JP3951461B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットディスプレイや平面光源などに使用される有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子に関するものであり、更に詳しくは発光特性を改善し、寿命特性に優れる有機EL素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報通信分野における急速な技術開発の進展に伴い、CRTに代わるフラットディスプレイに大きな期待が寄せられている。なかでもEL素子は、高速応答性、視認性、輝度などの点に優れるため盛んに研究が行われている。
【0003】
現在、実用化されているZnS/Mn系の無機EL素子では、駆動電圧が100V程度と高く、十分な輝度も得られないなどの問題点がある。一方、有機蛍光物質の電界発光は古くから知られ、アントラセン単結晶などを使用した多くの研究が行われたが、駆動電圧が高く発光輝度も低いことから実用的なデバイスの開発までには至らなかった。
【0004】
しかし、1987年に米国コダック社のTangらによって発表された有機EL素子は、10V以下の直流低電圧駆動が可能で、1000cd/m2 と高い輝度が得られ、発光効率も1.5lm/Wと優れていた(Appl. Phys. Lett., 51, 913 (1987) )。この発表により、無機のEL素子に比較し低電圧での駆動、有機分子の設計による多色化などの長所が示されたことで、新規有機材料、新規陰極材料など数多くの有機EL素子の研究が行われるようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来知られている電子輸送層としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下「Alq」と略称する。)に代表される8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体、オキサゾール誘導体などがある。これらの有機材料は電子輸送性と蛍光性を兼ね備えているため、発光層と同時に電子輸送層として機能させることができる。陽極から注入される正孔は正孔輸送層中を移動し、陰極から注入される電子は電子輸送層中を移動し、発光層内で正孔と電子が再結合し発光する。
【0006】
有機ELにおいて、電子は陰極から電子輸送層に使われる物質の最低空軌道(LUMO)に注入される。このため、陰極には仕事関数の小さいマグネシウム、アルカリ金属(特開平5−198380号公報参照)などの合金が使用されている。また、電子輸送層に使用する物質は、陰極からの電子注入障壁が低い方がより電子注入が容易となるため駆動電圧を下げることができる。
【0007】
従来、低仕事関数の陰極に関する報告は数多くあるものの、電子輸送層については、Alqなどの8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体、オキサゾール誘導体が使用されおり、発光効率、寿命の点で必ずしも満足のいくものではなく、さらに高発光効率で高寿命の有機EL素子の開発が望まれていた。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は発光効率を向上して、長期に渡り安定な発光特性が維持できる有機EL素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、陽極、有機発光性物質を含む発光層、陰極とを少なくとも有する有機EL素子において、上記発光層と上記陰極との間に下記一般式(1)で示されるβ−ジケトン錯体を含む電子輸送層を設け、下記一般式(1)におけるMがホウ素、アルミニウム、亜鉛の何れかの原子であることを特徴とする有機EL素子を提供する。
【0010】
【化3】
【0011】
(上記式中、R1 、R2 は夫々独立して水素、ハロゲン元素、アルキル基、アルコキシ基の何れかを、mは1〜4の整数をそれぞれ表す。)
【0012】
また、上記陰極としてMgAgを用い、上記式(1)におけるMがホウ素または金属の原子であることを特徴とする有機EL素子を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明では、有機EL素子の発光層と陰極との間に式(1)で示される化合物を含む電子輸送層を設ける。これにより、発光効率に優れるとともに、長期に渡って安定した発光が行える有機EL素子が得られる。
【0014】
図1は、本発明の有機EL素子の基本的な構成の側面図であり、図2はより好ましい例の側面図である。
図1において、1は基板、2は陽極、3は有機発光性物質を含む発光層、4は電子輸送層、5は陰極を示している。図2は陽極2と発光層3との間に正孔輸送層6と界面層7とを設け、陰極5と電子輸送層4との間に界面層8を設けたところを示している。
【0015】
本発明における基板1は、有機EL素子の支持体であり、ガラス、プラスチックなどの透明な基板が一般的には使用される。プラスチックの場合には、ポリカーボネート、ポリメタアクリレート、ポリサルホンなどを利用することができる。
【0016】
基板1上には、陽極としての透明電極が設けられる。この透明電極としては、通常、インジウム錫酸化物(ITO)薄膜、錫酸化物の膜を使用することができる。また、仕事関数の大きいアルミニウム、金などの金属、ヨウ化銅などの無機導電性物質、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子により構成されてもよい。
【0017】
この陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等により行われることが一般的であるが、導電性高分子の場合には適当なバインダーとの溶液を基板上に塗布したり、電解重合により直接基板上に薄膜を作製することができる。陽極の膜厚は、必要とする透明性に依存するが、可視光の透過率が60%以上、好ましくは80%以上であり、この場合の膜厚は、5〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。
【0018】
陽極2の上には発光層3が設けられる。この発光層に使用される有機発光性物質としては、蛍光量子収率が高く、陰極4からの電子注入効率が高く、さらに電子移動度が高い化合物が有効である。特に、アモルファス薄膜における安定性、耐熱性の点に優れるキノリン誘導体のキレート錯体が好ましく使用することができる。
【0019】
このようなキレート錯体を形成する金属元素としては、リチウム、銀、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、イットリウム、スカンジウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、ルテチウムなどがある。なかでも高い蛍光量子収率を有するベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、スカンジウムなどのキレート錯体が特に好ましい。
【0020】
このような発光層3の膜厚は、通常10〜200nmであり、好ましくは、40〜100nmである。
【0021】
本発明では、さらに素子の発光効率を向上させることやフルカラー表示を可能とする方法として、有機発光層中に他の蛍光性有機材料をドープすることもできる。
【0022】
このようなドープ色素材料としては、公知の有機物質を使用することができ、たとえば、スチルベン系色素、オキサゾール系色素、シアニン系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、キナクリドン誘導体(特開平5−70773号公報)、ペリレン誘導体(特開平3−791号公報)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−p−ジメチルアミノスチリル−4H−ピラン(DCM1)誘導体、ユーロピウム(III) 錯体(Chem.Lett.,1991,1267)、亜鉛ポルフィリン誘導体、ローダミン系色素(特開平8−286033号公報)、ビオラントロン誘導体(特開平7−90259号公報)、ニールレッド誘導体(Science,1995,1332 )、ビス(2−スチリル−8−キノリノラト)亜鉛(II)錯体(Chem.Lett.,1997,633 )など幅広く使用することができる。このようなドープ有機材料の濃度としては、発光層内において0.01〜30モル%とされることが好ましい。
【0023】
本発明では、素子の発光効率を向上させると同時に長期に渡り高い発光効率を維持するために、発光層と陰極との間に式(1)で示されるβ−ジケトン錯体を含む電子輸送層4を設ける。
【0024】
【化4】
【0025】
(上記式中、R1 、R2 は夫々独立して水素、ハロゲン元素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アラルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、芳香族炭化水素基、フェニルエチニル基、芳香族複素環基の何れかを、Mはホウ素または金属の原子を、mは1〜4の整数をそれぞれ表す。)
【0026】
一般式(1)で示される化合物のMはホウ素または金属の原子を示すしているが、この金属原子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、ビスマス、カドミウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、インジウム、鉄、鉛、マンガン、ニッケル、ニオブ、白金、ルテニウム、希土類元素などが幅広く使用できる。
【0027】
また、mが2の場合には、1個目の基のR1 及びR2 と、2個目の基のR1 及びR2 とは同じでも異なっていてもよい。mが3以上の場合には、それらの全てが同じでも、全部異なっていても、一部は異なっていてもよい。
【0028】
本発明の一般式(1)の化合物としては、陰極からの電子注入を容易にし、素子の駆動電圧を下げるため、電子親和力の大きい化合物が好ましい。このような化合物としては、Mが、ホウ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛の何れかであることが特に好ましい。
【0029】
一般式(1)で示される化合物は、それ自体単独で用いることもできるし、従来から知られている電子輸送性の物質に混合させて使用することもできる。このような従来から知られている電子輸送性物質としては、シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報)、p−フェニレン化合物(特開平3−33183号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、トリアゾール誘導体(特開平7−90260号公報)などが挙げられる。
【0030】
これら電子輸送層中において、一般式(1)の化合物は少量でも効果があり、特に0.1モル%以上含有されることが好ましい。0.1モル%よりも少ないと陰極からの電子注入効率が低下する恐れがある。本発明の電子輸送層の膜厚は0.5〜60nmの範囲であることが好ましい。0.5nm以下だと陰極と発光層との親和性、密着性が得られないし、60nm以上の場合には、素子の駆動電圧が高くなる恐れがある。
【0031】
本発明において、陽極2と発光層3との間には、必要に応じて正孔輸送層6を設けることができる。正孔輸送層を設けることにより、陰極から注入され発光層内を移動する電子が効率よくブロッキングされ、発光層内での正孔と電子の再結合確率が上がり、高い発光効率が可能となる。
【0032】
この正孔輸送材料としては、陽極2からの注入障壁が低く、さらに正孔移動度が高い材料が使用できる。このような正孔輸送材料としては、公知の正孔輸送材料が使用できる。例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下TPDとする)や1,1’−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の芳香族ジアミン系化合物、特開平2−311591号公報で示されているヒドラゾン化合物が使用することができる。
【0033】
また、ポリ−N−ビニルカルバゾールやポリシランのような高分子材料も好ましく使用することができる(Appl.Phys.Lett.,59,2760(1991) )。
【0034】
この有機正孔輸送材料の薄膜の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法等の種々の方法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無いサブミクロンオーダーの均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法、スピンコート法が好ましい。
【0035】
スピンコート法の場合には、正孔のトラップとならないバインダー樹脂をコート溶液に溶解して使用することができる。このようなバインダー樹脂としては、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂の含有量は、正孔移動度を低下させない10〜50重量%が好ましい。
【0036】
正孔輸送層の材料としては、上記有機物質だけではなく、金属カルコゲン化物、金属ハロゲン化物、金属炭化物、ニッケル酸化物、鉛酸化物、銅の沃化物、鉛の硫化物等のp型化合物半導体やp型水素化非晶質シリコン、p型水素化非晶質炭化シリコン等も使用することができる。
【0037】
このような無機物質の正孔輸送層は、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法等、通常の公知の手法により作製することができる。有機物質、無機物質いずれを使用した場合においても正孔輸送層の膜厚は、通常、10〜200nmであり、好ましくは、20〜80nmである。
【0038】
本発明においては、陽極2と正孔輸送層6との間に、リーク電流の防止、正孔注入障壁の低減、密着性向上等の目的のために、界面層7を設けてもよい。このような界面層材料としては、特開平4−308688号公報にみられるようなトリフェニルアミンの誘導体である4,4’,4”−トリス{N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ}トリフェニルアミン(以下MTDATAとする)や4,4’,4”−トリス{N,Nジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(以下TDATAとする)や銅フタロシアニン等が好ましく使用できる。この界面層を設けるときの膜厚は、5〜100nmで好ましく使用できる。
【0039】
本発明においては、電子輸送層4と陰極5の間には、必要に応じて界面層8を設けることもできる。この界面層を設けることにより、駆動電圧の低減や発光効率の向上、長寿命化を達成することができる。この界面層は陰極からの電子注入を容易にする効果や陰極との密着性をあげる効果がある。
【0040】
このような界面層材料としては、フッ化リチウム(Appl. Phys. Lett., 70,152 (1997))に代表されるアルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化バリウムなどの酸化物がある。このような界面層材料はそれ自体絶縁体であるため、使用する膜厚は、通常5nm以下の薄膜であり、好ましくは、2nm以下とすることにより陰極からのトンネル注入が可能となると考えられる。
【0041】
電子輸送層4の上には、陰極5が設けられる。陰極には公知の有機EL用の陰極も含め種々のものが使用できる。たとえば、マグネシウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム等がある。
【0042】
本発明の有機EL素子においては、大気中における保存安定性、駆動安定性を確保するために、高分子膜をコーティングしたりガラス封止により大気中の酸素や水分から遮断してもよい。
【0043】
本発明の有機EL素子は、全面発光体として使用して、液晶表示素子のバックライトや壁面照明素子として使用したり、パターニングして画素を形成し、ディスプレイとして使用したりすることができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の具体的な態様を実施例および比較例により説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0045】
例1(実施例)
ガラス基板上にITOを膜厚200nmで蒸着して陽極2(シート抵抗7Ω/□)を形成した。この陽極2上に、真空蒸着法によりTPD(式2)を膜厚60nmに蒸着して正孔輸送層6を形成した。次いで、ジスチリルアリーレン化合物(式3)を膜厚55nmに蒸着して発光層3を形成した。
【0046】
さらに、式(4)で示されるβ−ジケトン化合物(M=Li、R1 =R2 =メチル基、m=1)を、5nm蒸着して電子輸送層4を形成した。最後に、MgとAgを共蒸着して膜厚200nmのMgAg(10:1)陰極合金を形成して有機EL素子を作製した。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
【化7】
【0050】
例2(比較例)
例1の式(4)で示されるβ−ジケトン化合物の代わりに、8−オキシキノリンのアルミニウム錯体であるAlqを、5nm蒸着して電子輸送層を形成した以外は同様にして有機EL素子を作製した。
【0051】
例3(実施例)
例1で用いた陽極2上に、ポリビニルカルバゾール1重量部、TPD(式2)1重量部をジクロロメタン500重量部に溶解させた溶液を用いて、回転数5000rpmでこの基板上に膜厚60nmでスピンコートし正孔輸送層とした。次いでAlqを膜厚55nmに蒸着して発光層3を形成した。
【0052】
さらに、式(5)で示されるβ−ジケトン化合物(M=Li、R1 =R2 =tert−ブチル基、m=1)を5nm蒸着して電子輸送層を形成した。最後に、MgとAgを共蒸着して膜厚200nmのMgAg(10:1)陰極合金を形成して有機EL素子を作製した。
【0053】
【化8】
【0054】
例4(比較例)
例3のAlqからなる発光層3の膜厚を60nmとし、電子輸送層4を発光層と兼用して使用したこと以外は同様にして有機EL素子を作製した。
【0055】
例5(実施例)
例3の式(5)で示されるβ−ジケトン化合物の代わりに式(6)で示されるβ−ジケトン化合物(M=B、3個の基の全てのR1 =R2 =メチル基、m=3)を使用したこと以外は例3と同様にして有機EL素子を作製した。
【0056】
【化9】
【0057】
例6(実施例)
例3の式(5)で示されるβ−ジケトン化合物の代わりに式(7)で示されるβ−ジケトン化合物(M=Al、3個の基の全てのR1 =R2 =メチル基、m=3)を使用したこと以外は例3と同様にして有機EL素子を作製した。
【0058】
【化10】
【0059】
例7(実施例)
例1で用いた陽極2上に、銅フタロシアニン(式8)を膜厚20nmに蒸着して界面層7を形成した。次いで、TPD(式2)を膜厚30nmに蒸着して正孔輸送層6を形成した。次いでAlqとキナクリドン(式9)とを異なるボートを用いて共蒸着して膜厚55nmに共蒸着して発光層を形成した。このときのキナクリドンの濃度は0.8モル%であった(Alqが99.2モル%)。
【0060】
【化11】
【0061】
【化12】
【0062】
さらに、式(10)で示されるβ−ジケトン化合物(M=Mg、2個の基の全てのR1 =R2 =メチル基、m=2)を5nm蒸着して電子輸送層4を形成した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着して界面層8を形成した。最後に、AlLi合金(Li含有量0.07重量%)をアルミナコート処理したるつぼを用いて膜厚200nmに蒸着して陰極5を形成して有機EL素子を作製した。
【0063】
【化13】
【0064】
例8(比較例)
例7のAlqとキナクリドン(式9)とからなる発光層の膜厚を55nmとし、次いでAlqのみから形成される電子輸送層を5nmとしたこと以外は同様にして有機EL素子を作製した。
【0065】
上記各例(実施例及び比較例)で作製した有機EL素子の発光効率特性(10V印加時の輝度(cd/m2 )と、発光効率(lm/W))を表1に示す。なお、電子輸送層の欄の記号は物質の略号を、また、番号は使用したβ−ジケトン化合物の式番号を示す。
【0066】
また、駆動安定性(窒素中、10mA/cm2 の一定電流で駆動したときに初期輝度が元の半分に低下するのに要した時間である半減寿命時間(時間))と、輝度が半減後の発光効率(lm/W)に関する測定結果を表2に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一般式(1)で示される特定のβ−ジケトン錯体を含む電子輸送層を使用することにより、素子の駆動電圧を下げるとともに高い輝度を得ることができる。また、発光層内での蛍光性有機材料の正孔、電子再結合による効率が向上し、高い発光効率と寿命に優れる有機EL素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の基本的な例の側面図。
【図2】本発明の有機EL素子の好ましい例の側面図。
【符号の説明】
1:基板
2:陽極
3:発光層
4:電子輸送層
5:陰極
6:正孔輸送層
7:界面層
8:界面層
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