JP3949953B2 - 両側リクライニング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒンジピンが回転することによりシートバックの傾動のロック/ロック解除を行なうリクライニング機構がシートの両側に設けられ、一方の端部が一方のリクライニング機構のヒンジピンに、他方の端部が他方のリクライニング機構のヒンジピンにそれぞれ接続された連結パイプでもって一方のリクライニング機構のヒンジピンの動きを他方のリクライニング機構のヒンジピンに伝達する両側リクライニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11に示すように、シート1のシートバック3をシートクッション5に対する傾動のロック/ロック解除を行なうリクライニング機構が、シート1の両側(アウタ側、インナ側)に設けられたものがある。
【0003】
図においては、アウタ側リクライニング機構7のヒンジピン9に操作レバー11が設けられ、操作レバー11へ作用する操作力は、操作レバー11が設けられたアウタ側リクライニング機構7のヒンジピン9、一方の端部がアウタ側リクライニング機構7のヒンジピン9に接続され、他方の端部がインナ側リクライニング機構13のヒンジピン14に接続された連結パイプ15を介して、インナ側リクライニング機構13のヒンジピン14に伝達されるようになっている。
【0004】
ここで、アウタ側リクライニング機構7のヒンジピン9と連結パイプ15、インナ側のリクライニング機構13のヒンジピン14と連結パイプ15との接続方法には、以下の2つがある。
(1)溶接(図12(a),(b))
図12(b)に示すように、連結パイプ15の両端を円弧状となるように塑性加工しておく。アウタ側リクライニング機構7とインナ側リクライニング機構13を組み付け、アウタ側リクライニング機構7、インナ側リクライニング機構13共、完全にロックしている状態で、図12(a)に示すように、各リクライニング機構7,13のヒンジピン9,14に連結パイプ15を沿わせて両者を溶接し、ヒンジピン9,14と連結パイプ15とが一体となって回転するようにする。
(2)嵌合(図12(c),(d))
図12(d)に示すように、ヒンジピン9の連結パイプ15と嵌合する部分の断面形状を小判形とし、ヒンジピン9,14と嵌合する連結パイプ15の穴の形状を小判穴に加工しておく。アウタ側リクライニング機構7とインナ側リクライニング機構13を組み付け、図12(c)に示すように、ヒンジピン9,14を連結パイプ15に嵌合させ、ヒンジピン9,14と連結パイプ15とが一体となって回転するようにする。
【0005】
このような嵌合の場合、ヒンジピン9,14は軸方向には移動可能なので、抜け止め用のEリング16が必要となる。
尚、アウタ側リクライニング機構7とインナ側リクライニング機構13を組み付けた際に、両者のリクライニング機構が完全にロック状態にある場合、リクライニング機構の組み付け誤差、リクライニング機構のシートへの取り付け誤差等により、ヒンジピン9,14の小判形状の方向が一致せず、ズレを生じる。よって、このズレを吸収するために、ヒンジピン9,14と連結パイプ15との嵌合にはガタが設けてある。
【0006】
このようなガタを設けたことにより、アウタ側リクライニング機構7のヒンジピン9に入力された操作力がインナ側リクライニング機構13のヒンジピン14に伝達されるまでに、2箇所のガタ(ヒンジピン9と連結パイプ15とのガタ、連結パイプ15とヒンジピン14とのガタ)が介在する。すなわち、インナ側リクライニング機構13はアウタ側リクライニング機構7に比べて遅れて作動する。
【0007】
このタイムラグを吸収するために、アウタ側リクライニング機構7内部でヒンジピン9とヒンジピン9に嵌合する部材との間にガタを設け、アウタ、インナ側のリクライニング機構7、リクライニング機構13の作動のタイミングが一致するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成におけるアウタ側リクライニング機構7のヒンジピン9と連結パイプ15、インナ側のリクライニング機構13のヒンジピン14と連結パイプ15との接続方法には以下のような問題点がある。
【0009】
(1)両側リクライニング装置をシートに組み付ける際、最初に、アウタ側リクライニング機構7とインナ側リクライニング機構13を組み付け、その後、連結パイプ15をアウタ側リクライニング機構7のヒンジピン9と、インナ側リクライニング機構13のヒンジピン14とに溶接する。
【0010】
シート1の表皮やクッションが組み付けられた後でこの溶接を行なうと、表皮やクッションが焼けるので、溶接はシート1の表皮やクッションの組み付け前に行なわなければならず、組み付け工程の制約が多くなる。
【0011】
(2)ヒンジピン9,14と連結パイプ15との間のガタ、及び、アウタ側リクライニング機構7内部でのヒンジピン9とヒンジピン9に嵌合する部材との間にガタにより、操作レバー11を操作しても、アウタ側リクライニング機構7、インナ側リクライニング機構13が作動を始めるまでにタイムラグがある。また、操作レバー11の操作角も増し、操作性が悪い。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、組み付け工程の制約がなく、作動のタイムラグがなく、操作性が向上する両側リクライニング装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、ヒンジピンが回転し、該ヒンジピンが係合した部材が回転することにより、シートバックの傾動が可能となるリクライニング機構がシートの両側に設けられ、一方の端部が一方のリクライニング機構のヒンジピンに、他方の端部が他方のリクライニング機構のヒンジピンにそれぞれ接続された連結パイプでもって一方のリクライニング機構のヒンジピンの動きを他方のリクライニング機構のヒンジピンに伝達する両側リクライニング装置において、前記ヒンジピンを前記部材に対して回転することなく軸方向に移動可能に設け、前記ヒンジピンと前記連結パイプとの接続を前記ヒンジピン、前記連結パイプのうちのどちらか一方に形成されたおねじと、前記ヒンジピン、前記連結パイプのうちの他方に形成され、前記おねじに螺合するめねじと、前記めねじとおねじとの螺合のゆるみ止めを行なうゆるみ止め手段とで行い、前記連結パイプを回転することにより前記おねじにめねじが螺合し、前記ヒンジピンが正規の位置まで引き込まれるように、前記一方のリクライニング機構のヒンジピンのおねじを右ねじ、前記他方のリクライニング機構のヒンジピンのおねじを左ねじとしたことを特徴とする両側リクライニング装置である。
【0014】
前記ヒンジピンを前記部材に対して回転することなく軸方向に移動可能に設け、前記ヒンジピンと前記連結パイプとの接続を前記ヒンジピン、前記連結パイプのうちのどちらか一方に形成されたおねじと、前記ヒンジピン、前記連結パイプのうちの他方に形成され、前記おねじに螺合するめねじと、前記めねじとおねじとの螺合のゆるみ止めを行なうゆるみ止め手段とで行い、前記連結パイプを回転することにより前記おねじにめねじが螺合し、前記ヒンジピンが正規の位置まで引き込まれるように、前記一方のリクライニング機構のヒンジピンのおねじを右ねじ、前記他方のリクライニング機構のヒンジピンのおねじを左ねじとしたことにより、溶接等の火を使う作業がなくなり、組み付け工程の制約がなくなる。
【0015】
また、ヒンジピンと連結パイプとはガタがない状態で接続されるので、2つのリクライニング機構の作動のタイムラグがなくなり、操作性も向上する。
請求項2記載の発明は、前記ゆるみ止め手段は、前記ヒンジピンのおねじに螺合し、前記連結パイプに当接するナットであることを特徴とする請求項1記載の両側リクライニング装置である。
【0016】
ナットを緩めることで、容易にヒンジピンと連結パイプとを取り外すことができ、保守性に優れる。
尚、ゆるみ止め手段として、ナットに限定するものではない。例えば、螺合しているおねじとめねじとの間に充填される接着剤であってもよい。
【0017】
請求項3記載の発明は、前記ナットの連結パイプに当接する方向に移動する回転方向は、前記リクライニング機構のロック方向としたことを特徴とする請求項2記載の両側リクライニング装置である。
【0018】
前記ナットの連結パイプに当接する方向に移動する回転方向は、前記リクライニング機構のロック方向としたことにより、ナットを回転し、連結パイプに当接する方向に移動させている際にロック状態にあるリクライニング機構がロック解除状態となることを防止でき、組み付けの信頼性が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。
最初に、本実施の形態例の両側リクライニング装置のリクライニング機構の説明を行なう。尚、アウタ側リクライニング機構と、インナ側リクライニング機構とは、略同一構成で、違いはヒンジピンの形状及びアウタ側リクライニング機構のヒンジピンに操作レバーが取り付けられている点であるので、以下インナ側のリクライニング機構90を用いて説明する。
【0021】
本形態例のリクライニング機構90では、シートクッション側のフレーム201に、ベースアーム100がロアアームとして取り付けられ、シートバック側のバックフレーム202に、ラチェット130が取り付けられる(図4〜図6参照)。
【0022】
特に図4〜図7及び図10に示すように、ベースアーム100には、ヒンジピン120を回転可能に支持する嵌合穴101が中央部に形成され、さらに、この嵌合穴101の周囲には、嵌合穴101と同軸的に、ラチェット130側に突き出た二つの同一形状の断面円弧状支持部102,103が対向するように形成されている。
【0023】
ラチェット130の中央部の嵌合穴131(図8参照)には、断面円弧状支持部102,103が回転自在に嵌合しており、このため、ベースアーム100に対してラチェット130は傾動可能となっている。そして、ベースアーム100の外周部とラチェット130の外周部とは、取り付け金具205により、相対回転可能に接合されている。ラチェット130のベースアーム100との対向面には、図8に示すように、ラチェット130の傾動中心を中心とする略円形の凹部132が形成され、該凹部内周面には内歯133,134が刻設されている。
【0024】
ベースアーム100上の、ラチェット130の凹部132との対向面にも、凹部104(図7参照)が形成され、該凹部104の底面上部には、ラチェット130に向けて第1のガイド手段であるガイド突起105,106が突設され、底面下部には、ラチェット130に向けて第1のガイド手段であるガイド突起107,108が突設されている。
【0025】
ポール140は、特に図2,図7及び図10に示すように、ガイド突起105,106のガイド面105a,106aに挟まれて、上記傾動の中心軸と直交する方向に摺動案内され、前端部の外歯141がラチェット130の内歯133に噛合できるように構成されている。ポール150についても同様に、ガイド突起107,108のガイド面107a,108aに挟まれて、上記傾動の中心軸と直交する方向に摺動案内され、前端部の外歯151がラチェット130の内歯134に噛合できるように構成されている。
【0026】
又、図2および図4に示すように、ポール140,150のベースアーム100との対向面には、ベースアーム100方向に突出する略矩形の凸部140a,150aが形成され、この凸部140a,150aはベースアーム100に形成され、ポール140,150を傾動の中心軸と直交する方向に案内する溝100a,100b(第2のガイド手段)に係合している。
【0027】
ヒンジピン120の断面小判形部分123には、カム170の小判穴171が嵌合している。このため、ヒンジピン120は軸方向移動可能であると共に、ヒンジピン120には、カム170とが相対回転不可状態に嵌合していることになる。このカム170には、ベースアーム100の断面円弧状支持部102,103が遊嵌する円弧状長穴172,173が穿設されており、カム170はベースアーム100に対して一定範囲内で回転できるようになっている。
【0028】
すなわち、カム170は、ヒンジピン120とともに回転し、押圧部174,175でもって、ポール140,150の背面142,152の被押圧部142a,152aをその外歯141,151方向に押して、ポール140,150の外歯141,151をラチェット130の内歯133,134に噛合させるものである。
【0029】
又、カム170とポール140とには、カム170の押圧部174とポール140の背面142の被押圧部142aと以外に、ポール140が傾いた際に、カム170の押圧部174の一方のサイドに形成された当接部174aにポール140の当接部142bが、カム170の押圧部174の他方のサイドに形成された当接部174bにポール140の当接部142cが当接可能となっている。
【0030】
同様に、カム170とポール150とには、カム170の押圧部175とポール150の背面152の被押圧部152aと以外に、ポール150が傾いた際に、カム170の押圧部175の一方のサイドに形成された当接部175aにポール150の当接部152bが、カム170の押圧部175の他方のサイドに形成された当接部175bにポール150の当接部152cが当接可能となっている。
【0031】
このカム170には、ラチェット130側に突き出た突起176,177が形成されており、この突起176,177がレリーズプレート180の穴181,182に嵌合されている。このため、カム170とレリーズプレート180とは連動して回転することになる。
【0032】
このレリーズプレート180には、ポール140,150の板厚方向の突起143,153に嵌合する長穴状のカム穴183,184が形成されており、このカム穴183,184の形状は、操作レバーをロック解除方向に回転させたとき、カム穴183,184のカム面が突起143,153を押圧し、ポール140,150を背面側に後退させ、前端部の外歯141,151をラチェット130の内歯133、134から離脱させるように形成されている。
【0033】
付勢手段としてのスパイラルスプリング191,195は、内端がベースアーム100のフック111,112に掛止され、外端がカム170の段部178,179に掛止され、カム170がポール140,150の背面を押すようにカム170を回動付勢するものである。
【0034】
ヒンジピン120には、断面小判形部分123に連設しておねじ部124が形成されている。
さらに、おねじ部124に連設して、おねじ部124の山の径より小さな径の小径部125が形成されている。
【0035】
本形態例では、ヒンジピン120の断面小判形部分123とカム170の小判穴171との円弧状嵌合部に、セレーションが切られている。
上記構成のリクライニング機構90の作動を説明する。通常は、スパイラルスプリング191,195の付勢力により、カム170がポール140,150の背面を押し、ポール140,150の外歯141,151がラチェット130の内歯133,134に噛合し、ラチェット(シートバック)130の回転が禁止されている(ロック状態)。
【0036】
図2,図3において、スパイラルスプリング191,195の付勢力に抗して、ヒンジピン120を時計方向(矢印方向)に回転させると、カム170,レリーズプレート180が時計方向に回転する。
【0037】
すると、カム170のポール140,150の背面への押圧が解除されるとともに、レリーズプレート180のカム穴183,184のカム面がポール140,150の突起143,153を押圧し、ポール140,150を背面側に後退させる。このため、ポール140,150はガイド突起105〜108のガイド面105a〜108aに案内されて、背面側に移動し、ポール140,150の外歯141,151とラチェット130の内歯133,134との噛合が解除され、ラチェット(シートバック)130は、傾動可能となる(アンロック状態)。
【0038】
シートバックを所望の角度まで傾動させ、操作レバーへの操作力を解除すると、スパイラルスプリング191,195の付勢力により、カム170がポール140,150の背面を押し、ポール140,150の外歯141,151がラチェット130の内歯133,134に再び噛合し、ラチェット(シートバック)130の回転が禁止された状態に復帰する。
【0039】
次に、図1を用いて、連結パイプの接続を説明する。
(1)組み付け前 (図1(a))
前述したように、本実施の形態例の両側リクライニング装置のインナ側のリクライニング機構90と、アウタ側のリクライニング機構とは略同一構成であるので、最初に、図1(a)を用いてアウタ側リクライニング機構の異なる点のみを説明する。尚、アウタ側リクライニング機構において、インナ側リクライニング機構と同一部分には、インナ側のリクライニング機構と対応する番号に(′:ダッシュ)を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
アウタ側のリクライニング機構の90′のヒンジピン120′のおねじ部124′はインナ側のリクライニング機構90のヒンジピン120のおねじ部124の逆方向のねじとなっている。さらに、ヒンジピン120′には、図示しない操作レバーが嵌合するセレーション部122が形成されている。
【0041】
そして、図に示すように、インナ側のリクライニング機構90、アウタ側のリクライニング機構90′のヒンジピン120,120′は各リクライニング機構90,90′より突出した位置にある。
【0042】
この状態で、インナ側のリクライニング機構90、アウタ側のリクライニング機構90′の間に連結パイプ400が配置される。この連結パイプ400の内径は、ヒンジピン120,120′の小径部125,125′の径より大きく設定されている。さらに、連結パイプ400の一方の端部には、インナ側のリクライニング機構90のヒンジピン120のおねじ部124が螺合可能なめねじ部401が形成されている。また、連結パイプ400の他方の端部には、アウタ側のリクライニング機構90′のヒンジピン120′のおねじ部124′が螺合可能なめねじ部403が形成されている。
【0043】
また、各ヒンジピン120,120′のおねじ部124,124′には、緩み止め手段としてのナット411,413が螺合している。
本実施の形態例では、ナットの411の連結パイプ400に当接する方向に移動する回転方向が、インナ側のリクライニング機構90のロック方向となるようにヒンジピン120のおねじ部124は左ねじとした。
【0044】
また、ナットの413の連結パイプ400に当接する方向に移動する回転方向が、アウタ側のリクライニング機構90′のロック方向となるように、ヒンジピン120′のおねじ部124′は右ねじとした
(2)組み付け途中(図1(b))
インナ側のリクライニング機構90,アウタ側のリクライニング機構90′のヒンジピン120,120′の小径部125,125′を連結パイプ400内に挿入し、おねじ部124,124′が連結パイプ400のめねじ部401,403の開放面に当接するまで各ヒンジピン120,120′を移動させる。
【0045】
そして、連結パイプ400を回転させる。すると、連結パイプ400のめねじ部401がヒンジピン120のおねじ部124に、連結パイプ400のめねじ部403がヒンジピン120′のおねじ部124′にそれぞれ螺合し、ヒンジピン120,120′を正規の位置まで引き込む。
(3)組み付け後(図1(c))
ナット411,413を回転させ、連結パイプ400の端面に当接するまで移動させ、ヒンジピン120のおねじ部124と連結パイプ400のめねじ部401、及び、ヒンジピン120′のおねじ部124′と連結パイプ400のめねじ部403の緩み止めを行なう。
【0046】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ヒンジピン120,120′を軸方向に移動可能に設け、ヒンジピン120,120′と連結パイプ400との接続をヒンジピン120,120′に形成されたおねじ部124,124′と、連結パイプ400に形成され、おねじ部124,124′に螺合するめねじ部401,403と、めねじ部401,403とおねじ部124,124′との螺合のゆるみ止めを行なうゆるみ止め手段であるナット411,413とで行い、連結パイプ400を回転することによりおねじ部124,124′にめねじ部401,403が螺合し、ヒンジピン120,ヒンジピン120′が正規の位置まで引き込まれるように、一方のリクライニング機構であるアウタ側のリクライニング機構90′のヒンジピン120′のおねじ部124′と連結パイプ400のめねじ403を右ねじ、他方のリクライニング機構124であるインナ側のリクライニング機構90のヒンジピン120のおねじ部と連結パイプ400のめねじ部401を左ねじとしたことにより、溶接等の火を使う作業がなくなり、組み付け工程の制約がなくなる。
【0047】
また、ヒンジピン120,120′と連結パイプ400とはガタがない状態で接続されるので、2つのリクライニング機構の作動のタイムラグがなくなり、操作性も向上する。
【0048】
(2)ゆるみ止め手段として、ヒンジピン120,120′のおねじ部124,124′に螺合し、連結パイプ400に当接するナット411,413を用いたことにより、ナット411,413を緩めることで、容易にヒンジピン120,120′と連結パイプ400とを取り外すことができ、保守性に優れる。
【0049】
(3)本実施の形態例では、インナ側のリクライニング機構90のヒンジピン120のおねじ部124、連結パイプ400のめねじ部401を左ねじ、アウタ側のリクライニング機構90′のヒンジピン120′のおねじ部124′、連結パイプ400のめねじ部403を右ねじとしたことにより、ナット411,413の連結パイプ400に当接する方向に移動する回転方向は、リクライニング機構90,90′のロック方向となり、ナット411,413を回転し、連結パイプ400に当接する方向に移動させている際にロック状態にあるリクライニング機構90,90′がロック解除状態となることを防止でき、組み付けの信頼性が向上する。
【0050】
尚、本発明は上記形態例に限定されるものではない。上記実施の形態例では、ゆるみ止め手段として、ナット411,413を用いたが、螺合しているヒンジピン120のおねじ部124と連結パイプ400のめねじ部401、及び、螺合しているヒンジピン120′のおねじ部124′と連結パイプ400のめねじ部403との間に接着剤を充填してもよい。その場合、ヒンジピン120のおねじ部124は左ねじ、ヒンジピン120のおねじ部124′は右ねじに限定するものではなく、ヒンジピン120のおねじ部124が右ねじ、ヒンジピン120のおねじ部124′が左ねじであってもよい。
【0051】
また、上記実施の形態例では、ヒンジピン120,120′におねじ部124,124′を形成し、連結パイプ400にめねじ部401,403を形成したが、逆に、ヒンジピン120,120′にめねじ部を設け、連結パイプにおねじ部を形成してもよい。
【0052】
さらに、シートクッション側のフレーム201に、ラチェット130をロアアームとして取り付け、シートバック側のバックフレーム202に、ベースアーム100を取り付けるようにしてもよい。又、ポール(140,150)の数は、1個でも3個以上でもよく、カム170の付勢も上記スパイラルスプリング191,195による方法に限らない。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1記載の発明によれば、前記ヒンジピンを前記部材に対して回転することなく軸方向に移動可能に設け、前記ヒンジピンと前記連結パイプとの接続を前記ヒンジピン、前記連結パイプのうちのどちらか一方に形成されたおねじと、前記ヒンジピン、前記連結パイプのうちの他方に形成され、前記おねじに螺合するめねじと、前記めねじとおねじとの螺合のゆるみ止めを行なうゆるみ止め手段とで行い、前記連結パイプを回転することにより前記おねじにめねじが螺合し、前記ヒンジピンが正規の位置まで引き込まれるように、前記一方のリクライニング機構のヒンジピンのおねじを右ねじ、前記他方のリクライニング機構のヒンジピンのおねじを左ねじとしたことにより、溶接等の火を使う作業がなくなり、組み付け工程の制約がなくなる。
【0054】
また、ヒンジピンと連結パイプとはガタがない状態で接続されるので、2つのリクライニング機構の作動のタイムラグがなくなり、操作性も向上する。
請求項2記載の発明によれば、ナットを緩めることで、容易にヒンジピンと連結パイプとを取り外すことができ、保守性に優れる。
【0055】
請求項3記載の発明によれば、前記ナットの連結パイプに当接する方向に移動する回転方向は、前記リクライニング機構のロック方向としたことにより、ナットを回転し、連結パイプに当接する方向に移動させている際にロック状態にあるリクライニング機構がロック解除状態となることを防止でき、組み付けの信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態例の両側リクライニング装置の連結パイプの接続を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態例の両側リクライニング装置のインナ側リクライニング機構を示す図3からベースアームを取り除いた正面図である。
【図3】本発明の実施の形態例の両側リクライニング装置のインナ側リクライニング機構の外観を示す正面図である。
【図4】図2及び図3の切断線C−Cにおける断面図である。
【図5】図2及び図3の切断線D−Dにおける断面図である。
【図6】図2及び図3の切断線E−Eにおける断面図である。
【図7】図3のベースアームある。
【図8】図2のラチェットである。
【図9】図2のカムである。
【図10】本発明の実施の形態例の両側リクライニング装置のインナ側リクライニング機構の主要部の概略分解斜視図である。
【図11】両側リクライニング装置が設けられたシートを説明する図である。
【図12】従来の両側リクライニング装置の連結パイプの接続を説明する図である。
【符号の説明】
90,90′ リクライニング機構
120,120′ ヒンジピン
124,124′ おねじ部
400 連結パイプ
401,403 めねじ部
411,413 ナット(ゆるみ止め手段)

Claims (3)

  1. ヒンジピンが回転し、該ヒンジピンが係合した部材が回転することにより、シートバックの傾動が可能となるリクライニング機構がシートの両側に設けられ、一方の端部が一方のリクライニング機構のヒンジピンに、他方の端部が他方のリクライニング機構のヒンジピンにそれぞれ接続された連結パイプでもって一方のリクライニング機構のヒンジピンの動きを他方のリクライニング機構のヒンジピンに伝達する両側リクライニング装置において、
    前記ヒンジピンを前記部材に対して回転することなく軸方向に移動可能に設け、
    前記ヒンジピンと前記連結パイプとの接続を前記ヒンジピン、前記連結パイプのうちのどちらか一方に形成されたおねじと、前記ヒンジピン、前記連結パイプのうちの他方に形成され、前記おねじに螺合するめねじと、前記めねじとおねじとの螺合のゆるみ止めを行なうゆるみ止め手段とで行い、
    前記連結パイプを回転することにより前記おねじにめねじが螺合し、前記ヒンジピンが正規の位置まで引き込まれるように、前記一方のリクライニング機構のヒンジピンのおねじを右ねじ、前記他方のリクライニング機構のヒンジピンのおねじを左ねじとしたことを特徴とする両側リクライニング装置。
  2. 前記ゆるみ止め手段は、前記ヒンジピンのおねじに螺合し、
    前記連結パイプに当接するナットであることを特徴とする請求項1記載の両側リクライニング装置。
  3. 前記ナットの連結パイプに当接する方向に移動する回転方向は、前記リクライニング機構のロック方向としたことを特徴とする請求項2記載の両側リクライニング装置。
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