JP3954975B2 - 斜面の補強工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、斜面の補強工法に関し、特に、急傾斜地等において、自生する樹木や現存する大きな岩石を残し、自然環境、景観、生態系を保全しながら斜面の安定を図るようにした斜面の補強工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、斜面の補強工法として、ワイヤーロープを一定間隔を保って格子状に敷設し、ワイヤーロープの交差部等の適宜位置を斜面に設置したアンカー等の定着部材によって固定することにより、斜面の安定を図るようにした斜面の補強工法が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記従来の斜面の補強工法では、ワイヤーロープを格子状に敷設するため、自在性が比較的高く、樹木が自生したり、大きな岩石が存在する斜面であっても、樹木や岩石を回避するようにしながら、樹木や岩石間を縫うようにワイヤーロープを敷設することが可能で、このため、自然環境を残したままの状態で、かつ、生態系の保全が可能であるという利点を有していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−242192号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の斜面の補強工法は、斜面に敷設するワイヤーロープの剛性が高いため、取り扱いにくく、急斜面に自在に張り巡らす作業は容易ではなく、施工に多くの人手と時間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、ワイヤーロープを用いる上記従来の斜面の補強工法の有する問題点に鑑み、斜面に敷設する部材に剛性が低く、取り扱いが容易な材料を用いることにより、作業性がよく、容易に、かつ短時間で施工することができる斜面の補強工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の斜面の補強工法は、繊維製ベルトを斜面に設置した定着部材間に張り巡らすとともに、該繊維製ベルトに張力をかけ、その状態で該繊維製ベルトを前記定着部材間に固定して、斜面に敷設するようにし、該張力をかけて敷設した繊維製ベルトによって斜面を押さえることを特徴とする。
【0008】
この斜面の補強工法は、斜面に敷設した繊維製ベルトの張力により斜面の崩落を抑止することができる。
【0009】
この場合において、斜面に敷設した繊維製ベルトの少なくとも1箇所以上にベルトターン金具を設け、該ベルトターン金具によって繊維製ベルトを折り返し、繊維製ベルトの敷設方向を任意に変更することができる。
【0010】
これにより、樹木が自生したり、大きな岩石が存在する斜面であっても、樹木や岩石を回避するように樹木や岩石間を縫いながら、十分な張力をかけ、かつ、大きな自由度を有して繊維製ベルトを敷設することが可能となり、確実に斜面の崩落を抑止することができる。
また、ベルトターン金具によって、繊維製ベルトを張力に合わせて自由な方向に振ることが可能となり、繊維製ベルトを無理な負荷のかからない向きに安定して敷設することができる。
【0011】
また、ベルトターン金具に、スリップ金具を併用することによって繊維製ベルトを固定するようにすることができる。
【0012】
これにより、敷設した繊維製ベルトが部分的に切断されても、それ以外の箇所の繊維製ベルトの張力が奪われることがなく、安全性の高い補強を維持することができる。
【0013】
また、繊維製ベルトに、芯糸と皮糸とからなり、該皮糸を構成する緯糸と経糸のうち、緯糸の打ち込みピッチを可変とした繊維製ベルトを用いることができる。
【0014】
これにより、定着部材としてアンカーを挿入した際の緯糸の切断を防止することができるとともに、斜面の膨張等によるアンカー部分のズレを、密に配設した緯糸によって防止することができる。
【0015】
また、繊維製ベルトに、綴じ糸を、繊維製ベルトの幅方向の中央部は少なく、両側部に多く配列した繊維製ベルトを用いることができる。
【0016】
これにより、芯糸の移動の自由度が高まり、定着部材としてアンカーを挿入した際の芯糸の切断を防止することができる。
【0017】
また、繊維製ベルトに、耐候性のある繊維で織成されている繊維製ベルトを用いることができる。
また、皮糸を構成する緯糸と経糸とが耐候性のある繊維で織成されている繊維製ベルトを用いることもできる。この場合、繊維製ベルトの芯体には高強度の繊維を用いることができる。
【0018】
これにより、厳しい環境下における繊維製ベルトの経年変化による劣化を防止、軽減することができ、長期間に亘って安定した斜面の補強効果を得ることができる。
【0019】
また、耐候性のある繊維に、鉱物繊維を用いることができる。
【0020】
これにより、強度が大きく、かつ、伸びが少ない鉱物繊維の特性によって、経年変化による劣化を防止、軽減することと相俟って、長期間に亘って安定した斜面の補強効果を得ることができる。
また、抗菌作用や遠赤外線効果のある鉱物繊維の特性によって、植物の生育が促進され、斜面の緑化による安定化を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の斜面の補強工法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に、本発明の斜面の補強工法の一実施例を示す。
この斜面の補強工法は、繊維製ベルト1を斜面に張り巡らすとともに張力をかけ、この状態で繊維製ベルト1の適宜位置を斜面に設置した定着部材4によって固定し、この斜面に敷設した繊維製ベルト1の張力により斜面の崩落を抑止するようにしたものである。
【0023】
この場合において、繊維製ベルト1の固定は、アンカー等の定着部材4を用いて斜面に直接的に固定(例えば、図1の繊維製ベルト1の中間位置の固定)してもよいが、本実施例に示すように、例えば、補強の対象となる斜面を囲むように配設するとともに、定着部材4によって固定した繊維製織物からなる筒状体3を介して、間接的に固定することもできる。
ここで、繊維製ベルト1の筒状体3への固定は、筒状体3を周回させて折り返した繊維製ベルト1の端部を、ベルト固定金具5を用いて固定することにより取り付けることができる。そして、ベルト固定金具5に、ラチェットバックルを用いることにより、繊維製ベルト1の敷設を、繊維製ベルト1に張力をかけながら、容易に、かつ短時間で施工することができる。
また、繊維製ベルト1を敷設する際の繊維製ベルト1への張力の付与(繊維製ベルト1を再敷設する際の繊維製ベルト1の張力の解除も同様)は、クランプ(カムラー(ラチェットスパナ))等の任意の手動作業工具(図示省略)を用いて、繊維製ベルト1をラチェットバックルと繋ぎ、クランプをラチェットバックルで引っ張ることにより、所定の張力を付与した後、アンカー等の定着部材4を用いて固定し、クランプを解除して余分な繊維製ベルト1を切除してもよい。
なお、上記筒状体3内には、必要に応じて、モルタル等のセメント系固化材や樹脂系固化材等の流動性固化材を充填することによって、重量及び剛性を高めることができ、これにより、筒状体3、さらには、繊維製ベルト1の定着性を向上することができる。
また、本実施例においては、繊維製ベルト1は、概ね斜面に水平な方向と、これと直交する方向とに碁盤目状に交差するように敷設するようにしたが、敷設する方向は、これに限定されず、任意の方向に敷設することができる。
【0024】
この斜面の補強工法によれば、斜面に敷設した幅のある繊維製ベルト1の張力によって斜面を広く押さえることができるため、斜面の崩落を確実に抑止することができる。
そして、斜面の崩落を抑止するために斜面に敷設する部材に剛性が低く、取り扱いが容易な繊維製ベルト1を用いているので、作業性がよく、容易に、かつ短時間で施工を行うことができる。
【0025】
ところで、繊維製ベルト1は、このように、斜面の保持性が良好なことに加え、自生する樹木W1、W2や現存する大きな岩石Sを残したまま、これらを回避し、かつ、樹木W1、W2を傷つけることなく、斜面に敷設することができる。
このため、自然環境、景観、生態系を保全しながら斜面の安定を図ることができる。
【0026】
ここで、比較的細い樹木W2等の場合には、繊維製ベルト1を樹木W2等に接触させながら直接的に回避させるようにするが、比較的太い樹木W1や岩石S等の場合には、ベルトターン金具2を用い、このベルトターン金具2によって繊維製ベルト1を折り返し、繊維製ベルト1の敷設方向を任意に変更できるようにして、繊維製ベルト1を敷設するようにする。
これにより、樹木が自生したり、大きな岩石が存在する斜面であっても、樹木や岩石を回避するように樹木や岩石間を縫いながら、十分な張力をかけ、かつ、大きな自由度を有して繊維製ベルト1を敷設することが可能となり、確実に斜面の崩落を抑止することができる。
また、ベルトターン金具2を用いることによって、繊維製ベルト1を張力に合わせて自由な方向に振ることが可能となり、繊維製ベルト1を無理な負荷のかからない向きに安定して敷設することができる。
【0027】
ところで、これに用いるベルトターン金具2は、繊維製ベルト1に大きな張力が加わっても破損しない強度を有する、例えば、ステンレススチール製のものからなり、図2〜図8に示すように、例えば、三角形状のものを任意に組み合わせて用いることができる。
このベルトターン金具2は、図2に示すように、三角形状の1辺の断面が、互いに反対側の頂点から他方の頂点にほぼ達するように延びる断面略半円形のアームa、bからなり、対向する両方のアームa、b間には、隙間c(図3参照)が形成されるようにする。
このアームa、b間の隙間cの大きさは、繊維製ベルト1の厚さよりも若干大きく形成し、これにより、図4に示すように、その隙間cから繊維製ベルト1を挿通することができ(繊維製ベルト1の挿通は、繊維製ベルト1を一方側からアームaに通し(図4(a)参照)、さらに、繊維製ベルト1の端縁がアームbの先端を過ぎるまで移動させた後、繊維製ベルト1を逆方向に移動させてアームbにも通し(図4(b)参照)、最後に、金属やプラスチック等の硬質材料からなる割ピン状9a、9bのスリップ金具9で、ベルトターン金具2で折り返された繊維製ベルト1、1同士を挟持、固定する(図4(c)、図5参照)ことにより行うことができる。)、かつ、一旦挿通した繊維製ベルト1が容易には抜け出ないようにする。
【0028】
そして、ベルトターン金具2は、図6に示すように、アンカー等の定着部材4を用いて斜面に固定することができる。
【0029】
これにより、ベルトターン金具2に、スリップ金具9を併用することによって繊維製ベルト1を固定するようにすることにより、敷設した繊維製ベルト1が部分的に切断されても、それ以外の箇所の繊維製ベルト1は、スリップ金具9によってベルトターン金具2に固定された状態が保持されるため、繊維製ベルト1の張力が奪われることがなく、安全性の高い補強を維持することができる。
【0030】
また、ベルトターン金具2は、図6に示すように、アンカー等の定着部材4を用いて斜面に固定するほか、図7及び図8に示すように、ボルト6やカラビナ、シャックル等の連結金具7等を介して、ベルトターン金具2、2同士を連結することもできる。
この場合、ベルトターン金具2、2に連なる繊維製ベルト1、1の張力が釣合っていれば、アンカー等の定着部材4を用いなくてもよい。
【0031】
また、繊維製ベルト1は、長尺になると捻れやすく、斜面に敷設するに際し困難が伴うことがある。このような場合、図15に示すようなリール13を使用し、繊維製ベルト1をリール13にセットした状態で使用することが好ましい。そして、使用に際しては、繊維製ベルト1の自由端部を斜面に固定した後、リール13の把手13aを持って移動し、繊維製ベルト1を斜面に張り巡らせ、リール13から出た繊維製ベルト1をベルトターン金具2に挿入したり、また、逆に、リール13を斜面に置き、そこから引っ張り出される繊維製ベルト1を持ってベルトターン金具2に挿入しつつ、繊維製ベルト1を斜面に張り巡らせることができる。
これにより、繊維製ベルト1を捻れることなく容易に斜面に敷設することができ、長尺の繊維製ベルト1を運搬するにも、また、斜面を持って歩くにも便利である。
【0032】
ところで、本発明の斜面の補強工法に用いる繊維製ベルト1には、図9〜図11に示すような、芯糸10、緯糸11a及び経糸11bからなる皮糸11並びに綴じ糸12からなる繊維製ベルトを好適に用いることができる。
また、綴じ糸12は、両面の皮糸11の緯糸11aを、皮糸11の経糸11b方向に縫うようにし、両面の皮糸11及び芯糸10を密着、一体化する。
そして、この繊維製ベルト1は、比較的打ち込みの粗い繊維製ベルトを使用することが好ましく、特に、皮糸11の緯糸11aは、打ち込みピッチを粗く、例えば、2mm程度に設定するようにする。この緯糸11aの打ち込みピッチは、繊維製ベルト1を固定するために、繊維製ベルト1を貫通するアンカー等の定着部材4の最大直径の1/2以上に設定することが好ましい。
また、綴じ糸12は、繊維製ベルト1の幅方向の中央部は少なく、両側部に多く配列することが好ましい。
これにより、アンカー等の定着部材4が繊維製ベルト1を貫通するとき、定着部材4によって、繊維製ベルト1の芯糸10、緯糸11a及び経糸11bからなる皮糸11並びに綴じ糸12が押し分けられることとなり、繊維製ベルト1が損傷することを防止することができる。
【0033】
より具体的には、繊維製ベルト1は、図10に示すように、幅を100mmに、厚さを5mmに形成する。
また、芯糸10は、ポリエステル繊維(1500d)を200本引き揃えて構成し、一方、皮糸11の緯糸11a及び経糸11b並びに綴じ糸12は、ポリエステル繊維(1000d)で構成する。
そして、定着部材4に直径が20mmのアンカーを使用する場合には、図11に示すように、皮糸11の緯糸11aの打ち込みピッチを、10〜15mm程度に設定する。
また、綴じ糸12は、繊維製ベルト1の幅方向の中央部は少なく、両側部に多い配列となるように、側縁から、10mm、10mm、10mm、40mm、10mm、10mm、10mmとする。
【0034】
また、繊維製ベルト1には、上記のもののほか、図12〜図13に示すように、皮糸11の緯糸11aの打ち込みピッチを可変とした繊維製ベルトを用いることができる。
具体的には、緯糸11aの打ち込みピッチを、アンカー等の定着部材4が貫通する箇所は粗く(打ち込みピッチ約20mmで、長さ約100mm)、その間の部分は密に(打ち込みピッチ約2mmで、長さ約10mm)設定する。
なお、繊維製ベルト1のその他の構造は、図10に示したものと同様である。
このように、皮糸11の緯糸11aの打ち込みピッチを可変とすることにより、定着部材4としてアンカーを挿入した際の緯糸11aの切断を防止することができるとともに、斜面の膨張等によるアンカー部分のズレ、すなわち、図13(a)に示すように、アンカー4を打って施工した後、斜面が地下水の影響等により膨らみ、繊維製ベルト1に矢符P方向の張力がかかると、図13(b)に示すように、アンカー4の部分で緯糸11aにズレが生じることになるが、それ以上の緯糸11aのズレを密に配設した緯糸11aによって阻止し、繊維製ベルト1が損傷することを防止できる。
【0035】
このほか、繊維製ベルト1に、例えば、ガラス繊維や鉱物繊維等の耐候性のある繊維で織成されている繊維製ベルトを用いることができる。
また、皮糸11を構成する緯糸11aと経糸11bとが耐候性のある繊維で織成されている繊維製ベルトを用いることもできる。この場合、繊維製ベルトの芯体には高強度低伸度の繊維を用いることができ、これにより、軽量でコンパクトな繊維製ベルトを得ることができる。そして、この高強度低伸度の繊維としては、一般的な産業資材用繊維よりも、強度15cN/dtex以上、伸度6%以下の繊維を好適に用いることができる。このような繊維には、高強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維、芳香族ポリアリレート繊維等があり、特に、高強力ポリエチレン繊維は耐薬品性が良好であるため、酸性やアルカリ性に偏った土壌で使用しても劣化が少なく、また、ポリエチレンは他の繊維よりも滑りが良好であるため、アンカーの挿入がより容易になる。
これにより、厳しい環境下における繊維製ベルトの経年変化による劣化を防止、軽減することができ、長期間に亘って安定した斜面の補強効果を得ることができる。
【0036】
さらに、耐候性のある繊維に、玄武岩(バサルト)を直接溶融炉で溶かし、紡出した鉱物繊維を用いた場合には、屈曲等に対する強度が大きく、かつ、伸びが少ない鉱物繊維の特性によって、経年変化による劣化を防止、軽減することと相俟って、長期間に亘って安定した斜面の補強効果を得ることができ、また、抗菌作用や遠赤外線効果のある鉱物繊維の特性によって、植物の生育が促進され、斜面の緑化による安定化を図ることができる。
【0037】
また、このような繊維製ベルト1を用い、その交点等の適宜位置に定着部材4としてアンカーを打つ場合、図14に示すように、中心にアンカーを挿通する透孔を形成した固定板8を、繊維製ベルト1の上下に配設し、この固定板8を介して斜面にアンカー4を打ち込んで、繊維製ベルト1を固定するようにすることが好ましい。
なお、アンカーには、図14に示す先端を曲げ加工した異形棒鋼のほか、各種のアンカー部材を用いることができる。
このように、固定板8を使用して繊維製ベルト1を固定することにより、斜面が地下水の影響等により膨らんだ場合でも、固定板8が交差する繊維製ベルト1に圧接しているので、繊維製ベルト1のズレを防止することができる。
【0038】
以上、本発明の斜面の補強工法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
また、本発明の斜面の補強工法によって敷設した繊維製ベルトの表面をアスファルト等の耐候性材料でコーティングしたり、繊維製ベルトの表面に植生や斜面の一層の安定を目的とするコンクリートモルタル等の吹き付けを実施することにより、厳しい環境下における繊維製ベルトの経年変化による劣化を防止、軽減することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の斜面の補強工法によれば、斜面に敷設した幅のある繊維製ベルトの張力によって斜面を広く押さえることができるため、斜面の崩落を確実に抑止することができる。
そして、斜面の崩落を抑止するために斜面に敷設する部材に剛性が低く、取り扱いが容易な繊維製ベルトを用いているので、作業性がよく、容易に、かつ短時間で施工することができる。
また、繊維製ベルトは、斜面の保持性が良好なことに加え、自生する樹木や現存する大きな岩石を残したまま、これらを回避し、かつ、樹木を傷つけることなく、斜面に敷設することができるため、自然環境、景観、生態系を保全しながら斜面の安定を図ることができる。
【0040】
また、斜面に敷設した繊維製ベルトの少なくとも1箇所以上にベルトターン金具を設け、該ベルトターン金具によって繊維製ベルトを折り返し、繊維製ベルトの敷設方向を任意に変更することにより、樹木が自生したり、大きな岩石が存在する斜面であっても、樹木や岩石を回避するように樹木や岩石間を縫いながら、十分な張力をかけ、かつ、大きな自由度を有して繊維製ベルトを敷設することが可能となり、確実に斜面の崩落を抑止することができる。
また、ベルトターン金具によって、繊維製ベルトを張力に合わせて自由な方向に振ることが可能となり、繊維製ベルトを無理な負荷のかからない向きに安定して敷設することができる。
【0041】
また、ベルトターン金具に、スリップ金具を併用することによって繊維製ベルトを固定するようにすることにより、敷設した繊維製ベルトが部分的に切断されても、それ以外の箇所の繊維製ベルトの張力が奪われることがなく、安全性の高い補強を維持することができる。
【0042】
また、繊維製ベルトに、芯糸と皮糸とからなり、該皮糸を構成する緯糸と経糸のうち、緯糸の打ち込みピッチを可変とした繊維製ベルトを用いることにより、定着部材としてアンカーを挿入した際の緯糸の切断を防止することができるとともに、斜面の膨張等によるアンカー部分のズレを、密に配設した緯糸によって防止することができる。
【0043】
また、繊維製ベルトに、綴じ糸を、繊維製ベルトの幅方向の中央部は少なく、両側部に多く配列した繊維製ベルトを用いることにより、芯糸の移動の自由度が高まり、定着部材としてアンカーを挿入した際の芯糸の切断を防止することができる。
【0044】
また、繊維製ベルトに、耐候性のある繊維で織成されている繊維製ベルトを用いることができ、特に好ましくは、皮糸を構成する緯糸と経糸とが耐候性のある繊維で織成されている繊維製ベルトを用いることにより、厳しい環境下における繊維製ベルトの経年変化による劣化を防止、軽減することができ、長期間に亘って安定した斜面の補強効果を得ることができる。
【0045】
また、耐候性のある繊維に、鉱物繊維を用いることにより、強度が大きく、かつ、伸びが少ない鉱物繊維の特性によって、経年変化による劣化を防止、軽減することと相俟って、長期間に亘って安定した斜面の補強効果を得ることができる。
また、抗菌作用や遠赤外線効果のある鉱物繊維の特性によって、植物の生育が促進され、斜面の緑化による安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の斜面の補強工法を説明する全体図である。
【図2】 ベルトターン金具の説明図で、(a)はその斜視図、(b)は繊維製ベルトに張力がかかった状態の断面図を示す。
【図3】 ベルトターン金具のアーム間の隙間の説明図である。
【図4】 ベルトターン金具に、繊維製ベルトを通す手順を示す説明図である。
【図5】 ベルトターン金具に、スリップ金具を併用した説明図である。
【図6】 ベルトターン金具を、アンカーで固定する説明図である。
【図7】 ベルトターン金具同士の連結をボルトを用いて行う場合の説明図で、(a)は斜視図、(b)は側面図を示す。
【図8】 ベルトターン金具同士の連結をカラビナを用いて行う場合の説明図である。
【図9】 繊維製ベルトの説明図で、(a)は斜視図、(b)は断面図を示す。
【図10】 繊維製ベルトの綴じ糸の配列方法の説明図である。
【図11】 繊維製ベルトの緯糸の打ち込みピッチの説明図である。
【図12】 繊維製ベルトの説明図である。
【図13】 繊維製ベルトにアンカーを打った場合の緯糸に生じるズレの移行の説明図である。
【図14】 固定板を用いる説明図である。
【図15】 繊維製ベルトを敷設する際に使用するリールの説明図である。
【符号の説明】
1 繊維製ベルト
2 ベルトターン金具
a アーム
b アーム
c 隙間
3 筒状体
4 定着部材(アンカー)
5 ベルト固定金具(ラチェットバックル)
6 ボルト
7 連結金具(カラビナ)
8 固定板
9 スリップ金具
10 芯糸
11 皮糸
11a 緯糸
11b 経糸
12 綴じ糸
13 リール

Claims (8)

  1. 繊維製ベルトを斜面に設置した定着部材間に張り巡らすとともに、該繊維製ベルトに張力をかけ、その状態で該繊維製ベルトを前記定着部材間に固定して、斜面に敷設するようにし、該張力をかけて敷設した繊維製ベルトによって斜面を押さえることを特徴とする斜面の補強工法。
  2. 斜面に敷設した繊維製ベルトの少なくとも1箇所以上にベルトターン金具を設け、該ベルトターン金具によって繊維製ベルトを折り返し、繊維製ベルトの敷設方向を任意に変更することを特徴とする請求項1記載の斜面の補強工法。
  3. ベルトターン金具に、スリップ金具を併用することによって繊維製ベルトを固定することを特徴とする請求項2記載の斜面の補強工法。
  4. 繊維製ベルトに、芯糸と皮糸とからなり、該皮糸を構成する緯糸と経糸のうち、緯糸の打ち込みピッチを可変とした繊維製ベルトを用いたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の斜面の補強工法。
  5. 繊維製ベルトに、綴じ糸を、繊維製ベルトの幅方向の中央部は少なく、両側部に多く配列した繊維製ベルトを用いたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の斜面の補強工法。
  6. 繊維製ベルトに、耐候性のある繊維で織成されている繊維製ベルトを用いたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の斜面の補強工法。
  7. 繊維製ベルトに、皮糸を構成する緯糸と経糸とが耐候性のある繊維で織成されている繊維製ベルトを用いたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の斜面の補強工法。
  8. 耐候性のある繊維に、鉱物繊維を用いることを特徴とする請求項6又は7記載の斜面の補強工法。
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