JP3956072B2 - 給油装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は給油装置に係り、特に満タン給油時の給油ノズルの異常を検出する給油装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
給油所等には各油種(ガソリン、軽油)毎の給油装置が設置されている。給油装置の内部には地下タンクの油液を汲み上げる送液手段としてのポンプ、ポンプモータ、流量計、及び電磁弁等の各種機器が設けられ、給油装置の前面又は側面にはポンプに接続されたホースが引き出されてあり、ホース先端には給油ノズルが接続されている。
【0003】
この給油ノズルとしては、内部に油液の流路を有するノズル本体と、該ノズル本体に設けられ燃料タンクに油液を吐出する吐出パイプと、前記流路を開,閉すべくノズル本体内に設けられた弁体と、該弁体を開,閉すべく手動操作される操作レバーと、弁体が開弁した状態で負圧室内が負圧状態となったときに自動的に弁体を閉弁させる自動閉弁機構と、給油時の油液の流れにより該自動閉弁機構の負圧室内を負圧状態とする負圧発生機構とからなるものが広く知られている。
【0004】
ここで、上述の自動閉弁機構は、弁体と操作レバーとを係,脱可能に係合させる弁体係脱機構を負圧室内に備え、該負圧室内が負圧状態になることにより弁体係脱機構を作動させて弁体と操作レバーとの係合状態を解除し、弁体を自動的に閉弁させる構成となっている。また、該自動閉弁機構の負圧室内を負圧状態とする負圧発生機構は、一端側が吐出パイプの先端側に開口すると共に他端側が負圧室に開口した空気吸引通路と、一端側が該空気吸引通路に開口し、他端側がノズル本体内の絞り流路(弁体が離,着座する弁座近傍)に開口した負圧通路とから構成されている。
【0005】
そして、このような自動閉弁機構等を備えた給油ノズルは、吐出パイプの先端側を燃料タンク内に挿入した状態で操作レバーを操作して弁体を開弁させることにより、流路内を流れる油液を吐出パイプから燃料タンク内に吐出する。このとき、負圧発生機構の負圧通路内には、油液の流通(ベンチュリ作用)により負圧が生じているが、前記空気吸引通路から燃料タンク内の空気を吸引することにより、自動閉弁機構の負圧室は大気圧状態に保持される。従って、弁体係脱機構は弁体と操作レバーとを係合した状態(開弁状態・係合状態)に保持し、継続的に給油が行われる。
【0006】
次に、燃料タンクへの給油が進み、油液の液面が吐出パイプ先端まで上昇すると、該吐出パイプの先端側に開口した空気吸引通路の一端側が油液によって閉塞される。このため、負圧通路、負圧室内の空気が吸引されて該負圧室内が負圧状態となり、弁体係脱機構が弁体と操作レバーとの係合状態を解除(係合解除状態)して弁体を閉弁させる。この結果、流路が閉塞されて給油が自動的に停止するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による給油ノズルでは、自動閉弁機構の作動により弁体が作動するため、給油装置の設置から相当時間が経過すると、弁体に設けられたシールの経年変化による劣化や、弁体の軸受けの摩耗等による拡大等により、弁体の作動が鈍くなってしまうことがある。
【0008】
このような弁体の作動の悪化は、従来であれば、給油所作業員の経験によって善し悪しを判断している部分であったが、不慣れな給油所作業員では判断できないものであった。また、自動車のドライバーが給油を行うセルフサービス給油においては、上記のような弁体の作動の悪化を発見するために給油ノズルの点検を頻繁に行う必要が生じることとなる。
【0009】
また、弁体の作動の悪化に気が付かず、そのままにしておくと、自動閉弁機構が作動しなくなる可能性があり、その場合には給油中に燃料タンク外に油液が漏洩してしまう可能性がある。
【0010】
本発明は、上記のような課題を鑑みてなされたもので、自動閉弁機構による弁体の作動の悪化を検出し、速やかに報知する給油装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、油液を圧送するポンプと、前記ポンプより圧送される油液を吐出する給油ノズルとを有し、前記給油ノズルは、前記ポンプより吐出される油液の流路を内部に有するノズル本体と、前記ノズル本体の先端側に設けられ油液を吐出する吐出パイプと、前記ノズル本体内の流路途中に形成された弁座と、記ノズル本体内に設けられ、前記弁座に離着座することにより前記流路を開閉する弁体と、前記弁体を前記弁座に着座する方向に付勢する弁ばねと、手動操作により前記弁体を前記弁座より離座させることにより前記流路を開く操作レバーと、前記弁体に接続され、当該弁体の前記弁座への離着座方向に移動可能に設けられた弁体側シャフトと、前記操作レバーに接続され、当該弁体の前記弁座への離着座方向に移動可能に設けられたレバー側シャフトと、前記弁体側シャフトと前記レバー側シャフトとを係合状態と係合解除状態との何れか一方の状態とする弁体係脱機構と、一端側が前記吐出パイプの先端側に開口する負圧通路と、前記負圧通路の他端側に接続された負圧室と、前記負圧室内の負圧により変位することにより前記弁体係脱機構による前記係合状態を解除するダイヤフラムと、からなる給油装置において、前記ダイヤフラムが変位することに伴い前記弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことを検出する第1の検出手段と、前記弁体が前記弁座へ着座したことを検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段により前記弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことが検出されてから前記第2の検出手段により前記弁体が前記弁座へ着座したことが検出されるまでの時間を作動時間として予め記憶する作動時間記憶手段と、前記弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことが前記第1の検出手段により検出されてから前記第2の検出手段により前記弁体が前記弁座へ着座したことが検出されるまでの時間を計測時間として計測する作動時間計測手段と、
該作動時間計測手段による計測時間と前記作動時間記憶手段に記憶された作動時間とを比較して当該計測時間が当該作動時間よりも大きいときに報知を行う制御手段とを設けたことを特徴としている。
【0012】
上記請求項1の構成によれば、第1の検出手段により弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことが検出されてから第2の検出手段により弁体が弁座へ着座したことが検出されるまでの時間を計測時間として作動時間計測手段により計測し、この計測時間が作動時間記憶手段に記憶された作動時間よりも長い場合に弁体の作動が悪化していることが報知されるので、給油作業者が弁体の作動の悪化を簡単に認識することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5に示して説明する。
【0014】
図1は給油装置の全体構成図であり、同図中、給油装置1は給油所の給油現場に設置され、装置筐体2内には給油所の地下タンク3から油液を汲み上げるポンプ4と、ポンプ4から送液された油液の流量を計測する流量計5とが設けられており、このポンプ4、流量計5は基端側が前記地下タンク3に接続された給油配管6に連設されている。
【0015】
給油配管6の先端側は装置筐体2から導出される給油ホース7の基端に接続されており、給油ホース7の先端には車両の燃料タンクに先端側が挿入される給油ノズル8が接続されている。
【0016】
前記装置筐体2内のポンプ4の近傍には、当該ポンプ4を駆動するためのポンプモータ9が設けられており、また、流量計5の近傍には、当該流量計5によって計測された油液の流量をパルス信号に変換して出力するパルス発振器10が設けられている。
【0017】
前記装置筐体2の側面には、非給油作業時に前記給油ノズル8を係止しておくためのノズル掛け11が設けられており、このノズル掛け11の内部には、給油ノズル8がノズル掛け11に係止されているか否か、すなわち給油ノズル8による給油作業を行っているか否かを判定するためのノズルスイッチ12が設けられている。
【0018】
前記装置筐体2の前面上部には、流量計5により計測される流量の積算値を表示する給油量表示器13が設けられている。
【0019】
次に、給油ノズル8の構成につき、図2及び図3を基に説明する。図2は給油ノズル8の縦断面図であり、図3は給油ノズル8の横断面図である。
【0020】
給油ノズル8は、内部に油液の流路20を有するノズル本体21と、該ノズル本体21の先端側に設けられ燃料タンクに油液を吐出する吐出パイプ22と、該ノズル本体21の基端側に設けられ給油作業者が把持する把持部23と、前記流路20を開,閉すべくノズル本体21内に設けられた弁体24と、該弁体24を開,閉すべく手動操作される操作レバー25とから大略構成されている。
【0021】
ノズル本体21内部には、前記流路20中に位置して環状の弁座26が設けられており、前記弁体24は該弁座26に離,着座することにより、流路20を開,閉する。
【0022】
また、弁座26に対向してノズル本体21の他端側には、弁軸摺動穴27が形成されており、該弁軸摺動穴27には、弁体24に接合された弁軸28が図2及び図3の横方向に摺動可能に挿嵌されている。ここで、弁軸28は、弁体側シャフト29とレバー側シャフト30との二部材からなっている。
【0023】
該弁体側シャフト29には、レバー側シャフト30の小径部30Aが挿入される挿入穴29Aが形成され、外周側には図3に示す如く、該挿入穴29Aの途中に開口するように径方向に伸びる切欠部29Bが形成されている。
【0024】
前記レバー側シャフト30の一端側は、弁体側シャフト29の挿入穴29Aに摺動可能に挿入される小径部30Aとなり、該小径部30Aの途中には、弁体側シャフト29の切欠部29Bに対応する係合溝30B(図3を参照)が形成されている。また、該レバー側シャフト30の他端側には操作レバー25の係合端部25Aが係合するレバー係合孔30Cが穿設されている。
【0025】
弁軸28の外周側で弁体24とノズル本体21との間には、弁ばね31が配設されており、該弁ばね31は、弁体24を弁座26に着座させる方向、即ち矢示A′方向に常時付勢するもので、コイルばねによって構成されている。
【0026】
レバー側シャフト30と弁軸摺動穴27との間には、コイルばね32が配設されており、該コイルばね32は、レバー側シャフト30のレバー係合孔30Cを操作レバー25の係合端部25Aに常時当接させることによって、操作レバー25のがたつきを防止するものである。
【0027】
33は燃料タンク(図示せず)内に供給される油液が所定の液面レベルに達したときに弁体24を自動閉弁させる自動閉弁機構を示し、該自動閉弁機構33は、ノズル本体21の側面に形成された開口部34内に配設され後述のダイヤフラム36と、受板39,係合ローラ40,コイルばね41等からなる弁体係脱機構35を有している。
【0028】
36はダイヤフラム、37は該ダイヤフラム36の周縁を固定すると共に開口部34を閉塞するキャップをそれぞれ示し、ダイヤフラム36は図3に示すように、開口部34内に負圧室38を画成している。また、ダイヤフラム36の中央部には受板39が固着されている。
【0029】
ここで、受板39は弁軸9側に向けて開口するコ字状に形成されており、その対向壁には弁軸9の軸方向に伸長する長孔(図示せず)が形成され、当該長孔に2本の係合ローラ40が摺動可能に嵌合されている。該係合ローラ40は、ダイヤフラム36の移動に応じて弁体側シャフト29の切欠部29Bとレバー側シャフト30の係合溝30Bとを係,脱するものである。
【0030】
41は負圧室38内に位置してキャップ37とダイヤフラム36との間に設けられたコイルばねで、該コイルばね41は、ダイヤフラム36、受板39を介して各係合ローラ40をレバー側シャフト30の係合溝30B内に嵌入するように付勢している。
【0031】
42は一端側が吐出パイプ22の先端側に開口し、他端側が前記負圧室38に開口する空気吸引通路を示し、該空気吸引通路42は後述するように、大気導入管43、通気路44、及び負圧通路45とから構成されている。
【0032】
大気導入管43は吐出パイプ5内に配設され、該大気導入管43の一端側は図2に示すように、吐出パイプ22の先端側に開口した吸気口43Aとなり、他端側は通気路44の一端側及び負圧通路45の他端側に開口している。
【0033】
通気路44はノズル本体1の側面に形成され、該通気路44の一端側は大気導入管43の他端側に開口し、他端側は負圧室38に開口している。
【0034】
負圧通路45は弁座26に穿設され、該負圧通路45の一端側は弁座26より流路20に開口し、他端側は通気路44に開口している。ここで、この負圧通路45内には、流路20内を流通する油液の流れ(ベンチュリ作用)により負圧が発生するようになっている。
【0035】
上記大気導入管43、通気路44、及び負圧通路45のような管路構成を採用することにより、例えば大気導入管43が閉塞されていない状態では、負圧通路45より前記流路20内に空気が吸引されるが、大気導入管43の一端側から新たな空気が吸引され、通路内及び負圧室38内は大気圧に保持される。また、大気導入管31が閉塞された状態では、通路内の空気とともに負圧室38内の空気が通気路32から流路20に吸引され、負圧室38内は負圧状態となる。
【0036】
上述した給油ノズル8の構成は公知の自動閉弁機構を有する給油ノズルの構成と同様であり、以下に本発明の特徴となる構成につき順次説明していく。
【0037】
図3に示すように、前記キャップ37には、圧力センサ50が埋設されており、この圧力センサ50は、負圧室34内における圧力を検出するものである。
【0038】
図1に示すように、給油配管6の先端側と流量計5との間には、給油配管6内の圧力を検出する圧力センサ51が設けられており、この圧力センサ51は、給油ノズル8の流路20に流入する油液の圧力(一次圧)を検出するものである。
【0039】
前記装置筐体2の前面上部には、異常報知表示器52が配置されており、異常報知表示器52は、後述する異常検知プログラムにより弁体の作動の悪化が検知されたときに、弁体作動の異常についての表示を行い、給油作業者に異常を報知するものである。
【0040】
上述したポンプモータ9、パルス発振器10、ノズルスイッチ12、給油量表示器13、圧力センサ50,51、及び異常報知表示器52は、それぞれ、装置筐体2内に設けられ、給油装置1の制御を行う制御装置53に電気的に接続されており、制御装置53は、後述する異常検知プログラムや当該プログラムで用いる所定時間T1等のパラメータ値が格納されており、給油作業に伴う給油装置1に関する制御や異常検出に関する制御を行うものである。
【0041】
ここで、前記圧力センサ50,51が検出する圧力値について図4に示す各圧力センサ50,51の圧力遷移図に基づき説明する。
【0042】
この圧力遷移図は、燃料タンク内の液面の上昇により大気導入管43が閉塞される直前から以降の圧力センサ50,51が検出する圧力値についてそれぞれ示しており、縦軸を圧力値、また、横軸を時間として、圧力センサ50により検出される発生負圧の圧力遷移を線Aで示し、圧力センサ51により検出される一次圧の圧力遷移を線Bで示している。
【0043】
まず、前記大気導入管43が閉塞されていない状態では、燃料タンク内に給油が行われているため、負圧通路45を通じて大気導入管43の一端側から吸引した空気を流路20中に排出しており、圧力センサ50により検出される負圧室38内の圧力は0に近い値となり、圧力センサ51により検出される一次圧も0に近い値となっている。
【0044】
燃料タンクの液面が上昇して大気導入管31が閉塞される(状態a)と、負圧室38内の空気が通気路32から吸引されて負圧通路45を通じて流路20中に排出されることで負圧室38内が負圧状態となっていく。このときの圧力センサ50により検出される圧力の遷移は急角度に下降していく。そして、負圧力値がコイルばね41の付勢力をこえる値(所定圧力値P1)になったときにダイヤフラム36が変位して操作レバー25の係合が解除される、すなわち、弁体係脱機構35(自動閉弁機構)が作動し始める(状態b)。そして最後に主弁24が弁座26に着座して(状態c)流路20が閉塞される。
【0045】
上記状態aから状態bへの移行時に、圧力センサ50により検出される圧力は、負圧力の高まりによって急角度に下降していくが、圧力センサ51により検出される圧力は流路20が閉ざされていないので変化しない。
【0046】
上記状態bから状態cへの移行時に、圧力センサ51により検出される圧力は、主弁24の閉弁により流路20の油液の流通が減少していくことで、負圧力が減少するため、急角度に上降していく。そして、圧力センサ51により検出される圧力は流路20が閉塞されていくがポンプ4からは油液が供給されつづけるため、給油配管6内の圧力が高まって急速に上昇していき、流路20が閉塞する、すなわち主弁24が完全に弁座26に着座すると圧力が一定(所定圧力値P2)となり圧力の上昇が止まり、その後変化しないようになる。
【0047】
このときの状態bから状態cへ変化する時間が主弁24の移動(作動)する時間ΔTであり、主弁24の状態が悪化していると時間ΔTは長時間となる。この時間ΔTは設置当初から相当時間は変化しないが、シール等の劣化に伴って次第にのびる。
【0048】
給油装置1の制御装置53には、上記のような時間ΔTを計測して、予め実験等により求められている正常状態時の所定時間T1と比較して、弁体の作動の悪化を検知するための異常検知プログラムが格納されており、次に、当該異常検知プログラムについて図4のフローチャートに基づき説明する。なお、図4中「ステップ」を「S」と略して示す。また、以下の説明においても「ステップ」を「S」と略して説明する。
【0049】
まず、給油装置1の電源が投入されると、S1において、給油ノズル8がノズル掛け11から外されたか否か、すなわちノズルスイッチ12がオンとなったか否かを検出してオンとなれば、S2に進み、オンとならない限り、給油装置1は給油待機状態となっている。
【0050】
S2においては、給油を開始するためにポンプモータ9を起動してポンプ4を駆動することにより給油ノズル8へ油液を供給し始める。
【0051】
そして、給油ノズル8の操作レバー25が操作されて主弁24が開弁すると燃料タンクに油液が吐出されることにより、S3において流量計5が流量を計測し始め、パルス発振器10から出力されるパルス信号により流量の積算値を演算し、当該積算値を給油量表示器13に表示する。
【0052】
S4においては、圧力センサ50の出力により、弁体係脱機構35が作動し始めるか否か、すなわち負圧室38内の負圧力値がコイルばね41の付勢力をこえる所定圧力値P1となったか否かを検出し、これが検出されない限りS3の流量計測を行い続ける。
【0053】
ここで、本実施の形態においては、このS4の処理と圧力センサ50及び制御装置53とによりダイヤフラムが変位することに伴い前記弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことを検出する第1の検出手段が構成される。
【0054】
S4において、負圧室38内の負圧力値がコイルばね41の付勢力をこえる値になったときに、S5に移行して主弁24の移動(作動)する時間ΔTを計測するための制御装置53内に設けられたタイマを稼動させる。
【0055】
次に、S6に移行して今度は圧力センサ51の出力により、給油ノズル8の流路20が閉塞されたか否か、すなわち、一次圧と主弁24が完全に弁座26に着座する所定圧力値P2とが一致するか否かを検出し、これが検出されない限り制御装置53のタイマによる時間計測を行い続ける。
【0056】
このS6の処理と圧力センサ51及び制御装置53とにより弁体が前記弁座へ着座したことを検出する第2の検出手段が構成される。
【0057】
S6において、一次圧が所定圧力値P2になったときに、S7に移行して制御装置53のタイマを停止させ、主弁24の移動(作動)する時間ΔT(計測時間)を取得してS8に移行する。
【0058】
S8においては、時間ΔTと弁体24が正常状態時の所定時間T1(作動時間)とを比較する。そして、時間ΔTが所定時間T1よりも大きい場合にはS9に移行して異常報知表示器52に主弁の作動が悪化していることを表示して給油作業者に報知し、S10に移行する。また、S8において時間ΔTが所定時間T1以下である場合にはそのままS10に移行する。
【0059】
S10においては、給油ノズル8がノズル掛け11に掛け戻されて給油作業が終了したか否かをノズルスイッチ12がオフになったか否かにより検出する。ノズルがオフになっていれば、給油作業が終了して給油ノズル8がノズル掛け11に戻されたものとしてS11に移行してポンプモータ9を消勢して給油装置1を給油待機状態に戻す。ノズルがオフになっていなければ、燃料タンクへ追加給油を行うものとして再びS3の流量計測状態に戻し、上記S3以降の処理を再び行う。
【0060】
上述のように、本実施の形態においては、圧力センサ50,51の検出結果ににより時間ΔTを計測して、予め実験等により求められている正常状態時の所定時間T1と比較して、弁体24の作動の悪化を検知し、給油作業者に報知するため、給油所作業員が弁体24の作動の悪化を判断する必要がなく、給油作業が煩雑になることを防止できる。
また、セルフサービス給油を実施する給油所において、弁体24の作動の悪化を日常的に点検する面倒を排除することができる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、制御装置53が、時間ΔTが所定時間T1よりも大きい場合には異常報知表示器52に主弁の作動が悪化していることを表示して給油作業者に報知することとしたが、このほかにポンプモータ9を消勢するようにしてもよく(図5に破線で示す)、この場合には、もし、弁体係脱機構35(自動閉弁機構)が作動しない場合でも給油中に車両の燃料タンクから油液を漏洩させてしまう恐れがなくなる。
【0062】
また、上記実施の形態においては、一次圧を検出する圧力センサ51を給油配管6の先端側と流量計5との間に設けたが、これに限らず、圧力センサ51は、弁体24とポンプ4の吐出口との間であればどこに設けてもよく、例えば、弁体24の上流側の流路20内や給油ホース7内に設けてもよい。
【0063】
上記実施の形態においては、弁体係脱機構35の作動開始を負圧室38内の圧力に基づいて検出したが、弁体係脱機構35の作動開始を検出できれば、これに限らず、この弁体係脱機構35の作動開始は、ダイアフラム36の変位や弁体24、弁軸28、または弁ばね31の変位をマイクロスイッチや変位センサ等で検出する構成としてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態においては、弁体24による流路20の閉塞を給油配管6内の圧力に基づいて検出したが、流路20の閉塞を検出できれば、これに限ることなく、弁体24、弁軸28、または弁ばね31の変位をマイクロスイッチや変位センサ等で検出する構成や弁座26に感圧センサを設けて弁体24の弁座26への着座を検出する構成としてもよい。
【0065】
つぎに、本発明の変形例となる給油装置60の制御装置61について、図6の制御フローチャートを基に説明する。なお、本変形例の給油装置60の構成は、上記実施の形態における給油装置1の構成と同様であるため、制御手段61が行う給油装置60の上記実施の形態と異なる制御のみ説明する。
【0066】
給油装置60による給油作業が開始されて流量計測を行い始めた後(S1〜S3)、S21においては、圧力センサ50の出力により、弁体係脱機構35が作動し始めるか否か、すなわち負圧室38内の負圧力値がコイルばね41の付勢力をこえる所定圧力値P1となったか否かを検出し、これが検出されない限りS3の流量計測を行い続ける。
このS21の処理と制御装置61とで負圧力判定手段が構成される。
【0067】
S21において負圧室38内の負圧力値が所定圧力値P1になったとき、S22に移行して正常状態時の所定時間T1を経過した否かを計測するための制御装置62内に設けられたタイマを稼動させる。
【0068】
次に、S23に移行して今度は圧力センサ51の出力により、給油ノズル8の流路20が閉塞されたか否か、すなわち、一次圧と主弁24が完全に弁座26に着座する所定圧力値P2とが一致するか否かを検出し、これが検出されない場合にS24に移行する。
このS23の処理と制御装置61とで一次圧判定手段が構成される。
【0069】
S24においては、S22で稼動させたタイマの時間が所定時間T1を経過した否かを判定し、経過していない場合には、S23に戻る。
【0070】
S23において、一次圧が所定圧力値P2なったときには、主弁24の作動が悪化していないものとしてS25に移行し、S25で給油ノズル8がノズル掛け11に掛け戻されて給油作業が終了したか否かをノズルスイッチ12がオフになったか否かにより検出する。
【0071】
ノズルがオフになっていれば、給油作業が終了して給油ノズル8がノズル掛け11に戻されたものとしてS26に移行してポンプモータ9を消勢して給油装置1を給油待機状態に戻す。ノズルがオフになっていなければ、燃料タンクへ追加給油を行うものとして再びS3の流量計測状態に戻し上記S3移行の処理を行う。
【0072】
S24において、タイマの時間が所定時間T1を経過した場合には、所定時間T1内に一次圧が所定圧力値P2にならず、主弁24の作動が悪化しているものと判断して、S27に移行して異常報知表示器52に主弁24の作動が悪化していることを表示して給油作業者に報知し、S28に移行する。
【0073】
S28では、ポンプモータ9を消勢する。これは、もしも弁体係脱機構35が作動しない場合には、車両の燃料タンクが満タンになっているにも拘わらず、給油ノズル8からの油液の吐出がされつづけて燃料タンクから油液が送液してしまうため、このようなことを防止するために給油を停止しておくものである。
【0074】
S29では、給油ノズル8がノズル掛け11に掛け戻されて給油作業が終了したか否かをノズルスイッチ12がオフになったか否かにより検出する。ノズルがオフになっていれば、給油作業が終了して給油ノズル8がノズル掛け11に戻されたものとして給油装置1を給油待機状態に戻す。
【0075】
上述のように、本変形例においては、圧力センサ50により所定圧力値P1を検出してから、正常状態時の所定時間T1内に圧力センサ51が所定圧力値P2を検出するか否か、すなわち、所定圧力値P1を検出してから所定圧力値P2を検出するまでの時間が所定時間T1以下であるかの比較を行っている。これにより、弁体24の作動の悪化を検知し、給油作業者に報知するともにポンプモータ9を消勢するようにしたため、給油所作業員が弁体24の作動の悪化を判断する必要がなく、給油作業が煩雑になることを防止できる。
また、セルフサービス給油を実施する給油所において、弁体24の作動の悪化を日常的に点検する面倒を排除することができ、もし、弁体係脱機構35が作動しない場合でも給油中に車両の燃料タンクから油液を漏洩させてしまう恐れがなくなる。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、第1の検出手段により弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことが検出されてから第2の検出手段により弁体が弁座へ着座したことが検出されるまでの時間を計測時間として作動時間計測手段により計測し、この計測時間が作動時間記憶手段に予め記憶された作動時間よりも長い場合に弁体の作動が悪化していることが報知されるので、給油ノズルについて弁体作動の悪化を給油所作業員が判断する必要がなく、給油作業が煩雑になることを防止できる。また、セルフサービス給油を実施する給油所において、給油ノズルについて弁体作動の悪化を点検する面倒を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る給油装置の全体構成図。
【図2】 給油ノズルの縦断面図。
【図3】 給油ノズルの横断面図
【図4】 一次圧及び発生負圧の圧力遷移図。
【図5】 本発明の実施の形態に係る給油装置の制御フローチャート。
【図6】 本発明の変形例に係る給油装置の制御フローチャート。
【符号の説明】
1 給油装置
4 ポンプ(送液手段)
8 給油ノズル
20 流路
35 弁体係脱機構(自動閉弁機構)
50 圧力センサ(負圧力測定手段)
51 圧力センサ(一次圧測定手段)
52 異常報知表示器
53 制御装置(作動時間記憶手段、作動時間計測手段、制御手段)

Claims (1)

  1. 油液を圧送するポンプと、
    前記ポンプより圧送される油液を吐出する給油ノズルとを有し、
    前記給油ノズルは、
    前記ポンプより吐出される油液の流路を内部に有するノズル本体と、前記ノズル本体の先端側に設けられ油液を吐出する吐出パイプと、前記ノズル本体内の流路途中に形成された弁座と、記ノズル本体内に設けられ、前記弁座に離着座することにより前記流路を開閉する弁体と、前記弁体を前記弁座に着座する方向に付勢する弁ばねと、手動操作により前記弁体を前記弁座より離座させることにより前記流路を開く操作レバーと、前記弁体に接続され、当該弁体の前記弁座への離着座方向に移動可能に設けられた弁体側シャフトと、前記操作レバーに接続され、当該弁体の前記弁座への離着座方向に移動可能に設けられたレバー側シャフトと、前記弁体側シャフトと前記レバー側シャフトとを係合状態と係合解除状態との何れか一方の状態とする弁体係脱機構と、一端側が前記吐出パイプの先端側に開口する負圧通路と、前記負圧通路の他端側に接続された負圧室と、前記負圧室内の負圧により変位することにより前記弁体係脱機構による前記係合状態を解除するダイヤフラムと、からなる給油装置において、
    前記ダイヤフラムが変位することに伴い前記弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことを検出する第1の検出手段と、
    前記弁体が前記弁座へ着座したことを検出する第2の検出手段と、
    前記第1の検出手段により前記弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことが検出されてから前記第2の検出手段により前記弁体が前記弁座へ着座したことが検出されるまでの時間を作動時間として予め記憶する作動時間記憶手段と、
    前記弁体係脱機構が係合状態から係合解除状態へ変化したことが前記第1の検出手段により検出されてから前記第2の検出手段により前記弁体が前記弁座へ着座したことが検出されるまでの時間を計測時間として計測する作動時間計測手段と、
    該作動時間計測手段による計測時間と前記作動時間記憶手段に記憶された作動時間とを比較して当該計測時間が当該作動時間よりも大きいときに報知を行う制御手段とを設けたことを特徴とする給油装置。
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