JP3952303B2 - スポンジチタン製造用反応容器、これに使用される熱遮蔽板、及びスポンジチタン製造方法 - Google Patents
スポンジチタン製造用反応容器、これに使用される熱遮蔽板、及びスポンジチタン製造方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
本発明はクロール法によるスポンジチタンの製造に使用される反応容器、該反応容器に使用される熱遮蔽板、及び該反応容器を使用したスポンジチタンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属チタン製品の素材として使用されるスポンジチタンは、通常はクロール法と呼ばれる方法で製造される。この方法では、スポンジチタンが還元反応、真空分離の2工程を経て反応容器内に製造される。
【0003】
還元工程では、反応容器内に収容された溶融Mgに対して四塩化チタンが滴下され、その四塩化チタンをMgで還元することによりスポンジチタンが製造される。真空分離工程では、反応容器を加熱し、更に、その反応容器に接続された別の反応容器内を減圧することにより、スポンジチタンに取り込まれていた未反応のMg及び副生した塩化Mgが分離し、別の反応容器内に回収される。
【0004】
真空分離工程での反応容器の加熱温度は1000℃を超える。このため、反応容器の熱対策が重要であり、その対策の一つとしてステンレス鋼の使用が有効とされている。ところが、ステンレス鋼は高温強度確保のために多量のCr及びNiを含んでいる。これらの重金属は、還元中に容器内の溶融Mg中へ容易に溶出し、容器内に製造されるスポンジチタンを直接・間接に汚染する大きな原因になる。
【0005】
このような事情を背景として、反応容器の容器本体を、内面側が炭素鋼、外面側がステンレス鋼の複合材により構成することが、特公平7−24759号公報及び特開平9−287035号公報等に記載されている。
【0006】
容器本体の内面側を炭素鋼とすることにより、容器内に製造されるスポンジチタンのCr及びNiによる汚染が防止される。また、外面側のステンレス鋼により高温強度が確保される。
【0007】
ところで、金属チタン製品に要求される純度は年々向上し、これに伴ってスポンジチタンに要求される純度も非常に高くなっている。容器本体の直胴部、望ましくはその全部を前記複合材により構成することにより、製造されるスポンジチタン中のCr量及びNi量は、塊平均で20ppm程度まで下げることが可能となる。しかしながら、最近は更なる高純度化が要求され、Cr量及びNi量をそれぞれ3ppm以下に抑えることが求められている。
【0008】
このような極低の不純物レベルは、スポンジチタンの塊平均では、到底達成不可能である。このため、スポンジチタン中で不純物が少ない中心部を部分的に採取して製品化することが行われているが、要求品質を満足できる部分は塊全体の15%に満たず、要求品質が更に向上してきていることから、高純度スポンジチタンの収率は減少する一方にある。 これに加えて、最近ではCr量及びNi量を3ppm以下に抑えることと合わせ、Fe量を5ppm以下に抑える製品も求められ始めたが、このようなスポンジチタンとなると、収率が極度に低下し、非常に大きな問題となっている。即ち、最近の反応容器は、Cr量及びNi量を低減するために、Feライニング構造を使用せざるを得ず、このため、Fe濃度の低減は技術的に非常に難しく、クロール法におけるFe濃度としては5ppm程度が限界と考えられているのである。
【0009】
本発明の目的は、Cr量及びNi量と合わせ、Fe量を容易に低減でき、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」で、且つ「Fe≦5ppm」というような超高純度のスポンジチタンを比較的高収率で製造できる反応容器、該反応容器に使用される熱遮蔽板、及び該反応容器を使用したスポンジチタン製造方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明者らは、ステンレス鋼からなる容器本体の内面をFeによりライニングした反応容器を使用してクロール法より製造したスポンジチタン塊の中心部のFe汚染について、種々の検討を行った。その結果、以下の知見を得ることができた。
【0011】
反応容器の容器本体がFeによりライニングされているため、スポンジチタン塊中心部のFe汚染源は、当然のことながら、容器本体の内面と考えられていた。ここにおける汚染経路としては、A:容器本体の内面から本体内の溶融MgへのFe溶出と、B:容器本体の内面から本体内のスポンジチタンへの固相拡散の2つが考えられているが、Bの固相拡散は、スポンジチタン塊の周辺部を汚染するが、中心部までは殆ど到達しないため、中心部の汚染経路としては無視できる。従って、これまでは、Aの容器本体内面から溶融MgへのFe溶出が、中心部のFe汚染経路と考えられていた。
【0012】
しかしながら、クロール法によるスポンジチタンの製造では、Aの汚染を抑制するトラップ効果と呼ばれる現象がある。この現象は次のようなものである。
【0013】
容器本体内の浴面で溶融MgとTiCl4 が反応して生成されるスポンジチタンの微細な粒子が、溶融Mg中を沈降する過程で、容器本体内面から溶融Mgへ溶出したFeは、この沈降Ti粒子により殆どがトラップされ、沈降Ti粒子と共に容器底部へ到達する。この現象がトラップ効果と呼ばれるものであり、この効果のために、スポンジチタン塊の中心部からは、比較的Fe濃度の低い(Ni濃度及びCr濃度も低い)製品が得られることになる。このトラップ効果は、言うならば容器内の周辺部にあって中心部の汚染を防止する防護カーテンのような働きをしている。
【0014】
このトラップ効果によって「Ni≦3ppm、Cr≦3ppm」を満たすスポンジチタンならば、ある程度の歩留りを確保できる。しかし、「Fe≦5ppm」も同時に満たすスポンジチタンとなると、歩留りが極端に低下してしまうことは、前述したとおりである。即ち、容器本体の内面を覆うFeからの溶出は、Fe汚染の決定的な原因ではないのである。
【0015】
そこで、本発明者は、中心部の汚染経路として、前述したA、B以外の第3の汚染経路の存在を検討した。そして、これまで考えられていなかった浴面より上方の部分に着目した。
【0016】
反応容器内の浴面より上方には、熱遮蔽板が存在する。即ち、蓋体からの剥離物の製品への落下防止、及び反応容器内の浴面での反応熱による蓋体への輻射熱の遮断等を目的として、熱遮蔽板と呼ばれる鉄製(炭素鋼製)の円板が、蓋体の直下に設置され、浴面に上方から対向している。この熱遮蔽板は、反応容器本体内の溶融Mgに接触しないことから、これまではスポンジチタンの汚染に直接関係ないと考えられていたが、本発明者による詳細な調査解析の結果、熱遮蔽板の特に下面に気相成長等により析出するスポンジチタンが、熱遮蔽板から剥離落下し、その際に、半導体配線用高純度チタンとしては無視できない量のFe元素がスポンジチタン塊の中心部に持ち込まれ、中心部のFe濃度を低減できない原因になっていることが判明した。
【0017】
詳しく説明すると、熱遮蔽板の温度は浴面温度より若干低いために、Mg蒸気が熱遮蔽板の表面に結露して溶融Mg層を形成する。溶融Mgは活性であるため、熱遮蔽板を浸食し、熱遮蔽板中の化学成分(主にFe)を溶融Mg中に取り込む。このMgと、同じく熱遮蔽板上で結露した、若しくはガス化したTiCl4 が反応し、Fe元素に汚染されたスポンジチタンが熱遮蔽板上で成長するものと考えられる。
【0018】
こうして熱遮蔽板上で成長したスポンジチタンの一部は、熱遮蔽板から剥離し小塊となって浴面へ落下する。浴面の周辺部に落下した場合は、中心部に影響を与えないが、浴面の軸心部に落下した場合は、落下した小塊がそのまま中心部に取り込まれる。この場合、前述したトラップ効果が発揮されることはない。また、熱遮蔽板からのスポンジチタンの剥離及び落下は、反応後半に多く発生する傾向がある。このため、特に軸心部の上面近傍部分がFe元素に汚染される結果になる。また、熱遮蔽板によってFe汚染されたMg自体が落下することでも、このFe汚染が生じることがある。
【0019】
スポンジチタン軸心部の上面近傍部分におけるこのFe汚染は、半導体配線用高純度チタンの要求スペックから見ると、重大な問題になる。また、Feのみならず、Fe中に不純物として含まれている物質についても、量は少ないものの、汚染のおそれがある。更に、展伸材用チタン材などの一般材でも、汚染された上部が除去されることなく使用されるため、Fe濃度が増大する原因になる。
【0020】
図1はスポンジチタンの半径方向におけるFe濃度分布の傾向を全高について模式的に示す縦断面図である。反応容器の内周面からの汚染が避けられない外周部と、沈降Ti粒子によるトラップに起因する下部とでFe汚染が進む以外に、上部でもFe汚染が進んでいる。このため、高純度スポンジチタン材を採取する場合は、スポンジチタンの外周部、下部及び上部を厚くカットした残りの中心部が使用される。これが中心採りである。ここでスポンジチタン上部の汚染が進むと、採取範囲が一定の場合は採取物の純度が低下し、採取物の純度を一定に維持しようとした場合は収率が低下する。一方、一般材を採取する場合は、収率を優先して、スポンジチタンの外周部及び下部を薄くカットした残りの部分が使用される。このため上部の汚染が進むと、製品のFe濃度が上がり、靱性低下等が生じる。
【0021】
このような状況下では、熱遮蔽板に起因するスポンジチタン上部のFe汚染を抑制することにより、高純度スポンジチタンにあっては純度や収率を高めることができ、一般材にあってはFe濃度を低下させることが可能になる。そこで、本発明者らはこのスポンジチタン上部のFe汚染を抑制する方法について検討した。その結果、TiO2 のような金属酸化物や金属チタンを熱遮蔽板の下面に被覆するのが有効なことが判明した。
【0022】
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、そのスポンジチタン製造用反応容器は、クロール法によるスポンジチタンの製造に使用される反応容器において、蓋体と容器本体内の浴面との間に設置される鉄製の熱遮蔽板の少なくとも下面に、1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層が設けられたものである。
【0023】
また、本発明のスポンジチタン製造用熱遮蔽板は、クロール法によるスポンジチタンの製造に使用される反応容器内に、容器本体内の浴面と蓋体の間に位置して配置される鉄製の熱遮蔽板において、少なくとも使用時に下面となる面に、1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層が設けられたものである。
【0024】
また、本発明のスポンジチタン製造方法は、クロール法によるスポンジチタンの製造方法において、反応容器の蓋体と容器本体内の浴面との間に、少なくとも下面に1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層が設けられた鉄製の熱遮蔽板を配置して、還元反応を行う工程と、還元反応終了後に真空分離によりTi以外の成分を除去する工程と、その後、冷却されたスポンジチタン塊を反応容器から取り出す工程と、取り出されたスポンジチタン塊を複数の小塊群に分塊する工程と、各小塊群のFe、Ni及びCrの各濃度を測定し、これらの不純物濃度が基準値以下である小塊群のみを得る工程とを包含している(高純度スポンジチタンの製造方法)。
【0025】
また、本発明の別のスポンジチタン製造方法は、クロール法によるスポンジチタンの製造方法において、反応容器の蓋体と容器本体内の浴面との間に、少なくとも下面に1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層が設けられた鉄製の熱遮蔽板を配置して、還元反応を行う工程と、還元反応終了後に真空分離によりTi以外の成分を除去する工程と、その後、冷却されたスポンジチタン塊を反応容器から取り出す工程と、取り出されたスポンジチタン塊の外周部及び下部をカットした残りの部分を破砕する工程とを包含している(一般材の製造方法)。
【0026】
本発明においては、蓋体と容器本体内の浴面との間に設置される鉄製の熱遮蔽板の少なくとも下面に、1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層を設けることにより、その少なくとも下面に付着する溶融Mg及びスポンジチタンのFe汚染が防止される。従って、これらの落下によるスポンジチタン上部のFe汚染が防止される。この汚染防止が高純度スポンジチタンの製造、一般材の製造のいずれにも有効なことは前述したとおりである。なお、高純度スポンジチタンとはFe≦10ppm、Ni≦5ppm、Cr≦5ppmのスポンジチタンであり、一般材とはこれ以外のスポンジチタンである。
【0027】
前記金属酸化物としては、例えばTiO2 、SiO2 、Al2 O3 、CaO又はMgOを挙げることができる。「主体とする」とは、具体的には含有量で85%以上を意味する。好ましい含有量は97%以上、特に99.5%以上である。また、好ましい金属酸化物はTiO2 である。被覆層の主成分としてTiO2 が有効なのは、他の金属酸化物と同様、TiCl4 やMgに対する耐性をもつだけでなく、万が一、少量のTiO2 が生成チタン中に混入したとしても、金属元素による汚染が最小限に抑制されるためである。金属チタンが有効なのはTiO2 と同様、生成物と同物質であるため、Feの溶出防止、混入時の汚染抑制の効果があるためである。一方、被覆層の主体を金属チタンととした場合は、被覆層形成費用が金属酸化物と比較して高価になること、被覆層の寿命が金属酸化物と比較して短い傾向にあることなどから、金属酸化物を主体とする被覆層の方が対費用高価の面からは望ましい。
【0028】
被覆層の厚みは0.1〜3mmが適当である。この厚みが小さすぎると熱遮蔽板からの汚染防止効果が小さく、大きすぎる場合は熱膨張差による剥離が生じるために逆効果となる。
【0029】
被覆層を設ける領域については、熱遮蔽板の下面を必須とするが、熱遮蔽板の上面、反応容器の蓋体の少なくとも反応雰囲気に接する表面、容器本体内面の浴面より上方部分等に適宜被覆層を設けることも可能である。換言すれば、反応容器内の浴面レベルより上の炭素鋼露出部分に被覆層を設けることができ、Fe汚染防止の点からは熱遮蔽板の下面を含む出来るだけ広い範囲に被覆を行うのがよいが、対費用効果を考慮すると、熱遮蔽板の下面のみへの被覆が工業的には合理的な選択肢である。
【0030】
容器本体の材質については、炭素鋼やステンレス鋼、更にはステンレス鋼の内面に炭素鋼をライニングしたものでもよいが、高純度スポンジチタンを製造する場合は、少なくとも容器本体内面の浴面レベル以下の部分が炭素鋼である反応容器を用いることが好まれる。
【0031】
少なくとも浴面レベル以下の容器内面を炭素鋼とするとは、容器本体の全体が炭素鋼であってもよいし、容器本体の全体がステンレス鋼である場合は、その内面の少なくとも浴面レベル以下を含む部分に炭素鋼をライニングすることである。高温強度を確保する点からは、容器本体をステンレス鋼製とし、その内面の少なくとも浴面レベル以下を含む部分、好ましくは内面全体に炭素鋼をライニングするのがよい。
【0032】
このような反応容器を使用することにより、Ni及びCrによる汚染が周辺部及び中心部で防止され、その炭素鋼に起因するFe汚染も、前述したトラップ効果により中心部では防止される。
【0033】
蓋体については、炭素鋼製でもよいが、高温強度を考慮すると、ステンレス鋼製が好ましく、更に好ましくは、そのステンレス鋼の少なくとも反応雰囲気に臨む面の一部又は全部に炭素鋼をライニングした複合材を使用する。そして、これらの炭素鋼の表面にも、前述したとおり、適宜金属酸化物を主体とする被覆層を設けることが可能である。
【0034】
炭素鋼としてはSS,SM,SB等のいずれでもよい。ステンレス鋼としては、高温強度の高いSUS304,SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
【0035】
本発明のスポンジチタン製造方法、特に高純度スポンジチタンの製造方法においては、還元反応終了後に真空分離工程でTi以外の成分を除去し、冷却後、スポンジチタン塊を反応容器から取り出した後、取り出したスポンジチタン塊を複数の小塊群に分塊し、各小塊群のFe、Ni及びCrの各濃度を測定し、これらの不純物濃度が基準値以下である小塊群のみを得る。
【0036】
ここで、分塊とは、スポンジチタン塊を切断プレスなどの切断機で切断することにより、例えば直径10〜300mm程度の小塊チタンを得、これを例えば切断部位に対応させながら100〜250kgずつ(ドラム缶1缶ごと)の小塊群に分けることを言う。スポンジチタン塊の周辺部は不純物濃度が比較的高いことが知られているので、分塊せずに切り捨ててもよい。切り捨てた部分は半導体用の高純度チタンとしてではなく、展伸材用などに用いればよい。中心部を限定的に採取しても、部分部分によっても不純物濃度が異なる。具体的には、容器高さ方向の位置によって不純物濃度が異なる。このため、小塊群毎にFe、Ni及びCrの各濃度を測定し、これらの不純物濃度が基準値以下である小塊群のみを得る。これにより、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」で、且つ「Fe≦5ppm」というような超高純度チタンについても、比較的高収率で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図2は本発明の一実施形態を示す反応容器の縦断面図である。
【0038】
本実施形態の反応容器Aは、クロール法によるスポンジチタン、特に半導体配線材用の高純度スポンジチタンの製造に使用される。この反応容器Aは、還元工程で使用する加熱炉B内に収容されており、真空分離工程で使用する別の反応容器と連結管Cにより接続されている。反応容器Aの詳細構造は以下のとおりである。
【0039】
反応容器Aは、底部が閉じ上面が開放した円筒形状の容器本体10と、容器本体10上面開口部に装着される蓋体20と、蓋体20の直下に位置して容器本体10内に設置される熱遮蔽板30とを有している。
【0040】
容器本体10は、ここでは、内面側が炭素鋼、外面側がステンレス鋼の複合材からなる。容器本体10には、上部外面から外面側へフランジ状に張り出した環状の支持部11と、支持部11を上端部が貫通し、下端部が容器本体10の底部に接続された汲み出し管12とが設けられている。汲み出し管12はステンレス鋼でもよいが、容器本体10と同じく内面側が炭素鋼、外面側がステンレス鋼の複合材を用いることが好ましい。支持部11は炭素鋼でよい。複合材は、肉盛りクラッド材でも圧延や爆着、熱間押出によるクラッド材でもよい。
【0041】
蓋体20は、容器本体10の開口縁部に外周縁部が係合する円板状の天板21と、天板21の外周部下面から下方へ延出した円筒形状の周壁22と、周壁22の下面開口部を塞ぐ底板23と、主に底板23を冷却するために蓋体20内に配置された環状の冷却配管26とを有している。周壁22は、容器本体10の開口縁部に嵌合し、ここでは底板23と一体化されている。
【0042】
蓋体20の中心部には、天板21及び底板23を貫通して排気管24が設けられている。排気管24の側方には、圧抜き管25が傾斜して設けられている。圧抜き管25の上部は天板21を貫通して上方に突出し、下部は排気管24の下部を斜めに貫通してその下方に突出している。そして、圧抜き管25の中心部に原料供給管29が固定されている。
【0043】
冷却配管26は、天板21と底板23の間で排気管24を包囲しており、天板21を貫通して蓋体20内に投入された給気管27を介して、図示されない外部のブロワーと接続されている。給気管27を介して冷却配管26に供給された冷却用空気は、冷却配管26に設けられた多数の開口部から底板23に向けて噴出され、天板21に取り付けられた排気管28を介して外部へ排出される。
【0044】
蓋体20の構成材料は、周壁22、底板23、排気管24、圧抜き管25及び原料供給管29を除き、ステンレス鋼からなる。周壁22、底板23、排気管24及び圧抜き管25は、炭素鋼とステンレス鋼の複合材からなる。即ち、これらの部材は反応雰囲気に臨み、その反応雰囲気に臨む表面側が炭素鋼とされ、反対の裏面側がステンレス鋼とされている。また、原料供給管29は、管内側がステンレス鋼、外側が炭素鋼である複合材、若しくは炭素鋼からなる。
【0045】
熱遮蔽板30は、上方へ凸の方向に緩やかに湾曲した円形の炭素鋼板であり、容器本体10の上部に形成された環状の段差部に係合することにより、容器本体10の上部内に、上方の蓋体20に接近して支持されている。熱遮蔽板30の中心部には、排気管24及び原料供給管29との干渉を回避するために、円形の貫通孔31が形成されている。そして、熱遮蔽板30の下面全体にTiO2 が溶射等により平均で0.2〜1.0mmの厚みに被覆されている。熱遮蔽板30が上方へ凸の方向に湾曲するのは、高温下での機械的強度を増すためであるが、熱遮蔽板は平板であってもよい。また、支持方法については、上記のように段差部に係合させずとも、例えは蓋体から吊り下げるなとしてもよい。
【0046】
次に、本実施形態の反応容器Aを用いて高純度スポンジチタンを製造する方法について説明する。
【0047】
容器本体10に熱遮蔽板30を装着した後に蓋体20を装着し、これを加熱炉Bに入れ、所定量の溶融Mgを投入する。
【0048】
この状態で、加熱炉B内のヒータにより、容器本体10内の溶融Mgを所定温度に加熱維持しながら、蓋体20の原料供給管29から容器本体10内に四塩化チタンを滴下する。これにより、還元反応が始まり、容器本体10内にスポンジチタンが生成される。
【0049】
還元反応中、蓋体20内の冷却配管26に冷却用空気を供給し、主に底板23を強制空冷する。ここで、容器本体10は、反応雰囲気に臨む内面側が炭素鋼、外面側がステンレス鋼の複合材である。このため、優れた高温強度を維持しつつ、容器本体10に起因するスポンジチタンのCr汚染及びNi汚染が防止される。また、トラップ効果により、容器本体10に起因する中心部のFe汚染も防止される。
【0050】
このとき、反応容器A内の溶融Mgの液面より上の部分は、Mg及び四塩化チタンの蒸気で充満している。このため、これらの蒸気が、反応容器10内の浴面に対向する熱遮蔽板30の下面で凝縮し、スポンジチタンやその低級塩化物が析出し、その析出物の一部は容器本体10内に落下する。しかし、熱遮蔽板30は炭素鋼からなり、その下面はTiO2 により被覆されているので、析出物は、Ni及びCrはもとより、熱遮蔽板30の構成主成分であるFeにも汚染されない。このため、析出物の一部が容器本体10内に落下しても、容器本体10内のスポンジチタンが汚染されることはない。
【0051】
また、蒸気の一部は、強制冷却された蓋体20の表面、即ち反応雰囲気に接する表面でも凝縮し、スポンジチタンやその低級塩化物を析出させる。この析出物は、下方に熱遮蔽板30があるとはいえ、その中心部にあいた貫通孔31を通して、ごく一部が容器本体10内の浴面に落下するが、蓋体20の反応雰囲気に接する表面はステンレス鋼ではなく、炭素鋼であるので、Ni及びCrによる重金属汚染は効果的に防止される。
【0052】
蓋体20に起因するFe汚染については、熱遮蔽板30がある場合は小さいが、蓋体20の下面で成長したスポンジチタンの一部が剥離して小塊となり、熱遮蔽板30の貫通孔31を通じてスポンジチタン塊の中心部へ取り込まれることも考えられる。これを回避するためには、蓋体20の反応雰囲気に接する表面のうち、少なくとも貫通孔31の直上にあたる部分をTiO2 によって被覆すればよい。
【0053】
還元反応が終わると真空分離工程に移行する。この工程では、反応容器A内を高温に加熱しつつ、連結管Cを介して接続された別の反応容器内を減圧する。これにより、反応容器A内のスポンジチタンに取り込まれていた未反応のMg及び副生した塩化Mgが分離し、別の反応容器内に回収される。
【0054】
真空分離工程が終わると、冷却後、反応容器Aの容器本体10内からスポンジチタンを取り出し、そのスポンジチタンの中心部を採取する(図1参照)。この中心採りは、スポンジチタンの表層部、即ち上端部、下端部及び周辺部を切り捨てることにより行う。より具体的には、例えば特開平9−104931号公報に記載された方法により行うことができる。切り捨て量は適宜選択することができる。
【0055】
上記の中心採りにより、比較的高純度の円柱形状、厳密には多角形状のスポンジチタン塊が得られる。このスポンジチタン塊を容器高さ方向の一端側から他端側へ切断プレスにより所定厚ずつ切断する。切断毎に直径が10〜300mm程度の小塊が得られるので、得られる小塊を順次ドラム缶に詰める。これにより、スポンジチタン塊が一端側から他端側へ100〜250kg程度ずつ分塊されることになる。
【0056】
そして、各ドラム缶内の小塊群について、スポンジチタン中のNi量、Cr量及びFe量を測定し、全ての量が要求スペックを満たす小塊群のみを、半導体配線材用の高純度スポンジチタン製品とする。要求スペックを満たさなかった小塊群については、高純度スポンジチタンのなかの低級品として使用する。或いは、上述した切り捨て部と共に、展伸材用スポンジチタンとして使用する。
【0057】
このようにして、本実施形態の反応容器Aを使用することにより、容器本体10からの直接的な重金属汚染だけでなく、熱遮蔽板30を介した間接的なFe汚染も効果的に防止される。これにより、製造されるスポンジチタンの不純物レベルが大幅に下がり、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」で、且つ「Fe≦5ppm」というような超高純度チタンについても、比較的高収率で製造することが可能となる。
【0058】
以上は高純度スポンジチタンを製造する場合である。一般材を製造する場合は、高純度スポンジチタンの製造に使用される反応容器Aをそのまま使用してもよいが、ここでは容器コストの点から、容器本体についてはステンレス鋼製のものを使用する。熱遮蔽板については、高純度スポンジチタンの製造に使用されたのと同じ、下面全体にTiO2 が溶射等により平均で0.2〜1.0mmの厚みに被覆されたものを使用する。
【0059】
反応容器から取り出されたスポンジチタンに対しては中心採りを行わず、スポンジチタンの下端部及び周辺部を薄く切り捨てる(図1参照)。残ったスポンジチタンに対しては、切断プレスによる切断を行うが、分塊は行わない。即ち、残ったスポンジチタンの全量を製品に使用する。
【0060】
熱遮蔽板を介した間接的なFe汚染が防止されることにより、製品中のFe濃度が低下し、靱性等の機械的特性が向上する。
【0061】
図3は、製造されたスポンジチタンの中心軸部分における高さ方向のFe濃度分布を、高純度スポンジチタンの場合と一般材の場合について表した図表であり、反応容器内の熱遮蔽板の下面にTiO2 を被覆することの前記分布への影響度を示している。
【0062】
下面にTiO2 が被覆されていない炭素鋼製の熱遮蔽板を使用した場合、高純度スポンジチタンの製造でも一般材の製造でも、スポンジチタンの上部と下部でFe濃度が高くなっている。上部におけるFe汚染は熱遮蔽板若しくは蓋体に起因するものである。軸方向(高さ方向)の中間部におけるFe濃度は、高純度スポンジチタンのほうが一般材より低い。ステンレス鋼からなる容器本体の内面が炭素鋼でライニングされているにもかかわらず、Fe濃度が低下するのは、反応に使用される原料の不純物濃度や破砕されるチタン粒の大きさに影響されるためである。
【0063】
いずれのスポンジチタンの製造でも、下面にTiO2 が被覆された熱遮蔽板を使用することにより、スポンジチタンの特に上部におけるFe濃度が低下する。上部以外でもFe濃度が若干低下するのは、スポンジチタン生成の過程で常時上部からの汚染が防止されているためである。
【0064】
このように、熱遮蔽板の下面にTiO2 を被覆することは、スポンジチタンの上部汚染の抑制に有効である。
【0065】
次に本発明の実施例を示し、従来例及び比較例と対比することにより本発明の効果を明らかにする。
【0066】
高純度スポンジチタンの製造において従来の反応容器を使用した。スポンジチタン重量は約7トンである。使用した反応容器は、蓋体がステンレス鋼(SUS304)製である。容器本体は、ステンレス鋼(SUS304)製とし、その浴面より下の部分の内面に炭素鋼(SS400)をライニングした。また熱遮蔽板は炭素鋼(SS400)製である。 「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」を満足する製品の収率は12%であり、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm、Fe≦5ppm」を満足する製品の収率は6%であった。
【0067】
本発明例1として、上記の従来例における反応容器の熱遮蔽板の下面に純度99.7%のTiO2 を平均0.3mmの厚さに溶射した。上記の従来例と比較して「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」を満足する製品の収率は12%から13%に上がり、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm、Fe≦5ppm」を満足する製品の収率は、6%から12%へ大幅に上昇した。
【0068】
本発明例2として、反応容器の熱遮蔽板の下面にTiO2 に代えて純度99%のAl2 O3 を平均0.3mmの厚さに溶射した。結果、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」を満足する製品の収率は12%から13%に上がり、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm、Fe≦5ppm」を満足する製品の収率は、6%から8%へ上昇した。
【0069】
本発明例3として、反応容器の熱遮蔽板の下面にTiO2 に代えて純度98%のMgOを平均0.2mmの厚さに溶射した。結果、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」を満足する製品の収率は変化しながったが、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm、Fe≦5ppm」を満足する製品の収率は、6%から8%へ上昇した。
【0070】
比較例として、上記の従来例における反応容器の蓋体の反応雰囲気に臨む部材にクラッド材を使用した。即ち、その部材の反応雰囲気に臨む表面側を炭素鋼とし、反対の裏面側をステンレス鋼とした。上記の従来例と比較して「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」を満足する製品の収率は12%から20%に大幅に上昇したが、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm、Fe≦5ppm」を満足する製品の収率は上記従来例と同じ6%であった。
【0071】
本発明例1′として、前記の本発明例1における反応容器の蓋体の反応雰囲気に臨む部材に、上記の比較例と同様にクラッド材を使用した。前記の本発明例1と比べて「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」を満足する製品の収率は13%から21%に上がり、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm、Fe≦5ppm」を満足する製品の収率は12%から18%へ上昇した。
【0072】
なお、上記の各例における製品収率は、7トンのスポンジチタンを20個製造したときの平均歩留りである。
【0073】
一般材の製造において従来の反応容器を使用した。スポンジチタン重量は約7トンである。使用した反応容器は、蓋体及び容器本体がステンレス鋼(SUS304)製であり、熱遮蔽板は炭素鋼(SS400)製である。収率が90%の場合、Fe≦300ppmのスポンジチタン発生率は約25%であった。
【0074】
本発明例4として、上記の従来例における反応容器の熱遮蔽板の下面に純度99.7%のTiO2 を平均0.3mmの厚さに溶射した。収率が90%の場合、Fe≦300ppmのスポンジチタン発生率は約40%に向上した。
【0075】
本発明例5として、反応容器の熱遮蔽板の下面にTiO2 に代えて純度99%のAl2 O3 を平均0.3mmの厚さに溶射した。収率が90%の場合、Fe≦300ppmのスポンジチタン発生率は約30%であった。
【0076】
本発明例6として、反応容器の熱遮蔽板の下面にTiO2 に代えて純度98%のMgOを平均0.2mmの厚さに溶射した。収率が90%の場合、Fe≦300ppmのスポンジチタン発生率は同じく約30%であった。
【0077】
上述の実施例では、熱遮蔽板の下面に金属酸化物を単独或いは複合で用いたが、金属チタンを用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上に述べたとおり、本発明のスポンジチタン製造用反応容器は、蓋体と容器本体内の浴面との間に設置される熱遮蔽板の少なくとも下面に、金属酸化物や金属チタンを主体とする被覆層が設けられたことにより、熱遮蔽板に起因するスポンジチタンの上部汚染を効果的に防止でき、一般材の品質を高めるだけでなく、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」で、且つ「Fe≦5ppm」というような超高純度チタンについても、比較的高収率で製造できる効果がある。
【0079】
また、本発明の熱遮蔽板は、少なくとも下面に金属酸化物や金属チタンを主体とする被覆層を有することにより、熱遮蔽板に起因するスポンジチタンの上部汚染を効果的に防止でき、一般材の品質向上だけでなく、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」で、且つ「Fe≦5ppm」というような超高純度チタンの収率向上に大きな効果を発揮する。
【0080】
また、本発明のスポンジチタン製造方法は、本発明の反応容器の使用と合わせ、反応容器から取り出されたスポンジチタン塊を複数の小塊群に分塊し、各小塊群のFe、Ni及びCrの各濃度を測定し、これらの不純物濃度が基準値以下である小塊群のみを得ることにより、「Cr≦3ppm、Ni≦3ppm」で、且つ「Fe≦5ppm」というような超高純度チタンを高収率で製造できる効果がある。
【0081】
また、一般材に対しては、本発明の反応容器の使用により、Fe濃度を低下させることができ、その品質向上に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1はスポンジチタンの半径方向におけるFe濃度分布の傾向を全高について模式的に示す縦断面図で、製品の採取領域を合わせて図示している。図2は本発明の一実施形態を示す反応容器の縦断面図である。図3は製造されたスポンジチタンの中心軸部分における高さ方向のFe濃度分布を、高純度スポンジチタンの場合と一般材の場合について表した図表であり、反応容器内の熱遮蔽板の下面にTiO2 を被覆することの前記分布への影響度を示している。
Claims (15)
- クロール法によるスポンジチタンの製造に使用される反応容器において、蓋体と容器本体内の浴面との間に設置される鉄製の熱遮蔽板の少なくとも下面に、1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層が設けられているスポンジチタン製造用反応容器。
- 前記金属酸化物はTiO2 、SiO2 、Al2 O3 、CaO又はMgOである請求の範囲第1項記載のスポンジチタン製造用反応容器。
- 前記被覆層はTiO2 を85%以上含有する請求の範囲第2項記載のスポンジチタン製造用反応容器。
- 少なくとも容器本体内面の浴面レベル以下の部分が炭素鋼である請求の範囲第1項記載のスポンジチタン製造用反応容器。
- 前記スポンジチタンは高純度スポンジチタンである請求の範囲第3項又は第4項記載のスポンジチタン製造用反応容器。
- クロール法によるスポンジチタンの製造に使用される反応容器内に、容器本体内の浴面と蓋体の間に位置して配置される鉄製の熱遮蔽板において、少なくとも使用時に下面となる面に、1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層が設けられているスポンジチタン製造用熱遮蔽板。
- 前記金属酸化物はTiO2 、SiO2 、Al2 O3 、CaO又はMgOである請求の範囲第6項記載のスポンジチタン製造用熱遮蔽板。
- 前記被覆層はTiO2 を85%以上含有する請求の範囲第7項記載のスポンジチタン製造用熱遮蔽板。
- 前記スポンジチタンは高純度スポンジチタンである請求の範囲第8項記載のスポンジチタン製造用熱遮蔽板。
- クロール法によるスポンジチタンの製造方法において、反応容器の蓋体と容器本体内の浴面との間に、少なくとも下面に1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層が設けられた鉄製の熱遮蔽板を配置して、還元反応を行う工程と、還元反応終了後に真空分離によりTi以外の成分を除去する工程と、その後、冷却されたスポンジチタン塊を反応容器から取り出す工程と、取り出されたスポンジチタン塊を複数の小塊群に分塊する工程と、各小塊群のFe、Ni及びCrの各濃度を測定し、これらの不純物濃度が基準値以下である小塊群のみを得る工程とを含むスポンジチタン製造方法。
- クロール法によるスポンジチタンの製造方法において、反応容器の蓋体と容器本体内の浴面との間に、少なくとも下面に1種の金属酸化物を主体とする被覆層、又は複数種の金属酸化物の混合物を主体とする被覆層、若しくは金属チタンからなる被覆層が設けられた鉄製の熱遮蔽板を配置して、還元反応を行う工程と、還元反応終了後に真空分離によりTi以外の成分を除去する工程と、その後、冷却されたスポンジチタン塊を反応容器から取り出す工程と、取り出されたスポンジチタン塊の外周部及び下部をカットした残りの部分を破砕する工程とを含むスポンジチタン製造方法。
- 前記金属酸化物はTiO2 、SiO2 、Al2 O3 、CaO又はMgOである請求の範囲第10項又は第11項記載のスポンジチタン製造方法。
- 前記被覆層はTiO2 を85%以上含有する請求の範囲第12項記載のスポンジチタン製造方法。
- 少なくとも容器本体内面の浴面レベル以下の部分が炭素鋼である反応容器を使用する請求の範囲第10項又は第11項記載のスポンジチタン製造方法。
- 前記スポンジチタンは高純度スポンジチタンである請求の範囲10項、第11項、第12項、第13項又は第14項記載のスポンジチタン製造方法。
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