルミニウム,亜鉛,ビスマスのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。また、鉄よりも貴な金属としては、ニッケル,クロム,銅,チタン,錫のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。さらに、この金属被膜の厚さは、0.05μm以上8μm以下であることが好ましい。
この深溝玉軸受のような転動装置においては、内方部材(内輪1)の表面,外方部材(外輪2)の表面,転動体(玉3)の表面,及び保持器(保持器4)の表面のうち少なくとも金属被膜が被覆された部分には、深さ0.1μm以上5μm以下のディンプルを設け、ディンプルが形成された面にショットピーニングにより金属被膜を設けることが好ましい。
ディンプルを母材の表面に形成した場合においても、形成しなかった場合においても、金属被膜を被覆する前の母材の表面粗さは、0.001μmRa以上10μmRa以下であることが好ましい。母材の表面粗さが0.001μm未満であると、金属被膜と母材との密着性が低下する場合があり、10μmRa超過であると金属被膜による潤滑性向上効果が得られない場合がある。
なお、金属被膜を被覆する前の母材の表面粗さは、0.01μmRa以上5μmRa以下であることがより好ましく、0.01μmRa以上3μmRa以下であることがさらに好ましく、0.01μmRa以上1μmRa以下であることが特に好ましく、0.1μmRa以上0.5μm以下であることが最も好ましい。
また、金属被膜の厚さは、中心線平均粗さで示される母材の表面粗さの数値を2倍〜4倍した程度の厚さ(単位はμm)とすることが好ましい。この範囲であれば、密着性も良く、防錆効果と潤滑効果との両方が適切に得られる。
さらに、金属被膜の好ましい表面の粗さ(最表面の粗さ)は、金属被膜が被覆される部位によって異なり、その機能を損なわない範囲であればよいが、10μmRa以下であることが好ましい。例えば、軌道面,転動面,保持面,摺動面,又は、他部材とのはめ合い面は10μmRa以下であることが好ましい。特に、軌道面,転動面,保持面,摺動面の場合は5μmRa以下が好ましく、3μmRa以下がより好ましく、1μmRa以下がさらに好ましく、0.5μmRa以下が最も好ましい。本発明においては、母材の上に機械的エネルギーを利用して金属被膜を被覆するため、金属被膜の表面粗さは母材の表面粗さの影響を受ける。そのため、母材の表面粗さを制御することで、金属被膜の表面粗さを制御することもできる。
また、本発明の転動装置においては、軌道面と転動面のような接触する2面が同一組成の金属被膜を備えている必要性は、必ずしもない。接触する2面が異種金属又は異種合金からなる金属被膜を備えていれば、いわゆるトモガネ現象による金属被膜の凝着を防ぐ効果が期待できる。
さらに、本発明の転動装置においては、その防錆作用はいわゆる自己犠牲型防食であるため、金属被膜がその一部に形成されていれば防錆効果が得られる。しかしながら、潤滑作用が要求される部位、すなわち軌道面,転動面等の転がり接触面や保持面,摺動面では、その面の50%以上の面積に金属被膜が被覆されていることが好ましい。この金属被膜の被覆率が当初より50%未満であると、いわゆるなじみがうまく進まず、転動や摺動により金属被膜が脱落し効果を奏さない可能性がある。
金属被膜の被覆率は75%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましく、100%が最も好ましい。なお、転動面,保持面,摺動面以外の部分に金属被膜を被覆する場合においても、自己犠牲型防食効果の耐久性を考慮すると、金属被膜の被覆率は50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましく、100%が最も好ましい。
金属被膜の被覆は機械的エネルギーを利用して行うので、部材の一部に簡便に被覆をすることが可能であるという利点がある。特にショットピーニングであれば、噴出ノズルの調整により必要な部位にだけショットをすることが容易である。また、この場合には、機械的エネルギーからのマスキングを施せばよいので、化学的処理液や発生するガスからのマスキングが必要な化成処理や電気メッキ,化学メッキよりも、品質安定性、コスト等の面でも格段に優れている。具体的には、マスキング部材を設置するか、又は、不要な金属被膜を研削、切削等の機械的手段によって除去することもできる。
金属被膜の厚さは、例えば部材の厚さ寸法、内径寸法、外径寸法がマイクロメータ,ダイヤルゲージ,エアーマイクロメータ等で測定できる場合は、金属被膜の被覆処理前後の寸法差から求める方法が簡便であり精度もよいので、この方法により測定することが好ましい。また、電磁式,超音波式の非破壊膜厚測定装置により測定してもよい。さらに、必要であれば、金属被膜の断面を切り出し、光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて拡大し厚さを測定してもよい。電子顕微鏡を用いる場合は、極々微視的な凹凸の測定への影響を避けるため、所定の長さの断面(例えば100μm)を断面方向に等間隔に5つ程度に分割し、その5つ程度の線上で求められる母材上の金属被膜の厚さ計測する。これを10回程度繰り返すことにより、50個程度の測定値を得て、これを平均した値を金属被膜の厚さとすればよい。
金属被膜の被覆率は、所定の単位面積の母材がどの程度覆われているかを示すものである。この被覆率は、光学顕微鏡で目視で観察するか、又は、光学顕微鏡で得られる画像を電子的に画像処理するなどして測定できる。その他では、電子顕微鏡と電子線マイクロアナライザーを組み合わせ、所定の単位面積上で50個程度の測定値(被膜のX線強度)を得て、これらを平均し、膜厚に変換計算して求めてもよい。
さらに、金属被膜の厚さは、被覆処理前後の質量差からも求めることができる。すなわち、機械的エネルギーによる金属被膜、特にショットピーニングによる金属被膜は欠陥が少なく、被覆処理前後で金属被膜の量だけ質量が増加するので、質量を測定し、被処理部分の面積と金属被膜の比重とから金属被膜の厚さを求めることもできる。亜鉛の例でいえば、金属被膜の厚さ1μmは7.1g/m2 に相当する。すなわち、亜鉛の場合は比重が7.1であるので、金属被膜の厚さの好ましい範囲は0.3〜57g/m2 、より好ましい範囲は0.7〜43g/m2 、さらに好ましい範囲は0.7〜36g/m2 、最も好ましい範囲は0.7〜14.2g/m2 である。
金属被膜の厚さ及び被覆率は、機械的エネルギーにより金属被膜を被覆する際の種々の条件を設定することによって制御できる。以下、ショットピーニングの場合について説明する。
ショットする鉄と同等又は鉄よりも卑な金属の粉末の粒径は、平均で100μm以下であることが好ましい。また、最大の粒径は300μm以下であることが好ましい。すなわち、亜鉛であれば比重が7.1であるので、ショット材一個当たりの質量は約0.12g以下であることが好ましい。また、錫であれば比重が7.3であるので、ショット材一個当たりの質量は0.13g以下であることが好ましい。なお、金属の粉末の粒径は、20μm以上100μm以下であることがより好ましく、20μm以上60μm以下であることがさらに好ましく、30μm以上50μm以下であることが最も好ましい。
ショットピーニング時の噴射圧力は、196kPa以上1470kPa以下が好ましく、392kPa以上980kPa以下がより好ましく、392kPa以上784kPa以下がさらに好ましく、392kPa以上588kPa以下が最も好ましい。
ショットピーニング時の噴射速度は、100m/s以上が好ましく、100m/s以上300m/s以下がより好ましく、100m/s以上200m/s以下がさらに好ましく、100m/s以上150m/s以下が最も好ましい。
これら金属の粉末の粒径,噴射圧力,噴射速度が各上限値を超えると、金属被膜の表面粗さが悪くなりやすく、各下限値未満であると、金属被膜が形成されにくい。
全ての被処理面が、均等に上記のような条件の噴射に曝されることが好ましい。そして、その噴射時間は10秒以上が好ましく、10秒以上20分以下がより好ましく、20秒以上10分以下がさらに好ましく、20秒以上5分以下が最も好ましい。噴射時間が上限値を超えると金属被膜の表面粗さが悪くなりやすく、下限値未満であると、金属被膜が形成されにくい。
なお、ショットピーニングにおいては、金属の粉末を空気を用いて噴射してもよいし、窒素や不活性ガスを用いて噴射してもよい。また、このショットピーニングに代表される機械的エネルギーを利用した金属被膜の形成方法は、母材に残留応力が発生するという副次的効果も有している。さらに、このような効果を得るために、前処理としてガラスビーズやSiC粉末のショットピーニングを施してもよい。さらに、機械的エネルギーを利用した金属被膜の形成方法によれば、電気メッキ等では必須のベーキング処理による高温暴露を行う必要がない。
この副次的効果を効果的に得るためには、母材が鋼であり、機械的エネルギーによる金属被膜の被覆処理前の表面の硬さが、所定の熱処理によりHRcで58以上とされていることが好ましい。そして、SUJ2,SUJ3に代表される軸受用の高炭素クロム鋼に、表層部分の残留オーステナイト量を5体積%以上40体積%以下、表面硬さをHRc57以上67以下に調整するように熱処理を施したものを母材とすることがより好ましい。また、SCM420,SCr420等の浸炭鋼や熱処理可能なステンレス材を母材としてもよい。さらに、転動装置を構成する各部材は、同一種の材質で構成する必要はなく、例えば、転動体と内方部材,外方部材とを異なる鋼種としてもよい。
なお、本実施形態においては、転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、転がり軸受の種類は深溝玉軸受に限定されるものではなく、本発明は様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,自動調心ころ軸受,針状ころ軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
また、本発明は、図1に示すような、保持器の案内方式が軌道輪案内方式(図1においては外輪案内方式の軸受が図示してあるが、内輪案内方式でも差し支えない)である転がり軸受に対して好適である。軌道輪案内方式の場合は、保持器の内径面又は外径面が軌道輪と摺動するため、保持器や軌道輪(保持器案内面)に摩耗や焼付きが生じるおそれがある。保持器の内径面又は外径面のうち軌道輪と接触する部分や、軌道輪の保持器案内面に、前述した機械的エネルギーによる金属被膜が被覆してあれば、転がり軸受が高速回転で使用されても摩耗や焼付きが抑制される。
さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
さらに、本発明の転動装置は、密封装置又はその他の付属の部材を備えていてもよいが、これら密封装置又はその他の付属の部材についても、前述した機械的エネルギーによる金属被膜を被覆してもよい。
特に、これら密封装置又はその他の付属の部材が鋼製である場合は、前述した本発明の効果と同様の効果が得られる。密封装置であれば、外部環境との接点があるため、水分と接触する状況下などでは防錆効果が期待できる。間座やセパレータも同様である。
さらに、本発明の転動装置においては、転動装置外の他部品と転動装置との接触部の、少なくとも転動装置側に上記した金属被膜が被覆されていれば、潤滑効果の下位概念であるフレッチング防止効果も期待できる。
例えば、ハウジングと軸との間に転がり軸受が介装される場合には、外輪の外径面や内輪の内径面に金属被膜を被覆するとよい。金属被膜は潤滑性も有しているので、ハウジングと外輪又は内輪との間で軸方向の摺動が生じたとしても、摺動部分に摩耗や焼付きが生じにくい。
本発明は、農業機械,多目的四輪バギー車,建設機械に用いられる転がり軸受に限らず、ほぼ全ての用途の転動装置に適用可能である。例えば、スイングラダー軸受、印刷機の胴ロール、発電機用軸受、鉄道車両種電動機や車軸軸受、自動車用ハブユニット、自動車の電装品用軸受、自動車の等速ジョイント、自動車の水ポンプ用軸受、自動車の変速機用軸受、エアコン等のファンモータ用軸受、IC冷却ファンモータ用軸受、一般汎用モータ用軸受、工作機械主軸用軸受、電動射出成形機用のボールねじにも適用可能である。
さらに、XYテーブル用リニアガイドをはじめとする半導体製造装置用軸受、練り製品の混練機をはじめとする食品機械用軸受、各種ローラコンベヤ、タペットローラにも適用可能である。さらに、コピー機や自動改札機等の事務機や民生機、掃除機のモータ用軸受、コンプレッサー用軸受、電動パワーステアリングのウォームにも適用可能である。さらに、滑り軸受にも適用可能である。
本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す斜視図である。 金属被膜が被覆された波形保持器の断面図である。
符号の説明
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体
3a 転動面
4 保持器
4a 保持面

Claims (13)

  1. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、機械的エネルギーにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は鉄よりも卑な金属で構成されていることを特徴とする転動装置。
  2. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えていることを特徴とする転動装置。
  3. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、機械的エネルギーにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属で構成された被膜を内層とし、鉄よりも貴又は同等な金属で構成された被膜を表層とする2層構造とされていることを特徴とする転動装置。
  4. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、機械的エネルギーにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属で構成された被膜を鉄よりも貴又は同等な金属で合金化した合金被膜であることを特徴とする転動装置。
  5. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、機械的エネルギーにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属とで構成されているとともに、母材側から表面側に向かって前記鉄よりも卑な金属の割合が徐々に減少し且つ前記鉄よりも貴又は同等な金属の割合が徐々に増加する構造を有していることを特徴とする転動装置。
  6. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された内層と、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングにより前記内層の上に形成された表層との2層構造とされていることを特徴とする転動装置。
  7. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された被膜に、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングを施すことにより形成されたものであり、前記鉄よりも卑な金属と前記鉄よりも貴又は同等な金属との合金からなる合金被膜であることを特徴とする転動装置。
  8. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属の粉末のショットピーニングにより形成された被膜に、鉄よりも貴又は同等な金属の粉末のショットピーニングを施すことにより形成されたものであり、母材側から表面側に向かって前記鉄よりも卑な金属の割合が徐々に減少し且つ前記鉄よりも貴又は同等な金属の割合が徐々に増加する構造を有していることを特徴とする転動装置。
  9. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴又は同等な金属との合金の粉末のショットピーニングにより形成された合金被膜であることを特徴とする転動装置。
  10. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に前記転動体を保持する保持器と、を備える転動装置において、
    前記内方部材,前記外方部材,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも一つは、その表面の少なくとも一部に、金属の粉末のショットピーニングにより形成された金属被膜を備えており、この金属被膜は、鉄よりも卑な金属の粉末と鉄よりも貴又は同等な金属の粉末との混合粉末のショットピーニングにより形成された合金被膜であることを特徴とする転動装置。
  11. 前記鉄よりも卑な金属が、アルミニウム,亜鉛,ビスマスのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転動装置。
  12. 前記鉄よりも卑な金属が、アルミニウム,亜鉛,ビスマスのうち少なくとも1種を含み、前記鉄よりも貴な金属が、ニッケル,クロム,銅,チタン,錫のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項3〜10のいずれか一項に記載の転動装置。
  13. 前記金属被膜の厚さが0.05μm以上8μm以下であることを特徴とする請求項1〜12に記載の転動装置。
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US20200271155A1 (en) * 2015-12-18 2020-08-27 Ntn Corporation Deep groove ball bearing

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