JP2002250354A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2002250354A
JP2002250354A JP2001049339A JP2001049339A JP2002250354A JP 2002250354 A JP2002250354 A JP 2002250354A JP 2001049339 A JP2001049339 A JP 2001049339A JP 2001049339 A JP2001049339 A JP 2001049339A JP 2002250354 A JP2002250354 A JP 2002250354A
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filter
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bearing
ring
rolling bearing
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JP2001049339A
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Hiromichi Takemura
浩道 武村
Yuki Tsuchida
祐樹 土田
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィルタのメッシュサイズを適正な大きさに選
定することにより、目詰まりすることなく、潤滑油中の
異物の侵入を阻止し、軸受軌道面の耐はくり寿命を向上
させることができる転がり軸受を提供する。 【解決手段】転がり軸受1は、外輪2と、内輪3と、外
輪2及び内輪3間に配置された転動体4とを備えてい
る。外輪2及び内輪3の少なくとも一端部には、メッシ
ュサイズが10μm以上30μm以下のフィルタ8を外
側に、メッシュサイズが5μm以上10μm以下のフィ
ルタ9を内側に配し、外側のフィルタ8のメッシュサイ
ズと内側のフィルタ9のメッシュサイズを異ならせた多
段構造のシールが備えられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のトランス
ミッションやデファレンシャルギヤ機構等で用いられる
転がり軸受に関し、特に、潤滑油槽を設けた歯車ケース
内に保持される動力伝達用の歯車軸等を支持する円筒こ
ろ軸受、円錐ころ軸受、玉軸受等の、異物混入条件下の
寿命延長を図る転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用オートマチックトラン
スミッション等の歯車変速機においては、歯車軸を回転
自在に支持する円錐ころ軸受等の転がり軸受が組み込ま
れている。このような転がり軸受の摩擦及び摩耗の減少
や軸受寿命の延長を図るため、当該転がり軸受に対し、
歯車を潤滑する潤滑油の一部を供給することにより、当
該転がり軸受の潤滑を行なっている。しかしながら、こ
の潤滑油中には、歯車の摩耗粉等の異物が混入している
ことから、当該異物によって転がり軸受の軌道面が早期
にはくりし、軸受寿命が低下してしまうおそれがある。
そこで、転がり軸受として、フィルタ付きの転がり軸受
を使用し、かかる異物をフィルタで除去し、軸受軌道面
の早期はくりを防止して軸受寿命の低下を阻止すること
が行なわれている。
【0003】従来のこの種のフィルタ付き転がり軸受と
して、例えば、図4に示すものが知られている(特開平
6−323335号公報参照)。このフィルタ付き転が
り軸受101は、外輪102と、内輪103と、外輪1
02及び内輪103間に配置された複数の転動体104
と、外輪102及び内輪103の両端部に配置されたシ
ールリング105とを具備している。そして、外輪10
2は、ハウジング106に対して回転する機械要素10
7に接続され、内輪103はハウジング106に接続さ
れている。ハウジング106はオイルバス109を有
し、その中の潤滑油は機械要素3の回転により軸受の側
部に向けて飛散するようになっている。また、転動体1
04は、保持器108により周方向に所定間隔に保持さ
れている。
【0004】そして、シールリング105は外輪2の内
面にその外縁が取り付けられ、シールリング105の内
縁部は、先端が内輪103の外周面に接触するシールリ
ップ105aを有している。さらに、少なくとも片端部
側のシールリング105は、外部と内部とを貫通させる
開口部105bを有し、この開口部105bはフィルタ
110により覆われている。
【0005】かくして、オイルバス109より飛散しフ
ィルタ110に飛来する潤滑油は、フィルタ110を透
過して外輪102と内輪103との間の軸受内部空間内
へと進入する。この際に、潤滑油中に含まれる摩耗粉等
の異物は、フィルタ110の外面にて捕捉され、清浄な
潤滑油のみが軸受空間内部に入ってくる。これにより、
オイルバス潤滑系により潤滑される転がり軸受におい
て、潤滑油中の異物の侵入を阻止し、軸受軌道面の早期
はくりを防止して軸受寿命の低下を防止することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のフィルタ付き転がり軸受101にあっては、シール
リング105にフィルタ110を備えることにより、潤
滑油中の異物の侵入を阻止することができると考えられ
るが、フィルタ110のメッシュサイズについては何ら
開示されていない。このため、フィルタ110のメッシ
ュサイズが小さい場合には目詰まりが発生し、その一
方、メッシュサイズが大きい場合には異物の軸受空間内
部への侵入が容易となり、寿命延長効果が低くなってし
まう。
【0007】従って、本発明は上述の問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的は、フィルタのメッシュサ
イズを適正な大きさに選定することにより、目詰まりす
ることなく、潤滑油中の異物の侵入を阻止し、軸受軌道
面の耐はくり寿命を向上させることができる転がり軸受
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のうち請求項1に係る転がり軸受は、外輪
と、内輪と、前記外輪及び前記内輪間に配置された転動
体とを備えた転がり軸受において、前記外輪及び前記内
輪の少なくとも一端部に、メッシュサイズが10μm以
上30μm以下のフィルタを外側に、メッシュサイズが
5μm以上10μm以下のフィルタを内側に配し、前記
外側のフィルタのメッシュサイズと前記内側のフィルタ
のメッシュサイズを異ならせた多段構造のシールを備え
たことを特徴としている。
【0009】この転がり軸受によれば、外形の大きさが
10〜30μmを超えるような比較的大きな異物を外側
のフィルタにて侵入を阻止し、外側のフィルタを通過し
た異物であって外形の大きさが5〜10μmを越えるよ
うな比較的小さな異物を内側のフィルタにて軸受空間内
部への侵入を阻止する。なお、外側フィルタのメッシュ
サイズの最小限は10μmであり、内側フィルタのメッ
シュサイズの最小値は5μmであるため、潤滑油がフィ
ルタを通過するときに、目詰まりすることはない。外側
フィルタのメッシュサイズが30μmより大きいと、外
形の大きさが30μmより大きい異物が外側フィルタを
通過して軸受軌道面の耐はくり寿命に悪影響を及ぼす。
また、内側フィルタのメッシュサイズが10μmより大
きいと、外形の大きさが10μmより大きいの異物が内
側フィルタを通過して軸受軌道面に10μmより大きい
圧痕が形成され、軸受軌道面の耐はくり寿命が短寿命と
なる。
【0010】また、本発明のうち請求項2に係る転がり
軸受は、請求項1記載の発明において、前記外側のフィ
ルタのメッシュサイズを10μmとし、前記内側のフィ
ルタのメッシュサイズを5μmとしたことを特徴として
いる。この転がり軸受によれば、外形の大きさが10μ
mを超える異物を外側のフィルタにて侵入を阻止し、外
側のフィルタを通過した異物であって外形の大きさが5
μmを超える異物を内側のフィルタにて軸受空間内部へ
の侵入を阻止する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態を図面を参
照して説明する。図1は本発明に係る転がり軸受の第1
実施形態の断面図である。図1において、転がり軸受1
は、外輪2と、内輪3と、外輪2及び内輪3間に配置さ
れた複数の玉(転動体)4とを具備している。そして、
これら玉4は、保持器5により周方向において所定間隔
に保持されている。また、外輪2は、図示しない軸に対
して回転する歯車等の機械要素(図示せず)に接続さ
れ、内輪3は軸に接続されている。そして、機械要素の
回転に伴い、転がり軸受1の側部に潤滑油の一部が供給
されるようになっている。
【0012】また、外輪2の内面の両端部にはシール溝
6aが、内輪3の外面の両端部にはシール溝6aに対向
するシール溝6bが設けられ、これらシール溝6a,6
b間にゴム製のシールリング7が配置されている。シー
ルリング7は、外輪2のシール溝6aにその外縁が接着
等により取付けられ、その内縁部は先端が内輪3のシー
ル溝6bに接触するシールリップ7aを有する。さら
に、各シールリング7は、軸方向の外部と内部とを貫通
させる開口部7bを有し、この開口部7bは、外側フィ
ルタ8と内側フィルタ9とにより覆われている。外側フ
ィルタ8は、その外面がシールリング7の軸方向外面と
略同一面となる位置に配置され、内側フィルタ9は、そ
の内面がシールリング7の軸方向内面と略同一面となる
位置に配置されている。そして、外側フィルタ8のメッ
シュサイズは30μm、内側フィルタ9のメッシュサイ
ズは10μmであり、外側フィルタ8のメッシュサイズ
が内側フィルタ9のそれよりも大きくなっている。ここ
で、シールリング7と外側フィルタ8及び内側フィルタ
9とで、多段構造のシールを構成する。
【0013】かくして、外側フィルタ8の外側より供給
される潤滑油は、外側フィルタ8及び内側フィルタ9を
透過して外輪2と内輪3との間の軸受内部空間へと進入
し、玉4、保持器8、外輪2、及び内輪3の表面に行き
わたる。この際に、潤滑油中に含まれる摩耗粉等の異物
のうち外形の大きさが30μmを超えるような比較的大
きな異物は外側フィルタ8にて捕捉され、外側フィルタ
8を通過した異物であって外形の大きさが10μmを越
えるような比較的小さな異物は内側フィルタ9にて捕捉
され、軸受空間内部への侵入が阻止される。これによ
り、軸受軌道面に形成される圧痕の大きさが10μ以下
となり、軸受軌道面の耐はくり寿命を向上させることが
できる。
【0014】なお、シールリング7及び外側フィルタ
8、内側フィルタ9は、外輪2及び内輪3の両端部に設
ける必要は必ずしもなく、ユニットの構造上片側からの
潤滑油の進入がないような条件下では、外輪2及び内輪
3の少なくとも一端部に設ければ良い。また、外側フィ
ルタ8及び内側フィルタ9のメッシュサイズは、それぞ
れ、必ずしも30μm、10μmに限ることなく、外側
フィルタ8のメッシュサイズは10μm以上30μm以
下、内側フィルタ9のメッシュサイズは5μm以上10
μm以下であって、外側フィルタ8のメッシュサイズと
内側フィルタ9のメッシュサイズを異ならせればよい。
この場合、外側フィルタ8のメッシュサイズの最小限は
10μmであり、内側フィルタ9のメッシュサイズの最
小値は5μmであるため、潤滑油がそれぞれのフィルタ
8,9を透過するときに、目詰まりすることはない。
【0015】なお、外側フィルタ8のメッシュサイズを
10μmとし、内側フィルタ9のメッシュサイズを5μ
mとすると、潤滑油がフィルタ8,9を透過して軸受内
部を潤滑する際に、潤滑油中に含まれる摩耗粉等の異物
のうち外形の大きさが10μmを超えるような異物は外
側フィルタ8にて捕捉され、外側フィルタ8を通過した
異物であって外形の大きさが5μmを越えるような非常
に小さな異物は内側フィルタ9にて捕捉され、軸受空間
内部への侵入が阻止される。このため、軸受軌道面に形
成される圧痕の大きさが5μm以下となり、軸受軌道面
の耐はくり寿命をより一層向上させることができる。
【0016】次に、本発明に係る転がり軸受の第2実施
形態を図2を参照して説明する。図2は本発明に係る転
がり軸受の第1実施形態の断面図である。図2におい
て、転がり軸受11は、図1に示す転がり軸受1と同様
に、外輪12と、内輪13と、外輪12及び内輪13間
に配置された複数の玉(転動体)14とを具備してい
る。そして、これら玉14は、保持器15により周方向
において所定間隔に保持されている。また、外輪12
は、図示しない軸に対して回転する歯車等の機械要素
(図示せず)に接続され、内輪13は軸に接続されてい
る。そして、機械要素の回転に伴い、転がり軸受1の側
部に潤滑油の一部が供給されるようになっている。
【0017】また、外輪12及び内輪13の両端部に
は、外側フィルタ16及び内側フィルタ17で構成され
る多段構造のシールが設けられている。ここで、外側フ
ィルタ16は、その軸方向外面が外輪12及び内輪13
の軸方向外面と略同一面となる位置に配置され、内側フ
ィルタ17は、外側フィルタ16に対して軸方向内側に
所定間隔離れて配置されている。そして、外側フィルタ
16及び内側フィルタ17は、それぞれの外縁が外輪1
2の内面に接着等により取付けられ、それぞれの内縁部
は内輪13の外面に対してリップ隙間δを有するシール
リップ16a,17aを有している。このリップ隙間δ
は、5μm以下とすることが好ましい。また、外側フィ
ルタ16のメッシュサイズは30μm、内側フィルタ1
7のメッシュサイズは10μmであり、外側フィルタ1
6のメッシュサイズが内側フィルタ17のそれよりも大
きくなっている。
【0018】かくして、外側フィルタ8の外側より供給
される潤滑油は、外側フィルタ16及び内側フィルタ1
7を透過して外輪12と内輪13との間の軸受内部空間
へと進入し、玉14、保持器15、外輪12、及び内輪
13の表面に行きわたる。この際に、潤滑油中に含まれ
る摩耗粉等の異物のうち外形の大きさが30μmを超え
るような比較的大きな異物は外側フィルタ16にて捕捉
され、外側フィルタ16を通過した異物であって外形の
大きさが10μmを越えるような比較的小さな異物は内
側フィルタ17にて捕捉され、軸受空間内部への侵入が
阻止される。これにより、軸受軌道面に形成される圧痕
の大きさが10μm以下となり、軸受軌道面の耐はくり
寿命を向上させることができる。
【0019】なお、外側フィルタ16及び内側フィルタ
17は、外輪12及び内輪13の両端部に設ける必要は
必ずしもなく、ユニットの構造上片側からの潤滑油の進
入がないような条件下では、外輪12及び内輪13の少
なくとも一端部に設ければ良い。また、外側フィルタ1
6及び内側フィルタ17のメッシュサイズは、それぞ
れ、必ずしも30μm、10μmに限ることなく、外側
フィルタ16のメッシュサイズは10μm以上30μm
以下、内側フィルタ17のメッシュサイズは5μm以上
10μm以下であって、外側フィルタ16のメッシュサ
イズと内側フィルタ17のメッシュサイズを異ならせれ
ばよい。この場合、外側フィルタ16のメッシュサイズ
の最小限は10μmであり、内側フィルタ17のメッシ
ュサイズの最小値は5μmであるため、潤滑油がそれぞ
れのフィルタ16,17を透過するときに、目詰まりす
ることはない。
【0020】なお、外側フィルタ16のメッシュサイズ
を10μmとし、内側フィルタ17のメッシュサイズを
5μmとすると、潤滑油がフィルタ16,17を透過し
て軸受内部を潤滑する際に、潤滑油中に含まれる摩耗粉
等の異物のうち外形の大きさが10μmを超えるような
異物は外側フィルタ16にて捕捉され、外側フィルタ1
6を通過した異物であって外形の大きさが5μmを越え
るような非常に小さな異物は内側フィルタ17にて捕捉
され、軸受空間内部への侵入が阻止される。このため、
軸受軌道面に形成される圧痕の大きさが5μm以下とな
り、軸受軌道面の耐はくり寿命をより一層向上させるこ
とができる。
【0021】
【実施例】本発明の効果を検証するための実施例を以下
に説明する。図1に示す構成の転がり軸受について、外
側フィルタ及び内側フィルタのメッシュサイズを表1に
示す条件として両持ち型寿命試験機により寿命試験を行
った。
【0022】この両持ち型寿命試験機の概略構成を図3
に示す。両持ち型試験機50は、回転軸51を支持軸受
52とその両側に配置された2個の試験軸受53とで支
持し、ラジアル荷重Frを支持軸受52に負荷させるこ
とにより、この反力として2個の試験軸受52に等分に
1/ 2の荷重がラジアル方向に負荷される構造となって
いる。そして、潤滑方法は油浴潤滑方式で、油浴54中
に約1lの潤滑油と所定量の異物を入れて試験軸受52
の回転試験を行なうようになっている。試験中、潤滑油
中に先端を挿入したエアパイプ55より噴出する空気
で、異物は均一に撹拌されるようになっている。
【0023】試験軸受は、呼び番号6304の単列深み
ぞ玉軸受で、内輪、外輪、及び玉は高炭素クロム軸受鋼
2種(SUJ2)製で通常の熱処理を施したものを使用
した。そして、外側フィルタ及び内側フィルタの材質と
して無機ファイバーを用いた。寿命試験における軸受回
転数は2400rpm、潤滑油は商品名♯90ハイポイ
ドギヤオイル(日石三菱社製)、ラジアル荷重はFr=
4020N、試験温度は60〜80℃とし、潤滑油中に
ビッカース硬さHv710の100μmの異物を240
0ppm(潤滑油約1lに対して5g)混入させた。
【0024】各条件の軸受10個ずつに対して寿命試験
を行ない、ワイブル分布関数により、短寿命側から10
%の軸受にはくりが発生するまでの総回転時間(L10寿
命)を求めた。また、初期振動の5倍となった時点にて
試験を中止し、外輪あるいは内輪のいずれかに生ずるは
くりの有無を確認した。寿命計算式による計算寿命がL
cal =430hrであるため、打ち切り時間を500h
rした。
【0025】寿命試験の試験結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1を参照すると、外側フィルタのメッシ
ュサイズが30μm、内側フィルタのメッシュサイズが
10μmの実施例1、外側フィルタのメッシュサイズが
20μm、内側フィルタのメッシュサイズが10μmの
実施例2、及び外側フィルタのメッシュサイズが20μ
m、内側フィルタのメッシュサイズが5μmの実施例3
に関しては、L10寿命がそれぞれ440hr、456h
r、482hrと計算寿命(Lcal =430hr)よ
り、長寿命となった。また、実施例1乃至3におけるは
くりの発生位置は、異物のたまりやすい外輪に集中し、
それぞれ、3/ 10個、2/ 10個、1/ 10個のはく
りが確認された。また、外側フィルタのメッシュサイズ
が10μm、内側フィルタのメッシュサイズが5μmの
実施例4に関しては、L10寿命は500hr以上であ
り、10/ 10個、未はくりであった。
【0028】なお、実施例1及び2に関しては、軸受軌
道面の圧痕形成の有無を確認した結果、軸受軌道面に1
0μm以下の圧痕が面積率で10%のエリアに形成され
ていた。一方、実施例3に関しては、軸受軌道面に5μ
m以下の圧痕が面積率で5%のエリアに形成されてお
り、この異物が重なり合った結果、見かけの圧痕が大き
くなり、1/ 10個外輪にはくりを生じたと考えられ
る。また、実施例4に関しては、軸受軌道面には5μm
以上の圧痕は形成されていなかった。
【0029】一方、外側フィルタ及び内側フィルタを設
けなかった比較例1、外側フィルタのメッシュサイズが
50μm、内側フィルタを設けなかった比較例2、外側
フィルタのメッシュサイズが50μm、内側フィルタの
メッシュサイズが50μmの比較例3、及び外側フィル
タのメッシュサイズが50μm、内側フィルタのメッシ
ュサイズが30μmの比較例4に関しては、L10寿命が
それぞれ30hr、47hr、61hr、78hrと計
算寿命(Lcal =430hr)の約1/ 6以下となり、
短寿命となった。また、比較例1乃至4におけるはくり
の発生位置は、異物のたまりやすい外輪に集中し、それ
ぞれ、10/ 10個、10/ 10個、10/ 10個、1
0/ 10個のはくりが確認された。
【0030】なお、全ての比較例1乃至4について、軸
受軌道面の圧痕形成の有無を確認した結果、軸受軌道面
に30μm以上の圧痕が面積率で5%のエリアに形成さ
れており、この大きな圧痕を起点として早期にはくりし
たと考えられる。以上の寿命試験においては、軸受とし
て高炭素クロム軸受鋼2種(SUJ2)製で通常の熱処
理を施したものを使用したが、寸法安定化処理を施すこ
とにより、軸受温度が130℃を超えるような環境下に
おいても軸受性能が向上することになる。
【0031】また、軸受の材料に関しても、肌焼鋼など
の異物環境下に有効な長寿命材料としてもよい。また、
外側フィルタ及び内側フィルタの材質として無機ファイ
バーを用いたが、セルロース繊維などをフィルタとして
用いても良い。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る転がり軸受によれば、外輪及び内輪の少なく
とも一端部に、メッシュサイズが10μm以上30μm
以下のフィルタを外側に、メッシュサイズが5μm以上
10μm以下のフィルタを内側に配し、前記外側のフィ
ルタのメッシュサイズと前記内側のフィルタのメッシュ
サイズを異ならせた多段構造のシールを備えたので、潤
滑油による潤滑時に、外形の大きさが10〜30μmを
超えるような比較的大きな異物を外側のフィルタにて侵
入を阻止し、外側のフィルタを通過した異物であって外
形の大きさが5〜10μmを越えるような比較的小さな
異物を内側のフィルタにて軸受空間内部への侵入を阻止
する。このため、軸受軌道面の耐はくり寿命を向上させ
ることができる。なお、外側フィルタのメッシュサイズ
の最小限は10μmであり、内側フィルタのメッシュサ
イズの最小値は5μmであるため、潤滑油がフィルタを
通過するときに、目詰まりすることはない。
【0033】また、本発明のうち請求項2に係る転がり
軸受によれば、請求項1記載の発明において、前記外側
のフィルタのメッシュサイズを10μmとし、前記内側
のフィルタのメッシュサイズを5μmとしたので、潤滑
油による潤滑時に、外形の大きさが10μmを超える異
物を外側のフィルタにて侵入を阻止し、外側のフィルタ
を通過した異物であって外形の大きさが5μmを超える
異物を内側のフィルタにて軸受空間内部への侵入を阻止
する。このため、軸受軌道面の耐はくり寿命をより一層
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転がり軸受の第1実施形態の断面
図である。
【図2】本発明に係る転がり軸受の第2実施形態の断面
図である。
【図3】両持ち型寿命試験機の概略構成図である。
【図4】従来例の転がり軸受の断面図である。
【符号の説明】
1、11 転がり軸受 2、12 外輪 3、13 内輪 4、14 玉(転動体) 5、15 保持器 6a、6b シール溝 7 シールリング 7a、16a、17a シールリップ 7b 開口部 8、16 外側フィルタ 9、17 内側フィルタ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外輪と、内輪と、前記外輪及び前記内輪間
    に配置された転動体とを備えた転がり軸受において、 前記外輪及び前記内輪の少なくとも一端部に、メッシュ
    サイズが10μm以上30μm以下のフィルタを外側
    に、メッシュサイズが5μm以上10μm以下のフィル
    タを内側に配し、前記外側のフィルタのメッシュサイズ
    と前記内側のフィルタのメッシュサイズを異ならせた多
    段構造のシールを備えたことを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】前記外側のフィルタのメッシュサイズを1
    0μmとし、前記内側のフィルタのメッシュサイズを5
    μmとしたことを特徴とする請求項1記載の転がり軸
    受。
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