JP3955407B2 - 素子検査用プローブとその製造方法およびそれを用いた半導体素子検査装置 - Google Patents
素子検査用プローブとその製造方法およびそれを用いた半導体素子検査装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の電気的特性を測定して不良の判定をしたり寿命試験を行う半導体素子検査装置に係わり、特に、その半導体素子検査装置の先端に設けられ半導体素子に接触させる素子検査用プローブ及びその製造方法並びにそれを用いた半導体素子検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の電気的特性を測定して不良の判定をしたり寿命試験を行うときに用いる半導体素子検査装置は、微細な金属線を規定のピッチで配列した端子を備え、半導体素子の電極パッドにその端子を押圧しながら水平方向にわずかに移動することにより、パッド材料の上面酸化皮膜を除いて新生面を創出し、これによって電気的な導通を確保していた。
【0003】
近年、半導体素子の高密度化がますます進む傾向にあり、これに対応して上記検査装置の端子のピッチを狭小化する必要が生じている。しかしながら、上記の端子は、微細な金属線を1つ1つ作業者の手作業で配列することにより構成していたため、その狭小ピッチ化に限界があり、半導体素子の高密度化に十分対応できなくなりつつあった。
【0004】
この点を解決し、半導体素子の高密度化に対応した狭小ピッチを実現するために、上記端子に代わり、半導体の微細加工技術を用いたプローブを使用する手法が提唱されている。
すなわち、シリコン基板上に微細なプローブを狭小ピッチでアレイ状に形成した後、そのプローブ先端にスパッタや蒸着等の手段では電気的低抵抗の金属を付加するか、若しくは、プローブ先端表面を酸化した後に金属とシリコンとを蒸着やスパッタを行って熱処理しシリサイド化するものである。これによって、プローブ先端部に導電性を持たせ、プローブを半導体素子のアルミ等の電極パッドに接触させ押圧して導通を得ることができる。
【0005】
但し、このようにプローブを電極パッドに押圧する方法では、素子の基板面に平行な方向への移動が少ないために、パッド材料の上面酸化皮膜を除く上で不利である。そこで、この点に配慮したものとして、例えば、特開平8−50146号公報に記載のように、シリコン基板に先端が鋭利な四角錐形状のプローブを形成する構造が提唱されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平8−50146号公報記載のプローブでは、以下のような別の課題を新たに生じる。
【0007】
(1)プローブ高さ統一の困難
すなわち、上記公知例において、プローブは、図10(a)に示すような先端が鋭利な四角錐形状を異方性エッチングによって製作するが、このとき、通常考えられるその加工手順としては、例えば以下のようになる。
【0008】
まず、面方位が(1,0,0)の単結晶シリコン基板を用いて(図11(a))、その両面を熱酸化し酸化シリコン膜を形成する(図11(b))。
次いで、レジストを塗布し(図11(c))、投影露光・現像を行ってレジスト製のマスクパターンを作成する(図11(d))。
その後、レジストマスクを用いて酸化シリコン膜を弗化水素酸と弗化アンモニウムの混合水溶液によってエッチングし、酸化シリコン製のマスクパターンを得る(図11(e))。
【0009】
そして、酸化シリコン製マスクを用いて、シリコン基板を水酸化カリウム水溶液でエッチングするとマスク下部にサイドエッチングが進行して、プローブの先端が徐々に鋭利な構造となる(図11(f))。さらにエッチングが進むと、酸化シリコン製のマスクは脱落してプローブは最も鋭利な四角錐形状となるが(図11(g))、その後もエッチングが進行した場合、四角錐形状自体の高さがだんだん低くなってしまう。
【0010】
したがって、多数のプローブを以上のような方法で形成する場合、すべてのプローブの高さをそろえるためにはエッチング時間を極めて精密に制御しなければならず、プローブ高さのばらつきを防止するのは困難である。
【0011】
(2)素子側の損傷
また、先端が鋭利なプローブを半導体素子に接触させる際には、パッド材料を貫通して素子基板に損傷を与える可能性がないとは言えない。
【0012】
(3)プローブ寿命
さらに、先端が鋭利な形状であることから、検査を繰り返すためにプローブを何度も使用するにつれ、その先端が摩耗・損傷し、長期間の使用には耐えられない。
【0013】
そこで、上記の点を解決するために、例えば、特開平9−243663号公報に開示のように、シリコン基板に先端にわずかの平坦部を有するプローブを形成する手法が提唱されている。
【0014】
しかしながら、上記特開平9−243663号公報のプローブでは、さらに以下のような別の課題を生じる。
【0015】
すなわち、先端に平坦部を備えたプローブを通常アルミニウム製である電極パッドに押し付けて電気的導通を得る場合、押し込みによってパッド材料を塑性変形させて流動させ、この塑性流動によって表面のアルミニウムの酸化膜を排除して新生面を表面に現出させてプローブと新生面を接触させる。
【0016】
このとき、電気的導通確保のための抵抗低減という観点から、プローブと新生面との接触面積はなるべく大きいほうが好ましい。
【0017】
一方、このとき塑性流動するのはパッド材料のうちプローブに接触する上面側であって、下面側は半導体素子のシリコン基板に固定されている。そのため、上面側の塑性流動距離が大きすぎると、下面側がその流動に追従できなくなってせん断変形を生じてしまい、下面側のパッド材料が損傷する可能性がある。
【0018】
したがって、パッド材料の損傷を防止しつつ電気的導通を確保するためには、接触面積はなるべく大きく、塑性流動距離はなるべく小さくするのが好ましいこととなる。
【0019】
ところが、上記特開平9−243663号公報のプローブでは、上記の2点について特に配慮がなされておらず、平坦面の形状が正方形となっている。そのため、接触面積の増大を図るべく正方形を大型化すると、正方形中心から正方形外縁までの距離が長くなって塑性流動距離が大きくなり、パッド材料の損傷を防止するのが困難となる。本願発明者等は、図10(b)に示すような上端に正方形平坦面を備えた台形状のプローブを用いて実験を行い、プローブの押圧の程度によってはパッド材料の一部がはがれて破損し、素子検査の環境を汚染することを明らかに確認した。
【0020】
本発明の目的は、高さのばらつきや半導体素子基板の損傷を防止し、長期間の使用が可能であり、かつ、電極パッド材料の損傷を防止しつつ電気的導通を確保できる素子検査用プローブ及びその製造方法並びにそれを用いた検査装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、先端部に略平坦面を備え、この略平坦面を半導体素子の電極パッド面に押圧し電気的導通を得て前記半導体素子の回路特性を検査する素子検査用プローブにおいて、前記略平坦面の形状は、略十字状、四角枠状、または放射状形状となっている。プローブは、電極パッドに向かって押し込まれることによりパッド材料を塑性流動させ、これによって表面酸化膜を排除し新生面を現出させる。このとき、プローブ先端を略平坦面とすることにより、例えば異方性エッチングによってプローブを形成する場合であっても、先端を鋭利な形状とする従来構造と異なり高さのばらつきを少なくできる。また、先端が平坦であることから半導体素子基板を損傷することもなく、さらに摩耗・損傷が極めて少ないため長期間の使用にも十分耐えられる。
【0022】
またこのとき、略平坦面の形状が、略十字状、四角枠状、または放射状形状を備えている。このような形状とすることにより、正方形であった従来構造と同等の接触面積を確保する場合であっても、幅方向寸法を正方形の一辺よりも短くすることができる。このとき、電極パッド材料はより短い寸法の方向に塑性流動するため、幅方向に塑性流動を行う。したがって、その塑性流動距離は、従来の正方形の一辺分の距離よりも短くなる。以上のように、従来構造と同等の接触面積を確保しつつ、塑性流動距離を従来よりも短くすることができる。これにより、電極パッド下面側のパッド材のせん断変形を抑制でき、下面側のパッド材料の損傷を防止することができる。したがって、パッド材料の損傷を防止しつつ電極パッドとの電気的導通を確保することができる。
【0024】
(2)上記(1)において、好ましくは、単結晶シリコンで構成すると共に、表面に導電性の材料を被覆する。
【0025】
(3)また上記目的を達成するために、本発明は、先端部に略平坦面を備え、この略平坦面を半導体素子の電極パッド面に押圧し電気的導通を得て前記半導体素子の回路特性を検査する素子検査用プローブの製造方法において、単結晶シリコン基板に異方性エッチング又は誘導結合プラズマ方式の反応性イオンエッチングによって略十字状、四角枠状、または放射状形状である前記略平坦面の形状を有するプローブ本体を形成した後、そのプローブ本体の表面にスパッタ又は蒸着によって導電性を有する膜を形成する。
【0026】
(4)また上記目的を達成するために、本発明による半導体素子検査装置は、上記(1)と、このプローブを備えた梁と、この梁を支持する支持基板と、前記プローブ先端部から前記支持基板に設けた接続ピンに至る電気配線とを有し、前記半導体素子の電極パッド面に前記プローブの略平坦面を接触させるとともに前記接続ピンを計測手段に接続し、前記半導体素子の回路特性を検査する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0028】
まず、本発明の基本構成としての素子検査用プローブを備えた検査装置の要部構造を表す斜視図を図2(a)に、半導体素子の検査をしている状態を表す概念的断面図を図2(b)に示す。これら図2(a)及び図2(b)において、プローブ1を備えたシリコン製の片持ち梁2が、プローブ支持基板3に対して複数個アレイ状に配されている。プローブ1及び片持ち梁2の表面には電極配線4が被覆されており、この電極配線4は、プローブ支持基板3に設けられた貫通孔3a内の電極5を介し、プローブ支持基板3の背面から、別の基板に取り付けた接続ピン6等に接続され、さらにこの接続ピン6を介して計測手段(図示せず)へと電気的に接続される。
【0029】
そして、プローブ1の先端が、半導体素子基板7に設けられた複数個の検査用電極パッド8と接触させられ、素子の不良検査、寿命加速試験が行われる。なお、9はPIQ保護膜、10はシリコン基板に形成した凸部である。
【0030】
プローブ1の詳細構造を表す反転斜視図を図1(b)に示す。この図1(b)に示すように、プローブ1の先端部は、−形状(長方形)の平坦面となっており、プローブ1の側面は、等脚台形状となっている。
【0031】
このような形状のプローブ1は、梁2を構成する単結晶シリコンに対し、例えば水酸化カリウム水溶液による異方性エッチングあるいは誘導結合プラズマ方式の反応性イオンエッチング(ICP−RIE)によってプローブ本体を容易に形成し、その後、プローブ本体の表面にスパッタ又は蒸着によって導電性を有する膜を形成することにより製作される。このようにすることで、各プローブ1の高さも容易に揃えることができる。但し、水酸化カリウム水溶液を用いる場合は角部における角落ちの現象を生じる可能性があるが、その場合も、補償パターンを設けることでこの角落ちを防止することができる。
【0032】
次に、上記のように構成した本基本構成の作用効果を以下に説明する。
【0033】
(1)プローブ先端が平坦面であることによる作用
プローブ1は、電極パッド8に向かって押し込まれることによりパッド材料を塑性流動させ、これによって表面酸化膜を排除し新生面を現出させる。本実施形態においては、プローブ1先端を略平坦面とすることにより、異方性エッチングによってプローブ1を形成する場合であっても、特開平8−50146号公報のプローブのように先端を鋭利な形状とする場合と異なり、高さのばらつきを少なくできる。また、先端が平坦であることから半導体素子基板を損傷することもなく、さらに摩耗・損傷が極めて少ないため長期間の使用にも十分耐えられる。
【0034】
(2)平坦面を−型とすることによる作用
(2−A)パッド損傷の防止かつ電気的導通の確保
上述のように、先端に平坦部を備えたプローブ1を電極パッド8に押し付けて電気的導通を得る場合、押し込みによってパッド材料を塑性変形させて流動させ、この塑性流動によって表面酸化膜を排除して新生面を表面に現出させてプローブ1と新生面を接触させる。
【0035】
このとき、塑性流動するのはパッド材料のうちプローブ1に接触する上面側であって、下面側は半導体素子基板7に固定されている。そのため、上面側の塑性流動距離が大きすぎると、下面側がその流動に追従できなくなってせん断変形を生じてしまい、下面側のパッド材料が損傷する可能性がある。
【0036】
本願発明者等は、このことを検討するために、コンピュータ計算によるシミュレーションを行った。その結果を図3を用いて説明する。
【0037】
図3(a)、図3(b)、及び図3(c)は、先端部形状を円形としかつその半径をそれぞれ5.6μm、4.0μm、2.8μmとしたプローブを、互いに同じ押し込み量だけ押し込んだ時の電極パッドの変形の様子を示したものである。なお、初期状態の電極パッドの厚さは1μmとしている。
【0038】
これら図3(a)〜(c)において、矩形状の要素がプローブの押圧によって、種々のひずみを与えられている。特に、パッド材料のうち上面側(プローブ側)は塑性流動して各図中右側方向に流れているのに対し、下面側は半導体素子基板に付着している状態にあるため、上面側に引きずられる形で大きなせん断変形を受けている。
【0039】
そして、パッド材料下面側の各矩形状要素のひずみの程度は、プローブ半径が大きいほど、明らかに大きくなっており、上記せん断変形の程度が径の大きなプローブほど大きくなることを示している。これは、図示からも容易に洞察できるように、プローブ半径が大きいほど、パッド材料上面側においてより多くの塑性流動距離が必要となるからである。
【0040】
図4は、以上のようなプローブ半径とひずみとの関係を定量的に示した図である。縦軸は要素の変形量に相当する塑性相当ひずみを表しており、値が最も大きな要素に関するひずみ量を示している。横軸はプローブの押し込み量を表している。図4からも、プローブ押し込み量が同一の条件では、プローブの半径が大きいほどひずみが大きくなることが明らかである。
【0041】
以上により、パッド上面側の塑性流動距離が大きすぎると、下面側にせん断変形を生じ下面側のパッド材料が損傷する可能性があることがわかった。
【0042】
一方、これに対し、電気的導通確保のための抵抗低減という観点から、プローブと新生面との接触面積はなるべく大きいほうが好ましい。
【0043】
したがって、パッド材料の損傷を防止しつつ電気的導通を確保するためには、接触面積はなるべく大きく、塑性流動距離はなるべく小さくするのが好ましいこととなる。
【0044】
ここで、本基本構成においては、プローブ1先端の略平坦面の形状を、長手方向と幅方向とで寸法が異なる−型としている。このような形状とすることにより、特開平9−243663号のプローブのように平坦面形状が正方形である場合と同等の接触面積を確保する場合であっても、長手方向寸法を上記正方形の一辺より長くすることで幅方向寸法を上記正方形の一辺よりも短くすることができる。このとき、電極パッド材料はより短い寸法の方向に塑性流動するため、幅方向に塑性流動を行う。したがって、その塑性流動距離を、従来の正方形の一辺分の距離よりも短くすることができ、せん断変形が生じるのを抑制することができる。したがって、本基本構成においては、従来構造と同等の接触面積を確保しつつ、塑性流動距離を従来よりも短くすることができる。これにより、電極パッド8下面側のパッド材料の損傷を防止することができる。すなわち、パッド材料の損傷を防止しつつ、プローブ1と電極パッド8との電気的導通を確保することができる。
【0045】
(2−B)周長の増大による接触電気抵抗のさらなる低減
また、本基本構成においては、平坦部形状を−型(長方形)として縦横の寸法を異ならせていることにより、同一面積の条件では、上記従来の正方形形状の平坦部よりも周長を長く取ることができる。平坦部の外縁ではパッド材料の伸び変形が大きく新生面が現れやすいため、平坦部周長が長いほど、新生面の現出を促進し、接触電気抵抗を低減することができる。この効果を、以下詳細に説明する。
【0046】
いま、一辺がaの正方形パターンを考えたとき、これと同じ面積の長方形パターンの短辺、長辺はそれぞれaα,a/α(但し0<α<1)で表すことができる。
【0047】
ここで、パターンの周長をLとすると、正方形の場合はL=4aであるが、長方形の場合は、L=2(α+1/α)aとなる。αは1より小さな正の数であることを考慮すると、上式から長方形の周長は常に正方形パターンよりも大きくなることがわかる。
【0048】
ところで、プローブと電極パッドの接触面積Sは、平坦部面積と、側壁での接触面積との和と考えられるため、上記の例では、以下の値で示される。
【0049】
正方形の場合:S=a2+4aδ
長方形の場合:S=a2 +2(α+1/α)aδ
但しδは押し込み量である。これにより、両者の接触面積の差をΔSとすると、
ΔS=2(α+1/α−2)aδ
となり、本基本構成のように長方形平坦面を用いたときに期待される、正方形平坦面に対する接触面の増加率Rは、
R=ΔS/S=2(α+1/α−2)δ/(a+4δ)となる。
【0050】
例えば、α=0.3,a=10μm,δ=0.3μmとすると接触面の増加率はR=0.087となり、約9%の接触面積の増加を見積もることができる。なお、上記と同じα、δ値の条件で、プローブ先端の平坦部の面積を小さくしたa=7μmの場合の接触面の増加率は、R=0.12となる。すなわち、本基本構成においては、平坦部の接触面積が小さいほど、側壁における接触面積増加率が高くなる。
【0051】
以上のように、本基本構成においては、長方形形状による周長増大作用によって電気的接触抵抗をさらに低減できる。また逆に、同一の接触抵抗を許容できる場合は、接触面積を縮小することができるので、その分プローブ1の押圧荷重を減らすことも可能である。
【0052】
なお、上記基本構成においては、プローブ1の先端部の平坦面の形状を図1(b)に示すような−型(長方形)としたが、例えば、図5(a)のように−型両端をくさび状にしたライン型としてもよい。そして、本実施の形態においては、図1(a)や図5(b)のような略十字型や、図5(c)のような四角枠型、さらに図5(e)のような放射状形状等にしたものである。これらの場合も、上記基本構成と同様の効果を得る。
【0053】
また、上記実施形態では、プローブ1をシリコン製の梁2と一体に形成したが、これに限られず、例えば、公知の微細な金属製バネ状構造体に略十字状、四角枠状、または放射状形状のプローブ1を接合した形で形成することも可能である。また、プローブ1を金属で形成してもよい。この場合、シリコン製の梁2に対し接着で固定すればよい。また、梁2にリソグラフィ等の手法によりプローブ形状に対応した穴を形成しておき、この穴に対していわゆる電鋳の手法で金属メッキを施すことによりプローブ1を形成してもよい。
【0054】
さらに、上記実施形態においては、図2(a)及び図2(b)に示すような梁支持構造としたが、これに限られるものではなく、他の支持構造も考えられる。そのような変形例を以下に示す。なお、上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略している。
【0055】
(A)シリコン基板の梁にエッチングで貫通孔を設けた構造
図6(a)は、基本構成の変形例による複数個配列されたプローブ及び梁の構造を表す背面斜視図であり、図6(b)は、各プローブ及び梁の構造を表す概念的断面図である。これら図6(a)及び図6(b)において、プローブ1及び梁2の表面に電極配線4が被覆形成され、プローブ支持基板3の貫通孔3aを介して背面(裏面)に電極5が引かれている。このとき、プローブ支持基板3はシリコン基板であり、貫通孔3aはこのシリコン基板3を両側から異方性エッチングすることによって形成された後、両側から金やクロム等の金属を蒸着して基板中央部で接続をとって電極5としたものである。なお、10はシリコン基板に形成した凸部である。
【0056】
なお、上記は図1(b)同様−型の平坦部を設けた例であるが、他の形状の平坦部を設けることも可能である。図7(a)(b)は、図1(a)同様の十字型の平坦部を設けた例である。
【0057】
(B)一枚プレートに複数プローブを設けた構造
すなわち、図8に示すように、可撓性を有する一枚のプレート11を梁代わりにして、このプレート11に多数のプローブ1をアレイ状に形成した構造である。このような構造は、プローブ1間のピッチが狭小な場合に特に有効である。
【0058】
(C)両持ち梁による支持構造
図9(a)は、この変形例による複数個配列されたプローブ及び梁の構造を表す斜視図であり、図9(b)は、各プローブ及び梁の構造を表す概念的断面図である。これら図9(a)及び図9(b)では、プローブ1は、両端支持構造のいわゆる両持ち梁12に備えられている。上記実施形態における片持ち梁構造と同様、プローブ1及び両持ち梁12の表面には電極配線4が被覆されており、この電極配線4が、プローブ支持基板3,3のうち一方に設けた貫通孔3a内の電極5を介し、接続ピン6等に接続され、これを介して計測手段(図示せず)へと電気的に接続される。
【0059】
ところで、以上は、本発明を、素子検査装置用の電気的接触を得るためのプローブならびに検査装置に適用した場合について述べた。しかしながら、本発明のプローブは他の電子デバイス装置において電気的接続を取る手段として使用することも可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、プローブ先端の略平坦面の形状を、略十字状、四角枠状、または放射状形状にするので、高さのばらつきや半導体素子基板の損傷を防止し、長期間の使用が可能であり、かつ、電極パッド材料の損傷を防止しつつ電気的導通を確保できる。また、同一面積の条件では、従来の正方形形状の平坦部よりも周長を長く取ることができる。ここで、平坦部の外縁ではパッド材料の伸び変形が大きく新生面が現れやすい。したがって、平坦部周長を長くできることで、新生面の現出を促進し、接触電気抵抗をさらに低減できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本構成及び実施の形態によるプローブの詳細構造を表す反転斜視図である。
【図2】 図1に示した素子検査用プローブを備えた検査装置の要部構造を表す斜視図、及び半導体素子の検査をしている状態を表す概念的断面図である。
【図3】 先端部形状を円形とした各種径プローブの電極パッドの変形の様子を示した図である。
【図4】 図3に示したプローブ半径とひずみとの関係を定量的に示した図である。
【図5】 平坦面形状に関する本発明の基本構成の変形例及び本発明の実施の形態を示す図である。
【図6】 シリコン基板の梁にエッチングで貫通孔を設けた場合における本発明の基本構成の変形例を示す図である。
【図7】 図6において十字形のプローブ平坦部を設けた場合の本発明の実施の形態の変形例を示す図である。
【図8】 一枚プレートを梁代わりにして複数プローブを設けた変形例を示す図である。
【図9】 両持ち梁でプローブを支持する変形例を示す図である。
【図10】 従来技術によるプローブの形状を示す図である。
【図11】 図10(a)に示したプローブの加工手順を示す図である。
【符号の説明】
1 プローブ
2 片持ち梁(梁)
3 支持基板
4 電極配線(電気配線)
5 電極(電気配線)
6 接続ピン
8 電極パッド
11 プレート(梁)
12 両持ち梁(梁)
Claims (4)
- 先端部に略平坦面を備え、この略平坦面を半導体素子の電極パッド面に押圧し電気的導通を得て前記半導体素子の回路特性を検査する素子検査用プローブにおいて、
前記略平坦面の形状は、略十字状、四角枠状、または放射状形状であることを特徴とする素子検査用プローブ。 - 請求項1記載の素子検査用プローブにおいて、単結晶シリコンで構成すると共に、表面に導電性の材料を被覆したことを特徴とする素子検査用プローブ。
- 先端部に略平坦面を備え、この略平坦面を半導体素子の電極パッド面に押圧し電気的導通を得て前記半導体素子の回路特性を検査する素子検査用プローブの製造方法において、単結晶シリコン基板に異方性エッチング又は誘導結合プラズマ方式の反応性イオンエッチングによって略十字状、四角枠状、または放射状形状である前記略平坦面の形状を有するプローブ本体を形成した後、そのプローブ本体の表面にスパッタ又は蒸着によって導電性を有する膜を形成することを特徴とする素子検査用プローブの製造方法。
- 請求項1記載の素子検査用プローブと、このプローブを備えた梁と、この梁を支持する支持基板と、前記プローブ先端部から前記支持基板に設けた接続ピンに至る電気配線とを有し、前記半導体素子の電極パッド面に前記プローブの略平坦面を接触させるとともに前記接続ピンを計測手段に接続し、前記半導体素子の回路特性を検査することを特徴とする半導体素子検査装置。
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