JP3857865B2 - ノンハロゲン粘着テープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノンハロゲン粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル樹脂を用いた粘着テープはその塩化ビニル樹脂に由来する塩素による有害物質発生源となるため、塩素を有しないノンハロゲン粘着テープが用いられるようになってきた。
しかしながら、このようなノンハロゲン粘着テープは塩化ビニル樹脂を用いた粘着テープに比べて取り扱い時に白化しやすい、耐候性に劣るなどの欠点があった。
【0003】
このような白化現象はノンハロゲン粘着テープを構成するノンハロゲンベースフィルム中に含まれる難燃剤等の無機成分が引き剥がし時にその表面に浮き上がって生じるものである。
【0004】
粘着テープは通常リール状に巻かれた状態で供給されるが、自動車用組電線束などの結束にこのようなノンハロゲン粘着テープを用いる場合において、電線束に巻付けるためにリール状テープを引き剥がす過程で白化が生じ、このように白化したテープを巻付けてなる自動車用組電線は需要家の評価が低く、あるいは、商品として認められなくなる。
【0005】
また、ノンハロゲン粘着テープを巻き付けてなる自動車用組電線は、自動車に組み付けられる前の段階における輸送、運搬時等でむき出しになったときの劣化防止や、特にドア下部に組み付けられた部分での耐候性向上が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、耐候性が高く、かつ、取り扱い時に白化が生じないノンハロゲン粘着テープを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のノンハロゲン粘着テープは上記課題を解決するため、ノンハロゲンベースフィルムの一方の面に粘着剤層を有するノンハロゲン粘着テープにおいて、ノンハロゲンベースフィルムの他方の面に紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層が配され上記紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層における紫外線吸収剤の配合量が、ベースとなるエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂の配合量を100重量部としたときに、0.5重量部以上であり、かつ、上記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるノンハロゲン粘着テープである。この構成により、引き剥がし時の白化発生が防止される。
【0008】
また、上記紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層における紫外線吸収剤の配合量が、ベースとなるエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂の配合量を100重量部としたときに、3重量部以上とすることにより、高い耐候性をも付与することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のノンハロゲン粘着テープにおいて、ベースとなるフィルムはノンハロゲン難燃樹脂、すなわちハロゲン属原子を有しないハロゲンフリーな難燃樹脂からなるフィルムである必要がある。ここで、塩ビ樹脂などの含ハロゲン樹脂は、最終処分時にダイオキシンなどの有害な物質を発生するおそれがある。
【0010】
このようなハロゲンフリーフィルムは例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体及びエチレン−オクテン共重合体、およびこれらの混合物をベース樹脂として100重量部とし、無機系難燃剤(水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン等)を充分な難燃性が得られるよう通常1〜3重量部、また充填材として炭酸カルシウムを通常5〜10重量部添加し、2軸混練機等により均一混練後必要に応じて造粒してノンハロゲン難燃樹脂とし、次いでこのようなノンハロゲン難燃樹脂を用い、Tダイ法またはインフレーション法により押出成形してノンハロゲン難燃樹脂からなるフィルムを形成して得られる。
【0011】
このときノンハロゲン難燃樹脂からなるハロゲンフリーフィルムの厚さは0.100mm以上0.130mm以下、好ましくは0.12mm程度となるようにする。すなわち、0.130mmより厚すぎると硬くひきちぎりにくく、0.100mmより柔らかすぎてひきちぎりにくい。
【0012】
このようなノンハロゲン難燃樹脂からなるハロゲンフリーフィルムの片面に天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体などのゴム成分とポリアクリル酸エステル、ロジンエステルなどとからなる粘着剤をアプリケーター(塗布器)によって塗布して粘着剤層を形成する。
【0013】
塗布に先立ち、ハロゲンフリーフィルムと粘着剤層の間に密着性を高める目的でプライマー層を設けても良い。プライマー剤としては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)などを用いることができる。
【0014】
本発明において、紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層はノンハロゲン難燃樹脂からなるハロゲンフリーフィルムの他方の面、すなわち粘着剤層とは異なる面であって、通常の使用では表面側となる面に形成する。ここで粘着剤層と同じ面に形成した場合、本発明の効果が得られない。
【0015】
紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることが望ましい。このようなものは、チバスペシャルティケミカルズ等から入手可能である。
【0016】
紫外線吸収剤を添加する樹脂としてはエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂である必要があり、エチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂以外の樹脂では本発明の効果が得られない。
【0017】
本発明における紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層で用いるエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂とはエチレン−エチルアクリレート共重合体をその主成分とするものであり、エチレン−エチルアクリレート共重合体100%であっても良い。
【0018】
また、紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層で用いるエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂におけるエチルアクリレートユニットの存在比は97%以上以下であることが望ましい。97%未満であると引張強さおよび伸びの機械的性能が充分でなくなる場合がある。このようなエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂は日本ポリオレフィン等から入手できる。
【0019】
本発明において上記紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層を形成する紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物における紫外線吸収剤の配合量は、ベースとなるエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂の配合量を100重量部としたときに、0.5重量部以上添加すると取り扱い時の白化を防止することができる。
【0020】
さらに、3重量部以上添加することにより耐候性を向上させることができる。なお、紫外線吸収剤の添加量を5重量部以上としてもその効果はほぼ飽和しているため、通常は10重量部以下、好ましくは5重量部以下添加し、攪拌機などの手段により均一になるように混合し、アプリケーターなどの手段によりノンハロゲン難燃樹脂からなるフィルムに塗布し、紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層とする。
【0021】
この紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層の厚さは0.05mm以上0.1mm以下であることが望ましい。この組成物層の厚さが0.05mm未満であると充分な耐候性および白化防止効果が得られず、0.1mm超であっても効果が飽和し、無駄となってしまう。
【0022】
このように粘着フィルムを形成した後、紙管などに巻き取り、適当な幅にカットする。なお、上記記載の製造工程は適宜その順序を変えておこなっても良い。
なお、図1に本発明のノンハロゲン粘着テープのモデル断面図を示す。
【0023】
【実施例】
以下に本発明のノンハロゲン粘着テープの実施例について説明する。
ノンハロゲン樹脂であるエチレン−エチルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製A1150、メチルインデックス:0.75、エチルアクリレートユニットの配合比15重量%)をベース樹脂として100重量部、これに難燃剤として粉末状三酸化アンチモン5重量部、充填剤として粉末状炭酸カルシウム3重量部をヘンシェルミキサーで混合し、これを電熱ロールにより厚さ0.12±0.005mmのベースフィルムを作製した。
【0024】
このベースフィルムの一方の面にNBRをプライマーとして厚さが0.01mmとなるよう塗布用ロールを用いて塗布し、その上に粘着剤として天然ゴム30重量部とポリアクリル酸エステル70重量部からなる粘着剤を厚さ0.015mmとなるようアプリケーターを用いて塗布し粘着剤層を形成した。
【0025】
次いで、ベースフィルムの他方の面に紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層を形成した。
すなわち、エチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂として、日本ポリオレフィン社製E620G(メルトインデックス:1.5)100重量部に対して、紫外線吸収剤としてチバスペシャルティケミカルズ社製チヌビン326(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)を、それぞれ0.5重量部、1.0重量部、3.0重量部、5.0重量部あるいは10.0重量部添加して作製した紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物とし、上記で作製した粘着剤付きフィルムの粘着剤のない側の面にアプリケーターを用いて厚さ0.02mmとなるよう塗布し、それぞれを紙管に巻き取り、幅19mmに切断して5種類のノンハロゲン粘着テープを得た。また、別途比較例として上記同様に、ただし、紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層の代わりに、同じ厚さの紫外線吸収剤が添加していないエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂層が形成されたノンハロゲン粘着テープを作製した。
これら6種類のテープについて、その白化発生および耐候性について評価を行った。
【0026】
白化についてはリール状に巻かれたテープを引き剥がしながら電線束に巻付ける際に白化の有無を目視で判定した。このとき、全く白化が生じなかった場合を「○」、白化が生じた場合を「×」として評価した。
【0027】
また、耐候性の評価としてはこれら5種のノンハロゲン粘着テープおよび比較例のノンハロゲン粘着テープをウエザーメーターに引き剥がした状態で48時間投入し、その後の引張強さおよび伸びをJIS C2107の引っ張り試験に準拠して調べ、そのときの比較例での引張強さおよび伸びを基準とし、これらと比べn=10での平均値が10%以上高かった場合を「○」、n=10での平均値の改善率が0.5%以上10%未満の場合を「△」として評価した。
このときの評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003857865
【0029】
表1により、紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層を有する本発明に係るノンハロゲン粘着テープでは、紫外線吸収剤とエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂との相乗効果により、引き剥がし時の白化が防止されることが判る。
【0030】
さらに上記紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層における紫外線吸収剤の配合量が、ベースとなるエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂の配合量を100重量部としたときに、3重量部以上配合されることにより、優れた耐候性が同時に得られることが判る。
【0031】
【発明の効果】
本発明のノンハロゲン粘着テープは、引き剥がし時の白化が防止された優れたノンハロゲン粘着テープである。このため、自動車用電線束をはじめ、さまざまな用途に用いた場合であっても、商品価値を下げたり、あるいは、違和感を与えるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるノンハロゲン粘着テープの断面を示すモデル図である。

Claims (2)

  1. ノンハロゲンベースフィルムの一方の面に粘着剤層を有するノンハロゲン粘着テープにおいて、ノンハロゲンベースフィルムの他方の面に紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層が配され上記紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層における紫外線吸収剤の配合量が、ベースとなるエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂の配合量を100重量部としたときに、0.5重量部以上であり、かつ、上記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とするノンハロゲン粘着テープ。
  2. 上記紫外線吸収剤が添加されたエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂組成物層における紫外線吸収剤の配合量が、ベースとなるエチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂の配合量を100重量部としたときに、3重量部以上であることを特徴とする請求項1に記載のノンハロゲン粘着テープ。
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