JPH0643349U - ころ軸受 - Google Patents

ころ軸受

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JPH0643349U
JPH0643349U JP8078592U JP8078592U JPH0643349U JP H0643349 U JPH0643349 U JP H0643349U JP 8078592 U JP8078592 U JP 8078592U JP 8078592 U JP8078592 U JP 8078592U JP H0643349 U JPH0643349 U JP H0643349U
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JP
Japan
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bearing
rolling
oxide film
peeling
life
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Pending
Application number
JP8078592U
Other languages
English (en)
Inventor
健治 玉田
碩一 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
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Publication date
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Publication of JPH0643349U publication Critical patent/JPH0643349U/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 潤滑剤にて潤滑されるころ軸受において、こ
ろの転走面における特異性はく離を防止することであ
る。 【構成】 軸受の固定軌道輪5ないし固定軸1の転走面
3に厚さ0.1〜2.5μmの酸化皮膜4を形成した構
成とした。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、油圧ショベル用旋回減速機遊星部などに使用されるころ軸受に関 し、特に軸受が正逆回転を受けた場合に、固定輪ないし固定軸の転走面に生じる 特異性のあるはく離現象を防止したものである。
【0002】
【従来の技術】
上記油圧ショベル用旋回減速機の遊星部に使用されるころ軸受は、軸の剛性と 軸受の負荷容量を増大させるために、軸又はハウジングをそのまま直接に軌道輪 として使用されることが多く、また、このころ軸受は正逆回転を受ける。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記の様な使用条件のもとで、軸の転走面に生じるはく離によって、これら軸 受が早期に寿命に至る事例が報告されている。
【0004】 この早期寿命を引き起こすはく離は、材料の清浄度が良くなってきた今日にお いて生じて来ており、また金属疲労により生じる通常の転走面表面ないし表層の はく離とは違い、相当内部の深い部分から突然に生じる特異な破壊現象を示して おり、この特異性はく離から生じる軸受寿命は、通常のころ軸受の計算寿命に比 べて十分の一以下の短寿命を示す。
【0005】 一般にころ軸受においては、ゴミ等の噛み込みによりクレバス型亀裂が生じ、 はく離に至ったり、表面粗さが大きい場合とか、潤滑性能の悪いときに発生する ピーリングやスミアリング等によってはく離に至るケースが多い。
【0006】 しかし、上記特異性はく離が生じた軸受の転走面には、ゴミの噛み込み、ピー リングやスミアリング等は認められず、また転走面には着色等の発熱の影響が全 く見られず、このため潤滑性能の劣化による金属同士の接触が短寿命の原因と認 められない。
【0007】 この考案は、このころ軸受において、軸受の固定輪ないし固定軸の転走面に発 生する特異性はく離の発生を防止して安定した耐久寿命を実現する軸受を提供す ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この考案は、図1に示すように、固定軸1に直 接に取り付けられ、かつ潤滑剤により潤滑されるころ軸受2において、該固定軸 1の転走面3に厚さ0.1〜2.5μmの酸化皮膜4を形成した構造を採用した ものである。
【0009】 上記の、軸1が回転し、軌道輪5が固定の場合は、その固定軌道輪5の転走面 に、また軸受ハウジングの内径面が転走面になる場合はその転走面に、それぞれ 上記と同様の酸化皮膜を形成する。なお、図中6はころ、7はケーシングである 。
【0010】 以下、その内容を説明する。
【0011】 本考案者等は、特異性はく離が発生した固定軸1の転走面3を詳しく観察し、 そのはく離の原因となる亀裂の発生状態を調べた。その結果、図2に模型的に示 すように、はく離を生じさせる亀裂8は転走面3表面の近傍では小さいが、転走 面の内部では非常に長い亀裂が深さ方向に多数進行しているのが解った。
【0012】 このような亀裂の発生状況は、通常の金属疲労から来るはく離現象とは著しく 異なっている。すなわち、通常のはく離では、転走面の表面近傍に発生した亀裂 が転走面表面に平行に進行し、それが表面に向かって延びて破損を起すのである が、上記の特異性はく離では、転走面表面からある深さに入ったところで亀裂が 生じ、その亀裂が深さ方向に進行している。
【0013】 通常のはく離亀裂の発生領域は、金属同士をころがり接触させた場合に、金属 の表面下に生じる剪断応力の分布と一致する。すなわち、上記の場合の金属表面 下に生じる剪断応力は、第3図に示すように表面から少し内部に入ったところで 最大値を生じるが、この最大の剪断応力が生じる領域と上記特異性はく離亀裂の 発生領域とが対応していない。
【0014】 上記のことにより、特異性はく離の発生原因は、潤滑不良や金属の疲労からく る亀裂に原因があるのではなく、金属内部に何か異物が進入し、その異物の作用 により金属組織に変化が生じて亀裂を発生させることによるものが考えられる。
【0015】 一般機械部品では、水素が金属、特に鋼の内部に侵入すると、水素脆化を引き 起し、早期に破壊が生じることはよく知られている。
【0016】 ところが、軸受においては、転動体と転走面との接触面に生じる応力は変動応 力であり、水素脆化で問題になる遅れ破壊のように静止一定応力でないことから 、水素脆化による破壊が今まで軸受に対して問題になることはなかった。
【0017】 しかしながら、減速機の遊星部に使われるころ軸受は、高荷重のもとで、正逆 回転を受けることにより、軸の転走面表面が局部的に高温、高圧状態になった場 合、そして表面が摩擦により新生面となった場合、転走面の金属表面が触媒作用 をして、潤滑油が化学分解され、水素が発生しやすい。
【0018】 図1に示すように、固定軸1の転走面3に酸化皮膜4を形成し、寿命テストを 行った。すなわち、転走面3の表面を、化学的に安定な酸化皮膜により不活性化 することにより、金属の触媒作用をなくし潤滑油の分解による水素の発生を抑え ることができると考え、その効果を検証した。
【0019】 テストでは、正逆回転可能なベンチテスト機で、潤滑油により潤滑される保持 器付針状ころ軸受を使用し、その軸の転走面に種々の厚みで酸化皮膜を形成し、 寿命試験を行った。また、各サンプルにおいて酸化皮膜を形成した転走面の表面 粗さを測定し、寿命との関係をみた。なお、酸化皮膜の形成は、黒染め処理法で 行ない、低温加熱(130℃〜160℃)のカセイソーダ水溶液中に軌道輪を浸 漬して四三酸化鉄皮膜を転走面に形成した。また、酸化皮膜4の厚みtは、予め 試験金属片に黒染め処理を行ない、処理時間とその時に形成された膜厚との関係 から対応させたものである。
【0020】 また、寿命試験は300時間の時点で完了とした。テスト結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】 上記表1の結果から、酸化皮膜4の厚みtが0.1μm〜2.5μmの範囲( サンプルNo.2〜No.8)においては、転走面3に特異性はく離が見られず 、全てのサンプルで300時間の寿命を達成することができた。
【0023】 これに対してサンプルNo.1のものは、35時間で転走面に特異性はく離が 発生し、使用不能となった。このサンプルNo.1は処理時間が短いために転走 面に黒染めの着色が見られず、皮膜の厚みが0.1μm未満であった。
【0024】 これらの結果により、酸化皮膜4と特異性はく離の発生とは強い関連があるこ とが明らかである。また、酸化皮膜4の厚みtは少なくとも0.1μm以上であ れば特異性はく離を防止できることが認められる。この結果は、上述したように 酸化皮膜4により転走面表面の触媒作用が抑制されて水素発生が抑えられ、水素 脆化による亀裂の発生が防止されるとする考えと一致している。
【0025】 一方、処理時間が25minで酸化皮膜の厚みtが3μmのサンプルNo.9 は、110時間で転動体の転走面に生じたはく離により寿命に達した。この場合 のはく離は特異性はく離ではなく、表面層近傍に生じた通常のはく離である。
【0026】 このNo.9のはく離の原因は、表1の結果により転走面3の表面粗さが関係 すると考えられる。すなわち、表1に示すように、酸化皮膜4の厚みtが大きく なるほど転走面3の表面粗さが悪化することになるが、このような表面粗さの悪 さは、ころ6と転走面3との金属接触を著しく増大させることになり、早期はく 離を生じさせる原因になると考えられる。
【0027】 このような表面粗さの影響をみるため、転送面8の表面粗さを変えた場合のこ ろ6のはく離発生率の変化を表2に示した。この場合に発生する剥離は通常のは く離である。
【0028】
【表2】
【0029】 上記ころ6のはく離発生率D(%)は、所定時間の寿命試験後にはく離が発生 した試料数の全試料に対する割合を示している。
【0030】 表2の結果により、表面粗さRmaxが大きくなれば、ころ6ははく離発生率 Dは増加する。従って、表1におけるサンプルNo.9のころ6のはく離は、軸 の表面粗さが大きくなったためと考えられる。
【0031】 尚、ころの寿命を熱処理や表面粗さの改良で強化すれば、酸化膜形成による軸 の表面粗さの増大の悪影響は無視出来るが、酸化膜形成の処理に長時間要するの で不経済である。また軸を直接内輪として使用せず、内輪を軸に挿入して使う場 合でも、内輪の特異性はく離防止には本考案は効果がある。
【0032】 以上のことにより、軸受の耐久寿命の向上を図るためには、酸化皮膜4の厚み tは、不活性効果を示す厚み以上で、かつ表面粗さの劣化による寿命低下や経済 性を考慮した範囲で設定する必要がある。本考案は、このような適正な酸化皮膜 4の厚みtを0.1μmから2.5μmの範囲で設定する。
【0033】 なお、酸化皮膜4は、上述した黒染め処理法で形成する方法以外に、硝酸アル コール、塩酸、硫酸などの酸化水溶液中で転走面を色が付く程度に腐食する方法 により形成することができる。
【0034】
【考案の効果】
以上説明したように、この考案の軸受を用いれば、転走面に生じる特異性はく 離を防止することができ、この特異性はく離から生じる軸受の早期破損を防止し て、軸受本来の寿命を保証することができる。したがって、この考案の軸受をこ ろ軸受に用いることにより、寿命のばらつきの少ない安定した軸受性能を提供す ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の断面図
【図2】特異性はく離が生じた転走面の内部構造を模型
的に示した図
【図3】金属同士がころがり接触した場合に金属表面下
に生じた剪断応力分布の例を示す図
【符号の説明】
1 固定軸 2 ころ軸受 3 転走面 4 酸化皮膜 5 軌道輪 6 ころ 7 ケーシング

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑剤にて潤滑されるころ軸受におい
    て、軸受転走面に厚さ0.1〜2.5μmの酸化皮膜を
    形成したことを特徴とするころ軸受。
JP8078592U 1992-11-24 1992-11-24 ころ軸受 Pending JPH0643349U (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8078592U JPH0643349U (ja) 1992-11-24 1992-11-24 ころ軸受

Applications Claiming Priority (1)

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JP8078592U JPH0643349U (ja) 1992-11-24 1992-11-24 ころ軸受

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JPH0643349U true JPH0643349U (ja) 1994-06-07

Family

ID=13728107

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JP8078592U Pending JPH0643349U (ja) 1992-11-24 1992-11-24 ころ軸受

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