JPH09111361A - 高純度チタン材の製造方法 - Google Patents

高純度チタン材の製造方法

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JPH09111361A
JPH09111361A JP26403995A JP26403995A JPH09111361A JP H09111361 A JPH09111361 A JP H09111361A JP 26403995 A JP26403995 A JP 26403995A JP 26403995 A JP26403995 A JP 26403995A JP H09111361 A JPH09111361 A JP H09111361A
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sponge
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high purity
purity titanium
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JP26403995A
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Masahiro Odagiri
昌宏 小田桐
Hideaki Inoue
英明 井上
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Sumitomo Sitix Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】クロール法で製造したスポンジチタンを粗原料
として用い、不純物の含有量が極めて少なく、16Mバイ
ト以上のLSI用配線材料の薄膜形成用として優れた特
性を発揮する高純度チタン材を提供する。 【構成】(1) クラッド鋼で構成された反応容器を用いて
製造された円柱状塊の中心部から採取したスポンジチタ
ンを切断プレスで粒径10〜 300mmに切断して粗チタンと
し、この粗チタンに沃素を反応させてのち合成された沃
化チタンを熱分解して高純度チタンを精製することを特
徴とする高純度チタン材の製造方法。 (2) 上記(1) の高純度チタン材が酸素含有量:200ppm以
下、Fe、Ni、Cr、Al、Siの各元素の含有量:1ppm 以下
であって、残部がチタンおよび不可避不純物からなるこ
とを特徴とする高純度チタン材の製造方法。 なお、(2) で製造される高純度チタン材は6N(チタン
含有量 99.9999%以上)グレードに相当する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体用の配線材
料として使用される高純度チタン材の製造方法に関し、
更に詳しくは、クロール法によって製造された不純物の
少ないスポンジチタンを粗チタンとし、これを沃化物熱
分解によって精製する方法(以下、単に「沃土法」とい
う)を用いて、LSI用配線材料の薄膜形成用として好
適な高純度チタン材を製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】半導体製造分野においては、近年、高集
積化の進捗が著しく、超LSIと称されるディバイスで
は、1μm以下の微細パターンの加工が必要とされてい
る。このような超LSI製造プロセスに使用される電極
材料は、より高純度で高強度のものに移行しつつある。
例えば、電極配線の細線化による信号遅延を解消するた
めに、従来から多用されてきたポリシリコンに替わっ
て、より低抵抗な高純度高融点金属材料が注目を集めて
いる。このような高純度高融点金属材料として、モリブ
デン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)ま
たはそれらのシリサイドが挙げられるが、なかでもチタ
ンは優れた比強度、加工性および耐蝕性を発揮すること
から、特に有望とされている。
【0003】現在、チタン材の工業的な製造方法とし
て、クロール法が広く用いられている。クロール法は中
間原料である四塩化チタン(TiCl4 )のチタン化合物を
マグネシウム(Mg)を還元剤として熱還元し、純チタ
ン金属であるスポンジチタンを製造する方法であり、そ
の製造工程は還元工程、真空分離工程および破砕混合工
程からなる。クロール法は一定グレード(例えば、3N
〜4N/99.9〜 99.99%)の高純度チタン材の製造に適
用されるが、その製造工程において種々の対策が採られ
ている。
【0004】図1は、クロール法によるスポンジチタン
の製造工程およびさらにスポンジチタンを原料とするチ
タンインゴットの製造工程の概要を示した図である。以
下に、その製造工程の内容と高純度チタン材の製造に際
し採られている対策を説明する。
【0005】還元工程()では、還元炉1内のノズル
2からTiCl4 を噴霧させて、約 900℃で溶融Mgと反応さ
せるが、この反応は密閉した鋼製の反応容器3内で行わ
れる。このため、反応に必要なMgを反応容器3に装入し
て、容器内を不活性なアルゴンガスで置換したのち、加
熱昇温してMgを溶融させる。その後、溶融Mgを収容した
反応容器内にノズル2からTiCl4 が供給され、Tiと副生
成物であるMgCl2 が生成される。副生物であるMgCl2
適宜反応容器3の外へ抜き取られ、最終的には未反応Mg
および残留MgCl2 を含むスポンジ状または針状のチタン
が反応容器3内で得られる。
【0006】還元工程における不純物の汚染は、反応容
器内の溶融Mgを介して行われる。例えば、SUS304製反応
容器を用いた場合、溶融Mgには時間経過とともに反応容
器の成分(特に、Fe、Ni、Cr)が溶出する。その後、ノ
ズル2から滴下されたTiCl4は溶融Mgによって還元され
チタンが生成されるが、このとき生成チタンには溶融Mg
中のFe、Ni、Cr等が取り込まれてスポンジチタンを汚染
する。この不純物汚染を低減するには、反応容器をクラ
ッド鋼製にするのが有効である。すなわち、反応容器の
外側をステンレス鋼として高温強度を確保するととも
に、溶融Mgと接する反応容器の内側を炭素鋼として不純
物(特に、Ni、Cr)の溶出を防止する。
【0007】図2は、 SUS304L製反応容器とクラッド鋼
製反応容器(外側:SUS304Lステンレス鋼/内側:SS400炭
素鋼)とを用いて還元および真空分離した後に押し出さ
れた円柱状塊(重量6ton )を軸中心に 1/4分割したと
きのNiおよびCrの分布状況を示す図である。同図から明
らかなように、クラッド製反応容器を用いることによっ
て、スポンジチタン塊内部のNiおよびCrの不純物濃度を
低減できる。
【0008】真空分離工程()では、反応容器3を真
空分離炉4内に収納してから、反応容器3の内部を真空
状態とするとともに加熱して、反応容器3内のスポンジ
チタンに含まれる未反応Mgおよび残留MgCl2 を蒸発させ
る。蒸発した未反応Mgや残留MgCl2 は真空分離炉4外の
凝縮器5によって回収される。未反応Mgおよび残留MgCl
2 を蒸発によって分離されたスポンジチタンは、反応容
器3から円柱状塊として押し出される。
【0009】押し出されたスポンジチタンは、その円柱
状塊内部の不純物分布は均一でなく、Ni、Crの他、O2
Fe等も著しく偏在している。
【0010】図3は、クラッド鋼製反応容器を用いて還
元および真空分離後に押し出された円柱状塊(重量6〜
10ton )を軸中心に 1/4分割したときのスポンジチタン
の円柱状塊内のFeおよびO2の分布状況を示した図であ
る。同図が示すように、塊内のO2およびFe不純物の含有
は、塊の周辺部、すなわち底部および円周部に偏在し、
塊の中心部に近づくに従って不純物の含有は少なくな
り、中心部においてその含有は極めて少ない。したがっ
て、採取するスポンジチタンを円柱状塊の中心部に限定
することによって、含有するO2およびFe、Ni、Cr、Al、
Siの各元素の不純物含有量を低減させ高純度チタンを製
造することができる。
【0011】破砕混合工程(および)では、押し出
されたスポンジチタンの塊はその底部、頂部および円周
部を除去・整形されてのち、切断プレス6で切断され
る。その後、ジョークラッシャーで細粒(1/2 インチ以
下)に破砕される。このように所定の粒径まで破砕され
たスポンジチタンは、さらに品質を均一に維持するため
ブレンダー7で混合したのち、アルゴンガスを充填した
密閉ドラム缶に入れて保管される。
【0012】スポンジチタンを1/2 インチ以下に整粒す
ることによって、スポンジチタン自体の単位重量当たり
の表面積(比表面積)が増大し、大気中の酸素や水分
(H2O)の影響を受けて酸素汚染が激しくなる。さら
に、破砕時のスポンジチタンの変形とそれにともなう摩
擦熱の発生も、酸素汚染を促進する要因となっている。
また、破砕から混合までの工程間のスポンジチタン粒の
運搬には鋼製のコンベヤーが用いられているが、コンベ
ヤー表面上の錆や汚れも、スポンジチタンの品質を低下
させる要因となっている。
【0013】本来、成分偏析の少ない円柱状塊の中心部
分から採取したスポンジチタンであれば、品質維持のた
めに細粒化する必要がない。そのため、スポンジチタン
の破砕および混合工程における処理を、切断プレスによ
る切断のみとし、破砕による細流化およびブレンダーに
よる混合を省略し、搬送コンベヤーによる運搬距離を短
縮することによって、スポンジチタンの汚染防止を図っ
ている。
【0014】このようにして製造されたチタン材はスポ
ンジ状または針状の粒状物であり、最終的に金属チタン
管や金属チタン板に加工するため、通常、スポンジチタ
ンは溶解されインゴットに鋳造される。
【0015】スポンジチタン溶解工程(、または
)では、スポンジチタンはアーク溶解法または電子ビ
ーム溶解法によって溶解され、インゴットに鋳造され
る。
【0016】アーク溶解法によってインゴット鋳造する
場合(、)には、スポンジチタンは圧縮プレス8に
よって圧縮成形されてブリケット9とされ、さらに電極
溶接機10によってつなぎ合わされて消耗電極材11に加工
される。その後、アーク溶解されてインゴット12が製造
される。
【0017】電子ビーム溶解法によってインゴット鋳造
する場合()には、投入口13からハース14上に投入さ
れたスポンジチタンは、ハース14上を照射する電子ビー
ムガン15a のビームによって溶解され、溶湯を作り一定
時間保持される。その後、チタン溶湯は電子ビームガン
15b で照射されるモールド16内に滴下し、モールド下方
から引き抜かれることによって凝固しインゴット12とな
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】前述の通り、上記のク
ロール法によって製造されたチタンインゴットは、4N
(99.99%) グレードを満足する高純度チタン材として使
用することができる。しかし、半導体の高集積度化の進
展にともない電極幅や配線間隔の微細化が促進される
と、4N(99.99%) グレードの高純度チタン材では4M
ビット程度の半導体デバイスの集積度であれば十分な特
性を発揮することができるが、16Mビット、64Mビッ
ト、 256Mビット、さらには1Gビット以上の半導体素
子の薄膜形成用としては特性を発揮することができなく
なるという問題がある。
【0019】本発明は、上記した問題点を克服して、16
Mビット、64Mビット、 256Mビット、さらには1Gビ
ット以上の半導体デバイス用の薄膜を形成するに際し
て、優れた特性を発揮する高純度チタン材の製造方法を
提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】高純度チタン材の代表的
な精製方法として、沃土法が挙げられる。
【0021】図4は、沃土法による高純度チタン材の製
造方法を説明する精製装置の縦断面図である。円筒状の
反応器31の軸心部には析出管体32が設けられ、析出管体
32の内部にはカーボンヒーター33が配置される。また、
反応器31内には析出管体32を囲撓するように粗チタン34
が保持され、反応器31内を真空排気後、カーボンヒータ
ー33に通電して加熱ののち、沃素蒸発器35内の沃素を反
応器31内に導入すると、下記(1)、(2)の反応が発
生する。
【0022】 粗Ti + 2I2 → TiI4 (合成反応) ・・・ (1) TiI4 → 高純度Ti + 2I2 (熱分解反応) ・・・ (2) 粗チタンと沃素(I2)との合成反応は粗チタンが保持さ
れている反応器内の周辺部で進行し、TiI4の熱分解反応
は反応器の軸心部の析出管体上で進行する。TiI4の熱分
解反応によって副生した沃素は、反応器内の周辺部に拡
散して粗チタンと沃素との合成反応に循環使用される。
したがって、沃土法においては、反応器内の周辺部にお
ける粗チタンと沃素との合成反応ののち、TiI4の熱分解
反応によって析出管体上に高純度チタンが析出され続け
る。
【0023】粗チタン中に不純物が含有されていると、
反応器内の反応の進行にともなって、粗チタン中の不純
物が表面に析出され、やがてTiI4ガス中に濃縮される。
このため、粗チタンに含有される不純物は析出されるチ
タンの純度を低下させる要因となる。また、析出管体32
上で進行するTiI4の熱分解反応は発熱反応であり、反応
温度が高温(1300〜1500℃)になり易い。これを防止す
るため、通常、反応器31には冷却手段36が設けられてい
るが、熱分解反応温度がこのような高温になると、TiI4
ガス中の不純物が熱分解を起こし、析出チタンの純度を
著しく悪化させるという危険がある。
【0024】上述の通り、沃土法の高純度チタン材の精
製方法において析出されるチタンの純度は、粗チタンと
して用いられる材料の純度に起因する。したがって、沃
土法に用いる粗チタンとしてクロール法によって得られ
た高純度チタン材を使用し、沃素を反応させて沃化チタ
ンを合成してのち、熱分解反応によってチタンを精製す
ることにより一層高純度のチタン材を製造することがで
きる。
【0025】本発明は、上記の知見に基づき完成された
ものであり、下記の (1)および(2)の薄膜形成用として
優れた高純度チタン材の製造方法を要旨とする。
【0026】(1) クラッド鋼で構成された反応容器を用
いて製造された円柱状塊の中心部から採取したスポンジ
チタンを切断プレスで粒径10〜 300mmに切断して粗チタ
ンとし、この粗チタンに沃素を反応させてのち合成され
た沃化チタンを熱分解して高純度チタンを精製すること
を特徴とする高純度チタン材の製造方法。
【0027】(2) 上記(1) の高純度チタン材が酸素含有
量:200ppm以下、Fe、Ni、Cr、Al、Siの各元素の含有
量:1ppm 以下であって、残部がチタンおよび不可避不
純物からなることを特徴とする高純度チタン材の製造方
法。
【0028】なお、(2) で製造される高純度チタン材は
6N(チタン含有量 99.9999%以上)グレードに相当す
る。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明では、純度の高い粗チタン
を確保するため、クロール法の還元工程および真空分離
工程で用いれる反応容器は、内側を炭素鋼とし外側をス
テンレス鋼として構成されるクラッド鋼製にする。内側
の炭素鋼は溶融MgへのNi、Cr等の溶出を回避するために
用いるものであるから、JIS に規定する一般構造用圧延
鋼材(SS330 〜SS540 )、ボイラ及び圧力容器用炭素鋼
(SB410 〜SB480 )および圧力容器用鋼板(SPV315〜SP
V490)等を採用すれば良い。一方、外側のステンレス鋼
は高温強度を確保する観点からオーステナイト系が好ま
しく、JIS に規定するステンレス鋼板であるSUS304、SU
S304L 、SUS310、SUS316、SUS316L およびSUS321等が用
いられる。
【0030】前述の通り、クロール法によって製造され
たチタンであっても、採取するスポンジチタンを円柱状
塊の中心部に限定することによって、含有する不純物量
を制限し、所定の特性を満たす高純度チタンを確保する
ことができる。前記の図2、図3に示した不純物の分布
状況は一般的な傾向を示したにすぎないが、さらに詳細
な不純物の分布傾向とスポンジチタンの粒径や破砕混合
工程での改善を考慮して、本発明者らは高純度チタン精
製用の粗チタンを採取し得るスポンジチタン円柱状塊の
中心部を以下に特定する。
【0031】図5は、高純度チタン精製用の粗チタンを
採取するスポンジチタン円柱状塊の中心部を説明する図
である。上記の粗チタンを採取する円柱状塊の中心部
は、塊の底部23から厚さが塊高さの25%以上の部分(h
1 ≧0.25×H)と頂部24から厚さが塊高さの10%以上の
部分(h2 ≧0.10×H)とを切断除去し、かつ円柱状塊
の円周部25から厚さが塊直径の18%以上の部分(w≧0.
18×D)を切断除去してのち、前記の円柱状塊重量の30
%未満に相当する部分にすれば良い。
【0032】高純度チタン精製用の粗チタンを採取する
円柱状塊の中心部は、沃土法によって精製される高純度
チタン材が満たすべき特性によって選択することができ
る。
【0033】例えば、16Mバイト以上のLSI用の配線
材料として使用する場合には、チタン材中のO2含有量が
200ppm以下、Fe、Ni、Cr、Al、Siの各元素の含有量が1
ppm 以下としなければならないため、粗チタンを採取す
る円柱状塊の中心部は、上記のバッチ重量の30%未満に
相当する部分にしなければならず、さらに好ましくはバ
ッチ重量の20%以下に相当する部分となる。しかし、 2
56Kバイト若しくは4Mバイト程度の配線材料として使
用する場合には上記のバッチの中心部に限定されるもの
ではない。
【0034】現状のクロール法の製造技術においては、
スポンジチタン円柱状塊の重量は、使用される反応容器
の容量の応じて6〜10ton とされる。本発明者らの検討
によれば、いずれの重量の円柱状塊であっても上記で特
定する円柱状塊の中心部から粗チタンを採取すれば、L
SI用の配線材料として高純度チタン材が満たすべき特
性を確保できることを確認している。
【0035】さらに、本発明の高純度チタン材の製造方
法においては、ジョークラッシャーでの細粒化の工程と
ブレンダーでの混合工程を省略して、スポンジチタンの
粒径が大きいままで粗チタン材として使用する。これに
よって、スポンジチタンの比表面積を小さくし、高純度
チタン材の精製用粗チタンとして用いられるスポンジチ
タンの汚染を防止することができる。具体的には、スポ
ンジチタンの処理は切断プレスでの切断のみとし、その
粒径は10〜 300mmとした。さらに望ましくは 200〜 300
mmとした。
【0036】沃土法におけるチタン精錬で使用する反応
器は高温強度を確保するため、ステンレス鋼製(例え
ば、SUS304、SUS304L 、SUS310、SUS316製)が望まし
い。しかし、析出するチタンへの反応器の含有成分であ
るFe、Ni、Cr等からの汚染を防止するため、通常、反応
器の内面全面にライニング(Ti、Ta、Mo等)を施す。こ
れは、反応器と沃素ガスが直接接触し反応すると、Fe、
Cr等が沃化物として蒸発してチタンと共に析出し、チタ
ンを汚染するからである。また、反応器の外表面には冷
却手段を設けている。これは、合成反応の際の反応温度
の上昇を抑制して、反応器の内部温度を制御するためで
ある。前述の通り、反応器の内部温度が上昇しすぎると
析出チタンの純度を著しく悪化させる危険があり、内部
温度が低下しすぎるとTiI4の熱分解反応が遅くなり、収
量が低下する。そのため、反応器の内部温度は 700〜 9
00℃の範囲に保持するのが望ましい。
【0037】
【実施例】本発明の効果を具体的な実施例によって説明
する。
【0038】クラッド鋼製反応容器(外側:SUS304Lステ
ンレス鋼/内側:SS400炭素鋼)を用いクロール法によっ
て製造された、真空分離後の重量が約6Tである円柱状
塊(寸法:高さH2000mm×直径D1500mm)から、次に示
す条件で3種類のスポンジチタン(スポンジA、B、
C)を採取した。説明にあたっては、図5に示す寸法符
号を併記する。
【0039】(1) スポンジA:円柱状塊の底部から厚さ
h1が 550mm(塊高さの28%)の部分と頂部から厚さh2
250mm(塊高さの13%)の部分とを切断除去し、さらに
円柱状塊の円周部から厚さwが 350mm(塊直径の23%)
の部分を切断除去して、塊重量の20%に相当する中心部
(中心部分の高さ1200mm×直径 800mm×重量 1,200Kgに
相当する部分)から採取したのち、切断プレスで粒径10
〜300mm に切断した。
【0040】(2) スポンジB:円柱状塊の底部から厚さ
h1が 500mm(塊高さの25%)の部分と頂部から厚さh2
240mm(塊高さの12%)の部分とを切断除去し、さらに
円柱状塊の円周部から厚さwが 300mm(塊直径の20%)
の部分を切断除去して、塊重量の25%に相当する中心部
(中心部分の高さ1260mm×直径 900mm×重量 1,500Kgに
相当する部分)から採取したのち、切断プレスで粒径10
〜300mm に切断した。
【0041】(3) スポンジC:スポンジBと同様に、塊
重量の25%に相当する中心部(中心部分の高さ1260mm×
直径 900mm×重量 1,500Kgに相当する部分)から採取し
たのち、切断プレスで粒径 200〜300mm に切断した。
【0042】上記のスポンジチタンを採取後、本発明例
として、これらのスポンジチタンを沃土法における粗チ
タンとして用い、高純度チタンの精製を行った。使用し
た精製装置は、図4に示す装置とした。一方、比較例と
して、これらのスポンジチタンを溶解原料として、アー
ク溶解法によってインゴットを製造した。製造工程別に
スポンジチタン(沃土法における粗チタン)、沃土法で
の精製チタンおよびアーク溶解法によるインゴットチタ
ンの品質状況(不純物の含有量)を調査し、その結果を
表1にまとめた。
【0043】
【表1】
【0044】表1から明らかなように、本発明例の精製
チタンは、比較例のインゴットチタンに比べ不純物の含
有が極めて少なく、4Mバイトを超える、16Mバイト以
上のLSI用配線材料の薄膜形成用として優れた特性を
発揮できることが分かる。
【0045】
【発明の効果】本発明の高純度チタン材の製造方法によ
れば、クロール法で製造したスポンジチタンを粗原料と
して用い、不純物の含有量が極めて少なく、4Mバイト
を超える16Mバイト以上のLSI用配線材料の薄膜形成
用として優れた特性を発揮する高純度チタン材を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クロール法によるスポンジチタンの製造工程お
よびスポンジチタンを原料とするチタンインゴットの製
造工程の概要を示した図である。
【図2】SUS304L製反応容器とクラッド鋼製反応容器
(外側:SUS304Lステンレス鋼/内側:SS400炭素鋼)とを
用いて還元および真空分離した後に押し出された円柱状
塊(重量6ton )を軸中心に 1/4分割したときのNiおよ
びCrの分布状況を示した図である。
【図3】クラッド鋼製反応容器を用いて還元および真空
分離後に押し出された円柱状塊(重量6〜10ton )を軸
中心に 1/4分割したときのスポンジチタンの円柱状塊内
のFeおよびO2の分布状況を示した図である。
【図4】沃土法による高純度チタン材の製造方法を説明
する精製装置の縦断面図である。
【図5】高純度チタン精製用の粗チタンを採取するスポ
ンジチタン円柱状塊の中心部を説明する図である。
【符号の説明】
1…還元炉、 2…ノズル、 3…反応容器、 4…真
空分離炉 5…凝縮器、 6…切断プレス、 7…ブレンダー、
8…圧縮プレス 9…ブリケット、 10…電極溶接機、 11…消耗電極
材、 12…インゴット 13…投入口、 14…ハース、 15a 15b …電子ビームガ
ン、 16…モールド 21…円柱状塊、 22…塊中心部、 23…塊底部、 24…
塊頂部 25…バッチ円周部 31…反応器、 32…析出管体、 33…カーボンヒータ
ー、 34…粗チタン 35…沃素蒸発器、 36…冷却手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クラッド鋼で構成された反応容器を用いて
    製造された円柱状塊の中心部から採取したスポンジチタ
    ンを切断プレスで粒径10〜 300mmに切断して粗チタンと
    し、この粗チタンに沃素を反応させてのち合成された沃
    化チタンを熱分解して高純度チタンを精製することを特
    徴とする高純度チタン材の製造方法。
  2. 【請求項2】前記の高純度チタン材が酸素含有量:200p
    pm以下、Fe、Ni、Cr、Al、Siの各元素の含有量:1ppm
    以下であって、残部がチタンおよび不可避不純物からな
    ることを特徴とする請求項1記載の高純度チタン材の製
    造方法。
JP26403995A 1995-10-12 1995-10-12 高純度チタン材の製造方法 Pending JPH09111361A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019085599A (ja) * 2017-11-02 2019-06-06 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタンの製造方法

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