JP2007170426A - 転動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速,高荷重条件下で使用されてもスミアリング,焼付き,摩耗,ピーリング等の不具合が生じにくく長寿命な転動装置を提供する。
【解決手段】ラジアル針状ころ軸受は、内輪1と、外輪2と、内輪1の軌道面1aと外輪2の軌道面2aとの間に転動自在に配された複数の転動体3と、を備えている。そして、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び転動体3の転動面3aのうち少なくとも一つは、面積率で75%以上95%以下の部分に、固体潤滑剤及びチタンで構成された潤滑被膜が被覆されている。この潤滑被膜は、固体潤滑剤である二硫化モリブデンの粉末とチタン粉末との混合粉末を、噴射速度80m/s以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより形成されたものである。
【選択図】図1
【解決手段】ラジアル針状ころ軸受は、内輪1と、外輪2と、内輪1の軌道面1aと外輪2の軌道面2aとの間に転動自在に配された複数の転動体3と、を備えている。そして、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び転動体3の転動面3aのうち少なくとも一つは、面積率で75%以上95%以下の部分に、固体潤滑剤及びチタンで構成された潤滑被膜が被覆されている。この潤滑被膜は、固体潤滑剤である二硫化モリブデンの粉末とチタン粉末との混合粉末を、噴射速度80m/s以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより形成されたものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、転がり軸受,リニアガイド装置,ボールねじ,直動ベアリング等のような転動装置に関する。
一般に、転がり軸受等の転動装置においては、転動装置を構成する内方部材,外方部材と転動体との間で転がり運動が行われ、内方部材,外方部材の軌道面及び転動体の転動面は接触応力を繰り返し受ける。そのため、内方部材,外方部材,転動体を構成する材料には、硬い、負荷に耐える、転がり疲労寿命が長い、滑りに対する耐摩耗性が良好である等の性質が要求される。
そこで、これらの部材を構成する材料には、軸受鋼としては日本工業規格のSUJ2、ステンレス鋼としては日本工業規格のSUS440Cや13Cr系のマルテンサイト系ステンレス鋼、そして肌焼鋼としては日本工業規格のSCR420相当の鋼がよく使用されている。これらの材料は、転がり疲労寿命等の必要とされる性質を得るために、軸受鋼やステンレス鋼であれば焼入れ,焼戻しが施され、肌焼鋼であれば浸炭処理又は浸炭窒化処理後に焼入れ,焼戻しが施されて、硬さがHRC58以上64以下とされている。
ところで、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド,直動ベアリング等の転動装置においては、その転がり疲れ寿命が、前述した硬さ以外に潤滑状態と密接に関係していることが知られている。ここで、転がり疲れ寿命とは、転動装置の軌道面又は転動面が回転に伴い繰返し応力を受けることによって材料が疲労し、その表面の一部に剥離が生じるまでの総回転数である。
転がり接触面の潤滑状態の良否は、形成される油膜厚さと表面粗さとの比である油膜パラメータΛ(下記式を参照)によって表され、Λが大きいほど潤滑状態は良い。すなわち、Λが大きい場合には、表面の微小突起間の接触による表面起点剥離が起こりにくくなり、寿命は、主として材料の清浄度,硬さ,材質,熱処理等によって決定する。逆に、Λが小さいほど表面の微小突起間の接触による表面起点剥離,ピーリング損傷,焼付きが生じやすくなり、寿命が大幅に低下することが知られている。
Λ=h/σ
h:EHL油膜厚さ
σ:合成表面粗さ(σ1 2 +σ2 2 )1/2
σ1 ,σ2 は接触する2面の粗さ(二乗平均粗さ)
Λ=h/σ
h:EHL油膜厚さ
σ:合成表面粗さ(σ1 2 +σ2 2 )1/2
σ1 ,σ2 は接触する2面の粗さ(二乗平均粗さ)
ここで、ラジアルニードル軸受を例にあげて、さらに詳細に説明する。トランスミッション等に幅広く使用されているプラネタリーギアを軸支するプラネタリーギア用軸受では、外方部材にあたるプラネタリーギアからの力の伝達が滑らかに行われるように、一般に、はすば歯車が使用されるため、力関係から、内方部材にあたるプラネタリーシャフトの走行跡がねじれた形となる。このため、プラネタリーギアとプラネタリーシャフトとの間にあるニードルローラーに対し、不均一な力が作用してエッジロードやスキュー等が発生し、軸受の寿命が低下したり、スミアリングや焼付きが発生しやすい。
この対処のため、従来にあっては、ニードルローラーにクラウニングを施してエッジロードを軽減したり、また、スキュー防止のために、円周方向すきま及びラジアルすきまを精密に管理して、未然にスキュー発生を抑える工夫を施したりしている。
この対処のため、従来にあっては、ニードルローラーにクラウニングを施してエッジロードを軽減したり、また、スキュー防止のために、円周方向すきま及びラジアルすきまを精密に管理して、未然にスキュー発生を抑える工夫を施したりしている。
一方、CO2 排出規制に伴なうエンジンの燃費向上の観点から、高速回転時の回転効率を高めるための潤滑油の低粘度化にあいまって、転動装置の高速回転時の耐焼付き性や希薄潤滑下における耐久性の向上が益々求められるようになってきている。このような用途における針状ころ軸受の潤滑性を確保するために、例えば、ニードルローラーを複列化するとともに、内方部材にあたるプラネタリーシャフトのニードル間位置まで軸端から油穴を設け、当該油穴を通じて給油を行う油穴給油方式が採用されている。しかし、油量が不十分な場合は、転走面にピーリング損傷及び焼付きが発生するおそれがある。
このようなピーリング損傷を防止する技術として、軸方向面粗さRMS(L)と円周方向面粗さRMS(C)との比RMS(L)/RMS(C)を1.0以下、且つ、表面粗さの分布曲線の歪み度を指すパラメータSK値をマイナスとなるようにし、さらに、くぼみの占める表面積比率を10〜40%となるようにしたオートマチックトランスミッション用軸受が開示されている(特許文献1を参照)。
また、焼付きを防止する技術として、スラスト荷重を受けながらすべり接触するすべり面を備えた機械部品において、前記すべり面に独立した無数の微小くぼみをランダムに設け、この微小くぼみを設けた面の面粗さをRmax0.6〜2.5μm、表面粗さのパラメータSK値を−1.6以下とし、且つ、微小くぼみの平均面積を35〜150μm2 、表面に占める微小くぼみの面積の割合を10〜40%とした機械部品が開示されている(特許文献2を参照)。
次に、ボールねじについて述べる。電動射出成形機や電動プレス機等で使用されるボールねじは、瞬間的に高負荷が加わる短いストロークで使用され、最大負荷が作用した状態で一旦停止した後に逆回転する往復運動の条件下で使用される。このため、ボール転動面での油膜が掻き取られ、ねじ溝とボールとの接触面に潤滑剤が入り難く、油膜形成が不十分となる傾向があり、ねじ軸,ナット,及びボールの転動面に、表面損傷による摩耗,剥離が生じやすいという問題点があった。
特に、転動速度の2倍の速度の相対すべりが生じるボール同士の接触面においては、損傷が著しいものがあった。さらに、高負荷が作用することによる機台の変形、又は取付け時のミスアライメント等が前述したボールの競り合いをさらに顕著にし、一層寿命を低下させていた。
このような用途に使用可能なボールねじとして、ねじ溝,ナット,及び転動体のうちの少なくとも一つの摺接部分に、二硫化モリブデンの微粒子を噴射して衝突固着させ、厚み寸法0.5μm以下の潤滑剤被膜を形成したものが開示されている(特許文献3を参照)。また、特許文献4には、平均粒子径が約1μm〜約20μmの二硫化モリブデンを約95質量%以上含有する、ショットピーニング装置を用いて投射速度100m/s以上で投射するための二硫化モリブデン投射用材料が開示されている。
このような用途に使用可能なボールねじとして、ねじ溝,ナット,及び転動体のうちの少なくとも一つの摺接部分に、二硫化モリブデンの微粒子を噴射して衝突固着させ、厚み寸法0.5μm以下の潤滑剤被膜を形成したものが開示されている(特許文献3を参照)。また、特許文献4には、平均粒子径が約1μm〜約20μmの二硫化モリブデンを約95質量%以上含有する、ショットピーニング装置を用いて投射速度100m/s以上で投射するための二硫化モリブデン投射用材料が開示されている。
前述したプラネタリー軸受等においては、潤滑油が供給されにくい構造であることに加えて、近年、トランスミッションの小型化又はCVT化等により、プラネタリーギア(外方部材)の最高回転速度について更なる高速化の要求があり、それに伴い使用温度の上昇が考えられる。また、プラネタリーギア用ニードル軸受においては、小型化に伴って、今まで以上にスミヤリング,焼付き,摩耗,ピーリング等の不具合が顕著になってきている。
また、前述したボールねじに関しては、さらなる高負荷が要求され、往復運動のストロークもさらに短周期で行われるため、逆回転する際に油膜がほとんど形成されず、ねじ軸,ナット,及びボールの転動面に、表面損傷による摩耗,剥離,焼付き等が顕著に生じるようになってきている。
スミヤリング,焼付き,摩耗,ピーリング等を防止する技術としては、前述の特許文献1に開示のものがあるが、ただ単にくぼみを形成し、油膜溜まりを形成しただけでは、潤滑油のさらなる低粘度化や油量不足に十分に対応できない。また、特許文献2に開示のものも、上記と同様に、潤滑油のさらなる低粘度化や油量不足に十分に対応できない。
スミヤリング,焼付き,摩耗,ピーリング等を防止する技術としては、前述の特許文献1に開示のものがあるが、ただ単にくぼみを形成し、油膜溜まりを形成しただけでは、潤滑油のさらなる低粘度化や油量不足に十分に対応できない。また、特許文献2に開示のものも、上記と同様に、潤滑油のさらなる低粘度化や油量不足に十分に対応できない。
ボールねじに関しては、均一に被膜が形成していない場合に固体潤滑材の効果が得られにくいため、特許文献3に記載のもののように膜厚を規定しただけでは不十分である。また、特許文献4に記載のもののように投射材料のみを規定しただけでは、十分な性能が得られず、被膜の膜厚及び被覆率を正確に規定する必要がある。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高速,高荷重条件下で使用されてもスミアリング,焼付き,摩耗,ピーリング等の不具合が生じにくく長寿命な転動装置を提供することを課題とする。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高速,高荷重条件下で使用されてもスミアリング,焼付き,摩耗,ピーリング等の不具合が生じにくく長寿命な転動装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材の軌道面,前記外方部材の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つは、面積率で75%以上の部分に、固体潤滑剤の粉末とチタン粉末との混合粉末を噴射速度80m/s以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより形成された潤滑被膜が被覆されており、前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン,ポリエチレン,フッ素樹脂,ポリアミド,ポリアセタール,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリテトラフルオロエチレン,金属石けん,二硫化タングステン,窒化ホウ素,黒鉛,フッ化カルシウム,フッ化バリウム,スズ,スズ合金,鉄,銅,亜鉛,及びクロムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材の軌道面,前記外方部材の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つは、面積率で75%以上95%以下の部分に、固体潤滑剤の粉末とチタン粉末との混合粉末を噴射速度80m/s以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより形成された潤滑被膜が被覆されており、前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン,ポリエチレン,フッ素樹脂,ポリアミド,ポリアセタール,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリテトラフルオロエチレン,金属石けん,二硫化タングステン,窒化ホウ素,黒鉛,フッ化カルシウム,フッ化バリウム,スズ,スズ合金,鉄,銅,亜鉛,及びクロムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする。
このような構成であれば、前記潤滑被膜により金属間接触が抑制されるので、厳しい潤滑環境下で使用された場合でも、スミアリング,焼付き,摩耗,ピーリング等の不具合の発生が低減され長寿命となる。
潤滑被膜が被覆されている部分が面積率で75%未満であると、転動装置の寿命が不十分となるおそれがある。一方、95%超過としても、それ以上の長寿命化は期待できないばかりか、潤滑被膜が脱落しやすくなる。潤滑被膜が脱落すると、異物となって音響不良及び振動を引き起こすおそれがある。
潤滑被膜が被覆されている部分が面積率で75%未満であると、転動装置の寿命が不十分となるおそれがある。一方、95%超過としても、それ以上の長寿命化は期待できないばかりか、潤滑被膜が脱落しやすくなる。潤滑被膜が脱落すると、異物となって音響不良及び振動を引き起こすおそれがある。
また、混合粉末を噴射速度80m/s以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより、潤滑被膜が被覆される部分(母材)の表面活性が高められるため、潤滑被膜の密着性が向上する。
さらに、本発明に係る請求項3の転動装置は、請求項1又は請求項2に記載の転動装置において、前記チタン粉末の平均粒径が10μm以上50μm以下であり、前記混合粉末中の前記チタン粉末の割合が1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3の転動装置は、請求項1又は請求項2に記載の転動装置において、前記チタン粉末の平均粒径が10μm以上50μm以下であり、前記混合粉末中の前記チタン粉末の割合が1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする。
混合粉末中にチタン粉末を混合することにより、母材の表面活性を高めることができ、これにより潤滑被膜と母材との密着性が向上する。チタン粉末の割合が1質量%未満であると、表面活性を十分に高めることが難しくなる。一方、30質量%超過であると、密着性は向上するものの、潤滑被膜に占めるチタンの割合が高くなるため、潤滑被膜の潤滑性が不十分となるおそれがある。
また、チタン粉末の平均粒径が10μm以上50μm以下であれば、前述の噴射条件で潤滑被膜を形成し母材に固着させることができるとともに、母材の表面活性を高めることができる。平均粒径が10μm未満であると、粉末の質量が小さいため、母材の表面との衝突時に母材の表面活性を十分に高めることができないおそれがある。一方、50μm超過であると、チタン粉末が母材の表面に残留した場合に、転動装置に対して異物として作用するおそれがあり、表面起点型剥離を引き起こして大幅に寿命が低下するおそれがある。
さらに、本発明に係る請求項4の転動装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転動装置において、前記潤滑被膜の厚さが0.05μm以上8μm以下であることを特徴とする。
このような構成であれば、転動装置がより長寿命となる。潤滑被膜の厚さが0.05μm未満であると、潤滑性が不十分となるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、潤滑被膜の厚さは0.1μm以上とすることがより好ましく、0.6μm以上とすることがさらに好ましい。また、潤滑被膜の厚さが8μm超過であると、潤滑被膜の強度が不十分となるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、潤滑被膜の厚さは4μm以下とすることがより好ましい。
このような構成であれば、転動装置がより長寿命となる。潤滑被膜の厚さが0.05μm未満であると、潤滑性が不十分となるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、潤滑被膜の厚さは0.1μm以上とすることがより好ましく、0.6μm以上とすることがさらに好ましい。また、潤滑被膜の厚さが8μm超過であると、潤滑被膜の強度が不十分となるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、潤滑被膜の厚さは4μm以下とすることがより好ましい。
さらに、本発明に係る請求項5の転動装置は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転動装置において、前記内方部材の軌道面,前記外方部材の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも前記潤滑被膜が被覆された部分に、深さ0.1μm以上5μm以下のディンプルを設けたことを特徴とする。
このような構成であれば、ディンプル内に固体潤滑剤が充填され、潤滑被膜が被覆された部分と潤滑被膜との密着性が向上するため、ディンプルがない場合と比較して転動装置がより長寿命となる。また、転動装置の駆動時にはディンプル内に固体潤滑剤がトラップされるので、潤滑被膜の効果が長く維持される。さらに、ディンプルの深さが前述の範囲内であれば、転動装置として音響性能に問題が生じることはなく、また、表面粗さの低下による寿命の低下も生じることはない。
このような構成であれば、ディンプル内に固体潤滑剤が充填され、潤滑被膜が被覆された部分と潤滑被膜との密着性が向上するため、ディンプルがない場合と比較して転動装置がより長寿命となる。また、転動装置の駆動時にはディンプル内に固体潤滑剤がトラップされるので、潤滑被膜の効果が長く維持される。さらに、ディンプルの深さが前述の範囲内であれば、転動装置として音響性能に問題が生じることはなく、また、表面粗さの低下による寿命の低下も生じることはない。
このような効果を得るためには、ディンプルの深さを0.1μm以上とする必要がある。ただし、ディンプルの深さを5μm超過としても、それ以上の効果は期待できないので、ディンプルの深さは5μm以下とすることが好ましい。なお、このような効果をさらに確実なものにするためには、ディンプルの深さを0.2μm以上3μm以下とすることがより好ましく、0.5μm以上3μm以下とすることがさらに好ましい。
さらに、本発明に係る請求項6の転動装置は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の転動装置において、前記潤滑被膜の表面の中心線平均粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下であることを特徴とする。
前記潤滑被膜の表面の中心線平均粗さRaが0.5μm超過であると、潤滑条件が厳しくなり表面起点型剥離が発生するおそれがある。また、音響特性及び振動特性が不十分となるおそれがある。一方、中心線平均粗さRaを0.1μm未満とすると、転動装置が高価となってしまうおそれがある。
前記潤滑被膜の表面の中心線平均粗さRaが0.5μm超過であると、潤滑条件が厳しくなり表面起点型剥離が発生するおそれがある。また、音響特性及び振動特性が不十分となるおそれがある。一方、中心線平均粗さRaを0.1μm未満とすると、転動装置が高価となってしまうおそれがある。
なお、本発明は種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。また、本発明における内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
本発明の転動装置は長寿命である。
本発明に係る転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態であるラジアル針状ころ軸受の構造を示す縦断面図である。
図1のラジアル針状ころ軸受は、軌道面1aを有する内輪1(内方部材)と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを有する外輪2(外方部材)と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体3と、両軌道面1a,2a間に複数の転動体3を保持する保持器4と、を備えている。なお、保持器4は備えていなくてもよい。
図1のラジアル針状ころ軸受は、軌道面1aを有する内輪1(内方部材)と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを有する外輪2(外方部材)と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体3と、両軌道面1a,2a間に複数の転動体3を保持する保持器4と、を備えている。なお、保持器4は備えていなくてもよい。
そして、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び転動体3の転動面3aのうち少なくとも一つは、面積率で75%以上95%以下の部分に、固体潤滑剤及びチタンで構成された潤滑被膜(図示せず)が被覆されている。この潤滑被膜は、固体潤滑剤の粉末とチタン粉末との混合粉末を、噴射速度80m/s以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより形成されたものである。
また、使用した固体潤滑剤は、二硫化モリブデン,ポリエチレン,フッ素樹脂,ポリアミド,ポリアセタール,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリテトラフルオロエチレン,金属石けん,二硫化タングステン,窒化ホウ素,黒鉛,フッ化カルシウム,フッ化バリウム,スズ,スズ合金,鉄,銅,亜鉛,及びクロムのうちの少なくとも1種である。さらに、チタン粉末の平均粒径は10μm以上50μm以下であることが好ましく、混合粉末中のチタン粉末の割合は1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
さらに、この潤滑被膜の厚さは、0.05μm以上8μm以下であることが好ましい。また、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び転動体3の転動面3aのうち少なくとも潤滑被膜が被覆された部分には、深さ0.1μm以上5μm以下のディンプルを設けることが好ましい。さらに、潤滑被膜の表面の中心線平均粗さRaは、0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
このようなラジアル針状ころ軸受は、潤滑被膜により金属間接触が抑制されるので、厳しい潤滑環境下で使用された場合でも、スミアリング,焼付き,摩耗,ピーリング等の不具合の発生が低減され長寿命である。
このようなラジアル針状ころ軸受は、潤滑被膜により金属間接触が抑制されるので、厳しい潤滑環境下で使用された場合でも、スミアリング,焼付き,摩耗,ピーリング等の不具合の発生が低減され長寿命である。
なお、本実施形態においては、転動装置の例としてラジアル針状ころ軸受をあげて説明したが、転がり軸受の種類はラジアル針状ころ軸受に限定されるものではなく、本発明は様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。さらに、本発明はトロイダル無段変速機に対しても適用することができる。
〔実施例〕
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。種々のラジアル針状ころ軸受(内径15mm,外径25mm,幅35mm)を試験軸受として用意して回転試験を行い、その寿命を評価した。試験軸受であるラジアル針状ころ軸受の構成は、内輪の軌道面,外輪の軌道面,及び転動体の転動面のうち転動体の転動面のみに、固体潤滑剤及びチタンで構成された潤滑被膜を被覆した点以外は、前述した図1のラジアル針状ころ軸受と同様である。
後述する前処理の種類、該前処理により転動体の転動面に形成されたディンプルの深さ、チタン粉末の平均粒径、固体潤滑剤の粉末とチタン粉末との混合粉末中のチタン粉末の割合、転動体の転動面に被覆された潤滑被膜の面積率、及び潤滑被膜の厚さは、表1〜5に示す通りである。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。種々のラジアル針状ころ軸受(内径15mm,外径25mm,幅35mm)を試験軸受として用意して回転試験を行い、その寿命を評価した。試験軸受であるラジアル針状ころ軸受の構成は、内輪の軌道面,外輪の軌道面,及び転動体の転動面のうち転動体の転動面のみに、固体潤滑剤及びチタンで構成された潤滑被膜を被覆した点以外は、前述した図1のラジアル針状ころ軸受と同様である。
後述する前処理の種類、該前処理により転動体の転動面に形成されたディンプルの深さ、チタン粉末の平均粒径、固体潤滑剤の粉末とチタン粉末との混合粉末中のチタン粉末の割合、転動体の転動面に被覆された潤滑被膜の面積率、及び潤滑被膜の厚さは、表1〜5に示す通りである。
ここで、試験軸受であるラジアル針状ころ軸受の製造方法について説明する。まず、内輪,外輪,及び転動体はSUJ2を素材とし、RXガスとエンリッチガスとアンモニアガスとを含む雰囲気中で840〜880℃で3時間浸炭窒化処理を施した後、油焼入れ及び焼戻しを施したものである。このような処理により、表面層の残留オ−ステナイト量は15〜40体積%、表面硬さはHRC62〜67(Hv746〜900)に調整されている。なお、浸炭窒化処理は施さず、ズブ焼入れを施したものでもよい。また、SCM420,SCr420等の鋼を素材とし、浸炭窒化処理又は浸炭処理を施して表面を硬化させたものでもよい。
こうして得られた転動体の転動面に前処理を施して、ディンプルを形成した。ディンプルの形成方法は特に限定されるものではないが、ショットピーニング処理及びバレル処理を採用した。ショットピーニング処理は、ショットピーニング装置を用いて行った。ショット材にはJIS R6001に規定された平均粒径45μmの鋼球,SiC,SiO2 ,Al2 O3 ,ガラスビーズ等を用い、噴射速度80m/s以上、噴射圧力0.3〜0.9MPa、噴射時間10〜20minの条件で、ショット材を転動体の転動面に噴射した。なお、一度に処理する転動体の量は1〜6kgとした。
バレル処理は、種々のメディアや添加剤を配合したものを用いて転動体の転動面に大きな凹凸を形成する粗加工と、プラトー部の粗さを整える仕上げ加工とを行った。なお、転動体の転動面に、ショットピーニング処理とバレル処理との両方を施してもよい。
ディンプルの深さを測定する方法は、以下の通りである。三次元非接触表面形状計測システムにより、転動体の転動面を100倍の倍率で30視野観察し、得られた画像を断面プロファイルに変換した。そして、X方向及びY方向それぞれの5つの断面において、ディンプルの深さを測定し、その結果を平均した。
ディンプルの深さを測定する方法は、以下の通りである。三次元非接触表面形状計測システムにより、転動体の転動面を100倍の倍率で30視野観察し、得られた画像を断面プロファイルに変換した。そして、X方向及びY方向それぞれの5つの断面において、ディンプルの深さを測定し、その結果を平均した。
次に、ディンプルを形成した転動体の転動面に、固体潤滑剤及びチタンで構成された潤滑被膜を被覆した。潤滑被膜を被覆する方法は特に限定されるものではないが、ショットピーニング処理を採用した。ショット材には、二硫化モリブデン粉末(固体潤滑剤)とチタン粉末との混合粉末を用い、噴射速度80m/s以上、噴射圧力0.3〜0.9MPa、噴射時間10〜20minの条件で、前記混合粉末を転動体の転動面に噴射した。このチタン粉末の平均粒径は10μm以上50μm以下であり、混合粉末中のチタン粉末の割合は1質量%以上30質量%以下である。なお、一度に処理する転動体の量は1〜6kgとした。
被覆された潤滑被膜の面積率を測定する方法は、以下の通りである。電子線マイクロアナライザーにより、転動体の転動面を2000倍の倍率で30視野観察した。そして、一辺200μmの正方形部分を1000倍に拡大した場合に、モリブデンの特性X線強度が潤滑被膜を被覆する前の特性X線強度の10倍以上である領域に潤滑被膜が被覆されているとし、その結果を画像解析して潤滑被膜の面積率を導出し、その結果を平均した。
また、潤滑被膜の厚さを測定する方法は、以下の通りである。転動体を切断し、その断面をバフ研磨で鏡面仕上げした。電子顕微鏡(SEM)により、鏡面仕上げした断面を5000倍の倍率で30視野観察した。各視野において、潤滑被膜の厚さが大きい方から3点と、厚さが小さい方から3点を選択し、これら6点の平均値を求め、この平均値をその視野の潤滑被膜の厚さとした。そして、30視野の潤滑被膜の厚さの平均値を求めた。
図2に、転動体の転動面に被覆した潤滑被膜の断面のSEM像を示す。この潤滑被膜の厚さは、最大2.5μm、最小0.5μm程度である。
なお、本実施例においては固体潤滑剤として二硫化モリブデンを用いたが、ポリエチレン,フッ素樹脂,ポリアミド(ナイロン),ポリアセタール,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリテトラフルオロエチレン,金属石けん,二硫化タングステン,窒化ホウ素,黒鉛,フッ化カルシウム,フッ化バリウム,スズ,スズ合金,鉄,銅,亜鉛,及びクロムが使用可能である。
なお、本実施例においては固体潤滑剤として二硫化モリブデンを用いたが、ポリエチレン,フッ素樹脂,ポリアミド(ナイロン),ポリアセタール,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリテトラフルオロエチレン,金属石けん,二硫化タングステン,窒化ホウ素,黒鉛,フッ化カルシウム,フッ化バリウム,スズ,スズ合金,鉄,銅,亜鉛,及びクロムが使用可能である。
また、潤滑被膜を被覆した後に微小硬度計を用いて表面硬さを測定したところ、潤滑被膜が被覆された転動面は、最表面から2〜15μmの深さ位置までの部分の硬さが勾配を有していた。そして、最も硬い部分の硬さは710〜1130Hvであり、固体潤滑剤のショットピーニング処理前の硬さに比べて、5〜20%向上していた。
次に、回転試験による寿命の評価方法について説明する。軸受の寿命の評価には、図3に示す試験機を使用した。すなわち、ラジアル針状ころ軸受10の内輪が、図示しない支持軸受を介して試験機に取り付けられた軸12に固定されており、ラジアル針状ころ軸受10の一部分は、油浴20内の潤滑油22に浸漬されている。そして、A方向に荷重をかけることによって、ラジアル針状ころ軸受10にラジアル荷重を負荷し、回転させる。
下記のような条件でラジアル針状ころ軸受の回転試験を行い、振動値が初期値の5倍となるか、又は、外輪が160℃となった時点で回転試験を停止した。振動値が5倍となった場合は、実体顕微鏡で損傷の有無を確認し、損傷がある場合は寿命とし、損傷がない場合は回転試験を再開した。また、外輪が160℃となった場合は、焼付きが生じたと判断し、寿命とした。
回転速度:12000min-1
荷重 :動定格荷重の25%(P/C=0.25)
潤滑油 :市販の自動変速機用潤滑油(ATF)
雰囲気温度:室温(約28℃)
初期の軸受温度:外輪の外径において130〜140℃
試験個数:1種の軸受につき10個
回転速度:12000min-1
荷重 :動定格荷重の25%(P/C=0.25)
潤滑油 :市販の自動変速機用潤滑油(ATF)
雰囲気温度:室温(約28℃)
初期の軸受温度:外輪の外径において130〜140℃
試験個数:1種の軸受につき10個
回転試験の結果(寿命)を表1〜5に示す。また、潤滑被膜の面積率と軸受の寿命との相関を、図4のグラフに示す。なお、表1〜5及び図4のグラフにおける寿命の数値は、比較例1の軸受の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
この比較例1は、前述の特許文献1に記載されている技術が適用された軸受であり、独立した無数の微小くぼみをすべり面にランダムに設け、この微小くぼみを設けた面の表面粗さをRmax1.0μm、表面粗さのパラメータSK値を−2.0、微小くぼみの平均面積を80μm2 、表面に占める微小くぼみの面積の割合いを25%としてある。
なお、比較例1は前処理としてバレル処理が施されており、比較例2は前処理として二段ショットピーニング処理が施されており、比較例3は前処理としてSF処理が施されている。
この比較例1は、前述の特許文献1に記載されている技術が適用された軸受であり、独立した無数の微小くぼみをすべり面にランダムに設け、この微小くぼみを設けた面の表面粗さをRmax1.0μm、表面粗さのパラメータSK値を−2.0、微小くぼみの平均面積を80μm2 、表面に占める微小くぼみの面積の割合いを25%としてある。
なお、比較例1は前処理としてバレル処理が施されており、比較例2は前処理として二段ショットピーニング処理が施されており、比較例3は前処理としてSF処理が施されている。
実施例1〜36は、潤滑被膜の面積率が75%以上、又は、75%以上95%以下であるので、比較例1と比べて格段に長寿命(5.6以上)であった。例えば、実施例2と比較例6、実施例5と比較例7、実施例19と比較例8、実施例10と比較例9は、それぞれ潤滑被膜の厚さは同一で面積率が異なるという組合せであるが、いずれの組合せでも寿命は比較例よりも実施例の方が優れていた。このことから、寿命に対しては潤滑被膜の面積率が最も重要な因子であり、潤滑被膜の厚さを規定しただけでは十分な長寿命化ができない場合があることが分かる。
また、図4のグラフから分かるように、前処理により転動体の転動面にディンプルを形成した実施例9〜22(グラフでは黒丸印でプロットしてある)は、前処理がなくディンプルを有していない実施例1〜8(グラフでは黒三角印でプロットしてある)と比べて、より長寿命であった。
さらに、実施例9〜22と実施例35,36との比較から、ディンプルの深さは0.1μm以上5μm以下とすることが好ましいことが分かる。さらに、実施例27〜34から、潤滑被膜の厚さは0.1μm以上8μm以下とすることが好ましく、0.6μm以上4μm以下とすることがより好ましいことが分かる。
さらに、実施例9〜22と実施例35,36との比較から、ディンプルの深さは0.1μm以上5μm以下とすることが好ましいことが分かる。さらに、実施例27〜34から、潤滑被膜の厚さは0.1μm以上8μm以下とすることが好ましく、0.6μm以上4μm以下とすることがより好ましいことが分かる。
さらに、混合粉末中のチタン粉末の割合は、実施例23,24から1質量%以上30質量%以下であることが好ましいことが分かり、実施例12〜16から5質量%以上20質量%以下であることがより好ましいことが分かる。さらに、実施例25,26から、チタン粉末の平均粒径は10μm以上50μm以下とすることが好ましいことが分かる。
比較例4,5は、潤滑被膜を形成するショットピーニング処理の際に、ショット材として固体潤滑剤のみを使用しチタン粉末を使用しなかった例であるが(噴射速度120m/s以上、噴射圧力0.6MPa)、回転試験の結果は短寿命であり、ショット材として固体潤滑剤とチタン粉末とを使用することが有効であることが分かる。
比較例4,5は、潤滑被膜を形成するショットピーニング処理の際に、ショット材として固体潤滑剤のみを使用しチタン粉末を使用しなかった例であるが(噴射速度120m/s以上、噴射圧力0.6MPa)、回転試験の結果は短寿命であり、ショット材として固体潤滑剤とチタン粉末とを使用することが有効であることが分かる。
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体
3a 転動面
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体
3a 転動面
Claims (6)
- 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転動装置において、
前記内方部材の軌道面,前記外方部材の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つは、面積率で75%以上の部分に、固体潤滑剤の粉末とチタン粉末との混合粉末を噴射速度80m/s以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより形成された潤滑被膜が被覆されており、
前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン,ポリエチレン,フッ素樹脂,ポリアミド,ポリアセタール,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリテトラフルオロエチレン,金属石けん,二硫化タングステン,窒化ホウ素,黒鉛,フッ化カルシウム,フッ化バリウム,スズ,スズ合金,鉄,銅,亜鉛,及びクロムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする転動装置。 - 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転動装置において、
前記内方部材の軌道面,前記外方部材の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つは、面積率で75%以上95%以下の部分に、固体潤滑剤の粉末とチタン粉末との混合粉末を噴射速度80m/s以上又は噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより形成された潤滑被膜が被覆されており、
前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン,ポリエチレン,フッ素樹脂,ポリアミド,ポリアセタール,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリテトラフルオロエチレン,金属石けん,二硫化タングステン,窒化ホウ素,黒鉛,フッ化カルシウム,フッ化バリウム,スズ,スズ合金,鉄,銅,亜鉛,及びクロムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする転動装置。 - 前記チタン粉末の平均粒径が10μm以上50μm以下であり、前記混合粉末中の前記チタン粉末の割合が1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転動装置。
- 前記潤滑被膜の厚さが0.05μm以上8μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の転動装置。
- 前記内方部材の軌道面,前記外方部材の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも前記潤滑被膜が被覆された部分に、深さ0.1μm以上5μm以下のディンプルを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の転動装置。
- 前記潤滑被膜の表面の中心線平均粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の転動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005364975A JP2007170426A (ja) | 2005-12-19 | 2005-12-19 | 転動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005364975A Pending JP2007170426A (ja) | 2005-12-19 | 2005-12-19 | 転動装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010266040A (ja) * | 2009-05-18 | 2010-11-25 | Nippon Steel Corp | 極低速回転用の軸受装置 |
JP2013213577A (ja) * | 2012-03-09 | 2013-10-17 | Nsk Ltd | 摺動部材及び針状ころ軸受並びに金属表面処理方法 |
-
2005
- 2005-12-19 JP JP2005364975A patent/JP2007170426A/ja active Pending
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