JP3952446B2 - ワイヤーハーネス保護材及びこれを用いたワイヤーハーネス - Google Patents

ワイヤーハーネス保護材及びこれを用いたワイヤーハーネス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤーハーネス保護材及びこれを用いたワイヤーハーネスに関し、更に詳しくは、自動車、電化製品等の配線に用いられるワイヤーハーネスにおける電線束の外周を保護するのに好適なワイヤーハーネス保護材及びこれを用いたワイヤーハーネスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車や電化製品等を中心に高性能、高機能化が急速に進められており、それに伴い自動車や電化製品等には様々なエレクトロニクス設備が搭載されるようになっている。そしてこれらの設備を正確に作動させるため、自動車や電化製品等の内部配線には複数の電線が使用されている。
【0003】
一般に、これら複数の電線は、電線束としてひとまとまりに束ねられ、いわゆるワイヤーハーネスの形態で使用される。このワイヤーハーネスとは、組立電線とも言われ、複数の電線を予め配線に必要な形態に組み上げておくもので、必要な分岐、端末へのコネクタ付け等を施した上で、テープ状、チューブ状またはシート状等の種々の形状からなるワイヤーハーネス保護材が電線束の外周に巻装されて形成されるものである。
【0004】
上記ワイヤーハーネスに使用される電線としては、柔軟性や成形性等を付与する目的で可塑剤や熱安定剤等の添加剤を添加したポリ塩化ビニル等の塩化ビニル樹脂を銅等からなる導体の外周に被覆した電線(以下「PVC系電線」という)等が広く使用されている。
【0005】
またテープ状のワイヤーハーネス保護材としては、例えば、天然ゴムや合成ゴム等に粘着付与剤や可塑剤等を配合した粘着剤をポリ塩化ビニル等の塩化ビニル樹脂からなるテープ状の基材の表面に塗布した粘着テープ(以下「PVC系粘着テープ」という)等が広く使用されている。
【0006】
しかしながら、このように汎用樹脂として広く使用されている塩化ビニル樹脂は、分子構造中にハロゲン元素を有しているため、自動車の火災時や電化製品の焼却廃棄時等の燃焼時に有害なハロゲン系ガスを大気中に放出し、環境汚染の原因になるという問題点を有している。
【0007】
そのため最近、環境対策の一環として、PVC系電線やPVC系粘着テープ等に使用されている塩化ビニル樹脂をノンハロゲン系樹脂等に代替えすることが盛んに行われている。
【0008】
この種の代替え樹脂としては、例えば、オレフィン樹脂に難燃剤、老化防止剤、銅害防止剤等を所定量添加したノンハロゲン難燃性オレフィン樹脂が有力な代替え候補として検討されている。
【0009】
このような背景から、ワイヤーハーネスにおける電線としては、PVC系電線が単独で使用されることはもちろんのこと、ノンハロゲン系樹脂を銅等からなる導体の外周に被覆した電線(以下「HF系電線」という)とPVC系電線とが混在した状態で使用されたり、HF系電線が単独で使用されたりするといったことが生じ得る状況になっている。
【0010】
他方、テープ状のワイヤーハーネス保護材についても、同様に、PVC系粘着テープが単独で使用されることはもちろんのこと、基材をノンハロゲン系樹脂に置換した粘着テープ(以下「HF系粘着テープ」という)とPVC系粘着テープとが混在した状態で使用されたり、HF系粘着テープが単独で使用されたりするといったことが生じ得る状況になっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車用のワイヤーハーネスは、エンジン回り等の過酷な環境下で使用されることから、耐熱老化性が品質上重要な要素の一つとなっている。
【0012】
通常、塩化ビニル樹脂材料の耐熱老化性能は、塩化ビニル樹脂材料に含まれる可塑剤が時間の経過とともに揮散されていき材料が硬化することにより材料伸びが低下していくことに支配されている。これに対し例えば、ノンハロゲン難燃性オレフィン樹脂等のオレフィン樹脂材料の耐熱老化性能は、オレフィン樹脂材料に含まれる老化防止剤が時間の経過とともに消費されていき材料が変質することにより材料伸びが低下していくことに支配されている。
【0013】
しかしながら、発明者らが、HF系電線単独からなる電線束、HF系電線とPVC系電線とが混在した状態の電線束の外周にそれぞれPVC系粘着テープを巻き付けてワイヤーハーネスを作製し、熱老化試験を実施したところ、各ワイヤーハーネス中のHF系電線の耐熱老化性能は、HF系電線単体の耐熱老化性能と比較して著しく劣ることが判明した。
【0014】
また、HF系電線単独からなる電線束、HF系電線とPVC系電線とが混在した状態の電線束の外周にそれぞれHF系粘着テープを巻き付けてワイヤーハーネスを作製し、同様に熱老化試験を実施してもやはり、各ワイヤーハーネス中のHF系電線の耐熱老化性能は、HF系電線単体の耐熱老化性能と比較して著しく劣ることが判明した。
【0015】
そこで発明者らは、テープ状のワイヤーハーネス保護材を各種電線束の外周に捲着してなるワイヤーハーネス中の各種電線の劣化について調査したところ、以下のことが原因ではないかと見当をつけるに至った。
【0016】
すなわち、テープ状のワイヤーハーネス保護材は、既に上述したように、基材の表面に粘着剤が塗布された構造を有しているため、このワイヤーハーネス保護材が各種電線束の外周に巻き付けられると、電線束と粘着剤とは直接接触する。そのため、粘着剤中に含まれる粘着付与剤や可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移り拡散、浸透する、いわゆる移行が生じる。
【0017】
通常、HF系電線の被覆材中には、電線特性を損なわない範囲で老化防止剤や銅害防止剤等が所定量添加されていることが多いが、例えば、粘着付与剤や可塑剤が被覆材中に移行した場合には、被覆材中に予め含まれている老化防止剤が粘着付与剤や可塑剤に溶解して抽出され、この抽出された老化防止剤を含んだ粘着付与剤や可塑剤がワイヤーハーネス保護材側へ再移行するといった現象が生じる。
【0018】
そのため、HF系電線の被覆材中に含まれている老化防止剤は、この粘着付与剤や可塑剤の移行に起因して通常想定される経時的減少量を越えて減少する。これにより、ワイヤーハーネス中のHF系電線の耐熱老化性能は、HF系電線単体の耐熱老化性能と比較して著しく劣ることとなる。
【0019】
また、被覆材中に移行した粘着付与剤や可塑剤は、HF系電線の導体が銅系材料からなる場合にその銅に作用し、触媒作用を有する銅イオンを発生させる。通常、HF系電線単体の被覆材中に生じた銅イオンは、被覆材中に予め含まれている銅害防止剤によりキレート化合物として捕捉されるので、その触媒作用は失われるが、粘着剤中の粘着付与剤や可塑剤により銅のイオン化が促進されると、銅害防止剤が通常想定される量以上に消費されて不足した状態になる。
【0020】
そのため、銅害防止剤に対して余剰となった銅イオンがキレート化合物として安定化されず、触媒作用を有する銅イオンにより被覆材であるノンハロゲン系樹脂の化学結合が切断されて劣化が促進される。これにより、ワイヤーハーネス中のHF系電線の耐熱老化性能は、HF系電線単体の耐熱老化性能と比較して著しく劣ることとなる。
【0021】
この種の劣化は、粘着剤に含まれる粘着付与剤や可塑剤ばかりでなく、その他の粘着剤に含まれる被覆材劣化作用を有する低分子量化合物又は粘着剤が熱により分解して生成した分解生成物(以下「粘着剤側劣化促進因子」という)によっても起こり得る。したがって、テープ状のワイヤーハーネス保護材においては、電線束表面に直接粘着接触する粘着剤が電線の劣化に特に大きな影響を及ぼしているものと考えられる。
【0022】
尚、PVC系粘着テープのように、基材に可塑剤等を含む場合にあっては、基材中に含まれる可塑剤その他の基材中に含まれる被覆材劣化作用を有する低分子量化合物又は基材が熱により分解して生成した分解生成物(以下「基材側劣化促進因子」という)が粘着剤を介して電線の被覆材中に移行することによっても、同様の劣化を少なからず起こし得る。
【0023】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ワイヤーハーネスの電線束中の電線、特に好適にはノンハロゲン系樹脂を被覆した電線の劣化を著しく促進させることのないテープ状のワイヤーハーネス保護材及びこれを用いたワイヤーハーネスを提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、請求項1に記載のワイヤーハーネス保護材は、ハロゲン元素を含まない樹脂中にハロゲン元素を含む添加剤が添加されている若しくはハロゲン元素を含まないノンハロゲン系樹脂又は塩化ビニル樹脂からなるテープ状の基材の少なくとも一方の面にアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されてなることを要旨とするものである。
【0025】
請求項1に記載のワイヤーハーネス保護材によれば、ハロゲン元素を含まない樹脂中にハロゲン元素を含む添加剤が添加されている若しくはハロゲン元素を含まないノンハロゲン系樹脂又は塩化ビニル樹脂からなるテープ状の基材の少なくとも一方の面に塗布される粘着剤がアクリル酸樹脂を主成分としているので、電線束中の電線の劣化を著しく促進させることがない。
【0026】
すなわち、アクリル酸樹脂は、それ自体が粘着性、柔軟性を有しているので、従来のゴム系樹脂等を主成分とした粘着剤のように、粘着剤中に粘着付与剤や可塑剤等の被覆材劣化作用を有する低分子量化合物を添加する必要がなく、例えこれらが添加されるような場合であっても、従来の粘着剤に比較して少量で済み、また、粘着剤自体が加熱されて生成する分解生成物の単位時間当たりの生成量も従来の粘着剤に比較して非常に少ない。
【0027】
そのため特に、粘着剤に含まれる粘着付与剤、可塑剤その他の粘着剤に含まれる被覆材劣化作用を有する低分子量化合物又は粘着剤が熱により分解して生成した分解生成物(粘着剤側劣化促進因子)が電線の被覆材中へ移行するのを阻止する又は抑制することが可能となる。したがって、移行に起因する電線束中の電線の劣化を著しく促進させることがない。
【0028】
また、上記ワイヤーハーネス保護材は、前記粘着剤及び/又は前記基材中に、老化防止剤及び/又は銅害防止剤が含有されている。
【0029】
そのため、粘着剤側劣化促進因子や基材側劣化促進因子に起因して被覆材中の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ再移行してくるような場合であっても、粘着剤及び/又は基材中に予め老化防止剤が含有されている場合には、ワイヤーハーネス保護材側と被覆材側との間における老化防止剤の濃度勾配を小さくすることができるので、被覆材側の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ移行するのを阻止する又は抑制することが可能となる。
【0030】
また、粘着剤及び/又は基材中に予め銅害防止剤が含有されている場合には、この銅害防止剤が被覆材中へ移行するので、被覆材中に発生した銅イオンにより消費された銅害防止剤を充足することができ、銅害を回避することが可能となる。
【0031】
したがって、粘着剤の主成分にアクリル酸樹脂を用いた効果と、被覆材側の老化防止剤の減少や銅害を回避することができる効果との相乗効果により、移行に起因する電線の劣化を効率良く防止することが可能となる。
【0032】
とりわけ、上記ワイヤーハーネス保護材は、粘着剤及び/又は基材中に含まれる老化防止剤の含有率、このワイヤーハーネス保護材が捲着される電線束中の電線であって、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率に対し10%〜500%の範囲内とされている。
【0033】
そのため、ワイヤーハーネス保護材側と被覆材側との間における老化防止剤の濃度平衡が保たれ、被覆材側の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ移行するのを効果的に阻止する又は抑制することが可能となる。
【0034】
また、銅害防止剤の含有量が、粘着剤中にあっては、粘着剤樹脂成分100重量部に対し0.001〜5重量部の範囲内、基材中にあっては、基材樹脂成分100重量部に対し0.001〜5重量部の範囲内とされているので、被覆材中へ銅害防止剤を補給する効果が大きく、また、ワイヤーハーネス保護材自体の品質を損なうこともない。
【0035】
したがって、粘着剤の主成分にアクリル酸樹脂を用いた効果と、被覆材側の老化防止剤の減少や銅害を回避することができる効果との相乗効果がより高まり、移行に起因する電線の劣化を一層効率良く防止することが可能となる。
【0036】
請求項に記載のワイヤーハーネス保護材は、請求項に記載のものであって、前記粘着剤及び/又は前記基材中に含まれる老化防止剤と前記電線の被覆材中に含まれる老化防止剤とは同種類のものであることを要旨とするものである。
【0037】
請求項に記載のワイヤーハーネス保護材によれば、粘着剤及び/又は基材中に含まれる老化防止剤と電線の被覆材中に含まれる老化防止剤とが同種類のものであるので、ワイヤーハーネス保護材側と被覆材側との間における老化防止剤の濃度平衡を得やすく、被覆材側の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ移行するのを一層効果的に阻止する又は抑制することが可能となる。
【0038】
請求項に記載のワイヤーハーネスは、請求項1又は2に記載のワイヤーハーネス保護材を電線束の外周に捲着してなることを要旨とするものである。
【0039】
請求項に記載のワイヤーハーネスによれば、電線束中における電線が著しく劣化することがなく、長期に亘り品質を維持可能なワイヤーハーネスを得ることが可能となる。
【0040】
請求項4に記載のワイヤーハーネスは、請求項1又は2に記載のワイヤーハーネス保護材を、老化防止剤を含み、ハロゲン元素を含まない樹脂中にハロゲン元素を含む添加剤が添加されている若しくはハロゲン元素を含まないノンハロゲン系樹脂を被覆した電線を少なくとも有する電線束の外周に捲着してなることを要旨とするものである。
【0041】
請求項に記載のワイヤーハーネスによれば、特に電線束がノンハロゲン系樹脂を被覆した電線と塩化ビニル樹脂を被覆した電線とが混在した状態からなる場合であっても、ノンハロゲン系樹脂を被覆した電線が著しく劣化することがなく、長期に亘り品質を維持可能なワイヤーハーネスを得ることが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係るワイヤーハーネス保護材は、ワイヤーハーネスの電線束の外周に捲着されるものであって、ノンハロゲン系樹脂又は塩化ビニル樹脂からなるテープ状の基材の少なくとも一方の面にアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤を備えている。
【0043】
ここで粘着剤の主成分であるアクリル酸樹脂とは、アクリル酸若しくはアクリル酸エステルを主単量体とする単独重合体又はそれら主単量体と他の単量体との共重合体をいい、これらは1又は2以上混合された混合体であっても良い。
【0044】
具体的には、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸テトラフルフリール、アクリル酸イソノニル等が挙げられる。
【0045】
また、他の単量体としては、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、イタコン酸、
1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0046】
これらのアクリル酸樹脂は、粘着性、弾力性、コスト面等を勘案し、用途に応じて種々組成することができるものであるが、中でもタッキネス、粘着力、コスト面に優れることから、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルを主単量体とする単独重合体又はそれら主単量体と酢酸ビニル、メタクリル酸メチルとの共重合体を好適に用いることができる。また、これらアクリル酸樹脂は、エマルジョン型、溶剤型、架橋型いずれのものであっても良く、特に限定されるものではない。尚、これらのアクリル酸樹脂には、必要に応じて粘着付与剤、可塑剤、軟化剤等の各種添加剤が添加されていても良く、特に限定されるものではない。
【0047】
次に、上記粘着剤が塗布されるテープ状の基材を形成する樹脂としては、ノンハロゲン系樹脂又は塩化ビニル樹脂のいずれをも用いることができる。
【0048】
ここでノンハロゲン系樹脂とは、ハロゲン元素を含まない樹脂中にハロゲン元素を含む添加剤が添加されている若しくはハロゲン元素を含まない樹脂をいう。
【0049】
すなわち、本願におけるノンハロゲン系樹脂には、ハロゲン元素を全く含まない樹脂ばかりでなく、ロゲン元素を全く含まない樹脂中にハロゲン元素を含む難燃剤等の各種添加剤が添加された樹脂といった、いわゆる低ハロゲン系樹脂をも概念的に含むものである。
【0050】
このようなノンハロゲン系樹脂としては、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体等のオレフィン樹脂等に水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等のハロゲン元素を含まない難燃剤又はテトラブロモビスフェノールA、その誘導体等の臭素元素等のハロゲン元素を含む難燃剤や、フェノール系、アミン系等の老化防止剤、トリアジン系誘導体等の銅害防止剤等を添加したノンハロゲン難燃性オレフィン樹脂等を好適に挙げることができるが、これ以外のノンハロゲン系樹脂を用いても良く、特に限定されるものではない。
【0051】
他方、塩化ビニル樹脂とは、塩化ビニルの単独重合体又は塩化ビニルを主成分とする共重合体をいい、これらが1又は2以上混合された混合体であっても良い。具体的には、ポリ塩化ビニル、エチレン塩化ビニル共重合体、プロピレン塩化ビニル共重合体等が挙げられる。
【0052】
そして、このような粘着剤及び/又は基材中には、少なくとも老化防止剤及び/又は銅害防止剤が所定量含有されていることが好ましい。
【0053】
本発明に係るワイヤーハーネス保護材において老化防止剤及び/又は銅害防止剤が含有されているとは、上記粘着剤及び/又は基材に使用する各種樹脂が他の用途として一般的に使用される際に、各樹脂中に老化防止剤や銅害防止剤を含有させる必要がないとされるのが通常である場合であっても、含有させることを意味するものである。
【0054】
例えば、一般的にポリ塩化ビニルには、可塑剤や熱安定剤等の添加剤が添加されていることが多く、老化防止剤等が添加されることはないが、本発明に係るワイヤーハーネス保護材の基材としてポリ塩化ビニルを使用する際には、老化防止剤等が所定量添加されることが好ましいということになる。
【0055】
ここで、老化防止剤とは、高分子材料のおかれた環境要因と時間の経過により、高分子材料の物理的性状、化学的性状が変化し、性能が低下する老化現象を抑制又は遅延させるために添加される有機化合物をいう。具体的には、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−第三−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系や、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系の老化防止剤等が挙げられる。尚、これら老化防止剤は、1又は2以上添加されていても良く、特に限定されるものではない。
【0056】
そして、粘着剤及び/又は基材中に含まれる老化防止剤の含有率としては、このワイヤーハーネス保護材が捲着される電線束中の電線であって、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率に対し10%〜500%の範囲内とされていることが好ましい。
【0057】
10%未満である場合には、発明の効果が十分に発揮できなくなる傾向があり、500%を越えると作業性が悪化する傾向があり実用に耐えなくなるので好ましくない。より好ましくは、被覆材側の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ移行するのをより効果的に阻止する観点から、10%〜150%の範囲内とされていることが好ましい。またこの際、粘着剤及び/又は基材中に含まれる老化防止剤と電線の被覆材中に含まれる老化防止剤とは同種類のものであることが好ましい。
【0058】
上記において、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率とは、被覆材を構成する有機成分(被覆材を構成する有機成分のうち、老化防止剤は除く)に対する老化防止剤の割合をいう。したがって、被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率が、例えば3%である場合、粘着剤及び/又は基材中には、粘着剤及び/又は基材中に含まれる老化防止剤の含有率が0.3%〜15%相当となるように老化防止剤が添加されることとなる。
【0059】
他方、銅害防止剤とは、銅を主体とした導体の外周に被覆される電線の被覆材中に通常添加されるものであって、触媒作用を有する銅イオンをキレート化合物として捕捉して安定化させることにより、銅イオンに起因する被覆材樹脂の劣化、いわゆる銅害を防止するために添加されるものをいう。
【0060】
具体的には、1,2,3−ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールとその誘導体、トリルトリアゾールアミン塩、トリルトリアゾールカリウム塩、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、トリアジン系誘導体、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド等のヒドラジド誘導体、シュウ酸誘導体、サルチル酸誘導体等が挙げられる。この種の銅害防止剤としては、ワイヤーハーネス保護材が加熱された際に容易に溶解し被覆材中へ移行し易くする観点から、低融点型の銅害防止剤が好ましい。尚、これら銅害防止剤は、1又は2以上添加されていても良く、特に限定されるものではない。
【0061】
そして、粘着剤及び/又は基材中に含まれる銅害防止剤の含有量としては、粘着剤中にあっては、粘着剤樹脂成分100重量部に対し0.001〜5重量部の範囲内、基材中にあっては、基材樹脂成分100重量部に対し0.001〜5重量部の範囲内とされていることが好ましい。
【0062】
0.001重量部未満である場合には、発明の効果が十分に発揮できない傾向があり、5重量部を越えると添加剤が樹脂中から表面に析出して結晶化する、いわゆるブルームを生じ、品質を損なう傾向があるので好ましくない。より好ましくは、被覆材中へ銅害防止剤を補給する効果を一層高める観点から、0.01重量部〜5重量部の範囲内とされていることが好ましい。
【0063】
次に本発明に係るワイヤーハーネス保護材の作用について説明する。
【0064】
上記ワイヤーハーネス保護材によれば、ノンハロゲン系樹脂又は塩化ビニル樹脂からなるテープ状の基材の少なくとも一方の面に塗布される粘着剤がアクリル酸樹脂を主成分としているので、電線束中の電線の劣化を著しく促進させることがない。
【0065】
すなわち、アクリル酸樹脂は、それ自体が粘着性、柔軟性を有しているので、従来のゴム系樹脂等を主成分とした粘着剤のように、粘着剤中に粘着付与剤や可塑剤等の被覆材劣化作用を有する低分子量化合物を添加する必要がなく、例えこれらが添加されるような場合であっても、従来の粘着剤に比較して少量で済み、また、粘着剤自体が加熱されて生成する分解生成物の単位時間当たりの生成量も従来の粘着剤に比較して非常に少ない。
【0066】
そのため特に、粘着剤に含まれる粘着付与剤、可塑剤その他の粘着剤に含まれる被覆材劣化作用を有する低分子量化合物又は粘着剤が熱により分解して生成した分解生成物(粘着剤側劣化促進因子)が電線の被覆材中へ移行するのを阻止する又は抑制することが可能となる。したがって、移行に起因する電線束中の電線の劣化を著しく促進させることがない。
【0067】
そして粘着剤及び/又は基材中に予め老化防止剤が含有されている場合には、粘着剤側劣化促進因子や基材側劣化促進因子に起因して被覆材中の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ再移行してくるような場合であっても、ワイヤーハーネス保護材側と被覆材側との間における老化防止剤の濃度勾配を小さくすることができるので、被覆材側の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ移行するのを阻止する又は抑制することが可能となる。
【0068】
尚、上記粘着剤側劣化促進因子としては、具体的には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与剤や、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジブチルフタレート(DBP)等のフタル酸エステル系等の可塑剤や、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム等の粘着剤主成分樹脂が加熱されて生成した分解生成物等が挙げられる。また、基材側劣化促進因子としては、具体的には、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジブチルフタレート(DBP)等のフタル酸エステル系等の可塑剤や、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等の基材が加熱されて生成した分解生成物等が挙げられる。
【0069】
この際特に、粘着剤及び/又は基材中に含まれる老化防止剤の含有率が、このワイヤーハーネス保護材が捲着される電線束中の電線であって、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率に対し10%〜500%の範囲内とされている場合には、ワイヤーハーネス保護材側と被覆材側との間における老化防止剤の濃度平衡が保たれ、被覆材側の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ移行するのを効果的に阻止する又は抑制することが可能となる。
【0070】
これに加え、粘着剤及び/又は基材中に含まれる老化防止剤と電線の被覆材中に含まれる老化防止剤とが同種類のものである場合には、ワイヤーハーネス保護材と被覆材側との間における老化防止剤の濃度平衡を得やすく、被覆材側の老化防止剤がワイヤーハーネス保護材側へ移行するのを一層効果的に阻止する又は抑制することが可能となる。
【0071】
他方、粘着剤及び/又は基材中に予め銅害防止剤が含有されている場合には、この銅害防止剤が被覆材中へ移行するので、被覆材中に発生した銅イオンにより消費された銅害防止剤を充足することができ、銅害による電線の劣化を回避することが可能となる。
【0072】
この際特に、銅害防止剤の含有量が、粘着剤中にあっては、粘着剤樹脂成分100重量部に対し0.001〜5重量部の範囲内、基材中にあっては、基材樹脂成分100重量部に対し0.001〜5重量部の範囲内とされている場合には、被覆材中へ銅害防止剤を補給する効果が大きくなり、また、ワイヤーハーネス保護材自体の品質を損なうこともない。
【0073】
したがって、粘着剤及び/又は基材中に老化防止剤及び/又は銅害防止剤が最適な範囲で含有されている場合には、粘着剤の主成分にアクリル酸樹脂を用いた効果と、被覆材側の老化防止剤の減少や銅害を回避することができる効果との相乗効果がより高まり、移行に起因する電線の劣化を一層効率良く防止することが可能となる。
【0074】
次に、上述したワイヤーハーネス保護材を電線束の外周に捲着してなるワイヤーハーネスについて説明する。
【0075】
本発明に係るワイヤーハーネスにおける電線束としては、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線が単独で束ねられた電線束、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線と塩化ビニル樹脂を被覆した電線とが任意の比率で混在した状態で束ねられた電線束、塩化ビニル樹脂を被覆した電線が単独で束ねられた電線束等を挙げることが可能であり、特に限定されるものではないが、特には、上述したワイヤーハーネス保護材の奏する作用効果を十分発揮せしめる観点から、少なくとも老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線が1本以上含まれている電線束が好ましいと言える。
【0076】
尚、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線と塩化ビニル樹脂を被覆した電線とが任意の比率で混在した状態で束ねられた電線束を用いる場合には、塩化ビニル樹脂を被覆した電線の被覆材中に、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率に対し10%〜500%の範囲内で予め老化防止剤を含有させておくことが好ましい。電線間において生じる移行現象に起因して、老化防止剤を含むノンハロゲン系樹脂を被覆した電線が劣化するのを少しでも防止するためである。
【0077】
上記ワイヤーハーネスによれば、電線束中の電線が劣化することなく、特に電線束中における電線が、ノンハロゲン系樹脂を被覆した電線と塩化ビニル樹脂を被覆した電線とが混在している場合であっても、電線束中におけるノンハロゲン系樹脂を被覆した電線が著しく劣化することがなく、長期に亘り品質を維持可能なワイヤーハーネスを得ることができる。
【0078】
【実施例】
以下に本発明を各種実施例により更に詳細に説明する。
【0079】
(電線)
初めに、本発明の一実施例に係るワイヤーハーネス保護材としての粘着テープが捲着される電線束中の電線について説明する。電線としては、以下の3種類の電線を作製した。
【0080】
1種類目は、ハロゲン元素を全く含まないノンハロゲン系樹脂を被覆材に用いた電線(以下「HF系電線」という)である。このHF系電線の被覆材の配合は、表1に示すように、ポリプロピレン100重量部に対して難燃剤として水酸化マグネシウム80重量部、老化防止剤3重量部、銅害防止剤1重量部といった配合になっている。そしてこのHF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率は、(老化防止剤3重量部)/(ポリプロピレン100重量部)×100=3%となっている。
【0081】
【表1】
Figure 0003952446
【0082】
2種類目は、塩化ビニル樹脂を被覆材に用いた電線(以下「PVC系電線」という)である。このPVC系電線の被覆材の配合は、表2に示すように、ポリ塩化ビニル(重合度1300)100重量部に対して可塑剤としてジイソノニルフタレート(DINP)40重量部、充填剤として炭酸カルシウム20重量部、安定剤5重量部といった配合になっている。尚、このPVC系電線の被覆材中には老化防止剤は含有されていない。
【0083】
【表2】
Figure 0003952446
【0084】
3種類目は、老化防止剤を含有する塩化ビニル樹脂を被覆材に用いた電線(以下「PVC系電線(老化防止剤入り)」という)である。このPVC系電線(老化防止剤入り)の被覆材の配合は、表3に示すように、ポリ塩化ビニル(重合度1300)100重量部に対して可塑剤としてジイソノニルフタレート(DINP)40重量部、充填剤として炭酸カルシウム20重量部、安定剤5重量部、老化防止剤4.5重量部といった配合になっている。そしてこのPVC系電線(老化防止剤入り)の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率は、(老化防止剤4.5重量部)/(ポリ塩化ビニル100重量部+DINP40重量部)×100=3.2%となっている。すなわち、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対し約100%相当となっている。
【0085】
【表3】
Figure 0003952446
【0086】
これら3種類の電線は、いずれも直径0.32mmの軟銅線を7本撚り合わせて断面積0.5mm(外径約1.0mm)の銅撚線に形成した導体の外周に、表1〜表3の配合からなる被覆材料をそれぞれ2軸混練機で混合したものを押し出し機を用いて0.3mm厚さに押し出し被覆したものである。尚、HF系電線については混合温度250℃、押し出し温度250℃とし、PVC系電線及びPVC系電線(老化防止剤入り)については混合温度180℃、押し出し温度180℃とした。
【0087】
(ワイヤーハーネス保護材としての供試粘着テープ)
次に、本発明の一実施例に係るワイヤーハーネス保護材としての供試粘着テープについて説明する。供試粘着テープとしては、以下の6種類の粘着テープを作製した。
【0088】
1種類目は、老化防止剤を含有する塩化ビニル樹脂からなる基材の片面に老化防止剤を含有するアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されてなる実施例1〜5のPVC系粘着テープ(以下「PVC系粘着テープ(老化防止剤入り)」という)である。これら実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)の配合を表4に示す。
【0089】
具体的には、実施例1〜5の基材の配合は、ポリ塩化ビニル(重合度1300)100重量部に対して可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)60重量部、充填剤として炭酸カルシウム20重量部、安定剤5重量部、そして老化防止剤をそれぞれ0.5、5、7.5、12.5、25重量部配合したものとなっている。そしてこれら実施例1〜5の基材中に含まれる老化防止剤の含有率は、それぞれ0.3、3.1、4.7、7.8、15.6%となっている。すなわち、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対しそれぞれ約10%、100%、150%、250%、500%相当となっている。尚、基材の厚さは0.11mmとした。
【0090】
他方、実施例1〜5の粘着剤の配合は、エマルジョン型アクリル酸樹脂100重量部に対して老化防止剤をそれぞれ0.3、3、4.5、7.5、15重量部配合したものとなっている。そしてこれら実施例1〜5の粘着剤中に含まれる老化防止剤の含有率は、それぞれ0.3、3、4.5、7.5、15%となっている。すなわち、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対しそれぞれ10%、100%、150%、250%、500%相当となっている。尚、粘着剤の厚さは0.02mmとした。
【0091】
これら実施例1〜5に対し、比較として、基材及び粘着剤中に含まれる老化防止剤の含有率が、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対し約600%相当としたものを比較例1とした。また、基材に老化防止剤を全く配合せず、かつ、粘着剤としてエマルジョン型アクリル酸樹脂の代わりにスチレンブタジエンゴム70重量部、天然ゴム30重量部、亜鉛華20重量部、ロジン系樹脂80重量部を配合したものを従来品1とした。
【0092】
【表4】
Figure 0003952446
【0093】
2種類目は、老化防止剤を含有するノンハロゲン系樹脂からなる基材の片面に老化防止剤を含有するアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されてなる実施例6〜10のHF系粘着テープ(以下「HF系粘着テープ(老化防止剤入り)」という)である。これら実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)の配合を表5に示す。
【0094】
具体的には、実施例6〜10の基材の配合は、ポリオレフィン100重量部に対して臭素系難燃剤3重量部、三酸化アンチモン1.5重量部、そして老化防止剤をそれぞれ0.4、3.5、5.5、8、16重量部配合したものとなっている。そしてこれら実施例6〜10の基材中に含まれる老化防止剤の含有率は、それぞれ0.4、3.4、5.3、7.8、15.5%となっている。すなわち、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対しそれぞれ約10%、100%、150%、250%、500%相当となっている。尚、基材の厚さは0.11mmとした。
【0095】
他方、実施例6〜10の粘着剤の配合は、エマルジョン型アクリル酸樹脂100重量部に対して老化防止剤をそれぞれ0.3、3、4.5、7.5、15重量部配合したものとなっている。そしてこれら実施例1〜5の粘着剤中に含まれる老化防止剤の含有率は、それぞれ0.3、3、4.5、7.5、15%となっている。すなわち、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対しそれぞれ10%、100%、150%、250%、500%相当となっている。尚、粘着剤の厚さは0.02mmとした。
【0096】
これら実施例6〜10に対し、比較として、基材及び粘着剤中に含まれる老化防止剤の含有率が、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対し約600%相当としたものを比較例2とした。また、基材に老化防止剤を全く配合せず、かつ、粘着剤としてエマルジョン型アクリル酸樹脂の代わりにスチレンブタジエンゴム70重量部、天然ゴム30重量部、亜鉛華20重量部、ロジン系樹脂80重量部を配合したものを従来品2とした。
【0097】
【表5】
Figure 0003952446
【0098】
3種類目は、銅害防止剤を含有する塩化ビニル樹脂からなる基材の片面に銅害防止剤を含有するアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されてなる実施例11〜15のPVC系粘着テープ(以下「PVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)」という)である。これら実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)の配合を表6に示す。
【0099】
具体的には、実施例11〜15の基材の配合は、ポリ塩化ビニル(重合度1300)100重量部に対して可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)60重量部、充填剤として炭酸カルシウム20重量部、安定剤5重量部、そして銅害防止剤をそれぞれ0.002、0.016、1.6、4.8、8重量部配合したものとなっている。すなわち、基材中に含まれる銅害防止剤の含有量は、基材樹脂成分(ポリ塩化ビニル及びDOP)100重量部に対しそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部となっている。尚、基材の厚さは0.11mmとした。
【0100】
他方、実施例11〜15の粘着剤の配合は、エマルジョン型アクリル酸樹脂100重量部に対して銅害防止剤をそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部配合したものとなっている。すなわち、粘着剤中に含まれる銅害防止剤の含有量は、粘着剤樹脂成分(エマルジョン型アクリル酸樹脂)100重量部に対しそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部となっている。尚、粘着剤の厚さは0.02mmとした。
【0101】
これら実施例11〜15に対し、比較として、基材及び粘着剤中に含まれる銅害防止剤が、基材及び粘着剤樹脂成分100重量部に対し7重量部としたものを比較例3とした。また、基材に銅害防止剤を全く配合せず、かつ、粘着剤としてエマルジョン型アクリル酸樹脂の代わりにスチレンブタジエンゴム70重量部、天然ゴム30重量部、亜鉛華20重量部、ロジン系樹脂80重量部を配合したものを従来品3とした。
【0102】
【表6】
Figure 0003952446
【0103】
4種類目は、銅害防止剤を含有するノンハロゲン系樹脂からなる基材の片面に銅害防止剤を含有するアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されてなる実施例16〜20のHF系粘着テープ(以下「HF系粘着テープ(銅害防止剤入り)」という)である。これら実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)の配合を表7に示す。
【0104】
具体的には、実施例16〜20の基材の配合は、ポリオレフィン100重量部に対して臭素系難燃剤3重量部、三酸化アンチモン1.5重量部、そして銅害防止剤をそれぞれ0.001、0.01、1、3.1、5.2重量部配合したものとなっている。すなわち、基材中に含まれる銅害防止剤の含有量は、基材樹脂成分(ポリオレフィン及び臭素系難燃剤)100重量部に対しそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部となっている。尚、基材の厚さは0.11mmとした。
【0105】
他方、実施例16〜20の粘着剤の配合は、エマルジョン型アクリル酸樹脂100重量部に対して銅害防止剤をそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部配合したものとなっている。すなわち、粘着剤中に含まれる銅害防止剤の含有量は、粘着剤樹脂成分(エマルジョン型アクリル酸樹脂)100重量部に対しそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部となっている。尚、粘着剤の厚さは0.02mmとした。
【0106】
これら実施例16〜20に対し、比較として、基材及び粘着剤中に含まれる銅害防止剤が、基材及び粘着剤樹脂成分100重量部に対し7重量部としたものを比較例4とした。また、基材に銅害防止剤を全く配合せず、かつ、粘着剤としてエマルジョン型アクリル酸樹脂の代わりにスチレンブタジエンゴム70重量部、天然ゴム30重量部、亜鉛華20重量部、ロジン系樹脂80重量部を配合したものを従来品4とした。
【0107】
【表7】
Figure 0003952446
【0108】
5種類目は、老化防止剤及び銅害防止剤を含有する塩化ビニル樹脂からなる基材の片面に老化防止剤及び銅害防止剤を含有するアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されてなる実施例21〜25のPVC系粘着テープ(以下「PVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)」という)である。これら実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の配合を表8に示す。
【0109】
具体的には、実施例21〜25の基材の配合は、ポリ塩化ビニル(重合度1300)100重量部に対して可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)60重量部、充填剤として炭酸カルシウム20重量部、安定剤5重量部、老化防止剤5重量部、そして銅害防止剤をそれぞれ0.002、0.016、1.6、4.8、8重量部配合したものとなっている。すなわち、これら実施例21〜25の基材中に含まれる老化防止剤の含有率は、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対し約100%相当となっている。また、基材中に含まれる銅害防止剤の含有量は、基材樹脂成分(ポリ塩化ビニル及びDOP)100重量部に対しそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部となっている。尚、基材の厚さは0.11mmとした。
【0110】
他方、実施例21〜25の粘着剤の配合は、エマルジョン型アクリル酸樹脂100重量部に対して老化防止剤を3重量部、そして銅害防止剤をそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部配合したものとなっている。すなわち、これら実施例21〜25の粘着剤中に含まれる老化防止剤の含有率は、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対し約100%相当となっている。また、粘着剤中に含まれる銅害防止剤の含有量は、粘着剤樹脂成分(エマルジョン型アクリル酸樹脂)100重量部に対しそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部となっている。尚、粘着剤の厚さは0.02mmとした。
【0111】
これら実施例21〜25に対し、比較として、基材及び粘着剤中に含まれる銅害防止剤が、基材及び粘着剤樹脂成分100重量部に対し7重量部としたものを比較例5とした。また、基材に老化防止剤及び銅害防止剤を全く配合せず、かつ、粘着剤としてエマルジョン型アクリル酸樹脂の代わりにスチレンブタジエンゴム70重量部、天然ゴム30重量部、亜鉛華20重量部、ロジン系樹脂80重量部を配合したものを従来品5とした。
【0112】
【表8】
Figure 0003952446
【0113】
6種類目は、老化防止剤及び銅害防止剤を含有するノンハロゲン系樹脂からなる基材の片面に老化防止剤及び銅害防止剤を含有するアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されてなる実施例26〜30のHF系粘着テープ(以下「HF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)」という)である。これら実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の配合を表9に示す。
【0114】
具体的には、実施例26〜30の基材の配合は、ポリオレフィン100重量部に対して臭素系難燃剤3重量部、三酸化アンチモン1.5重量部、老化防止剤3.5重量部、そして銅害防止剤をそれぞれ0.001、0.01、1、3.1、5.2重量部配合したものとなっている。すなわち、これら実施例26〜30の基材中に含まれる老化防止剤の含有率は、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対し約100%相当となっている。また、基材中に含まれる銅害防止剤の含有量は、基材樹脂成分(ポリオレフィン及び臭素系難燃剤)100重量部に対しそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部となっている。尚、基材の厚さは0.11mmとした。
【0115】
他方、実施例26〜30の粘着剤の配合は、エマルジョン型アクリル酸樹脂100重量部に対して老化防止剤を3重量部、そして銅害防止剤をそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部配合したものとなっている。すなわち、これら実施例26〜30の粘着剤中に含まれる老化防止剤の含有率は、HF系電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率3%に対し100%相当となっている。また、粘着剤中に含まれる銅害防止剤の含有量は、粘着剤樹脂成分(エマルジョン型アクリル酸樹脂)100重量部に対しそれぞれ0.001、0.01、1、3、5重量部となっている。尚、粘着剤の厚さは0.02mmとした。
【0116】
これら実施例26〜30に対し、比較として、基材及び粘着剤中に含まれる銅害防止剤が、基材及び粘着剤樹脂成分100重量部に対し7重量部としたものを比較例6とし、また、基材に老害防止剤及び銅害防止剤を全く配合せず、かつ、粘着剤としてエマルジョン型アクリル酸樹脂の代わりにスチレンブタジエンゴム70重量部、天然ゴム30重量部、亜鉛華20重量部、ロジン系樹脂80重量部を配合したものを従来品6とした。
【0117】
【表9】
Figure 0003952446
【0118】
(電線束)
次に、本発明の一実施例に係るワイヤーハーネス保護材としての供試粘着テープが捲着される電線束について説明する。電線束としては、以下の3種類の電線束を作製した。
【0119】
1種類目は、表1に示した被覆材が被覆されたHF系電線30本を一つに束ねた電線束(以下「HF系電線単独電線束」という)である。
【0120】
2種類目は、表2に示した被覆材が被覆されたPVC系電線と、表1に示した被覆材が被覆されたHF系電線を所定の混在比率で一つに束ねた電線束(以下「PVC系電線及びHF系電線の混在電線束」という)である。この際、混在比率としては、PVC系電線とHF系電線の比率(本)が、29(本):1(本)の場合、20(本):10(本)の場合、1(本):29(本)の場合の3パターン用意した。
【0121】
3種類目は、表3に示した被覆材が被覆されたPVC系電線(老化防止剤入り)と、表1に示した被覆材が被覆されたHF系電線を所定の混在比率で一つに束ねた電線束(以下「PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束」という)である。この際、混在比率としては、PVC系電線(老化防止剤入り)とHF系電線の比率(本)が、29(本):1(本)の場合、20(本):10(本)の場合、1(本):29(本)の場合の3パターン用意した。
【0122】
尚、2種類目及び3種類目において、1本のみが異種電線の場合は、その電線が一応供試粘着テープの粘着剤に接触するように束ね、また、20(本):10(本)の場合は、異種電線が分散状態で束ねられるように配慮した。
(供試ワイヤーハーネス)
【0123】
次に、本発明の一実施例に係るワイヤーハーネス保護材としての供試粘着テープを電線束の外周に捲着してなる供試ワイヤーハーネスについて説明する。上記にて説明したように、供試粘着テープが6種類、電線束が3種類あるため、供試ワイヤーハーネスとしては全ての組合せである18種類作製した。
【0124】
具体的には、HF系電線単独電線束に対し、実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)を捲着した実施例W1〜W5のワイヤーハーネス、実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)を捲着した実施例W6〜W10のワイヤーハーネス、実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)を捲着した実施例W11〜W15のワイヤーハーネス、実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)を捲着した実施例W16〜W20のワイヤーハーネス、実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)を捲着した実施例W21〜W25のワイヤーハーネス、実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)を捲着した実施例W26〜W30のワイヤーハーネスである。尚、比較例1〜6、従来品1〜6の各粘着テープをそれぞれ捲着したワイヤーハーネスを比較として用いた。
【0125】
また、PVC系電線及びHF系電線の混在電線束に対し、実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)を捲着した実施例W31〜W35のワイヤーハーネス、実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)を捲着した実施例W36〜W40のワイヤーハーネス、実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)を捲着した実施例W41〜W45のワイヤーハーネス、実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)を捲着した実施例W46〜W50のワイヤーハーネス、実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)を捲着した実施例W51〜W55のワイヤーハーネス、実施例26〜30HF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)を捲着した実施例W56〜W60のワイヤーハーネスである。尚、比較例1〜6、従来品1〜6の各粘着テープをそれぞれ捲着したワイヤーハーネスを比較として用いた。
【0126】
そしてまた、PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束に対し、実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)を捲着した実施例W61〜W65のワイヤーハーネス、実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)を捲着した実施例W66〜W70のワイヤーハーネス、実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)を捲着した実施例W71〜W75のワイヤーハーネス、実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)を捲着した実施例W76〜W80のワイヤーハーネス、実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)を捲着した実施例W81〜W85のワイヤーハーネス、実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)を捲着した実施例W86〜W90のワイヤーハーネスである。尚、比較例1〜6、従来品1〜6の各粘着テープをそれぞれ捲着したワイヤーハーネスを比較として用いた。
【0127】
(試験方法)
そして上記のとおり作製した供試ワイヤーハーネスを用いて種々の確認試験を行った。確認試験の内容としては、各供試ワイヤーハーネスを150℃の恒温槽に96時間(hr)放置し、その後恒温槽から取り出してそれぞれ供試粘着テープを剥がし、各電線束中の電線をそれぞれ10φマンドレルに巻き付け、電線の被覆材に亀裂が生じるか否か目視にて確認した。そしてこの試験結果に、供試ワイヤーハーネスの作製時における供試粘着テープの電線束への巻き付け作業性の良/不良、供試粘着テープ作製時の粘着剤の塗糊性の良/不良についての試験結果も合わせ総合評価を行ったものである。尚、供試粘着テープの内、銅害防止剤を添加したものについては、外観評価も行っている。
【0128】
(試験結果)
1.HF系電線単独電線束にPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)を捲着したワイヤーハーネス(以下単に「HF系電線単独電線束×PVC系粘着テープ(老化防止剤入り)」と表記し、特に示さない限り、他のワイヤーハーネスについても同様に表記する)
【0129】
HF系電線単独電線束×PVC系粘着テープ(老化防止剤入り)の試験結果を表10に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W1のワイヤーハーネス中のHF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品1のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0130】
これに対して実施例W1〜5のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。更に、粘着剤及び基材中に予め老化防止剤が好適な範囲で含有されているので、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、これに起因して被覆材中の老化防止剤が減少してしまうことが阻止又は抑制されたことにもよると解される。
【0131】
他方、テープ巻き付け作業性及び塗糊性については、比較例1のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の老化防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0132】
【表10】
Figure 0003952446
【0133】
2.HF系電線単独電線束×HF系粘着テープ(老化防止剤入り)
【0134】
HF系電線単独電線束×HF系粘着テープ(老化防止剤入り)の試験結果を表11に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W2のHF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品2のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0135】
また、従来品2のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品2のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったたためと解される。
【0136】
これに対して実施例W6〜10のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0137】
他方、テープ巻き付け作業性及び塗糊性については、比較例2のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の老化防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0138】
【表11】
Figure 0003952446
【0139】
3.HF系電線単独電線束×PVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)
【0140】
HF系電線単独電線束×PVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)の試験結果を表12に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W3のワイヤーハーネス中のHF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品3のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0141】
これに対して実施例W11〜15のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。更に、粘着剤及び基材中に予め銅害防止剤が好適な範囲で含有されているので、HF系電線の被覆材中に銅害防止剤が補給され、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、これに起因して被覆材中の銅害防止剤が減少してしまうことが阻止又は抑制されたことにもよると解される。
【0142】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例3のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0143】
【表12】
Figure 0003952446
【0144】
4.HF系電線単独電線束×HF系粘着テープ(銅害防止剤入り)
【0145】
HF系電線単独電線束×HF系粘着テープ(銅害防止剤入り)の試験結果を表13に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W4のHF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品4のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0146】
また、従来品4のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品4のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったたためと解される。
【0147】
これに対して実施例W16〜20のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0148】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例4のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0149】
【表13】
Figure 0003952446
【0150】
5.HF系電線単独電線束×PVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)
【0151】
HF系電線単独電線束×PVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の試験結果を表14に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W5のワイヤーハーネス中のHF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品5のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0152】
これに対して実施例W21〜25のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0153】
更に、粘着剤及び基材中に予め老化防止剤及び銅害防止剤が好適な範囲で含有されているので、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、被覆材中の老化防止剤の減少や、銅イオンによる銅害の発生を回避するできたことによる効果も大きかったものと解される。
【0154】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例5のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは好適な範囲で老化防止剤及び銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0155】
【表14】
Figure 0003952446
【0156】
6.HF系電線単独電線束×HF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)
【0157】
HF系電線単独電線束×HF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の試験結果を表15に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W6のワイヤーハーネス中のHF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品6のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0158】
また、従来品6のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品6のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったたためと解される。
【0159】
これに対して実施例W26〜30のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0160】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例6のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤及び銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0161】
【表15】
Figure 0003952446
【0162】
7.〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(老化防止剤入り)
【0163】
〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(老化防止剤入り)の試験結果を表16に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W7の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品1のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0164】
中でも、PVC系電線とHF系電線の比率が29本:1本のワイヤーハーネスにおいては、特にHF系電線の劣化が激しくなる傾向が確認された。これは、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行したことに起因するものと解される。
【0165】
これに対して実施例W31〜35のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。更に、粘着剤及び基材中に予め老化防止剤が好適な範囲で含有されているので、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、これに起因して被覆材中の老化防止剤が減少してしまうことが阻止又は抑制されたことにもよると解される。
【0166】
ただこの場合も、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行するため、この電線間における移行に起因してHF系電線が劣化すると考えられるが、いずれの実施例においても問題がなかったということは、PVC系粘着テープ(老化防止剤入り)中の老化防止剤がHF系電線の被覆材中に移行し、被覆材中に老化防止剤が補給されたことによると解される。
【0167】
他方、テープ巻き付け作業性及び塗糊性については、比較例1のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の老化防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0168】
【表16】
Figure 0003952446
【0169】
8.〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(老化防止剤入り)
【0170】
〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(老化防止剤入り)の試験結果を表17に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W8の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品2のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0171】
中でも、PVC系電線とHF系電線の比率が29本:1本のワイヤーハーネスにおいては、特にHF系電線の劣化が激しくなる傾向が確認された。これは、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行したことに起因するものと解される。
【0172】
また、従来品2のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品2のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったたためと解される。
【0173】
これに対して実施例W36〜40のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0174】
ただこの場合も、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行するため、この電線間における移行に起因してHF系電線が劣化すると考えられるが、いずれの実施例においても問題がなかったということは、HF系粘着テープ(老化防止剤入り)中の老化防止剤がHF系電線の被覆材中に移行し、被覆材中に老化防止剤が補給されたことによると解される。
【0175】
他方、テープ巻き付け作業性及び塗糊性については、比較例2のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の老化防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0176】
【表17】
Figure 0003952446
【0177】
9.〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)
【0178】
〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)の試験結果を表18に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W9の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品3のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0179】
中でも、PVC系電線とHF系電線の比率が29本:1本のワイヤーハーネスにおいては、特にHF系電線の劣化が激しくなる傾向が確認された。これは、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行したことに起因するものと解される。
【0180】
これに対して実施例W41〜45のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。更に、粘着剤及び基材中に予め銅害防止剤が好適な範囲で含有されているので、HF系電線の被覆材中に銅害防止剤が補給され、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、これに起因して被覆材中の銅害防止剤が減少してしまうことが阻止又は抑制されたことにもよると解される。
【0181】
ただこの場合も、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行するため、この電線間における移行に起因してHF系電線が劣化すると考えられるが、いずれの実施例においても問題がなかったということは、PVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)中の銅害防止剤がHF系電線の被覆材中に移行し、被覆材中に銅害防止剤が補給されたことによると解される。
【0182】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例3のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0183】
【表18】
Figure 0003952446
【0184】
10.〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(銅害防止剤入り)
【0185】
〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(銅害防止剤入り)の試験結果を表19に示す。マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W10の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品4のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0186】
中でも、PVC系電線とHF系電線の比率が29本:1本のワイヤーハーネスにおいては、特にHF系電線の劣化が激しくなる傾向が確認された。これは、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行したことに起因するものと解される。
【0187】
また、従来品4のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品4のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったためと解される。
【0188】
これに対して実施例W46〜50のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0189】
ただこの場合も、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行するため、この電線間における移行に起因してHF系電線が劣化すると考えられるが、いずれの実施例においても問題がなかったということは、HF系粘着テープ(銅害防止剤入り)中の銅害防止剤がHF系電線の被覆材中に移行し、被覆材中に銅害防止剤が補給されたことによると解される。
【0190】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例4のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0191】
【表19】
Figure 0003952446
【0192】
11.〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)
【0193】
〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の試験結果を表20に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W11の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品15のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0194】
中でも、PVC系電線とHF系電線の比率が29本:1本のワイヤーハーネスにおいては、特にHF系電線の劣化が激しくなる傾向が確認された。これは、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行したことに起因するものと解される。
【0195】
これに対して実施例W51〜55のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0196】
更に、粘着剤及び基材中に予め老化防止剤及び銅害防止剤が好適な範囲で含有されているので、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、被覆材中の老化防止剤の減少や、銅イオンによる銅害の発生を回避するできたことによる効果も大きかったものと解される。
【0197】
ただこの場合も、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行するため、この電線間における移行に起因してHF系電線が劣化すると考えられるが、いずれの実施例においても問題がなかったということは、PVC系粘着テープ(老害防止剤及び銅害防止剤入り)中の老害防止剤及び銅害防止剤がHF系電線の被覆材中に移行し、被覆材中に老化防止剤及び銅害防止剤が補給されたことによると解される。
【0198】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例5のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは好適な範囲で老化防止剤及び銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0199】
【表20】
Figure 0003952446
【0200】
12.〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)
【0201】
〔PVC系電線及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の試験結果を表21に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W12の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品6のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0202】
中でも、PVC系電線とHF系電線の比率が29本:1本のワイヤーハーネスにおいては、特にHF系電線の劣化が激しくなる傾向が確認された。これは、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行したことに起因するものと解される。
【0203】
また、従来品6のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品6のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったためと解される。
【0204】
これに対して実施例W56〜60のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0205】
ただこの場合も、PVC系電線の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行するため、この電線間における移行に起因してHF系電線が劣化すると考えられるが、いずれの実施例においても問題がなかったということは、HF系粘着テープ(老化防止剤入り及び銅害防止剤入り)中の老化防止剤及び銅害防止剤がHF系電線の被覆材中に移行し、被覆材中に銅害防止剤が補給されたことによると解される。
【0206】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例6のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤及び銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0207】
【表21】
Figure 0003952446
【0208】
13.〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(老化防止剤入り)
【0209】
〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(老化防止剤入り)の試験結果を表22に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W13の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品1のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0210】
これに対して実施例W61〜65のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。更に、粘着剤及び基材中に予め老化防止剤が好適な範囲で含有されているので、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、これに起因して被覆材中の老化防止剤が減少してしまうことが阻止又は抑制されたことにもよると解される。
【0211】
更に上記に加えて、本実施例においては、PVC系電線(老化防止剤入り)を用いているので、PVC系電線(老化防止剤入り)の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行しても、電線間における移行に起因するHF系電線の被覆材の劣化を防止することができたことによる効果も大きかったものと解される。
【0212】
他方、テープ巻き付け作業性及び塗糊性については、比較例1のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の老化防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例1〜5のPVC系粘着テープ(老化防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0213】
【表22】
Figure 0003952446
【0214】
14.〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(老化防止剤入り)
【0215】
〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(老化防止剤入り)の試験結果を表23に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W14の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品14のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0216】
また、従来品2のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品2のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったたためと解される。
【0217】
これに対して実施例W66〜70のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0218】
更に上記に加えて、本実施例においては、PVC系電線(老化防止剤入り)を用いているので、PVC系電線(老化防止剤入り)の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行しても、電線間における移行に起因するHF系電線の被覆材の劣化を防止することができたことによる効果も大きかったものと解される。
【0219】
他方、テープ巻き付け作業性及び塗糊性については、比較例2のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の老化防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例6〜10のHF系粘着テープ(老化防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0220】
【表23】
Figure 0003952446
【0221】
15.〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)
【0222】
〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)の試験結果を表24に示す。マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W15の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品3のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0223】
これに対して実施例W71〜75のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。更に、粘着剤及び基材中に予め銅害防止剤が好適な範囲で含有されているので、HF系電線の被覆材中に銅害防止剤が補給され、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、これに起因して被覆材中の銅害防止剤が減少してしまうことが阻止又は抑制されたことにもよると解される。
【0224】
更に上記に加えて、本実施例においては、PVC系電線(老化防止剤入り)を用いているので、PVC系電線(老化防止剤入り)の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行しても、電線間における移行に起因するHF系電線の被覆材の劣化を防止することができたことによる効果も大きかったものと解される。
【0225】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例3のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例11〜15のPVC系粘着テープ(銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0226】
【表24】
Figure 0003952446
【0227】
16.〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(銅害防止剤入り)
【0228】
〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(銅害防止剤入り)の試験結果を表25に示す。マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W16の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品4のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0229】
また、従来品4のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品4のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったたためと解される。
【0230】
これに対して実施例W76〜80のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0231】
更に上記に加えて、本実施例においては、PVC系電線(老化防止剤入り)を用いているので、PVC系電線(老化防止剤入り)の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行しても、電線間における移行に起因するHF系電線の被覆材の劣化を防止することができたことによる効果も大きかったものと解される。
【0232】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例4のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例16〜20のHF系粘着テープ(銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0233】
【表25】
Figure 0003952446
【0234】
17.〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)
【0235】
〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×PVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の試験結果を表26に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W17の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、HF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品17のPVC系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子及び基材に含まれる基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0236】
これに対して実施例W81〜85のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0237】
更に、粘着剤及び基材中に予め老化防止剤及び銅害防止剤が好適な範囲で含有されているので、基材側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行しても、被覆材中の老化防止剤の減少や、銅イオンによる銅害の発生を回避するできたことによる効果も大きかったものと解される。
【0238】
また更に上記に加えて、本実施例においては、PVC系電線(老化防止剤入り)を用いているので、PVC系電線(老化防止剤入り)の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行しても、電線間における移行に起因するHF系電線の被覆材の劣化を防止することができたことによる効果も大きかったものと解される
【0239】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例5のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例21〜25のPVC系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは好適な範囲で老化防止剤及び銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0240】
【表26】
Figure 0003952446
【0241】
18.〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)
【0242】
〔PVC系電線(老化防止剤入り)及びHF系電線の混在電線束〕×HF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の試験結果を表27に示す。その結果、マンドレルへの巻き付け試験においては、従来品W18の29本:1本、20本:10本、1本:29本のいずれのワイヤーハーネスの場合であっても、各ワイヤーハーネス中のHF系電線に亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品6のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子がHF系電線の被覆材中へ移行するのを阻止することができなかったためと解される。
【0243】
また、従来品6のHF系粘着テープ自体にも亀裂が入り不良と判定された。これは、従来品6のHF系粘着テープの粘着剤に含まれる粘着剤側劣化促進因子が基材中へ移行してしまったためと解される。
【0244】
これに対して実施例W86〜90のワイヤーハーネス中のHF系電線は、マンドレルへの巻き付け試験でいずれも亀裂が生じることがなかった。これは、実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)の粘着剤にエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いているので、粘着剤に含まれる粘着剤側劣化因子がHF系電線の被覆材中へ移行することがなかったためと解される。
【0245】
更に上記に加えて、本実施例においては、PVC系電線(老化防止剤入り)を用いているので、PVC系電線(老化防止剤入り)の被覆材中に含まれる可塑剤等がHF系電線の被覆材中に移行しても、電線間における移行に起因するHF系電線の被覆材の劣化を防止することができたことによる効果も大きかったものと解される。
【0246】
他方、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性については、比較例6のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)が不良と判定された。これは、過剰の銅害防止剤が配合されていたためと解される。これに対して実施例26〜30のHF系粘着テープ(老化防止剤及び銅害防止剤入り)は、テープ巻き付け作業性、テープ外観及び塗糊性ともに良好との判定が得られた。これは、好適な範囲で老化防止剤及び銅害防止剤が配合されていたためと解される。以上により、上記本発明品は全体として総合評価が良好(○)と判定された。
【0247】
【表27】
Figure 0003952446
【0248】
以上実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、本実施例では粘着剤としてエマルジョン型アクリル酸樹脂を用いたが、それ以外にも、溶剤型、架橋型、これらの混合体等であっても良く、特に限定されるものではない。
【0249】
また、上記実施例においては、ワイヤーハーネスの電線束が、塩化ビニル樹脂を被覆した電線単独からなる場合について特に言及はしなかったが、勿論、この場合であっても、本発明に係るワイヤーハーネス保護材を適用することができるものである。
【0250】
【発明の効果】
本発明に係るワイヤーハーネス保護材によれば、ワイヤーハーネスの電線束中の電線、特に好適にはノンハロゲン系樹脂を被覆した電線の劣化を著しく促進させることのないテープ状のワイヤーハーネス保護材を得ることができる。また、このワイヤーハーネス保護材を用いたワイヤーハーネスによれば、長期に亘り品質を維持可能なワイヤーハーネスを得ることができる。
【0251】
そのため、このようなワイヤーハーネス保護材及びワイヤーハーネスを例えば、自動車のエンジン回り等の過酷な使用環境下で使用した場合には、信頼性に極めて優れるなど、産業上の実益は極めて大きなものとなる。

Claims (4)

  1. ハロゲン元素を含まない樹脂中にハロゲン元素を含む添加剤が添加されている若しくはハロゲン元素を含まないノンハロゲン系樹脂又は塩化ビニル樹脂からなるテープ状の基材の少なくとも一方の面にアクリル酸樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されてなるワイヤーハーネス保護材であって、
    前記粘着剤及び/又は前記基材中には、老化防止剤及び/又は銅害防止剤が含有されており、
    前記粘着剤及び/又は前記基材中に含まれる老化防止剤の含有率は、このワイヤーハーネス保護材が捲着される電線束中の電線であって、老化防止剤を含む前記ノンハロゲン系樹脂を被覆した電線の被覆材中に含まれる老化防止剤の含有率に対し10%〜500%の範囲内とされ、前記銅害防止剤の含有量は、前記粘着剤中にあっては、粘着剤樹脂成分100重量部に対し0.001〜5重量部の範囲内、前記基材中にあっては、基材樹脂成分100重量部に対し0.001〜5重量部の範囲内とされていることを特徴とするワイヤーハーネス保護材。
  2. 前記粘着剤及び/又は前記基材中に含まれる老化防止剤と前記電線の被覆材中に含まれる老化防止剤とは同種類のものであることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス保護材。
  3. 請求項1又は2に記載のワイヤーハーネス保護材を電線束の外周に捲着してなるワイヤーハーネス。
  4. 請求項1又は2に記載のワイヤーハーネス保護材を、老化防止剤を含み、ハロゲン元素を含まない樹脂中にハロゲン元素を含む添加剤が添加されている若しくはハロゲン元素を含まないノンハロゲン系樹脂を被覆した電線を少なくとも有する電線束の外周に捲着してなるワイヤーハーネス。
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