JP2004207102A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004207102A JP2004207102A JP2002376280A JP2002376280A JP2004207102A JP 2004207102 A JP2004207102 A JP 2004207102A JP 2002376280 A JP2002376280 A JP 2002376280A JP 2002376280 A JP2002376280 A JP 2002376280A JP 2004207102 A JP2004207102 A JP 2004207102A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- compound
- layer
- group
- light emitting
- hole transporting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
- 0 CCC(C)(*(*)N)c1ccc(C(C)(C)*(*)N)cc1 Chemical compound CCC(C)(*(*)N)c1ccc(C(C)(C)*(*)N)cc1 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
- H10K50/00—Organic light-emitting devices
- H10K50/10—OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
- H10K50/14—Carrier transporting layers
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
- H10K50/00—Organic light-emitting devices
- H10K50/10—OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
- H10K50/11—OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
- H10K85/00—Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
- H10K85/30—Coordination compounds
- H10K85/321—Metal complexes comprising a group IIIA element, e.g. Tris (8-hydroxyquinoline) gallium [Gaq3]
- H10K85/324—Metal complexes comprising a group IIIA element, e.g. Tris (8-hydroxyquinoline) gallium [Gaq3] comprising aluminium, e.g. Alq3
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
- H10K85/00—Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
- H10K85/60—Organic compounds having low molecular weight
- H10K85/615—Polycyclic condensed aromatic hydrocarbons, e.g. anthracene
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
- H10K85/00—Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
- H10K85/60—Organic compounds having low molecular weight
- H10K85/631—Amine compounds having at least two aryl rest on at least one amine-nitrogen atom, e.g. triphenylamine
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
- H10K85/00—Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
- H10K85/60—Organic compounds having low molecular weight
- H10K85/649—Aromatic compounds comprising a hetero atom
Abstract
【課題】発光特性および寿命特性が改善された有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】陽極層に接する正孔輸送性の薄膜層を有し、その薄膜層が5質量%以上の高分子化合物を含みかつ該薄膜層の最低空軌道の値が2.1eV以上である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】図1
【解決手段】陽極層に接する正孔輸送性の薄膜層を有し、その薄膜層が5質量%以上の高分子化合物を含みかつ該薄膜層の最低空軌道の値が2.1eV以上である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光特性および寿命特性が改善された有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報通信分野における急速な技術開発の進展に伴い、CRTに代わるフラットディスプレイに大きな期待が寄せられている。なかでも有機EL素子は、高速応答性、視認性、輝度などの点に優れるため盛んに研究が行われている。
【0003】
有機EL素子では、陽極から正孔が注入され、陰極から電子が注入され、発光層中でそれらが再結合し、励起子が生成する。そのエネルギーが発光物質に移動し発光する。発光層が、ホスト化合物と発光性色素のゲスト化合物で構成される場合は、ホスト化合物に励起子が生成し、さらにゲスト化合物に移動して発光性色素の発光を得ることができる。このホスト化合物とゲスト化合物の組み合わせとしては、様々の高蛍光量子収率、高燐光量子収率の色素の組み合わせが知られている。
【0004】
有機EL素子では、発光時間とともに輝度低下が起こることが知られ、この輝度低下速度を抑制し、素子寿命を向上させることが重要な課題である。また、有機EL素子は、一般に薄膜で構成される素子のため、陽極層と陰極層の間の短絡やリーク電流が表示欠陥や短寿命化につながりやすい。
【0005】
素子寿命を向上させる方法としては、正孔輸送層に耐熱性の高い材料を用いたり、発光層に長寿命の発光性色素(ルブレンなど)をゲスト化合物としてドープする方法などが研究されている。また、発光層のホスト化合物中に複数種類のゲスト化合物を含有させて、高発光効率化や長寿命化を行う方法も開発されている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、高発光効率の素子であっても、輝度半減寿命が短いものや定電流駆動中の電圧上昇が大きいものもある。
【0006】
また、短絡抑制法として、陽極層表面に高分子化合物を用いることが知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法を用いても、まだ長寿命化は不充分であり、大幅な改善が望まれる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−134786号公報
【特許文献2】
特開2000−106277号公報
【特許文献3】
特開2002−38140号公報
【非特許文献1】
J.Kido, Appl. Phys. Lett., 761(1992)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記電圧上昇が大きいことと、輝度低下が速いことの原因の1つが、発光層のホスト化合物上のキャリアの蓄積と発光層の耐熱性の低さであると考えられる。例えば発光層のホスト化合物にAlqを用いた場合、Alqは、正孔輸送性より、電子輸送性が優性(電子の移動度:5.0×10−5cm2/Vs、正孔の移動度:8.0×10−8cm2/Vs)であるため、注入された正孔が1つのAlq分子上に留まりやすく、ホスト化合物の劣化へとつながる。これが、駆動電圧の上昇や輝度低下の原因となっていると考えられる。
【0009】
上記のホスト化合物の劣化はAlqに限られるものではなく、他のホスト化合物においても同様の劣化が起こり、駆動電圧の上昇や輝度低下の原因となっていると考えられる。したがって、ホスト化合物の劣化原因となるキャリアの滞留および蓄積を抑制すれば、輝度半減寿命を向上させ、駆動電圧の上昇を抑えることができると考えられる。
【0010】
また、陽極層表面に高分子化合物の薄膜層を形成して短絡やリーク電流を抑制する従来の方法が素子の長寿命化に充分寄与しなかった原因は、下記正孔輸送層や陽極界面層のキャリアの注入や輸送特性が充分に考慮されていなかったことによると考えられる。有機EL素子において、陽極層と発光層の間には正孔輸送層が設けられることが少なくない。さらに、正孔輸送層と陽極層の間に陽極界面層(または陽極バッファ層)と呼ばれる薄膜層が設けられることもある。したがって、これら正孔輸送層や陽極界面層に被覆性が高くかつ発光層の劣化を抑制できる高分子化合物を用いることにより、長寿命化が達成できると考えられる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、陽極層に接する正孔輸送層や陽極界面層に高分子化合物を用い、かつその層の最低空軌道の値が2.1eV以上とすることにより、短絡抑制と長寿命化が両立できることを見いだした。本発明はこれを要旨とする下記発明である。
【0012】
陽極層、陰極層、該陽極層と該陰極層との間に存在する発光層、および該発光層と該陽極層との間に存在する正孔輸送性の薄膜層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、陽極層に接する正孔輸送性の薄膜層が5質量%以上の高分子化合物を含みかつ該薄膜層の最低空軌道の値が2.1eV以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0013】
上記本発明の有機EL素子において正孔輸送性の薄膜層の高分子化合物は正孔輸送性高分子化合物であってもよく、正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物であってもよい。後者の場合、正孔輸送性の薄膜層はその高分子化合物と正孔輸送性の低分子化合物を含む。
【0014】
また、上記本発明の有機EL素子における発光層は従来公知の発光性有機化合物を含む発光層からなっていてもよいが、特に長寿命で発光効率の高い発光層であることが好ましい。そのような発光層としては、ホスト化合物、ガラス転移温度が100℃以上でかつその正孔易動度が該ホスト化合物の正孔易動度より大きい化合物からなる第1のゲスト化合物、およびそのバンドギャップが該ホスト化合物のバンドギャップより小さい化合物からなる第2のゲスト化合物の3成分をを含む発光層が好ましい。
なお、以下「最低空軌道(lowest unoccupied molecular orbital)」を「LUMO」と略称する。
【0015】
【発明の実施の形態】
前記したように、素子劣化原因の1つは発光層での正孔の蓄積であると考えられる。したがって、このキャリア蓄積を容易に解放できれば素子の劣化を抑制することができると考えられる。また、前記のように陽極層を充分に被覆することができれば短絡を防止し素子の長寿命化を達成できると考えられる。本発明における陽極層と接する正孔輸送性の薄膜層はこれらの機能のいずれをも達成することができると考えられる。
【0016】
このメカニズムをパルス駆動で発光させたケースを用いて説明する。パルス駆動中では、電極間にバイアスが印加されない期間や、発光時と逆方向のバイアスが印加される期間が存在する。その期間に陽極側から電子が注入されやすいかどうかを決めているのがLUMOのレベルであると考えられる。LUMOの値が大きい場合、発光時と逆方向のバイアスが印加される期間中、電子は注入されやすく、したがって、発光層に蓄積された正孔は解放されやすい。また、LUMOの値が小さい場合、その期間中、電子は注入されにくく、発光層に蓄積された正孔は解放されにくい。本発明では正孔輸送性の薄膜層のLUMOの値が大きい(2.1eV以上)ことより、したがって、発光層の劣化が有効に抑制されると考えられる。
【0017】
なお、このLUMOの値は、有機EL素子業界で標準的に使用される、大気下光電子分光(AC−1:理研計器社製)で測定した仕事関数値を最高被占軌道(HOMO;highest occupied molecular orbital)とし、UVの吸収スペクトル吸収端のエネルギーをバンドギャップ値として、HOMOの値からバンドギャップを差し引いた値として算出される値である。
【0018】
これらの劣化抑制効果を更に引き出すためには、発光層中にキャリア蓄積抑制を目的としてホスト化合物を上まわる正孔輸送性を持つ物質をゲスト化合物としてホスト化合物と併用することが有効であり、さらに、このゲスト化合物は、キャリア移動を担うため、耐熱性を考慮することが重要で、耐熱性の高い化合物を使用することが好ましい。また、ホスト化合物にキャリアが滞留、蓄積することを抑制することからホスト化合物を発光させることは好ましくなく、上記ゲスト化合物もキャリア移動を担うためのものであってそれ自身を発光させることは好ましくない。
【0019】
したがって、これらとは別に発光性物質を併用することが好ましく、その発光性物質としてそのバンドギャップがホスト化合物のバンドギャップより小さい発光性物質を第2のゲスト化合物として使用し、ホスト化合物や上記ゲスト化合物(第1のゲスト化合物)の発光を抑制することが好ましい。以下、上記のホスト化合物をホスト化合物(A)、上記の第1のゲスト化合物をゲスト化合物(B)、上記の第2のゲスト化合物をゲスト化合物(C)ともいう。
【0020】
本発明の有機EL素子の上記好ましい発光層の構成は、正孔輸送性の薄膜層と合わせて用いることでより優れた特性を発揮することができ、また高温での駆動寿命においても優れた特性を得ることができる。
【0021】
本発明の有機EL素子は、少なくとも、陽極層、陰極層、該陽極層と該陰極層との間に存在する発光層、および該発光層と該陽極層との間に存在する正孔輸送性の薄膜層を有する。正孔輸送性の薄膜層(以下、正孔輸送性層という)は陽極層に接する薄膜層であり、正孔輸送層が陽極層に接する構造の場合はその正孔輸送層であり、正孔輸送層と陽極界面層が存在し陽極界面層が陽極層に接する構造の場合はその陽極界面層である。本発明の有機EL素子は上記の層以外の層が存在していてもよく、たとえば、発光層と陰極層との間に電子輸送層が存在していてもよく、さらに電子輸送層と陰極層の間に陰極界面層が存在していてもよい。
【0022】
本発明において、正孔輸送性層は5質量%以上の高分子化合物を含む。高分子化合物が正孔輸送性の高分子化合物である場合は、正孔輸送性層はその正孔輸送性高分子化合物のみからなっていてもよい。この場合、正孔輸送性層における高分子化合物の含有量の上限は100質量%(すなわち、全量)である。高分子化合物が正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物である場合は、正孔輸送性層はその高分子化合物と正孔輸送性の低分子化合物とを含む。
【0023】
これら正孔輸送性層における高分子化合物の含有量は5質量%以上であることが必要であり、好ましくは25質量%以上である。なお、高分子化合物が正孔輸送性の高分子化合物である場合であっても正孔輸送性層はその高分子化合物以外に正孔輸送性の低分子化合物を含んでいてもよい。高分子化合物が正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物である場合は、正孔輸送性層は正孔輸送性の低分子化合物を5質量%以上含むことが好ましく、特に10〜75質量%含むことが好ましい。
【0024】
本発明において、正孔輸送性層のLUMOの値は2.1eV以上である。その上限は特に限定されるものではないが、現時点で容易に入手し得る材料から構成する場合、3.5eV程度である。正孔輸送性層のLUMOの値は、上記高分子化合物の選択により、また上記高分子化合物と上記低分子化合物のそれぞれの種類やそれらの組み合わせ割合などにより、様々に変化させることができる。
【0025】
正孔輸送性層の厚さは1〜200nmであることが好ましく、特に1〜40nmであることが好ましい。また、正孔輸送性層が陽極界面層である場合は1〜40nmであることが好ましく、正孔輸送性層が正孔輸送層である場合は20〜200nmであることが好ましい。
【0026】
正孔輸送性層における上記高分子化合物や正孔輸送性の低分子化合物は耐熱性の高い化合物であることが好ましく、具体的にはガラス転移温度が高い化合物が好ましい。好ましくは、ガラス転移温度が100℃以上、特に130℃以上の化合物を用いることが好ましい。このような耐熱性の高い化合物を用いることにより、耐熱性の高い有機EL素子を得ることができる。
【0027】
正孔輸送性層における上記高分子化合物としては、上記のように、正孔輸送性高分子化合物や正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物が使用される。これら高分子化合物としては、ベンゼン環、チオフェン環などの芳香族性環を主鎖や側鎖に有する高分子化合物が好ましい。芳香族性環としては、ベンゼン環などの単環、ナフタレン環などの縮合多環、ビフェニル環などの環集合式の環などがある。さらに好ましくは、芳香族性環が結合した第3級窒素原子を主鎖や側鎖に有する高分子化合物が好ましい。たとえば、窒素原子の結合手がすべて芳香族性環に結合したポリアリーレンポリアミンの残基を主鎖に有する縮重合系ポリマーや該残基を側鎖に有するビニルポリマーがある。具体的にはたとえば、テトラフェニルベンジジンの両末端のフェニル基の4位を結合手とする2価の含窒素アリーレン基を含む芳香族ポリエーテルスルホン類や芳香族ポリカーボネート類、テトラフェニルベンジジンの片末端のフェニル基の4位を結合手とする1価の含窒素アリール基を有するメタクリレート類などのビニルモノマーの重合単位を含むビニルポリマーなどがある。また、3,4−ジフェニルオキサジアゾールの両末端のフェニル基の4位を結合手とする2価のオキサジアゾール基含有アリーレン基を含む芳香族ポリエーテルスルホン類や芳香族ポリカーボネート類、3,4−ジフェニルオキサジアゾールの片末端のフェニル基の4位を結合手とする1価の残基を有するメタクリレート類などのビニルモノマーの重合単位を含むビニルポリマーなどがある。
【0028】
高分子化合物としては、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルフォネート(PEDOT)、ポリメタクリレートなどのビニルポリマー、および、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリスルホン、芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステルなどの芳香族縮重合系ポリマーが好ましい。芳香族縮重合系ポリマー中の少なくとも一部の繰り返し単位としては上記のような芳香族性環が結合した第3級窒素原子を含む繰り返し単位であることが好ましく、たとえば、テトラフェニルベンジジン残基含有ポリアリレンエーテルスルホン、テトラフェニルベンジジン残基含有ポリアリーレンエーテルケトン(以下「PTPDEK」と略称する)などがある。
【0029】
正孔輸送性の低分子化合物としては、従来正孔輸送層や陽極界面層の材料として知られた公知の正孔輸送性化合物を使用しうる。低分子の正孔輸送性化合物としては、後述ゲスト化合物(B)が好ましいがこれに限られず、たとえばガラス転移温度が100℃以下の化合物も使用できる。低分子の正孔輸送性化合物としては、特に後述ポリアリールポリアミン類が好ましい。例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下「TPD」と略称する)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下「NPD」と略称する)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(9−フェナントリル)−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下「PPD」と略称する)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下「MTDATA」と略称する)等の芳香族ポリアミン系化合物などがある。その他、特開平2−311591号公報で示されているヒドラゾン化合物が使用することができる。これらの正孔輸送性の低分子化合物は2種以上併用することができる。
【0030】
本発明において正孔輸送性層を形成する方法に特に制限はないが、高分子化合物と所望により低分子化合物を溶媒中に溶解し、その溶液を用いてスピンコート法、インクジェット法、スプレーコート法などを用いて塗膜を形成し、溶媒を蒸発除去して薄膜層とする方法が好ましい。
【0031】
前記のように、本発明の有機EL素子における発光層は、少なくとも、ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)の3成分を含む発光層であることが好ましい。発光層にはこれら各成分を2種以上含んでいてもよい。たとえば、2種以上のゲスト化合物(B)を含んでもよく、2種以上のゲスト化合物(C)を含んでいてもよい。ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)の各化合物はいずれも蛍光性または燐光性を有し量子収率が高いことがより好ましい。しかし、本発明有機EL素子のこれら3成分を含む発光層において実際に発光する化合物は実質的にゲスト化合物(C)のみである。
【0032】
上記ゲスト化合物(C)は、ガラス転移温度が100℃以上の化合物(以下、高Tg化合物ともいう)であってもよく、その正孔易動度はホスト化合物の正孔易動度より大きくてもよい。ゲスト化合物(C)が正孔輸送性でかつ高Tg化合物である場合は、ゲスト化合物(B)と区別し難い化合物となる。しかしその場合、本発明においては、ゲスト化合物(B)とゲスト化合物(C)との相対的なバンドギャップの相違や正孔易動度の相違などにより、発光層中で実際に発光する化合物をゲスト化合物(C)とし、実質的に発光しないゲスト化合物をゲスト化合物(B)とする。
【0033】
上記発光層において、ゲスト化合物(B)は多量のキャリアをホスト化合物(A)に蓄積させずにゲスト化合物(C)に移動させ、これにより発光層の駆動電圧上昇を抑え、輝度半減寿命を向上させる効果が発揮される。このようなゲスト化合物(B)は多量のキャリアの移動を担うことより耐熱性が要求され、ゲスト化合物(B)は高Tg化合物であることよりこの耐熱性を有する。
【0034】
ゲスト化合物(C)は、発光層において実質的に発光する化合物であり、ホスト化合物やゲスト化合物(B)からのキャリアの移動を受けて発光する。ホスト化合物の発光を抑制するためにゲスト化合物(C)のバンドギャップはホスト化合物のバンドギャップよりも小さくする必要がある。このゲスト化合物(C)の使用により発光に伴う電圧上昇を抑制し、輝度半減寿命を向上させる効果を有する。
【0035】
ホスト化合物(A)として、使用可能な物質としては、蛍光量子収率の大きい物質が使用できる。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾオキサゾール系、ベンゾイミダゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
特に、金属キレート化オキシノイド化合物のなかでは、式(1)で示される8−オキシキノリン系錯体が好ましく使用できる。
【0037】
【化1】
【0038】
ただし、上記化学式において、A1〜A6は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アリールアミン基、アラルキル基、アルキルアミノ基、または1価芳香族炭化水素基を、Mは金属原子を、mは金属原子Mの価数に応じて1〜3の整数を、Lはアルコキシ基またはアリールオキシ基を、kは金属原子Mの価数とmに応じて0〜2の整数を表す。上記アルキル基等の有機基における水素原子の一部はハロゲン原子に置換されていてもよく、上記アルキル基等の有機基における炭素−炭素結合間には酸素原子が挿入されていてもよい。
【0039】
この8−オキシキノリン系錯体の金属原子Mとしては、リチウム、銀、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、イットリウム、スカンジウム、ランタン、鉛、ジルコニウム、マンガン、ルテチウムなどがある。これらの中でも、高い蛍光量子収率を有するベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、スカンジウムを中心金属として有する錯体が好ましく使用することができる。
【0040】
ゲスト化合物(B)としては、Tgが100℃以上で、正孔易動度がホスト化合物の正孔易動度より大きい化合物である限り特に限定されないが、有機EL素子発光層におけるゲスト化合物として公知の化合物から選択されることが好ましい。このゲスト化合物(B)としては芳香族性環を有する化合物(以下、アリール系化合物という、また、芳香族性環基をアリール基という)が好ましく、特に2以上の芳香族性環を有するアリール系化合物から選択されることが好ましい。
【0041】
芳香族性環が2個以上縮合した縮合多環化合物では芳香族性環を2個以上有するものとする。2以上の芳香族性環を有するゲスト化合物としては、具体的には、たとえば、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、フェナントレン、フェナレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ベンゾフェナントレン、ジベンゾフェナントレン、ベンズアントラセン、ジベンズアントラセン、ベンゾナフタセン、コロネンなどの芳香族炭化水素やその誘導体、トリアリールアミン類、ポリアリールポリアミン類などのアリールアミン系化合物やその誘導体、などのアリール系化合物を挙げることができる。
【0042】
上記芳香族炭化水素としては、環の数が2以上(特に2〜6)の縮合多環式または環の数が2以上(特に2〜6)の環集合式の芳香族炭化水素が好ましい。その誘導体としては、芳香族炭化水素の1個以上の水素原子が、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アシル基、シアノ基、ハロゲン原子(特にフッ素原子や塩素原子)、単環または多環の複素環式化合物から水素原子を除いた1価の基などの置換基で置換された化合物がある。
【0043】
さらに、芳香族炭化水素が縮合多環式炭化水素の場合、その1個以上の水素原子が単環芳香族炭化水素から水素原子を除いた1価の基(フェニル基など)などの置換基を有する誘導体であってもよい。上記置換基におけるアリール基やアルキル基等もまた上記のような置換基を有していてもよい。上記芳香族炭化水素における置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、1価の芳香族性複素環基などであって、その炭素数が12以下の有機基、およびハロゲン原子が好ましい。最も好ましい置換基は炭素数4以下のアルキル基である。
【0044】
さらに、芳香族炭化水素が縮合多環式炭化水素の場合、炭素数4以下のアルキル基やハロゲン原子等で置換されていてもよいフェニル基もまた好ましい置換基である。
【0045】
前記アリールアミン系化合物とは、アリール基が結合した窒素原子を1個以上有する化合物をいい、窒素原子の3個の結合手のすべてが1価または多価のアリール基に結合している化合物が好ましい。トリアリールアミン類はアリール基が3個結合した窒素原子を1個有する化合物であり、ポリアリールポリアミン類はこのような窒素原子を2個以上有する化合物であり、すべての窒素原子のすべての結合手はアリール基に結合していることが好ましい。多価のアリール基としては2価または3価のアリール基が好ましい。
【0046】
アリールアミン系化合物におけるアリール基としては前記した芳香族炭化水素やその誘導体から芳香族性環に結合した水素原子の1個を除いた1価のアリール基や2個以上の水素原子を除いた多価のアリール基、および1〜3価のベンゼン環が好ましい。また、アリールアミン系化合物における複数のアリール基は異なっていてもよい。本発明においてアリールアミン系化合物としてはアリール基が結合した窒素原子を2〜10個有するポリアリールポリアミン類が好ましく、特に2〜6個の窒素原子を有するポリアリールポリアミン類が好ましい。
【0047】
ポリアリールポリアミン類においては、2個以上の窒素原子を連結する多価のアリール基を少なくとも1個有する。多価のアリール基としては、たとえば、2個の窒素原子を連結する2価のアリール基や3個の窒素原子を連結する3価のアリール基がある。ポリアリールポリアミン類としては2個の窒素原子を連結する2価のアリール基を1個以上有する化合物が好ましい。2価のアリール基としては、フェニレン基が2個以上連結した2価の基(ビフェニル−4,4’−ジイル基などのポリフェニル−ジイル基)やフェニレン基が好ましい。2価のアリール基としては、特にp−フェニレン基の数が2〜5(特に2または3)のポリ−p−フェニレン基が好ましい。ポリアリールポリアミン類はさらに窒素原子に結合した1価のアリール基を1個以上有する。ポリアリールポリアミン類における1価のアリール基としては、フェニル基、4−ビフェニリル基、1−ナフチル基、9−フェナントリル基が好ましい。これら1価〜多価のアリール基には前記したような置換基が結合していてもよく、その置換基としては炭素数4以下のアルキル基やハロゲン原子が好ましい。
【0048】
ゲスト化合物(B)としてはポリアリールポリアミン類が好ましい。ゲスト化合物(B)として特に好ましい化合物は、ポリアリールポリアミン類の範疇の化合物である、下記式(2)で表される化合物および下記式(5)で表される化合物である。以下、これら化合物を化学式の番号を付して、それぞれ化合物(2)、化合物(5)という。なお、以下記載において、番号で特定化された化学式で表される化合物や有機基も同様とする。
【0049】
【化2】
【0050】
ただし、式(2)において、Xは下記式(3)で表されるフェニル基を表し、Yは下記式(3)で表されるフェニル基または下記式(4)で表される1−ナフチル基を表し、4個のX、2個のYはそれぞれ互いに異なっていてもよい。
【0051】
【化3】
【0052】
(上記式(3)、(4)中のR1、R2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、芳香性複素環基、アシル基、シアノ基、ハロゲン原子を示す。pは0〜3の整数を表し、pが2または3の場合複数のR1は互いに異なっていてもよい。qは0〜4の整数を表し、qが2〜4の場合複数のR2は互いに異なっていてもよい。)。
【0053】
【化4】
【0054】
ただし、式(5)において、Xは下記式(3)で表されるフェニル基を表し、Zは下記式(6)で表される9−フェナントリル基を表し、nは1〜5の整数を表し、2個のX、2個のZはそれぞれ互いに異なっていてもよい。
【0055】
【化5】
【0056】
(上記式(3)、(6)中のR1、R3、R4は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、芳香性複素環基、アシル基、シアノ基、ハロゲン原子を示す。pは0〜3の整数を表し、pが2または3の場合複数のR1は互いに異なっていてもよい。rは0〜4の整数を表し、rが2〜4の場合複数のR3は互いに異なっていてもよい。sは0〜4の整数を表し、sが2〜4の場合複数のR4は互いに異なっていてもよい。)。
【0057】
化合物(2)は、トリス(4,4’−ビフェニリレン)テトラアミンの誘導体であり、Xは置換基を有していてもよいフェニル基であるフェニル基(3)を、Yはフェニル基(3)または置換基を有していてもよい1−ナフチル基であるナフチル基(4)を表す。フェニル基(3)における置換基(R1)の数pは0〜3の整数であり、pが1の場合は4位、pが2の場合は3位と4位、pが3の場合は3位と4位と5位に、置換基が結合することが好ましい。pは0または1であることが好ましい。pが2または3の場合、複数の置換基(R1)は異なっていてもよい。ナフチル基(4)における置換基(R2)の数qは0〜4の整数であり、qが1以上の場合置換基は3位〜6位のいずれか1以上に結合し、qが1または2の場合置換基は4位と5位のいずれかまたは両方に結合することが好ましい。qは0〜2が好ましく、特に0または1が好ましい。qが2〜4の場合、複数の置換基(R2)は異なっていてもよい。
【0058】
化合物(2)における4個のXは互いに異なっていてもよく、特に両末端側の窒素原子に結合したXとビフェニリレン基間の窒素原子に結合したXとは異なっていてもよい。両末端側の窒素原子に結合したXはいずれもフェニル基であるかモノ置換フェニル基であることが好ましく、ビフェニリレン基間の窒素原子に結合したXはいずれもフェニル基であることが好ましい。2個のYもまた異なっていてもよいが、いずれもフェニル基(3)であるか、いずれもナフチル基(4)であることが好ましい。
【0059】
化合物(5)におけるnは1〜5の整数を表し、2または3であることが好ましく、特に2が好ましい。nが1の化合物(5)は1,4−フェニレンジアミンの誘導体であり、nが2以上の場合は(ポリp−フェニレン)ジアミンの誘導体である。nが2の場合は4,4’−ビフェニリレンジアミン(すなわち、ベンジジン)の誘導体である。
【0060】
化合物(5)におけるXは上記と同じフェニル基(3)であり、化合物(5)において好ましいフェニル基(3)も化合物(2)におけるものと同様である。Zは置換基を有していてもよい9−フェナントリル基であるフェナントリル基(6)を表す。フェナントリル基(6)における置換基(R3)、置換基(R4)の数r、sはそれぞれ0〜4の整数であり、rが1または2の場合置換基(R3)は6位と7位の一方または両方に結合することが好ましく、sが1または2の場合置換基(R4)は2位と3位の一方または両方に結合することが好ましい。r、sはそれぞれ0〜2の整数が好ましい。置換基(R3)が複数存在する場合はそれらは異なっていてもよく、置換基(R4)が複数存在する場合もそれらは異なっていてもよい。2個のZは異なっていてもよいが、同一のフェナントリル基(6)であることが好ましい。2個のZはいずれも置換基を有しない9−フェナントリル基であることが最も好ましい。
【0061】
上記化合物(2)、化合物(5)における置換基であるR1〜R4は1価の基であり、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、芳香性複素環基、アシル基、シアノ基、ハロゲン原子(特にフッ素原子や塩素原子)が好ましい。上記シクロアルキル基、アリール基、芳香性複素環基などの環にはアルキル基等の置換基を有していてもよい。また、上記アルキル基等の有機基の炭素数は12以下が好ましい。
【0062】
R1〜R4としては、具体的にはたとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アリル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、フェニル基、4−メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、フェノキシ基、フェニルチオ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、アセチル基、ベンジル基などが挙げられる。置換基としては特に炭素数4以下のアルキル基が好ましい。
【0063】
ゲスト化合物(C)としては、そのバンドギャップがホスト化合物のバンドギャップより小さい化合物であり、上記ホスト化合物(A)とゲスト化合物(B)と組み合わされた場合に発光する発光性色素である。ゲスト化合物(C)としてはこの特性を有する化合物である限り特に限定されないが、有機EL素子発光層におけるゲスト化合物として公知の化合物から選択されることが好ましい。
【0064】
このゲスト化合物(C)としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−p−ジメチルアミノスチリル−4H−ピランなどのスチリルベンゼン系色素、オキサゾール系色素、ペリレン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素などのレーザー用色素、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ペンタセン誘導体などの縮合多環芳香族炭化水素系化合物、キナクリドン誘導体、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物などの蛍光増白剤として使用される蛍光性色素、金属キレート化オキシノイド化合物などがある。ゲスト化合物(C)は、有機EL素子の目的とする発光色に応じてこのような化合物から選択することができ、またこのような化合物を複数種併用して発光色を調節することができる。
【0065】
本発明における好ましい発光層はこれらホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)を含む組成物からなり、発光層内でこれら化合物は通常均一に混合された状態にある。発光層にはこれら化合物以外の化合物を含んでいてもよいが、通常これら化合物のみ(ただし、各化合物は2種以上含まれていてもよい)からなる。この発光層におけるホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)の合計量に対するゲスト化合物(B)の量は1〜60モル%が好ましく、特に3〜50モル%が好ましい。最も好ましいゲスト化合物(B)の量は10〜40モル%である。この発光層におけるホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)の合計量に対するゲスト化合物(C)の量は0.001〜40モル%が好ましく、特に0.01〜20モル%が好ましい。
【0066】
ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)を含む発光層は、あらかじめ混合されたこれら化合物の混合物から形成されてもよく、発光層形成時にこれら化合物が混合されて形成されてもよい。たとえば、スピンコート法で発光層を形成する場合、ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)を含む溶液を用いて発光層を形成することができる。たとえば、真空蒸着法発光層を形成する場合には、ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)をそれぞれ含む3つのボートから各化合物を昇華させてこれら化合物を含む発光層を形成することができ、またこれら化合物の混合物を含む1つのボートからこれら化合物を昇華させて発光層を形成することができる。これら3種の化合物の2種の混合物と残りの化合物から発光層を形成することもできる。
【0067】
本発明有機EL素子は上記発光層を陽極層と陰極層の間に有し、かつ前記正孔輸送性層を発光層と陽極層との間に有する有機EL素子である。以下、本発明有機EL素子を図面を用いて説明する。
【0068】
図1は本発明の有機EL素子の基本的な構成を示す側面図であり、図2は本発明の有機EL素子の他の例を示す側面図である。
【0069】
図1に示す有機EL素子は、基板1、陽極層2、正孔輸送層3、発光層4、陰極層5がこの順に積層された構造を有する。図2に示す有機EL素子は、図1に示した基本構造に加えて、陽極層2と正孔輸送層3との間に陽極界面層6が設けられ、発光層4と陰極層5の間に発光層4側に電子輸送層7が、陰極5側に陰極界面層8が設けられている。
【0070】
基板1は、有機EL素子の支持体であり、ガラス、プラスチックフィルム等の透明な基板が一般的には使用される。プラスチックの場合には、ポリカーボネート、ポリメタアクリレート、ポリサルホンなどがある。
【0071】
陽極層2は透明電極層であることが好ましく、基板1の上に設けられる。この透明電極層としては、通常、インジウム錫酸化物(ITO)薄膜や錫酸化物の薄膜から構成される。また、仕事関数の大きい銀、金等の金属、ヨウ化銅などの無機導電性物質、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などの材料からなる薄膜で構成されてもよい。
【0072】
この陽極層の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法等により行われることが一般的であるが、導電性高分子の場合には適当なバインダーとの溶液を基板上に塗布したり、電解重合により直接基板上に薄膜を作製することができる。透明電極層の膜厚は、必要とする透明性に依存するが、可視光の透過率が60%以上、好ましくは80%以上であり、この場合の膜厚は、5〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。
【0073】
図1や図2に示す構成では発光層4は正孔輸送層3の上に設けられる。この発光層4は前述のホスト化合物(A)と2種のゲスト化合物(B)、(C)を含む発光層であることが好ましい。発光層4の膜厚は、通常10〜200nmであり、好ましくは、20〜80nmである。この発光層4の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法等の種々の方法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無いサブミクロンオーダーの均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法、スピンコート法が好ましい。ホスト化合物と2種のゲスト化合物を混合する方法は、真空蒸着法では、ある一定割合で混合した材料を単一のボートやるつぼから昇華させる方法、複数のボートから複数の材料を別々に昇華させる方法などが適用できる。スピンコート法では、溶媒中に複数の材料を一定割合で溶解して製膜することが好ましい。
【0074】
陰極層5の材料としては、公知の有機EL素子用の陰極材料も含め種々の材料が使用できる。たとえば、マグネシウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム等がある。
【0075】
陰極層5の作製方法としては、真空蒸着法、イオン化蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法等の種々の公知の手法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無い均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法が好ましい。陰極の膜厚は、通常10〜1000nmであり、好ましくは50〜300nmである。
【0076】
図1に示すように、正孔輸送層3が陽極層2に接している場合は、この正孔輸送層3が正孔輸送性層(すなわち、正孔輸送性の薄膜層)である。この場合の正孔輸送層3は前記のように5質量%以上の高分子化合物を含みかつ最低空軌道の値が2.1eV以上である層である。一方、図2に示すように、陽極界面層6が陽極層2に接している場合はこの陽極界面層6が正孔輸送性層(すなわち、正孔輸送性の薄膜層)である。この場合の陽極界面層6は前記のように5質量%以上の高分子化合物を含みかつ最低空軌道の値が2.1eV以上である層である。後者の場合の正孔輸送層3は正孔輸送性層(すなわち、正孔輸送性の薄膜層)でなくてもよく、好ましくは高分子化合物を含まない正孔輸送層である。以下この図2で示す構造の有機EL素子における正孔輸送層について説明する。
【0077】
図2に示す正孔輸送層3に用いる正孔輸送材料としては、陽極界面層6からの正孔注入障壁が低く、さらに正孔移動度が高い材料が使用できる。このような正孔輸送材料としては、前記の従来正孔輸送層や陽極界面層の材料として知られた公知の正孔輸送性化合物を使用しうる。特に前述のポリアリールポリアミン類が好ましい。TPD、NPD、PPD、MTDATA等の芳香族ジアミン系化合物、ヒドラゾン化合物などを使用することができる。特に前記ポリアリーレンポリアミン類が好ましい。また、前記したポリ−N−ビニルカルバゾールなどの正孔輸送性の高分子化合物やその他ポリシランのような正孔輸送性の高分子化合物も使用することができる(Appl.Phys.Lett.,59,2760(1991))。これらの正孔輸送性の化合物は2種以上併用することができる。
【0078】
正孔輸送性の化合物としては、上記有機物質だけではなく無機物質も使用することができる。無機物質としては、金属カルコゲン化物、金属ハロゲン化物、金属炭化物、ニッケル酸化物、鉛酸化物、銅の沃化物、鉛の硫化物等のp型化合物半導体、p型水素化非晶質シリコン半導体、p型水素化非晶質炭化シリコン半導体等がある。これらの正孔輸送材料は2種以上併用することができ、また有機物質の正孔輸送材料と併用することもできる。
【0079】
図2に示す正孔輸送層3において、その耐熱性や薄膜均一性を向上させるために、正孔のトラップとなりにくい高分子化合物をバインダーとして正孔輸送輸送材料と混合して使用することもできる。このようなバインダーとしては、前記した正孔輸送性の高分子化合物や正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物を使用しうる。バインダーの含有量は、正孔移動度を低下させない10〜50質量%が好ましい。
【0080】
有機物質、無機物質いずれを使用した場合においても正孔輸送層の膜厚は、通常10〜200nmであり、好ましくは20〜80nmである。この正孔輸送層の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法、CVD法等の種々の公知の手法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無いサブミクロンオーダーの均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法、スピンコート法が好ましい。
【0081】
電子輸送層7は、発光層4と陰極層5との間に必要に応じて設けることができる。この電子輸送層7の電子輸送性物質としては、電子親和力が大きく電子の移動度が大きい物質が使用される。このような条件を満たす物質としては、シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報)、p−フェニレン化合物(特開平3−33183号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、トリアゾール誘導体(特開平7−90260号公報)などが挙げられる。
【0082】
陰極界面層8を、電子輸送層7と陰極層5との間に、必要に応じて設けることもできる。この界面層を設けることにより、駆動電圧の低減や発光効率の向上、長寿命化を達成することができる。この陰極界面層8は陰極層5からの電子注入を容易にする効果や陰極層との密着性をあげる効果がある。
【0083】
このような陰極界面層8の材料としては、フッ化リチウム(Appl.Phys.Lett.,70,152(1997))に代表されるアルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化リチウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物がある。このような材料がそれ自体絶縁体である場合には、使用する膜厚は、通常5nm以下の薄膜であり、好ましくは、2nm以下とすることにより陰極層からの電子のトンネル注入が可能となると考えられる。また、アルカリ金属やアルカリ土類金属のβ−ジケトン錯体などの有機物も陰極界面層8の材料として使用できる。
【0084】
これら電子輸送層7、陰極界面層8の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法、CVD法等の種々の公知の手法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無いサブミクロンオーダーの均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法、スピンコート法が好ましい。
【0085】
本発明の有機EL素子は、図1や図2に示した構造に限られるものではなく、有機EL素子として機能する範囲であれば、前記の層自体が複数の層で形成されていたり、それらの間にさらに他の層を挟んだりしてもよい。これらの層の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法、CVD法等の種々の公知の手法が適用できる。
【0086】
本発明の有機EL素子においては、大気中における保存安定性、駆動安定性を確保するために、高分子膜や無機保護膜をコーティングしたりガラス封止により大気中の酸素や水分から遮断することが好ましい。ただし、封止空間に、少量の酸素を含有することは、短絡抑制効果を有して好ましい。また、封止空間には、捕水剤を封入することも好ましい。
【0087】
本発明の有機EL素子は、全面発光体として使用して、液晶表示素子のバックライトや壁面照明素子として使用することができ、またパターニングして画素を形成してディスプレイとして使用することができる。
【0088】
【実施例】
以下、本発明の具体的な態様を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、有機EL素子の評価法は、後述の評価結果の項に記載する。
【0089】
例1(実施例)
ガラス基板上にITOを膜厚200nmで蒸着して陽極層2(シート抵抗7Ω/□)を形成した。下記式(8)で表されるPPD(以下化合物(8)という)とポリビニルカルバゾールを質量比1:2でジクロロメタンに溶解した溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して15nmの厚さの陽極界面層6を形成した。次に陽極界面層6上に真空蒸着法により、化合物(8)を厚さ60nmに蒸着して、正孔輸送層3を形成した。
【0090】
次いで、下記式(7)で表される化合物であるAlq(ホスト化合物(A))、化合物(8)(ゲスト化合物(B))および下記式(9)で表されるクマリン545T(ゲスト化合物(C))をそれぞれ異なるボートを用いて膜厚30nmに共蒸着して発光層4を形成した。得られた発光層における化合物(8)の濃度は30モル%、クマリン545Tの濃度は1.0モル%であった。
【0091】
次いで、発光層4上にAlqを30nm蒸着して電子輸送層7とし、さらに電子輸送層7上に陰極界面層8としてLiFの層0.5nm、次いで陰極層5としてアルミニウム層200nmを順に真空蒸着して有機EL素子を作製した。このときの真空度は8.0×10−6トールであった。得られた素子に対して、後述の方法で寿命測定を行った。
【0092】
なお、上記陽極界面層6のLUMOは2.3eVであった。また、化合物(8)のTgは147℃でその正孔易動度はAlqより大きく、クマリン545TのバンドギャップはAlqのバンドギャップより小さい。
【0093】
【化6】
【0094】
例2(実施例)
例1における発光層4の構成を変える以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、Alqおよびクマリン545Tをそれぞれ異なるボートを用いて膜厚30nmに共蒸着して発光層4を形成した(化合物(8)を使用せず)。発光層4におけるクマリン545Tの濃度は1.0モル%とした。
【0095】
例3(実施例)
例1における発光層4の構成を変える以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、発光層4中の発光性色素としてクマリン545Tの代りに、下記式(10)で表される化合物(DCJTB)を2モル%を用いたこと以外は、例1と同じ材料を使用して発光層4を形成した(化合物(8)の濃度は30モル%)。なお、DCJTBはそのバンドギャップがホスト化合物Alqのバンドギャップより小さい発光性色素である。
【0096】
【化7】
【0097】
例4(比較例)
例1における陽極界面層6の代りに、下記溶液を用いて下記陽極界面層6を形成する以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、下記式(11)で表される繰り返し単位を有するテトラフェニルベンジジン残基含有ポリアリーレンエーテルケトン(PTPDEK)を溶解したシクロヘキサノンの溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して20nmの厚さの陽極界面層6を形成した。なお、陽極界面層(PTPDEKのみ)のLUMOの値は2.0eVである。
【0098】
【化8】
【0099】
例5(実施例)
例1における陽極界面層6の代りに、下記溶液を用いて下記陽極界面層6を形成する以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、下記式(12)で表される化合物(TPD)と前記テトラフェニルベンジジン残基含有ポリアリーレンエーテルケトン(PTPDEK)を質量比2:1で溶解したシクロヘキサノンの溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して20nmの厚さの陽極界面層6を形成した。なお、陽極界面層のLUMOの値は2.4eVである。
【0100】
【化9】
【0101】
例6(比較例)
例1における陽極界面層6の代りに、下記溶液を用いて下記陽極界面層6を形成する以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、化合物(8)とポリビニルカルバゾールを質量比97:3で溶解したジクロロメタンの溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して15nmの厚さの陽極界面層6を形成した。なお、陽極界面層のLUMOの値は2.4eVである。
【0102】
例7(実施例)
例1における陽極界面層6の代りに、下記溶液を用いて下記陽極界面層6を形成する以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、前記式(12)で表される化合物(TPD)とポリビニルカルバゾールを質量比1:1で溶解したジクロロメタンの溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して20nmの厚さの陽極界面層6を形成した。なお、陽極界面層のLUMOの値は2.3eVである。
【0103】
(評価結果)
例1〜7において、前記した有機EL素子の評価を行った結果を表1に示す。また、各例における陽極界面層中の高分子化合物の割合(質量%)とLUMOの値(eV)も表1に示す。有機EL素子の評価は、85℃、1/64dutyパルス駆動(70Hz、選択時150mA/cm2、非選択時−10V印加)、窒素雰囲気中で、輝度半減までの時間(寿命と称す)を測定し、この寿命の長さ(時間;hr)で評価し表1に示す。また、短絡抑制、リーク電流の指標として、寿命測定後の−20V電圧印加時の電流密度の値を測定した。その値をリーク電流(mA/cm2)として表1に示す。この値が小さいほど、リーク電流は少ないことを意味している。
【0104】
【表1】
【0105】
【発明の効果】
本発明により、発光特性および寿命特性が改善された有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明有機EL素子の基本的な構成を示す側面図。
【図2】本発明の有機EL素子の他の例を示す側面図。
【符号の説明】
1:基板
2:陽極層
3:正孔輸送層
4:発光層
5:陰極層
6:陽極界面層
7:電子輸送層
8:陰極界面層
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光特性および寿命特性が改善された有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報通信分野における急速な技術開発の進展に伴い、CRTに代わるフラットディスプレイに大きな期待が寄せられている。なかでも有機EL素子は、高速応答性、視認性、輝度などの点に優れるため盛んに研究が行われている。
【0003】
有機EL素子では、陽極から正孔が注入され、陰極から電子が注入され、発光層中でそれらが再結合し、励起子が生成する。そのエネルギーが発光物質に移動し発光する。発光層が、ホスト化合物と発光性色素のゲスト化合物で構成される場合は、ホスト化合物に励起子が生成し、さらにゲスト化合物に移動して発光性色素の発光を得ることができる。このホスト化合物とゲスト化合物の組み合わせとしては、様々の高蛍光量子収率、高燐光量子収率の色素の組み合わせが知られている。
【0004】
有機EL素子では、発光時間とともに輝度低下が起こることが知られ、この輝度低下速度を抑制し、素子寿命を向上させることが重要な課題である。また、有機EL素子は、一般に薄膜で構成される素子のため、陽極層と陰極層の間の短絡やリーク電流が表示欠陥や短寿命化につながりやすい。
【0005】
素子寿命を向上させる方法としては、正孔輸送層に耐熱性の高い材料を用いたり、発光層に長寿命の発光性色素(ルブレンなど)をゲスト化合物としてドープする方法などが研究されている。また、発光層のホスト化合物中に複数種類のゲスト化合物を含有させて、高発光効率化や長寿命化を行う方法も開発されている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、高発光効率の素子であっても、輝度半減寿命が短いものや定電流駆動中の電圧上昇が大きいものもある。
【0006】
また、短絡抑制法として、陽極層表面に高分子化合物を用いることが知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法を用いても、まだ長寿命化は不充分であり、大幅な改善が望まれる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−134786号公報
【特許文献2】
特開2000−106277号公報
【特許文献3】
特開2002−38140号公報
【非特許文献1】
J.Kido, Appl. Phys. Lett., 761(1992)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記電圧上昇が大きいことと、輝度低下が速いことの原因の1つが、発光層のホスト化合物上のキャリアの蓄積と発光層の耐熱性の低さであると考えられる。例えば発光層のホスト化合物にAlqを用いた場合、Alqは、正孔輸送性より、電子輸送性が優性(電子の移動度:5.0×10−5cm2/Vs、正孔の移動度:8.0×10−8cm2/Vs)であるため、注入された正孔が1つのAlq分子上に留まりやすく、ホスト化合物の劣化へとつながる。これが、駆動電圧の上昇や輝度低下の原因となっていると考えられる。
【0009】
上記のホスト化合物の劣化はAlqに限られるものではなく、他のホスト化合物においても同様の劣化が起こり、駆動電圧の上昇や輝度低下の原因となっていると考えられる。したがって、ホスト化合物の劣化原因となるキャリアの滞留および蓄積を抑制すれば、輝度半減寿命を向上させ、駆動電圧の上昇を抑えることができると考えられる。
【0010】
また、陽極層表面に高分子化合物の薄膜層を形成して短絡やリーク電流を抑制する従来の方法が素子の長寿命化に充分寄与しなかった原因は、下記正孔輸送層や陽極界面層のキャリアの注入や輸送特性が充分に考慮されていなかったことによると考えられる。有機EL素子において、陽極層と発光層の間には正孔輸送層が設けられることが少なくない。さらに、正孔輸送層と陽極層の間に陽極界面層(または陽極バッファ層)と呼ばれる薄膜層が設けられることもある。したがって、これら正孔輸送層や陽極界面層に被覆性が高くかつ発光層の劣化を抑制できる高分子化合物を用いることにより、長寿命化が達成できると考えられる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、陽極層に接する正孔輸送層や陽極界面層に高分子化合物を用い、かつその層の最低空軌道の値が2.1eV以上とすることにより、短絡抑制と長寿命化が両立できることを見いだした。本発明はこれを要旨とする下記発明である。
【0012】
陽極層、陰極層、該陽極層と該陰極層との間に存在する発光層、および該発光層と該陽極層との間に存在する正孔輸送性の薄膜層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、陽極層に接する正孔輸送性の薄膜層が5質量%以上の高分子化合物を含みかつ該薄膜層の最低空軌道の値が2.1eV以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0013】
上記本発明の有機EL素子において正孔輸送性の薄膜層の高分子化合物は正孔輸送性高分子化合物であってもよく、正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物であってもよい。後者の場合、正孔輸送性の薄膜層はその高分子化合物と正孔輸送性の低分子化合物を含む。
【0014】
また、上記本発明の有機EL素子における発光層は従来公知の発光性有機化合物を含む発光層からなっていてもよいが、特に長寿命で発光効率の高い発光層であることが好ましい。そのような発光層としては、ホスト化合物、ガラス転移温度が100℃以上でかつその正孔易動度が該ホスト化合物の正孔易動度より大きい化合物からなる第1のゲスト化合物、およびそのバンドギャップが該ホスト化合物のバンドギャップより小さい化合物からなる第2のゲスト化合物の3成分をを含む発光層が好ましい。
なお、以下「最低空軌道(lowest unoccupied molecular orbital)」を「LUMO」と略称する。
【0015】
【発明の実施の形態】
前記したように、素子劣化原因の1つは発光層での正孔の蓄積であると考えられる。したがって、このキャリア蓄積を容易に解放できれば素子の劣化を抑制することができると考えられる。また、前記のように陽極層を充分に被覆することができれば短絡を防止し素子の長寿命化を達成できると考えられる。本発明における陽極層と接する正孔輸送性の薄膜層はこれらの機能のいずれをも達成することができると考えられる。
【0016】
このメカニズムをパルス駆動で発光させたケースを用いて説明する。パルス駆動中では、電極間にバイアスが印加されない期間や、発光時と逆方向のバイアスが印加される期間が存在する。その期間に陽極側から電子が注入されやすいかどうかを決めているのがLUMOのレベルであると考えられる。LUMOの値が大きい場合、発光時と逆方向のバイアスが印加される期間中、電子は注入されやすく、したがって、発光層に蓄積された正孔は解放されやすい。また、LUMOの値が小さい場合、その期間中、電子は注入されにくく、発光層に蓄積された正孔は解放されにくい。本発明では正孔輸送性の薄膜層のLUMOの値が大きい(2.1eV以上)ことより、したがって、発光層の劣化が有効に抑制されると考えられる。
【0017】
なお、このLUMOの値は、有機EL素子業界で標準的に使用される、大気下光電子分光(AC−1:理研計器社製)で測定した仕事関数値を最高被占軌道(HOMO;highest occupied molecular orbital)とし、UVの吸収スペクトル吸収端のエネルギーをバンドギャップ値として、HOMOの値からバンドギャップを差し引いた値として算出される値である。
【0018】
これらの劣化抑制効果を更に引き出すためには、発光層中にキャリア蓄積抑制を目的としてホスト化合物を上まわる正孔輸送性を持つ物質をゲスト化合物としてホスト化合物と併用することが有効であり、さらに、このゲスト化合物は、キャリア移動を担うため、耐熱性を考慮することが重要で、耐熱性の高い化合物を使用することが好ましい。また、ホスト化合物にキャリアが滞留、蓄積することを抑制することからホスト化合物を発光させることは好ましくなく、上記ゲスト化合物もキャリア移動を担うためのものであってそれ自身を発光させることは好ましくない。
【0019】
したがって、これらとは別に発光性物質を併用することが好ましく、その発光性物質としてそのバンドギャップがホスト化合物のバンドギャップより小さい発光性物質を第2のゲスト化合物として使用し、ホスト化合物や上記ゲスト化合物(第1のゲスト化合物)の発光を抑制することが好ましい。以下、上記のホスト化合物をホスト化合物(A)、上記の第1のゲスト化合物をゲスト化合物(B)、上記の第2のゲスト化合物をゲスト化合物(C)ともいう。
【0020】
本発明の有機EL素子の上記好ましい発光層の構成は、正孔輸送性の薄膜層と合わせて用いることでより優れた特性を発揮することができ、また高温での駆動寿命においても優れた特性を得ることができる。
【0021】
本発明の有機EL素子は、少なくとも、陽極層、陰極層、該陽極層と該陰極層との間に存在する発光層、および該発光層と該陽極層との間に存在する正孔輸送性の薄膜層を有する。正孔輸送性の薄膜層(以下、正孔輸送性層という)は陽極層に接する薄膜層であり、正孔輸送層が陽極層に接する構造の場合はその正孔輸送層であり、正孔輸送層と陽極界面層が存在し陽極界面層が陽極層に接する構造の場合はその陽極界面層である。本発明の有機EL素子は上記の層以外の層が存在していてもよく、たとえば、発光層と陰極層との間に電子輸送層が存在していてもよく、さらに電子輸送層と陰極層の間に陰極界面層が存在していてもよい。
【0022】
本発明において、正孔輸送性層は5質量%以上の高分子化合物を含む。高分子化合物が正孔輸送性の高分子化合物である場合は、正孔輸送性層はその正孔輸送性高分子化合物のみからなっていてもよい。この場合、正孔輸送性層における高分子化合物の含有量の上限は100質量%(すなわち、全量)である。高分子化合物が正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物である場合は、正孔輸送性層はその高分子化合物と正孔輸送性の低分子化合物とを含む。
【0023】
これら正孔輸送性層における高分子化合物の含有量は5質量%以上であることが必要であり、好ましくは25質量%以上である。なお、高分子化合物が正孔輸送性の高分子化合物である場合であっても正孔輸送性層はその高分子化合物以外に正孔輸送性の低分子化合物を含んでいてもよい。高分子化合物が正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物である場合は、正孔輸送性層は正孔輸送性の低分子化合物を5質量%以上含むことが好ましく、特に10〜75質量%含むことが好ましい。
【0024】
本発明において、正孔輸送性層のLUMOの値は2.1eV以上である。その上限は特に限定されるものではないが、現時点で容易に入手し得る材料から構成する場合、3.5eV程度である。正孔輸送性層のLUMOの値は、上記高分子化合物の選択により、また上記高分子化合物と上記低分子化合物のそれぞれの種類やそれらの組み合わせ割合などにより、様々に変化させることができる。
【0025】
正孔輸送性層の厚さは1〜200nmであることが好ましく、特に1〜40nmであることが好ましい。また、正孔輸送性層が陽極界面層である場合は1〜40nmであることが好ましく、正孔輸送性層が正孔輸送層である場合は20〜200nmであることが好ましい。
【0026】
正孔輸送性層における上記高分子化合物や正孔輸送性の低分子化合物は耐熱性の高い化合物であることが好ましく、具体的にはガラス転移温度が高い化合物が好ましい。好ましくは、ガラス転移温度が100℃以上、特に130℃以上の化合物を用いることが好ましい。このような耐熱性の高い化合物を用いることにより、耐熱性の高い有機EL素子を得ることができる。
【0027】
正孔輸送性層における上記高分子化合物としては、上記のように、正孔輸送性高分子化合物や正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物が使用される。これら高分子化合物としては、ベンゼン環、チオフェン環などの芳香族性環を主鎖や側鎖に有する高分子化合物が好ましい。芳香族性環としては、ベンゼン環などの単環、ナフタレン環などの縮合多環、ビフェニル環などの環集合式の環などがある。さらに好ましくは、芳香族性環が結合した第3級窒素原子を主鎖や側鎖に有する高分子化合物が好ましい。たとえば、窒素原子の結合手がすべて芳香族性環に結合したポリアリーレンポリアミンの残基を主鎖に有する縮重合系ポリマーや該残基を側鎖に有するビニルポリマーがある。具体的にはたとえば、テトラフェニルベンジジンの両末端のフェニル基の4位を結合手とする2価の含窒素アリーレン基を含む芳香族ポリエーテルスルホン類や芳香族ポリカーボネート類、テトラフェニルベンジジンの片末端のフェニル基の4位を結合手とする1価の含窒素アリール基を有するメタクリレート類などのビニルモノマーの重合単位を含むビニルポリマーなどがある。また、3,4−ジフェニルオキサジアゾールの両末端のフェニル基の4位を結合手とする2価のオキサジアゾール基含有アリーレン基を含む芳香族ポリエーテルスルホン類や芳香族ポリカーボネート類、3,4−ジフェニルオキサジアゾールの片末端のフェニル基の4位を結合手とする1価の残基を有するメタクリレート類などのビニルモノマーの重合単位を含むビニルポリマーなどがある。
【0028】
高分子化合物としては、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルフォネート(PEDOT)、ポリメタクリレートなどのビニルポリマー、および、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリスルホン、芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステルなどの芳香族縮重合系ポリマーが好ましい。芳香族縮重合系ポリマー中の少なくとも一部の繰り返し単位としては上記のような芳香族性環が結合した第3級窒素原子を含む繰り返し単位であることが好ましく、たとえば、テトラフェニルベンジジン残基含有ポリアリレンエーテルスルホン、テトラフェニルベンジジン残基含有ポリアリーレンエーテルケトン(以下「PTPDEK」と略称する)などがある。
【0029】
正孔輸送性の低分子化合物としては、従来正孔輸送層や陽極界面層の材料として知られた公知の正孔輸送性化合物を使用しうる。低分子の正孔輸送性化合物としては、後述ゲスト化合物(B)が好ましいがこれに限られず、たとえばガラス転移温度が100℃以下の化合物も使用できる。低分子の正孔輸送性化合物としては、特に後述ポリアリールポリアミン類が好ましい。例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下「TPD」と略称する)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下「NPD」と略称する)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(9−フェナントリル)−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下「PPD」と略称する)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下「MTDATA」と略称する)等の芳香族ポリアミン系化合物などがある。その他、特開平2−311591号公報で示されているヒドラゾン化合物が使用することができる。これらの正孔輸送性の低分子化合物は2種以上併用することができる。
【0030】
本発明において正孔輸送性層を形成する方法に特に制限はないが、高分子化合物と所望により低分子化合物を溶媒中に溶解し、その溶液を用いてスピンコート法、インクジェット法、スプレーコート法などを用いて塗膜を形成し、溶媒を蒸発除去して薄膜層とする方法が好ましい。
【0031】
前記のように、本発明の有機EL素子における発光層は、少なくとも、ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)の3成分を含む発光層であることが好ましい。発光層にはこれら各成分を2種以上含んでいてもよい。たとえば、2種以上のゲスト化合物(B)を含んでもよく、2種以上のゲスト化合物(C)を含んでいてもよい。ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)の各化合物はいずれも蛍光性または燐光性を有し量子収率が高いことがより好ましい。しかし、本発明有機EL素子のこれら3成分を含む発光層において実際に発光する化合物は実質的にゲスト化合物(C)のみである。
【0032】
上記ゲスト化合物(C)は、ガラス転移温度が100℃以上の化合物(以下、高Tg化合物ともいう)であってもよく、その正孔易動度はホスト化合物の正孔易動度より大きくてもよい。ゲスト化合物(C)が正孔輸送性でかつ高Tg化合物である場合は、ゲスト化合物(B)と区別し難い化合物となる。しかしその場合、本発明においては、ゲスト化合物(B)とゲスト化合物(C)との相対的なバンドギャップの相違や正孔易動度の相違などにより、発光層中で実際に発光する化合物をゲスト化合物(C)とし、実質的に発光しないゲスト化合物をゲスト化合物(B)とする。
【0033】
上記発光層において、ゲスト化合物(B)は多量のキャリアをホスト化合物(A)に蓄積させずにゲスト化合物(C)に移動させ、これにより発光層の駆動電圧上昇を抑え、輝度半減寿命を向上させる効果が発揮される。このようなゲスト化合物(B)は多量のキャリアの移動を担うことより耐熱性が要求され、ゲスト化合物(B)は高Tg化合物であることよりこの耐熱性を有する。
【0034】
ゲスト化合物(C)は、発光層において実質的に発光する化合物であり、ホスト化合物やゲスト化合物(B)からのキャリアの移動を受けて発光する。ホスト化合物の発光を抑制するためにゲスト化合物(C)のバンドギャップはホスト化合物のバンドギャップよりも小さくする必要がある。このゲスト化合物(C)の使用により発光に伴う電圧上昇を抑制し、輝度半減寿命を向上させる効果を有する。
【0035】
ホスト化合物(A)として、使用可能な物質としては、蛍光量子収率の大きい物質が使用できる。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾオキサゾール系、ベンゾイミダゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
特に、金属キレート化オキシノイド化合物のなかでは、式(1)で示される8−オキシキノリン系錯体が好ましく使用できる。
【0037】
【化1】
【0038】
ただし、上記化学式において、A1〜A6は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アリールアミン基、アラルキル基、アルキルアミノ基、または1価芳香族炭化水素基を、Mは金属原子を、mは金属原子Mの価数に応じて1〜3の整数を、Lはアルコキシ基またはアリールオキシ基を、kは金属原子Mの価数とmに応じて0〜2の整数を表す。上記アルキル基等の有機基における水素原子の一部はハロゲン原子に置換されていてもよく、上記アルキル基等の有機基における炭素−炭素結合間には酸素原子が挿入されていてもよい。
【0039】
この8−オキシキノリン系錯体の金属原子Mとしては、リチウム、銀、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、イットリウム、スカンジウム、ランタン、鉛、ジルコニウム、マンガン、ルテチウムなどがある。これらの中でも、高い蛍光量子収率を有するベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、スカンジウムを中心金属として有する錯体が好ましく使用することができる。
【0040】
ゲスト化合物(B)としては、Tgが100℃以上で、正孔易動度がホスト化合物の正孔易動度より大きい化合物である限り特に限定されないが、有機EL素子発光層におけるゲスト化合物として公知の化合物から選択されることが好ましい。このゲスト化合物(B)としては芳香族性環を有する化合物(以下、アリール系化合物という、また、芳香族性環基をアリール基という)が好ましく、特に2以上の芳香族性環を有するアリール系化合物から選択されることが好ましい。
【0041】
芳香族性環が2個以上縮合した縮合多環化合物では芳香族性環を2個以上有するものとする。2以上の芳香族性環を有するゲスト化合物としては、具体的には、たとえば、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、フェナントレン、フェナレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ベンゾフェナントレン、ジベンゾフェナントレン、ベンズアントラセン、ジベンズアントラセン、ベンゾナフタセン、コロネンなどの芳香族炭化水素やその誘導体、トリアリールアミン類、ポリアリールポリアミン類などのアリールアミン系化合物やその誘導体、などのアリール系化合物を挙げることができる。
【0042】
上記芳香族炭化水素としては、環の数が2以上(特に2〜6)の縮合多環式または環の数が2以上(特に2〜6)の環集合式の芳香族炭化水素が好ましい。その誘導体としては、芳香族炭化水素の1個以上の水素原子が、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アシル基、シアノ基、ハロゲン原子(特にフッ素原子や塩素原子)、単環または多環の複素環式化合物から水素原子を除いた1価の基などの置換基で置換された化合物がある。
【0043】
さらに、芳香族炭化水素が縮合多環式炭化水素の場合、その1個以上の水素原子が単環芳香族炭化水素から水素原子を除いた1価の基(フェニル基など)などの置換基を有する誘導体であってもよい。上記置換基におけるアリール基やアルキル基等もまた上記のような置換基を有していてもよい。上記芳香族炭化水素における置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、1価の芳香族性複素環基などであって、その炭素数が12以下の有機基、およびハロゲン原子が好ましい。最も好ましい置換基は炭素数4以下のアルキル基である。
【0044】
さらに、芳香族炭化水素が縮合多環式炭化水素の場合、炭素数4以下のアルキル基やハロゲン原子等で置換されていてもよいフェニル基もまた好ましい置換基である。
【0045】
前記アリールアミン系化合物とは、アリール基が結合した窒素原子を1個以上有する化合物をいい、窒素原子の3個の結合手のすべてが1価または多価のアリール基に結合している化合物が好ましい。トリアリールアミン類はアリール基が3個結合した窒素原子を1個有する化合物であり、ポリアリールポリアミン類はこのような窒素原子を2個以上有する化合物であり、すべての窒素原子のすべての結合手はアリール基に結合していることが好ましい。多価のアリール基としては2価または3価のアリール基が好ましい。
【0046】
アリールアミン系化合物におけるアリール基としては前記した芳香族炭化水素やその誘導体から芳香族性環に結合した水素原子の1個を除いた1価のアリール基や2個以上の水素原子を除いた多価のアリール基、および1〜3価のベンゼン環が好ましい。また、アリールアミン系化合物における複数のアリール基は異なっていてもよい。本発明においてアリールアミン系化合物としてはアリール基が結合した窒素原子を2〜10個有するポリアリールポリアミン類が好ましく、特に2〜6個の窒素原子を有するポリアリールポリアミン類が好ましい。
【0047】
ポリアリールポリアミン類においては、2個以上の窒素原子を連結する多価のアリール基を少なくとも1個有する。多価のアリール基としては、たとえば、2個の窒素原子を連結する2価のアリール基や3個の窒素原子を連結する3価のアリール基がある。ポリアリールポリアミン類としては2個の窒素原子を連結する2価のアリール基を1個以上有する化合物が好ましい。2価のアリール基としては、フェニレン基が2個以上連結した2価の基(ビフェニル−4,4’−ジイル基などのポリフェニル−ジイル基)やフェニレン基が好ましい。2価のアリール基としては、特にp−フェニレン基の数が2〜5(特に2または3)のポリ−p−フェニレン基が好ましい。ポリアリールポリアミン類はさらに窒素原子に結合した1価のアリール基を1個以上有する。ポリアリールポリアミン類における1価のアリール基としては、フェニル基、4−ビフェニリル基、1−ナフチル基、9−フェナントリル基が好ましい。これら1価〜多価のアリール基には前記したような置換基が結合していてもよく、その置換基としては炭素数4以下のアルキル基やハロゲン原子が好ましい。
【0048】
ゲスト化合物(B)としてはポリアリールポリアミン類が好ましい。ゲスト化合物(B)として特に好ましい化合物は、ポリアリールポリアミン類の範疇の化合物である、下記式(2)で表される化合物および下記式(5)で表される化合物である。以下、これら化合物を化学式の番号を付して、それぞれ化合物(2)、化合物(5)という。なお、以下記載において、番号で特定化された化学式で表される化合物や有機基も同様とする。
【0049】
【化2】
【0050】
ただし、式(2)において、Xは下記式(3)で表されるフェニル基を表し、Yは下記式(3)で表されるフェニル基または下記式(4)で表される1−ナフチル基を表し、4個のX、2個のYはそれぞれ互いに異なっていてもよい。
【0051】
【化3】
【0052】
(上記式(3)、(4)中のR1、R2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、芳香性複素環基、アシル基、シアノ基、ハロゲン原子を示す。pは0〜3の整数を表し、pが2または3の場合複数のR1は互いに異なっていてもよい。qは0〜4の整数を表し、qが2〜4の場合複数のR2は互いに異なっていてもよい。)。
【0053】
【化4】
【0054】
ただし、式(5)において、Xは下記式(3)で表されるフェニル基を表し、Zは下記式(6)で表される9−フェナントリル基を表し、nは1〜5の整数を表し、2個のX、2個のZはそれぞれ互いに異なっていてもよい。
【0055】
【化5】
【0056】
(上記式(3)、(6)中のR1、R3、R4は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、芳香性複素環基、アシル基、シアノ基、ハロゲン原子を示す。pは0〜3の整数を表し、pが2または3の場合複数のR1は互いに異なっていてもよい。rは0〜4の整数を表し、rが2〜4の場合複数のR3は互いに異なっていてもよい。sは0〜4の整数を表し、sが2〜4の場合複数のR4は互いに異なっていてもよい。)。
【0057】
化合物(2)は、トリス(4,4’−ビフェニリレン)テトラアミンの誘導体であり、Xは置換基を有していてもよいフェニル基であるフェニル基(3)を、Yはフェニル基(3)または置換基を有していてもよい1−ナフチル基であるナフチル基(4)を表す。フェニル基(3)における置換基(R1)の数pは0〜3の整数であり、pが1の場合は4位、pが2の場合は3位と4位、pが3の場合は3位と4位と5位に、置換基が結合することが好ましい。pは0または1であることが好ましい。pが2または3の場合、複数の置換基(R1)は異なっていてもよい。ナフチル基(4)における置換基(R2)の数qは0〜4の整数であり、qが1以上の場合置換基は3位〜6位のいずれか1以上に結合し、qが1または2の場合置換基は4位と5位のいずれかまたは両方に結合することが好ましい。qは0〜2が好ましく、特に0または1が好ましい。qが2〜4の場合、複数の置換基(R2)は異なっていてもよい。
【0058】
化合物(2)における4個のXは互いに異なっていてもよく、特に両末端側の窒素原子に結合したXとビフェニリレン基間の窒素原子に結合したXとは異なっていてもよい。両末端側の窒素原子に結合したXはいずれもフェニル基であるかモノ置換フェニル基であることが好ましく、ビフェニリレン基間の窒素原子に結合したXはいずれもフェニル基であることが好ましい。2個のYもまた異なっていてもよいが、いずれもフェニル基(3)であるか、いずれもナフチル基(4)であることが好ましい。
【0059】
化合物(5)におけるnは1〜5の整数を表し、2または3であることが好ましく、特に2が好ましい。nが1の化合物(5)は1,4−フェニレンジアミンの誘導体であり、nが2以上の場合は(ポリp−フェニレン)ジアミンの誘導体である。nが2の場合は4,4’−ビフェニリレンジアミン(すなわち、ベンジジン)の誘導体である。
【0060】
化合物(5)におけるXは上記と同じフェニル基(3)であり、化合物(5)において好ましいフェニル基(3)も化合物(2)におけるものと同様である。Zは置換基を有していてもよい9−フェナントリル基であるフェナントリル基(6)を表す。フェナントリル基(6)における置換基(R3)、置換基(R4)の数r、sはそれぞれ0〜4の整数であり、rが1または2の場合置換基(R3)は6位と7位の一方または両方に結合することが好ましく、sが1または2の場合置換基(R4)は2位と3位の一方または両方に結合することが好ましい。r、sはそれぞれ0〜2の整数が好ましい。置換基(R3)が複数存在する場合はそれらは異なっていてもよく、置換基(R4)が複数存在する場合もそれらは異なっていてもよい。2個のZは異なっていてもよいが、同一のフェナントリル基(6)であることが好ましい。2個のZはいずれも置換基を有しない9−フェナントリル基であることが最も好ましい。
【0061】
上記化合物(2)、化合物(5)における置換基であるR1〜R4は1価の基であり、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、芳香性複素環基、アシル基、シアノ基、ハロゲン原子(特にフッ素原子や塩素原子)が好ましい。上記シクロアルキル基、アリール基、芳香性複素環基などの環にはアルキル基等の置換基を有していてもよい。また、上記アルキル基等の有機基の炭素数は12以下が好ましい。
【0062】
R1〜R4としては、具体的にはたとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アリル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、フェニル基、4−メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、フェノキシ基、フェニルチオ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、アセチル基、ベンジル基などが挙げられる。置換基としては特に炭素数4以下のアルキル基が好ましい。
【0063】
ゲスト化合物(C)としては、そのバンドギャップがホスト化合物のバンドギャップより小さい化合物であり、上記ホスト化合物(A)とゲスト化合物(B)と組み合わされた場合に発光する発光性色素である。ゲスト化合物(C)としてはこの特性を有する化合物である限り特に限定されないが、有機EL素子発光層におけるゲスト化合物として公知の化合物から選択されることが好ましい。
【0064】
このゲスト化合物(C)としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−p−ジメチルアミノスチリル−4H−ピランなどのスチリルベンゼン系色素、オキサゾール系色素、ペリレン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素などのレーザー用色素、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ペンタセン誘導体などの縮合多環芳香族炭化水素系化合物、キナクリドン誘導体、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物などの蛍光増白剤として使用される蛍光性色素、金属キレート化オキシノイド化合物などがある。ゲスト化合物(C)は、有機EL素子の目的とする発光色に応じてこのような化合物から選択することができ、またこのような化合物を複数種併用して発光色を調節することができる。
【0065】
本発明における好ましい発光層はこれらホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)を含む組成物からなり、発光層内でこれら化合物は通常均一に混合された状態にある。発光層にはこれら化合物以外の化合物を含んでいてもよいが、通常これら化合物のみ(ただし、各化合物は2種以上含まれていてもよい)からなる。この発光層におけるホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)の合計量に対するゲスト化合物(B)の量は1〜60モル%が好ましく、特に3〜50モル%が好ましい。最も好ましいゲスト化合物(B)の量は10〜40モル%である。この発光層におけるホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)の合計量に対するゲスト化合物(C)の量は0.001〜40モル%が好ましく、特に0.01〜20モル%が好ましい。
【0066】
ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)を含む発光層は、あらかじめ混合されたこれら化合物の混合物から形成されてもよく、発光層形成時にこれら化合物が混合されて形成されてもよい。たとえば、スピンコート法で発光層を形成する場合、ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)を含む溶液を用いて発光層を形成することができる。たとえば、真空蒸着法発光層を形成する場合には、ホスト化合物(A)、ゲスト化合物(B)およびゲスト化合物(C)をそれぞれ含む3つのボートから各化合物を昇華させてこれら化合物を含む発光層を形成することができ、またこれら化合物の混合物を含む1つのボートからこれら化合物を昇華させて発光層を形成することができる。これら3種の化合物の2種の混合物と残りの化合物から発光層を形成することもできる。
【0067】
本発明有機EL素子は上記発光層を陽極層と陰極層の間に有し、かつ前記正孔輸送性層を発光層と陽極層との間に有する有機EL素子である。以下、本発明有機EL素子を図面を用いて説明する。
【0068】
図1は本発明の有機EL素子の基本的な構成を示す側面図であり、図2は本発明の有機EL素子の他の例を示す側面図である。
【0069】
図1に示す有機EL素子は、基板1、陽極層2、正孔輸送層3、発光層4、陰極層5がこの順に積層された構造を有する。図2に示す有機EL素子は、図1に示した基本構造に加えて、陽極層2と正孔輸送層3との間に陽極界面層6が設けられ、発光層4と陰極層5の間に発光層4側に電子輸送層7が、陰極5側に陰極界面層8が設けられている。
【0070】
基板1は、有機EL素子の支持体であり、ガラス、プラスチックフィルム等の透明な基板が一般的には使用される。プラスチックの場合には、ポリカーボネート、ポリメタアクリレート、ポリサルホンなどがある。
【0071】
陽極層2は透明電極層であることが好ましく、基板1の上に設けられる。この透明電極層としては、通常、インジウム錫酸化物(ITO)薄膜や錫酸化物の薄膜から構成される。また、仕事関数の大きい銀、金等の金属、ヨウ化銅などの無機導電性物質、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などの材料からなる薄膜で構成されてもよい。
【0072】
この陽極層の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法等により行われることが一般的であるが、導電性高分子の場合には適当なバインダーとの溶液を基板上に塗布したり、電解重合により直接基板上に薄膜を作製することができる。透明電極層の膜厚は、必要とする透明性に依存するが、可視光の透過率が60%以上、好ましくは80%以上であり、この場合の膜厚は、5〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。
【0073】
図1や図2に示す構成では発光層4は正孔輸送層3の上に設けられる。この発光層4は前述のホスト化合物(A)と2種のゲスト化合物(B)、(C)を含む発光層であることが好ましい。発光層4の膜厚は、通常10〜200nmであり、好ましくは、20〜80nmである。この発光層4の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法等の種々の方法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無いサブミクロンオーダーの均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法、スピンコート法が好ましい。ホスト化合物と2種のゲスト化合物を混合する方法は、真空蒸着法では、ある一定割合で混合した材料を単一のボートやるつぼから昇華させる方法、複数のボートから複数の材料を別々に昇華させる方法などが適用できる。スピンコート法では、溶媒中に複数の材料を一定割合で溶解して製膜することが好ましい。
【0074】
陰極層5の材料としては、公知の有機EL素子用の陰極材料も含め種々の材料が使用できる。たとえば、マグネシウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム等がある。
【0075】
陰極層5の作製方法としては、真空蒸着法、イオン化蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法等の種々の公知の手法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無い均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法が好ましい。陰極の膜厚は、通常10〜1000nmであり、好ましくは50〜300nmである。
【0076】
図1に示すように、正孔輸送層3が陽極層2に接している場合は、この正孔輸送層3が正孔輸送性層(すなわち、正孔輸送性の薄膜層)である。この場合の正孔輸送層3は前記のように5質量%以上の高分子化合物を含みかつ最低空軌道の値が2.1eV以上である層である。一方、図2に示すように、陽極界面層6が陽極層2に接している場合はこの陽極界面層6が正孔輸送性層(すなわち、正孔輸送性の薄膜層)である。この場合の陽極界面層6は前記のように5質量%以上の高分子化合物を含みかつ最低空軌道の値が2.1eV以上である層である。後者の場合の正孔輸送層3は正孔輸送性層(すなわち、正孔輸送性の薄膜層)でなくてもよく、好ましくは高分子化合物を含まない正孔輸送層である。以下この図2で示す構造の有機EL素子における正孔輸送層について説明する。
【0077】
図2に示す正孔輸送層3に用いる正孔輸送材料としては、陽極界面層6からの正孔注入障壁が低く、さらに正孔移動度が高い材料が使用できる。このような正孔輸送材料としては、前記の従来正孔輸送層や陽極界面層の材料として知られた公知の正孔輸送性化合物を使用しうる。特に前述のポリアリールポリアミン類が好ましい。TPD、NPD、PPD、MTDATA等の芳香族ジアミン系化合物、ヒドラゾン化合物などを使用することができる。特に前記ポリアリーレンポリアミン類が好ましい。また、前記したポリ−N−ビニルカルバゾールなどの正孔輸送性の高分子化合物やその他ポリシランのような正孔輸送性の高分子化合物も使用することができる(Appl.Phys.Lett.,59,2760(1991))。これらの正孔輸送性の化合物は2種以上併用することができる。
【0078】
正孔輸送性の化合物としては、上記有機物質だけではなく無機物質も使用することができる。無機物質としては、金属カルコゲン化物、金属ハロゲン化物、金属炭化物、ニッケル酸化物、鉛酸化物、銅の沃化物、鉛の硫化物等のp型化合物半導体、p型水素化非晶質シリコン半導体、p型水素化非晶質炭化シリコン半導体等がある。これらの正孔輸送材料は2種以上併用することができ、また有機物質の正孔輸送材料と併用することもできる。
【0079】
図2に示す正孔輸送層3において、その耐熱性や薄膜均一性を向上させるために、正孔のトラップとなりにくい高分子化合物をバインダーとして正孔輸送輸送材料と混合して使用することもできる。このようなバインダーとしては、前記した正孔輸送性の高分子化合物や正孔輸送性を有しない(またはその特性の低い)高分子化合物を使用しうる。バインダーの含有量は、正孔移動度を低下させない10〜50質量%が好ましい。
【0080】
有機物質、無機物質いずれを使用した場合においても正孔輸送層の膜厚は、通常10〜200nmであり、好ましくは20〜80nmである。この正孔輸送層の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法、CVD法等の種々の公知の手法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無いサブミクロンオーダーの均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法、スピンコート法が好ましい。
【0081】
電子輸送層7は、発光層4と陰極層5との間に必要に応じて設けることができる。この電子輸送層7の電子輸送性物質としては、電子親和力が大きく電子の移動度が大きい物質が使用される。このような条件を満たす物質としては、シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報)、p−フェニレン化合物(特開平3−33183号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、トリアゾール誘導体(特開平7−90260号公報)などが挙げられる。
【0082】
陰極界面層8を、電子輸送層7と陰極層5との間に、必要に応じて設けることもできる。この界面層を設けることにより、駆動電圧の低減や発光効率の向上、長寿命化を達成することができる。この陰極界面層8は陰極層5からの電子注入を容易にする効果や陰極層との密着性をあげる効果がある。
【0083】
このような陰極界面層8の材料としては、フッ化リチウム(Appl.Phys.Lett.,70,152(1997))に代表されるアルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化リチウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物がある。このような材料がそれ自体絶縁体である場合には、使用する膜厚は、通常5nm以下の薄膜であり、好ましくは、2nm以下とすることにより陰極層からの電子のトンネル注入が可能となると考えられる。また、アルカリ金属やアルカリ土類金属のβ−ジケトン錯体などの有機物も陰極界面層8の材料として使用できる。
【0084】
これら電子輸送層7、陰極界面層8の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法、CVD法等の種々の公知の手法が適用できる。ピンホール等の欠陥の無いサブミクロンオーダーの均一な薄膜を作製するためには、特に、真空蒸着法、スピンコート法が好ましい。
【0085】
本発明の有機EL素子は、図1や図2に示した構造に限られるものではなく、有機EL素子として機能する範囲であれば、前記の層自体が複数の層で形成されていたり、それらの間にさらに他の層を挟んだりしてもよい。これらの層の作製方法としては、真空蒸着法、ディップ法、スピンコート法、LB法、CVD法等の種々の公知の手法が適用できる。
【0086】
本発明の有機EL素子においては、大気中における保存安定性、駆動安定性を確保するために、高分子膜や無機保護膜をコーティングしたりガラス封止により大気中の酸素や水分から遮断することが好ましい。ただし、封止空間に、少量の酸素を含有することは、短絡抑制効果を有して好ましい。また、封止空間には、捕水剤を封入することも好ましい。
【0087】
本発明の有機EL素子は、全面発光体として使用して、液晶表示素子のバックライトや壁面照明素子として使用することができ、またパターニングして画素を形成してディスプレイとして使用することができる。
【0088】
【実施例】
以下、本発明の具体的な態様を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、有機EL素子の評価法は、後述の評価結果の項に記載する。
【0089】
例1(実施例)
ガラス基板上にITOを膜厚200nmで蒸着して陽極層2(シート抵抗7Ω/□)を形成した。下記式(8)で表されるPPD(以下化合物(8)という)とポリビニルカルバゾールを質量比1:2でジクロロメタンに溶解した溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して15nmの厚さの陽極界面層6を形成した。次に陽極界面層6上に真空蒸着法により、化合物(8)を厚さ60nmに蒸着して、正孔輸送層3を形成した。
【0090】
次いで、下記式(7)で表される化合物であるAlq(ホスト化合物(A))、化合物(8)(ゲスト化合物(B))および下記式(9)で表されるクマリン545T(ゲスト化合物(C))をそれぞれ異なるボートを用いて膜厚30nmに共蒸着して発光層4を形成した。得られた発光層における化合物(8)の濃度は30モル%、クマリン545Tの濃度は1.0モル%であった。
【0091】
次いで、発光層4上にAlqを30nm蒸着して電子輸送層7とし、さらに電子輸送層7上に陰極界面層8としてLiFの層0.5nm、次いで陰極層5としてアルミニウム層200nmを順に真空蒸着して有機EL素子を作製した。このときの真空度は8.0×10−6トールであった。得られた素子に対して、後述の方法で寿命測定を行った。
【0092】
なお、上記陽極界面層6のLUMOは2.3eVであった。また、化合物(8)のTgは147℃でその正孔易動度はAlqより大きく、クマリン545TのバンドギャップはAlqのバンドギャップより小さい。
【0093】
【化6】
【0094】
例2(実施例)
例1における発光層4の構成を変える以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、Alqおよびクマリン545Tをそれぞれ異なるボートを用いて膜厚30nmに共蒸着して発光層4を形成した(化合物(8)を使用せず)。発光層4におけるクマリン545Tの濃度は1.0モル%とした。
【0095】
例3(実施例)
例1における発光層4の構成を変える以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、発光層4中の発光性色素としてクマリン545Tの代りに、下記式(10)で表される化合物(DCJTB)を2モル%を用いたこと以外は、例1と同じ材料を使用して発光層4を形成した(化合物(8)の濃度は30モル%)。なお、DCJTBはそのバンドギャップがホスト化合物Alqのバンドギャップより小さい発光性色素である。
【0096】
【化7】
【0097】
例4(比較例)
例1における陽極界面層6の代りに、下記溶液を用いて下記陽極界面層6を形成する以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、下記式(11)で表される繰り返し単位を有するテトラフェニルベンジジン残基含有ポリアリーレンエーテルケトン(PTPDEK)を溶解したシクロヘキサノンの溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して20nmの厚さの陽極界面層6を形成した。なお、陽極界面層(PTPDEKのみ)のLUMOの値は2.0eVである。
【0098】
【化8】
【0099】
例5(実施例)
例1における陽極界面層6の代りに、下記溶液を用いて下記陽極界面層6を形成する以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、下記式(12)で表される化合物(TPD)と前記テトラフェニルベンジジン残基含有ポリアリーレンエーテルケトン(PTPDEK)を質量比2:1で溶解したシクロヘキサノンの溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して20nmの厚さの陽極界面層6を形成した。なお、陽極界面層のLUMOの値は2.4eVである。
【0100】
【化9】
【0101】
例6(比較例)
例1における陽極界面層6の代りに、下記溶液を用いて下記陽極界面層6を形成する以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、化合物(8)とポリビニルカルバゾールを質量比97:3で溶解したジクロロメタンの溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して15nmの厚さの陽極界面層6を形成した。なお、陽極界面層のLUMOの値は2.4eVである。
【0102】
例7(実施例)
例1における陽極界面層6の代りに、下記溶液を用いて下記陽極界面層6を形成する以外は例1と同様に素子を作製し、評価した。すなわち、前記式(12)で表される化合物(TPD)とポリビニルカルバゾールを質量比1:1で溶解したジクロロメタンの溶液をスピンコート法で上記陽極層2上に塗布し、乾燥して20nmの厚さの陽極界面層6を形成した。なお、陽極界面層のLUMOの値は2.3eVである。
【0103】
(評価結果)
例1〜7において、前記した有機EL素子の評価を行った結果を表1に示す。また、各例における陽極界面層中の高分子化合物の割合(質量%)とLUMOの値(eV)も表1に示す。有機EL素子の評価は、85℃、1/64dutyパルス駆動(70Hz、選択時150mA/cm2、非選択時−10V印加)、窒素雰囲気中で、輝度半減までの時間(寿命と称す)を測定し、この寿命の長さ(時間;hr)で評価し表1に示す。また、短絡抑制、リーク電流の指標として、寿命測定後の−20V電圧印加時の電流密度の値を測定した。その値をリーク電流(mA/cm2)として表1に示す。この値が小さいほど、リーク電流は少ないことを意味している。
【0104】
【表1】
【0105】
【発明の効果】
本発明により、発光特性および寿命特性が改善された有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明有機EL素子の基本的な構成を示す側面図。
【図2】本発明の有機EL素子の他の例を示す側面図。
【符号の説明】
1:基板
2:陽極層
3:正孔輸送層
4:発光層
5:陰極層
6:陽極界面層
7:電子輸送層
8:陰極界面層
Claims (7)
- 陽極層、陰極層、該陽極層と該陰極層との間に存在する発光層、および該発光層と該陽極層との間に存在する正孔輸送性の薄膜層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、陽極層に接する正孔輸送性の薄膜層が5質量%以上の高分子化合物を含みかつ該薄膜層の最低空軌道の値が2.1eV以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陽極層に接する正孔輸送性の薄膜層が5〜100質量%の正孔輸送性高分子化合物を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陽極層に接する正孔輸送性の薄膜層が、高分子化合物と正孔輸送性低分子化合物を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 正孔輸送性低分子化合物がポリアリールポリアミン類である、請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 発光層が、ホスト化合物、ガラス転移温度が100℃以上でかつその正孔易動度が該ホスト化合物の正孔易動度より大きい化合物からなる第1のゲスト化合物、およびそのバンドギャップが該ホスト化合物のバンドギャップより小さい化合物からなる第2のゲスト化合物を含む、請求項1、2、3または4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 第1のゲスト化合物がポリアリールポリアミン類である、請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 発光層内の第1のゲスト化合物の量が、ホスト化合物、第1のゲスト化合物および第2のゲスト化合物の合計量に対し10〜40モル%である、請求項5または6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002376280A JP2004207102A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
CNB2003101239524A CN100472842C (zh) | 2002-12-26 | 2003-12-26 | 有机电致发光元件 |
US10/745,479 US6927537B2 (en) | 2002-12-26 | 2003-12-29 | Organic electroluminescence device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002376280A JP2004207102A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004207102A true JP2004207102A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32813778
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002376280A Withdrawn JP2004207102A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6927537B2 (ja) |
JP (1) | JP2004207102A (ja) |
CN (1) | CN100472842C (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006316224A (ja) * | 2005-05-16 | 2006-11-24 | Mitsui Chemicals Inc | チオフェンを主鎖に含む高分子化合物、および該化合物を含有する有機電界発光素子 |
JP2007066707A (ja) * | 2005-08-31 | 2007-03-15 | Denso Corp | 有機el素子の製造方法 |
JP2008187185A (ja) * | 2002-12-31 | 2008-08-14 | Eastman Kodak Co | 高効率電場発光デバイス |
JP2012178268A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-09-13 | Mitsubishi Chemicals Corp | 有機電界発光素子、有機電界発光モジュール、有機電界発光表示装置、及び有機電界発光照明 |
JP2012527123A (ja) * | 2009-05-12 | 2012-11-01 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | 電子トンネル層を有する有機電子デバイス |
JP2015128065A (ja) * | 2013-12-30 | 2015-07-09 | エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド | 有機電界発光素子及び有機電界発光表示装置 |
Families Citing this family (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1323128C (zh) | 2002-07-19 | 2007-06-27 | 出光兴产株式会社 | 有机电致发光装置和有机发光介质 |
US7755278B2 (en) * | 2004-08-25 | 2010-07-13 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Light emitting element provided with organic conductive and inorganic hole transport layers between an electrode and organic emissive layer |
JP2006210538A (ja) * | 2005-01-27 | 2006-08-10 | Asahi Glass Co Ltd | 有機el素子、その製造方法及び有機el表示装置 |
LT5444B (lt) | 2005-12-30 | 2007-10-25 | Vilniaus Universitetas | NEPOLIMERINIAI JUNGINIAI, PASIZYMINTYS KRuVININKUPERNASOS SAVYBEMIS, IR ORGANINIS ELEKTROLIUMINESCENCINIS ELEMENTAS |
GB0625865D0 (en) * | 2006-12-29 | 2007-02-07 | Oled T Ltd | Electro-optical or opto-electronic device |
US8076009B2 (en) * | 2007-10-26 | 2011-12-13 | Global Oled Technology, Llc. | OLED device with fluoranthene electron transport materials |
US8431242B2 (en) * | 2007-10-26 | 2013-04-30 | Global Oled Technology, Llc. | OLED device with certain fluoranthene host |
US8420229B2 (en) * | 2007-10-26 | 2013-04-16 | Global OLED Technologies LLC | OLED device with certain fluoranthene light-emitting dopants |
US7931975B2 (en) * | 2008-11-07 | 2011-04-26 | Global Oled Technology Llc | Electroluminescent device containing a flouranthene compound |
US8088500B2 (en) * | 2008-11-12 | 2012-01-03 | Global Oled Technology Llc | OLED device with fluoranthene electron injection materials |
US7968215B2 (en) * | 2008-12-09 | 2011-06-28 | Global Oled Technology Llc | OLED device with cyclobutene electron injection materials |
KR101344576B1 (ko) * | 2009-04-01 | 2013-12-26 | 에이손 테쿠노로지 가부시키가이샤 | 유기 전계발광 소자 |
LT5783B (lt) | 2009-12-11 | 2011-10-25 | Vilniaus Universitetas, , | Iridžio organiniai kompleksai, jų gamybos būdas ir organinis elektroliuminescencinis elementas |
US20120286251A1 (en) * | 2011-05-09 | 2012-11-15 | Soo-Jin Park | Novel compound and organic light-emitting device including the same |
JP6029115B2 (ja) | 2014-03-26 | 2016-11-24 | インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションInternational Business Machines Corporation | 光デバイス、光コネクタ・アセンブリおよび光接続方法 |
CN107425143B (zh) * | 2017-06-16 | 2019-05-21 | 苏州大学 | 层压法制备电致发光器件的方法 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3069139B2 (ja) * | 1990-03-16 | 2000-07-24 | 旭化成工業株式会社 | 分散型電界発光素子 |
US5652067A (en) * | 1992-09-10 | 1997-07-29 | Toppan Printing Co., Ltd. | Organic electroluminescent device |
JP3332491B2 (ja) * | 1993-08-27 | 2002-10-07 | 三洋電機株式会社 | 有機el素子 |
US5834894A (en) * | 1995-09-14 | 1998-11-10 | Casio Computer Co., Ltd. | Carrier injection type organic electro-luminescent device which emits light in response to an application of a voltage |
JP3239057B2 (ja) | 1995-11-07 | 2001-12-17 | 三洋電機株式会社 | 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
JP3092584B2 (ja) * | 1998-03-23 | 2000-09-25 | 日本電気株式会社 | 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
JP2000106277A (ja) | 1998-09-28 | 2000-04-11 | Asahi Glass Co Ltd | 有機エレクトロルミネセンス素子 |
US6475648B1 (en) | 2000-06-08 | 2002-11-05 | Eastman Kodak Company | Organic electroluminescent devices with improved stability and efficiency |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002376280A patent/JP2004207102A/ja not_active Withdrawn
-
2003
- 2003-12-26 CN CNB2003101239524A patent/CN100472842C/zh not_active Expired - Fee Related
- 2003-12-29 US US10/745,479 patent/US6927537B2/en not_active Expired - Lifetime
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008187185A (ja) * | 2002-12-31 | 2008-08-14 | Eastman Kodak Co | 高効率電場発光デバイス |
JP2006316224A (ja) * | 2005-05-16 | 2006-11-24 | Mitsui Chemicals Inc | チオフェンを主鎖に含む高分子化合物、および該化合物を含有する有機電界発光素子 |
JP4557794B2 (ja) * | 2005-05-16 | 2010-10-06 | 山本化成株式会社 | チオフェンを主鎖に含む高分子化合物、および該化合物を含有する有機電界発光素子 |
JP2007066707A (ja) * | 2005-08-31 | 2007-03-15 | Denso Corp | 有機el素子の製造方法 |
JP2012527123A (ja) * | 2009-05-12 | 2012-11-01 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | 電子トンネル層を有する有機電子デバイス |
JP2012178268A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-09-13 | Mitsubishi Chemicals Corp | 有機電界発光素子、有機電界発光モジュール、有機電界発光表示装置、及び有機電界発光照明 |
JP2015128065A (ja) * | 2013-12-30 | 2015-07-09 | エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド | 有機電界発光素子及び有機電界発光表示装置 |
US10418580B2 (en) | 2013-12-30 | 2019-09-17 | Lg Display Co., Ltd. | Organic electroluminescent device and organic electroluminescent display device |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN100472842C (zh) | 2009-03-25 |
US20040191565A1 (en) | 2004-09-30 |
CN1535088A (zh) | 2004-10-06 |
US6927537B2 (en) | 2005-08-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004207102A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
EP2352363B1 (en) | Organic light-emitting diode and method of manufacturing the same | |
TWI495707B (zh) | 有機發光二極體及其製造方法 | |
KR101069062B1 (ko) | 유기 발광 소자 및 이것을 구비한 표시장치 | |
JP3824385B2 (ja) | 有機電界発光素子 | |
US20030197465A1 (en) | Organic light-emitting devices | |
JP2003123984A (ja) | 有機発光デバイス | |
JP2008053556A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JPH11162643A (ja) | 有機エレクトロルミネセント装置 | |
JP2009512179A (ja) | 2つの青色蛍光化合物のエキシプレックスに基づく白色有機発光ダイオード(OLEDs) | |
JP3978976B2 (ja) | 有機電界発光素子 | |
JP3951425B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP3731971B2 (ja) | 有機電界発光素子 | |
JP3801326B2 (ja) | 有機電界発光素子 | |
JP4154215B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス表示素子の製造方法 | |
JP3951461B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
KR100757721B1 (ko) | 유기 전계 발광 소자 | |
JPH10125467A (ja) | 有機電界発光素子 | |
KR20000048006A (ko) | 정공 전달층내에 아릴에틸렌 유도체를 함유한 전자발광 장치 | |
JP2000106277A (ja) | 有機エレクトロルミネセンス素子 | |
JP2004172068A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP2000021571A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JPH1126164A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP2007273573A (ja) | 有機発光素子 | |
JP4733285B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040929 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061006 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061031 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061208 |